[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ11 (479レス)
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133: 2008/01/03(木) 14:16:00 ID:6LcXOCGH(6/6)調 AAS
134: 2008/01/03(木) 14:16:00 ID:M5IsZvAT(3/14)調 AAS
135: ボクのセカイをまもるヒト(前編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:16:54 ID:ru52p/us(10/27)調 AAS
(マタタビは仲間や。そのマタタビを襲ったんは、シンヤさんや。だから)
この会場で初めて顔を合わせたクロ知り合いであり、ともに温泉修繕もしたマタタビ。
ほんの数十分前に出会い、クリスタルを渡していない以上まだ正式に仲間とは言えないシンヤ。
どちらも仲間という枠組みに入るとして、比重を置くべきはどちらか。
決まっている。マタタビだ。
「なら、排除すべきはシンヤさんやな」
言ってはやては、路上に散りばめられた物品の中から、一本ののこぎりを手に取った。
マタタビが大工道具としていた刃物を、『我々に害を成す相羽シンヤを排除するため』の道具として。
ゆったりと、幽鬼のような歩調でシンヤの下に向かう。
「ぐ……ああああああああああああああああああああああああ!!」
歩み寄る間、マタタビの絶叫が響き、そのままシンヤに投げつけられ、電柱に激しくぶつかった。
今度は、起き上がってこれない。死んだのか、マタタビの意識は闇に没していた。
しかし、はやては意に関さない。ただ一点、『排除』という行為に没頭し、シンヤに凶気の矛先を向けている。
その形ある殺気に、シンヤが気づかぬはずもない。
「仲間がやられた腹いせかい? まったく人間ってヤツは……さすが、虫ケラと呼ばれるだけのことはあるよ」
「やめてくださいシンヤさん! 約束したじゃないですか、もう人殺しはしないって!」
「ああ。だがこうも言っただろう? クリスタルを持った奴と、襲ってくる奴は、別だとね!」
状況の把握に追いついたゆたかと数秒会話し、シンヤははやての襲撃に備えた。
敵が構えようと構えまいと、はやての移す行動に変化はない。
瞳を朱色に充血させ、脳神経に刻み込まれた命を遵守する。
のこぎりを大きく振り上げ、走った。
「ごめんな、やっぱさっきのなし。排除させてもらうわ」
木屑の残る刃が太陽に反射して、ギラリと光る。
猟奇殺人者のような構えから、純粋な殺意が窺えた。
それを見ただけで怖気を走らせるゆたかと、悠然と構えるシンヤ。
襲うはやて。
互いの距離はあっという間に詰まり、そして、
「ゲホッ!?」
次の瞬間には、鳩尾に膝蹴りを喰らうはやての姿があった。
「遅いな。これなら、さっきのネコのほうがまだマシだったよ!」
襲撃のタイミング、殺意の放ち方、距離の詰め方、どれをとっても一般人の域を出ないはやてに、シンヤの酷評が飛ぶ。
はやてはそんな評を頭に入れることもできず、痛みに悶絶し、のこぎりを手から取りこぼし、その場に蹲った。
魔導師としてはSSランクに格付けされているはやてだったが、直接的戦闘能力は低い。
彼女の実力は守護騎士システムやデバイスの助力あってのものであり、ガチンコなら六課新人メンバーにも劣る、というのは本人の弁だ。
魔法を用いない格闘戦ともなれば、なおさらはやての勝ち目は薄い。
本領を発揮していないとはいえ、相手がラダムのテッカマンともなれば、その勝算はさらに薄れる。
だからといって、<ギアス>により仕立て上げられた殺意は抑えられるものでもないのだが。
「大人しくクリスタルを渡しておけばよかったものを……俺に牙をむいたことを後悔するんだね」
「がはっ……」
シンヤははやての首根っこを掴み、腕の力だけでその身を持ち上げる。
人間を超越した握力が、はやての呼吸器官を圧迫する。
136: 2008/01/03(木) 14:17:01 ID:M5IsZvAT(4/14)調 AAS
137: 2008/01/03(木) 14:17:43 ID:d3wmFzfX(1)調 AAS
138: 2008/01/03(木) 14:17:48 ID:v8aVOay+(3/13)調 AAS
139: 2008/01/03(木) 14:18:17 ID:M5IsZvAT(5/14)調 AAS
140: 2008/01/03(木) 14:18:40 ID:HyOAdIpc(2/4)調 AAS
141: ボクのセカイをまもるヒト(前編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:18:41 ID:ru52p/us(11/27)調 AAS
「やめてくださいシンヤさん!」
「聞けない相談だね。この女は未だに殺意を向けている。いま殺さなければ、また襲ってくるのは確実だ」
右手に込める力を強め、蛙の鳴き声のような音が響いた。
朦朧とする意識の奥で、はやてはシンヤの閻魔顔と、それに泣きながら縋るゆたかを見る。
声を発すことはできない。どころか、呼吸もままならない状況だ。
(痛い。苦しい。なんで? なんで私、こんな目にあっとるん?)
本能が、脳に問いかけた。
脳は、本能に答えた。
邪魔者を排除するためだ、と。
(いやいや……無理やろ、それ。力の差なんて、歴然やん)
そこまで思って、はやての身は乱暴に投げ捨てられた。
体を地面に強く打ち、薄れていた意識が覚醒される。
全身を駆け巡る痛みが、はやての再動を容易としなかった。
「ふん。なら、おまえの手でケリをつけるかい?」
「え?」
咳き込むはやてを尻目に、シンヤはゆたかに対し提案する。
「この女が二度と襲ってこないよう、始末をつける必要がある。だが俺がそれをやれば、この女は死んでしまうだろうね」
「そ、それは駄目です!」
「ならおまえがやるんだ。この女がもう俺たちに襲ってこないよう、死なない程度に対策すればいい」
「そんなの、どうやって……」
「武器ならそこら中にある。四肢をもぎ取るでも、目を潰すでも、好きにすればいいさ」
路上に転がるのこぎりや釘、使い方によっては十分な凶器となる大工道具の数々を見て、ゆたかは狼狽する。
自身に与えられた役割の重さを思い、途端に足が竦んだ。そのままへなへなと崩れ落ちてしまう。
「ふん……兄さんに守られていたような娘には、少し意地悪な提案だったね。まあいい、どのみちこの女は殺すさ」
茫然自失するゆたかの横を通り過ぎ、シンヤは再びはやてに殺意を向けた。
乾いたアスファルトを一歩、靴音が打ち鳴らす。散らばった釘を踏みつけて、金属的な音も鳴った。
音量は一定感覚で上がっていき、はやてへの危険信号となって聴覚を駆け巡る。
シンヤとの距離が近づくにつれ、はやての柔肌に震えが走った。
同時に、今朝方味わったばかりの恐怖体験を思い出す。
悪意と欲望に満ちた、男性の狂気というものを。
「いや……」
訪れたのは、恐怖。
レリック事件を追っていた際、もっぱらの敵となっていたガジェットドローンのような機械ではなく。
魔導師としての鍛錬を積んでいた期間、厳しくも的確な指導を施してくれた身内のものでもない。
あのとき、裸身の自分に襲い掛かった男のような……悪意ある人間の、狂気。
突き刺さる感情は、ダイレクトにはやての脳髄を襲った。
「いやや……こな、こない、で……」
142: ボクのセカイをまもるヒト(前編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:19:52 ID:ru52p/us(12/27)調 AAS
――ここで、<ギアス>対象者における一つのケースを挙げておく。
ある博愛主義者の女性がいた。その女性は、<ギアス>によって『虐殺』を命じられた。
<ギアス>とは絶対遵守の力である。当然その女性は虐殺を実行したが……当初は、それに抗ったのである。
<ギアス>の拒絶。絶対遵守とされる力に、唯一人間の意志が抗った、一種の可能性だった。
このケースから鑑みれるのは、強い意識は時に<ギアス>を凌駕するということである。
さきほどのマタタビの例もそれに当てはまる。
本来<ギアス>の対象にはならない非人間、獣であることを抜きに考えても、怒りという感情は<ギアス>看破の一因となった。
もっとも彼の起こした行動は、理念こそ不明なれど『排除』という元々の命令に背いてはいない。
マタタビに関して、真に<ギアス>の拒絶に成功したかどうかといえば、事実は知れない。
ただ、八神はやての場合。
シンヤの放つ殺気、過去のトラウマ、双方から発生する恐怖。
もしくは、命令遂行に対する成功確率を悟ったか。
それらの感情が、『排除』という思考を塗りつぶし、はやてに『戦意喪失』という結果を齎した。
これが<ギアス>を看破したと言えるのかどうかは、定かでない。
「こないでぇぇぇぇぇ!!」
涙ぐみながら叫ぶが、シンヤは足を止めはしなかった。
無手のまま、しかしその手には鋭敏な殺意を宿し、はやての首元に手が伸ばされる。
振り払う気力はなく、震えのせいで微動することすらままならなかった。
「――――」
顔面を蒼白にして、はやては声にならない絶叫を上げた。
と、
「ッッつ!?」
シンヤの姿が、急に消えた。
いや、“吹き飛ばされた”。
クレア・スタンフィールドの飛び蹴りを受けて。
◇ ◇ ◇
143: 2008/01/03(木) 14:20:04 ID:M5IsZvAT(6/14)調 AAS
144: 2008/01/03(木) 14:20:12 ID:v8aVOay+(4/13)調 AAS
145: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:21:17 ID:ru52p/us(13/27)調 AAS
クレア・スタンフィールドは、憤慨していた。
理由はただ一つ、大工仕事を教えてくれた猫が殺され、惚れた女が殺されそうになったからだ。
「おまえは、さっきの」
クレアに蹴り飛ばされ地を滑ったシンヤが、起き上がり様に言う。
「『線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)』って知ってるか?」
腰に巻いたタオルを風にはためかせて、クレアがシンヤに向けて言う。
「列車の後を追いかける怪物の話だ。そいつは闇に紛れて様々な形を取りながら、少しずつ列車に近づいてくる。
列車に追いつくとだ。そいつは車内の人間を一人ずつ消していく。そして最後にはみんな消えて、列車自体がなくなってしまう。
で、その『線路の影をなぞる者』が来ちまった場合なんだが、助かる方法が一つだけある。なんだと思う?」
「……なんの話をしている」
シンヤとクレア、双方ともに睨み合い、片方は憮然として、片方は鼻を鳴らした。
「ま、今は日中だがな。それに、辺りには列車どころか線路の一本も見当たらない」
クレアは自嘲気味に笑うと、チラリと視線を横に向ける。
座り込んだはやては、上目遣いでクレアを見上げ、声も出せずに口を開いている。
安心すると同時に、怒りは増した。
「なら『線路の影をなぞる者』を名乗るのはちょっと違うな。じゃあ普通に『葡萄酒(ヴィーノ)』でどうだ?」
「なんの話か、と聞いている」
クレアの言葉に、見るからに苛立つシンヤ。
しかし構わず、クレアは話を進める。
「いや、よく考えたら『葡萄酒』なんて名は裏の人間じゃなきゃ知らないか。なら別にいいや、ただのクレアで。
俺と、俺の世界と、俺の世界の中心に席を予約している女を汚したおまえを殺す、クレア・スタンフィールドで」
「……気にいらないな!」
シンヤが仕掛ける。
無手のまま走り出し、同じく無手、どころか身につけたものはタオル一枚というクレアに対し、拳を放つ。
クレアはそれを余裕で避け、顔面の横にきたところで手首を掴み取った。
「焦るなよ。これは俺なりの慈悲ってやつだ。俺はおまえを殺すが、さすがに名も知らない人間に殺されるのはかわいそうだろう?」
「俺が、おまえに殺されるって? はっ、随分とおもしろいことを言ってくれるじゃないか……人間ごときが!」
右腕を掴まれたまま、シンヤが蹴りを放つ。
が、その蹴りは空を切り――どころか、勢いづいて一転してしまう。
気が付けば、シンヤの体は宙を舞っていた。
それがあの一瞬、シンヤの足の動作を見切り、クレアが腕の力だけでシンヤを投げ飛ばした結果だった。
宙を舞ったシンヤは、驚きの表情で着地し、すぐに歯噛みする。
自身の放った蹴りを、ありえない方法で回避された事実、それに悔しさを覚えるかのように。
しかし、逆に驚嘆したのはクレアだった。
「よく着地できたな。かなり回転を加えたつもりだったんだが」
「そっちこそ、人間にしてはいい動きをするじゃないか」
146: 2008/01/03(木) 14:21:25 ID:a+HUIujO(2/2)調 AAS
147: 2008/01/03(木) 14:21:30 ID:M5IsZvAT(7/14)調 AAS
148: 2008/01/03(木) 14:22:02 ID:v8aVOay+(5/13)調 AAS
149: 2008/01/03(木) 14:23:10 ID:HyOAdIpc(3/4)調 AAS
150: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:23:11 ID:ru52p/us(14/27)調 AAS
互いに賛嘆ではあったが、クレアからは余裕、シンヤからは苛立ちの感情が窺える。
「クレアさん……どうして?」
火花を散らす男二人に、脱力したままのはやてが声だけで割り込む。
先ほどの邂逅、クレアは<ギアス>の命ずるままに、エリア中心部へと向かったはずだった。
はやてが<ギアス>の事実を知らないにしても、クレアがここに舞い戻ってくる理由はないと思い込んでいた。
しかしクレアは、はやてのピンチという絶好のタイミングで駆けつけ、エリア中心部へ向かう足を止めている。
「マタタビの悲鳴を聞いた。それで、予感したんだ。あの二人のどちらかが、『我々に害を成す存在』だったんじゃないかってな」
あのときは、はやての側にいる時点で、勧誘対象とも排除対象とも見なしていなかった。
だがその後、響いてきたマタタビの悲鳴。
エリア中心部へ向かう過程、我々に害を成す存在、二つのキーワードが咄嗟に頭を焼き、さらに、
「それに、はやてのことが心配だったしな」
――これが、クレア・スタンフィールドがこの場に舞い戻った最大の要因である。
先の段階でマタタビがシンヤを『害成す存在』だと判断したように、『エリア中心部を目指せ』という命令は、あくまでもクレア個人へのものである。
よって、クレアがはやてやマタタビを置いて、一足進んだのは道理。
しかし実際のところ、クレアははやてやマタタビと完全に距離を取っていたわけではない。悲鳴が聞こえる範囲に留まっていたのだ。
これはひとえに、『エリア中心部へ向かう』という命令の同列に、『はやての安全を確保する』という意志があったためである。
もちろん、はやての身を案じることに関しては、<ギアス>の力は関与していない。これはあくまでも、クレアの意志である。
優先度で言えば、はやてを置き去りにしてでもエリア中心部を目指すだろう――それが、クレア以外の人間だったら。
クレア・スタンフィールドという男は、激しく自信過剰である。世界は俺のために回っている、と思えるほどに。
そんなクレアに、『Aを優先するためにBを蔑ろにする』なんていう選択肢は存在しない。
取らないのではなく、『端から用意されていない』のだ。
『エリア中心部へ向かうためにはやての危険を見過ごす』よりは、『はやても助けてそれからエリア中心部へ向かう』。
客観的に見れば優先事項が逆転し、<ギアス>を凌駕しているようにも思えるが、クレアにとってはそんなことはない。
はやてを助けてそれからエリア中心部へ向かっても、時間に差異は生じない。
なぜなら、彼の世界はそういう風にできているから。
簡単に説明するならば、クレアが馬鹿だから。
世界は自分に都合がいいようにできていると、心の底から思い認識しているからこそ、優先順位なんてものが生まれず、<ギアス>にも矛盾しない行動を取る。
付け加えれば、こうやってシンヤと対峙していることも、我々(=マタタビとはやて)に害を成す存在を排除する(=殺す)という命令に帰結する。
すべてが同価値であり、等しくこなせる(と思い込んでいる)からこそ、クレアはここに立っている。
