ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (716レス)
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628: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/01/26(木)02:22 ID:lZu6ski60(1) AAS
…またしばらくして…
ベアトリス「ドロシーさん、撃ち終わりました」
…室内には硝煙の臭いと薄い白煙が立ちこめ、その臭気をごまかすためロンドン市内に立ち並ぶ工場の煙突の一つへと繋がっている秘密の排気口を通じて吸い出されていく……ドロシー自身もウェブリーの射撃を済ませ、ベアトリスが撃った的に残った弾痕を確かめる…
ドロシー「ふぅん、ずいぶんと上手くなったじゃないか」
ベアトリス「ありがとうございます……」いつもなら素直に嬉しそうな顔をするベアトリスが、どこか浮かない表情をしている……
省34
629: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/02/05(日)01:18 ID:4uWERyHW0(1) AAS
…数十分後…
アンジェ「やっ!」
ベアトリス「……っ!」
アンジェ「……ふっ!」
ベアトリス「わ……っ!?」
省33
630: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/02/12(日)01:24 ID:9pIVHMv10(1) AAS
…数年前・ファーム…
ドロシー「……ふぅ///」
パープル「とっても素敵だったわよ、ミス・ドロシー……久しぶりにぞくぞくしたわ♪」
ドロシー「それなら良かった……」
パープル「あら、本当にそう思っているのよ?」
省32
631: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/02/23(木)02:36 ID:gAQ/Xl9X0(1) AAS
シルバー「なに、礼には及ばないよ……さ、どうぞ?」
ドロシー「……っ!」
…そう言って隣の部屋から教官が持ってきた皿には、気持ちの悪い生のイワシ……それも古くなって嫌な臭いを放ち始めたものと、血なまぐさい魚の汁気がしみ込んでいる蒸しジャガイモ、そこにきゅうりのピクルスを添えた物が盛り合わせになって載っている……
ドロシー「……」
シルバー「どうしたんだね、せっかく用意したのだから遠慮しないでいいんだよ? ほら、食べた食べた」にこにこしながら皿の生魚を勧める教官……
省38
632: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/03/03(金)00:56 ID:BznFySM/0(1) AAS
ベアトリス「それってただの嫌がらせじゃないですか?」
ドロシー「いいや、それも立派な訓練さ……つまりだ、情報部員ともなると相手の機嫌を損ねないように、嫌いなものでも喜んで食べたり受け取ったりしなきゃいけない場面が出てくるからな……そのための抜き打ちテストってわけだ」そういって肩をすくめると続けた……
ドロシー「……例えばだが、ちせがよく朝飯に食ってる糸を引いた豆とか、「ぬか漬け」とかなんとか言うしわくちゃになったきゅうりのピクルスとか……場合によっては勧められた時にああいうものを平然と食える必要も出てくるってわけさ」
ベアトリス「うぇぇ……あれをですか」
ドロシー「ああ。その点プリンセスはそういうのには慣れているはずだ。何しろ外国の賓客に恥をかかせたりしないよう、常々そういう訓練を積んでいるはずだからな……もし食卓のフルーツを手づかみで食うような客がいたら、そいつに合わせて手づかみで食うだろうし、もぐらのシチューだろうがハリネズミのステーキだろうが、にこにこしながら食ってみせるだろうな」
省34
633: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/03/10(金)01:26 ID:YFmv1LJs0(1) AAS
…数週間後…
訓練生「……ルーシー、ミスタ・シルバーがこの本をミス・パープルに渡してこいって」
栗色「え、私? わざわざ私に頼まなくたって、そのまま貴女たちが持って行けばいいのに……」
訓練生B「そう言われても困るわよ。とにかくそうするよう言われただけだもの」
訓練生「そういうこと……ねぇ、もしかしたら「あれ」じゃない?」
省36
634: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/03/15(水)01:32 ID:c+OA7Cf80(1) AAS
