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現代数学の系譜 工学物理雑談 古典ガロア理論も読む62 (1002レス)
現代数学の系譜 工学物理雑談 古典ガロア理論も読む62 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1551963737/
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418: 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [sage] 2019/03/17(日) 09:57:47.78 ID:gAStfvWk >>417 つづき 順序数の理論は非常に簡明ですので,Cantor は基数の理論をこれに帰着させたい,と考えました.この要 求の結果として出て来たのが,今日では選択公理と同値である事で有名な次の整列定理です. 定理 2 (整列定理). 任意の集合について,その上の整列順序が存在する. さて,全単射が存在するなら,二つの集合の濃度は等しいといっていいだろう,というのが Cantor の着想 でした.順序数を用いれば,以下のようにして濃度の等しい集合の代表元としての基数を定義出来ます: Godel はこの L が ZFC + GCH のモデルになっていることを示し ました.しかし,ここでアレ?と思った人が出て来たかもしれません.なぜな ら,Godel の不完全性定理により「ZF から ZF の無矛盾性は示せない」はず なのに,ここでは ZF の下で ZF + AC + GCH のモデルを構成したことになっています.ZF より大きな理論 が無矛盾なんですから,結局そこから ZF の無矛盾性が出て来る筈で,となると結局 ZF から ZF 自身の無矛 盾性を示してしまったように見えます. 実は,実際に Godel が示したことは,「この L を 外側(メタレベル)から眺めると,あたかも ZFC + GCH のモデルであ るかのように見える」ということです.より厳密には,次のメタ定理を示したのです: Cohen はこんにち強制法と呼ばれる手法を編み出し,この定理を証明しました.Godel の L が宇宙 V を内 側に削っていくものであったのに対し,強制法は逆に V を外側へと拡張していくもので,有理数体 Q に超越 数 α を添加した Q(α) を考えるようなものです. Cohen は,集合論の宇宙 V をとって,その外側から新たな実数を アレフ2 個付け加えることによって連続体仮 説を破ったのです. しかし,厳密には V の「外側」の元など存在しません.ではどのようにこれを実現したのかといえば,集合 の概念を,所属確率付きの集合に拡張する,というのが強制法の核となる考え方です.確率といっても,実数 値の確率ではなく,付け加えたい元の近似条件をその代わりに用います.より詳しく,添加したい「理想元」 を自由度で並べた擬順序集合を用います: つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1551963737/418
419: 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [sage] 2019/03/17(日) 09:58:57.96 ID:gAStfvWk >>418 つづき 3 実数の集合論 測度の問題を例に この分野から特に測度の問題について採り上げたいと思います. Lebesgue 測度は解析学や関数解析で重要な概念ですが,よく知られているように,選択公理の下では非可 測な集合が存在することは良く知られています. 定理 12 (Vitali). R/Q の完全代表系は Lebesgue 非可測である. この証明は,次のように行われます: (1) 選択公理を使って R/Q の完全代表系 S を取る. (2) S が可測だとすると,零集合となる事を示す. (3) 一方,R は S の可算個の平行移動で覆える. (4) よって Lebesgue 測度の平行移動不変性から μ(R) = 0 となり矛盾. この証明を眺めていて,以下のような疑問が沸いてきます: (A) 平行移動不変性を外せば,全ての部分集合に測度を定義出来ないか? (B) 選択公理を使って作られる集合は具体的に書き下せない.では,具体的に論理式で定義される集合は, どの程度複雑な集合までなら可測であり得るか? (C) 完全代表系は取れないが,測度論の初歩くらいなら展開出来る程度に選択公理を弱めたらどうか? それぞれ,順に見ていきましょう. 実は,射影集合よりも広く,順序数の可算列を使って定義出来る集合も V [G] では全て Lebesgue 可測とな ります.つまり,「定義可能な集合」のほとんどを可測とするには,せいぜい到達不能基数があれば十分とい う訳です(参照:不完全性定理).歴史的には,Solovay はこの到達不能基数の仮定を落とせると考えていたの ですが,10 年後に Shelah が上記の定理によって落とせない事を示した,というのが順番になります. (C)「選択公理を弱めたら任意の集合を Lebesgue 可測にできるか?」という問 題も,「到達不能基数の無矛盾性を認めるなら出来る」という答えが得られたことになります. つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1551963737/419
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