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現代数学の系譜 工学物理雑談 古典ガロア理論も読む62 (1002レス)
現代数学の系譜 工学物理雑談 古典ガロア理論も読む62 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1551963737/
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134: 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [sage] 2019/03/09(土) 22:06:22.85 ID:9Sqq12HI >>118 渕野昌先生(^^ 「基礎の公理を放棄することは, 超限帰納法を駆使する集合論的数学の大きな部分について, そのような数学での結果を,ユニヴァースの well-founded part に制限したときに成り立つ結果と読みかえる,ということを余儀無くされることを意味します. 私には,基礎の公理を放棄することで, この「超限帰納法を駆使する集合論的数学の大きな部分を放棄する」という 大きな犠牲の代償となるような数学的な何かが得られるようには思えないのです.」 http://fuchino.ddo.jp/foundation.html 基礎の公理の成り立たない集合論 (non well-founded set theory) について 渕野 昌(Sakae Fuchino) Last modified: Sat Aug 13 14 (この文章はまだ書きかけです) (抜粋) 基礎の公理 (Axiom of Foundation) は, (1) すべての集合 x に対し,x の要素で, ∈ (の transitive closure として得られる(前)順序)に関して極小なものが存在する ことを主張するものです.この公理により,∈-列のループ(特に長さが 1 のループ x ∈ x)や, ∈ に関する無限下降列 x1 ∋ x2 ∋ x3 ∋ ・・・ が存在しないことなどが帰結されます. 基礎の公理は, 他の集合論の公理よりも遅れてスタンダードな公理系に組みいれられるようになったものです. そのせいか,数理論理学を専門としない人で,この公理には何か問題がある, と思っている方も少なくないようです. 他の集合論の公理が, 様々な集合の存在や, すでに存在している集合から新しい集合を構成するときの個々の構成原理の成立を主張しているのに対し, 基礎の公理は, 集合論の対象である一つ一つの集合に対し,(1) の性質を持たなければいけない, という制限を果している,と解釈することのできる公理になっています. 普通には基礎の公理を仮定した集合論が数学のベース理論として採用されているのは, 『数学を展開するための基礎としての集合論』, という立場からは, 基礎の公理を満たすような集合の全体の領域を出る必要がないことが, 判っている,と断言できるからです. たとえば,自然数の全体 N や実数の全体 R, 実数から実数への関数の全体 …,などはすべて, このような基礎の公理を満たす領域の中で自然に構成できます (註 1). つづく http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1551963737/134
135: 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [sage] 2019/03/09(土) 22:07:21.12 ID:9Sqq12HI >>134 つづき 基礎の公理を放棄することは, 超限帰納法を駆使する集合論的数学の大きな部分について, そのような数学での結果を,ユニヴァースの well-founded part に制限したときに成り立つ結果と読みかえる,ということを余儀無くされることを意味します. 私には,基礎の公理を放棄することで, この「超限帰納法を駆使する集合論的数学の大きな部分を放棄する」という 大きな犠牲の代償となるような数学的な何かが得られるようには思えないのです. 参考文献 [1]J. Barwise and L. Moss, Vicious Circles. CSLI Lecture Notes 60, CSLI Publications, Stanford (1996). [2]渕野 昌,構成的集合と公理的集合論入門,in: 田中一之(編) "ゲーデルと20世紀の論理学(ロジック) 第4巻,集合論とプラトニズム",東京大学出版会 (2007). [3]渕野 昌,連続体仮説とゲーデルの集合論的宇宙(ユニヴァース), 現代思想,2007年2月臨時増刊号 (2007), 94-116. この記事に多少手を入れたものは ここ からダウンロードできます. [4]M. Rathjen, Fragments of Kripke-Platek set theory with infinity, in: Proof Theory (Leeds, 1990), Cambridge Univ. Press, (1992), 251-273. [5]S. Shelah, on the Arrow property, Advances in Applied Math 34 (2005), 217--251. 少し専門的になりますが, 基礎の公理は選択公理の不在のもとでは,ある種の弱い選択公理の substitute として使えるので,これも仮定しないときに何が言えるのかを調べることは, 基礎の公理が集合論でになっている役割を明らかにする, という観点からも興味のある問題となります. たとえば,選択公理と Axiom of Multiple Choice は基礎の公理を仮定したときには同値になることが知られていますが (この証明に関しては Andres Caicedo の書いたよくまとまった学生向けのテキストがネットからダウンロードできます), 基礎の公理を落とすと同値でないことが consistent になることが, Fraenkel-Mostowski のモデルを用いて証明できます. これを示すモデルが atoms を導入せずに作れるのか,というのは多分未解決の問題ではないかと思います. 以上 http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1551963737/135
