第二汎用スレ (2314レス)
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2275: キョウ・リーフィンド 2018/07/25(水)21:10 ID:T702sb7A(1) AAS
>>2274

「…そうか」

世話を焼かれるだけ焼かれて離脱するというジャックに表情が少し陰る。
まだなんの礼も返せていないというのに。
しかし、別に今生の別れというわけでもない、借りはまたいずれ返せばいい。
そう思い直そうとして。

「っ!」

姿を融かしながらジャックが残した言葉に。
今度こそ、目が見開くのを一切抑えることが出来なかった。
省22
2276
(1): ジャック・V・テイラー◆/yjHQy.odQ 2018/07/26(木)05:26 ID:qMzDdpG2(1) AAS
キョウの様子にニクスが気付かないわけもない。
事実、若干の曇りが表情を覆っていた。
しかしそれをニクスから聞いてくる気配もない。
キョウの考えることはキョウのみぞ知ればいい、ということだろう。

「そうか。テイラー曰く、この一帯の獣は新参が多く、数も先程の一戦で相当数減ったらしい」

「バッカスは休憩拠点として存在しているため、地下水道は封鎖してある。基本的に向こう側から一方通行だ」

「逆に言えばもし危険な状態であったら、バッカスに逃げ込んで補給が来るまで籠城、というのもある。憶えておいてくれ」

「では行こう。近場の商店街の井戸を使う」
省20
2277: キョウ・リーフィンド 2018/07/26(木)21:21 ID:Au8QBqjk(1) AAS
>>2276

「わかった、それでいこう」

―――

(…大したもんだな)

周囲への警戒を努めるとともに、目的地へとニクと向かいながら。
彼のその様子、更に言えば在り方を見て。
皮肉でなく、そう思った。
省13
2278: 2018/07/27(金)23:35 ID:EbanIF9c(1) AAS
二人が入ろうとしている建物、その中の入ってすぐの一角に、一組の男女が身を潜めていた。
トカゲの獣と戦い、討伐に成功した直後に傷と疲労で倒れた青年エストと、その戦闘に助太刀する形で乱入してきた女である。
討伐後からしばらくしてエストは目を覚ましたが、依然としてダメージと疲労は深く、回復が必要だった。
獣どもとの戦闘を避けつつ、安全に治療に専念できる場所を探し歩き、辿り着いたのがここだ。
なお、共闘していたシノ達は女の方が案内して別れている。

現在は一通りの治療が終わり、失った体力を取り戻すために休息しつつ、今後の方針を話し合っているところである。

「さて……これからどうするつもりかな?」
問い掛けるのは女性。よく通るソプラノの高い声だ。

「これから、か……。できれば仲間や師匠と合流したいところだけど、この状況だとどこに居るやら……。
 仲間や師匠じゃなくても、少なくとも共闘できる誰かを探す必要はある。二人だけでできること、助けられる人数には限界があるしな」
省2
2279: ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/27(金)23:59 ID:clZA4XcA(1) AAS
「ここは戸に音が出ないようにネストが細工した通路の入口のようなものだ」

「こういった印が四隅の何処かにあったら、そういうものだと思って欲しい」

「いこう、ここから先は暗くて狭いから転倒に注意してくれ」

キョウの了承に少しの笑みを見せ、説明も手短に、扉を開ける。
不思議なほど音が出ず、店の入口にありがちなベルも取り外しており、本当に音は出なかった。
……音が出ないが故に、聞き取りやすいものもあったが。

「……!」
省4
2280
(1): キョウ・リーフィンド 2018/07/28(土)00:14 ID:R6x6U.dw(1/3) AAS
「わかった」

笑みに対し頷きで返し、ニクスの背について屋内へと進もうとした矢先。
耳を掠めたかすかな音、注意を促そうと思った時には既にニクスに手で制されていた。

(本当に全く、頼りになる)

そう関心を重ねるがそれはそれ。一先ずは目の前の問題に集中するべきだろう。

この身は風と同義。
空気の層で音を遠ざけるも、また空気の振動を読んで音を拾うのも可能である。
省10
2281
(1): ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/28(土)00:37 ID:.MSXb0e6(1/2) AAS
>>2280

(本当か……?なら都合がいい、交渉役は任せていいだろうか)

キョウの言葉を疑いもしない。
それならば、と、鞘に納めたまま剣を外し。

ドン!

