[過去ログ] サムスピ総合エロ萌えSS 4 (538レス)
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38: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:43 ID:BgON7YU7(1/11) AAS
みなさまこんにちは。ご無沙汰しております。
遅くなって申し訳ありませんでした。

さて、再会するのですが
「カムイの森の中で、リムルルがシカンナカムイを蹴り倒すところ」
からお話が始まります。
どんな話だったかお忘れになられた方、私含めいらっしゃるかと思います。

ここまでのあらすじを>30のアップロード掲示板に置いておきましたので、
興味のあられる方はどうぞ。
39: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:46 ID:BgON7YU7(2/11) AAS
「ぐっ……お……!」
とび蹴りを食らい、シカンナカムイは派手に草花の上に叩きつけられ、ごろごろ転がって
ようやく止まった。
「どうだッ!」
地面に着地したリムルルは、かなりの手応えを感じていた。空中から戻ろうとするコンル
に振り向いて、人差し指と中指を立てた手を突き出す。こちらの時代で覚えた、勝利を
意味するものだ。
「ナコルルねえさまに酷いことしたんだ、こんなじゃ済まないんだから!」
だが当のナコルルは、シカンナカムイの束縛から解かれてはいなかった。何の未練も無く
罪人殺しの鎖を手放すと、リムルルの横を素早く走りぬけ、あろうことかシカンナカムイに
省30
40: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:47 ID:BgON7YU7(3/11) AAS
「ちょっとあんた……いい加減にしなさいよ!」
シカンナカムイの言葉に、リムルルは頭に小石を投げられたようにカチーンときた。
「コンルは愚かなんかじゃない!」
「貧弱な冷気を操るしか能のないコシネカムイの、どこが愚かでないというか」
「バカ!やめなさいよそのコシネカムイっていうの!」
リムルルは今にも飛びかかりそうな勢いで叫んだ。
「カムイはみんな大切なんだ!それにコンルはわたしの大事な友達で、家族だよ!アンタが
何て言っても知らない。コンルはわたしの一番のカムイなんだから!現にアンタだって
驚いてたじゃない」
「左様」シカンナカムイが手を挙げ、ナコルルを後ろに下げさせた。
省26
41: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:48 ID:BgON7YU7(4/11) AAS
コンルは何も答えないまま冷気だけを発し続け、ぽっかりと浮かんだ雲の中に紛れるように
してついに姿が見えなくなった。漂い降りてくる冷気の中にある草花とリムルルの靴にまで、
真っ白な霜が降りている。
「ねぇコンル!コンルってば!!」
ただならぬコンルの雰囲気に強い不安を感じたリムルルは、冷気の漂う中に両手を伸ばし、
氷の友人を掴んだ。
「やめて、コン……」
しかし、強力な冷気にかじかむ指が探り当てたものは、いつもと手触りが違っていた。
冷たくて滑らかな心落ち着くあの感触ではなく、冷気の中に存在するのがおかしいぐらい
に温かな何かがリムルルの指に絡まり、きゅっと力を感じさせた。
省29
42: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:49 ID:BgON7YU7(5/11) AAS
「コンル……」
リムルルがコンルの横に立ち、何かを言いかけたその時、ぱちぱちと拍手が聞こえた。
「見事!見事みごと!いやはや……今日は驚くべきことの多き日よの!」
わざとらしく手を打ちながら、シカンナカムイが笑う。
「よもやコンルカムイがアイヌモシリで人の形を取ろうとはの。コシネカムイらしからぬ
力量、それもお前が言うところの『絆』のなせる業かの?」
「何の罪悪感も無く人間を陥れ、同胞をも傷つけるあなたに、お分かりになるとは思え
ません」
あくまで折り目正しく、しかしコンルの言葉は厳しかった。
「カムイの暴走は、カムイが止める。それが道理というもの。シカンナカムイさま……
省31
43: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:49 ID:BgON7YU7(6/11) AAS
「えぇ?」
リムルルは思い切り疑いの声を上げた。
「でたらめじゃ無いでしょうね……って、そんな話関係ないじゃない!今は――」
「待って、リムルル」
つっかかろうとするリムルルを、コンルが制した。
「あれは恐らく本当の話よ」
「でもっ!今は関係ないじゃない!」
