[過去ログ] 【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ【重厚】 [転載禁止]©2ch.net (273レス)
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178: ◆xAR6oa9/33KJ 2015/12/26(土)19:55 0 AAS
あー、すまない
俺としては一応、GMの許可を待っているつもりでいたんだ
完全にすれ違いが生じていたな。重ねてすまないと思っている
遅くともあと3日でレスを都合しよう
179
(1): シャビ ◆n/2dLlMtSI 2015/12/26(土)21:01 0 AAS
名前:シャビ・ティムレ(シャビ&ボンズのシャビ)
年齢:23
性別:男
身長:171cm
体重:53kg
種族:人間
職業:盗賊
省16
180: シャビ ◆n/2dLlMtSI 2015/12/26(土)21:11 0 AAS
おう
俺だ

ん?俺だって言われても分かんねーか?
シャビ&ボンズのシャビだよ。
スピードのシャビ、パワーのボンズって言われてんだ。
シャビ&ボンズの細い方、酒好きな方、甘党の方とも言われてる。
まぁ結構ここらじゃ鳴らしてるコンビだ。
省15
181: シャビ ◆n/2dLlMtSI 2015/12/26(土)21:47 0 AAS
俺らは基本殺しはしねえ。いざって時だけだ。
中央区画では俺はジャグリングでたまに路銀を稼いでたんだぜ。ナイフの腕前もついでに上げられる。
ただ、ボンズの奴が何もできねえって拗ねやがる。
おっと、話が反れちまったな。

で、最初に見たのは薬屋だ。
薬屋ってのは嫌なもんだな。燃えるとやべぇ臭いがしやがる。
薬屋の親父は必死に消そうとするのに、全く消えやがらねえ。チャンスだ。
省17
182: シャビ ◆n/2dLlMtSI 2015/12/26(土)21:48 0 AAS
突然、店のテントから人間が現れた。あのフードの女が、ボンズを引きずり込んで、
いや待てよ?!持ち上げたぞ?片手で。俺の倍近くの体重のある、あのパワーのボンズをだ。
ただただ俺は、自分の命が助かって欲しいと願ってたんだ。情けねえ。

事が終わったらしく、男と女が連れ立っていった。
俺はボンズが入れられた店の中を覗いてみた。信じられるか?

そこで見たのは、ボンズがあの薬屋の親父を投げナイフで刺したまま倒れてる姿だったんだよ。
有り得ねえ!!
省25
183: ◆xAR6oa9/33KJ 2015/12/28(月)04:18 0 AAS
火災の通報を受けて、北地区に冒険者が集まってくる。
ヴィクトルはその様を高所から観察していた。
火災の際に冒険者達が緊急の依頼という体で現場に駆け付ける事は珍しくない。
だが――「消火活動もろくに進んでいないのに放火魔を見つけ出そうと駆けずり回る冒険者」は、極めて珍しい。

「間抜けだな……お前達じゃなく、お前達に指示を出した人間が、だが」

ヴィクトルが弓に矢を数本まとめて番え、引き絞る。
そして上空へと放つ――風の魔法により「道」を用意された征矢が地上へと降り注ぐ。
省35
184: ◆xAR6oa9/33KJ 2015/12/28(月)04:19 0 AAS
「だが……やりやすい相手だな。獣のような奴だ。そして……俺は狩人だ」

そのヴィクトルも――やはり微かな水音を立てて弾けて消えた。

ヴィクトルの実像は、そのすぐ隣にあった。
水鏡の魔法による――風景との同化。
これもやはり、地走が気付けなかったのは心理誘導――虚像との併用が理由だった。

しかし――それも気付くまでの時間が多少長くなる程度の効果しか望めない。
ヴィクトルはすぐに逃走を開始した。
省7
185: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2015/12/28(月)20:03 0 AAS
ラウテたちが捜索としてまず辿り着いたのは『砂漠の海亀亭』という比較的大きな飲食店だった。
オメルタの息のかかった店だという噂もあり、とりあえず最も怪しい店だろう。
店内に入店したのはリタリンと一匹の犬のみ。ラウテと二匹の犬は店の裏手で待機していた。
ラウテはその手に魔笛を握り締め、入店した犬とリンクを繋いでいた。
視力も低く色彩も曖昧な犬の視点はあまり役に立たないが、その分匂いとして膨大な情報が流れてくる。
昼食の時間にはまだ早く、店内は比較的空いていたがそれなりに賑わっているようだ。
犬には目的のハーブの匂いは覚えさせている。騒がしい厨房から漂う匂いから識別することは可能だろう。
省31
186: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2015/12/28(月)20:09 0 AAS
【>シャビさん】
【参加は構いませんが、今のタイミングだと活躍するのが難しいかも知れません】
【今のターンは言わばボス戦に挑む最中ですから、少々合わせるのが難しいかと】
【うまく話を合わせられそうでしたら良いのですが、空気をしっかりと読む事をお願いします】
187: ◆xAR6oa9/33KJ 2015/12/29(火)05:27 0 AAS
>>179
投下が遅くなってしまった事への焦りから、挨拶を忘れてしまっていた。すまない
よろしく、アンタを歓迎するぜ
今んとこ(これは先の出来事で少しナーバスになっているだけで深い意味はないんだが)アンタの立ち回りはかなり好みだ
同僚として絡みに行くのは俺には少し難易度が高いが、どうか楽しんでくれ
188
(1): シャビ ◆n/2dLlMtSI 2015/12/31(木)12:00 0 AAS
おう
俺だ

