[過去ログ] ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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129: 流れの行方は ◆Mc3Jr5CTis 2010/08/15(日)05:21 ID:xODqY+aQ(5/7) AAS
手元で僅かに手首を捻り、鞭状に変化した剣を操る。
伸びに伸びた刃によって、周囲を十重二十重に取り囲まれた黄泉に逃げ場はない。
収束する焔の一撃が、黄泉の身体を貫こうとしたその瞬間。
シグナムは見た。
燃え盛る焔の刃を跳ね退けながら、こちらに突進してくる黄泉の姿を。

「何っ!?」

既に刃の包囲網は完成している。
剣一本でそれを突破出来るほど、シグナムの必殺剣は甘くはない。
だが――それでも事実として黄泉はその包囲網を抜けだそうと駆けて来る。
その身に触れる刃を、不可視の燐光で弾きながら。

(バリアジャケットの類か!?)

敵もまた魔法を使う魔法剣士であったか。
それは敵の手の内を深く知るまで、必殺剣の発動を待てなかったシグナムの失策だった。
なまなかなバリアジャケットで防げる剣ではないと自負していたが、今もまだ黄泉の額に輝く赤い石は
強大な魔力の波動を発している。
その魔力を防御に回しているのであれば……あれを突破するほどの防御力を得てもおかしくはない。

シグナムはグッと唇を噛み、更に剣に魔力を籠めるが……突破されるのも時間の問題だろう。
シュランゲフォルム……鞭のように変化した剣は、敵の間合い外から一方的な攻撃が出来るという超攻性の特質を持っているが、
反面、懐に入られた時の対応が難しい。
伸ばしに伸ばした剣を戻すには時間がかかるし、制御しているその間はこちらも動けないのだ。

「はああああっ!!」

遂に刃の渦を突破した黄泉が、炎を突き破ってその姿を見せる。
構える剣は中段に。
揺るがぬ姿勢でまっすぐに、シグナムの心臓に狙いを定めて疾駆する。

対するシグナムは蛇腹剣を元に戻そうと――しなかった。
剣を捨て、左に持つ鞘で迎撃の姿勢を見せる。
だが、あれだけのスピードで繰り出される突きを鞘だけで捌けるのか。
斬撃に比べ、突きは受けるのが難しい。
横から力を加えようが、突きの勢いが勝れば僅かに軌道が逸れるだけだ。

そんな事は百も承知で、シグナムは弓を引くかのように鞘を構える。
そして黄泉の突きとタイミングを合わせるように――シグナムもまた、鞘を突き出す。

鞘の内を刃が擦る。
耳障りな金属音を立てて――黄泉の突き出した刀は、シグナムの鞘の内に納まった。
シグナムは超絶的な集中力を持って、刀を納めるという鞘本来の使い方で敵の攻撃を防いだのだ。
言葉にすれば簡単だが、黄泉ほどの天才剣士を相手にそれを為しうる技量や如何ほどのものか。

それを認識する間もなく、黄泉の頬が衝撃に歪む。
カウンターで繰り出されたシグナムの鉄拳によって。
充分な魔力を練り込まれていた拳は、今度こそ黄泉の防御を貫いた。



気絶した黄泉の身体を、光り輝く三重のリングで拘束する。
場合によっては殺害も已む無しと思っていたが、なんとか生け捕りに出来た事にシグナムは安堵する。
額のロストロギアを封じる事はシグナムには出来ないが、この少女はまだギリギリで人間だ。
管理局まで連行出来れば――あるいはロストロギアの剥離・封印も可能かもしれない。
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