[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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870: コドクノオリ 「遠い日のもどかしさ」 2013/09/18(水)20:28 ID:v8FkA1z+o(1/6) AAS
 修実と久信が逃亡を開始することになる日から数年前。
 久信がまだ中学三年だったある日、久信は実家の庭の掃除をしていた。
 当時、久信は地元の公立高校へ行くために受験の準備をしている、そんな時期だった。
 この頃になると、都市伝説と人間の違いや、都市伝説契約者が一般の人々の間で生きていくことの難しさなどもなんとなく分かってきて、
自分と同じように、家系そのものが都市伝説と契約している友人の昌夫が中学卒業と同時に警察の裏部署へ行こうとしていることなどを含めて、
自分の将来、などという曖昧模糊としたものもぼんやりと形を成してきたような気がする。そんな時期だった。
 とは言っても、久信が将来やることはここ数代前と変わらずに、どこぞの企業相手の拝み屋や、便利屋なのだろうと本人も、そして周囲の一族も考えていた。
 憑き物筋は血筋に憑く都市伝説の能力を使って長い間、この世界の中でそれなりに良い地位を得てきた。
家系に憑く都市伝説の能力を利用した貢献と、各業界に食い込んでいる他家の憑き物筋同士の付き合いによる特殊な人脈の構築。
省13
871: コドクノオリ 「遠い日のもどかしさ」 2013/09/18(水)20:29 ID:v8FkA1z+o(2/6) AAS
「来た」
 呟く声は僅かに弾んでいる。
 今日は、二か月ぶりに姉が実家に帰ってくる日だった。
 車から姉と、1人の目つきがあまりよくはない黒服の男が降りてくる。
実家に帰る修実に付くお目付け役だ。
久信はこれまで何人かのお目付け役の姿を見てきたが、その誰もがまっとうな職業に就いていなさそうな雰囲気をしていた。
 両親の後についていろんな企業の人間に会ったことがある久信は、
お目付け役と名乗る監視役の男たちから得るあまりよくはない印象を危険、と判断していた。
 男に社交辞令的に挨拶すると、男は慇懃に会釈を返してくる。
それらの動作がいちいち信用できず、そんな者たちに姉を任せていることに対して、不安を抱く。
省20
872: コドクノオリ 「遠い日のもどかしさ」 2013/09/18(水)20:30 ID:v8FkA1z+o(3/6) AAS
「力は強くなっても体が変化できても、本体の方はあくまで生身の人間なんだから。体は大事にしてくれよ」
「うん……分かってる」
 微笑んで返す修実。
絶対に分かっていないと久信は思うが、あの微笑を浮かべる修実にはこれ以上何をつっこんでも望んだ返答を得ることはできないだろう。
 それにしても……。
 姉は年をとるごとにどんどん綺麗になっている。
疲労が浮かんでいる今ですら、むしろそのやつれた感じが彼女の美しさを引き立たせているようにすら感じる。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ」
 久信は、自分の中で、自分自身の内心がはっきりと把握できてきていた。
省16
873: コドクノオリ 「遠い日のもどかしさ」 2013/09/18(水)20:31 ID:v8FkA1z+o(4/6) AAS
 邪険にしているとかではなく、ただ単にぎこちないとしか言いようのない状態になってしまうのは、
両親の根底に自分たちで娘の力を制御することができずに、里子に出して家の中から追放する形をとる事でしか彼女を生き延びさせることができなかった事に対する負い目もあるのだろう。
 大きすぎる、そして制御が利かない力を持っていて、それが家族にとっていつ爆発するとも分からない爆弾であり、
そしてまた、里子に出されて訓練の機会に恵まれなければ自分の命が危なかったということを理解している修実は折に触れて「気にしなくてもいいのに」と漏らしている。
 それでも両親はぎこちないままだ。
 姉も両親も互いに負い目を感じていて、そしてお互いが相手を慮ることができるからこそ、
ここまでこじれてしまえば、もう普通の親子の関係を再構成することはできないのではないのかと諦め交じりに久信は思っていた。
 全部、一人だけ飛び抜けてしまった力のせいだ。
 大きな力を持ちすぎた姉は、家族の中で生きていくことができずに孤立して、
今も家に居ることができない。里子の先での生活を、姉は多くを語ってはくれない。
省10
874: コドクノオリ 「遠い日のもどかしさ」 2013/09/18(水)20:32 ID:v8FkA1z+o(5/6) AAS
   @

 久信は窓から差し込む光を顔に浴びて、目を覚ました。
 ああ、昔の夢を見たな……。
 体を起こしながら思う。あの日以降、姉が実家に帰ってくる頻度は更に下がってしまった。
おそらく、組織から回される仕事に忙殺されていたのだろう。
暗殺を行う一方で、組織のお膝元の町を守る任務もあったという話だから、優しい修実はうかつに町を離れることができなかったのだ。
町に拘束することで、組織の秘密が外部に漏れないよう、体よく利用されていたのだろう。
「今なら、分かるんだ」
 組織が修実にやらせていた仕事も、それをこなしていくうちに姉が肉体的にも精神的にも参っていたことも、
省25
875: コドクノオリ@金剛さんと榛名さんが好き 2013/09/18(水)20:33 ID:v8FkA1z+o(6/6) AAS
そろそろお話を回していこうと思います!
と自分に言わないと俺は動かさないに違いない
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