[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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803: コドクノオリ【姉弟語り】 [sage saga] 2013/08/29(木)21:07 ID:YJd43wxQo(3/7) AAS
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 今でこそ両腕両足を無くした不具の状態だが、元々の小野修実は生まれた家は代々蛇神憑きであり、
生まれた子はその瞬間から契約者であるという、そういう家系であることだけが特殊ではあったが、それ以外については五体満足な普通の人間だった。
 小野家に生まれる子は皆蛇神憑きの契約者ではあるが、その能力自体には個人差がある。
久信は家系的に見れば、歴代の中でもごくごく平凡な力を持って生まれた。その一方で、姉は規格外の力を持って生まれていた。
 それが彼女にとっての悲劇だったと言っていい。
 生まれたその時から家族の誰よりも大きな力を持っていた修実の力は、成長すると共にその力を段々と強力なものにしていった。
 自分自身でも力の制御がままならなくなるほどに。
 ――当時八歳。そのままでは、修実は蛇神憑きの力に飲まれてしまう。そういう運命にあった。
 修実自身のことは大事にしてはいても、彼女が持つ力をもてあまし気味にしていた両親は、
小野の家が蛇神憑きの家系として何度か仕事の協力をしたことがある、封印技術に長けている都市伝説系組織へと修実を預け、
その組織が持つ技術をもって、修実の大きすぎる力を封印、あるいは安定化させてもらえるよう頼んだ。
 寂しくはあったが、姉がこの咲も生きていくためだと思って久信は姉が里子に出されるのを見送ったのを覚えている。
 家を出て行った後も、里子に出された先の組織で厳しい修練を積んで、力を制御できるようになっていった姉を月に一度あるかないかの帰郷の折に久信は見てきた。
 月日が流れ、久信の方が修実より背が高くなる頃には、もうよっぽどのことが無い限りは修実は自分の蛇神憑きの力に飲まれるようなことはないだろうほどに、力を安定させていた。
 ただ、その代わりとでもいうように、修実の心と身体の安定は崩れていっているように久信には見えた。
 あの頃は全部うまくいっていると思ったんだ。
 しかしそれは勘違いだったと、全てが終わった今になら分かる。両親も、他、組織と懇意にしていた者たちも知らなかったことだが、
修実が里子に出されていた組織は、あまりまっとうな組織というわけではなく、裏では都市伝説の力を使って密売や殺しを請け負っていた。
 修実も、争い事を好まない修実自身の性格は無視され、あるいは全てが嘘というわけではなかったようだが、殺人を行うことによって誰かが救われる。
というように言いくるめられて利用されていた。
 力の制御を行えるようになるまでは外の世界には出すことができないという名目で、
組織と、そのお膝元の町、そして実家の間を往復する事しか許されない閉鎖された環境の中、
普通の義務教育を終えた者ならば誰もが持つような現代の常識に触れる機会もなかなか与えられないまま、組織はお膝元の町を守る警備役として、そして暗殺のための道具として修実に力を振るわせた。
 蛇神憑きの力で蛇を使役して行う殺人は、見た目がただの咬傷に見えるため、都市伝説絡みの殺人として扱われることも少なく、
暗殺に向いた能力だったことも、彼女の人生に災いしたのだろう。暗殺を繰り返すうちに、修実は心の方が参ってしまったのか、里帰りの度に、やつれていった。
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