[過去ログ] 【天空に描け】能力者スレ【光のアーク】 (1002レス)
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1 (中部地方) 2014/06/14(土) 01:15:42.95 ID:HWzDyONto(1/5)
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。
無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。
【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【したらば板:internet_14029】
【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・「コテハン」は禁止の方向で!
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)
【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。
勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について
確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
なので、全面的な禁止はしていません。
ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。
前スレ【vip2chスレ:part4vip】
wiki 【http://www53.atwiki.jp/nrks/】
2 [sage saga] 2014/06/14(土) 01:34:47.70 ID:eGGuhRMe0(1/2)
>>1乙ですの!
3 (関西地方) 2014/06/14(土) 01:35:39.73 ID:BIqpxMrLo(1/5)
>>1乙です
4 (SSL) [sage saga] 2014/06/14(土) 02:08:09.49 ID:ixeGDhYl0(1/3)
乙一!
5 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 02:08:40.52 ID:anVYGqNV0(1/2)
>>1乙です
6 [sage saga] 2014/06/14(土) 02:11:05.74 ID:InFrU4/7o(1/2)
>>1乙なのですよ!
7 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 02:14:11.87 ID:o7WGvcV+0(1/4)
/>>1乙ッ…!
>>前993
「種族は人間なはずなんだけどなぁ――――ま、外れきってるのは否定しないけどさ。
だから、こうして好きにやって暮らしてる訳だ。悪人だよね、私も。
息を吸う様に磔を創って、死人が生きてる数より多くなる様に壊すための “力” だけばら撒いて――――
そんな私が、今の私よりきれいに見えるのかな?
綺麗なモノなんてないし見えないよ。……ま、悪くないものなら偶にはあるけどさ」
【今宵の享楽的な言葉の数々、“外れきってる”事が悪くないと言いたげな声。殺人の意味を理解して重ねる者らしい其れだ】
【―――“人間のよう”。複雑な感情と、激情と逆しまと。生じれば】
【―――トクン、と心音をひとつ意識して。けれど何ら表情に変化を生じることなく、けものはケモノとして紡ぐ言葉を続ける】
【くつっ、と最後に鳴る音は殺人に慣れたものが“同種”に微笑いかける様。或る意味、殺人的なものがあっただろうか】
【けれど同性ならまぁ気にしない。だから無意識の仕業だと自分の内側で片付ける。】
【そして “綺麗なもの” とやらの否定に走るのだが――――やはり “偽りきれない” 何かが好きなケモノの言葉は漏れて】
【けれどそれが善なのか、悪なのか。何を評したかを悟られぬ様にと、視線を外すのだろう】
【その後、何か――或いは少しの時の経過があれば、ダリアはまた正面を向いただろうか。口にするのは“教会”の話題。】
「……ユニコーン? ペガサス? それに……死神? 教会が。……、……。
死神を殺すのはまぁ楽しそうだけど、名乗るだけの人間じゃ相手には不足か――――
まぁ、期待だけしておこうか。殺すとき、どんな風に泣いてくれるのか、ね。
(……、髪が……――――――)
……“機関”が私の何なのか?
さあ、何なのかな――――
帰るための場所じゃなく、効率よく殺すための道具でもなく。
……“振り回して楽しめる愉快な箱庭”? 内側で、足を踏み入れたうちの一人としてさ。
力の揮い場所ではあるのかな―――――……一人だろうと “機関” だろうと、結局生き方としちゃ変わらないけどね。 」
【―――機関全体を振り回すのか、仲間内の話なのか。どちらとも取れる言いぐさで、或る意味彼女らしい放言を口にした】
【只一つ確実に言えるとすれば、彼女が其れを自らへの鎖と認識していないことだろうか。規律も、立場も“恵まれた”能力と異能であるがままに振舞えるだけの感覚があった、か】
【その様に自負して来た―――彼女だが、触れられることにはやはり慣れない。……段々と思考が溜まって踊る。】
(この……っ、本当に人を玩具にするのが好きなやつだな。
そう言えば見た目通りの歳じゃないんだっけ? ……手玉に取るのは、私の側だろう…ッ!)