「ふんっ、要は女のためってことだろう。人間にしてはやるようだが、戦う理由はまったく馬鹿らしいね!」
「それは違うぞ。おまえを殺す理由は、はやてを守る以外にも二つある。
一つ、おまえが俺たちに害を成す存在であり、なんだか排除しなくちゃいけない気がするから。
二つ、おまえは俺に大工のイロハを教えてくれたマタタビを殺した。
それに、女のために戦うのはおまえも同じじゃないか。照れ隠しか知らんが、そんなこと言ったらその娘も傷つくぞ」
そう言って、クレアは道路脇で硬直したままのゆたかを指差した。
いきなりの注目に、ゆたかがおっかなびっくりした声をあげる。
「えと……あの……違います……わたしと、シンヤさんは、その……」
なぜか、顔が赤くなっていた。
「あー、なるほど」
「……なにを言っているのかわからないが、侮辱と受け取っておこう」
「おまえあれだろ? その娘に片思いしてるんだろ? もしくはその逆か。わかるぞ、俺も絶賛片思い中だから」
的外れなことを言うクレアに、ついにシンヤの怒りは臨界点を迎えた。
151: 2008/01/03(木) 14:23:21 ID:v8aVOay+(6/13)調 AAS
152: 2008/01/03(木) 14:24:52 ID:v8aVOay+(7/13)調 AAS
153: 2008/01/03(木) 14:24:58 ID:M5IsZvAT(8/14)調 AAS
154: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:25:31 ID:ru52p/us(15/27)調 AAS
「死ねッ!」
瞬時に斧を抜き取り、クレアに襲い掛かる。
クレアは足元に転がっていたのこぎりを拾い上げ、シンヤの放つ一閃を防ぐ。
体重を乗せた重い一撃が、のこぎりの薄い刃にぶつかるが、その衝撃は破壊には至らない。
「武器を振るならそんながむしゃらに振るな。力に任せるだけじゃ斬れるものも斬れないぞ」
のこぎりは刃こそ備わってはいるが、その本質は人を斬る武器ではなく、木材の切断に用いられる工具である。
それが斧を、テックランサーの衝撃に堪えうるなど、普通では考えられない。
が、そこは『葡萄酒』としての技量が勝った。クレアは斧の一撃をただ漫然と受けるのではなく、衝撃が反れる方向に流したのである。
「調子に乗るのも!」
斧の重量に負けず、シンヤは軽快な動作で二撃目に入る。
するとクレアはなにを思ったか、のこぎりを投げ捨て、無手の状態でシンヤを待ち構えた。
斧が縦一閃に振り下ろされる。その先にクレアはいなかった。
「なっ!?」
敵を見失い、シンヤは斧を振り下ろし切る前に手を止める。
すぐに後ろを振り向くが、クレアの反応速度はそれをも凌ぎ、
「がっ!?」
顔面にワンパンチ。一瞬だけ垣間見えた拳が視界を塞ぎ、暗転する。
血の痰を吐きすぐに目を開くが、その僅かな時間で、クレアはまたもや姿を消失させていた。
また後ろか――直感で振り向くシンヤに、
「プレゼントだ」
声は、上から浴びせられた。
反射的に、シンヤは斧を上空へ。
しかしその頃にはクレアは明後日の方向に着地しており、刃はまた虚しく空を斬る。
「似合ってるぞ」
クレアは含み笑いを浮かべながら、シンヤの頭部を示した。
そして気づく。いつの間にか――おそらくは二撃目を跳んで避けたときか――シンヤの頭部に、古びた赤いバイザーが乗せられていることに。
店長、と日本語で記されたバイザーを握りつぶして、シンヤは歯軋りする。
もはや怒りを言葉に表現するのももどかしくなって、シンヤは阿修羅の形相で挑みかかった。
「やれやれ」
余裕綽々で溜め息をつくクレア。シンヤが迫っているのもお構いなしに、足元に散らばった工具の中からある木片に目をやる。
腰を曲げ、その木片を掴み取り、姿勢を戻した頃には、シンヤが眼前で斧を振っていた。
クレアは斧が握られた手首を狙い、“足の動作だけで”蹴りを入れた。
155: 2008/01/03(木) 14:26:32 ID:M5IsZvAT(9/14)調 AAS
156: 2008/01/03(木) 14:27:04 ID:v8aVOay+(8/13)調 AAS
157: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:27:19 ID:ru52p/us(16/27)調 AAS
「!?」
瞬間、シンヤは諸手に痺れを覚え、両手でしっかりと握っていたはずの斧が、上空に蹴り飛ばされたということを悟った。
認めがたい。が、さっさと認めて次の行動に移らなければ、この男に後れを取る。そこまで、考えて。
結果的に、シンヤはクレアに後れを取った。
「言ったろう。振るだけじゃ駄目だって」
次の瞬間にはもう、クレアは無手となったシンヤの後ろに回りこみ、右腕を右脇から差し込み首ごとロック、左腕はピンと伸ばされた状態で、全身を拘束した。
右腕は天へ、左腕は左方へ、シンヤは正面から見て『ト』のような形に固められる。
シンヤは持ち前の怪力で抗うが、締め方が巧妙なのか、単純にクレアの力が上をいっているのか、ビクともしなかった。
敏捷性、そして腕力。テックセットをしていないとはいえ、純粋な身体能力で人間に劣っているという事実に、シンヤは驚きを隠せないでいた。
宙に舞った斧が落ち地に突き刺さる頃、優勢に躍り出たクレアが声を発す。
「あの世にいるマタタビに怒られてしまうかもしれないが」
それはシンヤにではなく、他意のない独り言のようだった。
力任せに抗うシンヤを嘲笑うかのように、クレアは右手を、シンヤの左手首に伸ばす。
結果、シンヤの右脇と首がさらに締まり、呻きが漏れる。
「よく考えれば俺は本職ではないし、問題はないはずだ」
シンヤの長袖を肘の辺りまで捲くり、手中に収めていたそれを、握りなおす。
シンヤを拘束する前に、足元から拾った、マタタビの忘れ形見の一つを。
「きっ……さま、なに、を……」
ままならぬ声で、シンヤが問う。クレアは意に関さず、“それ”をシンヤの右手首に添える。
あのとき拾い上げた木片――大工道具の一種――小サイズの『鉋』を。
手首から肘にかけて、一気に引く。
「がああああああああああああああああああ!!」
さすがのシンヤも、雄叫びを上げた。悲痛が十割を占める、滑稽な叫びを。
鉋によって削り取られた皮膚が、鮮血を纏いながらひらひらと舞う。
薄い布状のそれは、鰹節とは違う悪臭を漂わせていた。
「さて、もう一度だ」
シンヤの腕に刻まれた赤いライン。その隣をなぞるように、クレアがまた鉋をかける。
職人が木材にかけるのと同じように、右腕の皮膚は綺麗に削れた。
二度目の悲鳴。
飛び散った鮮血で、濡れる頬。
血を浴びたクレアの胸中には、愉悦。
その見るも無残な光景に、端で傍観者を務めていたゆたかは、卒倒した。
「もう一度」
最初に刻まれたラインの、今度は逆側から鉋をかける。
仕事の出来は先ほどと変わらず。マタタビに教え込まれた技術は、シンヤに苦痛を与えるための術として生きた。
と、四回目に移ろうとしたところで、クレアが違和感に気づく。
「削り具合がいまいちだな。さすがに血で錆びちまうか」
158: 2008/01/03(木) 14:27:49 ID:4+upKHP6(1/7)調 AAS
159: 2008/01/03(木) 14:28:17 ID:HyOAdIpc(4/4)調 AAS
160: 2008/01/03(木) 14:28:29 ID:M5IsZvAT(10/14)調 AAS
161: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:28:58 ID:ru52p/us(17/27)調 AAS
残念そうに鉋を放り捨てると、シンヤの拘束を解き、前方に蹴り飛ばした。
左腕を押さえながら倒れるシンヤ。体感したことのないような惨たらしい痛みは、即座の反撃を不可能にした。
その間、クレアは鉋の変わりとして、散らばった大工道具の中から新たな得物を二、三点物色する。
「ぐっ、ぐぐ……」
プライドから、痛覚と一緒に呻きすらも抑え付け、シンヤは再度クレアに向きなおった。
左腕はなおも出血中で、使い物にならない。クレアに対する憎悪だけが、行動を起こす動力源となった。
挑発にあてられ、怒りのままに攻撃をしかける。獣性を帯びた狂気は、冷静に殺しを遂行する『葡萄酒』には通じない。
「きさ――!」
「馬鹿みたいに口を開けすぎだ」
クレアは手に取った数点の大工道具の中から一際小さなそれを選択し、向かってくるシンヤに振る。
シンヤの口内から、小石のようなものがいくつか、勢いよく排出される。
歯だった。
クレアが振るったのは、小さな木材を切り分ける際に用いられる糸鋸。
先に放った一振りで、クレアはシンヤの歯を、歯茎ごと、歯神経ごと刈り取った。
腕削りに勝るとも劣らない激痛が、シンヤの身を蹂躙する。
倒れ込み、今度はすぐには起き上がってこれない。
クレアはそんな敵を、失望混じりの紅い瞳で見つめる。
「もうおしまいか? おまえはマタタビの追悼代わりに、あいつの仕事道具で痛めつけてやろうと思ったんだが。
とりあえず、その削った右腕。神経が覗いてるだろう? 今からそこに釘を打ち付け、骨に通す。
その後は丁寧にやすりをかけてやる。鉄鑢もいいが紙鑢でだ。あっちのほうが綺麗に仕上がるからな。
で、その後はのこぎりで切り分けて、マタタビの墓を作るための材料にしてやる。あいつは嫌がるだろうがな」
淡々とした口調で、クレアは凄惨極まりないプランを述べる。
死刑宣告とも取れるセリフを、シンヤは蹲ったまま聞き、反撃も逃走も選べない。
路上の端のほうで、青ざめたゆたかが倒れていた。
クレアの後方で、はやては一切目を背けることなく、一部始終を見ていた。
そして、
◇ ◇ ◇
162: 2008/01/03(木) 14:29:23 ID:4+upKHP6(2/7)調 AAS
163: 2008/01/03(木) 14:30:19 ID:4+upKHP6(3/7)調 AAS
164: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:30:26 ID:ru52p/us(18/27)調 AAS
八神はやては、思い出す。
自分がここに到達するまでの道のりを。あの日――闇の書事件の頃から、順に。
(なのはちゃんとフェイトちゃんがいなかったら、今の私はなかった)
あの頃のはやては、誰かに支えられながら生きてきた。
いや、それは現在も同じだが、決定的な差は、誰かの支えなしでは生きられなかったということだ。
守護騎士たちによるリンカーコア蒐集……当初は知らぬ事実だったとはいえ、闇の書事件の責任の一端ははやてにある。
はやてが己の能力を自覚し、時空管理局に勤め、自分の部隊を持つという夢を志すようになったのも、あの事件が発端だった。
(でも、私はなんで自分の部隊を持ちたいと思ったん? どうして、あんなに頑張ろうとしたんやろ?)
罪悪感。時空管理局の体制に疑問を感じたから。親友と同じ舞台に立ちたかったから。
いや、違う。これは夢を志す上での一端にすぎない。根底は、もっと単純なことだったはずだ。
(ああ……そっか)
思い出す。
リィンフォースとのお別れを。
歩けるようになったあの日、手を差し伸べてくれた友人と家族を。
部隊宿舎が完成し、正式に機動六課が立ち上がった際、お祝いしてくれた仲間たちを。
(私は、恩返しがしたかったんや。私を支えてくれた、たくさんの命の恩人に)
――記憶を反芻する傍ら、朱色の双眸は、残酷な光景を描写していた。
こんな自分に、結婚してほしい、と言ってくれたクレア。
その男が、はやてを襲った男、相羽シンヤを虐待している。
「やめ……やめて……クレアさん……もう、やめて……」
普通なら聞き漏らしそうなか細い声を、クレアはわざわざ拾って返してくれる。
「駄目だ。こいつはマタタビを殺し、はやてを傷つけた。排除しなくちゃな」
朱色に染まった瞳で返す言葉は、はやての期待とは違った。
(違う。あの人は自分で自分のこと殺し屋言うてたけど、あんな酷いことする人やない)
なにかがおかしい、と、はやては思った。
同時に。このおかしな状況を、なんとかして打開したい、とも。
(だって、だってクレアさんは……私を夢から覚まさせてくれた人なんやから)
神父に汚された、確固たる意志。
少年に乱された、はやてという存在。
無理矢理立ち上がろうとした、偽りの自分。
それら逸れつつあった方向性を、求婚という方法で修正してくれたのが、クレアだった。
(ははっ……こういうの……つり橋効果、っていうんやろな)
自嘲気味に笑い、瞳の朱色が、僅かに薄れた。
(私、昔からそうや。みんなに支えられ続けたせいやろか……誰にでも恩を感じてしまうんやなぁ)
165: 2008/01/03(木) 14:31:49 ID:M5IsZvAT(11/14)調 AAS
166: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:31:55 ID:ru52p/us(19/27)調 AAS
心の中で、なにかが渦を巻いている。
つよいつよい、なにか。
それはときに捻れて、ときに伸びて、結局ねじれる。
ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。
目まぐるしい。まるで、今までの自分みたいだ。
感情って、回って、廻って、元に戻るものなんだ。
(なんか、スッとした。理解したら、うん、スーってなった)
神父の言葉は、今でも鮮明に覚えている。
だけどあのとき感じた不安は、まったく思い出せなかった。
(変わらへん。変わらへんよ私。私は一人じゃ駄目な子なんや。だからせめて、私を支えてくれた恩人たちに)
瞳から、完全に朱色が消えた。
クレアの行為、それを否定する本能、上回る感情。
絶対遵守の力を凌ぐほどの、強い意志。
ひょっとしたらこれこそが、螺旋王が求めた、真の螺旋力と言えるのかもしれない。
「クレアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
たぶん、あれは言葉で言っても無駄だ。
だから、言葉よりも行動に移そう。
そうすればきっと捻じ伏せられる。
ショック療法だ。
「なっ、はや――っ!?」
釘とトンカチを手にシンヤへと歩み寄ろうとしたクレア、その後ろから、はやてが猛然と迫る。
振り向き様、はやての鬼気迫る形相に唖然としたクレアの身が、僅かに停止する。
無防備になったクレア。
その唇に、
はやては、
自分の唇を、
強引に押し当てた。
「……っ!」
(せいいっぱい、恩返さへんでどうするねん!)
一秒か、もしくはそれよりも短い時間。
はやてとクレアは、互いの唇を合わせた。
「…………はっ!」
そして、唇を離す。
顔から火が出そうな思いだった。
「ぷ、プロポーズの返事!」
やけくそ気味に言い放ち、クレアは顔を赤くしてそれに答えた。
言葉にして返事が返せるほど、クレアに余裕はなかった。
あのクレアから、“余裕”を奪ったのだ。
167: 2008/01/03(木) 14:32:13 ID:4+upKHP6(4/7)調 AAS
168: 2008/01/03(木) 14:32:28 ID:M5IsZvAT(12/14)調 AAS
169: 2008/01/03(木) 14:32:33 ID:v8aVOay+(9/13)調 AAS
170: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:33:39 ID:ru52p/us(20/27)調 AAS
「き、キスだけじゃわからへん!? なら、もっとスゴイことしたろか!?」
視線が思わずクレアの股間部に向き、ボッと顔が熱を持つ。
ああもう、完璧にやけくそだ。
はやては数時間に渡る下着消失のさらに上をいく羞恥に、言葉を詰まらせた。
「……や、やっぱ、ぁ、じょ、じょーだん、で、ぇ、す……」
たどたどしい口調で、すぐに申し出を訂正する。
クレアは残念がるでもなく、ただ以前と変わらず唖然とした顔を浮かべていた。
ただ一点、変わった部分が一つ。
これは双方とも気づかなかったことだが……クレアの瞳から、朱色が失われていた。
「せ、せせ、せせせせやけどそれは夢やー!」
恥ずかしさを紛らわすように、はやてが叫んだ。
「や、夢やない、けど、現実で、えと、その、ゆめ? ええい、とにかくクレアが見とるんは夢や!
なんやようわからんけど……私もマタタビもクレアもみんな、なんか間違ったことしてたんが夢なんや!
それで私の夢は自分の部隊を持つことで、そんでみんなに恩返しを……って、あー、ちゃう!