137: 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [sage] 2019/03/09(土) 23:07:38.96 ID:9Sqq12HI >>134 補足 「数理論理学II 坪井明人 University of Tsukuba」 補題 23 証明 「基礎の公理を用いると, Aの中で ∈ に関して極小な元が存在する(x の元なのでそれは順序数)」 ”この形で表現した補題 23 を超限帰納法とよぶ. ” ここで、「 ∈ に関して極小な元が存在する」にご注目(^^ http://www.math.tsukuba.ac.jp/~tsuboi/ 坪井明人ロジックの部屋 University of Tsukuba http://www.math.tsukuba.ac.jp/~tsuboi/ 学部(数学類)関連 http://www.math.tsukuba.ac.jp/~tsuboi/und/14logic3.pdf 数理論理学II 坪井明人 University of Tsukuba (抜粋) P13 1.3 順序数 順序数を表すために,α, β, . . . を用意する.この記法のもとに,例えば ∃αφ(α) は,論理式 ∃x(Ord(x) ∧ φ(x)) の省略形と考える. 補題 23. ∃αφ(α) → ∃β(φ(β) ∧ ∀y ∈ β¬φ(y)) が成立する. 証明. φ(α) を仮定する.集合 A = {x ∈ α : φ(x)} に基礎の公理を用いると, Aの中で ∈ に関して極小な元が存在する(x の元なのでそれは順序数). β ∈ αをそのような極小元とする. β が求める元であることを示す.極小性から任意 の y ∈ β は A に属さない. y ∈ α は推移性から成立しているので,このことは ¬φ(y) を意味する. 上の補題は,与えられた(妥当な)条件に対して,それを満たす極小の順序 数が存在することを意味している.φ(α) は α 以外の自由変数を持っていてもよい. 注意 24. 補題 23 の対偶を考えると,(ψ = ¬φ として)次の論理式が成り立つ のが分かる: ∀β(∀y ∈ βψ(y) → ψ(β))→ ∀αψ(α). この形で表現した補題 23 を超限帰納法とよぶ. (引用終り) http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1551963737/137
144: 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [sage] 2019/03/10(日) 09:50:18.99 ID:rk/29Zdt >>141 >フチノも書いてるじゃん >ユニヴァースの well-founded part については超限帰納法が成立するって >基礎の公理がないからっていって、 >ユニヴァースの well-founded part が全然無くなる >わけじゃないんだよ そうだね しかし、渕野先生はこうも書いている (>>134より) 普通には基礎の公理を仮定した集合論が数学のベース理論として採用されているのは, 『数学を展開するための基礎としての集合論』, という立場からは, 基礎の公理を満たすような集合の全体の領域を出る必要がないことが, 判っている,と断言できるからです. たとえば,自然数の全体 N や実数の全体 R, 実数から実数への関数の全体 …,などはすべて, このような基礎の公理を満たす領域の中で自然に構成できます (註 1). (引用終り) だから、ユニヴァースの well-founded partに、 数学のベース理論として採用されている 『数学を展開するための基礎としての集合論』が全部入っている で、基礎の公理を仮定しないと、余計な(不必要な)集合(=正則でない集合=基礎の公理の成り立たない集合) が出来て つまらん、些末な議論が増えるだけ 基礎の公理を仮定したら集合論が、すっきりするよと そういうことを、>>134では引用しなかった下記で、渕野先生は主張していると思った(^^ http://fuchino.ddo.jp/foundation.html 基礎の公理の成り立たない集合論 (non well-founded set theory) について 渕野 昌(Sakae Fuchino) Last modified: Sat Aug 13 14 (抜粋)追加 上で述べたことは, 基礎の公理と抵触する公理を含む集合論の研究を否定するものではありません (註 2). しかし,特に完全性定理の帰結から,そのような理論が 『数学を展開するための基礎としての集合論』のステータスを通常の集合論から剥奪しうるような オルタナティーヴになりえることはない, ということは確言できるだろうと思います. (引用終り) http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/math/1551963737/144
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