[過去ログ] サムスピ総合エロ萌えSS 4 (538レス)
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41: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:48 ID:BgON7YU7(4/11) AAS
コンルは何も答えないまま冷気だけを発し続け、ぽっかりと浮かんだ雲の中に紛れるように
してついに姿が見えなくなった。漂い降りてくる冷気の中にある草花とリムルルの靴にまで、
真っ白な霜が降りている。
「ねぇコンル!コンルってば!!」
ただならぬコンルの雰囲気に強い不安を感じたリムルルは、冷気の漂う中に両手を伸ばし、
氷の友人を掴んだ。
「やめて、コン……」
しかし、強力な冷気にかじかむ指が探り当てたものは、いつもと手触りが違っていた。
冷たくて滑らかな心落ち着くあの感触ではなく、冷気の中に存在するのがおかしいぐらい
に温かな何かがリムルルの指に絡まり、きゅっと力を感じさせた。
人間の、指だった。
「この子に危機が訪れたなら、私が必ず守る……あの日、そう誓ったのです。そして
今こそがその時……私が闘わねばならない時!」
大人びた女性の声が、今度は頭にではなく耳に直接届く。さあっと冷気が引いてゆく。
「これ以上、この子からは何も奪わせない。それがパセカムイであったとしても、です」
コンルが居たその場所には、ひとりの女性が屈んでおり、リムルルの手を取っていた。
手を結んだまますっくと立ち上がるその女性を、リムルルはあんぐりと見上げた。
すらりと背の高い、豊満な女性らしい身体を包む純白の晴れ着。雪の結晶をかたどった、
薄青色の刺繍の帯。シカンナカムイのものよりもずっと白く、柔らかそうな腰までの銀髪。
「リムルル……。そんな顔しないでね」
視線に気づき、白い肌の女性がリムルルに顔を向けた。
優しさを形にしたような、重たげな二重まぶたが下がり、にっこりと微笑む。
「どんな姿をしていても……私は私。ずっと一緒だからね。リムルル」
「コンル、コンルだよね?」
「そう。私はコンルカムイ」
リムルルの頭をそっと撫で、美しい女性となったコンルはシカンナカムイに向けて言った。
「私はこの子ひとり、その幸せのために生きる事を誓った、愚かな氷のカムイです」
――こ、この人が……コンル?
リムルルは、優しい中に精悍さを湛えた人間の姿の相棒に見入っていた。
驚かないはずは無かった。さっきまで親しみ深い氷の姿だった相棒が、今は自分より、
レラやナコルルよりも背の高い美女に変身しているのだから。もはや初対面と言えなくも
無い状況だ。
なのに、沸き上がるこの親近感は一体何なのだろう。
友人だからか、家族だからか。幾つもの闘いを共に超えてきた仲間だからだろうか。
頭を撫でられただけで、兄や姉がしてくれたのとは違う、感じたことの無い安堵が胸に
広がる。少し笑いかけられただけで、初めて見た顔のはずなのに、ずっと昔から知って
いたような、そんな懐かしさを感じる。
戦いの場に似つかわしくない、柔らかな印象のコンルと、自分の抱いている感情。
――わたし……ずっとずっと、こんな人と一緒に過ごしてきたんだ。
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