[過去ログ] ガンダムヒロインズMARK ??I (152レス)
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1: 2020/12/01(火)01:32 ID:P3dXRXkh(1/6) AAS
語るも良し!エロパロ書くも良し!
ガンダムの娘ッ子どもで妄想が膨らむ奴は集え!

ガンダム以外の富野作品やGジェネ、ガンダムの世界観を使った二次創作もとりあえず可!
で、SSは随時絶賛募集中!

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ガンダムヒロインズMARK ??
2chスレ:eroparo

■関連スレ
ガンダムビルドファイターズでエロパロ
2chスレ:eroparo
2: フェニックステイル第31話(承前) 2020/12/01(火)01:34 ID:P3dXRXkh(2/6) AAS
「P−04ってのは、プラント農業とジャンク漁業の町なんだよ――まあ私も、実際に行くのは初めてだけど」
 サラミス改級巡洋艦《トラキア》、MS格納庫――ルウム農協船団護衛MS隊との接触から、一時間前。
 この短期間に数度の実戦を潜り抜け、今また無事に帰還したばかりの艦載機RGM−79R《ジム?》への整備と補給に、整備兵たちが飛び交いながら奔走している。その壁際で、二人の少女兵が飲料を片手に話し込んでいた。
「ルウム戦役の時、ジオンは大量破壊兵器の無差別投入で徹底的にコロニーを破壊したけど、流石に細かいプラント全部までは潰しきれなかった。
 まあ核にも艦砲にも毒ガスにも弾数ってもんがあるし、連邦軍とも戦わなきゃいけなかったからね。
 だからコロニーの住民が全滅した後も、プラントの方には多少の生き残りがいたんだ。
 戦闘後に両軍が撤退してからの数か月後を生き残っていられた人たちを、同郷のルウム難民志願兵を中心に編成されていた、当時のトラキア隊がルナツーから来て助けて回ったらしい」
「ぜんぜん知らなかった……そういうところだったんだ」
「うん。まあこればっかりは、アイネが不勉強ってわけじゃない。私も今の部隊に来るまで、ほとんど知らなかった。このへんの情報、なぜだかほとんど外には出てないみたいだし。――もっと早く、知れていたらなあ」
 シエルが言葉を切ったその一瞬に、アイネは親友の横顔に過ぎる記憶の暗い影を見た。一息の間を見守られた少女はどこか遠くへ視線を投げて、何かを洗い流そうとするように続けた。
省16
3: フェニックステイル第31話(承前) 2020/12/01(火)01:35 ID:P3dXRXkh(3/6) AAS
「そしてプラント農業とその輸出態勢が軌道に乗った頃には工業プラント群も整備されて、宙域のデブリやジャンクを回収して再利用する基盤も整っていた。
 連邦軍の第一線を退役したボールを大量に取得して、今は予備役登録を条件に業者へ積極的に貸し出したりする振興策をやってるみたい。
 何せここの暗礁宙域は地球圏最大だったうえ、長年残党軍の拠点にされてたから、今でも高額で捌けるジャンクがデブリになって、手つかずのまま大量に漂流してる。
 誰が呼んだかジャンク漁業――そのジャンク漁業に従事する民間船団の護衛は、今でもここの連邦軍の任務のひとつらしい」
「ジャンク漁業の護衛っ……!」
 シエルの言葉に、にわかにアイネの瞳が輝きを増す。姿勢が前のめりになり、巨大な胸元がシエルの眼前へ迫る。呆れたような半笑いを浮かべながら、シエルは親友の顔を見上げた。
「何。アイネ、そんな仕事やりたいの?」
「うんっ!」
 揶揄するような調子の問いにも、アイネは満面の笑みで即座に頷いてのける。
 ジャンク回収船に張り付いていつ来るかも分からない敵をひたすら待ち受ける受け身の任務など、シエルは積極的にやりたいとは思わない。むしろいかに危険であろうと、果敢に敵陣へ斬り込む威力偵察のような攻めの任務の方が好ましいと思っている。
省23
4: フェニックステイル第31話(承前) 2020/12/01(火)01:35 ID:P3dXRXkh(4/6) AAS
