[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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644: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:17 ID:JcV85rst0(11/30) AAS
『私の両翼につけ!各機離れすぎるなよ…。デブリの位置も考えながら動け』
 ワーウィック大尉が指揮を執る。フジ中尉は指示通り右翼についた。
「一旦様子をみますか?」
 中尉は周囲を索敵し、前方の2機以外の機影がないことを確認する。とはいえ何者かわからない以上、下手に動くべきではない。
『いや、目視出来る位置までこのまま接近しよう』
 ジオン上がりのこの男は怖いもの知らずの様だ。或いは余程腕に自信があるのか。確かに並の腕では無いのだろうが…。
「この宙域で敵と遭遇する事自体イレギュラーです。やり過ごすのもひとつかと」
 釘を刺したが、行軍を止める様子はない。
『大丈夫だ。無理はしない』

 敵も動きを止める様子はなく、接触は時間の問題だった。中尉達はデブリの影に隠れつつ距離を詰める。
省6
645: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:18 ID:JcV85rst0(12/30) AAS
 宣言通り敵の中央を突破した百式改は、敵が振り向くより早く反転すると、敵のコックピットを的確にライフルで捉えた。
 撃ち抜かれ沈黙した僚機を置いて、離脱しようとするもう1機のハイザック。中尉が追おうとしたその先に、敵を阻む左翼のスクワイヤ少尉が見えた。
 彼女のGM2は抜刀すると、スプレーガンで牽制しながら敵の進路を絞り込んだ。敵も流石に素通りする気はないらしく、銃撃をかいくぐりながらヒートホークを発熱させる。
 交差する機体とその刃。

『少尉!』
 ワーウィック大尉の声が響く。しかし、舞ったのは切断された武器を握りしめたハイザックの左腕だけだった。
『大丈夫です隊長』
 幸い少尉の機体は無事だったが、そのまま敵機は戦域を離脱していく。
「ワーウィック大尉、如何されますか」
 ここで見逃す男ではあるまい。見逃せるところを敢えて先手で潰しに掛かる様な隊長だ。
省5
646: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:19 ID:JcV85rst0(13/30) AAS
『…中尉がやつならどうする?』
 大尉に問われた。その試す様な物言いが癪に触ったが、今は一刻を争う。
「私なら可能な限り撒きます。母艦から引き離すことができれば少しはやりようもあるでしょう。ここでいう母艦というのは」
『我々の艦だな』
 流石に物分りがいい。分かっていて聞いたかのようで余計に印象は悪いが。
「そうです。気付いたらこちらが敵に囲まれていたなんて事も十分あり得るかと」
 モニターの向こうで少尉が首を傾げているが、彼女に説明している暇はない。
「どうします?」
『それを頭に入れた上で追うとしよう。機影があればすぐに引き返す。中尉の懸念が現実になる前にな』
『とりま追うんですね』
省1
647: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:20 ID:JcV85rst0(14/30) AAS
 付かず離れずの距離を保ちながら敵を追う。GM2のセンサー範囲はハイザックのそれと大凡同じだ。追われていることは確認しているだろう。
 思った通り、敵は直進せずに迂回しながらこちらを気にしている様に見えた。
『中尉、流石に現状の進路から到着地点予測までは出来ないか?』
 大尉が無茶を言う。
「それはいくらなんでも…いや、やってみます」
 敵の推進剤を考えると、撒くとはいっても進路を大きく逸れることは出来ないはずだった。
 同じ母艦の別働隊がいると仮定して、それらと落ち合いつつ自身も母艦に帰還できるポイント…。そんな場所はそう多くは無いだろう。
 フジ中尉は、周囲の座標を確認しつつ、暗礁宙域のデブリやミノフスキー粒子濃度など様々な環境データをかき集める。この辺りの索敵はこれまで散々やってきた。

