[過去ログ] 【剣も魔法も】ヘヴィファンタジーTRPGスレ【重厚】 [転載禁止]©2ch.net (273レス)
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185: ラウテ ◆uUre4dQFyk 2015/12/28(月)20:03 0 AAS
ラウテたちが捜索としてまず辿り着いたのは『砂漠の海亀亭』という比較的大きな飲食店だった。
オメルタの息のかかった店だという噂もあり、とりあえず最も怪しい店だろう。
店内に入店したのはリタリンと一匹の犬のみ。ラウテと二匹の犬は店の裏手で待機していた。
ラウテはその手に魔笛を握り締め、入店した犬とリンクを繋いでいた。
視力も低く色彩も曖昧な犬の視点はあまり役に立たないが、その分匂いとして膨大な情報が流れてくる。
昼食の時間にはまだ早く、店内は比較的空いていたがそれなりに賑わっているようだ。
犬には目的のハーブの匂いは覚えさせている。騒がしい厨房から漂う匂いから識別することは可能だろう。

リタリンの連れている犬が、早速一声吠えた。ビンゴ、という合図である。
しかし、漂うのはハーブの匂いだけではなかった。犬は続け様に、連続して三回吠える。
異常事態、の合図だ。その意味はすぐに分かる、店の裏手から煙が流れ出したのだった。
店の裏手で待機していたラウテはすぐ気付く。火災が発生したのだ。

「リタリン、火事よ。それも魔力を感じる…」

急いでリタリンに声を飛ばす。これは只事ではないと感じたのだ。
しかしこんな店に火を掛けるのは何者か、どういう理由が考えられるのか。
このタイミングで事故や愉快犯による放火は考えづらい。私たちの行動と何かリンクしているはずだ。
次に思い付いたのは、あのヴィクトルの仕業という可能性だった。
彼のやり口ならその可能性は高い。地走を炙り出す作戦かも知れない。
ならば…と、ラウテは一つ目蝙蝠を召喚し、周囲を空から偵察させた。
……間違いない。火の手はこの北地区で計五箇所、同時に燃えている。
こんな楽しい作戦を、ラウテたちに相談もなしにするなんて心外だ。ラウテはそう微笑んだ。

火の手はあっという間に燃え広がり、店を覆い尽くすに至る。
この地区で五箇所も燃えているのだ。消防隊の到着も間に合わないだろう。
大規模な火災から街を守る方法は二つある。
一つは、魔法の行使による力技の消火活動。しかしこれには確かな人材が必要になる。
もう一つの方法は、周囲の建物を破壊して延焼を防ぐ破壊消火と呼ばれる方法だ。
この方法は最小限の被害で延焼を防ぐという発想から成る。
大規模な魔法を行使せずとも延焼を防ぐという目的は果たされるため、昔から多用される傾向にある。
つまり消火活動はその建物より、周囲の建物の破壊に集中する。だからこそ出来ることがあった。

「リタリン、今なら気付かれずに店主を確保出来る…やれる?」

火事の最中、その店主はというと奥の金庫から現金や書類を持ち出そうとしていた。
命よりお金が大切に感じるのかどうかは知らないが、少なくとも捕らえるのは容易いだろう。
火事から逃げ延びようとしていると偽装すれば、人一人抱えている事など不自然ではあるまい。
それに今ならば、打ち合わせどおり裏口の安全は確保出来ていた。
しかし……。

「…冒険者が近付いてる。男が一人、槍みたいなものを持ってる。殺すのは難しいかも」

男は紛れもなく鋭鋒だった。名前などラウテたちが知る由もないが。
雰囲気から察するに男は乙種でも上位の実力者、先の二人の力を凌ぐだろう。
正面から当たるのは得策ではないと考えたラウテは、撤退を進言した。
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