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IUTを読むための用語集資料集スレ (1002レス)
IUTを読むための用語集資料集スレ http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/
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7: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 08:06:31.51 ID:W0WIc7wX >>6 どうもありがとう >せっかくなので日本語Wikipediaに翻訳が載っていない語を挙げてみる ・ホッジシアター/ホッジ劇場/ホッジ舞台:星「IUT入門」目次 § 20. 加法的 Hodge 劇場、§ 25. 乗法的 Hodge 劇場、§ 26. Hodge 劇場と対数リンク (加法的 Hodge 劇場と乗法的 Hodge 劇場の二種類ある? ”Hodge 劇場と対数リンク”は、前述の2つを対数リンクで繋ぐ?) ・LabCusp:山下サーベイ P224 For v ∈ V, a label class of cusps of †Dv is the set of cusps of †Dv lying over a single non-zero cusp of †Dv (Note that each label class of cusps consists of two cusps). We write LabCusp(†Dv) for the set of label classes of cusps of †Dv. Note that LabCusp(†Dv) has a natural F*l-torsor structure (which comes from the action of F×l on Q in the definition of X in Section 7.1). ・絶対ガロア群:山下サーベイ P166 We write GK for the absolute Galois group of K for an algebraic closure K. ・グロタンディーク予想: http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Daisuukyokusen%20ni%20kansuru%20Grothendieck%20yosou%20(ronsetsu).pdf 代数曲線の基本群に関するGrothendieck予想 - RIMS, Kyoto 中村博昭, 玉川安騎男, 望月新一 http://mathsoc.jp/section/algebra/algsymp_past/algsymp18_files/houkokusyu/09-Nakamura.pdf グロタンディーク・タイヒミュラー理論の話題から 中村博昭(大阪大学理学研究科) 第 63 回代数学シンポジウム(於 東京工業大学,2018 年 9 月)報告集所収 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/7
8: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 08:06:53.13 ID:W0WIc7wX >>7 つづき ・ジーゲルの定理: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%B4%E6%95%B0%E7%82%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86 数学において、整数点についてのジーゲルの定理 (Siegel's theorem on integral points) は、1929年のカール・ジーゲル (Carl Ludwig Siegel) の結果であり、与えられた座標系を持つアフィン空間で表現される、代数体 K 上定義された種数 g の滑らかな代数曲線 C に対し、g > 0 であれば、K の整数環 O の座標でC 上の点は有限個しかないという定理である。この結果を適用できる例として、モーデル曲線(英語版)(Mordell curve)がある。 この定理の証明は、ディオファントス近似からのトゥエ・ジーゲル・ロスの定理のあるバージョンとディオファントス幾何学(英語版)(diophantine geometry)からのモーデル・ヴェイユの定理とを結合することにより得られた。(ここで C のヤコビ多様体へ適用するためにヴェイユのバージョンが必要である。)それは、種数のみに依存しディオファントス方程式の任意の特別な代数的な形式に依らない、ディオファントス方程式についての最初の大きな結果であった。種数 g > 1 の場合は、現在、ファルティングスの定理に取って代わられた。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86 モーデルの定理(2 モーデル・ヴェイユの定理) つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/8