「…どうでしょう?この辺り」
 絞られた地点は、どれも似たような位置を示していた。デブリが多い為目視が難しく、ミノフスキー粒子を散布した形跡も近くにある。
省11
648: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:21 ID:JcV85rst0(15/30) AAS
 スクワイヤ少尉は殆ど除け者にされた状態で、話だけがトントン拍子に進んでいる。とりあえず2人に付いてきた形だ。
『これは…追いかけてきた甲斐がありましたね』
 中尉が唸る。よくわからないが、敵母艦の居場所を掴んだらしい。
『これだけ判れば長居は無用だ。追撃は中断して帰還するぞ。しかし、まさか中尉がここまで優秀とはな…。』
 ワーウィック大尉が嬉しそうに笑う。それを見て、少尉は何となく嫉妬に近い感情を中尉に抱いた。
「まあ、私が敵を泳がせたからこそですけどね」
『よく言う。仕留め損なっただけだろうに』
 中尉が相変わらず冷徹に言い捨てる。やはりこの男は好きになれない。
 正直いって、あのハイザックは落とせた。その上で意図せず取り逃したのも事実だが、こうも言われれば腹も立つ。
『喧嘩するんじゃない、全く…。中尉だけじゃない、勿論少尉もよくやってくれたさ』
省2
649: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:21 ID:JcV85rst0(16/30) AAS
 追手に警戒しつつ暗礁宙域を抜け、当初指定されていた地点へと到達する。そろそろ艦長達も合流する筈だ。
『ここでサラミスと合流したとして、計画通りに進路を向けてしまうと先程の連中に腹をみせる事になりますね』
 ひと息ついたところでフジ中尉が口を開いた。
『母艦の位置こそ掴んだが、敵の戦力は未知数なままだしな。ここにいた理由も不明だ』
 大尉の言う通り、わざわざボロ艦を待ち伏せするとは思えない以上別の目的がありそうだ。
「偶然出くわしただけかもですよ?あっちも慌ててるかも」
『確かにな。折角だし、これからの作戦遂行の為にも敵の芽は摘んでおきたい。合流したら報告だ』
 そういって大尉が深く息を吐いた時、サラミスからの識別信号が届いていた。
650: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:22 ID:JcV85rst0(17/30) AAS
『遅くなってすまんな!』
 何も知らない艦長の能天気な声が響く。ちょっと散歩にでも出てきた様な風情だ。
『艦長、急ぎお伝えしたいことがあります』
 大尉が真剣な面持ちで返す。
『ふむ、収穫が既にあるとは流石だな!補給がてら帰投したまえ』
 モニター越しの艦長は見るからに満足げである。実際のところ、ここ最近の任務に退屈していたのは少尉だけではなかったのかもしれない。
 こんなに活き活きしている艦長を見るのは久しぶりだった。
 3機とも着艦すると、機体をメカニックに任せてブリッジへと急ぐ。到着すると出発前と変わらない様子の艦長が出迎えた。