 とはいえ比較対象として、現在この場に不在の整備班長ウェンディ・アーデル曹長の想像を遙かに上回る奔放さを思い出してしまうと、自機の機付長としてどちらが良い、と言えるものでもなくなってくるのだが。
 だが同時に、こうして間近で見るマリエルの横顔はまさしく人形のように整っていて、こんなに可愛い女の子は見たことがない、とすら思ってしまう。
 ――ハヤカワ准尉やシエルみたいな凛とした女性も素敵だけど、エイムズ軍曹みたいな美少女も、最高だなあ。
 エイムズ軍曹を隠し撮りした高解像度の大判写真を額縁に入れて飾りたい。というか無骨な整備兵用ノーマルスーツなんかじゃなくて、フリルのたくさん付いた可愛いドレスを着せてみたい。
 いや。そこまでやるならもう、その状態でさらに手足を縛ってベッドの白いシーツの上に転がし、涙目でキッとこちらを睨み返してくるところを――
「――クライネ伍長?」
「はいっ!?」
 妙な緊張を伴う沈黙の中、危うくおかしな方向へ跳びかけたアイネの思考を、マリエルの言葉が矯正した。
「最新の戦闘データ、見せてもらった。ずいぶん突っ込んだ戦い方が好きみたいね」
「は、はい」
省15
5: フェニックステイル第31話(承前) 2020/12/01(火)01:37 ID:P3dXRXkh(5/6) AAS
「ん、……っ……」
 長い銀髪を下ろしたあどけない顔立ちの美少女が、薄闇の空間で目を覚ました。
 彼女の記憶に残っている最後の光景は、首のないジム?から向けられたビームライフルの丸い銃口だった。
 装甲を貫き、一瞬でコクピットとパイロットスーツを焼き尽くした、灼熱の閃光。それが彼女が最後に見たものだった。
 苦痛を感じる間もなく、自身の肉体は蒸発した――彼女がこれまで多くの連邦兵をそうしてきたように、彼女自身も細胞の一片までを原子レベルで分解され、再び宇宙と一体化する『完全成仏』を遂げた。そのはずだった。
 だが今、彼女の目の前に広がっているのは、明らかに極楽でも地獄でもない。宇宙艦艇の、窓もない狭い倉庫の一室だった。
 その目に映るのは一糸まとわぬ、透き通るように白くみずみずしい自身の肌。相変わらず下向きの視界を遮るほどに大きな乳房はなぜか熱を孕んで、桜色の頂は堅く尖っている。
 素肌には火傷はおろか、かすり傷の一つすらも残っていない。そして下着のひとつも身につけていない、完全な裸身であった。
「…………!?」
 自身の状況を確かめようと身体を動かしかけて、彼女はまったく果たせずにその場で揺れた。彼女の両手両足は、いっそ過剰と思えるほど厳重に拘束されていた。
省26
6: フェニックステイル第31話投下終了 2020/12/01(火)01:38 ID:P3dXRXkh(6/6) AAS
今回は以上です。
スレッド容量の確認を怠って途中でスレッドを落としてしまい、申し訳ございませんでした。
7: 2020/12/04(金)22:21 ID:0nLdQFkC(1) AAS
うんこっこw
8: 2021/01/07(木)19:58 ID:8dZJlkmz(1) AAS
0083の観艦式に参加した連邦艦隊
そりゃーキレイなお姉さんたちがオペレーターで乗ってたんだろうなぁ
勿体無いなぁ
9: フェニックステイル第32話投下準備 2021/02/28(日)22:05 ID:G2Yl2B1i(1/9) AAS
投下します。
残念ながら、今回はエロ無しです。
10: フェニックステイル第32話 2021/02/28(日)22:07 ID:G2Yl2B1i(2/9) AAS
「――以上をもちまして、『トラキア』からの状況報告を終了いたします」
 サラミス改級巡洋艦『トラキア』艦長リドリー・フランクス大尉が急拵えの資料で報告を終えても、新サイド4暗礁宙域に設けられた地球連邦軍要塞拠点『P−04』内部の作戦会議室は静けさを保っていた。
 前列の席に着くのはつい今し方P−04へ到着し下艦したばかりの、トラキアが属する第223戦隊の主要士官たち。戦隊司令リード中佐、旗艦『マカッサル』艦長カミラ少佐、その僚艦であるサラミス改級駆逐艦『アルマーズ』艦長ヘイズ大尉の3人が並ぶ。