9: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 08:07:13.94 ID:W0WIc7wX >>8 つづき ・エルミート・ミンコフスキーの定理: https://en.wikipedia.org/wiki/Hermite%E2%80%93Minkowski_theorem In mathematics, especially in algebraic number theory, the Hermite?Minkowski theorem states that for any integer N there are only finitely many number fields, i.e., finite field extensions K of the rational numbers Q, such that the discriminant of K/Q is at most N. The theorem is named after Charles Hermite and Hermann Minkowski. This theorem is a consequence of the estimate for the discriminant √ {|d_{K}| >= {n^{n}/{n!}(π/4)^{n/2} where n is the degree of the field extension, together with Stirling's formula for n!. This inequality also shows that the discriminant of any number field strictly bigger than Q is not ±1, which in turn implies that Q has no unramified extensions. References Neukirch, Jurgen (1999). Algebraic Number Theory. Springer. Section III.2 (多分訳本あり) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86 ミンコフスキーの定理は凸体の中の格子点の存在に関する定理で、 原点に関して対称な凸集合は体積が十分大きいとき、必ず原点以外の格子点を有することを主張している。 ヘルマン・ミンコフスキーによって証明され、二次形式の研究に用いられた。 凸体と格子点の関係に関する研究は数の幾何学へと発展し、二次形式のほか、代数体の単数やイデアル類群の性質の研究、ディオファントス近似など数論の様々な領域に応用されている。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E5%BD%A2%E5%BC%8F 二次形式 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/9
10: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 08:08:04.86 ID:W0WIc7wX >>9 つづき ・単数定理: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%81%AE%E5%8D%98%E6%95%B0%E5%AE%9A%E7%90%86 数学において、ディリクレの単数定理(Dirichlet's unit theorem)は、ペーター・グスタフ・ディリクレ (Dirichlet 1846) による代数的整数論の基本的な結果である[1]。 ディリクレの単数定理は、代数体 K の代数的整数がなす環 {O}_{K} の単数群 {O}_{K}^x の階数を決定する。 単数基準(もしくは、レギュレイター(regulator)ともいう)は、どれくらい単数の「密度」があるかを決める正の実数である。 ヘルムート・ハッセにより(後日、クロード・シュヴァレーにより)、単数定理は一般化され、整数環の局所化での単数群の階数を決定するS-単数(英語版)(S-unit)の群の構造が記述された。また、ガロア加群構造(略)が決定された[2]。 次数が 2 以上の代数体の単数基準は、現在は多くの場合に計算機代数のパッケージがあるが、普通、計算することが非常に難しい。普通は類数公式を使い類数 h に単数基準をかけた積 hR を計算することは簡単であり、代数体の類数の計算の主な困難は単数基準を計算することにある。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/10
11: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 08:08:24.19 ID:W0WIc7wX >>10 つづき ・ザリスキの主定理: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AD オスカー・ザリスキ 主な業績は、ザリスキ位相の導入やザリスキの主定理(英語版)の証明を含む可換環論と代数幾何の融合である。 弟子に、ダニエル・ゴーレンシュタイン、広中平祐、ミハイル・アルティン、デヴィッド・マンフォード、ロビン・ハーツホーンら著名な数学者がたくさんおり、優れた指導者でもあった。 https://en.wikipedia.org/wiki/Zariski%27s_main_theorem Zariski's main theorem In algebraic geometry, Zariski's main theorem, proved by Oscar Zariski (1943), is a statement about the structure of birational morphisms stating roughly that there is only one branch at any normal point of a variety. It is the special case of Zariski's connectedness theorem when the two varieties are birational. Zariski's main theorem can be stated in several ways which at first sight seem to be quite different, but are in fact deeply related. Some of the variations that have been called Zariski's main theorem are as follows: 略 The name "Zariski's main theorem" comes from the fact that Zariski labelled it as the "MAIN THEOREM" in Zariski (1943). 略 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/11