パープル「……ん、ちゅっ……はむっ……ちゅ…っ♪」
栗色「ん、くぅ……っ///」
…手指から手首へと連続して口づけしていくパープルと、かすかに身をよじり顔をそむけ気味にしている栗色髪の訓練生……パープルが身体をすり寄せると髪の香りがふわりと立ちのぼり、豪奢なひだをあしらったドレスの胸元から白くふっくらとした胸のふくらみがのぞき、ほのかな肌の熱と一緒に白粉の甘い匂いが漂ってくる…
パープル「あら、お嫌だったかしら?」
栗色「ん、あふっ……いえ、別に……平気です……」
省38
635: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/03/21(火)01:31 ID:dfZ9ScMG0(1) AAS
………
…
ドロシー「……ってな具合で、見事に課題をお楽しみにしちまった訓練生がいたんだとさ♪」
ベアトリス「うわぁ……///」
アンジェ「そんなのはファームで訓練生同士が広め合っている馬鹿馬鹿しい噂話にすぎないわ、実際にそんな訓練生がいたとは思えない」
省35
636: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/03/24(金)00:54 ID:jaJXwus00(1/2) AAS
ベアトリス「ところでドロシーさん」
ドロシー「んー?」
ベアトリス「その……ドロシーさんたちのいた「ファーム」では、他にどんな訓練があったんですか?」
ドロシー「なんだ、聞きたいのか?」
ベアトリス「はい。ドロシーさんやアンジェさんって、いつも冷静沈着で……どんな訓練をしたらそういう風になれるのかな……って///」何度となくプリンセスを救ってきたアンジェに対する憧れとわずかなうらやましさをのぞかせて、軽く頬を赤らめた……
省33
637: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/03/24(金)01:19 ID:jaJXwus00(2/2) AAS
ドロシー「くっ!」
…アンジェの小柄な身体がドロシーの振ったナイフをかいくぐって懐に飛び込んでくる……が、その動きを予見していて振ったナイフを引いて下からの突きに繋げるドロシー…
アンジェ「……っ!」
ドロシー「はぁ……っ!」
…実戦と同じく蹴りや組み付きも禁止ではないことから、長い脚を有効に使って蹴りを入れるドロシー……アンジェはとっさに飛び退いたが、手首に当たった蹴りでナイフが弾き飛ばされる…
省31
638: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/04/01(土)01:03 ID:eU6vTxTE0(1) AAS
…どこかの牧場…
ドロシー「あいてて、すっかり身体がこわばっちまった……」
アンジェ「……」
訓練生「ねぇ、ここはどこかしら……お日様の高さからすると出発してから二時間くらいのようだけど」
訓練生B「分からないわ。樽に押し込められてから何回かぐるぐる回されたし、おかげで方向感覚もめちゃくちゃ……」
省36
639: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/04/06(木)01:08 ID:kv1URGYP0(1/2) AAS
…そのころ・施設の一角…
ブルー「では、諸君にこれを渡そう」
訓練生F「……見たことない形ね」
訓練生G「何のナイフかしらね……毛刈りでもするのかしら?」
…施設の中、何頭かの羊たちが柵の内側に固まっている一角に連れてこられた訓練生たち……ブルーから列の先頭に立っている数人に渡されたのは鎌のような形に湾曲したナイフで、内側に刃が付いている…
省30
640: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/04/06(木)01:53 ID:kv1URGYP0(2/2) AAS
…牧草地…
スカーレット「それでは、これから音を立てない歩き方や止まり方の訓練を行います……頑張って下さいね」
…若々しく健康そうなスカーレット教官はその引き締まった脚を乗馬用ズボンとブーツで包んでいて、きゅっと引き締まった脚は何マイルでも歩けそうに見える……訓練生たちは牧草地で爽やかな青草の匂いを嗅ぎながら、スカーレットの指示を聞いている……最初に一人の訓練生が選ばれると、スカーレットが横に立った…
スカーレット「では、これから私の指示する通りに動くように……いいわね?」
訓練生H「分かりました」
省33
641: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/04/09(日)01:31 ID:j/YqdF0T0(1) AAS