「……で、何時まで触ってるのさ? 逆十字――――気に入ったなら似たものは送るけど何がしたいんだ、アリス」
【表層思考――――気に入らない、誰に触れてるつもりだこいつ。……いや、此処で消し飛ばさない私が可笑しいのか? 】
【徐々に困惑が交じって行く刺々しい思考と裏腹に撥ね退けることがないのは、“これまで” からすればダリアの自由意思ではある様で】
【そこに、アリスは何かを見出してもいいのだろう。退屈凌ぎの砂粒のひとつ。見出さなくてもそれは戯れで、どう、話を運んでも構わないのだろうけど―――】
8 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 02:16:14.04 ID:o7WGvcV+0(2/4)
/>>7
「殺すとき、どんな風に泣いてくれるのか、ね。」
↓
「殺すとき、どんな風に泣いてくれるのか。どれだけ楽しめる相手なのか――――ね。」
…でしたッ…o...rz
9 [sage saga] 2014/06/14(土) 02:27:20.82 ID:InFrU4/7o(2/2)
前>>1000
【――槍が突き刺さり、爆発が起こり、やがてぐしゃりと地に伏す】
【ジョオウハッチョウの最後を見届けたフレデリックは】
【周囲のハッチョウ達を粗方片付けると、どかりと座り込んで】
チぃ……!高々虫と侮っていたが……数が多いと、面倒な…!
騎士団が解散する前であれば集中砲火で一気に焼き払う様な相手だったとは、な…。
まあ、良い……いや、あまり良くはないか。
この姿のままで戻ればマリアに何を言われるか分かったものではない……ふむ。
……おい貴様ら、解毒剤と消毒液、それに包帯も―――。
【駆けつけた一郎に、そんな調子で応急処置の道具を幾らか要求し】
【槍は転移魔術の応用で回収して、更に転用で先に何処かへと送ってしまえば】
【これ以上、ちまちまと小虫を潰すほどの余裕も暇も無いというように車に乗り込むだろう】
【全身ぐっしょりと血で汚れていて、刺や虫の死骸なんかもそこかしこに付いていたが】
【泣き言どころかうめき声一つ挙げない彼は、また別の心配に駆られている様子だった】
【―――ともあれ、戦いは終わりだ。フレデリックのそれもまた、終わり】
【街へ戻れば報酬を受け取って、自信もまた魔術に寄る転移で姿を消すのだった。】
/主催様、他のお二人もお疲れ様でしたっ!ありがとうございましたー!
10 (中部地方) [sage saga] 2014/06/14(土) 02:37:13.08 ID:HWzDyONto(2/5)
前>>1000
【三人の攻撃を受け、ジョオウハッチョウが墜落していく。遠くで響く「ぐしゃり」という派手な音……あれなら、わざわざ近づいて生死を確かめるまでもないだろう】
【生き残りのセイハッチュウたちが必死でそちらへ向かっていく姿は、少しばかり憐れでもあったが。彼らが人に害を成した以上、誰かがやらねばならなかったことだ】
【そして、それをやるのが自警団という仕事。幼くとも砂の国自警団の端くれとして……レラもカティアと同じく、そのことは弁えていた】
――――ふ、ぅ………。
虫は好きだが、さすがに今日はこたえたな………。
【空を見上げたまま深呼吸して、レラは上体を起こした。服のあちこちには血が滲んでいるものの、派手な出血はないようだ】
【重傷こそないが無数の軽傷を負った、そんな姿。……メスに刺された足はまだ痛むが、早めに処置してやればきっと大丈夫だろう】
【……レラはその後ちょっと嬉しそうに立ち上がり、死骸から素材の採取を行うだろうか。とりあえず持てる分だけ回収し終わると、三郎の用意した車に乗り込むはずだ】
うむ、ぶじににんむたっせい≠ニいうわけだな! 二人ともっ、実によいはたらきだったぞ!
カティアはみずのくにじけいだん≠フしょぞくであったな。ならばまたきょうとう≠キることもあろう、よろしくたのむぞっ。
……それと、フレデリック。おまえのことは正直、よくわからないが……。
きしだんちょう≠ニいうことは、マリアのともだち≠ネのだろう? ……だったら、なかよくしてやってもよいぞ!
【車に乗り込んだレラは、痛々しい体ながらも得意げに表情を変えて一郎たちを見やる。その視線はその後、カティアとフレデリックに向くだろうか】
【カティアへは、同じ自警団員としての言葉を。そしてフレデリックには――――友達の友達だから仲良くしてやろう、などと妙に偉そうな口ぶりを】
【それぞれに送った後、レラは早速傷の処置に取り掛かる。忍者≠ニして一通り術を学んでいるのか、処置は的確かつ素早い】
【もし自分で出来なかったりやり辛いということがあれば、レラに頼んでみるのも手だ。出来る限り痛みの少ない方法で応急処置を行ってくれるはずで】
【――――車が医療班の元へ辿り着いて本格的な処置が行われれば、レラは二人に「じゃあなっ!」と元気よく告げて去っていくだろう】
【『虫が好き』との言の通り、提示された報酬だけでなくハッチョウたちの素材もたんまり持ち帰ってご機嫌そうにしていたというのは、また後日の話である】
/参加者様&主催者様、お疲れ様でしたー!
