ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (716レス)
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628: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/01/26(木)02:22 ID:lZu6ski60(1) AAS
…またしばらくして…
ベアトリス「ドロシーさん、撃ち終わりました」
…室内には硝煙の臭いと薄い白煙が立ちこめ、その臭気をごまかすためロンドン市内に立ち並ぶ工場の煙突の一つへと繋がっている秘密の排気口を通じて吸い出されていく……ドロシー自身もウェブリーの射撃を済ませ、ベアトリスが撃った的に残った弾痕を確かめる…
ドロシー「ふぅん、ずいぶんと上手くなったじゃないか」
ベアトリス「ありがとうございます……」いつもなら素直に嬉しそうな顔をするベアトリスが、どこか浮かない表情をしている……
ドロシー「……銃は嫌いか?」
ベアトリス「嫌いです。 だって、撃ったら誰かが死んじゃうなんて……いくら任務のためとはいえ、できれば使いたくありません」
ドロシー「なるほど、そういう考え方もあるだろうな」
ベアトリス「ドロシーさんはどうですか?」
ドロシー「私か? 私は好きだぜ? なぜって、どんなに高慢ちきな貴族だろうが、腕力にモノをいわせて弱いものいじめをするヨタ者だろうが、こんなちっこい弾丸一つで簡単に撃ち殺せると思えばスッキリするじゃないか……しいて言えば、任務以外で好きに使えないのが残念なだけさ」
…冗談めかしてそう言うとリボルバーのシリンダーを開いて火薬の燃焼カスをふっと一吹きし、試験管洗いのようなブラシで銃身の清掃にかかるドロシー……もっとも、ドロシーは口でこそそう言っているが実際は銃の使いどころをわきまえていて、必要以上に引き金を引くことがないのをベアトリスもよく知っている……
ベアトリス「……アンジェさんはどうですか?」
アンジェ「道具は道具よ……それ以上でもそれ以下でもない。必要なら使うだけ」
ベアトリス「ちせさんは?」
ちせ「私にとっての刀か……そうじゃな、もはや身体の一部と言っても良いかもしれぬ」
…三人が射撃の的に向かっている間、一人で型や抜き打ちの鍛錬をしていたちせ……刀のことはよく分からないドロシーたちからするとそう激しい動きには見えなかったが、ちせ自身は集中していたらしく、額はほのかに汗ばんでいる…
ベアトリス「そこまでですか」
ちせ「うむ……しかし私はまだまだ未熟じゃ。 本当の使い手ならば自らの腕の先のように使いこなせるものじゃが、私はまだその境地には至っておらぬからな」ま二つに斬り捨てられたわら束を前にして、それでも反省している様子のちせ……
ドロシー「やれやれ、その腕前で「まだまだ」なんて言われちまうとな……こちとらは立つ瀬がないってもんだぜ……♪」
…数分後…
ドロシー「さて、それじゃあもう一度格闘の訓練をしよう……動いて身体も暖まってきただろうから、今度はもうちょっと実戦的なやつでいこう。 特にこうした屋内での格闘となると、知恵次第で色々と戦いようがある……アンジェ」
…ベアトリスを手伝わせて並べた色々な家具やちょっとした調度は、どれもイースト・エンドの貧民街ですら使うのが恥ずかしいようなものばかり揃っている……粗末な木のテーブルは脚の長さがまちまちで、椅子の方はテーブルとは反対の側にかしいでいる……テーブルに敷いてあるテーブルクロスは雑巾にするのも考え直したいほど汚れていて、そこに載せてある皿やカップはひびだらけで、うかつな所を持っただけでバラバラになりかねない…
アンジェ「ええ……例えば不意に襲われた時に室内を見わたしたり、ポケットやバッグをあさって武器になるような道具が一つもない……そんなことはまずあり得ない」
ドロシー「アンジェの言うとおりだな。例えばこの鍵だが、こうして拳から突き出すように握り込む……で、相手の目や耳の後ろを狙って殴りつける」
アンジェ「もし鍵がなくても、小さな木切れや外したドアノブでもいい」
ドロシー「ティーソーサーを円盤投げみたいに相手の喉元に投げつけたっていい」
アンジェ「暖炉の火かき棒なんかは武器として充分に使えるわ」
ドロシー「ま、とにかくやってみよう……私は得物なしでいくから、手近な物を使って手向かってみろ」
ベアトリス「はい……!」
ドロシー「……はぁっ!」唇の端に不敵な笑みを浮かべていたかと思うと、急にベアトリスへ拳を叩き込むドロシー……
ベアトリス「う……っ!」
…あわてて何か取ろうとするが、その余裕もなく強烈なパンチを叩き込まれる…
ドロシー「おいおい、そんなんじゃあやられちまうぞ……もっと早く、何でもいいからひっつかめ!」
アンジェ「室内にいるときは、常に何を使って闘うか考えておくことね」
ドロシー「もっとも、あんまりそういうことばっかり考えていると人相が悪くなるからほどほどにしておけよ? 特にお前さんはプリンセスのお付きとして「目立たないこと」が役割なんだからな」
アンジェ「だからといってそうした用心をおろそかにしていいということではない……常にプリンセスや自分の身の安全のため、さまざまな物事に気を配りなさい」
ベアトリス「うっ……く……はい、分かりました……」拳を叩き込まれた部分をさすり、喘ぎあえぎ立ち上がる……
ドロシー「よーし、よく立ち上がったな……それじゃあもう一回行くぞ?」
ベアトリス「はい……っ!」
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