[過去ログ] ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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126: 流れの行方は ◆Mc3Jr5CTis 2010/08/15(日)05:19 ID:xODqY+aQ(2/7) AAS
空の闇を、そのまま吸い込んだかのように黒々と染まった水面に、月の光を反射した僅かな煌めきが跳ねる。
島の中央を二つに分かつ巨大な大河の勢いはさほどに激しいものではなかったが、その深く穿たれた水路を流れる
たっぷりとした大量の水の力は、ヒト一人を押し流すのに充分過ぎる力強さに満ちていた。

その黒い潮流の中を、どんぶらこ、どんぶらこと、二つの大きな桃の実が流れる。
否。
力強い水流に揉みしだかれて、時に形を歪ませながらも決して張りを失わぬその弾力性は、果肉のそれではあり得なかった。
透き通るような瑞々しい白色の薄皮を、僅かに赤く染めて。
省34
127: 流れの行方は ◆Mc3Jr5CTis 2010/08/15(日)05:20 ID:xODqY+aQ(3/7) AAS
シグナムは今更ながらに、かの少女たちの『強さ』を思い知る。
彼女たちに救われた者として、そして今は同じ組織に属する者として、自分はこの間違いを正さねばならない。
――それが例え、誰かの願い(ユメ)を撃ち砕く事へと繋がろうとも。
だが、なんの願いも持たぬ今の自分にそれが出来るのか――いや、やるのだ。
即席の決意を胸にシグナムが強く目を瞑ると、衣服として使い物にならなくなっていた、びしょぬれの制服が弾け飛ぶ。
そして一糸まとわぬ姿となったシグナムが新たに纏うは、主自らデザインしてくれた白と赤紫の騎士甲冑。
再び燃え盛るような炎を宿した瞳を見開くと、ここに勇壮なる古代ベルカの騎士が蘇った。
省34
128: 流れの行方は ◆Mc3Jr5CTis 2010/08/15(日)05:20 ID:xODqY+aQ(4/7) AAS
かつて存在し、そして失われた古代の魔法技術の遺産。
それがロストロギアである。
場合によっては世界を滅ぼしかねないその遺産の管理、封印もまた管理局の仕事の一つ。
時に持ち主の意思をもねじ曲げ、意図せぬ悲劇を呼びこんでしまう事例を多く見てきたシグナムは
少女とロストロギアの関係をそれとなく察する。

「おい、気をしっかり持て!」
「――うるさいっ! 私に……近付くなっ!!」
省37
129: 流れの行方は ◆Mc3Jr5CTis 2010/08/15(日)05:21 ID:xODqY+aQ(5/7) AAS
手元で僅かに手首を捻り、鞭状に変化した剣を操る。
伸びに伸びた刃によって、周囲を十重二十重に取り囲まれた黄泉に逃げ場はない。
収束する焔の一撃が、黄泉の身体を貫こうとしたその瞬間。
シグナムは見た。
燃え盛る焔の刃を跳ね退けながら、こちらに突進してくる黄泉の姿を。

「何っ!?」

既に刃の包囲網は完成している。
省36
130: 流れの行方は ◆Mc3Jr5CTis 2010/08/15(日)05:22 ID:xODqY+aQ(6/7) AAS
「ん? ……これは?」

黄泉の制服のポケットからこぼれ落ちたのか、一本の口紅が転がっていた。
それを拾うと、初めて鎧の魔剣を手に取った時のようにシグナムの脳裏にその口紅の効果、使い方が思い浮かぶ。

ティンカーリップ――魔法の口紅。
使用する事で、プロテス(防御力アップ)、シェル(魔法防御力アップ)、ヘイスト(素早さアップ)の効果がある――

「なるほど、こんな物を使っていたのか……支給品か。私にも何か支給されているはずだが……」

ロワが殺し合いを促進する為に支給したものだ。
省32
366: ◆Mc3Jr5CTis 2010/09/03(金)17:05 ID:3O4tGfnp(1/8) AAS
セシリーで投下します
367: ◆Mc3Jr5CTis 2010/09/03(金)17:06 ID:3O4tGfnp(2/8) AAS
セシリー・キャンベルの住まう大陸には一匹の獣がいる。
かつて山々を叩き潰し、大地を割り、海を呑みほした史上最悪の人外ヴァルヴァニル。
悪行の限りを尽くしたその獣は一振りの『聖剣』によって封印されたという。

だが聖剣に磔にされ、身動き出来ぬようになった獣は人を憎み、人を互いに殺し合わせるためのシステムを生みだした。

『霊体』

ブレア火山に封印されたヴァルヴァニルが今も吐き出し続ける、その目に見えぬ粒子は、大陸に生を受けたヒトの心臓に干渉し、
そこに『死言』と呼ばれる呪いの文字を刻み込む。
省33
368: ◆Mc3Jr5CTis 2010/09/03(金)17:07 ID:3O4tGfnp(3/8) AAS
シーグフリード。破廉恥で卑劣漢。だが強くて、悪魔よりも危険な奴。
おそらく言われずとも殺し合いを始めるであろうあの男が、もしこの地にいるのであれば。
今度こそ自分が決着を付けなければならないだろう。
ルークにはこんな戦いよりも大切な、ヴァルヴァニル再封印の為の聖剣の鍛錬という役目があるのだから。

「ルーク……」

ぽつりと、男の名を呟くと暗い森の中を一人歩んでいたセシリーの歩調が緩む。
細い首に嵌められた冷やかなリングを、そっと指の先で撫でた。
省38
369: ◆Mc3Jr5CTis 2010/09/03(金)17:08 ID:3O4tGfnp(4/8) AAS
眩しい。
森の暗闇に慣れた目に、鮮烈な朝の光景が飛び込んだ。
いつの間にか白じんでいた空の色に、しばし目を細めてセシリーは順応する。

「夜は明けたか……」

水の香りを含んだ爽やかな風が、少女の鼻腔をくすぐる。
目の前には、大きな川と広い草原が広がっていた。
省35
370: ◆Mc3Jr5CTis 2010/09/03(金)17:09 ID:3O4tGfnp(5/8) AAS
狙うは幻のグリフィスが持つ長剣。
セシリーが両手持ちで振り下ろした聖剣は、狙い通りグリフィスのロングソードを叩き折った。
そのセシリーの行動を読んでいたかのように、幻のグリフィスは小さな短剣を取りだすと、セシリーの胸当ての下
――鎧に覆われていない脇腹目掛けて切っ先を突き出す。
その暗殺者じみた一撃を――セシリーは素早く身を捻ってかわし、脇の下で挟み込む。
と、同時に聖剣の柄を、グリフィスの腹に叩きこんだ。

「よし、次だ!」
省36
371: ◆Mc3Jr5CTis 2010/09/03(金)17:10 ID:3O4tGfnp(6/8) AAS
一通り剣を振ってみて、エクスカリバーの重みにもだいぶ慣れた。
全身にびっしょりと汗を掻いた少女は、稽古の成果に満足いったのか、ようやく動きを止める。

「……サイトが止めてくれて、命拾いをしたのかもしれないな」

敵にどんな策があったのかは、実際の所はわからない。何もなかったのかもしれない。だが、
『俯瞰に徹し、全体を見る』
かつて、ルークに教えられた言葉が脳裏を過る。
それさえ出来れば、相手の二手三手先も見えてくると言われていたのに、あの時のセシリーは横槍を入れてきたサイトにも、
省33
373: ◆Mc3Jr5CTis 2010/09/03(金)17:22 ID:3O4tGfnp(8/8) AAS
おっと、タイトルは聖剣の少女騎士です
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