そうやなくて、そうやなくてぇ、私が、私が言いたいことはぁ…………んぐっ!?」
整然としないセリフを制して、瞳の色が戻ったクレアは、自らはやての唇を塞いだ。
なにも喋れなくなって、しかしそのまま口付けを受け入れ、腕は自然にクレアの背中に回された。
目を瞑って、しばしの時間を分かち合う。顔の赤みなんて、もう気にしてられなかった。
「ん……っは…………んむっ…………」
数分、もしくは数時間、唇を重ね合っていただろうか。
抱擁を解き、名残惜しそうに互いの口が離れる。
真っ赤になった顔面同士を照らし合わせ、言葉を先んじたのはクレアだった。
「わかるさ。俺のことが、好きで好きでたまらないってことだろ?」
「……………………バカ」
「ん? 間違ってたか?」
「…………………………………………バカ」
「ん?」
「………………………………………………………………バカ」
もう駄目だ。もう一言も喋れない。
この瞬間、恥ずかしさは度を越えると人が殺せるのだと、はやては初めて知った。
「夢か。確かに夢だったのかもしれないな。なにせ、俺とはやてはあの放送がきっかけで出会ったんだから。
その俺が、あの放送の内容を、はやての言葉を忘れて虐殺に走るなんて、するはずがない。
ま、マタタビの仇というのもあるが、それは別の話だ。俺はどうにかしてた」
クレアは、人が変わったかのように狂気を収め、手に持っていた釘とトンカチを捨てた。
空いた手で、はやての体を抱きしめる。
はやても、それに応えた。
これまでの過ちや、後に控える厄介ごとは全部忘れて、この幸せを、このときだけの幸せを堪能する。
二人は、紛れもなく世界の中心に立っていた。
171: 2008/01/03(木) 14:33:59 ID:4+upKHP6(5/7)調 AAS
172: 2008/01/03(木) 14:34:03 ID:ieThRa/A(6/7)調 AAS
これ削除依頼だしとけよ
173: 2008/01/03(木) 14:34:18 ID:M5IsZvAT(13/14)調 AAS
174: 2008/01/03(木) 14:35:06 ID:v8aVOay+(10/13)調 AAS
175: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:35:08 ID:ru52p/us(21/27)調 AAS
「……ククク」
その世界に踏み入る、小悪魔のような嘲り笑いが一つ。
「愛だなんだの……人間というのは、結局それか!」
痛みに倒れ伏していた、相羽シンヤだった。
口内と左腕の傷はそのまま、余裕のない顔に、再び狂気を孕もうとしていた。
「おい、まだやるのか? もうおまえを殺す理由はなくなったんだが」
「残念だけど、そういうわけにもいかないんだよ……」
「人の恋路を邪魔すると、馬に蹴られて死ぬぞ」
「知ったことか!」
吼え、シンヤは天高く右腕を上げた。
その手中には、いつの間にかデイパックから零れ、先ほど倒れたときに回収した、水晶体。
彼が求め、この闘争の引き金となった、魔性の機具。
兄、相羽タカヤとの因縁に決着をつけるのに、必要なもの。
「テックセッタァァァァァ!!」
掲げたテッククリスタルが、赤黒く発光した。
◇ ◇ ◇
176: 2008/01/03(木) 14:35:13 ID:Vm2BHTV0(1)調 AAS
なにこの駄文
177: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:36:14 ID:ru52p/us(22/27)調 AAS
八神はやてとクレア・スタンフィールドは、見上げた。
遥か頭上、空に浮かんだ悪魔の姿を。
それが、テッククリスタルを用いて相羽シンヤが変貌した姿だと、知った上で。
「ハハハハハッ! 馬に蹴られて死ぬだって? いいさ、存分に蹴ればいい!
馬なんかにこの俺が、このテッカマンエビルが殺せるって言うんならねッ!!」
感想など、出てこなかった。
ただ二人の脳裏には、序幕の際に螺旋王と争い、散っていったテッカマンランスの姿が思い起こされる。
シンヤのあの姿はたぶん、テッカマンランスと同じものなのだろう。直感でそう悟った。
悟り、シンヤが次になにを仕掛けてくるかは容易に想像できたが、特別なにをしようとも思わなかった。
「礼を言うよ。俺たち兄弟の肥やしになってくれたことをね。そして、これが別れの言葉だ。エビル復活の祝砲でもある、ね」
反抗も、逃走も行わず、されど諦観に徹したわけではない。
クレアの瞳からは、一分の隙もない余裕が。
はやての瞳からも、涙混じりではあったが同様のものが。
「――PSY」エビルの胸元の六つの玉が、光る。
――怖いか? はやて
クレアが尋ねた。
――ううん、怖ないよ
はやてが答える。
「ボル――」凝縮された破壊のエネルギーが、解き放たれる。
――――――。
二人がなにかしら会話をしているようだったが、その内容は他の誰にも聞こえなかった。
「――テッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
極光。
◇ ◇ ◇
178: 2008/01/03(木) 14:36:24 ID:dGVZnOnf(1)調 AAS
さすがにこの糞長さは苦情出していいだろ
個人の私有物でもなんでもねえぞこの板は
179: 2008/01/03(木) 14:37:12 ID:4+upKHP6(6/7)調 AAS
180: 2008/01/03(木) 14:37:12 ID:v8aVOay+(11/13)調 AAS
181: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:37:17 ID:ru52p/us(23/27)調 AAS
極光が迫る瞬間まで、はやてとクレアの二人は、互いの時間を共有し合った。
「ミーとこんな会話をしたことがあってな。あの部屋で爆発させられた男みたいなのと戦って、果たしては俺は勝てるのか、と。
そんな話になったんだ。で、さすがの俺もボルテッカとかいうのを喰らったらただじゃすまない。けど勝つって答えた。なんでだと思う?」
「んー、そやなぁ……正解は『世界はクレアの都合のいいようにできているから』やろ?」
「さすがはやてだ。よくわかってる」
「でも、具体的にはどういう風に解決してくれるん?」
「そうだな……『俺に秘められた真の力』が覚醒する、とか。螺旋王が持ってたバリアみたいなヤツなんかいいな」
「クスッ。うん。それは頼もしいね」
「だろう? ところではやて、一つ聞いていいか?」
「なぁに?」
「俺のどこに惚れた?」
「め、面と向かって言うのは恥ずかしいんですけど」
「言ってほしい。一生のお願い」
「んと…………その場の勢い。つり橋効果。気の迷」
「自殺する」
「わぁ、うそうそ嘘です! 本当は……夢を、思い出させてくれたから」
「夢? 部隊がどうのこうのってやつか?」
「それもあるけど……もっと根本的なもの。私がこうありたい、って思ったきっかけって言うか、私自身っちゅうか」
「一言じゃ語れそうにないな」
「うん。たぶん丸一日かかると思うから、今度時間のできた日にでもええ?」
「待つさ。いくらだって」
「あー、いいんかなぁ、そんなこと言って。女は男を待たせると長いよ?」
「待つのには慣れてる。これまでに求婚した女から返事をもらうのにも――」
「ちょ、なんやねんこれまでに求婚した女って? 私が初めてじゃないん!?」
「しまった、口が滑ったか。あー、大丈夫。OKもらったのははやてが初めてだから。問題ない」
「問題ないわけあるかー!」
「あ、あとでいっぱいキスしてやるから許してくれ」
「な、ななななんやねんそれぇぇぇ! そんなんで許せ……………………いま」
「え?」
「いま。いますぐ。じゃなきゃ許さない」
「…………やれやれ、わがままなお姫様だ」
「ん」
「なあ、はやて」
「なに?」
「ここは俺の世界だ。そしておまえは、俺の世界に足を踏み入れた」
「うん」
「だから信じろ。俺を、俺という世界を、俺とはやてが中心になる世界――そこで起きる、奇跡を」
「うん。信じる。信じるよ。あ、あと」
「?」
「好き。大好き」
「俺もだ。愛してる」
182: 2008/01/03(木) 14:37:18 ID:M5IsZvAT(14/14)調 AAS
183: 2008/01/03(木) 14:37:22 ID:ieThRa/A(7/7)調 AAS
>◆LXe12sNRSs
極光。なんてにほんごありませんよ
184: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:38:19 ID:ru52p/us(24/27)調 AAS
――人は誰でも、自分の世界を持っている。
――それは殻だったり、領域だったり、箱だったり、いろんな言葉で言い表されるけれど。
――きっとそれは、全部おなじもの。
――思うに、人は自分の世界を他人に侵略されると。
――その人に、恋をしてしまうのだ。
【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡】【クレア・スタンフィールド@BACCANO バッカーノ! 死亡】
◇ ◇ ◇
185: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:39:25 ID:ru52p/us(25/27)調 AA×
![](/aas/anichara_1199094345_185_EFEFEF_000000_240.gif)
186: 2008/01/03(木) 14:39:33 ID:v8aVOay+(12/13)調 AAS
187: 2008/01/03(木) 14:39:46 ID:4+upKHP6(7/7)調 AAS
188: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:40:34 ID:ru52p/us(26/27)調 AAS
◇ ◇ ◇
エリアD-7 街と森の境界線辺り
ニアは、破壊の痕跡を前に息を飲んでいた。
古墳地点からでも聞き取れた轟音。それを追って見つけた惨状。
広がる光景は、圧巻と言えるような巨大クレーターである。
まるでガンメンが空から落下してきたような衝撃の跡が、浮かれていたニアを現実に引き戻した。
カミナという存在の、その尻尾の情報を掴むことができた。だが、それだけでは終われないのだ。
こうしている間にも、父の目論む殺し合いは進行している。知るだけではなく、行動しなければいけない、とニアは思った。
「なぁーはっはぁ! どんな魔物が暴れてるのかと思えば、このビクトリーム様の気配に恐れをなして逃げおったなぁ!?
ふん、これしきの破壊など我が最大術の足元にも及ばんわ! なんせVじゃねぇ! 破壊の爪痕も美しくV!
それが清く正しい術の放ち方ってもんよぉ! なあ、ニアくんもそう思わんかね!?」
クレーター中央部に佇むビクトリームはなぜか――来る前はどこか怯えていたものの――妙にハイテンションだ。
ビクトリームの言動の一割も理解していないニアは特に思うこともなかったが、代わりに彼の足元に目がいく。
注意を促すより先に、ビクトリームの足元にある地面から、なにかが突き出た。
「ギャアアアアア! ぞ、ぞぞぞぞんびぃぃぃ!?」
先ほどの余裕振りから一転、ビクトリームが竦みあがって、滑稽に転ぶ。
突如地面から突き出したそれはどうやら手であるらしく、しかし指の数は五本ではない。
ニアとビクトリームの視線に晒される中、手の主は地中に埋まっていた体を自力で這い上がらせ、地表に生還した。
それはニアの住む世界には存在し得ない生物。
とらじま模様の、猫だった。
(首輪が……あの方も参加者の一人でしょうか?)
ビクトリームのようなガンメンチックな体ではなく、かといって人間でもない生物。
彼はいったいなんなのか、全身を疑問が駆け巡り、興味の赴くままに近寄ってみる。
「……クレア……はやて……キッド……仇……」
途切れ途切れの弱々しい声だったが、地中から出てきた生物はなにか喋っているようだった。
ニアとビクトリームが側に近寄っていることにも気づかず、虚ろな意識のまま、どこかを目指して歩く。
「テッカマンエビル……奴は……ゆるさ、ね…………」
相羽シンヤに気絶させられた後、ボルテッカの余波に巻き込まれながらも、地中でそれを凌いでいたマタタビは、そこで。
力尽き、倒れた。
「……?」
ニアとビクトリームがお互いに顔を合わせて、首を傾げる。
……いったいなんなんだ? と。
189: ボクのセカイをまもるヒト(後編) ◆LXe12sNRSs 2008/01/03(木) 14:41:44 ID:ru52p/us(27/27)調 AAS
【D-7/クレーター/1日目/夕方】
【ニア@天元突破グレンラガン】
[状態]:健康
[装備]:釘バット
[道具]:支給品一式 毒入りカプセル×3@金田一少年の事件簿
[思考]:
1.この方をどうしましょう?
2.古墳付近にて、ドーラ達が帰ってくるのを待つ。
3.ビクトリームに頼んでグラサン・ジャックさんに会わせてもらう。
4.シータを探す
5.お父様(ロージェノム)を止める
※テッペリン攻略前から呼ばれています。髪はショート。ダイグレンの調理主任の時期です。
※ドーラの知りうるラピュタの情報を得ました。
※ドーラとはぐれた場合には、D−8の古墳で落ち合う約束をしました。
※カミナに関して、だいぶ曲解した知識を与えられています。
【ビクトリーム@金色のガッシュベル!!】
[状態]:静留による大ダメージ、鼻を骨折、歯二本欠損、股間の紳士がボロボロ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)、ランダム支給品2個(本人確認済み)、魔本
ベリーなメロン(3個)@金色のガッシュベル!!
[思考・状況]
1:ん? この猫どこかで……?
2:モヒカン・エースがいないとしたら、誰に頼ればいいのだ……
3:パートナーの気持ち? 相手を思いやる……?
4:吠え面書いてるであろう藤乃くぅんを笑いにデパートに行くのもまぁアリか…心配な訳じゃ無いぞ!?
5:カミナに対し、無意識の罪悪感。
6:F-1海岸線のメロン6個に未練。
[備考]
※参戦時期は、少なくとも石版から復活し、モヒカン・エースと出会った後。ガッシュ&清麿を知ってるようです。
※会場内での魔本の仕組み(耐火加工も)に気づいておらず、半ば本気でカミナの名前が原因だと思っています。
※モヒカン・エースがゲームに参加していない事に薄々感づきました。
※静留と話し合ったせいか、さすがに名簿確認、支給品確認、地図確認は済ませた模様。お互いの世界の情報は少なくとも交換したようです。
※分離中の『頭』は、禁止エリアに入っても大丈夫のようです。 ただし、身体の扱い(禁止エリアでどうなるのか?など)は、次回以降の書き手さんにお任せします。
※変態トリオ(クレア、はやて、マタタビ)を危険人物と認識しました。また、六課の制服を着た人間も同じく危険人物と認識しています。
【マタタビ@サイボーグクロちゃん】
[状態]:気絶、疲労(大)、重傷、ギアス(?)
[装備]:マタタビのマント@サイボーグクロちゃん
[道具]:なし
[思考]:0、……(エビルへの怒り)
※ギアスの効果が継続しているかどうかは不明。
※エビル(シンヤ)の本名は知りません。
※マタタビの荷物(マント除く)、テッカマンアックスのテックランサー(斧)@宇宙の騎士テッカマンブレードは、ボルテッカに巻き込まれ破壊されました。
190: 2008/01/03(木) 14:42:05 ID:NanFB3Tc(1)調 AAS
くどい
くどすぎるwwwwwwwww
191: 2008/01/03(木) 14:42:33 ID:v8aVOay+(13/13)調 AAS
192: 2008/01/03(木) 14:44:47 ID:bZiuA+wz(5/5)調 AAS
ひでえ連投だったな
こんな駄文で何キロ使ったんだよ
193: 2008/01/03(木) 20:02:16 ID:vjLrk9g8(1)調 AAS
次のアニロワには月姫と空の境界を入れようぜ
194: 2008/01/04(金) 12:18:57 ID:JFojOgLQ(1)調 AAS
2chスレ:anichara
したらば主体は放っておいて早くこっちで次のを決めようよ
195: 2008/01/04(金) 21:01:25 ID:laTmssfg(1)調 AAS
議論しているなら削除されないわけだし
ここで問題ないお
196: 2008/01/04(金) 21:41:30 ID:6cbKlpEE(1)調 AAS
517 名前:"削除"依頼 投稿日:08/01/03 17:58 HOST:KHP059139089113.ppp-bb.dion.ne.jp<8080><3128><8000><1080>
削除対象アドレス:
2chスレ:anichara
削除理由・詳細・その他:
4. 投稿目的による削除対象
・スレの運営を妨げる煽り
5. 掲示板・スレッドの趣旨とは違う投稿
・故意にスレッドの運営・成長を妨害している
6.連続投稿・重複
・連続投稿
・必然性のないAA・コピペ
執拗な容量潰し荒らしです。
あぼーん後もしつこく容量潰しを繰り返しています。
197: 2008/01/05(土) 00:45:59 ID:+ZpouJZx(1/2)調 AAS
まともな議論そのものを封じ込めたいのねdion
198: とりあえず 2008/01/05(土) 09:34:57 ID:LAiFAwYR(1)調 AA×
![](/aas/anichara_1199094345_198_EFEFEF_000000_240.gif)
199: 2008/01/05(土) 16:11:29 ID:+ZpouJZx(2/2)調 AAS
乙
200: 例え絶望に打ちのめされても 1/8 ◆AZWNjKqIBQ 2008/01/07(月) 07:56:14 ID:1rPnDcmc(1/8)調 AAS
図書館。図書室。読書室。
……本を読む場所はできるだけ静かであるべきだろう。なにせそこは本を読むところなのだから。
許されるのはそう、頁を捲る時に紙同士が擦れる音。せいぜいがそんな程度である。
なので、今この超螺旋図書城内の静謐を破る彼女の声は、決して許されるものではないだろう。
別段大きな声を出しているという訳では無い。だが、非常に耳に引っかかる声だ。それは泣き声だったから。
もしここに平時の通りに人がいて、そしてそれぞれが本を取っていれば、きっと彼女の声に顔を顰めたはずである。
だが幸いなことにか、彼女に顰蹙の視線を浴びせかける読書家達は今のここにはいない。
代わりにいるのは黒衣を纏う一人の男だけ。
だが少女を見つめる彼の視線も、読書家達程ではないにしろ決して優しいものではなかった。
◆ ◆ ◆
本の貸し借りを行うためのカウンターに突っ伏し嗚咽を漏らす少女――柊かがみ。
その目の前の彼女の姿に、同行者である衝撃のアルベルトは小さく溜息をついた。
なぜ彼女が突然として泣き始めたのか? その理由を推測するのは至極簡単なことだ。
つい数分前にこの図書城の中に流れた螺旋王よりの定時放送。
その中で彼女のよく知る名が死者として告げられたからであろう。
彼女の嗚咽の中に交じる「……こなたぁ……」と言う言葉を聞き取れれば、それが『泉こなた』であることも特定できる。
5分過ぎても、10分過ぎても泣き止まぬ少女に、アルベルトは再び何度目かの溜息をついた。
だが、彼は決して少女を叱り飛ばしたりはしない。
もしこれが作戦任務中で目の前にいるのが同じエージェントであれば、泣き言一つ漏らすだけでも粛清の対象になるが、
今彼の目の前で悲嘆に暮れているのは、娘と歳もそう変わらないただの少女である。
――もし自分が死んだら娘もこんな風に泣くのか?
