ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (699レス)
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669: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/11/11(土)01:09 ID:2RGjXsvI0(1) AAS
…数十分後・事務官の私邸近く…

ドロシー「この辺りでいいか?」

ちせ「うむ、充分じゃ」

ドロシー「あいよ……それじゃあ私とアンジェはこの辺りのカフェにでもしけ込んで待ってるから、終わったら拾ってやるよ」

ちせ「かたじけない」
省35
670: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/11/16(木)01:32 ID:xPUgPNUb0(1) AAS
…カフェ…

給仕「らっしゃい、サ・ヴァ(元気か)?」

地元の農夫「ウィ、サ・ヴァ、サ・ヴァ! エ・ヴ(あんたは)?」

給仕「サ・ヴァ! ビァン、メルスィ(元気さ!ありがとな)」

農夫「そいつは結構だな、いつものくれ」
省37
671: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/11/19(日)01:27 ID:o/BxMlBQ0(1) AAS
…十数分後・私邸前…

丹左衛門「……よし、門衛はおらんな」じりじりと網を狭めるように邸宅に忍びより、とうとう敷地を取り囲んだ丹左衛門たち……いつもなら正門に詰めているはずのフランス人警官はおらず、正門そのものも大きく開け放たれている……

黒紋付きの男「約束通りのようにございますな……では、どうかお指図を」

丹左衛門「うむ……おのおの方、討ち入りでござる!」

…門前に立った丹左衛門が、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」かなにかのように芝居がかった言い方で宣言する……普通の人間なら気取っているようにすらとられかねない言い回しも、重々しい彼の声で聞くとぐっと引き締まる……丹左衛門の宣言と同時に、横についている一人が合図の手持ち太鼓を打ち鳴らす……同時に目隠しを掛けておいたランタンの覆いが一斉に取り払われ、庭先に赤々と燃える松明が投げ込まれると、邸宅の庭が鵜飼いの水面のように明るくなる…
省31
672: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/11/27(月)01:26 ID:ovQ0LCAF0(1) AAS
…そのころ・邸宅の外…

ドロシー「……始まっちまったみたいだな、どうする?」

アンジェ「ちせ一人なら切り抜けること自体は出来るはず……だけれど、暗号表や事務官を守りながらとなると厳しいでしょうね」

ドロシー「とはいえ、フランス野郎にもノルマンディ公の配下にも暗号表をくれてやるわけにはいかないぜ?」

アンジェ「それと同時に、私たちの姿を日本政府の事務官に見せるわけにはいかない」
省34
673: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/12/03(日)01:43 ID:s2apqURz0(1) AAS
アンジェ「それじゃあ私が前衛につくから、援護をお願い」

ドロシー「正直なところ.320口径のピストル一挺で飛び込むなんて身震いするが……ま、なるようになるか」

アンジェ「そう思っておいた方がいいわ。ガトリング銃の側までは敷地の塀を伝って接近できるし、かがり火の灯りもそこまで届いてはいないからぎりぎりまで見つからずに済むはず。あとは銃の周りにいる連中を片付けることだけ考えればいい」

ドロシー「だな……よし、行こうぜ」

…庭先・ガトリング銃の側…
省38
674: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/12/11(月)01:53 ID:Cw9HzSZc0(1) AAS
…一方・本陣…

丹左衛門「……おおよそ片がついたか」

副官格「はっ、屋敷からの銃撃も途絶えております」

丹左衛門「うむ。しからば兵を送り込んで……」

…かがり火の揺れる明かりに照らされ、大小二本の刀を差して悠然と構えている……と、屋敷の外周を取り囲む塀のそば、明かりの外側に据え付けていたガトリング銃班のあたりがなにやら騒がしい……そう感じた矢先に誰何する大声が響き、銃火がきらめいた…
省37
675: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/12/18(月)01:54 ID:bY8OliT90(1) AAS
ちせ「……すぅ……はぁ」

…さしものちせも立て続けに五人と斬り合った後では息があがり、手脚もわなわなと震えている……ドロシーたちの攻撃のおかげで邸宅への襲撃がしばし小やみになったのを幸い、どうにか脇差を収めると、奇跡的に卓上に留まっていた菓子皿の羊羹をひっつかんで口の中へと押し込み、無理に飲み込んだ…

