[過去ログ] 東京マグニチュード8.0でエロパロ 震度2 (384レス)
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(1): 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:01 ID:Vc/b2MEQ(1/25) AAS
やっと書き上がりました。ユカ主役話、第二弾です。
今回は本当に難産でした。かなり長いです。
読んでてしんどくなるかもしれません。あらかじめ、ご了承ください。
25: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:02 ID:Vc/b2MEQ(2/25) AAS
ユカ
件 大丈夫!?

東京、すごい揺れた
んでしょ!?
今、静岡のお婆ちゃ
んちに来てて心配に
なって!!

連絡待ってます!!

マユ
件 Re:大丈夫!?
省31
26: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:04 ID:Vc/b2MEQ(3/25) AAS
未来
件 Re:大丈夫!?

連絡が遅れてごめん
ね。地震のときに携
帯なくしちゃって、
連絡できなかったん
だ。
でも、そのときすご
くお世話になった人
に、携帯を届けても
省20
27: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:05 ID:Vc/b2MEQ(4/25) AAS
「ユカ!」

 教室に入ってきたユカに最初に声をかけたのは、未来だった。 

「み、未来!?」

 ああ、本当に未来だ。本当に久しぶりの、未来の声だ。今まで、ずっと未来に会ったら、
最初になんて声をかけようかって悩んでた。何しろ、弟を亡くしてしまったのだ。きっと未来、
すごく落ち込んでる。元気のない未来の顔を見たら自分もつらくなる。ずっと、そう思ってた。
でも、実際に未来の顔を見たら、そんな考えは吹き飛んでしまった。
だって、未来が笑顔だったから。だったら、あたしも笑顔で応えないと。ユカはそう思った。

「ユカ、本当久しぶり! 元気だった!?」
「うん、本当久しぶりだよ〜、未来、学校来るの早いね!? あたしもけっこう早めに出てきたのに」
省18
28: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:06 ID:Vc/b2MEQ(5/25) AAS
「未来、ユカ、おはよ! 久しぶりー!」
「あ、マユ! おはよ!」
「おはよー! マユも本当久しぶりだよ〜、会いたかったよ、マユ〜」
「あはは、よしよし。良い子良い子。でも、本当久しぶり。ユカが相変わらずで、なんか学校来たな―って
気がするよ」
「えー、何それどういう意味〜」
「べっつにー。そのまんまの意味だから、気にすんなって」
「ぶーぶー」

 ああ、いつものあたし達のノリだ。マユ、ナイスタイミング。マユってこういうとき、いつもあたしを
助けてくれるよね。マユと友達で、本当に良かったよ。ついさっき、未来に言ったことと同じことを、
省11
29: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:07 ID:Vc/b2MEQ(6/25) AAS
 あくる日の放課後、三人で一緒に未来の家に行って、仏壇にお線香をあげようということになった。
ユカがずっと静岡に居て連絡が取れなかったので、未来の弟の葬式には出られなかったからだ。
マユは葬式には出席していたのだけれど、ユカが行くのなら自分も、ということでついていくことになった。
こうして、三人で未来の家に向かっている最中のことである。

「この辺りもずいぶん建物が壊れてるんだね……」

 走行中のバスの窓から見える風景を見て、ユカがぽつりとつぶやいた。静岡に居てテレビで震災の映像を
見ていたときもショックを受けたものだけど、東京に戻ってきて自分の目で被災した街並みを眺めると、
言いようのない寂寥感を感じる。まるで自分が生まれ育った街ではないようだった。

「本当、大変だったんだ……」

 地震が起きたとき、ユカはたまたま静岡の祖母の家にいて、難を逃れていた。家族も全員無事だった。
省26
30: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:07 ID:Vc/b2MEQ(7/25) AAS
 三人がバスを降りて徒歩で未来の家に向かっていると、小学校が見えてくる。未来もマユも、
そして未来の弟の悠貴も通っていた小学校だ。ここも、地震の避難所になってたんだよね。
校舎を眺めつつ思うユカだが、震災直後の凄惨な状況を体験していないユカには、いまいち
実感の伴わない想像しかできない。
 無言で歩き続けて、フェンス越しに植木が茂る校庭が見えてきたところで、未来が自己紹介を
するときのような改まった様子で、提案してきた。

