[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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805: コドクノオリ【姉弟語り】 [sage saga] 2013/08/29(木)21:09 ID:YJd43wxQo(5/7) AAS
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 修実姉に正気を取り戻してもらって、一体何があったのかを訊いて……。
 数週間の時間が経ってもなお、鮮明に思い返すことができる町の惨状とひどい状態だった姉を思い浮かべていると、横から当の姉の声が飛んできた。
「久くん?」
 呼びかけに顔を上げると、彼女は眉を寄せ、
「難しそうな顔してたよ?」
「なんでもないよ」
 修実の過去のことを考えていたとも言えず、久信はあたりさわりのない言葉を返す。修実は何かを察したように、力なく言葉を零した。
「……ごめんね」
「……」
 何か言葉を返した方がよかったのだろうが、久信は応じる言葉を持たなかった。たとえ何か言ったとしても、
この姉には気遣いであると瞬時に察されてしまうだろう。昔からそうだった。
里子にだされてからは月に一度、会えるか会えないかという関係だったのに、姉は久信が昌夫とケンカした時や、
言いづらい悩みを抱えていた時、見事に見抜いてきた。
 裏切られようとしていることには気づかなかったくせに。
 妙なところで鋭いことのある姉だ。こういう時、姉弟というのは一緒に過ごした時間の量ではないのだろうと思いもする。
 ああ、もう可愛いなぁ。
 そんなことを思っていると、口元ににやついた笑みが出かかる。
 修実に見咎められて今の考えを話すことになるのは照れ臭い。
久信は少し麺が伸びたラーメンを、カップにのめり込むようにして食べながら、先程までの物思いに思考を引き戻す。
 壊滅した町。毒と瘴気でひどい有様になったそこで、修実以外にただひとり、生き残った男がいる。
その男こそ、久信たちが自分たちが追われる立場にありながら、こうして危険を冒してまで探している相手であり、修実を封印した男であり、組織の主に黒い部分を統括していた重鎮だった。
 壊滅した町から力を使い果たして仮死状態で封印されていた修実を助けた後、実家に姉を連れ帰ろうとしていた久信は、
修実にことのあらましを聞きながらの道中で、修実は都市伝説に飲み込まれて町を滅ぼした化け物として、
久信は封印処理されていたはずの化け物を解放した極悪人として、それぞれ捕獲対象に指定されているという事実を昌夫に聞かされた。
この情報の発生源は、当時都市伝説界隈で話題になっていた事件の町から唯一生き残った男として噂になっていた男。姉の殺害指示を出した張本人。
 名は、郭正吾(くるわ せいご)という。
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