ちせ「んぐっ、むぐ……」

…羊羹の糖分が身体中に沁みていくような感じがするとともに、どうにか手の震えが収まってくる……と、レンガやしっくいの破片が散乱する前庭を通って、一つの黒い影がすきま風のように食堂へと入り込んできた…

影「ふっ……!」腰の鞘から白い一閃がほとばしり、夜風ではためいている破れたカーテンが裁ちばさみで切ったかのように切り裂かれた……
省35
676: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 2023/12/28(木)01:25 ID:TyFwlol10(1) AAS
ちせ「ふん……っ!」

千代「えい……!」ちせが繰り出した下からの払いを飛び退いていなすと、続けざまに斬り込んだ一撃を太刀で払いのけた……

ちせ「たあ……っ!」

千代「む……っ!」

…互いに距離を離すとふっと息をつき、それからまた円を描くような動きとともに必殺の間合いを測るにらみ合いが続く……相手が息継ぎをする瞬間を狙うべく、お互い呼吸を止めて刀を構えたままで、額からはじんわりと汗が滴ってくる…
省38
677: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 01/09(火)01:46 ID:Tu4LE4B20(1) AAS
…しばらくして・集合地点…

ドロシー「戻ったか」

ちせ「うむ……」千代の形見の脇差を手に、車へと乗り込んできたちせ……用心は怠りないが、その表情にはもの悲しげな雰囲気が混じっている……

アンジェ「……ドロシー、霧が晴れてきた」

ドロシー「分かってる」
省38
678: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 01/12(金)01:32 ID:kos25FxB0(1) AAS
…船上…

ドロシー「おー、見えてきた見えてきた♪」

ちせ「……きれいなものじゃな」

…彼方に霞んでいた青っぽい陸のシルエットが次第にくっきりと鮮明になってきて、やがて左舷側に「ドーヴァーの白い崖」や、岸辺に寄せる波頭が見えてくる……また行き過ぎる旅客船や沿岸漁業の小さな漁船、上空でのんびりと浮かんでいるように見える飛行船なども視界に入る…

ドロシー「そうだろう? この景色だけはいつだっていいもんさ♪」隣に立つとちせの頭に手を当てて、髪をくしゃくしゃにするような具合に撫で回した……
省38
679: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 01/15(月)00:03 ID:HedBtJ3C0(1) AAS
…ロンドン港…

船員「またのご利用をお待ちしております、お嬢様方」

ドロシー「ありがとう……さーて、港の様子は……っと」船を降りる舷梯(タラップ)からさりげなく視線を走らせる……

税関職員「行ってよし、次の方!」

ドロシー「……おーおー、相変わらず雁首並べていやがるなぁ」
省36
680: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 01/20(土)01:45 ID:JPKfl4zq0(1) AAS
…プリムローズ・ヒル…

アンジェ「……隣、よろしいですか?」

7「ええ、どうぞ?」

…リージェント公園を抜け、小高い丘になっている公園「プリムローズ・ヒル」のベンチに座っている「7」の隣に腰かけたアンジェ……周囲は眺望がよく、煙突の煤煙やボイラーのパイプから漏れる水蒸気で煙っているロンドン市街が一望できる……つばの大きい婦人帽にピクニック用のバスケット、手に小さな望遠鏡を持った「7」はいい空気を吸いに来た中産階級の婦人といった雰囲気で、大きなバッフル(ふくらみ)のついたスカートがベンチに広がり、短い上着と胴衣をまとっている……かたわらにはたたんだ日傘も置いてあり、それがベンチの座面をいくらか隠している…

7「……それで、受け取ってきた?」
省35
681: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 01/28(日)01:29 ID:288ALfUR0(1) AAS
…case・プリンセス×ベアトリス「A girl who wants to become a spy」(スパイになりたがった娘)…

…とあるネスト…

ベアトリス「……」パンッ、パンッ!

