[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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874: コドクノオリ 「遠い日のもどかしさ」 2013/09/18(水)20:32 ID:v8FkA1z+o(5/6) AAS
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 久信は窓から差し込む光を顔に浴びて、目を覚ました。
 ああ、昔の夢を見たな……。
 体を起こしながら思う。あの日以降、姉が実家に帰ってくる頻度は更に下がってしまった。
おそらく、組織から回される仕事に忙殺されていたのだろう。
暗殺を行う一方で、組織のお膝元の町を守る任務もあったという話だから、優しい修実はうかつに町を離れることができなかったのだ。
町に拘束することで、組織の秘密が外部に漏れないよう、体よく利用されていたのだろう。
「今なら、分かるんだ」
 組織が修実にやらせていた仕事も、それをこなしていくうちに姉が肉体的にも精神的にも参っていたことも、
姉が向こうでの生活を詳しく語れなかったのは、あの監視役に強く言い含められていたからだということも、終わってしまった今ならば、分かる。
 そして、それらは全て、久信に修実から頼られるだけの力があれば、何とかなったかもしれないことだった。
「力が欲しい」
 全てを失う寸前で、何とか拾い集めることができた大切なものを今度こそ離してしまわないように、
「さしあたってはこのピンチを乗り越えたいんだけど……」
 窓からコンコン、と小さな音がする。
 窓を開けると、一匹の蛇と犬がいた。
「お、どうだ? 何か見つかった?」
 訊ねると、犬と蛇のコンビは仲良く首を左右に振った。犬の首から伸びている蛇がシュールだ。
「わ、かわいい」
 いつの間にか起きていた修実が歓声を上げる。犬と蛇のとりあわせは修実には受けがいいようで、なによりだ。
 そんなことを思っていると、敷地内にもう一匹、蛇がやってきた。
 町の西方面にある工場の辺りを探してもらっている蛇の内の一匹だ。
「どう? 見つかった?」
 訊ねると、蛇はこちらもまた首を左右に振った。
「駄目か……」
「でも、この仔たちの捜索範囲は少しずつ狭めているんだよね?」
「蛇の皆で全体を囲んで少しずつ包囲の輪を狭めていく感じで探してもらってるよ」
 こちらは久信の本命ということもありかなり力を入れて探してもらっている。
時間はかかるんだろうが、一度完成された包囲網は蛇を殺せばそれだけで判明するし、
抜けようとしても圧倒的な数がそれを許さない。悟られずに崩すのは不可能だ。故に、
 あと少し……かな。
 犬と蛇を相手に戯れている姉を見る。今はこんなところで、いつ破局を迎えるかわからない生活しかできない。しかし、
 そう遠くない未来に修実が本当に安心して笑って生活できるようにしてやる。
 日が昇って来た。今日も、ひたすら耐える日になりそうだった。
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