ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」 (698レス)
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688: ◆b0M46H9tf98h [sage saga] 03/23(土)01:32 ID:4qJGAVXs0(1) AAS
…翌日…

ドロシー「なぁ、ベアトリス?」

ベアトリス「……」暗号の解読問題を解いているが、肝心の問題もドロシーの声にも上の空でぼーっとしている……

ドロシー「……おいっ!」

ベアトリス「ひゃあ!?」

ドロシー「おいおい、大丈夫か?」

ベアトリス「すみません、ドロシーさん……」

ドロシー「やれやれ、プリンセスに可愛がってもらうのはいいが……訓練に身が入らないようじゃ困るぜ?」

ベアトリス「す、すみません……///」

ドロシー「まぁ無理もないか、プリンセスが気を許せるのはお前さんかアンジェくらいなもんだからな……ちょっと休憩にしようか」

ベアトリス「はい」

ドロシー「それにしても……くくっ♪」

ベアトリス「なんです?」

ドロシー「いや、ね……お前さんの熱心さを見ると、ファームの時にいたあるやつを思い出すよ♪」

ベアトリス「……思い出し笑いをするなんて、そんなにおかしな人だったんですか?」

ドロシー「まぁね……何しろ情報部員になるんだって気合だけが空回りしている、言ってみれば「空回りの総本山」みたいな奴だったからな。しかもご本人が真面目にやればやるほどその調子なもんだからな……時間もあるし、ちょっと話してやろう」

ベアトリス「ええ、聞かせてください」

ドロシー「そいつは私たちと同期に入った「マティルダ」って名前の訓練生でね……ちっこい身体で妙にちょこまかしている感じのやつで、ドジばかり踏んでいたくせに不思議と憎めない奴で……ちょっぴりお前さんにも似ているかもな」

ベアトリス「私、そんなに失敗ばかりはしていません」そう言って頬を膨らませるベアトリス……

ドロシー「分かってるよ、あくまで雰囲気がってことさ……それにお前さんの「七色の声」みたいな特技があるわけでもなし、正直なところスカウトが情報部員の候補として「ファーム」に入れたのは何かの間違いなんじゃないかと思うほどだったよ」

………



…数年前・ファーム…

ホワイト教官「おはよう、諸君」

訓練生たち「「おはようございます、ミスタ・ホワイト」」

ホワイト「うむ……昨日の今日だからね、どうかお手柔らかに頼むよ?」

…前日には訓練生一人ひとりと格闘訓練をして、軒並みノックアウトするか押さえ込んだ格闘技教官のミスタ・ホワイト……にっこり笑って冗談めかすと、いつものようにジャケットを脱いできちんと背広掛けにひっかけ、軽く肩を回した…

ドロシー「あれだけ格闘術でやり合ったのになんともなし、か……参ったな……」前日の訓練では、もしみぞおちに入っていたら相当こたえたと思われる必殺の蹴りを叩き込んだものの、かえってその脚を掴まれて一回転させられたドロシー……

ホワイト「さて、それでは今日はいつものように向かい合わせに立って順繰りに格闘訓練といこうか……負けたものは一つ左へ動いていき、最後に先頭で立った者は私とひと勝負といこう。では、始め」

ドロシー「よう、マティルダ」

マティルダ「よろしくね、ドロシー?」ぴょこんと一礼すると、くしゃくしゃの金髪がめいめい勝手な方向へ跳ねた……

ドロシー「おう(やれやれ、どうもこいつと組むと気が抜けるんだよなぁ……)」

マティルダ「……やっ!」

ドロシー「おいおい、それで本気かよ……ふっ!」

…本人は気迫のこもった声を出しているつもりのようだったが「可愛らしい」という形容詞がぴったりな気の抜けるようなかけ声とともに繰り出された右ストレート……それも子供のようなあどけない攻撃をなんなく受けとめると、カウンターの一撃をお見舞いする…

マティルダ「ひゃあ!?」

ドロシー「……っ!?」決まっていればノックアウト確実な左フックが入ろうという矢先、足元の乱れたマティルダがよろめいて尻もちをつき、ドロシーの一撃は空を切った……

ホワイト「……ミス・ドロシー、決定機だからといって警戒を怠ってはいけないよ? こうして背後から不意打ちを受けるかもしれないからね」一瞬たたらを踏んだドロシーに対して、いつの間にか背後に立っていたホワイトが足払いをかけて床に叩きつけた……

ドロシー「うー、畜生……っ」

マティルダ「ドロシー、大丈夫?」

ドロシー「ああ、なんてことない……」

ホワイト「結構、では次だ」
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