シャビ&ボンズのシャビってんだ。

さっきローブの女に相棒を殺られた。
しかも薬屋の殺人犯に仕立てられたってもんだ。たまったもんじゃねえ。

海亀亭に着いたぜ。つってもだいぶ離れた場所で様子見してるんだけどな。
と、ローブの女が動いた、ってか消えた。物凄い速さだぜ。
省25
189: リタリン ◆77DMiRtfME 2015/12/31(木)19:55 0 AAS
オメルタ傘下の乙種冒険者『鋭鋒』は随所から火の手の上がる街を駆けずり回っていた。
これだけ走り回って額に汗の一つもかいていないのは日頃の鍛錬の賜物であるが、
額の下の双眸は、怪訝と驚きと釈然としなさ、多種の感情によって複雑に歪んでいた。

やっとその実力を見ることができると期待していた甲種『地走』。
しかし彼女は最初に訪れた薬屋の安否を一人で確認した後、鋭鋒を置いて疾走していってしまった。
向かう先は先ほど高所から弓を降らせてきた狙撃手だ。居所が知れれば近づいて殴りに行くのはまあわかる。
しかし地走のサポート、言ってみればお目付け兼小間使いとしてつけられた鋭鋒は、地走から目を離すわけにはいかないのだ。
省35
190: リタリン ◆77DMiRtfME 2015/12/31(木)19:56 0 AAS
時は少し遡り、まだ無事な『海亀亭』のテーブルの一角。
リタリンはいつものローブを着て給仕の到着を待っていた。
隣にはラウテから借り受けた犬が行儀よく座っていて、撫でようとしたリタリンの左手をべろべろと舐める。
これまで犬と言えばスラムで人の吐瀉物を貪るギラついた眼の汚い野良犬ぐらいしか見たことがなかったので、
純粋に好奇心と好意をこちらに抱いてくれる飼い犬とのふれあいは温かいものをリタリンの胸にもたらした。
その犬が、厨房からの匂いを嗅ぎとって、小さくひと吠えした。

「みつけた?」
省36
191: リタリン ◆77DMiRtfME 2015/12/31(木)19:56 0 AAS
「――――ッ!!」

「おい大丈夫か!?」

鋭鋒はリタリンと、その後ろで倒れる店主を見て気付けのように叫んだ。
燃え盛る床面を震脚めいた踏み込みでかき消し、何もないかのように歩いてくる。
彼は店主の首に指をあてて脈を確かめたあと、その巨体を軽々と担ぎあげた。

「悪い、そこのパンパンの鞄を持ってきてくれ。大事なものみたいだからな」

生きた心地がしなかったリタリンだが、そこでようやく状況を理解した。
省30
192: リタリン ◆77DMiRtfME 2015/12/31(木)19:57 0 AAS
>>188
【ご挨拶が遅れてすみません!すごく好きなスタイルなので是非またご一緒させてください!】
193: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/03(日)03:59 0 AAS
人混みに紛れ、ヴィクトルは水鏡の魔法を纏う。
どこにでもいるような庶民の姿に変装――同時に手近な通行人の衣服に火を点ける。

結果――大混乱が起こる。
人の波に紛れてヴィクトルは細い路地へと身を隠す。
そして背景へと同化し――跳躍。屋上の縁に指を掛ける。
そのまま上方の様子を伺う。

地走は別の屋上から地を見下ろし、しかし動きあぐねていた。
省31
194: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/03(日)04:44 0 AAS
『……よう、さっきは災難だったな。だが怪我の功名か、なかなかいい状況になったじゃないか』

風魔法による遠話で魔女と魔笛の少女に声を飛ばす。

『ソイツはここで始末しておきたい。店主の方も、少し気になる事がある。確保したい所だな』

ヴィクトルは地上へ飛び降り、路地を駆け抜け『海亀亭』を目指す。
最後に地走を見た地点から十分に離れてから再度屋上へ。
そして鋭峰を視認出来る位置まで移動、弓に矢を番え――射掛ける。

視界外からの征矢を、鋭峰はいとも容易く――槍すら用いずに素手で弾いた。
省25
195: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/01/04(月)01:55 0 AAS
>『ごめん、オメルタの手下と接敵したわ。乙種の槍使い、
196: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/01/04(月)01:57 0 AAS
>『ごめん、オメルタの手下と接敵したわ。乙種の槍使い、"鋭鋒"って男……。
> でもこっちの顔はバレてないから、火事の巻き込まれ被害者と思われてるみたい』

それを聞いてからのラウテの行動は非常に素早かった。
まず、召喚していた犬たちを撤収させ、魔力を回収する。そして、次なる召喚へ移った。
圧縮した高速詠唱のように、速く複雑で奇怪な旋律。それはこれまでのどの召喚よりおぞましいもの。
暫くの『呪文』の後その場に召喚されたのは、巨大な漆黒の不定形生物だった。
以前召喚したスライムに似ていなくもないが、その体からは出鱈目に触手や目玉が生成されては消えている。
省31
197: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/06(水)23:49 0 AAS
この街で起きた、オメルタ傘下を含む複数の店舗での同時多発火災。
その調査にやってきた雇われの冒険者・鋭鋒は、救助に踏み込んだ店内で店主と共に取り残された1人の女性客と出会う。
彼女の協力を得つつ、火の手の回っていない裏口から脱出したところから今回の物語は始まる――

>「お姉ちゃん! 心配したんだからね! ラウテの心臓がどうにかなりそうだったんだから…」

裏口から出た途端1人の少女が飛び出して、共に脱出した苔色ローブの女性客に抱きついた。
二人はどうやら姉妹で、火災に巻き込まれた姉のもとへ妹が駆けつけたところのようだ。