…数十分後…
訓練生A「……ふわ……んくっ」出かかったあくびをかみ殺そうとするが、間に合わず息が漏れる……
ホワイト「ミス・アーガス。監視任務は単調で退屈かもしれないが、情報部員にとっては避けられない任務の一つだよ?」
訓練生A「済みません……」
ホワイト「分かっているなら結構。では眠気覚ましに牧場を一周しておいで?」
省37
642: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/04/17(月)00:58 ID:i7ilfSoi0(1) AAS
………
…
ベアトリス「それじゃあドロシーさんとアンジェさんも?」
ドロシー「ああ、形ばかりはな」
ベアトリス「そういえばアンジェさんも一度オムレツを作った事がありましたね」
省35
643: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/04/23(日)01:05 ID:REj/uLzP0(1) AAS
…西ロンドン・港湾地区のネスト…
ホワイト「さぁ、着いたぞ」
ドロシー「ようやくですか……あやうく腰痛になるところでしたよ」
…貨物自動車の運転席に座っていたホワイトが声をかけ、荷台との仕切り板をバンバンと叩くと、後ろに積まれた箱の中から愚痴をこぼしつつ降りてきたドロシー……続けてアンジェが出てきたが、こちらはいつものように顔色一つ変えていない…
ホワイト「若いのにだらしがないな……着替えや装備は奥の部屋にある。支度をしたまえ」
省35
644: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/04/28(金)00:58 ID:2OcjMk570(1) AAS
ベアトリス「……そ、それで」
ドロシー「ああ、無事に殺ったよ……」
………
ドロシー「……」
いかつい男「うい……っく」
省35
645: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/05/03(水)01:09 ID:IhOEUViF0(1) AAS
ドロシー「……かくして私とアンジェは無事エージェントとしてデビューすることになったわけだ」
ベアトリス「なるほど……でも、訓練を終えた段階でスパイになりたくないっていう人もいるんじゃないですか?」
ドロシー「無論そういうやつは一定数いる。基本的にエージェント候補になりそうなやつって言うのは退役、あるいは現役エージェントが役に立つ地位や素質を持っている「これ」って人間を管理官に伝え、そこから「スカウト」…ポインターなんて言ったりもするが…の連中が身辺調査をした上でリクルートするようになっているんだが、よっぽど覚悟か決まっているか、性に合っているやつじゃない限りはどこかの段階でおっかなくなって二の足を踏んじまうもんさ」
ベアトリス「分かります……でも、それじゃあせっかく訓練したのが無駄になっちゃいますね」
ドロシー「そこさ。情報部としては手間をかけて養成したあげく、施設や訓練内容みたいな機密を知った人間を「はいそうですか」と自由にするわけにはいかない」
省30
646: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/05/09(火)01:04 ID:iKIAPhVY0(1) AAS
ドロシー「……プリンセスのことか?」ベアトリスの表情が陰ったのを見ると「話してみたらどうだ?」という響きを声に込め、水を向けた……
ベアトリス「はい……」
ドロシー「そうだろうな。お前さんのその忠誠心は立派なもんだ……冗談で言っているわけじゃないぜ?」
ベアトリス「ありがとうございます」
ドロシー「礼なんていい……これも前に言ったと思うが、あの人は立派なもんだ。 正直なところ、この任務に就いたときは「王国なんてぶっ潰れちまえばいい」って考えていた私が、最近はプリンセスにならアルビオンを任せても良いかもしれないと思うようになってきてるんだからな」
省36
647: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/05/18(木)01:22 ID:jCKmdbj20(1) AAS
…メイフェア校・浴場…
プリンセス「普段はにぎやかな場所にこうして二人だけで来ると、なんだか新鮮な感じがするわね」
ベアトリス「姫様の気持ち、分かります」
プリンセス「ね? それになんだか二人きりで秘密めいたことをしようとしているみたいで、ちょっと背徳感もあるわ……♪」
ベアトリス「そ、そうですね……///」
省38
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