「それがそうでもないのだ。リムルルよ。面白いのはここからだぞ?ナコルル、花は好きか」
後ろで棒立ちになっていたナコルルが、素直に首を縦に振った。
「よろしい……美しき女子に、美しき花……これが似合わぬはずがあろうか」
省27
44: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:50 ID:BgON7YU7(7/11) AAS
「さて、時は経ち、今を遡ること数百年まえ――」
「まさかとは思っておりましたが……やはりそういう事なのですね」
コンルの美貌に一瞬、驚愕の色が刺し、さっと暗い影に沈んだ。
「それが真実だとしても……シカンナカムイ様、あなたがあの大樹をお作りになってなさ
ろうとしている事と、この話の続きとは、何も関係が無いはずです。はぐらかさず、私の
質問にお答え下さい」
「数百年前のある夜、山の中に、突然ひとつの白い光が走った――」
「もうそれ以上、このお話はおやめ頂けませんか」
氷のカムイであるはずのコンルのきつく握られた手に、じわりと汗が感じられる。
「ねえ、どうしたのコンル?あの昔話がどうかしたの?」
省27
45: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:51 ID:BgON7YU7(8/11) AAS
「ど、どうして!?」
「人の話を聞かぬのも、躾のなっていない証拠よの……リムルル、コンルは言うたで
あろう?」
シカンナカムイが、人差し指を立てた右手をゆらりと空にかざしながら言った。
「カムイ同士の闘いに人間の手出しは不要!『カムイの暴走は、カムイが止めねばならぬ』
と!コンルカムイ!我に楯突くは正しく暴走!お前の狼藉……万死に値するっ!」
シカンナカムイの瞳の奥に光の線が走り、天を指した指が、ぴゅっと下に振り下ろされた。
ジジッ……ズダァン!
頭上に、布を裂くような音がした。コンルがぐっと加速した直後、金色の光柱が
重い爆発音と共にコンルの背後に落ちる。リムルルを跳ね飛ばし、シクルゥを一撃で行動
省32
46: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:51 ID:BgON7YU7(9/11) AAS
――命?!
シカンナカムイと対峙するコンルの背中を見つめていたリムルルが凍りついた。
「コンル……命なんて嘘でしょ?そんなの嘘!!」
「嘘なものか。コンルは我とは違う。人間の夢の中でしか真の姿を現せぬ程度の力しか
持たぬカムイが、アイヌモシリで実体を晒し、あまつさえ我の攻撃を受け続けるなど……
ふん、自殺に等しいわ」
「コンルやめてぇ!早く……早く元に戻ってよぉ!!」
「そうは……いきません、リムルル。はぁ、はぁっ……私は……誓ったのだから!」
激しく乱れた呼吸の合い間に、コンルが言葉を繋げる。
「あなたからは、誰にも何も奪わせないと……あなたが悲しみにくれることなく生き
省32
47: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:52 ID:BgON7YU7(10/11) AAS
「コンル、コンルは……わたしの……」
「リムルル、もう、何も言ってはいけませんよ。私にはそう呼ばれる資格は……無いのです」
コンルの細められた左目の下に、小さな輝きが生まれた。
「私は……あの時……あなたの大好きなお父様が犠牲になられたあの日……」
コンルは一瞬ためらい、そして言った。
「私は、あなたと、あなたのお父様を残して……逃げたのだから」
コンルの左目をこぼれて離れたその輝きは筋となり、頬を伝い、顎に届いて――

ばきっ。

音を立てて、深く蒼いひび割れを美しい笑顔に残した。
金色の稲妻がコンルの服の上を蛇の如く駆けめぐり、ふくよかな身体を締め上げる。
省28
48: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:52 ID:BgON7YU7(11/11) AAS
「氷の花――冬にしか咲かぬ花。ふむ、美麗絶頂……」
シカンナカムイが、自分の視界全てを多い尽くす氷の花を前にしてつぶやいた。
「コンルカムイよ、かくも珍しき花を咲かせるとは……。まずいのう。神聖なるカムイ
同士の戦いの最中に、かような美しい光景をナコルルに見せては」
黒い影が、卑しく笑うシカンナカムイの後ろから躍り出た。
「何せナコルルは花が……『花摘み遊び』が大好きだからのう!!」
影――ナコルルが駆ける。巨大な氷の花の横を駆け抜ける。
その細い右の腕には、大きな花を摘むには丁度よい、異常なほどの大きさと鋭さを持つ
魔界のかぎ爪「あざみ」。
冬にしか咲かない花は、当然ながらそこを動くことは出来ない。
省12
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