「あ、ご、ごめんね、心配かけちゃって……」
省38
198: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/06(水)23:49 0 AAS
(この膠着も奴の段取りだとしたら、ちっとやべえな)

増援を期待できるのは鋭鋒だけではないということだ。
地走の消息のわからぬいま、下手に時間を稼がれて魔女狩りの仲間が駆けつけても面白く無い。
打って出るべきか?しかしこちらに踏み出させる罠の可能性も高い。
一撃で魔女狩りを仕留める自信はあるが、敵の狡猾さにおいては油断は絶対にできない。
伸るか反るか、永遠のようにも思われたにらみ合いは、突如の闖入者によって破られることとなる。
鋭鋒の足元、下の民家から屋根を突き破って巨大な何かが飛び出してきたのだ。
省36
199: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/10(日)03:33 0 AAS
>「異端審問会が既得権益の保持に必死、って風じゃねえよな。魔女を処刑したいだけなら、秘密裏にやりゃ良かった。
  裏で誰が糸引いてる?本国の軍部か、枢機院か……飯屋焼き払って教会でもおっ立てるつもりかよ」

「俺の目的が知りたいのか?俺は弱い者いじめをする奴が嫌いなのさ。それを金儲けにする奴はもっと嫌いだ」

鋭鋒の問いにヴィクトルが答える。
小馬鹿にするような口調と共に、口元には嘲笑を浮かべながら。
たった今述べた言葉が彼の本心だとは、とても思えないだろう素振りを、彼は意図して行っていた。

その直後だった。
省35
200: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/10(日)03:38 0 AAS
首元へと迫る幅広の穂先を細剣二本を交差させ受ける。
だが受け止められるほど鋭峰の突きは微温くない。
故に、受け流す。槍の柄の下の潜り込むように踏み込み、穂先を押し上げ、いなした。
そのまま更に一歩前進。右の細剣は槍を制する為に掲げたまま、左の細剣を横に薙ぐ。
狙いは槍を保持する右手の指。

だが剣先が鋭峰に至るよりも早く、ヴィクトルの体に重い衝撃が走り、鋭峰から大きく突き放される。
石突である。穂先を押し上げられた事を利用して、石突を用いた下からの殴打で彼を殴り飛ばしたのだ。
省33
201: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/10(日)03:46 0 AAS
(思った以上に、かなり出来るな……ここで始末するのは諦めるか。
 店主の確保が完了したら、さっさと撤退して……)

不意に、ヴィクトルの視界外から無数の影が迫る。
目視せずとも感じられる不穏な気配を、細剣の閃きが断ち切った。

『……何のつもりだ?』

ヴィクトルが問う。
脅し付けるような、まさしく拷問者と言った声色だった。
省35
202: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/10(日)03:47 0 AAS
と、鋭峰の背後で靴底が石材を躙る音。
瞬時に振り返り――細剣を構えるヴィクトルを視認。
だがそれは水鏡による鏡像。

鋭峰は欺瞞を一瞬で看破し――その鏡像を貫いて、細剣の切っ先が彼に襲いかかった。
鏡像の真後ろにヴィクトル自身も潜んでいたのだ。

鋭峰は不意を突かれ、しかし驚異的な反応速度で後方へと飛び退く。
切っ先は――鋭峰の胸部を浅く切り裂いた。
省21
203: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/10(日)03:52 0 AAS
「――上納している薬は「二種類」か。依存性の強い多幸薬と……命じられるままに製造していたもう一つ。
 堕廃の、どういう類の物なのか、お前なら分かるか?」

ごく一般的な拷問の第一行程が完了するよりも早く、拉致された店主は情報を吐くだろう。
二つ目の薬物の性質は、もし判明させられるなら甲種との戦いにおいて非常に有用な情報となる。

しかし――敵も、地上げ屋も無能の集団ではない。
陥れられれば、対策を取る。

翌日、街の人通りは激減していた。
省11
204: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/01/11(月)21:28 0 AAS
ショゴスはただひたすらに暴れていた。二人の男のうち片方は、被害が増大する事を懸念しているのを察したからだ。
足場を崩す事で自らの領域を確保し、そこへ誘い込む。あらゆる地形を踏破出来るショゴスならではの作戦だ。
半壊した屋根の上で、時々距離を詰めては御しやすい方の獲物を狙っている。
見たところ二人の男の戦力は拮抗し、こちらにも警戒をしているため手出しが難しい。

最初に狙った男が隙を見せないため、ショゴスは標的をエルフのほうに変えていた。
その巨体から想像出来ないほどの素早さで跳躍し、狙いを定め触手を伸ばす。
しかしエルフを捕まえるはずだった触手は、いとも簡単に「噛み千切られた」。
省20
205: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/01/11(月)21:29 0 AAS
ラウテたちが潜んでいる西区の廃墟では、縛られた店主が今まさに拷問を受けようとされていた。
召喚させていたショゴスは、空間転移でこちらに呼び戻し現在はここにいる。
ショゴスは腹を空かせているのだ。餌を与える必要がある。
数多居る彼女の召喚獣の中でも、このショゴスだけは異常に食欲旺盛だ。
そして何より厄介なのが、ショゴスが特に好むのは人肉であること。
今までもスラムで何人か攫っては、餌にすることがあったりする。
ショゴスは縛られている店主の脚に、今すぐにでも喰らい付きそうな様子を見せていた。
省22
206: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/13(水)15:48 0 AAS
濃霧の中、対峙する魔女狩りの動向に鋭鋒は研ぎ澄ました神経を傾けていた。
彼を乙種上位たる実力の礎は、その間合い自在なる槍術の他にもうひとつある。
荒野の民に秘伝として継承される、力の伝導を操る『流し』と呼ばれる武術だ。
もとは敵の攻撃を受け流す技術だったものが何代にもわたって磨き抜かれ洗練を重ねた結果、
炎の熱が鉄鍋に広がるように、波紋が水面を伝わるように、様々な力を伝導させる術へと昇華を果たした。