「ちょっと、寄って行っていいかな」

 ユカとマユは顔を見合わせる。特に断る理由はなかった。

 水を汲んだジョウロを手に未来が向かう先は、校庭の一角に植えられた幼木だった。まだ植えて
間もないらしく、根元の土と土の境目がはっきりとわかる。傾けたジョウロから水が注がれると、
省22
31: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:09 ID:Vc/b2MEQ(8/25) AAS
「ただいま」
「お邪魔します」
「……お邪魔します」

 未来の家は、傾斜地に合わせて建てられたマンションである。地震でもほとんど無傷だった。
弟を亡くした未来だが、住む家まで失わなかったのは、不幸中の幸いと言えるのかもしれない。
帰宅した未来が友達を連れてきているのを見た母親は、顔をほころばせた。

「おかえり、未来。マユちゃんも、いらっしゃい。そちらのお友達は、初めてね」
「ユカだよ、ママ」

 未来が母親に紹介する。ユカは、初めての未来の家の訪問に、すごく緊張していた。

「は、初めまして、お邪魔します」
省25
32: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:09 ID:Vc/b2MEQ(9/25) AAS
 未来はこの部屋で、ずっと弟君と二人で一緒に、寝たり起きたり、勉強したり遊んだり、お喋りしたり
ケンカしたり、泣いたり笑ったりしてきたんだよね。どんな気持ちなんだろう。同じ家に生まれてきて、
それからずっと一緒に過ごしてきた家族が、突然いなくなったら、どんな気持ちになるんだろう。

「……うん。なんか、片づけられなくってさ」

 寂しげな声で答える未来。ああ、まただ。未来にこういう顔をされたら、きっとまたあたし、
何も言ってあげられない。

「無理に、片づけなくてもいいんじゃないかな……ゆっくり弟君のことを考えてあげればいいと思うよ」

 マユは、すごいと思う。マユは未来の言葉をちゃんと受け止めて、ちゃんと言葉を返してあげられる。
あたしにはなんにもできない。ねえ、マユ。あたし、どうすればマユみたいになれるのかな。
省14
33: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:10 ID:Vc/b2MEQ(10/25) AAS
 ユカは一人、走行するバスに揺られて帰路に着いていた。本当はこんなに早い時間に帰る予定ではなかった。
遊びに行くわけではないとはいえ、初めての未来の家なのだし、もう少しゆっくり話をしたいと思っていた。
でも、無理だった。ユカは、未来の悲しみの深さを覗いてしまった。とても直視できなくて、目をそらすことを
選んでしまった。あの部屋で未来と話なんてできる気がしなかった。マユを残して、逃げ出すことを選んでしまった。
別れ際の未来の言葉を思い返すと、心苦しくてたまらない。

 えっ、ユカ、今日ピアノのレッスンだったの? そっか、時間ないのに来てくれてありがとうね。
 帰り道、大丈夫? 送ろうか? 気をつけて帰ってね。じゃあまた明日、学校で。

 本当はピアノのレッスンなんてなかった。ピアノは地震のときに壊れてしまって、修理中だ。
ライフラインの復旧も済んでいない地域もあるこのご時世、ピアノの修理なんて終わるのがいつに
なるのかもわからない。だから地震が起きて以来、ユカはずっとピアノを弾いていなかった。
省14
34: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:10 ID:Vc/b2MEQ(11/25) AAS
 それから数日が経った。学校では三人は、表面上は一学期と変わりなく過ごしているように見えた。
目に見えて変わったところと言えば、せいぜい未来の登校時間が早くなったことぐらいだろうか。
ただ、未来の隣の席のユカから見ると、未来の小さな変化は他にもいろいろと気付くことがあった。

「はぁー、今日も六時限目まであるんだ……毎日毎日やんなるよねー」

 午後の授業前の休み時間、マユは次の授業の教科書を取り出しながら、不満を述べた。二学期の開始が
遅れたおかげで足りなくなった授業日数を補うべく、このところは毎日の授業時間が長くなっていた。
今日も明日も明後日も、授業は六時限目までみっちりである。