12: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 08:09:07.81 ID:W0WIc7wX >>11 つづき ・チェボタレフの密度定理: https://en.wikipedia.org/wiki/Chebotarev%27s_density_theorem Chebotarev's density theorem Chebotarev's density theorem in algebraic number theory describes statistically the splitting of primes in a given Galois extension K of the field {\displaystyle \mathbb {Q} of rational numbers. Generally speaking, a prime integer will factor into several ideal primes in the ring of algebraic integers of K. There are only finitely many patterns of splitting that may occur. Although the full description of the splitting of every prime p in a general Galois extension is a major unsolved problem, the Chebotarev density theorem says that the frequency of the occurrence of a given pattern, for all primes p less than a large integer N, tends to a certain limit as N goes to infinity. It was proved by Nikolai Chebotaryov in his thesis in 1922, published in (Tschebotareff 1926). Contents 1 History and motivation 2 Relation with Dirichlet's theorem 3 Formulation 4 Statement 4.1 Effective Version 4.2 Infinite extensions 5 Important consequences つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/12
13: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 08:09:49.91 ID:W0WIc7wX >>12 つづき Important consequences The Chebotarev density theorem reduces the problem of classifying Galois extensions of a number field to that of describing the splitting of primes in extensions. Specifically, it implies that as a Galois extension of K, L is uniquely determined by the set of primes of K that split completely in it.[6] A related corollary is that if almost all prime ideals of K split completely in L, then in fact L = K.[7] https://tsujimotterはてなぶろぐ/entry/how-to-use-chebotarev-density-theorem tsujimotterのノートブック 2018-12-13 ガロア表現とChebotarevの密度定理の使い方 動機と参考文献 きっかけは以前から勉強していた 岩澤理論 でした。どうしても理解したい定理 があって,その証明にガロア表現が出てきます。 特に今回のテーマである 「ガロア表現の同値性」 が関わってくるのですが,その同値性を示すのにどうやら 「Chebotarevの密度定理」(あとで出てきます)が使えるらしいのです。 私の印象ですが,割とこの辺の知識は常識みたいに扱われることが多く,証明にも空気のように「Chebotarevの密度定理より」と書いてあったりします。いったいどうしてChebotarevの密度定理が使えるのかと不思議に思っていました。 しばらく勉強していくうちに,ガロア表現の同値性にChebotarevの密度定理が関係する「理屈」がわかってきました。そのことがとても嬉しくてこの記事を書いています。 (引用終り) 以上 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/13