ドン!
省6
2282
(1): 2018/07/28(土)00:49 ID:5PSuwWAo(1/2) AAS
「エストくんの師匠ねぇ。どんな人なんだい?」
蝋燭の小さな灯火だけが照らす薄闇の中、二匹の蛇が巻き付いた意匠の杖を磨きながら、会話を続ける。

「ドクオって人でな、どんな人かと言われると難しいけど……まぁ、そうだな。優しい皮肉屋、かな」
エストも女の方と同様、抜いた刀の簡単な手入れをしつつ話に応じる。

「ドクオ? ドクオ・タルナート?」

「師匠と知り合いなのか!?」
女が手を止めて顔を上げて問い返せば、エストは驚きつつも食いつく。

「あー、いやいや。私が一方的に知ってるだけだよ。顔見知りなわけじゃないさ。
 知ってるっていうのも噂レベルで、顔も直接は見たことないよ。期待させて悪かったね」
省8
2283
(2): キョウ・リーフィンド 2018/07/28(土)01:10 ID:R6x6U.dw(2/3) AAS
>>2281>>2282

(上手くいくかはわからんが、やるだけやろう)

ノックの後、響いてきた返答の声を受けて。
改めてもう一度ニクスに頷き、彼より一歩、前に出た。

(理性的かつ情緒もある会話…それに「ドクオ」と言ったな)

会ったことはない。だがその名はかつての友人たちから聞いたことがある。
確信が持てる、今この場にいる何者かは間違いなく敵ではないと。
省16
2284
(1): ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/28(土)01:45 ID:.MSXb0e6(2/2) AAS
>>2283

「……うん、どちらも知らないな。完全な初対面だ」

自分の方は当然そうなる。
敢えて言い出すことで、嘘をついて接近したと思われないようにするつもりであったが、さてキョウは。

「……そうか、顔見知り、程度ではあったようだ」

「良かった。とりあえず嘘つきにはならずに済んだな」
省8
2285
(2): [sage 筆が乗ったこの長さよ…] 2018/07/28(土)21:14 ID:5PSuwWAo(2/2) AAS
>>2283,2284
「……バッカスの?」
キョウとニクスが姿を現し、薄っすらと顔が見える距離になっても警戒態勢をとっていた二人だったが、キョウが酒場とジャックのことを口に出したことで、エストの方は警戒を解く。

「あ、あぁ。エストで合ってる。確かにそっちのアンタは見覚えあるな。……えぇっと……」
キョウはエストの顔と名前を覚えていたが、エストの方は名前までは思い出せないのでようである。まぁ会話をしたことも無ければ致し方あるまい。

「……キョウだったか。そっちのアンタはニクスね。ありがとう」
が、そこでタイミング良くニクスが助け舟を出してくれたお陰で、気不味い思いをしなくて済んだ。

「ほんとに顔見知りだったかい?」

「あぁ、間違いない。……少なくとも敵じゃないし、これから敵対する可能性も薄いな」
省16
2286
(3): キョウ・リーフィンド 2018/07/28(土)22:03 ID:R6x6U.dw(3/3) AAS
>>2285>>2286
「…」

酒場と言ったのはキョウ自身であるし、これで警戒を解けると算段したのも自分だ。
それはわかっているのだが、こうもあっさり警戒を解く相棒を見ると微妙な気持ちになる。
酒場の利用者は決して善人だけではなかった筈だ。
いっそ潔いまで綺麗な切り替えは尊敬とともに少しの心配をキョウに与える。

(少し…危ういな)

何にせよ、向こうもこちらの事を認識自体はしてくれたようだ。
敵対の可能性はなくなったとみて、上げていた両手を下げた。

「改めて、キョウ・リーフィンドだ。よろしく頼む」
省17
2287
(1): ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/29(日)00:30 ID:18laJzF2(1/2) AAS
>>2285>>2286

キョウの懸念など知る由もない。
当人は協力的な仲間をまた迎えられるかもしれないとテンアゲ状態だ。
警戒こそしているうちは大丈夫でも、警戒を解くと一気に素の脆弱性が出る。
キョウの心配は、最悪の事態を想定するなら決して杞憂ではないだろう。

「エスト、か。よろしく頼む。ジャック……テイラーとは先程別れたばかりだ」

「済まない、彼は神出鬼没の上に独自行動をしている。もし何か要件があったなら、次にあったときに伝えよう」

深淵改基の魔術でとくにこの数年はジャックは本当に遭遇率が低い存在である。
どうやらここでも同じのようだ。
もし組織に関連があるならば……特に身に沁みていることだろう。
省13
2288
(2): 2018/07/29(日)01:09 ID:dteZnG0U(1/2) AAS
>>2286,2287
「凄いだろう!尊敬してくれても構わないよ!」
ドヤ顔でそう言いながら光源を操作し、スポットライトの様に自信だけを照らす。

「…………」
何かを堪えるように額に手を当て、溜め息を押し殺すエスト。
悪い奴ではない、むしろ良い奴ではあるが、癖が強い──有り体に言って変人──なのが彼女の欠点だと、短い付き合いながらわかっている。

