[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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801: コドクノオリ【姉弟語り】 [sage saga] 2013/08/29(木)21:04 ID:YJd43wxQo(1/7) AAS
 湯を淹れたカップラーメンを持ってちゃぶ台に引き返しながら、久信が軽く袖を振ると、振られた服の袖からは細長い生き物――蛇が飛びだした。
 いい勢いで飛び出した蛇は、その勢いのままダンボールの中へ飛び込んだ。
 蛇は久信がちゃぶ台に辿り着くまで箱の中でゴソゴソ動いていたが、久信が腰を下ろすと同時に、箱の中から折り畳まれた一枚の紙を咥えて出てくる。
「よし、よくやったぞ」
「久くん? あまり下品な使い方は感心しないわよ」
「これも蛇使いとしての訓練だって」
 姉に適当な返事を返して久信は蛇から紙を受け取る。
 この蛇は今日追っ手から逃れるために使った蛇や修実を背に縛っていたものと同じで、蛇神憑きとして、久信が使役しているものだ。
 久信たち小野家は、友人である昌夫の見塚家と似たような系統の家で、血筋そのものに都市伝説が契約されている。憑かれているといってもいい。
省10
802: コドクノオリ【姉弟語り】 [sage saga] 2013/08/29(木)21:05 ID:YJd43wxQo(2/7) AAS
「どう? どこか怪しそうな所はあった?」
「……新幹線を使ってさっさと遠くに逃げずにわざわざこの町で下りたってことは、
この町からどこか遠くに行くことができる手段を用意しているってこと
……だと思うんだけど、転移系の能力ならわざわざこの町まで来る意味もないし、
修実姉もあの組織にはそういう能力の契約者はいないって言ってたよね。
だとしたら、移動系の能力と考える、と……そうだな、ちょっと考えがあるから明日あたり少し調べてみよう」
 昌夫にばれたら怒られそうだけど。
 内心でそうつぶやいて、地図から目を話し、修実に目をやる。
 先程ちゃぶだいを降りた蛇はいつの間にか修実のところへ移動していた。
 じゃれつくように姉の胸元を這い回っている蛇は、使役者である久信の動きにも気付いていないように見える。
省10
803: コドクノオリ【姉弟語り】 [sage saga] 2013/08/29(木)21:07 ID:YJd43wxQo(3/7) AAS
     @

 今でこそ両腕両足を無くした不具の状態だが、元々の小野修実は生まれた家は代々蛇神憑きであり、
生まれた子はその瞬間から契約者であるという、そういう家系であることだけが特殊ではあったが、それ以外については五体満足な普通の人間だった。
 小野家に生まれる子は皆蛇神憑きの契約者ではあるが、その能力自体には個人差がある。
久信は家系的に見れば、歴代の中でもごくごく平凡な力を持って生まれた。その一方で、姉は規格外の力を持って生まれていた。
 それが彼女にとっての悲劇だったと言っていい。
 生まれたその時から家族の誰よりも大きな力を持っていた修実の力は、成長すると共にその力を段々と強力なものにしていった。
 自分自身でも力の制御がままならなくなるほどに。
 ――当時八歳。そのままでは、修実は蛇神憑きの力に飲まれてしまう。そういう運命にあった。
省17
804: コドクノオリ【姉弟語り】 [sage saga] 2013/08/29(木)21:08 ID:YJd43wxQo(4/7) AAS
 久信が何かあったのかと尋ねても修実は何も話してはくれなかった。
久信は姉は自分のような凡俗には分からないようなストレスのかかる生活を送っているんだろうと考えて一人ひねくれもしたものだ。
 しかし、そんな妬みも収まってきた高校生活も終わろうという頃、
姉の疲弊が見た目にも顕著になり、久信も、そして幼少の頃はどう扱ったものか困って、まるで腫物を扱うように関係して里子に出してからはほとんど我関せずだった両親も、実家に帰ってくるよう勧めた。
 そして、そのついでとばかりに修実に対して久信は告白をしたのだ。
 離れたくない。そんな顔をしなきゃいけない生活からは離れて、帰って来てくれ。
 我ながら赤面ものの女々しい告白だが、そう言われた時の姉の嬉しそうな顔を、久信は覚えている。そしておそらく、一生忘れない。
 十数年も実家から放り出されて、やっと家族にかけてもらえた、帰ってきて欲しいという言葉。二十歳になろうかという姉が童女のように喜んでいた。
それほど、姉は帰りたがっていたのだと、その時になってようやく解った。
 もっと早くに気付けていたなら、と今でも思う。もっと早くに気付いていたのなら、あるいは結末は変わっていたのかもしれない、と。
省19
805: コドクノオリ【姉弟語り】 [sage saga] 2013/08/29(木)21:09 ID:YJd43wxQo(5/7) AAS
     @

 修実姉に正気を取り戻してもらって、一体何があったのかを訊いて……。
 数週間の時間が経ってもなお、鮮明に思い返すことができる町の惨状とひどい状態だった姉を思い浮かべていると、横から当の姉の声が飛んできた。
「久くん?」
 呼びかけに顔を上げると、彼女は眉を寄せ、
「難しそうな顔してたよ?」
「なんでもないよ」
 修実の過去のことを考えていたとも言えず、久信はあたりさわりのない言葉を返す。修実は何かを察したように、力なく言葉を零した。
「……ごめんね」
省18
806: コドクノオリ【姉弟語り】 [sage saga] 2013/08/29(木)21:10 ID:YJd43wxQo(6/7) AAS
 おかげで今や俺たちがお尋ね者だ。
 とは言っても、町を滅ぼしたのは姉であるというのは確かだ。そう見ると町を壊滅させた化け物、という姉弟が追われる理由は正しい。だが、それでも彼女は被害者である。
 いや被害者は修実姉1人で、他のは皆まとめて自業自得だ。
 憤りながらそう言った時は、さすがに姉にも昌夫にも苦笑された。
 それでも全ての責任を修実に押し付けて自分はのうのうと逃げている郭正吾を許せないというのは共通した思いだった。
 郭正吾も追っ手がかかっているということは気付いているらしく、町が壊滅した情報とその犯人について広めた後は、
この町に雲隠れしているようだ。隠れている彼を追って捕え、実家を通し組織≠ニ呼ばれる超巨大な都市伝説集団に連絡を取って読唇系の能力者を使って真相を明らかにすることが久信たち姉弟の目的だった。
「逃げられる前に、絶対に郭正吾を捕まえて、俺たちの濡れ衣を全部とっぱらう」
「うん」
 修実が頷く。彼女の足元ではいつの間にか蛇が掛布団を広げていた。布団の中に半ば埋もれるようになりながら修実は言う。
省22
807: コドクノオリ【姉弟語り】 2013/08/29(木)21:13 ID:YJd43wxQo(7/7) AAS
急いで書きたいとおもいつつ、なかなか進まない事に悶々としますのう
暑さが悪いんや!

こんな状況になっている理由とか軽く説明しつつダルマの愛し方について深い考察を続けます
怒ると阿鼻叫喚おっとり系ダルマお姉ちゃん(蛇憑きヤンデる風味)
ちょっと要素多すぎないかしらね、これ
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