 そしてその後方に艦載MS隊長たちが立つ。トラキアのハヤカワ准尉、アルマーズのリンリー少尉、それから不審船を巡る戦闘で壊滅状態に陥ったマカッサルMS隊の生き残りである隊長代理、キーガン少尉。
 もっともリドリーが報告した内容の大半は、すでに第223戦隊の内部ではレーザー通信経由で共有されていたものだった。戦隊側から質問を発する気配はなく、場の意識は会議室前方の最上位者に集中していく。
 室内における最上位者――すなわち、P−04駐留部隊司令官、ユン・ソギル准将。そして新サイド4駐留艦隊副司令ヨランダ・ウォレン准将の懐刀として知られる参謀、タニア・メーティス中佐の2人である。
「ご質問は?」
 微かな緊張を帯びながら、リドリーはソギルへ問いかけた。
「ふむ。ご苦労だった、フランクス大尉。さて……よろしいですな、中佐?」
 ソギルが傍らの黒人系女性士官へ何事かを確認すると、タニアは無言で同意を示した。ソギルがひとり頷くと、前方の大画面がリドリーの資料から切り替わる。
省21
11: フェニックステイル第32話 2021/02/28(日)22:07 ID:G2Yl2B1i(3/9) AAS
「ルスラン・フリート旗艦――マゼラン級戦艦『ルスラン』」
 リードにそう艦名を呼ばれたジオン残党軍のマゼラン級戦艦が単艦、第450戦隊に向かって接近してくる。
 連邦軍の3隻を相手にわずか1隻で向かってきたその敵艦から、10機前後のMS隊が発進した。スラスターが曳く光条を見るに、サラミス改級巡洋艦のようなMS用カタパルトではなく、一年戦争末期さながらに艦底部甲板からの自力推進らしい。
 だが、その後の加速は鋭い――わけても先頭に突出する3機小隊が、ひときわ。
 MS隊を発進させた敵艦から、艦砲射撃の火線が走った。マゼラン級戦艦が放つビームは太く、速く、そして鋭く、サラミス改級の3隻をたやすく圧した。艦隊を嘗めるように走った正確な光条に脅され、450戦隊が思わず行き足を乱す。
 ドラッツェ隊を玩具のように追い回していたMS隊の先鋒が、苛立つように進路を転じた。敵艦へ、そしてそのMS隊へと目標を変える。
 スラスターが火を噴き、ガルバルディが虚空に跳ねる。
 その意気揚々と先陣を切っていく連邦軍MS小隊の、派手なパーソナルマーク付きのガルバルディβへと、敵艦から来た角付きのMS−14A『ゲルググ』――あるいはその同型に見える機体が静かに銃口をもたげた。
 互いに同系統のビームライフルが狙いを付けあう。
 一瞬の沈黙ののちに有効射程を割るや、両者は同時に火蓋を切った。
省19
12: フェニックステイル第32話 2021/02/28(日)22:09 ID:G2Yl2B1i(4/9) AAS
 ジオン残党が振るう圧倒的な数の暴力でMS隊が一方的に撃墜されていく中、メガ粒子砲と機銃で狂ったように防御射撃を繰り広げる3隻のサラミス改へと、MS−09RB『ビック・ドム』の編隊が肉薄していく。長大なビーム・バズーカの砲口を向けた。
 雲霞のごとく群がる敵MS編隊によって、第450戦隊の各艦が放つ対空砲火は既に限界まで分散し、飽和させられきっていた。ビック・ドム隊はろくな迎撃を受けることもなく、中距離からビーム・バズーカの狙いを定める。
 巡洋艦の艦砲にも匹敵する大火力の高初速ビームを、矢継ぎ早に撃ち放った。
 艦隊に回避機動の猶予などない。太い光弾が次々と艦体の舷側を捉えては食い破り、3発、4発と立て続けに浴びたサラミス改級駆逐艦の内部に誘爆の炎が走ると、200m近い巨体は内側から膨れ上がり、跡形もなく消し飛んだ。
 周囲すべての僚機を撃墜されて完全に孤立し、武装もろとも右腕を失いながらハイザックが単機、よろめくように逃げまどう。そのハイザックの背中を、一転して猛追するドラッツェF3が狙った。
 MA級の圧倒的な加速力で瞬く間に距離を詰め、ハイザックの背後からビームサーベルを振りかぶる。