14: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:13:18.39 ID:W0WIc7wX ・「微分」&「小平・スペンサー写像」 下記ABC予想入門 PHP 黒川&小山 P205に スピロ予想 ”一般の関数体版でも「微分」が「小平・スペンサー写像」として表れてくる。 望月氏の論文は、「F1体上の微分」を「F1体上の小平・スペンサー写像」として構成するところが、最大の要点 (第4章末尾のコラムを参照)であり ここに数百ページ(以前のものを合わせると千ページ)に達する 壮大な数学宇宙が広がっている。”とあります。 (参考) https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-81067-6 ABC予想入門 PHP 2013/03/18 著者 黒川信重≪東京工業大学教授≫/小山信也≪東洋大学教授≫著 アマゾン書評 島津利一 5つ星のうち5.0 これは面白い グロタンディークの後継者 望月新一教授 の数学を分かりやすく歴史も踏まえて説明しています。 2013年6月8日に日本でレビュー済み (抜粋) 丁寧に、一般向けに書かれた優しい数学の本でした。 しかし、もっと勉強したい人用に書かれた後ろの数学的内容を理解するには根気が必要でしょう。 「数論入門」と考えて読むには最適の本です。ただし、その内容をきちんと理解するには数学科2年生くらいの知識を必要とします。 イデアル論 素元 と 既約元の異なること、複素関数論 リーマン面 楕円関数論 等の簡単な知識があれば、すいすいと読める内容です。 数学を志す学生は、後ろの別章をキチンと追ってみるといいと思います。 勿論 そういう数学を全く知らなくても分かるように書かれているのも特徴です。 この本を読んで、望月新一教授のHPを覗きたくなり、行ってみました。 確かに、グロタンディークの後継者が登場している雰囲気が伝わってきました。 (引用終り) つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/14
15: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:13:39.87 ID:W0WIc7wX >>14 つづき なかなか、良い本です。でも、今の数学科2年生ではきついかもね さて、”「F1体上の微分」を「F1体上の小平・スペンサー写像」として構成する”は、下記の北大 中村 郁先生、ご参照 https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~nakamura/indexJ.html 中村 郁のホームページです.北海道大学 https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~nakamura/susemi9711.pdf 小平の変形理論と最近の発展, 数学セミナー, 1997年12月(PDF FILE) (小平の変形理論とその後の発展)北海道大学 中村 郁 1 はじめに この稿では,小平先生の変形理論とその (潜在的なものも含 めた) 影響について,紹介したいと思います。与えられた対 象を出発点 (または初期値) とする新しい対象 (これを変形と いう),できればもっとも普遍的な対象を構成し,具体的には 構成できない場合でも,良い変形の存在の証明を目指す,こ れが変形理論です。小平-Spencer 以前にも Teichm¨uller 理論, 楕円曲線やアーベル多様体の理論はありましたが,変形とい う概念が数学的に定式化され,強力な数学的手段となったの は,小平-Spencer の複素構造の変形理論が最初です。この小 平-Spencer の変形理論の確立には,岡,カルタンに始まる連 接層とコホモロジーの理論が必要でした。 その後,小平-Spencer の変形理論は,少なくとも,その考 え方の原理的な点において,代数幾何学の枠組みを越えて,数 学のいろいろな分野で,引き継がれ生き続けています。 E(t) は 1 次元下がって,複素 1 次元したがって,実 2 次元です。E(t) は,t3 = 1 のとき,ドーナツの表面の形を しています。これを,位相構造が不変と言います。t3 = 1 の ときは,E(t) が 3 個の(位置を変えた)P1 となるので, 除外 しておきます。 ところで,小平-Spencer は,関数を微分するように,E(t) の幾何学的な微分ができることを示しました。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/15
16: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:14:06.42 ID:W0WIc7wX >>15 つづき 定理 1 (小平-Nirenberg-Spencer1958/p.910) M をコンパク トな複素多様体とし,H2(ΘM)=0 と仮定する。このとき, N 個の parameter t1,・・・,tN に依存したコンパクトな複素 多様体の族 {M(t1, ・・・ , tN )} が存在して,どんな M の微少変 形も {M(t1 ・・・tN )} のなかに同型なものがある。ただし,N は複素ベクトル空間 H1(ΘM ) の次元,M(0, ・・・ , 0) = M。 ∂M(t)/∂t は一次の幾何学的微分です。