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【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ【重厚】 [転載禁止]©2ch.net (273レス)
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252
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リタリン
◆77DMiRtfME
2016/03/02(水)21:01 0
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252: リタリン ◆77DMiRtfME [sage] 2016/03/02(水) 21:01:09.27 0 「うまくいってるみたいね、陽動」 オメルタ屋敷の瀟洒なインテリアを指でなぞりながら、リタリンは窓の外の喧騒を垣間見た。 彼女達は現在、屋敷一階の厨房を探して歩き回っている最中だ。 はじめに撃破した礫塵を除いて、立哨などは配置されていなかった。 それは一階の警備人員を割かねばならないほどに庭での戦闘が激化しているという証左に他ならない。 最低限の要員として残されていた礫塵さえ突破すれば彼女達が自由に動き回れるだけの空白地帯がそこには生まれていた。 とはいえ、悠長に時間をかけて探していられるわけではない。 庭では依然としてヴィクトルが戦っているのだ、こちらに援護を寄越す余裕があるとはいえ、それは永久保証ではない。 甲種が出てくる前に撤退できるならそれに越したことはないのだ。 >「さっきの大男、何故殺さなかったの?」 共に廊下を歩きながら、ふとラウテがそんなことを聞いてきた。 リタリンは心の底から何を言ってるのか理解できないといった顔をして、それをすぐに消した。 魔笛の少女が本心からそう訪ねていることに気付いたからだ。 「殺す理由がないでしょ」 リタリンは短くそう答えた。これも本心だった。 リタリンにとって、敵というのは長らく巨大な恐怖の塊だった。 開拓地時代は馬よりも大きく狼より凶暴な原生魔獣や、言葉の通じぬ残虐な風習を持つ現住部族と戦ってきた。 もっぱらリタリンの役目は魔法を用いた後方支援で、直接対峙して打破することは稀ではあったが―― むしろそれ故に、開拓地で彼らに遭遇すること、彼らの間合いに接近することは死を意味していた。 貧弱な魔法使いであるリタリンには、戦うことはおろか逃げ切ることさえ絶望的だったからだ。 そして戦えば、彼らを殺すしかなかった。 言葉が通じなければ分かり合うこともできないし、分かり合えなければ共存することもできない。 目が合えばそれは相手を殺すか相手に殺されるときで、コミュニケーションは言葉ではなく剣と魔法の炎だった。 内地に戻ってこれた時、そこでの諍いに巻き込まれた時、話すことができるというのはなんと素晴らしいことかと痛感した。 今でもそう思っているし、現に二度目の魔女狩りで生き残れたのも交渉の余地がヴィクトルにあったからだ。 分かり合おうという意志を無視して殺される絶望を、リタリンは理解できる。 分かり合える可能性が少しでもあるならば、それを完全に無くしてしまいたくはない。 故に、リタリンは殺さない。もちろん完全に無力化できているという前提はあるが。 では殺さなきゃ無力化できない、作戦に支障が出るとなった時、リタリンは相手を殺せるのだろうか……? とまれかくまれ、結局のところ、理由は一言に帰結する。 「私は殺されたくないの。だから殺さない。自分がやられて嫌なことは他人にもしない、これって大事なことよ」 そこまで言って、なんだか説教臭くなりそうで、やめた。 偉そうにラウテに説教できるほど自分が出来た人間じゃないという自覚はもちろんある。 だけどそれ以上に、どんなに言葉を尽くしたって、この少女にはおそらく、自分の想いは響かないという確信めいた諦念があった。 ラウテ・パユ。魔笛の奏者。百千もの魔獣を従える魔性を持つ少女。 彼女は利発で、仲間であるリタリンやヴィクトルに好意的だし協力的だ。 しかしその反面、自分と深く関わりあわない他者に対しては驚くほどに酷薄で、残虐だった。 砂漠の海亀亭で拉致してきた店主を酸鼻極まる拷問の末に殺し、化物の餌にしてしまった昨日の夜、リタリンは真に彼女に恐怖した。 もっと言えば、あの化物に食わせる為にスラムから何人か攫ってきて殺していることも知っていた。 殺すなとは言えなかった。それはラウテの無機質な殺意が自分に向かうことを恐れてのことではない。 おそらくラウテは、純粋に単純に『必要だから』人を殺しているのだ。 若年の自覚があるリタリンをして一回りほども年下の、まだあどけなさを残すこの少女に、殺人の必要を迫らせる"何か"が恐ろしい。 そして必要にかられての殺人を、なんの感動もなく事務的にこなしてのける少女の変質が怖かった。 http://tamae.5ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1447151379/252