ベアトリス「ふぅ、終わりました……ドロシーさん、見てもらえますか?」ベアトリスの小さな手が撃ちきった.380口径リボルバーを下ろし、耳当てを外してドロシーに声をかけた……

ドロシー「うん、なかなか良くなってきたじゃないか……引き金を引くときにおっかなびっくりだったり、目をつぶったりすることもなくなってきたしな」
省33
682: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 02/03(土)01:08 ID:YuI7hGX20(1) AAS
ドロシー「……さて、以前調べたから分かっていると思うが、この「クィーンズ・メイフェア校」には学生、教職員を問わず王国のエージェントや連絡員、あるいは低級の情報提供者がうようよいる」

ドロシー「そいつらが王国公安部にくみしているのは単純に「プリンセスのお為になる」と思って自発的に協力しているやつから、さまざまな不品行をネタに脅されてやっているやつ、ちょっとした小遣い稼ぎや王国に媚びを売りたいがためにやっているやつまでさまざまだ」

プリンセス「確かにそういう人は結構いるわね……それで?」

ドロシー「当然ながらこちらとしてもそれを黙って見ているつもりはない……目には目を、スパイにはスパイを……つまり、こちらの味方になりそうな連中を探し出すんだ。以前も講師や生徒から何人か探し出したんだが、いつ使えなくなるか分からないしな」

ベアトリス「……それってつまり、協力者のスカウトをするって言うことですか?」
省38
683: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 02/11(日)01:53 ID:WeCVxhdO0(1) AAS
…別の日・自習室…

長髪の女生徒「プリンセスとご一緒出来るなんて光栄ですわ」

三つ編みの女生徒「ええ。同じ学校とは言え、普段はなかなか気軽にお話するという訳にも参りませんから……」

プリンセス「あら、どうして?」

長髪「それは……」
省34
684: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 02/16(金)01:06 ID:/eYzoQkK0(1) AAS
…数日後…

アンジェ「それじゃあ中間報告を聞きましょうか……ベアトリス、貴女から」アッサムのティーカップを前に手を組み、じっとベアトリスを見つめた……

ベアトリス「えぇーと……私が見聞きした限りで「これかな」と思える人は三人ほどいました」

アンジェ「それぞれの特徴を」

ベアトリス「いま言いますね……暗記できる最低限の情報だけなので物足りないかもしれませんが……」
省36
685: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 02/21(水)02:42 ID:Q81Ybjnq0(1) AAS
…校内・空き部屋…

ベアトリス「……よいしょ、と」

ベアトリス「ふぅ、さすがに重くてくたびれちゃいました……」

…ずっしりと重い教材を、校内でも人気の少ない一角にある空き部屋のひとつに運んで、丁寧に書棚に戻したベアトリス……普通の寄宿学校なら用務員さんや下働きが代わりに片付けるところではあるが、曲がりなりにも「進歩的」なメイフェア校では「庶民の気持ちを理解する」という名目で、一部の雑務を学生にさせることがあった…

ベアトリス「……ホコリっぽいのは別として、この部屋は意外と落ち着きますね」古びた紙とインクの匂いが立ちこめ、空中に漂うほこりが陽光にキラキラと反射している……
省36
686: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 02/29(木)01:03 ID:rjr137e40(1) AAS
ベアトリス「その……それでですね、調べを進めていくとこのメイフェア校内には『プリンセス同好会』なる秘密のクラブがあるようなんです」

アンジェ「プリンセス同好会?」

ベアトリス「はい」

プリンセス「わたくしの同好会? いったいどんな活動をしているのかしら?」

ベアトリス「いえ、それが……顔立ちが似ている生徒に姫様の役を演じさせて、『クラブ』の面々がその生徒を……///」
省36
687: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 03/10(日)01:30 ID:sGKvSeeT0(1) AAS
プリンセス「……ベアト」

ベアトリス「姫様……///」

プリンセス「ふふ……そうやって照れちゃうベアト、とても可愛いわ♪」

ベアトリス「からかわないでください、姫様……///」

プリンセス「あら、いけない?」
省38
688: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 03/23(土)01:32 ID:4qJGAVXs0(1) AAS
…翌日…

ドロシー「なぁ、ベアトリス?」

ベアトリス「……」暗号の解読問題を解いているが、肝心の問題もドロシーの声にも上の空でぼーっとしている……

ドロシー「……おいっ!」

ベアトリス「ひゃあ!?」
省37
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