[過去ログ] サムスピ総合エロ萌えSS 4 (538レス)
1-

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
44: 陸捨肆 2007/01/07(日)23:50 ID:BgON7YU7(7/11) AAS
「さて、時は経ち、今を遡ること数百年まえ――」
「まさかとは思っておりましたが……やはりそういう事なのですね」
コンルの美貌に一瞬、驚愕の色が刺し、さっと暗い影に沈んだ。
「それが真実だとしても……シカンナカムイ様、あなたがあの大樹をお作りになってなさ
ろうとしている事と、この話の続きとは、何も関係が無いはずです。はぐらかさず、私の
質問にお答え下さい」
「数百年前のある夜、山の中に、突然ひとつの白い光が走った――」
「もうそれ以上、このお話はおやめ頂けませんか」
氷のカムイであるはずのコンルのきつく握られた手に、じわりと汗が感じられる。
「ねえ、どうしたのコンル?あの昔話がどうかしたの?」
心配するリムルルをよそに、シカンナカムイはこう続ける。
「山の麓にあるコタンの男が山に輝く白い光を見つけ、異変に気づき駆けつけると、かつて
は底なしの沼だったというくぼ地にある大岩がひび割れ、その間に何か細い、マキリの柄の
ようなものが隙間から飛び出ているのが見えた――」
「この子に伝えるべきことは、私のこの口から必ず伝えます……ですから、どうか!」
触れられたくないものがあるのか、コンルは冷静に見えて、言葉尻に焦りを隠せずにいる。
「ちょっと、何だか知らないけどコンルが嫌がってるでしょ!やめてよ!」
陳腐な皮肉をシカンナカムイが口にしてから、コンルの様子が明らかにおかしい。仲間を
放っておけないリムルルは、何が何だか分からないまま抗議した。
しかし、二人の声など聞こえないかのようにシカンナカムイは話を先に進めてしまう。
「光に誘われた男が近づくと、岩のひび割れから声がしたという。『お前にこの世の全てを
与えよう。お前達……この世の全てが欲しているものを』と――」
「いけません!それ以上は!」
「コンル……」
髪を振り乱して叫ぶコンルの姿に、リムルルは当惑せずにはいられなかった。
人の姿をしたコンルの、この慌てようは一体どうしたことだろう。氷のコンルはいつも
冷静で、こんな風に大きな声を出したりすることなど稀だったというのに。
「どうか、もう!この子には必ず私から伝えます!」
悲痛なコンルの叫びに、シカンナカムイの語りが一瞬止まり、口が弓のように吊り上った。
「甘い誘惑に満ちた声に魅せられた男が、その取っ手をつかんだ瞬間……男の身体は」
「それ以上は……絶対に言わせませんっ!」
叫びとも悲鳴ともつかない声を上げ、コンルがシカンナカムイ目がけてごうっと加速した。
きらきらと光る氷の結晶を撒き散らしながら、宙に浮いたコンルは花々の上を滑るように
行く。リムルルが全速力で走るよりも、ずっと素早い。
「ちょっとコンル!わたしも――うわっ」
リムルルも後を追おうとした。だが、意志に反して足が動かない。透明な氷が、リムルルの
靴をまるごと固めて放さないのだ。
1-
あと 494 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.157s*