[過去ログ] 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part9 (1002レス)
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871: コドクノオリ 「遠い日のもどかしさ」 2013/09/18(水)20:29 ID:v8FkA1z+o(2/6) AAS
「来た」
 呟く声は僅かに弾んでいる。
 今日は、二か月ぶりに姉が実家に帰ってくる日だった。
 車から姉と、1人の目つきがあまりよくはない黒服の男が降りてくる。
実家に帰る修実に付くお目付け役だ。
久信はこれまで何人かのお目付け役の姿を見てきたが、その誰もがまっとうな職業に就いていなさそうな雰囲気をしていた。
 両親の後についていろんな企業の人間に会ったことがある久信は、
お目付け役と名乗る監視役の男たちから得るあまりよくはない印象を危険、と判断していた。
 男に社交辞令的に挨拶すると、男は慇懃に会釈を返してくる。
それらの動作がいちいち信用できず、そんな者たちに姉を任せていることに対して、不安を抱く。
「ただいま、久くん」
 後部座席から降りてきた修実は、久信が男に、ひいては姉が預けられている組織全体に対して抱いている不信感を吹き飛ばすように、
向こうでの暮らしも悪いものではないのではないかと思わせる笑顔で、帰郷の言葉を久信にくれた。
 二か月ぶりに見る姉は、また少しと細くなり、また、疲労しているように見える。
「おかえり。……修実姉、疲れてない?」
 久信にはこの一年程の間、姉が実家に帰ってくるたびに少しずつやつれていくように思われた。
 いや、実際に会うたびに目に見えて弱っていく修実は、何か問題を抱えているのだろうかと思うのだが、
久信がいくら訊ねても、修実は何も話してはくれなかった。
「私は疲れてなんかないわよ、久くん。それより、また蛇に家の掃除をさせているの? あんまり下品な使い方をしてはいけないって前から言っているのに」
 久信は眉を上げた。
「分かるんだ」
「ふふ、私も少し、力が上がっているからね」
 いたずらっぽく答える修実に吐息交じりに久信は言う。
「おみそれしました。でも、蛇に手伝わせるくらいはいいでしょ。俺自身も掃除はしてるんだし、それにこれも一つの訓練だよ」
「あまり楽ばかりしようとしてはだめよ」
「あーはいはい」
 ぞんざいに答えながら久信は質問をはぐらかされた、と内心で思う。
 修実は最近、蛇神憑きとしての能力がまた一段と強くなったようだ。
 時間が経てば経つほどに力を強めているように思われ、
いつかはその力に追いつきたいと思って力を欲している久信には、目標が遠ざかっているようで、あまり面白くはない。
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