第二汎用スレ (2314レス)
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2267
(1): キョウ・リーフィンド 2018/07/20(金)19:50 ID:M5o54uHM(1/2) AAS
>>2266

(っ!これは………っ!)

脚に伝わった感触に驚くのも束の間、槍の振り払いが身に迫る。
決して素早いと感じる訳ではないそれも、現在のキョウの体勢では楽に回避とはいかない。
まともに食らえば死…とまではいかなくても致命傷になりうるのは想像に難くない。

(覚悟を決めろ…っ)

払いの体勢から重心は背中側へ、屋根に倒れ込みながら砲槍を無理やり蹴り上げる。
省9
2268
(1): ジャック・V・テイラー◆/yjHQy.odQ 2018/07/20(金)22:43 ID:5QkGh7I2(2/2) AAS
>>2267

『ぬぅっ……!』

蹴り上げられ体勢が崩れると、足場の悪さから追撃もままならず数歩よろめく。
圧倒的に重心が先端に集中し、かつ遠巻きに持たねば自らを焼くあの槍は、反撃にめっぽう弱いようだ。
更に繰り出される追撃の風弾。
柄で受けるも、重心の偏った持ち手では受け場所を広く持てず、弾ききれずに脇腹へと当ててしまった。

すると、割れたようなブレこそ無いものの、ウィーヴの身体を包む【二枚の障壁】がうっすら浮かび、すぐに消えた。
あれが割れた何かの正体であろうか。
体勢も整わぬ蹴りで割れた以上、後二枚。
穂先の炎だけは以前燃え盛り、使い手さえ焼きながらなお煌々と輝いている。
省12
2269: キョウ・リーフィンド 2018/07/20(金)23:22 ID:M5o54uHM(2/2) AAS
>>2268
「ハァッ…ハァッ…」

息が荒い、当然だ。
ここまで何体獣を殺した。ここまでどれだけの速さで駆けてきた…どれだけの魔力を消費した。

疲れていない筈がないのだ、意地で誤魔化していただけ。
それが、先のダメージで自覚を隠せなくなった。
未だ響く獣達の断末魔を聞くに、ジャックもまだこちらに援護をする余裕はないようだ。
あまり時間は無い。しかし―

「…けど、そうか。そうだよな…」

その言葉で、わかってしまった。相手にも時間はそう残されていないことが。
省26
2270
(1): ジャック・V・テイラー◆/yjHQy.odQ 2018/07/23(月)00:22 ID:Xv7qmVjE(1) AAS
『…………!!!』

勝負は、やはり得物の差に左右されたと言ってよかった。
重心があまりに先端に偏った砲槍は、サイドステップに反応するのに【穂先を僅かに上げて】向けなくてはならなかった。
もとより槍に抗するための徹底した低姿勢のキョウの突貫、反応こそ出来たのはやはり同じ魔具に通じるもの故か。
しかし、その速度……彼が今までのすべてを費やし追ってきた風の一撃、もはや捉えるに敵わず。
身体は確かに灼熱を抜き去り、拳は確かに――

胸部の前に据え置かれた右腕を貫き、胸部に突き刺さっていた。

『か、はっ……!』

それは獣に変質しかけたが為の反応速度か。
槍が抜かれると分かった瞬間、右腕をとっさに急所の前に置き、犠牲とすることを可能にした。
省17
2271
(1): キョウ・リーフィンド 2018/07/23(月)20:00 ID:kGPwMank(1) AAS
>>2270

―届いた。

背中を、死を潜りぬけた右腕を、それでも熱に焼かれる痛みが襲う。
超速の中で無理な軌道で振った腕の筋肉が軋む。
予想だにはしていなかった右腕の盾により威力も殺された。

だがしかし、確かにこの右手は彼の身に叩き込まれた。
その感触を胸に抱いて、キョウは静止していた。

「…」
省31
2272
(1): ジャック・V・テイラー◆/yjHQy.odQ 2018/07/24(火)15:41 ID:tUpsj4lI(1) AAS
>>2271

「おっすおっす。……お疲れさん」

階下で重々しい音がし出すと、程なくしてジャックが蔓を階段代わりに上がってくる。
勿論、というように不可視のローブでの擬態付きではあるが、キョウの生存を確認した瞬間解除したようだった。

「いやいや、酷いもんだね。あんな隠し玉を持ってるとは知らなかったんだよ、ごめんね」

「……こいつは元々単独では絶対クエストを受けない冒険者だったんだ」
省19
2273: キョウ・リーフィンド 2018/07/24(火)20:08 ID:/C5ZU67s(1) AAS
>>2272
「ああ、そっちもな…」