そんな事がちらりと頭に過ぎったばかりに、男は少女を恫喝することも懐柔することもできずに手を拱いていた。
さりとて時間は惜しい。いつまでも泣かせていては話も進まないままだ。
最後にもう一つ溜息をつくと、
衝撃のアルベルトは意を決し、普段はあまり使うことのない種類の勇気を使って少女に話しかけた。
◆ ◆ ◆
『泉こなた』が死んだ。その衝撃を自分はどう受け止めればよいのだろう?
妹の死体を発見した時とはまた違う感情が柊かがみの心より溢れ、彼女はそれを抑えることができないでいた。
妹のクラスにいた変なやつ――それが、泉こなたに対する第一印象だ。
波長というのが合うのであろうか、おっとりとした妹とヘンテコなこなたは何時の間にかに友人になっていて、
その後、自分が友人の姉として彼女と親しくなるのにもそう時間はかからなかった。
そして何時の間にかに、彼女を部屋の中に入れたり、彼女と二人きりだけで遊びに行くことも多くなっていた。
親友――と言うにはちょっと違う。かと言ってただの友達と言うと少し寂しい。
腐れ縁と言うほどの長い付き合いがある訳でもないし、家族と言うほどお互いに踏み込みあってはいない。
仲間と言うほど団結力があった訳ではないし、相方……というほど、息も合ってはいなかった。
――じゃあ、恋人? イヤイヤ、それはまさかだ。
『柊かがみ』と『泉こなた』――とりあえずはそう言うしかない。そんなヘンテコな関係だったのだ。
201: 例え絶望に打ちのめされても 2/8 ◆AZWNjKqIBQ 2008/01/07(月) 07:58:03 ID:1rPnDcmc(2/8)調 AAS
妹が死んだ時に感じたのは、身体を無理矢理半分に切り裂かれた様な激しい痛み。
こなたが死んだと知って感じるのは、えも言われぬヘンテコな喪失感。
心の中に、こなたの形をした穴が空いた様。
それは決してもう埋められることのない穴。それは、なぜならば――、
――私の好きなあのヘンテコな少女は、正真正銘宇宙に一人っきりのヘンテコだったのだから。
だから、もうどこを探してもこの穴を埋めるピースは見つからない。
妹がいなくなったことでついた傷の痛みが消えないように、こなたを失ってできた喪失感も決して消えないのだ。
涙。涙が止まらない。こなたの形をした穴から涙が零れて止まらない。
何時の間にかにこなたが自分の心のそんな場所にいて、そしてもういなくなってしまったことに涙が止まらない。
「――零れた涙は元には返らんのだな」
……? なんだって? 覆水盆に返らず……?
ああ、確かに。泣いて妹とこなたが返って来るのなら、私は盆の上と言わず盆が暮れるまで泣いているだろう。
◆ ◆ ◆
唐突にかけられた声に、伏されていた少女の顔が男の方へとゆらりと向いた。
目元を真っ赤に腫らし、頬に走るいく筋もの涙の跡をもそのままに、呆けたような顔で男の方を見やる。
「……零れた涙は元には返らんのだな」
2度目の台詞。……そして、再びの短い沈黙。
やっと言葉が通じたのか、少女の目に焦点が戻ってくる。
そして、ようやく言葉の意味を解釈できたのか、恥ずかしそうに顔とカウンターの上に溜まった涙を袖で拭った。
「……ごめんなさい。ずっと、泣いてて」
「うむ。それはかまわん。
それよりも、だ。ワシの今の言葉。もう少し吟味してみよ」
突然の問答に、少女の頭の上に疑問符が浮かぶ。
零れた涙は元には返らない――取り立てて問題のある言葉とは思えないが……?
「ふぅむ、気付かぬのもやむなしか。ならばヒントをやろう。
貴様が傷を負いそこから血を垂らせば、その血はどうなる?」
男の言葉に少女の口が「あ」の形に開く。
答えに気付いた少女は涙を拭った袖を持ち上げるが、やはり涙はそこに染み込んだままだった。
だが頭の上の疑問符はまだ消えない。質問の意図が解らないからだ。
「貴様は茶を飲み涙を流すが、血は流しても必ずそれは身体に返る。面妖な事よのう?」
少女はこくりと素直に首肯する。自分の身体の事だが、確かにそれが気持ちの悪いことは否定できない。
「ワシとて貴様が呆けている間、何も考えておらんかった訳ではない。
不死身と言うのにも多少知識があるのでな、お前の身体に起こった事について考えておった」
それを少し話してやろう。そう言うと、男は少女に向けてゆっくりと語り始めた――。
202: 例え絶望に打ちのめされても 3/8 ◆AZWNjKqIBQ 2008/01/07(月) 07:59:47 ID:1rPnDcmc(3/8)調 AAS
◆ ◆ ◆
不死身と一言に言っても様々な種類があるが、まずはオーソドックスなものから教授してやろう。
それは一つの生命体として、頑丈でありしぶといという性質のものだ。
不死とまではいかない者や、大方の回復能力者などもこの範疇に入る。
生来のものか、鍛錬の賜物か、はたまた人為的な改造によるものか、こやつ等は非常に死ににくい身体を得ておる。
死ににくい……と言う前に、死ぬとはどういうことか考えてみるか。
生きている人間と死んでいる人間。単純に考えれば、その間にあるのはエネルギーの循環があるかどうかに尽きる。
息をして、心臓が動いていればその人間は生きているというわけだ。
そして、その生命の維持に必要な機関――心臓等を破壊されればその人間は死ぬ。簡単であろう?
ではこの場合。不死身の人間とはどういった者か?
普通の人間の場合でも、手や足を傷つけられたぐらいでは死なん。急所を外しておれば、それはいつか癒され元通りになる。
不死身の人間の場合だと、例え急所を傷つけられても死なん。何故かと言うとそれは急所ではないからだ。
心臓が一つではないのかも知れない。または傷つけられた心臓を復元するプロセスが体内に備わっているのかも知れん。
不死身を二つ名に冠する者の中には、細胞単位で補修能力が備わっており、まるでトカゲの尻尾の様に身体を再生させる者までおる。
つまり、これらは身体の作りが他の人間とは少し違うというだけであって、まぁ……頑丈な生命体であるというだけだ。
常識の範疇内であるし、能力の軽重を無視すればこの手の能力者は掃いて捨てるほどおる。
……どうした不死身の柊かがみよ? 普通ではない? フ、それは何の冗談だ。
貴様の持つ身体の希少性は、こんなありふれた不死身紛いのものとは全く比べ物にならんぞ。
では、いくつかの特殊な不死身についても教授してやろうか。
これらは非常に希少な能力でな。このワシとてこれらを備えた人間は片手の指で数えられるほどにしか知らん。
まずは、超能力や念動力といった思念の力によって自身の身体を完全な状態に維持しておる者だ。
そしてもう一つ。これも超能力の一種で、その超能力で自他の生死の因果を制御し、決して死に至らぬ者。
ウム。こやつ等こそ正しく普通では無い者達よ。だが、かがみよ。貴様の力はまたこれらとも違うな。
貴様の身体は生命体というには非常に不自然で、かと言って貴様に超能力を操られるだけの胆力はない。
そう。螺旋王によって振舞われた不死の酒とやらの力だ。
そして、ワシはこんな事を考えた――。
◆ ◆ ◆
言葉を一旦区切り、冷めた紅茶で喉を潤す男の前で不死身の柊かがみは驚き、また呆れてもいた。
不死身なんか別に珍しくもないと言い切る掌から竜巻を飛ばす男――漫画かアニメとは正にこれのことだ。
だが、彼女は次の男の発言によりさらに驚くこととなる。
「柊かがみよ。貴様はすでに柊かがみであって、そうでは無い者へと摩り替わっておる。
はっきりと言おう。今の貴様は――不死の酒そのものだ」
自分が自分ではないとは悪い冗談だ。
だが、呆気に取られている少女の前で再び男の不死身談義は始まった。
203: 例え絶望に打ちのめされても 4/8 ◆AZWNjKqIBQ 2008/01/07(月) 08:01:32 ID:1rPnDcmc(4/8)調 AAS
◆ ◆ ◆
ワシが第一に注目したのは『同じ不死者を喰らえば知識が移る』と言う点よ。
それこそが不死の酒の肝であり、不死身の身体などと言うものはその副産物にしかすぎんと思っておる。
よいか、もう一度言うぞ。『同じ不死者――を喰らえば――知識が移る』だ。
まず常識的に考えてありえんのが、喰らえば知識が移るというところだ。
そうであろう? ワシが貴様の脳ミソを喰らっても貴様の記憶は読めんし、逆の場合でもそうに違いあるまい。
記憶と言う物は脳内で形成される情報伝達経路の形であって、それは食するという工程では決して伝達しえんのだ。
しかし、ならばどういった者同士ならばそれが成立し得るのか? そう。同じ不死者同士という条件よ。
だが、それでも脳を喰らい合うことで情報が伝達しえんのは変わらん。
つまり、不死者には互いに情報を伝達しえる『何か』が存在すること。そして、必ずしもそれを脳に蓄積していないということが推測できる。
そろそろワシが言いたいことが解ってきたか?
そう。貴様の体内にある不死の酒こそが情報媒介物質よ。だが、それではまだ答えは半分だ。
それだけでは貴様の不死性と、相手を喰らい死に至らしめるという点が説明しきれん。
貴様が流した血はたちどころに元の場所へと戻る。有り得るか、そんなことが?
しかし実際には有り得ておる。ならばどこかに勘違いしている部分があると考えるのが筋だ。つまり――、
――血が戻っているのではなく、酒が戻っている。もっと言えば『不死の酒』という生物が戻っているとは考えられまいか?
そもそも『不死の酒』とは名ばかりで、それは人に取り付き情報を奪い取る生命体の群れではないかとワシは考える。
それは人の体内に侵入すると、その者の情報を読み取りその身体を消化してその者へと擬態する。
一人の人間という情報を蓄えた、一種の生命体の群れによる一つのコロニーと化す訳だ。
ならばそれら同士、つまりは不死者同士ならば喰らい合うことで情報が移ることが説明できよう。
情報を持ったコロニー同士が合流すると、ただそれだけのことに過ぎんからな。
端から見れば人が人を喰っているように見えるが、実際は群体が合流しその数を増しているというだけの話だ。
再び結論を言うぞ。柊かがみよ――今の貴様は不死の酒そのものなのだ。
◆ ◆ ◆
衝撃のアルベルトが口を閉じると、超螺旋図書城にしばらくぶりの静寂が訪れた。
一方的に衝撃的な話を聞かされた少女の口は、先ほどより「あ」の形のままである。
その後、しばらくして喉が渇くことに気付いてその口は閉じられたが、その表情はまるで異物を飲み込んだ蛙の様だ。
恐る恐る上げた両手を見つめ少女は自問する――私はすでに私ではない?
「――とは言ったものの、全く確証はないがな。
十中八九この推理は外れておるだろう。推理などと言っても所詮は言葉遊びの域を出ておらん戯言よ。
ただ、言葉の上ではこう説明できますよというだけにすぎん」
――は? と、閉じられていた少女の口が今度は「は」の形に固定される。
「しかし頭を使った分、気は紛れたであろうかがみよ?」
少女の「は」の形の口が、「はぁぁ……」と大きく広がって同時に顔が見る見る間に赤くなってゆく。
つまりはそう。目の前に立つ男の、彼なりの気遣いであったと言う訳だ。
204: 例え絶望に打ちのめされても 5/8 ◆AZWNjKqIBQ 2008/01/07(月) 08:03:18 ID:1rPnDcmc(5/8)調 AAS
「さて、随分と時間を労したな。ではそろそろ此処を出るぞ」
そう言いながら認めたあったメッセージをカウンターの上に置くと、男は踵を返して出口へと向って行く。
「ち、ち、ちょっと待ちなさいってば! 待ってって言ってるでしょっ!」
そして、その後を荷物を掻き集めながらどたばたと少女が駆け抜けると――、
――やっとのことで、本を読むに相応しい静寂がそこに戻ってきたのであった。
◆ ◆ ◆
超螺旋図書城と名づけられた趣味の悪い図書館より二人が発ってよりしばらく後、柊かがみは天に浮かぶ円を見上げていた。
「(……こんなに大きかったんだ)」
天の頂上に位置する太陽からの光を遮り、広い空の中に巨大な真円のシルエットを浮かべているのは観覧車だ。
その高さはゆうに100メートルを越え、そこから見渡せる景色の内のどの建物よりも大きな建築物であった。
「(あの時は空を見上げる余裕なんて全然なかったけど……)」
この巨大な観覧車の足元へと彼女が来るのはこれで3度目となる。
1度目も2度目も、そして3度目もここに来る理由は変わらない。3回とも妹である柊つかさに会うためだ。
柊かがみはその視線を観覧車の頂上より真下へと下ろ――さない。直前で踵を返し、それまでは後ろにあった噴水へと向き直る。
とてもではないが、これ以上妹の憐れな成れの果てを直視することはできなかった。
「(……ごめんねつかさ)」
心の中で自分の不甲斐なさを今は亡き妹に詫びながら、柊かがみはゆらりゆらりと揺れる水面を見る。
それを見て思い出すのは妹と一緒に波間を漂っていた時の事だ。果たして、『あの時の妹』は一体どこへと消えたのか。
「(ずっと離れないって決めたのに……。ずっと、ずっとに……って、なのに)」
膨らむ罪悪感が重く心に圧し掛かる。たった半日と少しで人生ががらりと変わってしまった。そして、新しく決めた道程は果てし無く遠い。
それに対し果敢に挑むには足は重く、かといって足を止めるほどの絶望も今は無い。
溜息をつき自分の心を騙しながらでも、少しずつ進むしかないのだ。自分と妹の、そして亡くなった友人のためにも……。
「……頑張るから。
見守っていて……、なんてのはもう言えないけど。でも、……待ってて。絶対ゴールまでは辿り着いてみせるから」
真円の噴水の中に、同じく真円の観覧車が映りこむ。波紋に揺れて形を歪ませる観覧車のシルエットが描くのは螺旋模様。
水鏡の中に浮かぶそれを目に映しながら、柊かがみはもうこの世にはいない二人に誓いを立てた。
螺旋は回る。――グルリグルリと。彼女の道行きを現すかのように。彼女の心の内を現すかのように。
205: 例え絶望に打ちのめされても 6/8 ◆AZWNjKqIBQ 2008/01/07(月) 08:05:03 ID:1rPnDcmc(6/8)調 AAS
◆ ◆ ◆
そしてまた少し時は流れ、柊かがみはまた彼女にとって因縁のある場所へと足を運んでいた。
「……ここで間違いないのだな?」
男の質問に頷く柊かがみの肩には、失われていた彼女のデイバッグが再びかけらている。
それは妹の亡骸の元へ残して行っていた物だ。あの時はもう不必要と判断したのだが、今はそうではない。
センチメンタリズムに従って死を選ぶことはもう許されない。現実はそんな生易しくないことをもう彼女は知っている。
「では少し調べるとしよう。貴様の言っていた男が本当に不死者であったのかをな」
言いながら橋の上へと行く男を見送りながら、柊かがみは思い出す。昨晩、この場所で起きたあの惨劇を。
――アイザック・ディアンという男。
――劈くような破裂音。暗闇に浮かんだマズルフラッシュ。
――倒れる男。そして逃げ出した自分。
ここで自分はアイザック・ディアンと言う男を殺したのだ。だが――殺したはずの男は生きていた!