そして,H2(ΘM) = 0 は Taylor 級数で2次以上の項がないという条件に相当し,定 理 1 は,すべての変形 (幾何学的 Taylor 級数) が H1(ΘM )(一 次の微分) で決定されることを主張しています。 その後のあらゆる種類の変形理論を通じて,この形の定理 は,応用上もっとも重要です。 上の定理は,それらのすべての原形を与えている点で,歴史的にも,重要な意味を持って います。 この理論は最近,Mordell-Weil 格子の理論 (塩田 1989-1997 なお発展中) の中で,より精密な形で再構成されました。ま た,Mordell-Weil 格子の理論のひとつの応用として,E8 の Weyl 群という非常に大きなガロア群 (位数 214 ・ 35 ・ 52 ・ 7) を 持つ代数方程式がすべて決定されています。このほか,多く の素晴しい結果が得られていますが,この理論の基本的なと ころでは,楕円曲面の理論 (小平 1963/p.1269) が用いられて います。(楕円曲面については,浪川氏の解説を参照してくだ さい。) つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/16
17: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:14:29.59 ID:W0WIc7wX >>16 つづき 3 写像の変形理論 正標数でも同様の理論を作り,埋め込みの写像 π : S → M の変形を考えることで,応用が増えます。実際,森重文 (1979/1982) はまず,M が Fano 多様体 (P2 を高次元へ拡張 したもの) のとき,かってにとった曲線をもとに,正標数特 有の技巧 (Frobenius 写像) と正標数の写像の変形理論によっ て,写像を変形し,曲線をついに折れるまで曲げて,標数 0 のときも含め有理曲線 P1 を構成しました。さらに,得られ た有理曲線を,再び,写像の変形理論によって,次数のより 低い有理曲線に分解しました。これが,森理論の核心部分で す。この応用として,森重文は Hartshorne 予想を解決しまし た。森の方法は,有理曲線を構成する方法として多くの専門 家に応用され,今では,Bend and Break(曲げて折る) とい う名前がついている程です。 4 剛性定理 変形理論というのは,変形が豊かに存在して始めて面白い わけですが,逆に変形しても,全然変化しない多様体があり ます。あるいは,もっと強く,多様な複素構造が許されない ような(可微分) 多様体があります。 定理 4 K¨ahler 複素多様体が射影空間 Pn と位相同型ならば 複素多様体としても同型。 n が奇数の時は [小平-Hirzebruch1958/p.744] によって証明 され,n が偶数の時は,Yau により証明が完成されました (1977)。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/17
18: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:14:49.85 ID:W0WIc7wX >>17 つづき 5 Donaldson 理論 ここで,Donaldson 理論についてほんのすこしだけ説明し ます。簡単のため,X を単連結な実 4 次元可微分多様体,MX を X に付随したある空間の反自己双対接続 (一般化された微 分,これをインスタントンと呼ぶ) のモジュライ空間としま す。モジュライ空間というのは,この場合はインスタントン を全部集めた空間のことです。A ∈ MX をひとつのインスタ ントン,A + α をその近くのインスタントンとしたとき,α は微分方程式 DA+(α)+[α, α]+ = 0 を満たします。 こうして,MX は局所的には,複素構造の 変形空間によく似た形の微分方程式で記述されます。AtiyahSinger-Hitchen は,(小平-Spencer-) 倉西による変形空間の 研究の方法を適用して,MX の研究を始めました。その後 Taubes,Uhlenbeck らの結果を用いて,Donaldson は MX の 構造を解明し,多くの重要な結果を導き,さらに Donaldson 多項式と呼ばれる可微分多様体の新しい不変量を発見しまし た。もしふたつの単連結な実 4 次元可微分多様体 X,X の Donaldson 多項式が異なれば,X,X は (向き付けを保って) 可微分同相にはなりません。この不変量はホモトピー K3 曲面 をはじめ多くの複素曲面に適用されて,興味深い結果が証明さ れました。定理 9 のタイプの最初の重要な応用は Donaldson によりますが,本稿の話題とずれるので,割愛します。 小平先生のご冥福をお祈りしつつ,筆をおきます。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/18
19: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:15:12.05 ID:W0WIc7wX >>18 つづき https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~nakamura/susemi0006.pdf モジュライと変形理論, 数学の楽しみ, no.20, 2000年8月 (PDF FILE) P17 小平-Spencer の変形理論とは何か? 3 次曲線の場合に考えてみる。まず 3 次曲線をひとつとる: 前節と同様に微少変形のコホモロジー群を調べればよい。 答えを同次式によって表示すると、(17) と同様に記号の意味をとることで すべての同次 3 次式/(xi∂H/∂xj )i,j=0,1,2 (20) となる。これは 1 次元である。(20) を代表するどんな元 h をとっても、 H + sh = 0 (21) はE の微少変形の可能性を尽くす。