昇ってきたジャックを一度見上げ、ふらつきながらも立ち上がる。

「すまないな…」

つらつらとジャックが口にする彼の事には何も返さず。
ただ治癒に一言だけ礼を述べて、ともに降りる。
自分が何かを語る必要はないと思った、語れる言葉も持ってはいなかった。

降りながら目に飛び込んできた光景に少しばかり目を見開くが、
すぐに憮然とした表情に戻る。
何も言っていないのに説明するジャックに微妙に驚きを見透かされた気がして
省47
2274
(1): ジャック・V・テイラー◆/yjHQy.odQ 2018/07/25(水)02:03 ID:hrbvrDXE(1) AAS
キョウに改まって決意を表明されれば、二人は向く方向こそ違えど微笑んで応える。

「此方こそよろしく頼む。心強い仲間が増えて俺も嬉しい」

「ん、じゃあ後はよろしく。ニクスの案内なら問題ないでしょ、キョウくんも」

「……なに? もういってしまうのか、テイラー」

「俺も忙しくてね。今日はこのまま【ゼオの依頼】の方を仕上げてくるよ」
省15
2275: キョウ・リーフィンド 2018/07/25(水)21:10 ID:T702sb7A(1) AAS
>>2274

「…そうか」

世話を焼かれるだけ焼かれて離脱するというジャックに表情が少し陰る。
まだなんの礼も返せていないというのに。
しかし、別に今生の別れというわけでもない、借りはまたいずれ返せばいい。
そう思い直そうとして。

「っ!」

姿を融かしながらジャックが残した言葉に。
今度こそ、目が見開くのを一切抑えることが出来なかった。
省22
2276
(1): ジャック・V・テイラー◆/yjHQy.odQ 2018/07/26(木)05:26 ID:qMzDdpG2(1) AAS
キョウの様子にニクスが気付かないわけもない。
事実、若干の曇りが表情を覆っていた。
しかしそれをニクスから聞いてくる気配もない。
キョウの考えることはキョウのみぞ知ればいい、ということだろう。

「そうか。テイラー曰く、この一帯の獣は新参が多く、数も先程の一戦で相当数減ったらしい」

「バッカスは休憩拠点として存在しているため、地下水道は封鎖してある。基本的に向こう側から一方通行だ」

「逆に言えばもし危険な状態であったら、バッカスに逃げ込んで補給が来るまで籠城、というのもある。憶えておいてくれ」

「では行こう。近場の商店街の井戸を使う」
省20
2277: キョウ・リーフィンド 2018/07/26(木)21:21 ID:Au8QBqjk(1) AAS
>>2276

「わかった、それでいこう」

―――

(…大したもんだな)

周囲への警戒を努めるとともに、目的地へとニクと向かいながら。
彼のその様子、更に言えば在り方を見て。
皮肉でなく、そう思った。
省13
2278: 2018/07/27(金)23:35 ID:EbanIF9c(1) AAS
二人が入ろうとしている建物、その中の入ってすぐの一角に、一組の男女が身を潜めていた。
トカゲの獣と戦い、討伐に成功した直後に傷と疲労で倒れた青年エストと、その戦闘に助太刀する形で乱入してきた女である。
討伐後からしばらくしてエストは目を覚ましたが、依然としてダメージと疲労は深く、回復が必要だった。
獣どもとの戦闘を避けつつ、安全に治療に専念できる場所を探し歩き、辿り着いたのがここだ。
なお、共闘していたシノ達は女の方が案内して別れている。

現在は一通りの治療が終わり、失った体力を取り戻すために休息しつつ、今後の方針を話し合っているところである。

「さて……これからどうするつもりかな?」
問い掛けるのは女性。よく通るソプラノの高い声だ。

「これから、か……。できれば仲間や師匠と合流したいところだけど、この状況だとどこに居るやら……。
 仲間や師匠じゃなくても、少なくとも共闘できる誰かを探す必要はある。二人だけでできること、助けられる人数には限界があるしな」
省2
2279: ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/27(金)23:59 ID:clZA4XcA(1) AAS
「ここは戸に音が出ないようにネストが細工した通路の入口のようなものだ」

「こういった印が四隅の何処かにあったら、そういうものだと思って欲しい」

「いこう、ここから先は暗くて狭いから転倒に注意してくれ」

キョウの了承に少しの笑みを見せ、説明も手短に、扉を開ける。
不思議なほど音が出ず、店の入口にありがちなベルも取り外しており、本当に音は出なかった。
……音が出ないが故に、聞き取りやすいものもあったが。