それにより彼女は自分以外の不死者の存在に気付き恐慌状態に陥った。
あれから今に至り、そして死なないはずの男が死んだことを彼女は螺旋王の放送によって知らされる。
不死者が死ぬ――それは誰とも知れない不死者がアイザック・ディアンを『喰った』からだ……そう柊かがみは考えたのだが、
同行者である衝撃にアルベルトはまた別の可能性も示唆した。
一つに、アイザック・ディアンがそもそも不死者ではなかったという事。
それは確かに有り得るかもと、彼女も思った。何せ銃は出鱈目に撃ったのだ。普通に死んでいなかったというのも有り得る。
または、彼が幻覚を操る能力者で『死んだフリ』をしたとも考えられると衝撃のアルベルトは言った。
そしてもう一つは、不死者でない者が不死者を殺せる方法でアイザック・ディアンが殺害されたと言う可能性。
いくら不死者同士で喰い合いが出来ると言っても、それだけでは結局最後に誰にも殺せない不死者が一人残ってしまう。
だから、不死者を殺す方法が他にもあるだろうと男は言った。そして当たりをつけたのが『首輪』である。
螺旋王がこの実験のルールの象徴として参加者達にかせた首輪。それは不死のルールをも上回る可能性が高いと男は推測した。
つまりは、アイザック・ディアンは首輪を外そうとしたか禁止エリア内に留まり爆死した――という訳である。
……と、彼女が思考を反芻している所へと男が帰ってきた。
「どうやらアイザック・ディアンと言う男が不死者であったことは間違いないようだ」
言いながら男は掌に乗せた金属片を柊かがみに見せた。
「……これは?」
「貴様がアイザック・ディアンにへと撃ち込んだ弾丸よ」
「い」と顔を歪める少女に男は丁寧な説明をした。
橋の上に転がっていた、人に撃ち込まれたと思しき変形をしている弾丸。それには一切の血や肉がついていなかった。
撃ち込まれているのにも関わらず綺麗な弾丸――その矛盾を説明できるのは不死者の存在のみである。
「そっか……じゃあ?」
「喰われたか。はたまたは首輪の禁を破ろうとしたか……であろうな」
柊かがみの手が自身の首輪へと伸びる。日が昇ってきたせいで、首との間に汗が浮かんでいるのが気持ち悪い。
この首輪がある限り、自分達は螺旋王のモルモットと言う立場から逃れることはできないと、それを改めて実感する。
そして首輪が持つその意味こそが、首輪を意識する度に感じる息苦しさの正体であった。
206: 例え絶望に打ちのめされても 7/8 ◆AZWNjKqIBQ 2008/01/07(月) 08:06:48 ID:1rPnDcmc(7/8)調 AAS
◆ ◆ ◆
さらに時は流れ、二人は今は南を目指して道の上を進んでいた。
「レーダーは探さなくていいの?」
柊かがみの質問に衝撃のアルベルトは首を振る。
「惜しくはあるが、こちらから探すことにあまり意味はない」
「それって、どういう意味かしら?」
「……レーダーを持っていった者が他者に積極的に接触しようとする人物ならば、こちらが探す必要はない。
逆に、レーダーを逃げることに使う者だったらならば、それを探し出すのは骨よ」
なるほど、と柊かがみは頷いた。
先刻、彼女たちが観覧車の前にいたのは、今会話に出たレーダーが第一の目的だったのだ。
人の居場所が判別できるレーダーは、戴宗を探している衝撃のアルベルトにとっては是非とも入手したいものであったし、
仮にその目的がなかったとしても、あらゆる意味で貴重な物であるのは変わらなかった。
今、アルベルトが口にした様に人と接触するのにも、人との接触を回避するのにも使えるのである。
しかし残念ながらレーダーはそこになかった。恐らくは、そこに立ち寄った何者かが持っていってしまったのであろう。
彼女たちが回収できたのは、全員に共通して支給されているバッグや水など、その何者かが不必要と判断した物。
そして、柊かがみの妹の首に残っていた首輪のみである。
いや、もう一つだけあった。
「(…………つかさ)」
柊かがみの右腕に巻かれているのは、妹のセーラー服についていたスカーフだ。
滅茶苦茶にされてしまった妹の中で数少ない原型を留めている物の一つ。それを衝撃のアルベルトが回収してくれたのである。
血に塗れていたそれを、彼女はあの螺旋が浮かんでいた噴水で洗い清め、今は自分がそれを身につけている。
と、単調な道行に思考を今は亡き妹へと向けていた柊かがみを、同行する男が押し留めた。
「何か?」と問う間もなく、目の前に――閃光。そして十数秒の後に音と風が彼女らが立っている場所を通り抜けた。
「――爆弾!?」
「どうやらそうらしいな」
彼らが歩を刻んでいた高速道路の遥か先で起きた大爆発。
「少し先を急ぐぞ」
「わ、わかった……」
それに向かい、二人は積極的に近づくという答えを選んだ。
いや、選んでなどはいない。そもそも引くなどという選択は最早二人には無かった。ただ邁進するのみである。
なぜならば――、
――求める物は決して後ろには無い。その事を二人はすでに思い知らされているのだから
207: 例え絶望に打ちのめされても 8/8 ◆AZWNjKqIBQ 2008/01/07(月) 08:08:34 ID:1rPnDcmc(8/8)調 AA×
![](/aas/anichara_1199094345_207_EFEFEF_000000_240.gif)
208(2): 2008/01/07(月) 20:54:49 ID:snrMvL4m(1)調 AAS
削除依頼だしとけよ
209: 2008/01/07(月) 22:17:50 ID:gMRq9+gm(1)調 AAS
とりあえず参加名簿でも作れや
210: 2008/01/08(火) 15:04:57 ID:8CvjmuDf(1)調 AAS
だな
211: 2008/01/11(金) 23:29:26 ID:WuBGNlfG(1)調 AAS
誰かアニロワ2ndがここまで荒れた今までの流れをまとめてくれ
212(1): 2008/01/12(土) 01:07:51 ID:6sAS9IYS(1)調 AAS
したらばが暴走したから再度作り直し
それだけ
213(1): 2008/01/12(土) 18:45:50 ID:Ks5HEMLv(1/2)調 AAS
>>212
外部リンク:c-au4.2ch.net
こんだけスレが進んでないのに作り直しとは片腹痛いがなwww
214(1): 2008/01/12(土) 21:09:58 ID:7vmnBn6n(1)調 AAS
>>213
何で一々反応して相手をつけあがらせるんだお前は?
215: 2008/01/12(土) 22:19:34 ID:Ks5HEMLv(2/2)調 AAS
>>214
悪い。今までずっと我慢してたんだが抑えきれなくてな。正直すまんかった。
216: 2008/01/13(日) 00:38:08 ID:2VKvsocj(1)調 AAS
そこ使ってないじゃん
217: 2008/01/13(日) 13:41:08 ID:/HlSbF6U(1)調 AAS
218: [age] 2008/01/16(水) 02:51:08 ID:qWjK+eYd(1)調 AAS
文ですらないただの落書きが多いな。
219: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:14:24 ID:b7WK90jX(1/10)調 AAS
蛇を相手にしているようだ。
弁髪の老人と交戦し数分、Dボゥイはそのような感想を抱いた。
「く――おおおお!」
体が軋み、思考はどこか霞んだように不明瞭となっている。
それでも、退くワケにはいかぬ。その思考が意識を繋ぎ止め、両の腕が剣を振るう力を生み出す。
「ぬるいわぁ!」
されど、相手は蛇。ぬるりと枝を這うように剣の軌道から外れ、拳を振るう。
そして――衝撃。
がは、と肺の空気を吐き出し、ゴム鞠のように後方に吹き跳ぶ。その勢いで廃墟と化した家屋に突き刺さる。
常人なら既に十は死んでいるであろう暴虐。されど、皮肉な事に、彼が憎むラダムの力が命をつなぎとめていた。
「ぎ――ぐ、」
されど、それにも限界は存在する。
コンクリートとて、長い年月の間、水滴を受け続ければ抉れる。それがドリルであれば尚更だ。
そして、あの老人の力はドリルほど生易しいモノではない。
東方不敗――マスターアジア。
その名で呼ばれる老人の拳は、下手なモビルファイターならば十分渡り合える代物だ。それを幾重も受けて、無事で済むはずがない。
その上、Dボゥイは万全ではなかった。貧血、打撲、裂傷――それらが、元々薄かった勝ち目を致命的なまでに遠ざけていた。
「ふん、宇宙人と言うからにはもう少し歯ごたえがあると思ったが――これでは、あの馬鹿弟子の方がまだ見込みがある」
黙れ。
そう呟く気力もない。
聖剣を杖にし、ゆらりと立ち上がる。それは幽鬼のような動き、もはや戦闘に耐えうるのは不可能であるのは、誰の目にも明らかだ。
けれども、意志は肉体を凌駕する。まだ立てる、その思考が体に喝を入れる。
精神論と嘲る事なかれ。強い精神は肉体を超越するという事実は、プラシーボという形で医学にも用いられている。
「――ふむ、その根性だけは認めてやろう。だが、実力が伴っておらぬようだな。
宇宙人よ、Dボゥイよ。貴様には『体』はあっても『技』がない。
身体能力があろうとも、それを生かす技術が存在しない」
確かに、と思う。
自分はテッカマンになれる。テックランサーやボルテッカ、そして、圧倒的な推進力で突貫するクラッシュイントルードなどといった力を振るう事が出来る。
しかし、確かに訓練はしたものの、それは、テッカマンのポテンシャルに頼り切ったモノ。
元来の肉体には、アキのような体術もなければ、ノアルのような銃技もない。
「その肉体だけで勝てると思っておったか、愚か者めが」
迎え撃とうとするが――致命的なまでに遅い。腹部に膝が食い込み、きりもみしながら吹き飛ぶ。窓を窓枠ごと突き破り、ガラスまみれの状態でアスファルトに転がった。
220: 2008/01/16(水) 18:15:12 ID:dOny9Cej(1)調 AAS
221: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:15:33 ID:b7WK90jX(2/10)調 AAS
「人には牙がない。爪がない。それ故に、武器を作った、体を鍛え上げた――技を磨いた。
知るがよい、遥か遠方から訪れた来訪者。これが人が生み出した牙、格闘技だ。
流派東方不敗、その身に刻み、そして逝け!」
更にもう一度、一撃を加えられた、ような、気がする。
だが、どこか感覚が曖昧だった。
意識が徐々に遠のいていく感覚。それは甘美な誘惑。苦しみから解き放ったやろうという――死神の誘い。
――ふざけるな。
そちらに傾きかけた心に喝を入れ、立ち上がる。
瞬間、顔面に拳が突き刺さった。
「ァ――――が!」
それはまるで、なけなしの気力を砕くように。
砕けたアスファルトの上を滑るように吹き飛ぶ。がりがり、という音。石が服を食い破り、皮を切り刻み、肉を食む音。
立ち止まった頃には、リムジンから伸びているような赤いカーペットが敷かれていた。
その上を、あの老人が悠々と歩いている。
全く以って似合わないな、と。酷く場違いな思考が過ぎる。
――まずいな。
笑みが漏れてきた。今の自分の状態も、目の前の老人も、おかしくてたまらない。
脳内麻薬でも分泌されだしたのか、痛みも薄く、むしろ快感な気さえする。
その快楽に身を委ねれば、きっと楽に死ねる。この胸の奥底を炙る復讐の炎から解放される。
だが、それを受け入れるワケにはいかなかった。
それは復讐のためであり、そして――あのか弱い少女のためである。
だから、Dボゥイは立つ。背中を真紅に染めながらも。
その姿を、酷くつまらなそうに見やる老人を睨みながら、無意識でも手放さなかった剣を握る。
「――ねえ」
そんな中、いつの間にか隣にいた少女が口を開いた。
◆ ◆ ◆
その情景は、悲惨を通り越して滑稽なものだった。
絞りカスで戦っているようなDボゥイと、ほぼ万全な状態の東方不敗。
天秤がどちらに傾くかなど、火を見るより明らか。いや、火を見て明らかというべきか。
数回の攻撃で力を使いきったのか、Dボゥイは反撃どころか防御すらマトモに出来ていない。ただただ、ゆらりと立ち上がるだけ。
その姿は、ゾンビ映画を連想させる。
然り。その姿は死体のようで、いつ崩れてもおかしくない泡沫のようで――
「ァ――――が!」
顔面に拳が突き刺さる。受身を取る事すら許されず、背中を砕けたコンクリート片が散らばる地面に擦りつけながら、こちらに飛んでくる。
地面が赤い。流血と皮、肉、服の破片。それらが散らばる絨毯を、老人は悠々と歩く。
もはや追い詰める必要はない、そう言うように。
然り。ここまでの暴虐を受けて、なぜ抗うというのか。
これ以上、どう抗おうとも侵略めいた拳によって蹂躙されるだけではないか。
(……なんで?)
222: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:16:42 ID:b7WK90jX(3/10)調 AAS
それでも、彼は立ち上がった。
十中八九殺されるこの状況で。座して死を待った方が楽であろう、この状況下で。
分からない。なぜ、彼が立つのか。
そうだ、分からないといえば、自分を殺さなかった事も分からない。分からない事だらけだ。
「――ねえ」
だからだろうか。無意識の内に口が開いていた。
「どうして、そんな風に立っていられるの?」
ああ、と思う。
それはたぶん、似ているからだ。
彼は言っていた。許せないと。不幸を理由にして殺し合いに乗っていることが、俺には許せないのだと。
あの言葉を聞いた時に、なにか、感じ取るモノがあった。
それは――どこか同類めいた何か。
その男が立つ理由、それが、どうしても気になったのだ。
「――これ以上、」
噛み締めるように、Dボゥイが口を開く。
それは、舞衣の問いに答えたと言うよりは、自分自身に言い聞かせているようだった。そう、まるで折れかかった心を支えるように。
「これ以上、こぼさない、ためだ」
剣を構える。だが、力が入っていないのか、その重さで前に倒れかけ――
「失ったモノは取り戻せない。だから、俺は復讐の道に足を踏み入れた。だが――」
――その寸前で踏ん張る。
その姿は、壊れかけたロボットがダンスを踊っているよう。不安定で、醜く、滑稽で――
「――それでも、これ以上、大切なモノをこぼしたくないからだ」
――けれど、心のどこかに訴えるモノがあった。
◆ ◆ ◆
そうだ、これ以上、何かを失いたくはない。
自分が死ねば、シンヤは用済みとなったゆたかを殺すだろう。
そう、彼女には随分と助けられた。
もっとも、本人は否定するだろう。助けられたのはわたしですよ、と。
ああ、確かに。確かに、肉体的な面で自分は彼女を何度か救った。
けれど、それ以上に、彼女はDボゥイの精神面を救ってくれた。
だから――Dボゥイは老人を睨みつける。
それは、徹底的に抗うという決意。
それは、この命を貴様に渡すワケにはいかぬ、という宣言。
223: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:17:54 ID:b7WK90jX(4/10)調 AAS
「オ――」
吼える。喉を震わせ、全細胞に告げる。
なにを腑抜けている、血が足りない? 傷が開いた? 疲労が酷い?
その程度で眠っているのか貴様らは!
どうせ、ここで抗わねば死ぬのだ。なら――全ての力を引き出してみせろ。
そう、徹底的にAngriff! Angriff! Angriff! 剣を以って活路を開くのだ!