小平-Spencer の一般論は、3 次曲線の場 合このようになる。代数多様体がひとつの同次式で定義される場合で、その 変形理論が例外的なのは唯一 4 次曲面で、このときは、4 次式の枠をはみ出 してしまい、(神様でも) 変形を具体的に書くことはできない。これ以外の場 合には、微少変形は(19) (20) と (21) の類似物で与えられる。 7 変形理論 以上説明したことをもう一度別の言葉で整理すると、変形理論とは局所的 なモジュライ理論のことである。したがって良いモジュライ理論があるため には、つまりよいモジュライ空間が存在するためには、良い変形理論がなけ ればならない。代数曲線、アーベル多様体、K3 曲面のモジュライ理論が進ん でいるのも、これらの場合には良い変形理論があるからである。 現代数学の主要な方法論の一つは、大域的なものを局所的なもののつなぎ 合わせとして理解するということである。その意味でモジュライ理論を理解 するためには変形理論が基礎となる。 モジュライ理論が一番都合よく進められる場合は、モジュライ空間が特異 点を持たない場合である。この場合はモジュライ空間は局所的に一次近似に よって理解できる。このとき、その局所的な一次近似は、微少変形を記述す るコホモロジー群であると考えてよい。 つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/19
20: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:15:50.10 ID:W0WIc7wX >>19 つづき 小平-Spencer の理論がモジュライ理論の基礎というばかりでなく、 小平Spencer の理論の底にある考え方は、現在幅広い応用を示しつつある。 それはすでに数学の基本的な考察手段となった感がある。例えば、群や代数の表 現の変形は、数論、数理物理など、今後いろいろな分野で注目されていくで あろうが、これは小平-Spencer の理論にはなかったものである。という以上 に、現在われわれが出会う変形理論のほとんどは、本来の小平-Spencer の理 論の中にはなかったものである。変形理論は必要性のゆえに、次々と研究者 によって導入され拡大されてきたのである。これについては、数学セミナー 97 年 12 月号の記事を見ていただいた方がよいと思う。 付録 https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~nakamura/Kintearoom.pdf 談話室の小平先生 北海道大学 中村 郁 (「モジュライと変形理論」数学の楽しみ 20 号,2000 年 8 月より抜粋) (引用終り) 以上 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/20
21: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:32:17.59 ID:W0WIc7wX >>7 >・LabCusp:山下サーベイ P224 For v ∈ V, a label class of cusps of †Dv is the set of cusps of †Dv lying over a single non-zero cusp of †Dv (Note that each label class of cusps consists of two cusps). LabCusp 補足 星裕一の論文 宇宙際 Teichmuller 理論入門 PDF (2019) (Indexあり)https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/244783 P82 テータ関数に代入するべき点は, LabCusp±K〜= Fl という集合の元たちで自然にラベ ル付けされます. Fl の各元での特殊値に関する考察から, F×l = Fl \ {0} でラベル付けさ れた点での特殊値によって (b) が得られ, そして, 0 ∈ Fl でラベル付けされた点での代入 によって, (テータ関数が登場する) “テータモノイド” の分裂が得られることがわかりま す. また, 0 ∈ Fl での代入によるこの分裂は, 後に, 対数写像を通じて, (b) や (c) に対す る適切な “入れ物” としての (a) と結びつきます. (§19 や §20 の議論や §8 や §9 の議論 の一部を参照.) そして, 非常に大雑把なレベルでは, §13 から §20 までで構成される “加 法的 Hodge 劇場” (つまり, D-Θ±ell Hodge 劇場や Θ±ell Hodge 劇場) は, テータ関数, そ の代入点のラベルの管理, 及び, その特殊値 (つまり, (b)) のための “入れ物” (つまり, 最 終的には (a) となるもの) のための設定だと考えられます. つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/21
