[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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650: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:22 ID:JcV85rst0(17/30) AAS
『遅くなってすまんな!』
 何も知らない艦長の能天気な声が響く。ちょっと散歩にでも出てきた様な風情だ。
『艦長、急ぎお伝えしたいことがあります』
 大尉が真剣な面持ちで返す。
『ふむ、収穫が既にあるとは流石だな!補給がてら帰投したまえ』
 モニター越しの艦長は見るからに満足げである。実際のところ、ここ最近の任務に退屈していたのは少尉だけではなかったのかもしれない。
 こんなに活き活きしている艦長を見るのは久しぶりだった。
 3機とも着艦すると、機体をメカニックに任せてブリッジへと急ぐ。到着すると出発前と変わらない様子の艦長が出迎えた。

「艦長、この先に敵母艦が居る可能性がかなり高いです」
 ヘルメットを脇に抱えたまま、単刀直入に大尉が切り出した。
「機影があるか?」
 グレッチ艦長はグレコ軍曹の方を振り返った。
「えと…いや、確認できません」
 おどおどと軍曹が応える。機影があったら既に大慌てしているだろうに。流石の少尉もその位はわかる。
「…そうでしょうね。先程遭遇戦がありまして、退却した敵のルートから位置を割り出しました。まだ距離がありますが…」
 やや呆れ気味のフジ中尉が眼鏡を掛け直しながら言った。
「わかった!お前達の言うことを信じよう。兎に角急ぐのだな?」
 艦長にしては決断が早い。いや、詳細が分かっていなくても要点を掴むのが上手いとでもいうのか。
「艦長、中尉に立案を頼みたいのですが如何でしょうか。まだあの座標付近に母艦がいるとして…」
 大尉がそう言いながらブリッジの正面窓の上に、拡大された宙域マップを写した。中尉が手早く敵艦の座標を入力する。
「よし。中尉、続けてくれ」
 艦長はモニターを注視している。スクワイヤ少尉もその場に立ったまま、皆と共にそのマップを見つめた。
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