「――オォォォオオォォオッ!」
駆ける――否、その速度は普段の歩みよりもなお遅い。
杖をついた老人よりは速いだろうか? その程度の速度でしかない。
「ふん、諦めの悪い。いいだろう、この一撃で――む?」
それは、純粋な疑問だった。
Dボゥイと目を合わせた東方不敗は、ありえない何かを見るような目で瞳を見開いた。
――なんだ?
まるで、『Dボゥイの目が、別の何かに取って代わった』とでも言いたげな瞳。
「貴様、それは一体――」
知った事か。
心中で吐き棄て、剣を振るった。
風を切る音はしない。ゆっくりと振り下ろされていくそれは、スローモーションでも見ているのではないかと思わせる。
しかし、
(なんだ――?)
なぜだろう。
今なら、たとえこの速度だとしても威力を発揮できる。そんな気がしたのだ。
誰が言ったわけでもない。強いて言えば、剣の鼓動から感じ取ったというべきか。
つい先程まで感じなかった力の唸りが、他ならぬ自分から注ぎ込まれている――そんな気がしたのだ。
「勝利すべき(カリ)――」
知らず、呟く。
流れ込んでくる名を。檻に囚われた獣を、解放するように。
先程まではなかった感覚に困惑しつつも剣を力強く握るDボゥイ。
その瞳は――確かに螺旋を描いていた。
「――黄金の剣(バーン)!」
そして、光が溢れた。
◆ ◆ ◆
突如視界を覆った光は、現れた時と同じように唐突に消えた。
そっと、瞳を開く。
224: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:19:02 ID:b7WK90jX(5/10)調 AAS
「なに、これ」
舞衣の瞳に飛び込んできたのは、大地に穿たれた巨大なクレーターだった。
見渡すと、辺りはもうもうとした土煙で覆われていた。近くは見えるのだが、遠くは全く見えない。事実、舞衣が向いている方角――即ち、北で遠く見えていた学校も、今は輪郭すら掴めない。
大きさは、大体一般家屋一つ分。恐らくは、先程まであの二人がいた場所。
なら、あの二人は?
「あ――」
視線を彷徨わせると、すぐ近くで倒れているのが見て取れた。
恐らくは、この衝撃で吹き飛ばされたのだろう。
恐る恐る、彼に近づく。
幸いな事に、生きてはいるようだ。打撲こそ多いものの、裂傷が少ないのが幸いした。止血さえすれば、命を取り留める事はできるだろう。
そこまで考えて、ハッとした。
「なんで助ける事を前提に考えてるのかな……」
それは――たぶん、憧れめいたモノを抱いたから。
あの背中は、自分と同じでありながら、けれども決定的に違うモノがあった。
それを、知りたい。
同類めいた自分たちが、けれども別の道を進んだワケ。その答えが欲しい。
それさえあれば、この揺らぐ心も収まるのではないか、そう思ったのだ。
そっと抱きかかえようと屈み込み、
「中々の威力。少々肝を冷やしたわ」
しわがれた声に体を硬直させた。
ありえない、だって、あんな威力の破壊を受けて、生きているはずがない。
だというのに、
「なん、で」
あろう事か、その老人は傷一つ負ってはいなかった。
「馬鹿者が。どれほど威力があろうとも、直撃さえ受けなければ傷付かん。
ましてや、振り下ろすだけで精一杯といった風体の者が放つ衝撃波など、見ずとも避けられるわ」
Dボゥイの『変化』に気づき、それがなんであるのか悩んでいる最中、彼が剣を振り下ろそうとした。
しかし、その剣が先程とは違う『気』めいた何かを纏っている事に気づき、剣の直線状から退避。すると、濁流の如く全てを押し流す衝撃波が、脇をすり抜けていった。
つまりは、ただそれだけの事。
本人すら気づかなかった螺旋力の覚醒。しかし、それも見当違いの方面に発揮されただけに終ったのだ。
必殺の一撃が外れた今、その効果はゼロどころかマイナスだ。
螺旋の力で増大した体力と力。だが、その力は魔力の代用品として聖剣に注ぎ込まれ枯渇、そして訪れたのは気絶という眠りだ。
これならば、まだ覚醒しない方が望みがあっただろう。
「失望したぞ、娘。よもや、ここに至って男を救おうとするとはな。
悲しみのままに罪な無き子供を殺し、しかし数刻で心変わりするとはな。
外道を行い、けれど人を救う。その矛盾、真に人間らしい」
だが、と吐き棄てるように呟き。
「だからこそ、醜い」
え? と声を出す暇もない。
瞬時に間合いを詰めた東方不敗は、撫でるような滑らかな動きで拳を放つ。腹部にめり込む、破壊の鉄槌。
225: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:20:11 ID:b7WK90jX(6/10)調 AAS
「ぐ――げ、ぇ」
カエルが潰れたような声と共に、血の混ざった胃液を吐き出す。
吹き飛ばなかったのは、きっと手加減されたからだろう。でも、なぜ?
「気が変わった。先に貴様から殺してくれよう」
髪の毛を乱暴に捕まれ、持ち上げられる。
ああ、そうか。手加減されたのは、ダメージを与えて動きを止め、かつ、遠くに吹き飛ばさないため。
動きが止まった自分を、確実に殺すため。
ああ、殺される。
恐らく、生身の自分では、ものの一撃で消し飛ぶだろう。
(でも、それもいいのかも)
死後の世界。
もし、そんなモノがあれば、きっとそこはこんな世界よりも幸せな場所に違いない。
だって、ここには辛い事しかない。
けれど、死後の世界に行けば、弟がいる、シモンがいる、なつきがいる。
自分が亡くしたモノ、その全てが、在る。
ならば、それでもいいじゃないか。
そう思って、舞衣は瞳を閉じた。
訪れる死を受け入れるために。
◆ ◆ ◆
機械仕掛けの神、デウス・エクス・マキナ。
物語が解決困難な局面に陥った時、脈絡もなく絶大な力を持った『神』が現れ、それを解決する演劇の手法である。
だが、それは好まれぬ手法でもある。
伏線もなしに登場するそれは、超展開と揶揄される事も少なくない。
――しかし、である。
物語の登場人物にとって、そのようなモノは関係ない。
たとえ、神にも似た解決策に伏線があろうとも、登場人物がそれを自覚していなければ、彼にとってそれはデウス・エクス・マキナとなるのではないか?
そして、鴇羽舞衣は、東方不敗マスターアジアは知らない。
ロイ・マスタングという男がDG細胞に侵されている事も、
彼がスバル・ナカジマの仲間を殺戮した事実も、
デパートで彼と彼女の戦いが起こっている現実も、
――――スバル・ナカジマという少女が、己の力と宝具の力を最大限に用い、爆発的な閃光と共に付近を薙ぎ払った現実も。
全ては二人には知りえない事であり、脈絡のない神の光臨であった。
◆ ◆ ◆
226: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:21:34 ID:b7WK90jX(7/10)調 AAS
瞬間、黒い視界が白に塗りたくられた。
閉じた目蓋の中ですら、「眩しい」と知覚できる暴力じみた閃光。
だが、彼女は幸いに瞳を閉じ、その上、学校の方面――即ち、光源から背を向けていた。
しかし、東方不敗は違った。
光源の方角に体を向け、目を開いている状態。あの爆発的な光を、直視してしまったのだ。
「ぬぐォおおおおおおおおおおォ! ぐ、目が、目がァァあああ!?」
もし、彼に制限が加えられてなければ、いち早くそれに気づき、瞳を閉じる事もできたかもしれない。
だが、現実は非常であり、死を運ぶはずであった老人は、瞳を押さえ、苦しみ悶えている。
(……なによこれ。まるで、)
まるで、死後の世界の誰かが、自分に対して『生きろ』と背中を押しているようではないか。
そう、これ以上ない、という程の隙。これを逃せば、自分は殺されるだけだ。
だが、決心がつかない。心の中ある死の誘惑が足を縛る。
しかし、ふと思い出す。
足元で倒れる彼、Dボゥイ。
彼の話を聞きたい、そう思ったのではないか?
そこまで考えて、舞衣が彼を背負い、ゆるやかに移動を始めた。
けれど、その速度は致命的なまでに鈍い。
振り向けば、背後で悶え苦しむ老人の姿は、未だ近距離と言っても差し支えのない距離だ。
「はや――くっ」
叱咤するように呟き、足を進める。
だが、いかにHIMEの彼女とて、生身の能力は一般女子高生と大差はない。
そんな彼女が、筋肉質な男を背負い、かつあの老人が回復する前に逃げ去る事は出来るか?
――不可能だ。
そもそも、彼女の疲労は既に限界であり、自分だけ走って逃げるという選択肢も危うい状態だ。
せめて――せめてエレメントが使えれば。
あれがあれば飛べる。走るよりずっと速く移動が出来る。
けれど……あの力は、今は使えない。
歯を食いしばる。結局、自分はなにもできない。奪われるのを待つしかできない――!
――轟、と。
聞きなれた音が、確かな温かみが、両の腕に宿った。
「え……?」
両腕の腕輪。彼女の力、エレメントの姿がそこにあった。
失ったのではないのか、使えなくなったのではないのか。
だが、考えている暇はない。腕に巻かれたそれに力を込める。すると、彼女に答えるように腕輪は炎を纏いながら高速回転し――彼女を動かした。
本来は飛べるのだが、今はなぜだか能力も低下しており、その上、男一人分の重量を背負っている。この速度で移動できるだけマシと考えるべきか。
風を切って移動しながら、舞衣は炎を用いてDボゥイの背中を、傷口を軽く炙る。
医者に見せたら怒られそうな処置ではあるが、治療道具も治療する暇もない今、それも致し方がない事だ。
もっとも、いずれは薬品などで消毒などをしなくてはならないだろうが。
だが、病院は駄目だ。あちらは、あの閃光が吹き出した場所。下手にそちらに向かって戦闘に巻き込まれれば、今度こそ助からない。
なら――学校だ。
あそこには保健室がある。もちろん、設備は病院などとは比べるまでもないが――贅沢は言えない。
227: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:22:43 ID:b7WK90jX(8/10)調 AAS
「でも」
自分と彼との違い、それを聞いて、一体どうなるのか。
……分からない。少なくとも、今は。
そうこうしている内に、学校はすぐそばまで近づいてきていた。
◆ ◆ ◆
――――HIMEの能力は、
大切なモノ(者、物)を媒介にし、自らの意志でエレメントやチャイルドを具体化することが出来る力だ。
故に、彼女が心を閉ざした為に、大切なモノという機動キーが鍵穴に差し込まれなかった。
鍵穴をちょうど悲しみのガラスで覆ってしまった、そのような形で。
だが――Dの青年との会話によって、僅かながらに心を開いたのだ。
……そう、開かれた。
開けぬ夜はないように、閉ざされたままの心もまた、存在しないのだ。
けれども、それはあくまで僅かにだ。
彼女が心を完全に開くか、再びガラスで覆ってしまうかは――彼女の背で眠る、Dの青年の行方次第だ。
彼のDが彼女にとって、Dreamなのか、Deadなのか、Dangerousなのかは――まだ、誰も知らない。
そう、それは機械仕掛けの神とて同じ。
物語は進んだ、解決不能な命題はとある少女の最期の光で取り払われた。
これ以降は、彼の神が介入する余地はない。
二人の影は、未だ筋書きの定まらぬ物語を、ただひたすらに突き進んでいた。
【B-6/学校校門前/一日目/夕方】
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:疲労(大)、全身各所に擦り傷と切り傷、腹部にダメージ、罪悪感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:
1:Dボゥイの治療
2:1の後、彼の話を聞きたい
3:その後、自分の在り方を定める
[備考]
※カグツチが呼び出せないことに気づきましたが、それが螺旋王による制限だとまでは気づいていません。
※静留にHIMEの疑いを持っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※一時的にエレメントが使えるようになりました。今後、恒常的に使えるようになるかは分かりません。
228: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:23:59 ID:b7WK90jX(9/10)調 AAS
【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:左肩から背中の中心までに裂傷(開いた後、火で炙って止血)、右肩に刺し傷(応急処置済み)
全身打撲(大)、貧血(大)、腹部にダメージ、 背中一面に深い擦り傷(火で軽く炙り失血は停止)、気絶
[装備]:なし
[道具]:デイバック、支給品一式、月の石のかけら(2個)@金色のガッシュベル!!
[思考]
基本:テッカマンエビル(相羽シンヤ)を殺し、小早川ゆたかを保護する
1:…………
2:ゆたかと合流する
3:テッククリスタルをなんとしても手に入れる
4:極力戦闘は避けたいが、襲い掛かってくる人間に対しては容赦しない
5:再びシンヤとテッカマンの状態で闘い、殺害する
[備考]
※殺し合いに乗っている連中はラダム同然だと考えています
※情報交換によって、機動六課、クロ達、リザの仲間達の情報を得ました
※青い男(ランサー)と東洋人(戴宗)を、子供の遺体を集めている極悪な殺人鬼と認識しています
※シンヤが本当にゆたかを殺すと思っているため、生への執着が高まりました。
※恐らくテッククリスタルはどちらを使ってもテックセットが可能です。またその事を認識しています
※ペガスが支給品として支給されているのではと思っています。
※螺旋力に目覚めた事実に気づいていません。
【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
――螺旋力覚醒。
◆ ◆ ◆
「ぬかったわ。まさか、あのような事が起こるとは」
瞳の焼ける痛みも治まり、辺りを見渡すが、当然の如く辺りに人影はなかった。
光が飛び込んできた方角に視線を向けると、先程までは見えていたデパートが消滅している。
「……モビルファイターでも支給されたか、はたまた宇宙人の能力の類か」
どちらにしろ、対人には過ぎた威力だ。
それが如何なる状況で行われたモノか、興味があるが――それ以上に、
「Dボゥイ、奴の瞳は確かに……」
――ドリルの先端のような模様を持った瞳。別の表現をするならば、螺旋の瞳。
それが、気になった。
螺旋王ロージェノムが最初に言った、螺旋遺伝子の選定という言葉。
まさかとは思うが、あれが奴の言う螺旋遺伝子とやらなのだろうか。
しかし、分からない。
たとえ、推測が正しかったにしろ、なぜあのような状況下で力を使いだしたか。
奴に力を出し惜しみする余裕など、カケラもなかったはずだ。
「……なんらかの要因が引き金となり、その力が表に出てくる――それが妥当か」
229: Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 2008/01/16(水) 18:25:06 ID:b7WK90jX(10/10)調 AAS
もっとも、その『なんらかの要因』については皆目見当も付かないのだが。
ふむ、と小さく息を吐き、地面に落ちた剣を握る。
やはり、剣は光らない。
それが当然だ、というように鈍い光沢を放つそれをデイバックに仕舞いながら、最強の老人は呟いた。
螺旋遺伝子に目覚めた――と思われる――Dボゥイが使ったとき、この剣は莫大な力を発揮した。自分が握っても無反応だというのに、だ。
即ち、これは螺旋遺伝子とやらの力を伝達する、言わば砲身のようなモノだろう辺りをつけた。
もし、その仮説が正しければ、螺旋遺伝子を発現させた者はこれを扱えるという事になる。
これを扱える者に出会えば、螺旋遺伝子の解明も進み、螺旋王とやらの思惑も理解できるかもしれない。
そのために、Dボゥイで実験をしたいところだったが――追撃をかけようにも完全に見失っている。
ふむ、と小さく息を吐き、遥か遠方に視線を向ける。
そう、自分の目を焼いた光の元へ。
「デパートに行くとしよう」
あの状態だ、病院に行っているとも考えられなくもないが、そのような分かりやすい場所には逃げ込まないだろう。
ならば、少なくとも場所は確定している光の元を目指すのが利口だ。
そうと決まればここに留まる道理はない。地面を蹴り、跳躍。原型を保っていた家屋に足をのせ、リズミカルに跳んで行った。
【C-6中央部/市街地跡/一日目/夕方】
【東方不敗@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:全身、特に腹にダメージ。螺旋力増大?