この技術を極めた鋭鋒にとって、地面や壁は単なる足場や遮蔽物ではない。
鍋底に触れればその向こうの熱源がわかるように、水面の航跡を見れば船の場所がわかるように。
省35
207: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/13(水)15:49 0 AAS
>「初日はこんなもんだろう。明日も何かしら勝負は仕掛けるが……ひとまず、ご苦労だったな」

鋭鋒との戦闘を早々に切り上げて戻ってきたヴィクトルを、リタリンは半眼で迎え入れた。
ラウテが馬を召喚するまでの間店主の肩を支えながら、恨めしそうに情感をたっぷり込めて言う。

「なんで火をつけるの黙ってたの……」

ヴィクトルは涼しい顔でこれを無視。
煤だらけの濡れ鼠、苔色のローブに本当に苔が生えそうなリタリンはもう黙ってついていくしかない。
そうして彼らは、西区の暫定アジトへと帰投した。
省35
208: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/13(水)15:51 0 AAS
「その前に、例の鹵獲できた二種類の薬の解析結果が出たわ。
 片方は情報通り、多幸感を増幅させるいわゆる気持ちよくなる薬。使った時の実例はこんな感じ」

リタリンが指さした先では、乙種二人組が縛られたまま壁に身を預けて放心していた。
ラリっている。眼には焦点が合っておらず、膝ががくがくと震えていた。

「うひゃあ、真っ暗なのにお星様が見えるぜぇぇ。パンツ履いたままおしっこするの気持ち良いなあああ。
 ああはああはあは……ああ?なんだこの虫!ああ!虫が!虫が沢山這い上がってくる!これが幻覚症状ってやつか!!」

「まあ虫は普通にこの廃屋に湧いてるやつよ。幻覚見るような中毒にならない程度に量抑えてあるから安心して。
省18
209: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/13(水)15:51 0 AAS
それだけならただの自殺用の毒に過ぎないが、問題はその効果にある。
常人なら耐え切れない薬の副作用に、『超人』なら耐えてしまう。
尋常ならざる痛みと苦しさ、幻覚などに苛まれながら、それでも薬の効果が切れるまでは死ぬこともできない。
リタリンは頬を滑り落ちてきた冷や汗を舐めた。この薬は強化薬としても出来損ないの役立たずだ。
こんなものを量産して、オメルタは一体なにを企んでいるというのか。
本国相手に戦争でもおっぱじめるつもりなのか。

「これの使用者がオメルタ陣営にいるとしたら、かなり危険だわ。
省17
210: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/17(日)05:31 0 AAS
>「ヴィクトル、この人本当に何も知らないみたいだけど……もう食べさせて良い?」

「……いや、ステイだ」

ヴィクトルは細剣を「何か」に突きつけて牽制、店主を見る。

「一つ、確認したい。これは決して強制ではないが……もし、俺達がこの街の支配権を得たとして。
 また同じ薬を、今度は俺達の為に作れと言ったら、お前はどうする?」

店主の眼に、希望の光が浮かび上がった。
省29
211: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/17(日)05:32 0 AAS
彼は生まれながらの奴隷――エルフの気品を持って生まれる事を許されなかった存在。
その事が彼の態度に関係しているのは明白だった。

感傷ではない、ただ自分を奴隷として扱った連中と同類になるのが不快なだけだ。
彼は自分にそう言い聞かせながら、捕虜二人から視線を外した。

>「もうひとつは……これは正直試しで使う気にはなれなかったわ。
 この薬は使用者の魔力、身体能力、五感などを多角的に向上させる、いわゆる戦闘力強化薬。」

魔女が解析した二つ目の薬品の効用を、ヴィクトルは神妙な表情で聞いていた。
省32
212: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/17(日)05:34 0 AAS
 

そうして、ヴィクトルは西地区から移動を開始する。
哨戒の人数は多いが――「どこにいるかも分からない者」を意識的に探し続けられる者は、少ない。
水鏡の魔法による隠密と風魔法による消音を併用し、表通りを避けて中央区を目指す。
また水鏡の魔法は単に鏡面として使えば周囲の索敵も可能になる。
秘密裏に移動する事は容易だった。

ヴィクトルは監視の薄い屋上へと登り、弓矢を構える。
省32
213: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/01/18(月)22:00 0 AAS
結局店主は、そのはらわたが食い破られ心臓に牙が届くまで、痛みと恐怖を味わう事となった。
人間って案外死なないものね、とラウテは微笑む。彼女とショゴスは、人の死というものを熟知していた。
最終的に店主の頭まで丸呑みしたショゴスは、満足して床で丸くなる。それを見届けたラウテは、召還を解除した。
操作のほとんど利かないショゴスの召還はなるべく控えたいところだ。扱いどころが難しいのである。