うまくいってるみたいね陽動 オメルタ屋敷のなインテリアを指でなぞりながらリタリンは窓の外の喧騒を垣間見た 彼女達は現在屋敷一階の厨房を探して歩き回っている最中だ はじめに撃破した塵を除いて立哨などは配置されていなかった それは一階の警備人員を割かねばならないほどに庭での戦闘が激化しているという証左に他ならない 最低限の要員として残されていた塵さえ突破すれば彼女達が自由に動き回れるだけの空白地帯がそこには生まれていた とはいえ悠長に時間をかけて探していられるわけではない 庭では依然としてヴィクトルが戦っているのだこちらに援護を寄越す余裕があるとはいえそれは永久保証ではない 甲種が出てくる前に撤退できるならそれに越したことはないのだ さっきの大男何故殺さなかったの? 共に廊下を歩きながらふとラウテがそんなことを聞いてきた リタリンは心の底から何を言ってるのか理解できないといった顔をしてそれをすぐに消した 魔笛の少女が本心からそう訪ねていることに気付いたからだ 殺す理由がないでしょ リタリンは短くそう答えたこれも本心だった リタリンにとって敵というのは長らく巨大な恐怖の塊だった 開拓地時代は馬よりも大きく狼より凶暴な原生魔獣や言葉の通じぬ残虐な風習を持つ現住部族と戦ってきた もっぱらリタリンの役目は魔法を用いた後方支援で直接対して打破することは稀ではあったが むしろそれ故に開拓地で彼らに遭遇すること彼らの間合いに接近することは死を意味していた 貧弱な魔法使いであるリタリンには戦うことはおろか逃げ切ることさえ絶望的だったからだ そして戦えば彼らを殺すしかなかった 言葉が通じなければ分かり合うこともできないし分かり合えなければ共存することもできない 目が合えばそれは相手を殺すか相手に殺されるときでコミュニケーションは言葉ではなく剣と魔法の炎だった 内地に戻ってこれた時そこでのいに巻き込まれた時話すことができるというのはなんと素晴らしいことかと痛感した 今でもそう思っているし現に二度目の魔女狩りで生き残れたのも交渉の余地がヴィクトルにあったからだ 分かり合おうという意志を無視して殺される絶望をリタリンは理解できる 分かり合える可能性が少しでもあるならばそれを完全に無くしてしまいたくはない 故にリタリンは殺さないもちろん完全に無力化できているという前提はあるが では殺さなきゃ無力化できない作戦に支障が出るとなった時リタリンは相手を殺せるのだろうか? とまれかくまれ結局のところ理由は一言に帰結する 私は殺されたくないのだから殺さない自分がやられて嫌なことは他人にもしないこれって大事なことよ そこまで言ってなんだか説教臭くなりそうでやめた 偉そうにラウテに説教できるほど自分が出来た人間じゃないという自覚はもちろんある だけどそれ以上にどんなに言葉を尽くしたってこの少女にはおそらく自分の想いは響かないという確信めいた諦念があった ラウテパユ魔笛の奏者百千もの魔獣を従える魔性を持つ少女 彼女は利発で仲間であるリタリンやヴィクトルに好意的だし協力的だ しかしその反面自分と深く関わりあわない他者に対しては驚くほどに酷薄で残虐だった 砂漠の海亀亭で致してきた店主を酸鼻極まる拷問の末に殺し化物の餌にしてしまった昨日の夜リタリンは真に彼女に恐怖した もっと言えばあの化物に食わせる為にスラムから何人かってきて殺していることも知っていた 殺すなとは言えなかったそれはラウテの無機質な殺意が自分に向かうことを恐れてのことではない おそらくラウテは純粋に単純に必要だから人を殺しているのだ 若年の自覚があるリタリンをして一回りほども年下のまだあどけなさを残すこの少女に殺人の必要を迫らせる何かが恐ろしい そして必要にかられての殺人をなんの感動もなく事務的にこなしてのける少女の変質が怖かった
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