[過去ログ] 【仮面】オペラ座の怪人エロパロ第9幕【仮面】 (243レス)
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28: 8/12 2010/11/09(火)23:31 ID:ilYdDyVy(8/13) AAS
クリスティーヌは身を引き離した。ラウルの背中が涙と落ちた化粧で汚れている。
慌てて衣装の袖口で拭うが、綺麗になりそうになかった。
「どうかした?」
「ううんなんでもないの。それにね、あなたも私と同じ。エリックのことが好きなはずよ」
「は?いや、でも彼は僕を嫌っているよ」
よもやこちらに話が振られるとは思いもしなかったらしくラウルの声が不自然に裏返った。
そんなに動揺するってことは肯定したのも同じ。クリスティーヌは笑いを堪える。
「私はあなたの気持ちを訊いているの」
「嫌われてる相手を好きになんてなれないよ」
「ラウル、あなたは自分が嫌われていると思ってるの?」
省27
29: 9/12 2010/11/09(火)23:31 ID:ilYdDyVy(9/13) AAS
ラウルは視線を揺らし、動揺を隠すように袖口をギュッと握りしめた。
そして口角を持ち上げて笑顔を作る。
「届いてるよ」
それが嘘だと、作り笑いだとクリスティーヌはすぐにわかった。
「あなたはそうやってにこにこ笑っていれば全てが済むと思ってる。でもそれは違うわ。
あなたは私にも自分を偽るつもり?ほら笑顔が引き攣ってる。本当はわかっているはずなのに!」
「!」
張り付いた笑顔が剥がれ落ちた。
とめどなく溢れる感情を処理しきれずに頬を引き攣らせている。
「心を開いて、本当のあなたで接すれば、きっとわかりあえるはずよ」
省26
30: 10/12 2010/11/09(火)23:32 ID:ilYdDyVy(10/13) AAS
「僕の気持ちがわかってたまるものか」
声が震えている。泣き出したい気持ちを察して、クリスティーヌは背中を向けた。
「そうね。私があなたの気持ちを理解出来ないように、あなたもエリックの気持ちを理解出来ない。
なのにあなたはエリックの気持ちをわかったような気でいて、自分を嫌っていると思い込んで、
そうだと決めつけている。ねぇ、おかしいと思わない?」
もっとも、決めつけて嫌われていると思い込んでいるのはエリックも同じだけど。
「剥き出しの感情をぶつけ合うことが出来るって素敵だと思うの」
「そうかな?」
「見ていてわかるわ。エリックがあなたに嫌悪や好意を向けるように、
あなたもエリックに様々な感情をぶつけている。私はあなたの本当の気持ちが知りたい」
省28
31: 11/12 2010/11/09(火)23:33 ID:ilYdDyVy(11/13) AAS
「あなたも緊張するのね。いつもぽけーとしてるから今もぽけーとしてるのかと思ったわ」
随分な言われようだったがクリスティーヌは気にしなかった。
「私だって普通の女の子ですから緊張もします」
「普通?まあいいわ。でも安心なさい、あなたなら出来るわ。私が保証する」
クリスティーヌは一瞬耳を疑った。カルロッタさんが私なら出来るって言った?
「……ありがとうございます?」
「で、でもトチったらタダじゃおかないんだからねっ!」
「頑張ります!」
今度こそ空耳ではないのだと確信した。
クリスティーヌは嬉しくなって胸の前で小さく拳を握りしめる。
省29
32: 12/12 2010/11/09(火)23:34 ID:ilYdDyVy(12/13) AAS
カルロッタを見送り、クリスティーヌは再び鏡台についた。
例の手紙が視界に入り、めまいを覚える。
「どうしよう……エリックがどこかへ行ってしまうんだった」
天使様が、エリックがいなくなってしまったら、私はどうなってしまうのだろう。
またうまく歌えなくなるのかしら。もう歌えなくなるのかしら。
父を失った私は、エリックと出会うまでただの歌う人形だった。
そこには感情も想いも何もこもっていない。ただ楽譜通り歌うだけの人形。
そんな人形、誰も見向きはしない。やがて朽ちていくだけ。
もう人形には戻りたくない。でもエリックがいなくなったら、私……。

ぐるぐると考えているとラウルがすくっと立ち上がった。
省30
33
(1): 2010/11/09(火)23:38 ID:ilYdDyVy(13/13) AAS
今回は以上です。
エリックでチェーンソーな13日の金曜日もいいかなと考えていたのですが
次回の13日の金曜日は来年の5月。
さすがにそこまで待てないのでラウルにサッ、シュパッとやってもらいました。
34: 2010/11/11(木)15:09 ID:HuUKZzau(1) AAS
>>33
GJ
ツッコミがいないと彼らのボケが と ま ら な い
35: 2010/11/13(土)01:07 ID:jmFuEN77(1) AAS
カルロッタwツンデレw
人の話を全然聞かない先生を、
果たしてラウルに説得できるのか…
36: 2010/11/14(日)22:07 ID:C5FhZweg(1) AAS
カ、カルロッタが可愛いなんて全然思ってないんだからね!
サッ、シュパッ
37: 2010/11/16(火)17:56 ID:V7MfwAw1(1) AAS
そろそろクライマックスか?
状況が原作に似ているのがまた・・・
38: 2010/11/19(金)01:16 ID:SAQ5sMt3(1) AAS
ムチャ言うクリスに納得するラウル
似た者同士だしお似合いだ
39: 2010/11/25(木)00:35 ID:Np607D24(1) AAS
規制?
40: 1/9 2010/11/27(土)22:43 ID:EbricxZj(1/10) AAS
原作の皆さんが「新・オペラ座の怪人(仮)」を考えてみた。
一幕目
・エロ無し
・キャラ崩壊
・コロコロと変わる視点
・基本的にはギャグ