「どうしたんだい、エストくん。まだ傷が傷むかい?」

「いや……なんでもないよ」
痛むのは頭だし、物理的な痛みでもないが、ここは一先ず流しておく。下手に突っ込んでも話が混迷するだけだ。

「ウチはそこまで有名ってほどじゃなかったからな。仕方ないさ」
省5
2289
(3): キョウ・リーフィンド 2018/07/29(日)01:28 ID:mg1HIf0M(1/2) AAS
>>2288>>2289

「…利害は一致したな」

ニクス、エスト、ヘルメスと。三者を順にみて頷く。
昨日まで独りだったのが気づけば四人になっている。
改めて、自分はニクスと、それにここには既にいないジャックに感謝しなければならないだろう。
…約一名、癖が強いのがいるがそこはそれ。
こんな王都の中だ、彼女のそういった立ち振る舞いはある種の緩衝材にもなりえる。

ここまで一度として微笑みもしないが、それでもキョウの表情は幾分柔らかかった。

「先ほどまで2人はここで体を休めていたみたいだが、状態はどうだ?
いつ何時獣と相対することになるかわからないような環境だ。
省5
2290
(2): ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/29(日)04:55 ID:18laJzF2(2/2) AAS
>>2288>>2289

「交渉成立だ。改めてよろしく頼む、お三方」

「リーチマンもこれで少しは休めるといいのだが。タフなのは構わないが、もうかれこれ二週間は睡眠も」

胸を撫で下ろすニクス。
心底安堵した様子なのは、最初の交渉でキョウに理解を示されこそすれ、了承にはこぎつけなかったが故。
もっとも彼もついてきてくれる以上、やはり声に出して伝えることこそが大事、と確信していたが。

「! もし差し支えないなら、活力剤がある。ぜひ使ってくれ」
省9
2291
(2): 2018/07/29(日)08:17 ID:dteZnG0U(2/2) AAS
>>2289,2290
「賦活剤か! ありがたい。貴重な物だろうに、すまないな」
ニクスが差し出してくれた活力剤を受け取り、そのまま飲み干す。

「いや、まだしばらく全力は出せそうにないが、戦闘自体は問題ない。ヘルメスの治癒魔術のお陰で傷も隋分良くなったし、ニクスがくれた賦活剤もそのうち効いてくるだろうしな」
褒めて欲しそうな空気をこれでもかと出しているヘルメスの方に視線を向けると、彼女はドヤ!と言わんばかりの表情で腰に手を当ててふんぞり返る。

「……懸念はどちらかというと魔力量の方だな。感覚的には四分の一ってところか」
ヘルメスをスルーしつつ話を続ける。
二人の言うとおり疲労感は確かにまだ残っているが、『雑種《バスタード》』を始めとした下位の獣を相手にする程度なら支障は無い。
だが、相手が大物となると、使い切った魔力がまだ四半程しか回復していないのが痛い。

「私が持ってた魔力ポーションを飲ませたけど、気休め程度だからねぇ。私の魔力を分け与えるにも限度があるし」
省12
2292
(2): 2018/07/29(日)14:38 ID:mg1HIf0M(2/2) AAS
>>2290>>2291

「…」

ニクスの迷いない行動に、少しばかり眉を顰めた。
彼の飾り気のない優しさは、この環境下では間違いなく得難きものだろう。
それは不気味な明かりのみに照らされるこの王都で、優しい陽光のように。
きっと人に力を与えてくれる。

けど、彼の心根の強さに、彼の技量自体が追い付いていない。
いつか取り返しのつかない事態が発生したとき、その優しさは。
彼自身だけでなく、ともにある仲間も危険にさらす可能性もあると、彼は気づいているのだろうか。

「なら、移動しよう」
省14
2293
(2): ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/30(月)03:47 ID:1L6.qcoY(1) AAS
>>2291>>2292

「喜んでもらえるなら何よりだ」

軽い笑みで返す青年。
立ち上がるときも、明らかに音を立てないような慎重な姿勢と挙動。
二人の言葉と、促すようなキョウの対応に力強く頷いた。

「わかった。哨戒は任せる」

「その様子だとこの街での戦闘経験もありそうだ、万が一の時は頼らせてもらう」
省24
2294
(2): 2018/07/31(火)07:40 ID:IyQSoJxg(1) AAS
>>2292,2293
「俺は狼獣人のハーフでな。人間の姿のままでも常人よりは鼻も耳も良いし、気配の察知も師匠に徹底的に叩き込まれてる。ヘルメスの探査魔術も、俺を運びながら、戦闘を避けつつここに辿り着ける折り紙付きだ。任せてくれ」
揉めることなく提案を飲んでくれたことに感謝しつつ、少しでも安心感が増すように説明しておく。

「あぁ、獣どもとは何度かやり合ってるから問題ない。戦闘は任されるが、そこは役割分担だ。頼りにしてるぞ、キョウもニクスも」

「エストくん、私は? 私も頼りにしてる?」

「探査魔術を持ち上げてやったところじゃないか……」

「それはそれ! これはこれだよ!」
省17
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