「しょうがないよ、きっと先生達も大変なんだしさ、あたし達も我慢しようよ」

 学校の方針をフォローしながら、教科書を取り出す未来。以前の未来だったら、絶対にマユに同調して
不満を言っていたと思う。授業のことに限らず、掃除当番や日直などの雑用でも、未来はほとんど不満を
省15
35: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:11 ID:Vc/b2MEQ(12/25) AAS
 ある日の朝。ユカが登校して教室に入ると、未来は今日も先に登校していた。席に座って、窓の外を
眺めている。席が窓際だからなのか、未来は何もしていないときはぼんやりと窓の外を眺めていることが
多かった。それは一学期の頃から変わっていないのだけれど、今の未来の表情はぼんやりと、という様子
ではなかった。なんだか、とてもつらいことを思い出して、それにじっと耐えているような痛ましい表情を
している。ユカは黙って未来の隣の自分の席に座った。挨拶すらためらわれた。

「……あ、ユカ。おはよう」

 ユカに気付いた未来が、パッと表情を変えて挨拶してきた。

 ……未来、本当に大丈夫? 無理してないよね? 頭の中にいろんな言葉を思い浮かべてはみたものの、
結局そのどれも口にすることはできない。短い時間悩んだ結果、実際に口にできたのは、無難な挨拶だった。

「う、うん、おはよう」
省20
36: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:12 ID:Vc/b2MEQ(13/25) AAS
「……そうじゃないけど……」

 ユカは、もう耐えられなかった。未来にこんな顔をさせるつもりじゃなかった。溢れてくる罪悪感を、
止められなかった。

「ごめん……ごめんね、未来……」

 思わずユカは、未来に頭を下げていた。もう、まともに未来の顔を見られない。未来の顔が見られなくて、
ユカはずっと顔を上げられなかった。

「や、やだ、ユカ。どうしたの、なんで謝るの? 顔、上げてよ、ユカ」
省20
37: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:13 ID:Vc/b2MEQ(14/25) AAS
「じゃあ、ゴミはあたしが捨ててくるから。みんなは先に帰っていいよ」
「そう、じゃあユカ、お願いね。また明日ねー」

 その日の放課後。ユカは掃除当番だった。同じ班のクラスメイトを先に帰らせて、自分はゴミ箱を持って
ゴミ捨て場へ。授業時間が長くなっているのに加えて、最近は日が暮れるのも早くなってきた。空はすでに
オレンジ色に染まりつつある。
 二学期始まったの、ついこの前なのになぁ……。人気の少なくなった校舎の中、そんなことを思って
ため息をついてしまう。そうして、空のゴミ箱を持って教室に戻ってきたユカを待っていたのは、見知った
人影だった。

「……マユ」
「……帰ろ」
省29
38: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:14 ID:Vc/b2MEQ(15/25) AAS
 話せば話すほど、惨めさが募っていった。自分が酷く卑屈で、矮小な人間に思えていった。
マユは、黙って聞いていた。何か感情を溜め込んでいる気配が伝わってきたけれど、それでも、黙って
聞いてくれていた。

「ねえ、マユ……未来、なんで怒らなかったのかな……。なんで笑って、あたしのこと、許してくれたのかな。
あたしのことなんて、もう、どうでもよくなっちゃったのかな」
「バカじゃないの?」

 唐突に、マユが声をあげた。その声は、怒気を孕んでいた。並んで歩いていたはずなのに、気がつけば
ユカはマユより前に進んでいた。ユカは慌てて振り返った。マユはその場に仁王立ちになって、ユカを
睨みつけていた。

「あんたのことは前からバカだと思ってたけど! もう、本当大バカ! ここまでバカだとは思わなかった!
省25
39: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:15 ID:Vc/b2MEQ(16/25) AAS
「あ……メグ、おはよー……久しぶり……」