11 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 02:38:43.02 ID:anVYGqNV0(2/2)
>>前1000
【カティアは自然落下していくジョオウハッチョウから飛び降り、四つ足をついて吸い付くように着地する】
【いわゆる猫ひねり≠ニいう動作である。柔軟性を強化された関節と筋肉が、この獣じみた挙動を行わしめるのだ】
【地に足着いて、人心地ついて――という所で、急激に集中力の減退を感じた】
【血潮に満ちたアドレナリンが失せ、よりハッキリと痛みを感じるようになって初めて、自分の身体が血まみれであることに気付く】
【生体兵器といえども、多量の出血と疲労の蓄積には勝てない】
【カティアは糸の切れた人形のようにぐんにゃりと倒れそうになったが、せめて車に乗るまではと必死に足場を確かめていた】
……じゃ、支部行く。医療班あるなら……お風呂も、あるよね?
なにせフェロモンの臭いが、死活問題って感じだから……女の子には……。
【一郎の言葉に途切れ途切れに答え、応急処置班を呼びつけ、特に左腕を念入りに拭かせる】
【それから車に乗り込むと、すぐに微睡みが襲ってきた。本当であれば、フレデリックなる大男や、同い年ぐらいに見えるレラと話したいこともあるのだが――】
ふにゃ……みんな、おつかれ……。
【そんな言葉を残して、お気に入りの帽子を抱きかかえながらカティアは眠りへと落ちてしまうのだった】
/主催者様、フレデリックさん、レラさん、ありがとうございました!
12 (SSL) [sage saga] 2014/06/14(土) 02:56:37.90 ID:ixeGDhYl0(2/3)
>>7
「言ったでしょう?感じ方なんて人それぞれなのよ
まぁ、私は人では無く“悪魔”だけれど。悪魔にだって感情も思考もあるのよ
その中で、私は血という色が好きなだけ。赤色でも赤黒い色でも無い。血の色
人は貴女に言うことでしょう。もう罪を重ねるな、今ならばまだ白に戻る事が出来る、と
――――だけど、私はこう言うの。まだ罪が足りない。まだ染まり切れていないから人を殺めなきゃ……って」
【誘い、誘い。たった一度の命、他人のために使わず己の為に使わなければ後悔するだけだ】
【守る為では無い、奪うために。満たす為では無い、満たされるために。――――持って居る力を使う事に何の罪があるだろうか】
【持つべくして与えられた因果。ならば其れをどの様に使おうがその者の勝手だ。誰かに強要されて使う物ではない】
【私はただ其れを特等席で見ているだけ。何時の時代も変わらない人間同士の殺し合いを、少しの干渉をしながら眺めているだけ】
【――――人は何をしてくれるか分からないから、自分で直接手を下すよりも楽しく見れる】
【負の連鎖を作り出す本人。古来から忌み嫌われるも、未だ存在する悪意。…………人間は誰でも心の隅に負の感情を抱いているからこそ、何時の世も悪魔は嗤っている】
「そうねぇ……ペガサスと死神だけは気を付けた方が良いかもしれないわよ?他にも色々居るでしょうけど、私が面識あるのは二人
後はキサラギやアンジェルなんかもそうだけれど――――嗚呼、後者は何か色々あったみたいだから今は分からないけれど
――――へえ、そんな風に思って居るのね。カノッサに属する人達はみんな不思議な考え方を持って居て好きよ
でも、私は其処に居ようとは思わないけれど。何時の時も特等席でお話を見れなければ詰まらないものね
私は私として存在して、種を播くの。機関の私としてでも無く、悪魔の私としてでも無く」
【果たして何時の時から生きているのか分からないが、悪魔を縛る物はないのだろう】
【正義の存在も、神の存在もきっとただの物として認識しているだけだ。自分の話にスパイスを加えてくれるならば何でも良い、と】
【――――私は私以外の何者でも無いのだ。アリスの名は多く有っても“アリス”は私一人だけ】
【ずっとそうして生きてきたから、“機関の”アリスでも“悪魔の”アリスでも無く、ただの“アリス”】
「あら、ダリアは汚らわしい悪魔に触れられるのが嫌かしら?
