[過去ログ] サムスピ総合エロ萌えSS 4 (538レス)
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42: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:49 ID:BgON7YU7(5/11) AAS
「コンル……」
リムルルがコンルの横に立ち、何かを言いかけたその時、ぱちぱちと拍手が聞こえた。
「見事!見事みごと!いやはや……今日は驚くべきことの多き日よの!」
わざとらしく手を打ちながら、シカンナカムイが笑う。
「よもやコンルカムイがアイヌモシリで人の形を取ろうとはの。コシネカムイらしからぬ
力量、それもお前が言うところの『絆』のなせる業かの?」
「何の罪悪感も無く人間を陥れ、同胞をも傷つけるあなたに、お分かりになるとは思え
ません」
あくまで折り目正しく、しかしコンルの言葉は厳しかった。
「カムイの暴走は、カムイが止める。それが道理というもの。シカンナカムイさま……
今一度お伺いします。何故ナコルルさんを利用し、このような無意味な土地をお作りに
なられたのですか」
「無意味と言うか?」
「私の目は節穴ではございません」
ふうっと、コンルが白いため息をつく。
「リムルルと共に降り立ったこの土地で、私が異変に気づかないとお思いですか?多くの
カムイ達が苦しんでいるというのに、なぜ彼らを癒すためのナコルルさんの力をあのような
大樹へと……?彼らを、アイヌモシリという土地を見捨てるような行為を、なぜ」
「少し褒めてやれば、生意気を言いよるわ……」
高慢な性格のシカンナカムイには、コンルの態度が気に食わないのだろう。邪魔者に対する
冷たい目つきが、彼の性格を物語る。だがシカンナカムイは何を思ったか、ふんっと鼻で
笑うと、
「良かろう……考えが変わったわ。我の崇高なる思索、そこまで知りたいとなれば、まずは
昔話をせなばなるまいの」
悪賢そうなたくらみを含んだ声色で、シカンナカムイは話し出した。
「その昔。この世界には人食いの刀があった。何者の手によって作り出されたかも知れぬ、
人の背よりも高い巨大な妖刀よ。人であろうと、カムイであろうと、それを手にした者は
瞬く間に心を壊され、殺戮の限りを尽くすようになる。あらゆる命を冥界へと導くその刀は、
アイヌモシリを滅びへと向かわせ、いずれはカムイモシリをも蝕むであろうと危惧されておった」
シカンナカムイはそこで足元へと手を伸ばし、美しい赤い花を茎ごと一輪摘み取った。
「人間の悲鳴を聞いた我ら尊きカムイの祖先たちは、大軍を成してアイヌモシリの大地へと
降り立ち、幾年にも渡る激闘の末、ついにその人食い刀を……真っ二つに折った!」
花の茎がシカンナカムイの手でぷちりと折られ、左右の手に分かたれる。
「さて、残されたのは真ん中から折られた刀。妖しき力も二分されたかと思いきや、鋭く
尖った切っ先の方へは、力が残らなかった。そこで我らは、切れ味を残すのみとなった
その折れた先の方へ番人を宿らせ、一振りの宝刀として鍛えなおし……人間に与えた」
シカンナカムイは、手のひらの上にある折られた茎のうち、花のついた方を、リムルルに
向けて差し伸べた。
「力無き心の者には抜くことさえ許されず、正しき心を持つ戦士の手によれば、ありと
あらゆる魔を払う。力というもの……その在るべき姿を示しつつ、アイヌモシリに平穏を
もたらす刃。それが、宝刀チチウシよ」
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