ふと見ると、リタリンとヴィクトルは先ほど手に入れた薬の効果について意見交換を交わしていた。
ラウテは薬にはあまり興味はない。ただ、ある種の薬草は良く売れるため、その種は十分に確保している。
魔力をわずかに消費して種から薬草を育てれば、それを売るだけで十分に元は取れる。
省20
214: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/01/18(月)22:00 0 AAS
翌朝、まだ明けて日の暗いうちからラウテは動き出した。
徐々に日は明けている。少しだけ肌寒く、乾燥した空気の流れが感じられた。
昨晩のうちに協会に話をつけ、本日から屋敷周辺を哨戒する任務に充てられている。
街中の哨戒で冒険者のほとんどが駆り出されているらしい。大したものだ。
主に大通りに沿って複数の冒険者が配置されているのを確認する事が出来る。
ラウテは協会から借り受けた認識票を首からぶら下げているため、全く問題なく大通りを歩く事が出来た。

目指す屋敷にはすぐにたどり着いた。見通せないほど長い塀と、呆れるほど広い周辺道路がその屋敷の規模を物語っている。
省19
215: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/21(木)05:05 0 AAS
>「…障害物がなければ百メートル程度。今回は建物内だから、その半分が限界だと思うわ」

リタリンの問いに、ラウテはそう答えた。
音楽魔法は音を媒介にする為、遮蔽物の影響を受けやすい。
処刑台での戦闘では開けた広場への召喚だったから距離をとれたが、今回はそうもいかないだろう。
ピンポイントでショゴスを落とすには、やはり現地で内側から召喚する必要がある。

>「ショゴスは撹乱にしか使えないし、私にもほとんど操作が出来ないこと、覚えておいてね」

「ほとんど無差別破壊だったものね……」
省33
216: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/21(木)05:06 0 AAS
――――――

「始まったみたいね」

オメルタの屋敷からの索敵範囲外に確保したセーフハウスに、三人のうちリタリンだけが留まっていた。
ここは街の外縁から中央に来た低所得者が逗留するための安宿で、サービスが劣悪な代わりに干渉もない。
当然オメルタ傘下ではない場所を選んでいる。出納帳がないので前払いになるが、記録に残らない為足もつきにくい。

リタリンのように戦闘力の維持に多くの補給物資が必要な魔法使いは、こうした拠点の確保も重要な仕事だ。
西区の本拠点から夜間の間にラウテに頼んで必要な道具の一式を亜空間輸送してもらっておいた。
省30
217: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/21(木)05:06 0 AAS
リタリンが召喚可能な使い魔の中で指折りの戦闘能力を持つ異貌の怪人『バントライン』。
戦斧よる白兵戦で黒狼を上回るほか、頭部の散弾砲による至近砲撃は対人戦闘で無類の凶悪さを発揮する。
そして何より特筆すべきは、この使い魔は5体で一個分隊を組んでの運用が可能という点だ。
その分消費魔力も従軍魔導師が小隊規模で必要になるレベルだが、今回に限っては使い捨ての『予備』がある。
魔力を無理やり吸い取られた華翼と氷城は汗だくになりながら肩で息をしている。気絶しないだけ大したものだ。

「さあ、行きましょうか」

計5体のバントラインを従えて――と言っても最後尾だが――リタリンは進軍を始めた。
省31
218: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/01/21(木)05:07 0 AAS
屋敷は混乱の渦中にあった。昨日からちょっかいかけてきている魔女狩りがついに屋敷に火を放った。
そこまでは想定内であり、鎮火もスムーズに行ったのだが……のっぴきならない事態が起きた。
突如屋敷の中央に出現した化物が、周囲を破壊し冒険者達を捕食し始めたのだ。
どれだけ攻撃を加えても即時に再生し、反撃は瞬く間に敵対者の命を奪った。

「報告!例の化物は止まらず、屋敷を南方向に食い荒らしながら移動しています!!」

オメルタ子飼いの乙種冒険者・鋭鋒は詰め所に飛び込んできた丙種の報告を脂汗混じりに聞いた。
彼はオメルタより冒険者達の実質的な指揮官を任じられており、指示の必要があった。
省32
219
(1): ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/24(日)01:03 0 AAS
連絡が遅れてしまってすまない
実は先日からインフルエンザで寝込んでいた為、レスを殆ど書けていない
順番は従来通りで構わないんだが、少しばかり……具体的にどれほどという指定はないんだが、時間をもらいたい
220: ◆uUre4dQFyk 2016/01/24(日)01:10 0 AAS
>>219
承知しました、お大事になさってください。
目安として一週間程度、停滞させましょう。
221: リタリン 2016/01/24(日)01:40 0 AAS
異論なしです
222: 2016/01/24(日)01:50 0 AAS
一週間はいらないだろ
熱が下がれば待機期間、逆にレスを書く絶好の機会が訪れる
普通に仕事してる人間なら、だが
223: 2016/01/24(日)10:52 0 AAS
参加者でもない奴が口出すなカス
224: 2016/01/24(日)13:35 0 AAS
インフルの経験ある奴は分かるだろ
体調良いのに外に出られないし仕事にも行けない期間があるんだよ
読書とかネトゲ、物書きに最適だろ
225: 2016/01/27(水)19:36 0 AAS
知るか関係ねーわヴォケ!
インフルなんて予防接種できちんと対策出来たはずだろーが!
俺なんて毎年打ってるから一度もなったことないわ!
体調管理出来ない甘えタレはさっさと弾いて続きせんかいな!
226: 2016/01/27(水)20:13 0 AAS
参加者でもない奴が口出すなカス
227: 2016/01/29(金)18:00 0 AAS
いつまで待たせんだよ糞雑魚
228: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/29(金)21:45 0 AAS
>『"魔女"から"魔女狩り"へ。屋敷正面に使い魔5体を送るわ、自律駆動だから誤射に気をつけて』

