[過去ログ] ファンタジー剣士バトルロワイアル 第三章 (1002レス)
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369: ◆Mc3Jr5CTis 2010/09/03(金)17:08 ID:3O4tGfnp(4/8) AAS
眩しい。
森の暗闇に慣れた目に、鮮烈な朝の光景が飛び込んだ。
いつの間にか白じんでいた空の色に、しばし目を細めてセシリーは順応する。

「夜は明けたか……」

水の香りを含んだ爽やかな風が、少女の鼻腔をくすぐる。
目の前には、大きな川と広い草原が広がっていた。

大きく息を吸い込むと、セシリーは手にした剣を目前にかざす。

エ ク ス カ リ バ ー
約束された勝利の剣。

其は騎士の代名詞とも言える、かの高名な円卓の騎士王と共に在った究極の幻想。
あるいは別の次元にまでその名を轟かせる、この偉大な剣の由来をセシリーは知らない。

知らなかったが、一目見ただけで判った。
その剣の、尊さが。
まるで新たなる聖剣の誕生を待ち望む、大陸の人々の願いをそのまま形にしたようだとセシリーは思う。
ルークが鍛つ、刀と呼ばれる反りがある片刃の剣とは違う、両刃の直剣。
刃渡りは、セシリーの相棒であるレイピアの魔剣アリアとさして変わらないが、刺突専用のアリアとは違い
斬る事も可能な幅広の刃はそれなりに厚く、片手で扱うには少し重い。
ルークにこれを見せれば、きっと聖剣鍛造の大きな手助けとなるだろう。

手に持った剣を軽く上げ下げしていた少女は、ふとエクスカリバーを持った右手を前にして、左半身を後ろに引いてみる。
いつもの刺突の構え。
滑るように右脚で踏み込み、同時に右腕を捻りこみながら突き出した。
鋭く空を裂く剣の切っ先は、セシリーが仮想していた的よりもやや下を穿つ。
構わず、引き戻す。
砂埃をあげながら、セシリーの足が土を蹴り、目にも留まらぬ速度で連続して突きを繰り出す。
型に則った動きを繰り返し、その速度は段々とあがっていく。
セシリーの額を汗が伝い、肩の長さに切りそろえた赤髪が跳ねる。

セシリーは今、幻の敵と対峙していた。
その相手は、先ほど対決する事となったグリフィスという男である。
先の戦いでセシリーは武器破壊を狙っていたのだが、果たしてサイトの邪魔がなければ勝負の行方はどうなっていたのか。
狙い通り、自分はグリフィスの剣を破壊し、彼を取り押さえる事が出来ていたのだろうか。

グリフィス。
少し相対しただけではあるが、その性質はセシリーとは正反対の氷のように冷静な男だった。
唯一ガッツの事を語る口調にだけは熱が籠っていたが、その引き際の鮮やかさといい、戦いの最中に全体を見る目配りといい
戦局を見据えるその泰然自若とした戦術眼には敬服するものがあった。
ならば両者の扱う剣自体の格差など、当然気付いていただろうし、あるいは自分の狙いもわかっていたのかもしれない。
その上で、彼が反撃の策を用意していたとしたら?

考えろ。想定しろ。奴はあの後、どうするつもりだったのか。
例えばあの剣は囮で、反撃の為のサブウェポン……スティレットのような小さな武器を隠し持っていたとしたら?

――ならば……これでどうだ。
セシリーはしっかりと脇を締め、素早く、それでいて柔軟に姿勢を変えられるように身構える。

「エイッ!」
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