「艦長、この先に敵母艦が居る可能性がかなり高いです」
 ヘルメットを脇に抱えたまま、単刀直入に大尉が切り出した。
省12
651: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:23 ID:JcV85rst0(18/30) AAS
「ありがとうございます。…ご覧の通り、このまま直進すれば確実に接敵します」
 中尉が指し示すマップに表示された月面拠点アンマンへの進路の途中、ここからすぐの位置で接触が考えられた。中尉はそのまま説明を続ける。
「迂回して躱す事も出来ますが、時間が掛かりすぎます。
 それに恐らく敵はこちらに居場所を掴まれている事を知りません。この辺りに駐軍している目的は不明ですが、先手で叩いておいた方が憂いは無いかと」
 そこまで一気に話し終えると、フジ中尉は艦長を見つめた。腕組みをして唸る艦長。
「しかしなぁ…こちらも寡兵だ。相手の戦力を把握していない以上、危険じゃないか?」
 珍しく艦長が真っ当な物言いをしたので、少尉はいささか驚いた。また顔に出ていたのか、艦長が不満げな顔で少尉を見る。
「なんだあ?少尉…。俺だって仕事くらいするぞ!それとも何か案でもあるのか?」
「いやぁ、物珍しくて…。私は攻めるのに賛成ですよ。だって敵がそこにいるんでしょ?」
「馬鹿にしてんな小娘め…。だが敵を避けるのは確かに歯痒いな」
省6
652: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:23 ID:JcV85rst0(19/30) AAS
「そこですが」
 中尉が大尉と目を合わせる。
「大尉に単騎で先行して頂きたい」
「なんちゅうことを言う!」
 早速艦長が取り乱す。この提案は少尉も予想していなかった。
「私は構いませんよ。百式があればやれます」
 当のワーウィック大尉は全く動じている様子がない。2人で案を照らし合わせてはいない筈だが、大尉も確信がある様だ。
「勿論我々も出ます。しかし敵との戦力があまりに違い過ぎた時、大尉以外は足手まといになりかねません。
 何かあっても大尉単独なら帰還できるはずです。大尉からの指示を受けるまでGM2は少し後方で待機すべきかと」
 中尉は淡々と述べた。少尉としてはワーウィック大尉に付いていきたいのだが、そうも言っていられない。
省7
653: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:26 ID:JcV85rst0(20/30) AAS
「…無茶な作戦だな全く」
 格納庫へ軽く駆けながら大尉が口を開いた。そう言う割に口元は少し緩んでいる。
「急な立案をさせられて出てくるものなど、たかが知れてますからね」
 性懲りもなく毒づく中尉。
「まあ、私は隊長なら大丈夫だと思いますよ。強いし」
 少尉なりに元気付けようと言ってみた。実際、彼なら敵を退けてしまいそうな感がある。これまでの様々な情報が積み重なって、いくらか大袈裟に見積もっているのかもしれないが。
「少尉にも期待している。2人共、支援を頼む」
 乗機のもとへ辿り着くと、3人は手早く機体へと乗り込んだ。行き当たりばったりな作戦にも思える。
 下手をするとここで早々に全滅も有り得るのだが、頭の中で退屈しながら死を弄ぶ事に比べると遥かに心躍る時間になりそうだ。

5話 先行
654: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:27 ID:JcV85rst0(21/30) AAS
「何!?こんなところでエゥーゴ??…わかった、お前だけでも帰ってきてくれて良かったよ。おかげで次の手が打てる」
 僚機を失い自身もボロボロになって帰ってきた部下の報告を受けた。
 この艦…アレキサンドリア級を統率しているのは、黒髪の両サイドにブロックを入れた女性士官、ティターンズ所属ドラフラ・ウィード少佐である。
 白い肌と鋭い眼光のコントラストが見るものをハッとさせる。まだ30歳ほどの彼女だが、士官学校から一気に駆け上がるようにして今の地位まで上り詰めた。
 部隊は、母艦アレキサンドリア級を運用しての航行中であった。幸い遭遇戦を行ったのは偵察組で、本命は別にある。すぐにその本命の部隊へ召集をかけた。