[装備]:マスタークロス@機動武闘伝Gガンダム
[道具]:支給品一式、カリバーン@Fate/stay night
[思考]:
基本方針:ゲームに乗り、優勝する 。
1:E-6に向かい、光の原因を探る。
2:情報と考察を聞き出したうえで殺す。
3:ロージェノムと接触し、その力を見極める。
4:いずれ衝撃のアルベルトと決着をつける。
5:できればドモンを殺したくない。
※137話「くずれゆく……」以後の行動は、騒動に集まった参加者たちの観察でした。
※137話「くずれゆく……」中のキャラの行動と会話をどこまで把握しているかは不明です
※173話「REASON(前・後編)」の会話は把握しています。
※螺旋王は宇宙人で、このフィールドに集められているの異なる星々の人間という仮説を立てました。
本人も半信半疑です。
※Dボゥイのパワーアップを螺旋遺伝子によるものだと結論付けました。
※螺旋遺伝子とは、『なんらかの要因』で覚醒する力だと思っています。
※ですが、『なんらかの要因』については未だ知りません。
※視力については問題ないようです。
230: 2008/01/16(水) 19:44:58 ID:gqPFTjYx(1)調 AA×
>>1
![](/aas/anichara_1199094345_230_EFEFEF_000000_240.gif)
231(1): 2008/01/17(木) 00:22:37 ID:NcHzYtYR(1/4)調 AA×
![](/aas/anichara_1199094345_231_EFEFEF_000000_240.gif)
232(1): 2008/01/17(木) 00:34:14 ID:NcHzYtYR(2/4)調 AA×
![](/aas/anichara_1199094345_232_EFEFEF_000000_240.gif)
233: 2008/01/17(木) 00:36:15 ID:NcHzYtYR(3/4)調 AAS
でいいのか?
自分で書いててわかったが、これで成功してるところなんてたくさんあるな
234: 2008/01/17(木) 00:46:25 ID:vXU+Y9vV(1/5)調 AA×
![](/aas/anichara_1199094345_234_EFEFEF_000000_240.gif)
235: 2008/01/17(木) 00:52:04 ID:6K7bLbvP(1)調 AAS
意外にいい内容だな。。。。。
>知らないキャラを書くときは、とりあえず書いてみて後で適当に下調べをしてください。
まあ普通そうなんだけどね
236: 2008/01/17(木) 00:56:24 ID:vXU+Y9vV(2/5)調 AAS
>また、作品を撤回することはできません。。 書いたらそれまです。。。。。。
撤回するかしないかは周りが決めるんだな
237: 2008/01/17(木) 05:43:10 ID:8CufZ598(1)調 AAS
>>231
>>232
そりゃいいですね
確かにしたらばルールの裏返しはありかもしれません
あれは元々潔癖なまでに冷やかしを追い出すために作られたようなものですので
それを全く逆にした形でも結局バランスがとれてれば何をやってもいいんですよ
特に>>231の「完結に向けて決してあきらめない」とか奇麗事言ってると余計完結させたく
なくなる勢力が出てくるです。 そういうアンチを助長させるような発言はやめましょう。」は
全くその通りだと思います
ほとんどの場合、完結させたいと騒げば騒ぐほど荒れます
238(1): 2008/01/17(木) 06:05:55 ID:vXU+Y9vV(3/5)調 AAS
キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
『展開のための展開』はNG
キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。
携帯からPCに変えるだけでも違います。
【読み手の心得】
好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
荒らしは透明あぼーん推奨。
批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
嫌な気分になったら、「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
【議論の時の心得】
このスレでは基本的に作品投下のみを行ってください。 作品についての感想、雑談、議論は基本的にしたらばへ。
作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
【禁止事項】
一度死亡が確定したキャラの復活
大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
程度によっては議論スレで審議の対象。
時間軸を遡った話の投下
例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
話の丸投げ
後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。
--------------------------------------------------------------------------------
じゃあここはどうする?
239(1): 2008/01/17(木) 06:15:49 ID:VZHHMZKB(1)調 AA×
![](/aas/anichara_1199094345_239_EFEFEF_000000_240.gif)
240: 2008/01/17(木) 11:24:20 ID:cK02ous1(1)調 AAS
専用のスレたってんだからそっちでやれよ
【2ch】アニメキャラバトルロワイアル2nd【決定】
2chスレ:anichara
241: 螺旋の力に目覚めた少女 ◆10fcvoEbko 2008/01/17(木) 19:15:31 ID:dDdRsw9A(1/7)調 AAS
空間を揺らす波紋の中心で真っ直ぐに伸びた黒い剣が男の呟きと同時に風を切って勢いよく空へ吸い込まれていく。
天を破らんばかりの勢いで射出されたそれは、始めこそぐんぐんと高度を上げていたのだか、次第にその速度を落とし中空の一点で一瞬緩やかに静止したかと思うと逆回しをするかのように今度は地上へと落下をはじめた。
そして、ド派手な音を立ててコンクリの道路に盛大にぶっ刺さった、と。
気取った言い方をしてみたけど別にそんな凄いことしてる訳じゃない。
単にギルガメッシュがあのゲート・オブ・バビロンとか言う不思議アイテムでミロクを真上、つまり空に向かってぶっ飛ばしているってだけ。
何でそんなことをしているかって?あたしに聞かれても困る。
ああ、ちなみにごみ捨て場ではこれっていう発見もなく、手ぶらで戻るのもアレだったんで目についたガラクタを2、3個拾っただけで調査は終了。
それでまた移動を再開したんだけど、どあたしらが今いる場所のすぐ近くには実は高速道路が通ってたわけよ。行くとか行かないとか金ぴかが学校出るときに言ってたやつね。
当然それに気が付いた奴見ていくって言い出した。まぁそれ自体は別に問題なかった。どうせ施設を色々見て回る予定だったわけだし。
問題はその後。高速道路が目に入る位置まできたら、何を思ったのか我らの金ぴか様はふむ、と一声呟くとおもむろに地図を眺めだし、それが済むやいなや元気よくミロクを空へと打ち上げなさった。
マジ、わけわかんない。何考えてんだこいつ。
そりゃまあ、態度はでかいが頭は回るギルガメッシュのことだし、何も考えてないってことはないんでしょうよ。現に顔つきは真剣そのものだ。
だから余計に聞き出しづらい。仕方なしに、あたしは適当なとこに腰掛けてゴミ漁りに疲れた足をぷらぷらさせながらギルガメッシュの気が済むのを待っている。
つーか、基本無人だから良いけど、普通に考えたらこれとんでもない迷惑行為だろ。
何せ、あのとんでもなく重いミロクを何度も何度も飛ばしては地面に叩きつけているのだ。ミロクに傷一つつかないのはさすがだけど、地面の方はたまったもんじゃない。
既にあたしの周りの道路はひびが入っていたり塀が崩れていたりと散々な状態になってしまっている。
何も知らない人が見たら何と言うだろう。状況的に命がけの死闘でも行われたんだと思うだろうか。やたら金金した変な奴の気まぐれの結果だとは考えもしないのは確かだ。
って、危な!今落ちた場所結構近かったぞ、おい!
あたしはほんの数メートル横で土煙を上げているミロクに軽く冷や汗をかきながら、無駄に威厳たっぷりの足取りでそれを回収しにきたギルガメッシュに言った。
「ねぇ、金ぴか」
「なんだ、蜘蛛女」
このやりとりも何か定番みたいになってきたな。
まぁそれはいいとして、あたしは言葉を続ける。っても、こいつの行動が余りにも脈絡なさすぎて何から聞きゃいいんだか。
「・・・何してんの?」
ミロクを引き抜いたギルガメッシュがこちらを向いた。
手にした剣は次の瞬間には消え去っていた。自動で回収してくれるとこまで含めてこいつの宝具とか言うアイテムの能力らしい。便利なもんだ。
「これか。貴様は我が何をしているのだと思う?」
いやそんな当ててみろと言わんばかりの顔で聞かれても、ぶっちゃけそこまで興味ないって言うか。あんたのやることに一々理由考えるのも面倒くさいって言うか。
「たわけ。主の質問をそのように邪険に扱うものではないわ」
「え〜。じゃあ、お気に入りの道具が戻ってきたので大喜びで試し撃ちしまくっている、とか」
「・・・我は稚児か何かか?」
結構近い、というよりほとんどどんぴしゃだと思うけど。
242: 螺旋の力に目覚めた少女 ◆10fcvoEbko 2008/01/17(木) 19:17:02 ID:dDdRsw9A(2/7)調 AAS
ギルガメッシュはまぁよい、などと言いながら再び空中にミロクを出現させる。
しかし今度はそれをすぐに発射するようなことはせず、空中でゆらゆらと固定させるだけだった。
「そもそもだ。何故我が高速道路なぞに興味を持ったか憶えているか?」
「学校でハチマキ男が暴れてるのを見てたらあんたがいきなり行くとか言い出したんじゃない。
理由までは知らないわよ」
つい数時間前のことだ。あのときもこいつは唐突に出発を指示した。
「蜘蛛女の耳には届いておらなんだか。
奴はな、河川と高速道路がどうとか言いながらそこで我が忌々しく思っている者と遭遇したと言っていたのだ」
「ああ、なっとく」
嫌いな奴の居場所が分かったから急いで潰しに行こうとしたわけだ。そういうとこが子供っぽいんだっての。
「前にも言ったが奴の捜索自体は我にとってそれ程重要ではない。問題は場所だ。
地図を見てみよ。高速道路と河川が重なるためには、ここより更に北に行かねばならん」
「あら…ほんとだ」
確認して見ると確かにその通り。つまりギルガメッシュはあのハチマキ男の移動速度が速すぎると言っているのだ。
「で、それがどうしたの?単にあいつが凄く足が早いとか乗り物を支給されたとか、そういう理由でしょう。
そもそもアンタだってあいつの言うこと全部聞いてたわけじゃないんだし」
ギルガメッシュはあたしが話に食いついてきたのを満足するように笑った。
「そうよな。
確かにそれだけなら可能性は幾らでも考え付く。たとえ我程の才覚に恵まれぬ者であってもな。だがな、奇妙なことはもう一つある。
我はモノレールから見下ろした景色に違和感を覚えた」
「違和感?」
黙って本を読んでると思ったらちゃっかりそういうとこはチェックしてたわけか。ちなみにあたしは何の違和感も感じませんでしたが。
「人の身で察知するのは難しかろうな。それこそ死後英霊となる程の者でもなければ。
違和感の元はな、ちょうど地図で言う切れ端に当たる部分から発せられておったよ。
方角に関わらずな」
ギルガメッシュは視線を南に向け、あたしもつられてそちらを見る。って言っても今見えるのはミロクが破壊した道路くらいだ。
「つまり、この地図の切れ端の部分には何か細工がしてある、と」
「そうだ。それが何であるかはさすがに我と言えど判別できなかったがな。
だが、あの男の言葉と合わせて考えれば出てくる答えはそう多くはなかろうよ」
具体的な内容はどうあれ地図の外に逃げようとしても無理なようになってるってわけだ。念のいったことで。
けど、ここまで話を聞いてさすがにあたしもギルガメッシュが何を考えていたのか分かった。
外に逃げようとしても四方は囲まれている。それなら。
「上を目指す、ってことね」
「そういうことだ。宝具が我の手に戻ったのは好都合であった。
以後はこのようなこと一々我に説明させるのでないぞ?」
お空の向こうには何があるの、という話だ。こいつはさっきからそれを知ろうとしていたのだ。でも、端から出れないんだとしたら普通に動いてる雲とか太陽とかはどういう扱いになるんだ。
243: 螺旋の力に目覚めた少女 ◆10fcvoEbko 2008/01/17(木) 19:18:40 ID:dDdRsw9A(3/7)調 AAS
それはともかく、あれだけで理解しろって言うのは無茶だって。
言われっぱなしも癪なので皮肉を言ってやる。
「あら、じゃああたしより理解力が遥かに上の金ぴか様なら、今のでもうとっくに凄い情報を掴んでるわよねぇ?」
ちょっと昔を思い出して思いっきり神経を逆撫でするような言い方をしてやる。街でたむろしてる馬鹿な男どもならこれだけで顔を真っ赤にして怒ったもんだ。
思えばあいつらはほんとに扱いやすかったなあ。誰でもおんなじような反応返してきて。
ていうか、あたしも何が楽しくてあんな馬鹿ども相手にしてたんだろ。あれ、何か良く分からなくなってきた。
まぁ年寄りみたいな思考は置いといて、とにかくあたしの皮肉はギルガメッシュを愉快そうにくつくつと笑わせただけだった。
まぁそんなとこだろう、とは思ったけどね。
「その程度で我の気を引くことなぞできんぞ?くくっ、まあよい。
射撃の精度を保った状態で届かせられる範囲にはこれといった発見はありはせなんだよ」
機械女をいじめていたときにちらっと触れてたけど、ギルガメッシュお気に入りのゲート・オブバ・ビロンにも制限がかけられているらしい。平たく言うと思い切り飛ばそうとすればするほど狙いがぶれるようになっているそうだ。
加えて本当は結構遠くに飛ばしたものでも回収可能だったのが、近づかないと無理になってるという。
これに気づいたときのギルガメッシュの顔ときたらさぁ。我慢てもんを誰か教えてやってよ。
「つまり道路を破壊した他に特に収穫はなしと」
「現状で到達できる限界には何もなかったというだけのことよ。
飛行可能な道具でも手に入れば、どうなるかは分からんぞ?」
珍しく負け惜しみのようなことを言う。顔は相変わらず自信満々なんだけどさ。
ギルガメッシュはだめ押しのつもりか、出しっぱなしにしていたミロクをもう一度空に向かって発射した。
けどこれが良くなかった。まさか本当に落ちこんでたとは思わないけど、さっきより発射が雑になっているのは分かった。
そのせいで狙いのぶれがでちゃったのだろう、ミロクは明後日の方向に飛んでいくと少し離れたところにある民家の密集地帯に吸い込まれるように消えていった。
少し間をおいて、ずぅんという重い音が響く。
「あちゃあ。また派手にやっちゃって」
どっかの家に飛び込んだな、あれは。
「全く忌々しいものよな。我の財に手を加えるなどと」
ギルガメッシュは本当にこれでもかっていうくらい忌々しそうに舌打ちすると、己六が落ちた方向に歩き出した。
思い通りにならずにいらつくギルガメッシュをこっそり笑いながらあたしもその後に続いた。
まぁ、割かし近くに落ちただけ良かったんじゃない?
ここなら、家の中に誰か人がいるわけでもないしさ。
244: 螺旋の力に目覚めた少女 ◆10fcvoEbko 2008/01/17(木) 19:20:43 ID:dDdRsw9A(4/7)調 AAS
「もう良い」
お説教がそろそろ終わりそうになったっていうのに、尊大な男の声がわざわざ割り込んできた。
ああ、また自分は悪くないとかそういうことを言うんだろうな。けんかになるな、こりゃ。戦闘じゃなくてけんかだ。
あたしはうんざりしながら横目でギルガメッシュを見上げる。
「言い分もっともである。この娘には我が直々に良く言って聞かせる故、怒りを収めるがよい」
「はぁ!?」
ちょっと待て。なんであたしが悪いみたいな言い方になってんだ。
「まぁ…そういうことなら。あたしもちょっと言い過ぎだったわ」
あんたも納得したみたいな顔するな。あたしは何もしてない。
この問題はこれで終了みたいな空気になってる理不尽さに腹が立ち、あたしは目を尖らせてギルガメッシュを睨んだ。
するとこいつは、いかにも分かっていると言った様子で何度か頷くと、妙にいい笑顔をして言った。
「気にせずとも良い。臣下の不始末は我の目が行き届いていなかったのにも原因があろう。
我にも全く責任がないとは言わぬさ」
何ちょっと理解のある上司みたいな顔してくれてんだ。責任はお前にしかね―んだよ。
怒りと呆れを通り越した先にある良く分からない感情を持て余していると、女が張りのある声を上げ手を叩いた。
「じゃあ仲直りってことで。おかけでくさくさしてた気分が吹っ飛んじゃった。
あなたたちまさか殺しあいをしようってわけじゃないんでしょ?
だったらさ、見て欲しいものがあるんだ」
「いや、あたしはまだ納得してな…」
「ほう。よかろう、我が見るに値するものなのであろうな」
あたしの反論は好奇心の入り交じったギルガメッシュの声に遮られた。
あたしに責任を押し付けたままそいつは女の先導に従い妙にすいすいとした足取りで家の中に入っていく。
この珍しいもの好きが、と怒りも冷めやらぬままに思ったそのとき、あたしは前を歩くギルガメッシュの首元で何かがきらりと光るのを見た…ような気がした。
一瞬だったので見間違いの可能性が高いけど、あたしの目が確かならあれは…汗?