 翌朝。学校の玄関口で顔を合わせたのは、二学期に入ってずっと学校に来ていなかった、クラスメイトの
メグだった。メグのお母さんが亡くなったことは、ユカも知っていた。メグとはそれほど仲が良いわけでは
ないけれど、それでも学校に来られないクラスメイトのことが心配だったことには変わりはない。
 二学期に入ってすっかり様変わりしてしまった自分のクラスが、メグが戻ってきたことで少しだけ一学期の
頃に戻ったみたいで、ユカは小さな安心感を覚えた。

「あ、おはよう……ってユカ、どうしたの、その顔!? 目の下に隈出来てるよ!?」

 げっそりしたユカの様子に、驚くメグ。あ……やっぱりそう見えちゃうんだ……と、他人事のように考えるユカ。
ピアノのレッスンがなくなったおかげで、後悔する時間だけはたっぷりあった。昨日の夜は、後悔と罪悪感で一睡も
出来なかった。朝は親にも驚かれて、具合悪いなら学校休んでもいいのよ!?と心配された。でも、今日休んで
省21
40: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:15 ID:Vc/b2MEQ(17/25) AAS
 意識が朦朧としていたのは、かえって幸いだったのかもしれない。教室で未来やマユと顔を合わせるときに、
それほど抵抗や緊張感を感じなかったからだ。というよりも、単にそんなものを感じる余裕すらなかったという
ことなのだが。もちろん未来の方は、ユカの顔を見た途端びっくりした。心配して、声をかけてきてくれた。

「ユカ、どうしたの!? 目の下に隈出来てるよ!? すっごい顔色悪いよ、大丈夫? 保健室行こうか?」
「だいじょーぶい……」

 自分の席に突っ伏したまま、Vサインを出すユカ。もう自分で何を言っているのかすらわからない。
未来はおろおろした様子で、マユの方を見る。しかし、マユの態度はそっけないものだった。

「どうせ、夜更かしでもしてたんでしょ。ほっとけば」

 ああ、やっぱりマユ、まだ怒ってるよね。そりゃそうだよね。あれだけ怒ってたんだもん、そんな簡単に
許してもらえないよね。でも、それでもいいんだ。怒ってるってことは、気にしてくれてるってことだから。
省18
41: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:17 ID:Vc/b2MEQ(18/25) AAS
「……ユカ。ユカってば!」

 声に起こされて、夢から覚めた。顔を上げると、目の前に、未来の顔があった。

「……ふえ?」

 寝ぼけ眼で、虚ろな返事をするユカ。どうやらホームルームの間に、寝てしまっていたらしい。反射的に
時計を見ると、もうすぐ一時限目の授業が始まる時間だった。

「一時限目、視聴覚室に移動だよ? 早く行かないと、遅れちゃうよ?」
省22
42: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:18 ID:Vc/b2MEQ(19/25) AAS
「未来!」

 ユカは突然勢いよく跳ね起きて、未来の手を取った。

「な、何?」
「ちょっと、あたしに付き合って!」

 言い放って、そのままずんずんと教室の出口に向かって歩いていく。未来はびっくりして、引きずられて
いくようにして、ユカについていった。教室を出て、ユカは視聴覚室とは反対方向に歩いていく。

「ち、ちょっと、待ちなさいよ! そっち、視聴覚室じゃないよ!?」
省9
43: 二学期の、出来事 2010/03/02(火)19:19 ID:Vc/b2MEQ(20/25) AAS
「待ちなよ、ユカ! いったいどういうつもりなの!?」

 未来の手を引いて音楽室に向かうユカについていきながら、苦情を唱えるマユ。何の説明もなく、
未来も自分も巻き込んで授業をサボろうと言っているのだから、文句が出てくるのは当然である。

「だいたい、なんで音楽室なの? あんた、まさかとは思うけど」
「うん。これからピアノを弾くから、未来とマユに、あたしの演奏を聞いてほしい」

 ユカのストレートな回答に、しばし絶句するマユ。ちょうど、音楽室の前に辿り着いたときのことだった。
 三人とも立ち止まり、ユカはマユに向き直る。マユは心底呆れたような顔で、つぶやいた。

「……何考えてんの? 授業サボってこんなことして、未来が喜ぶとでも思ってんの?」
「ちょ、ちょっと、マユ」
省27
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