「話は聞いた?」
 ウィード少佐はブリッジに到着した3人と向き合う様にして立つ。
「うん、エゥーゴでしょ?何でまたこのタイミングで…」
 応えた先頭のパイロットがヘルメットを脱ぐ。
 ブロンドのロングヘアに首を軽く振っている彼女はフリード・ドレイク大尉。その美しい髪とグリーンの瞳が光っていた。ウィード少佐とは同期である。
省8
655: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:28 ID:JcV85rst0(22/30) AAS
「あー…。おーけー、そしたらあんた達的には素通りしてやり過ごす気はないわけね?」
 ウィード少佐は、両手でやれやれとジェスチャーしながら首をひねった。
「そんな見た目で意外と弱気なのよね?そういうところも良いと思うわ」
 ドレイク大尉が茶化してくる。
「うるさいわね…。しかし今敵の本隊が何処に居るのかさえわからないし…」
 そこまで言ったところでレーダーが機影を捉えた。
「何だあれは…。識別信号なし、データベースにもない機体か。早速、敵さんから出向いてくれたって事じゃないのかい?」
 オペレーターの傍で情報を確認したソニック大尉がこちらを見て微笑んでいる。あとすごく二の腕の筋肉を主張してくる。
「てかあの速度で接近されたらやばくない??あたし達早く行かないと!」
 オーブ中尉の言う通り、高機動な機体のようだ。明らかにこちらを捉えて突進してきている。しかも単騎である。
省1
656: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:29 ID:JcV85rst0(23/30) AAS
 ウィード少佐がそういうと3人はバタバタとブリッジから退出した。また幾らか静かになったところで、冷静に状況を見極める。依然として敵機は接近中だ。
「お友達は皆血気盛んですなぁ」
 さっきまで黙っていた副官のナイト・レインメーカー少佐が腰を上げた。
 落ち着き払った初老のこの男は、ちょび髭がトレードマークの相談役だ。MSで出撃することも多いウィード少佐に代わって艦の指揮を執る事もある。
「落ち着きがないのよ連中は…」
 溜息混じりにウィード少佐がそういうと、彼はニカッと笑った。
「羨ましくもある。今の私にはあのノリは出せません」
「レインメーカー少佐までああなってしまったら、私はいよいよ気がおかしくなっちゃう」
 そういうと2人で少し笑った。
「…しかし、あの敵…何が狙いなのか。こちらの位置を掴んでいるあたり、無能なイノシシではありませんな」
省6
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(1): ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:30 ID:JcV85rst0(24/30) AAS
 単独で接近する敵機を迎え撃つかたちで、ドレイク大尉達は隊列を組んだ。
 センターを取るのはソニック大尉のガルバルディγ。エゥーゴのリックディアスを解析して手に入れた新素材で外装を強化したガルバルディである。
 軽量な装甲材とはいえ、増加した分鈍重になった機体の運動性を損なわない様、ジェネレーターを高出力のものに換装して強引に動かしている。
 機動性は下がったままだが、気持ち程度のバーニア増設は行われている。

 その両脇を固めるのは、ドレイク大尉のガルバルディβとオーブ中尉のガルバルディα。ドレイク大尉のβは現行機種と殆ど大差ないが、それでもマラサイに勝るとも劣らない機体性能を備えている。
 そしてオーブ中尉の、本来は旧ジオンの機体であるαの改修機。こちらは高機動戦闘に対応すべく軽量化に主眼を置いている。元々近接攻撃に秀でた機体である為、俊敏でトリッキーな戦法が取れるのも強みだ。
 また3機とも連携の為センサー類を強化しており、その頭部はいずれもバイザータイプのものに外観が変わっている。
658: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:30 ID:JcV85rst0(25/30) AAS
「さてさて…。新型のお手並み拝見ね」
 ドレイク大尉は接近する敵機をレーダーで捉えていた。かなり近いところまで来ている。
『俺に任せてくれ!γのパワーがあれば蝿の一匹や二匹…』
『何言ってんのよ!あんたは、あたしが敵の足を止めた時に突っ込んで叩くのが仕事でしょ!』
 2人がまた喚いている。ウィード少佐が頭を抱えるのも無理はない。
「いい?あなた達…。指揮は私が執るのよ?」
『『了解ー』』
「聞き分けの良い子達ね。その調子」
 そのまま付かず離れずの間隔をとって敵を待ち構える。

