[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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872: コドクノオリ 「遠い日のもどかしさ」 2013/09/18(水)20:30 ID:v8FkA1z+o(3/6) AAS
「力は強くなっても体が変化できても、本体の方はあくまで生身の人間なんだから。体は大事にしてくれよ」
「うん……分かってる」
 微笑んで返す修実。
絶対に分かっていないと久信は思うが、あの微笑を浮かべる修実にはこれ以上何をつっこんでも望んだ返答を得ることはできないだろう。
 それにしても……。
 姉は年をとるごとにどんどん綺麗になっている。
疲労が浮かんでいる今ですら、むしろそのやつれた感じが彼女の美しさを引き立たせているようにすら感じる。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ」
 久信は、自分の中で、自分自身の内心がはっきりと把握できてきていた。
姉のことが気になってしかたないのだ。彼女が持っている力に嫉妬しているというのともまた違う。
 純粋に相手を心配していてもつい思考が別にずれてしまい、不必要と分かっていても、
相手の全てに関心を向けないではいられない気持ちや、徐々に変わっていく相手に対するわずかな苛立ち。
 自分があずかり知らないところで姉が変化していくのを見るのが悔しいと思っているということなのだろう。
 そういう風に姉を認識していると認めるのは照れを感じる。
 これ以降、高校を卒業してあの事件が起こるまでの間、嫉妬や羨望を感じたこともあるが、
結局のところ、久信は幼い頃からずっと変わることなく、ずっと姉のことを好いていた。
 姉を好いているというのも、普通の学校に通っていた当時の久信には常識的におかしいということは分かってはいた。
が、それも高校生活も半分を過ぎて、自分の中のもやもやした気持ちの正体を認められるようになるころには、
憑き物筋の家は血を濃く保つことを推奨されていることもあって、好意を素直に姉へと向けられるようになりつつある、
この当時はそんなふうに気持ちが移行していく途中だった。
「じゃあ、私、お父さんとお母さんに挨拶してくるね」
 ただじっと見つめて何か言いたそうにしている弟の様子に首を傾げながら、修実は母屋に向かって歩き出した。
この後の家族の情景を想像して、久信は複雑な気分になる。
 久信と修実の両親は一族の中で抜きんでた力を持った娘にどのように接したらよいのかわからないようで、
彼女の事を都市伝説に愛された子と呼んでは基本的に接触を避け、仮に接触の機会を得たとしても、ぎこちない対応になってしまうことが常だった。
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