22: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:32:43.35 ID:W0WIc7wX >>21 つづき また, (c) の多輻的な表示は, その “加法的 Hodge 劇場” による加法的対称性を用い たラベルの管理を破壊してしまわないようなラベルの管理のもとで実現されなければなり ません. その上, “加法的 Hodge 劇場” に現れる大域的な対称性と多輻的に表示されるべ き (c) の非両立性に, ラベルの管理を対応させなければなりません. (§21 の議論を参照.) LabCuspK〜= F×l/{±1} という集合は, テータ関数の非単数的特殊値に対する自然なラベ ルの集合であり, この集合に対する乗法的対称性は上述のラベルの管理に関連します. こ の乗法的/数論的な対称性をもとにした, 数体やその上の数論的直線束たちと, テータ関数 の代入点との間の適切な関連付けが, §21 から §25 までで構成される “乗法的 Hodge 劇 場” という概念によって実現されます. (§18 や §21 の議論を参照.) つまり, 非常に大雑把 なレベルでは, “乗法的 Hodge 劇場” (つまり, D-ΘNF Hodge 劇場や ΘNF Hodge 劇場) は, (c) の多輻的な表示, 及び, その (c) と (“加法的 Hodge 劇場” におけるテータ関数へ の “代入” という操作を行うことによって得られる) (a) や (b) との間の関連付けのため の設定だと考えられます. つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/22
23: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:33:02.22 ID:W0WIc7wX >>22 つづき 加法的/幾何学的な対称性をもとに構成された “加法的 Hodge 劇場” と, 乗法的/数論 的な対称性をもとに構成された “乗法的 Hodge 劇場” を (対称性の出自の観点からは “非 従来的な形” で) 貼り合わせることで得られる概念が, D-Θ±ellNF Hodge 劇場や Θ±ellNF Hodge 劇場です. (§26 の議論を参照.) そして, 2 つの Θ±ellNF Hodge 劇場を対数リンク (§9 や §26 を参照) によって結び付けることで, ある単数的乗法的加群を, (a) というコン パクトな加法的加群に変換することができます. しかも, それは (b) や (c) の “入れ物” となります. (§8 や §9 の議論を参照.) 一方, “対数写像は設定の環構造に依存する” とい う事実によって, (単一の) 対数リンクによる (a) という “入れ物” は, Θ リンクと呼ばれ る設定の環構造と両立しないリンクに対する両立性を持ちません. この問題を回避するた めに, 対数リンクの無限列から生じる “Frobenius 的対数殻の対数写像による関係の無限 列とそれぞれ Frobenius 的対数殻とエタール的対数殻の間の Kummer 同型” の総体であ る, 対数 Kummer 対応を考えなければなりません. (§9 や §10 の議論を参照.) エタール的部分の不定性や対数殻の Kummer 同型に付加されてしまう不定性によっ て, (a) の多輻的な表示を得るためには, (a) に対するそれぞれ (Ind1), (Ind2) という不定 性 (§10 を参照) を許容しなければなりません. また, 上述の対数 Kummer 対応が上半両 立性を満たすことしか確認することができないという事実によって, (a) の多輻的な表示 を得るためには, (a) に対する (Ind3) という不定性 (§10 を参照) を許容しなければなり ません. 一方, これまでの説明に登場してきた様々な概念を用いることで, (Ind1), (Ind2), (Ind3) という比較的 “軽微な不定性” のもと, (ある適切な設定において) (a), (b), (c) を 多輻的に表示することができるのです. つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/23
24: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [sage] 2020/06/21(日) 10:33:30.95 ID:W0WIc7wX >>23 つづき 最初にこの宇宙際 Teichm¨uller 理論を勉強したときに筆者が持った印象は, “このよ うな議論が許されるならば, 何でもやりたい放題ではないか” という方向性のものでした. しかしながら, 更に勉強を進めたり, あるいは, 類似的な議論を模索していく内に, 理論に 対する印象は, “理論における様々な対象の構成は, もう少しで崩れてしまいそうな辛うじ て保たれている均衡の上に成り立っており, そう簡単にはこの理論の真似はできない” と いう, 最初の印象の逆を向いたものに変化してしまいました. 星 続・宇宙際 Teichmuller 理論入門 PDF (2018) (Indexあり) https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/244746 P214 [2], §19, や [2], §21, の最後の議論でまとめられているとおり, D-Θ±ell Hodge 劇場 や Θ±ell Hodge 劇場の構成で重要な役割を果たす対称性は, “AutK(XK) (〜= Fx±l) → (Fl〜=) LabCusp±K” という加法的/幾何学的な対称性 です. 一方, [2], §21, の最後の議論でまとめられているとおり, D-ΘNF Hodge 劇場や ΘNF Hodge 劇場の構成で重要な役割を果たす対称性は, “Gal(K/Fmod) の部分商 Aut(CK)/Aut∈(CK) (〜= F*l) → (F*l〜=) LabCuspK” という乗法的/数論的な対称性 です. これら対称性について, それぞれ §4, §5 で, 簡単に復習しましょう. (引用終り) 以上 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1592654877/24
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