「……おっと、考えたな。そう言っておけば一発くらいなら俺に撃ち込んでも言い訳が利く」

ヴィクトルは皮肉を返しつつ、地上げ屋の屋敷を見下ろす。
敵の兵隊はまだヴィクトルを見つけ出す事すら出来ていなかった。
魔女の召喚した使い魔や、少女の召喚した「何か」、また火災への対応が重なっている為だ。

「さて、こちらは……引き続き嫌がらせをしてやるか」

ヴィクトルは火矢を再び弓に番え、今度は三階に集中して射掛けていく。
省34
229: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/29(金)21:46 0 AAS
「……見くびられるのは、それ相応の理由があるからだぜ」

「そうかい。だが奇遇だな。
 オメルタファミリーがこの街で君臨し、恐れられているのも――」

言葉を紡ぎ終えるよりも速く、男は踏み込みを始めていた。
同時に右腕が鋭くしなる――剣を振るう動作。しかしその右手の中に、刃はない。
ヴィクトルはその光景に一瞬怯み――しかし動揺による動作のミスは起こさない。

風魔法による気流の把握から、斬撃が確かに存在する事は感じ取れていた。
省33
230: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/29(金)21:47 0 AAS
「言っとくが、あのケチな召喚獣の援護は期待するなよ。
 喝破のオッサンの怒鳴り声はアイツらの砲撃なんかよりずっと強力だ」

「――そりゃ、厄介だな」

忌々しげにヴィクトルは呟き、そして心中の中で言葉を続ける。
だが予定通りだ、と。

先ほどヴィクトルは三階への直接侵入を試みた。
甲種がいるであろう領域に、あえて侵入する素振りを見せた。
省26
231: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/01/29(金)21:49 0 AAS
(状況は……クソッタレだな。だが……まだ「最悪」じゃない)

ヴィクトルは焔月、喝破の両方に警戒をしつつ、考える。

(だから……俺はもっと、追い詰められる必要がある)

例えば、今この瞬間に地下室への放火が成功したとして。
それで保管されている薬品を全焼させられるだろうか。
答えは、恐らく否――ヴィクトル達の狙いが保管庫だと悟った瞬間、地上げ屋は甲種に全力の消火を指示するだろう。

それでは超人薬の貯蔵分は残ってしまう。
省11
232: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/02/01(月)23:18 0 AAS
時刻は未だ朝方、オメルタ邸は煙に包まれ混迷している様子が伺えた。
ラウテが召還したショゴスに加え、リタリンが送り込んだバントラインへの対応のため情報が交錯しているのだ。
本来指揮官であるはずの焔月や喝破らの姿が見えないことも、その影響のひとつだろう。
ショゴスは数名の丙種冒険者を捕食する事で、その体積は減るどころか増えてさえいた。

囲んで殴ると言う戦法が通じないと察した冒険者たちは、包囲を広げ安全な距離からの射撃を基本とした戦法へと切り替え始める。
しばらくはその戦法が効果的であると思われていたが、状況は一変する。
十分に距離を空けていたはずの冒険者たちが、攻撃を受け倒れ始めたのだ。
省35
233: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/02/04(木)17:35 0 AAS
屋敷中央二階での化物との戦闘は、既に惨状という形容を違和感なく使える状態となっていた。
捕食された丙種冒険者は10人を超え、生きている者も大半が負傷して撤退を余儀なくされている。
そんな中、指揮官兼筆頭冒険者である鋭鋒はほとんど一人で化物の矢面に立ち進行を食い止めていた。

「負傷者多数!救護を回せ!」「痛え、痛えよ……」
「庭園にて『魔女狩り』と思しき侵入者を捕捉、焔月様と喝破様が交戦を開始しました!」

矢継ぎ早に耳へ入ってくる報告、要請、うめき声を頭の片隅で処理しながら、鋭鋒はひたすらに槍を打ち続ける。
そうする他に化物の触手を防ぐ方法がないからだ。
省30
234: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/02/04(木)17:35 0 AAS
「早く運びだせ!引火するぞ!」

障壁のおかげで動けるようになった屋敷の使用人達が手近な部屋からいくつかの壺を持ちだしてきた。
料理や化粧、薬の調合など生活用途に使われる油壺だ。
屋敷に火を放たれているいま、化物によって壺が破壊されれば延焼を免れない為、今のうちに運び出そうとしているのだ。

「待て、そいつをこっちに寄越せ。お前らはさっさと逃げろ」

丙種達に油壷を持たせ、再び鋭鋒は立ち上がる。槍を携えて化物へと吶喊する。
応じるように、ついに障壁が破られ化物が侵攻を再開する。
省21
235: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/02/04(木)17:37 0 AAS
>「獣使いから魔女へ…そのまま真っ直ぐ…15秒後に二時方向から敵影、隠れて」

『了解。――形容する、"灯火"と』

屋敷一階にてスニーキングしているリタリンは、ラウテからの的確な指示によってかなり奥まで入り込んでいた。
廊下の灯火に形容することでステルスし、歩哨をやり過ごす。
下手に戦闘すれば遠話ですぐに仲間を呼ばれかねないので、交戦はおろか不意打ちを狙えてもスルーが基本だ。

『魔女から獣使いへ、姿が見えないけどどこから遠話してきてるの』

ソナーによる指示が可能ということはそう離れた場所にはいないはずだ。
省35
236: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/02/06(土)07:05 0 AAS
>『鉢合わせになるわ。丙種ぐらいならごまかせても、乙種をやり過ごすのは無理――交戦するしかないわね』