 だがその前方にいきなり出現したRGM−79R『ジム?』が、すんでのところでドラッツェの光刃を止めた。
 それはこの戦場に登場した、初のジム系MSだった。
 戦場外からにわかに参戦したRGC−80SR『ジム?キャノン』とジム?の小隊が猛射を放ち、ハイザックを追おうとしていたルスラン・フリート追撃部隊の出鼻を挫く。
 片脚を撃ち抜かれたドラッツェF3が錐揉み状態に陥って離脱し、突っ込んできたザク?F3は肩盾でビームライフルを弾きながら戦闘機動しつつ、果敢にザクマシンガンの連射を返す。
省14
13: フェニックステイル第32話 2021/02/28(日)22:11 ID:G2Yl2B1i(5/9) AAS
 タニアがソギルの言葉を継いだ。
「現在までに、この新サイド4暗礁宙域から地球圏の各地へと、ジオン系MSの密輸が十件近く確認されています。
 今までに押収・確認されている密輸MSの多くはザク?F3のような新型機ではなく、ザク?F型やF2型といった旧型機が中心ですが、そのほとんどがジオン本国での製造記録を持たないものです。
 旧ジオニック社の正規品ではない、デッド・コピーのレプリカMS――形態は不明ながら、ルスラン・フリートは独自にMSを開発し、一定規模での新規生産を行うだけの能力を有している。そう結論せざるを得ません」
「…………」
 リードがそのまま押し黙る。一年戦争後にも決して絶えることのない「ジオン残党軍」の脅威。旧ジオン公国軍の人員と装備だけではなく、戦後に生産されたレプリカMSがその戦列に加わっている、との噂話は連邦軍でも絶えることがなかった。
 だがこれは、規模の桁が違い過ぎる。かつてのデラーズ・フリートですら、少なくともMS隊の物量はこの水準には遥かに及ばなかったのだ。
 一方でリドリー・フランクス大尉とジャクソン・ヘイズ大尉の二人は溜息を吐きながらも、静かに現実を受け入れていた。
 これらの情報の大半はすでに、パブリク改級哨戒艇で任務中のトラキアへの合流を敢行したサブリナによって密かに、そして細部に至るまで、長くP−04から離れていたトラキアとアルマーズへ伝えられていたものだった。
 トラキア隊にとって今回のブリーフィングは、入手可能なあらゆる情報資料を収集・分析しうる上級司令部から公式に与えられる情報とそれらの「答え合わせ」と、今後、自分たちがそれらを知っていることをどこまで公言できるのか、を測るためのものに過ぎない。
省14
14: フェニックステイル第32話 2021/02/28(日)22:12 ID:G2Yl2B1i(6/9) AAS
「詳細は申し上げられませんが、あの『アムロ・レイ』が最新鋭のニュータイプ専用機に搭乗したうえ、数人がかりで我々の援軍に来るようなもの、とご理解ください。今やニュータイプ研究において、我々連邦軍はジオン残党軍の遥か先を行っております。
 新生ニュータイプ部隊が敵の前衛を突破して中核を撃破すれば、あとの残兵なぞは烏合に過ぎません。我々が団結して最善を尽くせば、勝機は十二分なのです」
「おお! なんだ、それなら安心ですな。そういえば我々は先の戦いでルスランのニュータイプらしき敵にも遭遇しましたが、我がマカッサルの精強なる対空砲火で撃墜してやりました! いやあしかし、昔は気合を入れてやったものですが、あのアムロくんも出世しましたなあ」
 どうでもいい武勇談をここぞとばかりに混ぜ込みながら満面の笑顔を浮かべるリードを前に、ソギルもタニアもニュータイプ部隊の派遣と引き換えに、ティターンズ一般部隊の増援がなくなった件については口を閉ざした。
 その名を聞くだけで、味方にこうも大きな安心を与えてのける。本人が戦場へ出なくなってもう7年以上になるというのに、アムロ・レイのネームバリューは今なお実に凄まじい――マコトは無表情に眼前の光景を見つめていた。
「我々はこのティターンズからの増援部隊を交えて、新サイド4駐留艦隊の総力を挙げた、ルスラン・フリート討伐を目的とする任務部隊を編成します。エゥーゴの戦艦も宙域に入った今こそ、諸君らの一層の奮起を期待します」