ボートを漕いで地下の屋敷まで辿りついたラウルは深呼吸をした。
出てきてくれるといいけど。でも僕一人では相手してくれないかもしれない。
普段はクリスティーヌのおまけだから招き入れてくれるのであって、僕自身が歓迎されているわけではない。
控えめに扉を叩く。一向に出てこない。
省31
41: 2/9 2010/11/27(土)22:44 ID:EbricxZj(2/10) AAS




待ちに待った公演当日。
エリックは正装をしてホールを歩いていた。すれ違う人々の視線が痛いが、大して気にならなかった。
正面からオペラ座に入り、正面から五番ボックス席へ向かうことは今日が初めて。
マントを翻して軽い足取りで少し浮かれながら雑踏の中を歩く。
今日くらいはこうして普通の人のように、この舞台を見たかった。
何よりも特別な舞台なのだから。
エリックが書いた戯曲を(ラウルも何かアイデアを出していたような気もするが忘れた)
省27
42: 3/9 2010/11/27(土)22:44 ID:EbricxZj(3/10) AAS
「では子爵は?」
エリックは肝心の問いかけを夫人に投げ掛けた。
ボックス席には伯爵の他に誰の影も見えない。
男一人で観劇するのも悲しいものがある――といっても私も人のことは言えないか。
「さあ?先ほどお見かけした際は背中に紙を貼り付けてましたね」
「紙?」
「ええ。私のところからは何が書かれているかはわかりませんでしたけど。
子爵さんはお気づきでないようでした。でも皆さんはお気づきの様子で……」
ジュール夫人は言葉を濁した。皆に笑われていたと言いたいのだろう。
今日も今日とて呆れかえるほどのオトボケ具合らしい。
省28
43: 4/9 2010/11/27(土)22:45 ID:EbricxZj(4/10) AAS



舞台袖に戻るとメグが出迎えてくれた。
「あなたの演技パーフェクトだったわ!」
「ありがとうメグ」
クリスティーヌはほっと胸を撫で下ろした。まだまだ先は長いけれど、まずは一段落。
「本当に夢の中にいるみたいだった」
メグのつぶらな瞳がうっとりと潤む。そこはかとない色気にクリスティーヌはどきりとした。

たった今、地下の場面を終えた舞台は支配人のオフィスへと様変わりしていた。
省35
44: 5/9 2010/11/27(土)22:45 ID:EbricxZj(5/10) AAS
どうしようどうしようどうしよう。ついにやってしまった!
このままじゃ劇が中断しちゃう!でもでもでもどうしたらいいの?
クリスティーヌはうずくまったまま、考えを巡らせた。
私が転んでる今この瞬間、この下でラウルが捕まって食べられちゃってるかも……!
あのね……たぶん、ラウルはおいしくないと思うの。でもぷにぷにでおいしいのかな?
ちょっと食べてみたいかも……違うの、だめだめ。食べちゃだめ!
エリックがいなくなったら悲しいように、ラウルがいなくなったら悲しい。
エリックがいなくなったら、私はきっと歌えなくなっちゃうけど
ラウルがいなくなったら私はどうなるのかしら?
とクリスティーヌは現状と全く関係ないどうでもいいことを現実逃避的に考えた。
省25
45: 6/9 2010/11/27(土)22:46 ID:EbricxZj(6/10) AAS




ところかわって話題騒然のネズミことラウルは拷問部屋に落ちたところだった。
「どうして僕がこそ泥みたいな真似しなきゃならないんだよ」
誰もいないのをいいことにラウルは悪態をついた。
あれだけ追い回され、鬼ごっこ――もといネズミごっこをさせられれば不貞腐れたくもなる。
でも幸い姿を見られずに地下の屋敷に入り込めた。
いや姿を見られたからネズミ騒動なんだけど……たぶん正体はばれていないと思いたい。

さて潜り込んだはいいけど、ここから出られなかったら万事休すだぞ。
省31
46: 7/9 2010/11/27(土)22:47 ID:EbricxZj(7/10) AAS
ラウルはタイを緩めようと首元に手を伸ばし、そこで初めて気づく。
手がガクガクと震えている。手だけではない。体中が震えている。
左手でどうにか震える右手を掴まえて、体に巻きつけた。
自分でも何が起こっているのかよくわからなかった。
嘘だろ。この僕がたかが水を怖がっているって?
しかし体は紛れもなく震えている。自分の体がまるで自分のもので無くなったように思えた。
あのとき――拷問部屋での出来事を体はまだ覚えているのだ。だから水が怖くて震えている。
それだけでない。昨夜の夢。暗い水底に落ちた夢。
「はあ、はあ……落ちつけ、ここは水の中じゃない!」
呼吸が乱れて頭が朦朧とする。ゆっくり呼吸をしなくては、深呼吸をして。
省24
47: 8/9 2010/11/27(土)22:48 ID:EbricxZj(8/10) AAS




どうしたことだろう。先ほどまでは素晴らしい演技を見せていたのに。
カルロッタのおかげで劇はいつも通り進んでいたが、
エリックにはどうにもクリスティーヌの様子がおかしく見えて仕方がなかった。
観客は勿論のこと、共演者達も気づいていないかもしれないが、クリスティーヌの歌声がいつもと違う。
鈴を転がしたような軽やかで清らかな歌声が今はとても重苦しい。
まるで何かを恐れているようだ。と、考え及んでエリックは膝を打った。
なるほど、劇中のクリスティーヌの不安を表現しているのだな。
省32
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