それとも、もっと素敵な人じゃなきゃ触れられて欲しく無かったかしら?
――――フフ。何がしたい訳でも無いわよ。ただの指遊び以外の何でも無いのだから気にしなくてもいいのよ?
この逆十字は素敵だけれど、其れと対になる私が付けていたら様にならないわ
だから、こうして手に届く場所にある内に触れていただけ。十字架に触っていただけで身体が溶けていったのなら面白いのだけれど」
【再び外見が変われば、また歳も変わった――――かと思えば、少年へと代わり、青年へと変わる】
【一巡すればやがては少女としてのアリスに戻り、其処で漸く逆十字から手を離すのだろう】
【全ては退屈凌ぎ。元々狂った存在なのだから、これ以上狂うことも無いのだけれど】
「――――さて。そろそろ丁度良い時間ね
多分帽子屋さんも戻って来る頃だからお別れも近いし…………誰かさんが引き起こした火事を突き止めようとする正義の味方さん達もそろそろ来ちゃうかもしれないわね
フフ。もし貴女が捕まっても契約して代償をくれるならば、出る手助けをしてあげても良いけれど」
【そう、火災が発生してから時間も大分経ったか。ならばそろそろ自警団の者達が駆けつけても可笑しくない時間だ】
【――――故に、そろそろこの場から撤退するのが好ましいだろうか。もし捕まってもとIFの話を持ち出すが、嫌味の含んだ其れでは無いのだから脱出の手助けをする程度の好意はあるのだろう】
【尤も、悪魔との契約が何を意味するのか直ぐにでも理解出来そうなもの。対等な取引とは言えないのは確か】
【兎にも角にも、もう別れが近い事は分かっているからそんな言葉も投げかけて】
13 2014/06/14(土) 04:46:48.23 ID:P2GFmJlp0(1)
な
14 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 04:47:37.68 ID:o7WGvcV+0(3/4)
>>12
(、―――――――)
【誘い。今は、言葉を返すことがない。闇のなか、より深き闇へと手招くと語る様にダリアには聞こえた。】
【けれど、それは、聞く者によっては峻厳な光を一瞬瞳に走らすもので――――、】
【静寂、そして忠告への返答が起こる。思案気な声。】
「……へぇ……まぁ気には留めとくよ。今以上に警戒してても構わないのかな?
結局最後は殺すわけだし、油断しないやつらなら最高に激しくやり合えることを期待しちゃうよね。
それにしても皆……、ねぇ――――――
……別に、アンタだから嫌な訳じゃない。や、何か仕掛けられそうなのは確かに困るけど―――――。 」
【踏み荒らし、叩き潰す事に慣れた将兵。そんな印象を与えるであろう、自らへの過信とすら思える―――けれど、難敵に対するものであろう言葉を吐けば、】
【“皆”≒“機関”の特異な者たちを思う。……その、一つではあるのか。そしてからかいの様な言葉に対し、若干ペースを乱されつつもダリアは答えて】
【さて別れの時も近いのだしと――――認識し、計画し、燻っていた数秒/数十秒前の激情(けいかく)を実行する、】
【ごうごうと死の音を立てる黒い都市構造に、手首を捻る程度の所作で巨大な黝き槍錐を緋の魔物が放つ。――――轟音、】
【着弾の爆轟。壁面全域に巨大な逆五芒を描いていた筐型は、既に内部が巣食われて居たのかあっけなく中ほどから折れて宙を舞い】
【停滞は一瞬/反転は急峻――――無論地上に落下する両断されし方形は、安全を確保されていた筈の観衆を押し潰して、】
【―――――――――――――――――――――――――――――。】
「……誰であれ王サマであれ聖人であれ、敵になればこんな風に真っ黒に燃やすだけ。
今まで望むだけ重ねて来た――――
これからもその軌道は変わらない。初めから、私の生き方はこの色合いだっただけだ」
【黒―――僅かに血の色が光すら呑み込むそのいろの深みに交じる様な。】
【恐怖を以て地上を染める焔と闇は、その歓喜を象る様だった。笑う声すらも錯覚させて、燃え盛る朱が月に手を延ばす。】
【後戻りなど疾うに捨てている。過剰なまでの攻撃の発現。何を意味するのかは――――読み取る者の指先次第で】
【やがて訪れた感情の色の見出せない静寂から、やがて榛色の瞳が覗くのだろう】
【好きに生きて。好きに死ぬ。死ぬのは一瞬。生も一瞬。……ならば、この一瞬の感情は私のものだ。】
【くつっ、と乾くなにかを听う音――――魔族の少女と向かい合う緋色の影は、ただ、知己に対する様に微笑みを浮かべて】
「じゃねアリス。気が乗ったらまた会おう?