「……何をモタモタしてやがる。マジで俺を死なせるつもりか?」

切迫した報告を寄越す魔女にヴィクトルは悪態を吐き――直後、焔月が動いた。
不可視の得物を携えての踏み込み。
ヴィクトルは目を見開き、腕の振りからその軌跡の予測を試みる。

袈裟懸けの斬撃――だが直刀か曲刀かで斬撃の軌道は大きく変わる。
読み切れない。故に彼は後方に大きく飛び退く。
省34
237: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/02/06(土)07:06 0 AAS
「……命拾いしたな」

「お前がな。俺は喝破のオッサンが援護してくれるって分かってるからな。
 何度だってギャンブルが出来るって訳だ。
 お前さん、なかなか鋭い読みをしているみたいだが――何回、正解を引けるかな?」

焔月が両腕を、演者めいた動作で広げてみせる。
その前腕の半ばから指先にかけてが、不意に消えた。
見えなくなったのだ。不可視の得物と同じように。
省37
238: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/02/06(土)07:07 0 AAS
鏡面越しにヴィクトルが射掛けたものだ。
矢は瑞鉄で出来ていて、すぐに持ち主の手元に戻った。
それに伴って付いてきた二人の血液が、ヴィクトルの手に付着し――彼はそれを無言で舐め取った。

『……魔女狩りから魔女へ。こちらは敵の妨害を受け作戦が滞っている。
 状況を脱し、再度陽動を行え。援護してやる』

無論、この作戦の本命は魔女と少女にこそあり、陽動はヴィクトルの方だ。
彼の言葉の殆どは、単に盗聴の可能性がある遠話で、それを悟られぬ為の偽装。
省26
239: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/02/10(水)00:41 0 AAS
【遅くなってしまい申し訳ありません。ちょっとした怪我のため遅れております】
【明日、もしくは明後日くらいになりそうな感じです】
240: リタリン 2016/02/10(水)06:37 0 AAS
【了解です、ご自愛ください】
241: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/02/10(水)22:50 0 AAS
>『魔女から獣使いへ、姿が見えないけどどこから遠話してきてるの』

『魔女へ。大丈夫よ、全部見えてるし。それにここは安全だから』

しばらく屋敷にいる間に、屋敷の壁の特性を生かし反響を効率化させる術も把握した。
屋敷全体……は少々広過ぎるが、概ねの構造と人の有無を把握することは出来る。
ショゴスによる撹乱は十分な功績をあげている。このまま様子を見るだけでも大丈夫だろう。

そう思っていたが、状況は悪いほうに転がるものだ。
ソナーの魔法で大柄な人物の存在を確認すると同時に、リタリンから遠話が飛んでくる。
省17
242: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/02/10(水)22:51 0 AAS
そしてちょうど一分、ラウテはリタリンに追いつく形で合流した。
そもそも何故ラウテが屋敷に潜入し地下倉庫の破壊に向かわないのか。それはラウテが援護に特化しているが故である。
身を隠し敵を撹乱させ、戦闘は召還獣に任せることで場を支配する。それがラウテの基本スタイルだ。
もちろん直接戦闘も可能ではあるが、それはあくまで撹乱の手段のひとつだったりする訳で。
魔法を放ち、それでも効果がないことに愕然とするリタリンに、後ろからそっと声を掛ける。

「援護は任せて、とにかく最大火力で」

ラウテは小さな音で複雑な旋律を奏で、床の魔法陣と自らの間にパスを繋ぐ。
省20
243: 2016/02/12(金)00:35 0 AAS
雑魚は一掃しないと
キリがなくなるぞ
244: リタリン 2016/02/15(月)20:41 0 AAS
【すみません!一両日中には投下します!】
245: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/02/16(火)21:59 0 AAS
重装の甲冑騎士、礫塵が雷撃の林の中を疾駆する。
その先にいるのは防毒マスク姿の魔女、リタリンだ。
彼女は礫塵の圧倒的な防御力、突破力に小さく悲鳴を漏らしながら、健気にも自身の杖を構えて対峙を選んだ。

「……!」

礫塵は無言、しかし裂帛の気合は呼気というかたちで表に出る。
一瞬肉体が鎧越しにも膨張したかのような錯覚とともに、振りかぶった術式戦槌をまっすぐに打ち下ろした。
彼の得物は魔法による加速を施した華翼と同種の魔導兵装だが、華翼のそれが機動力重視であるのに対し、こちらは威力に全振りだ。
省39
246: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/02/17(水)00:53 0 AAS
「ダメじゃない!」

リタリンはヒステリックに叫んだ。
しかしそれは、彼女がヴィクトルの意図を完璧に理解していたが為の、礫塵に対する精一杯のブラフだった。
本命は矢による刺突ではなく――矢にエンチャントされた水魔法だ。
礫塵によって矢がへし折られた瞬間、仕込まれた魔法が発動、水が濃霧となって礫塵の周囲一体を白く染め上げた。

そして連携できていたのはリタリンだけではない。
ラウテもまた、矢が掴み取られた時点でその手の武器を双剣に持ち替え疾走を開始していた。
省38
247: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/02/21(日)05:54 0 AAS
ヴィクトル・シャルフリヒターは風を読む。
濃霧に満たされた廊下の中で、交錯する疾風と暴風――礫塵と魔笛の少女。
その外側から紡がれる空気の震え――堕廃の魔女の詠唱。

そして――その震動が終わると同時、刹那の内に静止する気流。
濃霧の動きも、暴風の如き気配も、最早感じ取れなかった。

「……使えるな、アイツ」

ヴィクトルは小さく呟き――その手は既に弓に矢を番え、引き絞っていた。
省31
248: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/02/21(日)05:57 0 AAS
『其は天上の神。全の象徴。分け隔てなき施す者』