「……!」
省4
2280
(1): キョウ・リーフィンド 2018/07/28(土)00:14 ID:R6x6U.dw(1/3) AAS
「わかった」

笑みに対し頷きで返し、ニクスの背について屋内へと進もうとした矢先。
耳を掠めたかすかな音、注意を促そうと思った時には既にニクスに手で制されていた。

(本当に全く、頼りになる)

そう関心を重ねるがそれはそれ。一先ずは目の前の問題に集中するべきだろう。

この身は風と同義。
空気の層で音を遠ざけるも、また空気の振動を読んで音を拾うのも可能である。
省10
2281
(1): ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/28(土)00:37 ID:.MSXb0e6(1/2) AAS
>>2280

(本当か……?なら都合がいい、交渉役は任せていいだろうか)

キョウの言葉を疑いもしない。
それならば、と、鞘に納めたまま剣を外し。

ドン!

ドン!
省6
2282
(1): 2018/07/28(土)00:49 ID:5PSuwWAo(1/2) AAS
「エストくんの師匠ねぇ。どんな人なんだい?」
蝋燭の小さな灯火だけが照らす薄闇の中、二匹の蛇が巻き付いた意匠の杖を磨きながら、会話を続ける。

「ドクオって人でな、どんな人かと言われると難しいけど……まぁ、そうだな。優しい皮肉屋、かな」
エストも女の方と同様、抜いた刀の簡単な手入れをしつつ話に応じる。

「ドクオ? ドクオ・タルナート?」

「師匠と知り合いなのか!?」
女が手を止めて顔を上げて問い返せば、エストは驚きつつも食いつく。

「あー、いやいや。私が一方的に知ってるだけだよ。顔見知りなわけじゃないさ。
 知ってるっていうのも噂レベルで、顔も直接は見たことないよ。期待させて悪かったね」
省8
2283
(2): キョウ・リーフィンド 2018/07/28(土)01:10 ID:R6x6U.dw(2/3) AAS
>>2281>>2282

(上手くいくかはわからんが、やるだけやろう)

ノックの後、響いてきた返答の声を受けて。
改めてもう一度ニクスに頷き、彼より一歩、前に出た。

(理性的かつ情緒もある会話…それに「ドクオ」と言ったな)

会ったことはない。だがその名はかつての友人たちから聞いたことがある。
確信が持てる、今この場にいる何者かは間違いなく敵ではないと。
省16
2284
(1): ニクス◆/yjHQy.odQ 2018/07/28(土)01:45 ID:.MSXb0e6(2/2) AAS
>>2283

「……うん、どちらも知らないな。完全な初対面だ」

自分の方は当然そうなる。
敢えて言い出すことで、嘘をついて接近したと思われないようにするつもりであったが、さてキョウは。

「……そうか、顔見知り、程度ではあったようだ」

「良かった。とりあえず嘘つきにはならずに済んだな」
省8
2285
(2): [sage 筆が乗ったこの長さよ…] 2018/07/28(土)21:14 ID:5PSuwWAo(2/2) AAS
>>2283,2284
「……バッカスの?」
キョウとニクスが姿を現し、薄っすらと顔が見える距離になっても警戒態勢をとっていた二人だったが、キョウが酒場とジャックのことを口に出したことで、エストの方は警戒を解く。

「あ、あぁ。エストで合ってる。確かにそっちのアンタは見覚えあるな。……えぇっと……」
キョウはエストの顔と名前を覚えていたが、エストの方は名前までは思い出せないのでようである。まぁ会話をしたことも無ければ致し方あるまい。

「……キョウだったか。そっちのアンタはニクスね。ありがとう」
が、そこでタイミング良くニクスが助け舟を出してくれたお陰で、気不味い思いをしなくて済んだ。

「ほんとに顔見知りだったかい?」

「あぁ、間違いない。……少なくとも敵じゃないし、これから敵対する可能性も薄いな」
省16
2286
(3): キョウ・リーフィンド 2018/07/28(土)22:03 ID:R6x6U.dw(3/3) AAS
>>2285>>2286
「…」

酒場と言ったのはキョウ自身であるし、これで警戒を解けると算段したのも自分だ。
それはわかっているのだが、こうもあっさり警戒を解く相棒を見ると微妙な気持ちになる。
酒場の利用者は決して善人だけではなかった筈だ。
いっそ潔いまで綺麗な切り替えは尊敬とともに少しの心配をキョウに与える。

(少し…危ういな)

何にせよ、向こうもこちらの事を認識自体はしてくれたようだ。
敵対の可能性はなくなったとみて、上げていた両手を下げた。

「改めて、キョウ・リーフィンドだ。よろしく頼む」
省17
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