ちょっと待て冷や汗か?冷や汗かそれは?偉そうな顔で説教されながら実は内心でやっべ、どうしようとか考えてたのか?んで、あたしに全部責任なすりつけて自分はさっさと次の話題に移ったってわけですか?
何だそのこれから何が出てくるかで頭が一杯ですって顔は。ぶっ飛ばすぞ。
あぁ…何かもういいや、どうでも。
245: 螺旋の力に目覚めた少女 ◆10fcvoEbko 2008/01/17(木) 19:21:48 ID:dDdRsw9A(5/7)調 AAS
青い髪の女はアレンビー・ビアズリーと名乗った。
人探しをしていたところに襲撃を受け、仲間と探し人をまとめて殺され本人も傷を負ったので休んでいたという。
体のあちこちに治療の跡が見えるのはそのせいだったか。中々に壮絶だ。
ていうか、多分この場にいる人間は皆似たような状況なのだろう。ある意味のほほんと移動を続けているあたしらみたいなのはかなり特殊なんじゃなかろーか。
アレンビーが見て欲しいといったのは言ったのは、逃げる際に持ってきたという仲間達の支給品の山だった。
「形見みたいになっちゃったけど使わないってわけにもいかないしね。
あたしには良く分かんないのもあるし、いるものがあったら持っていきなよ」
仲間が殺されたときのことを思い出したのか、悲しげに目を伏せながら言う。
食事の後に整理をしていたという部屋に通されたあたしが最初に見たのは、床中に並べられた様々なもの中に邪魔をするかのようにそびえたつミロクの姿だった。
「あ〜あ…思った以上に派手にやってるわね」
本当に窓から飛び込んだのだろう、庭に面した窓は跡形もなく床にはガラス片が飛び散っている。
これはびっくりするわ。へたすりゃ死んでたっておかしくない。あたしなら間違いなく説教かます前に攻撃するか逃げるかしている。
だというのに、それをした張本人は全く悪びれる様子もなく並べられていた中にあった一振りの剣をしげしげと眺めている。まぁ、今更この程度のことを気にされたら逆に気持ち悪いけど。
「ほう…雑種、中々に良いものを揃えているな」
「『ザッシュ』?あたしの名前はアレンビーだって」
「ああ、雑種っていうのはこいつの国の言葉で『あなた』っていう意味だから気にしないで」
こいつの脳内にある国でだけど。余計なトラブルになるのも面倒なので適当に取り繕っておく。
まぁ分かんないのも当然か。あたしは威圧感に呑まれてすぐ字面が思い浮かんだけど、人のことを素で雑種なんて呼ぶ奴は常識人の頭には存在しない。
にしてもギルガメッシュは今持ってる剣がかなり気になるようだ。豪華な作りだし、金色がかってるから分からなくもないけど。
「どうしたの金ぴか。やけにその剣気にしてるじゃない」
あたしが言うとギルガメッシュは小馬鹿にするように鼻をならした。
「分からぬか。我のものとは数段劣るとは言え、この剣もまた宝具だ。
そしてこれはな、我が妻となるべき女が使っていたものだ」
「へ〜彼女がいるんだ。そんな大事なものあたしが持ってるわけにはいかないね。
持ってってよ」
恋愛話にアレンビーが目を輝かせる。いや、こいつと本当に結婚しようなんて女がいるとしたらそいつは天使だとあたしは思うけど、相手の人が実際どう思ってるかは分からないよ、こいつの場合。
ギルガメッシュは素直に自分に物を与えるアレンビーが気に入ったようだ。餌付けって言うんだっけ、こういうの。
「良い心がけだ。それにしても英霊がむざむざ宝具を奪われるとはな。
騎士王も高が知れるというものよ。慌てふためく様が目に浮かぶわ」
自分のことを棚に上げるとは正にこのことだ。けど、それを指摘するといきなり切れて暴れだしかねないので黙っておく。
「だが…」
ふいにギルガメッシュの目が曇った。気になることがあるらしい。
「これは…いささか雑種の手垢に汚れすぎているな。
いかなセイバーの剣と言えど、これでは使う気にならん。蜘蛛女、持っておれ」
「うわっ、いきなり投げないでよ。危ないっての。ていうかどんだけ贅沢なのあんた」
消しゴムとか一回使っただけで捨てるタイプだな。
246: 2008/01/17(木) 19:22:33 ID:sT+OdB4T(1)調 AAS
247: 螺旋の力に目覚めた少女 ◆10fcvoEbko 2008/01/17(木) 19:22:42 ID:dDdRsw9A(6/7)調 AAS
ギルガメッシュはふんと鼻を鳴らすだけで答えず、後は淡々と「貰うもの」を決めていった。
それは歯車みたいなものがついた変な機械だったり、緑色に光る石だったり、まりもみたいなものを浮かべた管だったりとギルガメッシュの趣味がとても良く反映されていた。アレンビーはそれを全て了承した。
「ナオは?何か知り合いのものとか欲しい物とかない?」
「あ、じゃあ少し食べるものを」
アレンビーに聞かれて咄嗟に答えた内容に、頭を抱えたくなる程悲しくなった。いつからこんな所帯染みちゃったんだろうなぁ、あたしは。
しかし、とさすがに変に思った。いくらなんでも初対面の相手に太っ腹すぎじゃないの。ギルガメッシュはそれが当然だと思ってるから気にしないだろうけど。
それについて聞くと、アレンビーは深刻そうな顔で奇妙なことを言った。
「うん…そうなんだけどさ。
ねぇ、あたしの仲間にさ。殺し合いなんか大嘘で、もし死んじゃっても別の場所で目覚めるだけだって言う子がいるんだけど。それってほんとだと思う?」
あれ、意外と弱々しいことを言うんだなとあたしは思った。
まぁ、仲間が無惨に殺されたばっかだっていうしそういう風に逃げたくなる気持ちは想像できなくもない。
でも答えは決まっている。現実はいつもいやなことばっかで、そんな都合のよいことが起きるなんて期待するだけ無駄なのだ。こればっかりはギルガメッシュも同意見だろう。
果たして、あたし達二人の解答は一致していた。
「そんなわけないじゃん」
「いかにも脆い雑種の考えそうなことよな。現実を見ることのできぬ大馬鹿者は放っておくが良い」
ギルガメッシュの方が数段表現はひどかったが。
あたし達の答えを聞くとアレンビーは噛み締めるように頷いて言った。
「そうだね…。あいつも一も本当に苦しそうだったし、キールだって。でも、そしたら…」
何やら真剣に考え込んでいる。アレンビーしばらくそうしていたがやがてぱっと力強く顔を上げた。
その表情は、何か強い決意に満ちているように見えた。
「ごめん。あたしもう行くよ。守ってあげなきゃいけない子がいるんだ。
持ってる物をあげたのはここから出ようとしてる人に有効に使って欲しかったから。
それじゃあ、気を付けてね」
言うと同時に素早い手つきで荷物をまとめ始める。その背中に向けて聞いた。
「行くって、どっかあてでもあんの?」
「うん、こっから南の豪華客船で…あぁ、そっかそっちの伝言もあったんだっけ」
アレンビーはあたし達に高遠遥一とか言う人物の伝言を伝え、良ければ一緒に行かないかと誘った。
脱出を目指す希望の船とかいう名前の集団らしい。希望の船。希望の船ねぇ。
はい、答えは決まってますよ。そりゃもちろん。
「行かない。うさんくさいし」
「行かぬ。群れるのは雑種だけでしておれ」
あたし達の返事を聞いてアレンビーはそう言うと思った、と笑った。
「でもこっちは信用できると思うよ?戦うつもりがないならその内会うかもね。それじゃ」
「待て」
颯爽と駆け出そうとしたアレンビーをギルガメッシュが止めた。なに、と振り返る。
そしてギルガメッシュは、かつてない程に衝撃的で、余りにも予想外な、あたしの人生観を根底から覆すようなことを言った。
248: 螺旋の力に目覚めた少女 ◆10fcvoEbko 2008/01/17(木) 19:23:34 ID:dDdRsw9A(7/7)調 AAS
「献上品中々の質であった。褒美をとらせる。望みの物を言ってみよ」
「えぇえ!?」
素で絶叫してしまったあたしを責められる者はいないだろう。ギルガメッシュのうるさそうな視線も気にならない。
「何を驚いておるか。
礼節を知るものに相応の返礼もできぬようでは、王としての器を疑われるのだぞ」
「え…あ、いや…なんていうか…………えぇえ!?」
間違いなく歴史的な瞬間に立ち会っている。あたしはそう思った。
幸いアレンビーが返事を考える間にあたしは冷静さを取り戻すことができた。つまり、アレンビーは結構な時間悩んでいた。
「別にお礼が欲しかった訳じゃないし…欲しいものって言われても…そうだ!
フラフープか新体操用のリボンみたいな形の武器って持ってない?」
いやそんなの持ってるわけないって。何でそんなの欲しがる。
「ふむ。我の宝物庫を開けば出てもこようが、忌々しいことに今は開くことができぬ」
あんのかよ。
アレンビーは余り期待はしていなかったようで、それ程落ち込んだ様子もなかった。
でもまぁ、ギルガメッシュじゃないけど、本当にギルガメッシュじゃないけど、親切心でこれだけ気前よく物をくれた人に何もなしというのは、まぁ気が引けないでもない。
そのとき、あたしは学校で拾ったでかい十字架のことを思い出した。
「ねぇ、金ぴか。あれあげたら?ほら学校にあったやつ。
何かすごいもん見たいに言ってたじゃない」
「あれか。ヒトという種が所有するには最上級の兵装かも知れぬがな」
「ああ、それでいいよ。せっかくの気持ちなのに、何も受け取らないのも悪いしね」
アレンビーはそう言って、あたしが苦労して取り出した人間程もある大きさの十字架を軽々と持ち上げた。何だ、やっぱり生き残る人っていうのはそれなりの理由があるもんなのね。
そうして、アレンビーは振り回すのにちょうどいいと十字架を持ったまま、今度こそ立ち去ろうとする。
「待て、最後にもう一つ尋ねる」
しかし、アレンビーの足は待たしてもギルガメッシュの声に止められた。
ただ、今度の言葉の内容ははさっきの何かとは比べ物にならないくらい小さく、すぐに忘
れてしまいそうなくらい細かいものだった。
多分言った本人も単なる気紛れで、深い意味もなく言ってみただけというのが正解だろう。
ギルガメッシュが言ったのは、そんな程度の言葉だった。
「放送で言っておった“螺旋の力に目覚めた少女”について、知っていることはないか?」
アレンビーはしばらく考える仕種をした後に、変わらない快活な声で言った。
「知らない。言われてみると、何のことかしらね」
【D-3中部/民家/1日目-夕方】
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:王の財宝@Fate/stay night 黄金の鎧@Fate/stay night
[道具]:支給品一式 ミロク@舞-HiME シェスカの全蔵書(1/2)@鋼の錬金術師 首輪 (クアットロ)
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。【乖離剣エア】【天の鎖】の入手。
0:ふむ。そうか。
1:異世界の情報、宝具、またはそれに順ずる道具を集める(エレメントに興味)。
2:出会えば衛宮士郎を殺す。具体的な目的地のキーワードは【高速道路】【河川】 。
3:“螺旋の力に目覚めた少女”に興味。
4:目障りな雑種は叩き切る(特にドモンに不快感)
※地図の端と上空に何か細工があると考えています。
※エクスカリバーを使う気は余りない
249: 2008/01/17(木) 21:05:29 ID:XD2NwOPh(1)調 AAS
>>239
そこについてはどうやって決めたのかも謎なんだわ
過去ログ議論が探したけど無い
どうやってやったのかすっぱりわからん
証拠隠滅に走られたっぽい
250: 2008/01/17(木) 21:21:54 ID:NcHzYtYR(4/4)調 AAS
そもそも誰のセンス?これ
251: 2008/01/17(木) 21:28:01 ID:Ycz8TUzO(1)調 AAS
嫌な気分になったら、「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
ここらへん見る限り、ただのガッシュ厨じゃないかとは思ふ
252: 2008/01/17(木) 21:33:18 ID:vXU+Y9vV(4/5)調 AAS
そこってずっと話に出てるけど、とどのつまり特定作品の擁護じゃないの?
アニキャラ総合板にはいろんなアニメがあるんだから
特定のアニメのネタを振るのは公平性に欠けるだろ
そこで無理やりガッシュベルを選ぶ理由も無いし
253: 2008/01/17(木) 21:40:16 ID:pppJfh7y(1)調 AAS
>>238の
話の丸投げ
後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。
ここもおかしいぞ
したらばルールでは最初から
「脱出者」と「ゲーム参加者」以外の選択無いじゃん?
そもそもその時点で「はじめから適当な話の骨子だけを投下」してるんだよ
しかも故意的に。
あとフラグというのは「はじめから適当な話の骨子だけ投下」と同じじゃん
254: 2008/01/17(木) 21:59:54 ID:YXUxJC+n(1)調 AAS
>したらばルールでは最初から
>「脱出者」と「ゲーム参加者」以外の選択無いじゃん?
それ以外に選択あるのか?
255(1): 2008/01/17(木) 22:17:09 ID:vXU+Y9vV(5/5)調 AAS
「脱出」「優勝」
したらばが認めてるのはこのエンドだけでそれ以外を潰しにかかってる
※そしてこの脱出か優勝以外の選択を出さないように書き手を送り込んで仕向けている
で、実際にそれ以外で各地のバトロワスレで提唱されてるのが
1:ゲームそのものを中止に追い込む
バトル・ロワイアル開催地の外を中から動かして
ゲームそのものを何らかの理由で中止に追い込まざるをえないように仕向ける
(主催者側で反乱を起こさせる等)
2:主催者がいない
そもそも最初から主催者がいないので主催者が倒せない
(抵抗不可能な自然の力で自動的にバトロワをせざるを得ない環境におく)
3:和解
主催者を降伏させる
4:主催者も被害者(バトルロワイアルを行わなければ自分も死ぬ等)
まだあるかもしれないが
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
まあ、色々あるけど要するに
いままでに無いような形のものを生み出そうとしてバトロワの住人が四苦八苦してる
だからバトルロワイアルという骨子はそのままにさまざまな改革案は出てるんだけど
それをしたらばの頭の固い連中が「バトロワとはこうだ!」という思い込みが強すぎて
その自分達の意見に従えない奴等を荒らし扱いして妨害してるだけなんだよね
※CGIバトルロワイアルなんてまさにその典型
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
256: 2008/01/17(木) 22:24:32 ID:vONUaEZ7(1)調 AAS
バトロワはSSでないといけないとか、
40KB以上ないといけないとか
いつだれがそんな事決めたんだろうな
って考えると
したらばなんだよな
要はそれだけのSSをかけない人間を放逐してるということに気がついてない
奴ら自身の手で参加者を制限してるんだ。
だからどうすればバトロワが発展するのかというと、
バトロワ改革の抵抗勢力であるしたらばとそのルールを潰せばバトロワは発展する
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
という事になる。一回、誰もが参加できる参加しやすい状態に戻さないといけないと思う。
だから、バトロワ発展のためには、したらばルールを全否定しろ
これしかない
257(1): 2008/01/18(金) 20:04:53 ID:L0sss/q3(1)調 AA×
![](/aas/anichara_1199094345_257_EFEFEF_000000_240.gif)
258: 2008/01/18(金) 23:41:28 ID:njmISmp3(1)調 AAS
奴等は潔癖過ぎる上にわがままだからな
キャプテンだってあいつらが何もしなけりゃ何もおきてなかったようなもんだ
キャプテンがSS撤回したいと言ったら撤回させてりゃよかったんだ
キャプテンが著作権者なんだからキャプテンの言うとおりにすれば何の問題もなかった
それを頑としてはねつけてキャプテンを荒らし扱いしたのはほかでもないしたらばのdionとかじゃないか
259: 2008/01/19(土) 15:49:40 ID:xON1k9dN(1/2)調 AAS
>>255
ん〜、1と3は結局脱出にならんのか?それに降伏は和解とは言わんだろう。2は優勝エンドになるだろうし。
>>257も3と5はSS方式関係ないしさ。
てかここでウダウダやってるよりやる気あるならこっちを進めようぜ。こっちでそれらの意見取り入れて始めよう。
外部リンク:c-au4.2ch.net
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