焔月の表情が、強張った。

『慈悲を示せ。愛を以って与えよ。無慈悲なまでの施しを。
 草木に灯りを。大地に温もりを。闇に黄金の如き輝きを。
 その施しで全てを押し潰せ』

エルフが剣を掲げた。
切っ先の向く先は――屋敷の三階。
省32
249: ◆xAR6oa9/33KJ 2016/02/21(日)05:59 0 AAS
(……どうなってんだ。昨日よりも……更に動きが……感覚も、鋭くなってやがる)

そして地走の変貌に対して思索を始め――答えはすぐに見当が付いた。

(そうか……「過剰摂取」させやがったな。甲種が薬の正体を知っているにせよ、
 いないにせよ、口実は幾らでも用意出来る……!あのキレっぷりも、「悪酔い」混じりって訳だ……!)

「自分が地上げ屋の立場である」と仮定して考えれば、すぐに分かる事だった。

(逃げ切れる……か?)
省24
250: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/02/24(水)21:27 0 AAS
ヴィクトルら一行が作戦を開始して未だ一刻も経たず……オメルタ邸の周辺は騒ぎに気付き始めていた。
立ち上る煙と戦いの声や音……邸宅の外からでも分かるそれらは、住民らに不安を与えている。
ここは高級邸宅地、それなりに地位のある者ばかりが住んでいるのだから、安全は必須だ。
宅地の広さ故に火事が起きても延焼の危険は少ないが、何らかの形で被害が及ぶ可能性はある。
しかし付近の住民らが下した結論は「関わらないこと」だった。
何せ相手はあのオメルタの屋敷だ。警備も厚く、この街で最も安全な場所のひとつである。
もし何か騒ぎがあったとしても、すぐに鎮圧されるのは目に見えているのだ。
省26
251: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2016/02/24(水)21:28 0 AAS
「リタリン、ちょっと離れててね」

叩き付けた短剣を足で押さえ、空いた両手で笛を吹き鳴らす。
先ほども使った、崩壊音波の魔法を短剣に対し使ったのだ。
接触している物体にしか作用させられない上に、楽器を扱うのに両手が塞がってしまうという、使いどころの難しい魔法だ。
それでも簡単に床に穴を開けてしまうほどの音波は、南京錠を破壊するのには十分だった。
南京錠はあっけなく砕け、地下への扉は開放された。後は中を確認して火を放てば良いだけだろう。

「ラウテはここで見張る。その間に中をお願い」
省20
252: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/03/02(水)21:01 0 AAS
「うまくいってるみたいね、陽動」

オメルタ屋敷の瀟洒なインテリアを指でなぞりながら、リタリンは窓の外の喧騒を垣間見た。
彼女達は現在、屋敷一階の厨房を探して歩き回っている最中だ。
はじめに撃破した礫塵を除いて、立哨などは配置されていなかった。
それは一階の警備人員を割かねばならないほどに庭での戦闘が激化しているという証左に他ならない。
最低限の要員として残されていた礫塵さえ突破すれば彼女達が自由に動き回れるだけの空白地帯がそこには生まれていた。
とはいえ、悠長に時間をかけて探していられるわけではない。
省36
253: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/03/02(水)21:01 0 AAS
青い顔で話を打ち切ったリタリンと、その後に続くラウテは、やがて目当ての厨房を探り当てた。
誰もいなかった。当たり前だ、この非常時に火の気のある場所にとどまる者などいるはずもない。
そして、ラウテの探知魔法に導かれるまま床の扉を発見した。
酒瓶などの湿気に強い食材を温度の低い床下に保存する為の収納口、しかし不釣り合いな空洞が探知されている。
不自然なほど厳重に施錠されているのも怪しい。

「少し時間かかるけど、解錠魔法を使うわ」

リタリンが魔導書のページを手繰るのを、ラウテの小さな手が制した。
省33
254: リタリン ◆77DMiRtfME 2016/03/02(水)21:02 0 AAS
上位魔法は現象そのものがひとつの生き物のように振る舞うほどの存在密度を獲得する。
出来損ないの魔女であるリタリンには到底使いこなせるはずもない高等呪文が、ラウテの力を借りた今なら可能なのだ。
緋色の竜は己の為すべきことが初めからわかっているかのように、片っ端から棚を食い荒らして灰燼へと変えていく。
リタリンは間違って自分も燃やされないように急いで地下室の階段を上がった。

「安置でじっくり詠唱できて外部魔力ありならこんなところね。もう私にも制御は無理、全部燃やし尽くすまで止まらないわ」

行きましょう、リタリンは先を促した。
先と言うのは無論、戦闘中のヴィクトルの離脱支援だ。
省39
255: 2016/03/04(金)01:51 0 AAS
少しずつ世界観崩壊してるな
256: 2016/03/06(日)18:41 0 AAS
◆◇◆ 重 要 告 知 ◆◇◆

なりきりネタ板TOPの板ルールに

2ch板:charaneta2
>この板はキャラクターになりきり、レスのやり取りを行うための掲示板です。
>なりきり形式ではない創作の投稿は創作発表板でどうぞ。

創作の投稿は創作発表板向けとルールが明記されました。
なりきり行為より創作の意味合いが強いTRPGはこの板ではなく創作発表板向けのスレということになります。
省3
257: 2016/03/06(日)19:14 0 AAS
AA省
258: 2016/03/06(日)19:15 0 AAS
AA省
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