 来た。緑色の、バッタの様なMS。
省8
659: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:31 ID:JcV85rst0(26/30) AAS
 決めるやいなや、オーブ中尉のαが速攻を掛けた。敵の乗ったデブリに回り込む様にして背後を取りにいく。
 抜刀の動作もなく、ボックスタイプのビームサーベルで突きかかった。しかし敵はもうそこに居ない。
「上よ!リディル!」
 オーブ中尉の真上から、別のデブリを足場にしたバッタがサーベルで斬りかかる。中尉は敵の刃を受け止めず、宙返りする様にして再びデブリの背後に隠れた。
 バッタがそのデブリを切断すると同時に、すぐ後ろについたソニック大尉のγが両肩をがっしりと掴む。
『捕まえたぁ!!』
 しかし敵はスタビライザーと大型バーニアを偏向させてγの肩関節へ向けると、勢いよく噴射した。オーバーヒートを恐れたγは堪らずその手を緩める。
 すぐに身を翻したバッタが正面から袈裟斬りにする。咄嗟に両腕で庇ったγが、増加装甲を炸裂させることで敵の粒子を相殺。どうにか再び距離を取った。
660: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:32 ID:JcV85rst0(27/30) AAS
『こいつ…怖いもの知らずねッッッ』
 間髪入れず再びαが刺しにかかるが、躱し躱されの3次元でのドッグファイトが続く。上下左右の概念も無くなる様な高度な読み合いの中、敵の動きが止まる気配はない。
「これだけ振り回してもよく動くわ…。捕まえても直ぐに抜け出しちゃうし、困ったわね」
 翻弄される僚機達を眺めながら、どうしたものかと思案するドレイク大尉。するとその時、別の熱源反応を2つ感知した。
「増援!?これは…GM2!」
『こっちはそれどころじゃないの!…ッッッ!』
 αが敵の斬撃を交わしきれず左脚を失う。γにしても先程のダメージがあり、長期戦は不利に思えた。
「まだアレを使う訳には…」
『畜生!筋肉は使った後の冷却も大切なんだ!』
『うるっさいわねぇ!どうすんのよフリード!長くは保たない!』
省3
661
(1): ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:32 ID:JcV85rst0(28/30) AAS
 敵の高機動は性能面で優れているからこそだろうが、乗り手も尋常ではない。
「でも、やれない相手じゃないわ」
 距離を詰めてきたバッタに射撃を続ける。よく動きよく躱すが、支援を要請した辺り決して余裕がある訳ではあるまい。その証左か、遂に敵の肩を弾が掠めた。
 しかしそれとほぼ同時に、GM2が到着した。その内の1機が仕掛けてくる。
「逸っちゃって…」
 バッタとの間に割り込むようにして突っ込んできたGM2は、ビームサーベルを抜刀するとすぐさま斬り上げた。
 ドレイク大尉はシールドでそれをいなし、そのままシールド内蔵されたグレネードを至近距離で見舞った。
662: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:34 ID:JcV85rst0(29/30) AAS
 が、それは敵に炸裂しなかった。敵のGM2は弾頭を咄嗟に掴み強引な軌道修正をして避けたのである。
 背後で爆発するグレネードの逆光に、GM2のバイザーが蒼く光っている。そんな芸当をみせた相手は初めてだった。
「…!こんなやつらと連チャンやりあうのは…どうかしてるわね」
 γが確実に離脱したのを確認したドレイク大尉も、後退すべくバーニアを吹かした。更に追いすがろうとするGM2をバッタが制しているのも見えた。見逃してくれるらしい。

 敵のMSが追ってくる気配はない。そのまま僚機達に続いて着艦したドレイク大尉だったが、久しぶりに冷や汗をかかされた自分に少し苛立ちを覚えていた。
 バッタは勿論、GM2が脳裏に焼き付いて離れない。あの回避行動はまぐれではあるまい。繊細なマニピュレータの操作とそれを実戦で行う度胸…。
 もし回避でなく攻勢に転じる動きだったらと思うと、首の皮一枚繋がった心地がした。思わず自らの首筋に触れる。
 各機の被害状況確認で慌しいメカニック達をよそに、ドレイク大尉の胸のうちは静かに震えていた。

7話 静かに
663: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:55 ID:JcV85rst0(30/30) AAS
今日はここ迄!
10話くらいいきたかったんですが、添削しながらは普通にしんどいですね…これでも結構頑張ったつもりですが笑
また書き溜めて、話的に切りのいいところでまとめて投下します!pixivはもうちょい待ってください…笑
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