 そのエゥーゴ艦がティターンズの1個戦隊を殲滅した情報は第223戦隊相手にはおくびにも出さず、タニアは姿勢を正して冷たくソギルへ向き直った。
「ではソギル准将、よろしいですね? ――じ後の編成及び作戦計画は追って伝えます。各艦はまず整備と補給、そして乗員の休養に努めるように。それでは、解散とします」
 ソギルが頷くやそう宣言して、タニアが踵を返す。リドリーが目の前を通る彼女と視線を合わせないよう目を逸らした。マコトとタニアの目が一瞬合うが、タニアは未練も見せずに視線を切り、そのまま会議室の外へと消えた。
「任務部隊……となると、艦隊決戦ですか。いずれにせよ、まずは本艦MS隊の損耗補充ですな」
省17
15: フェニックステイル第32話 2021/02/28(日)22:13 ID:G2Yl2B1i(7/9) AAS
 もう一つは、連邦軍内部の力関係。当時の連邦軍は現在にも増して著しく硬直した、教条主義的な組織であった。艦隊主力がろくな戦果も挙げられないままルナツーに逼塞していた状況下である。
 どう考えても主流とは言い難い、怪しげな難民上がりの部隊による不透明なゲリラ戦での不可解な勝利など、とうてい組織として誇れるべき戦果とみなされる状況にはなかった。ただ薄気味悪いだけの存在とすら見なされていた。
 そして何より決定的なのは、誰もが沈黙を守ったためだった。
 トラキア隊は一兵卒に至るまで、誰もが堅く秘密を守った。ソギルという強烈なカリスマに率いられ、年端もいかない少年少女を多く含む新兵を主力としながら鉄の規律を持って戦ったトラキア隊は、当時の連邦軍にとって明らかな異端だった。
 その異様さに脅威を感じた何人かの士官が団結の背景を探ろうとしたが、その結果は芳しくなかった。激しさを増す戦闘の中である者は戦死し、またある者は事故死して、そうした試みは自然消滅していった。
 だから結局、今でも部外者には知られていない。トラキア隊がそこまでして戦い、果たそうとした真の目的が何だったのかは。
 一年戦争が終わり、トラキア隊が旧ルウム暗礁宙域でジオン残党軍と戦い、のちにルウム農協となった難民の復興活動を支援してきた戦後の7年間も、それは変わらなかった。
 連邦軍内部における、トラキア隊の扱いも変わらなかった。ジオン残党の巣窟と化した暗礁宙域でわざわざ危険な任務を買って出て、旧式装備のまま戦後もひたすら戦い続ける、腕は確からしいがかなり頭のおかしい連中。
 彼らを知る連邦軍の大半から、トラキア隊はそう思われていた。
 だからこの連邦中央の目も届かない暗礁宙域で敵を討ちつつP−04という城を築き、彼らは静かに爪を研ぐことが出来ていたのだ。
省22
16: フェニックステイル第32話 2021/02/28(日)22:14 ID:G2Yl2B1i(8/9) AAS
「ルスランの戦力増強が急激だからね。トラキアにはこれからも戦力の要になってもらわなくては困る。艦載機戦力の増強は必須だよ。
 いくらマコト君が一騎当千の強者でも、彼女一人にすべてを負わせるわけにもいかない。さっきの映像のゲルググが出てきたときは、君に押さえてもらいたい――その露払いが出来る態勢ぐらいは整えさせてもらいたいのだ」
「やめてください、閣下。私はエースですらないんですよ」
 マコトが呆れたように肩を竦めてみせると、隣でリンが笑った。
「マコト、どしたの。今日、なんかずいぶん疲れてない?」
「そりゃまあ、なにぶん連戦でしたからね――実は私、か弱い乙女なもので」
「うわべの撃墜数に関係なく、間違いなく君は我々の切り札の一人だ。だからこそ、今は休んでもらわなくては困る。特に君はP−04を離れてから、もう半年も大切な人に会えていないのだろう?
 それは駄目だ。私も責任を痛感している。混乱が重なった結果とはいえ、人として許されない」
 にこやかに微笑むと、ソギルはリドリーに視線を移した。
「だから、フランクス大尉。マコト・ハヤカワ准尉に、今日から――いや、今すぐ10日間の有給休暇を付与したまえ。
省3
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