そのとき何人死んでるのかは、賭けにしてみるのも面白そうだけど――――
“せいぜい気をつけなよ、悪魔さん”。馬鹿にしてるとヒトは牙を剥く、足許掬われても知らないよ」
【ひどく悪魔らしい悪魔――――アリスらしいアリスと呼ぶべきか。そんな彼女に冗談交じりの/同じ言葉を返す様な今宵の別れを告げて、】
【望むまま、影は物陰へと歩き出すのだろう】
【また一つ狂った自分を自覚しながら、そう悪いものとは思わない。……寧ろ、どこか愉快なものさえも感じる。】
【堕ちてゆく悦びとは、こんなものを言うのだっただろうか? ……本当は、何が愉快なのか分かってもいたのだが。】
【茶葉の袋を抱えて帰投する――――懐から取り出した薄黄色の結晶体が破裂して。光が僅かな一瞬だけ灰色を照らせば、転移は既に完了していたことだろう】
【いつも通りの足取り。……殺人者には見えない程に。自室へと返り眠りにつくダリアは、束の間の、混じり気のない微笑みを浮かべていたという】
/この辺りでしょうか……!
/二日間、遅くまでお疲れ様でしたっ。ありがとうございましたー!!
15 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 04:59:07.51 ID:o7WGvcV+0(4/4)
/
【また一つ狂った自分を自覚しながら、そう悪いものとは思わない。……寧ろ、どこか愉快なものさえも感じる。】
↓
【新たな知己を得てまた一つ狂った自分を自覚しながら、そう悪いものとは思わない。……寧ろ、どこか愉快なものさえも感じる。】
…です、はい。このレスはスルーして頂いても構わないのですが…ッ、では、改めてありがとうございましたっ!
16 (SSL) 2014/06/14(土) 10:10:40.14 ID:BQC5QVoC0(1/7)
【そこは日の光すら拒絶される闇】
【人々の雑踏が立ち入れない、忌むべき場所】
【路地裏と呼ばれる場所には、一人の少年が座り込んでいた】
ハァ……ハァ……
【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【薄手の灰色のコートを身に纏う】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】
【息が荒く、赤く染まった頬はまるで激しい運動後のようだ】
【壁にもたれてその息を整えようと休息中に見える】
【だが、顔を隠すように目深くかぶったフードを見る限りそれだけではないようだ】
まだ……追ってるのかな……
【そう、目線をあげながら呟いて表通りの様子を伺っている】
【だが、すぐに顔を潜めた】
【その目線の先には黒服で身を固めたサングラス姿の男たちが数人】
「どこに逃げやがった……生死は問わない! 絶対に見つけ出せ!」
「「了解です!」」
【様子から察するに決して公にできるような人たちではないのだろう】
【チンピラの類か、はたまた何らかの裏組織か】
【そんな彼らの存在に恐怖の色を隠せない少年を、あなたはどう捉えるか】
どうしよう………このままじゃ……
【彼の様子は表通りからも見えないことはない】
【この怪しい男たちに追われている――――、それぐらいは察しがつくだろう】
【そんな少年に、貴方はどうするのだろうか――――?】
17 (SSL) [sage saga] 2014/06/14(土) 12:15:56.33 ID:ixeGDhYl0(3/3)
>>14>>15
「そうね――――私は気紛れだから、次に会うのが何年も先か何百年も先か……もしかしたら次の日に、何て事でも可笑しくないもの
それじゃあね、悪魔にも似た人間さん。人間は英雄物語を好むのだから、その糧にされてしまわない様に気を付けてね?」
【何時だってそうだ。忘れた頃にやってくるのが悪魔であって、忘れた頃に囁きかけるのが少女であって】
【――――……逃れる術なんて幾らでもある。然れど、逃れたくないと思わせる程に堕としていくのが楽しいのだ】
【小さく手を振りながら送れば、その存在が消える寸前に送る言葉は忠告だ】
【人とは英雄の話を好むもので、自らもその英雄になりたいと思うもの。――――だから、正義なんて存在も世に蔓延る】
【何時だって絶対正義と悪が存在するのだから、其処は唯一飽きない所でもあるのだけれど】
「ダリア、ね。面白い子だったわ。貴方はどう思うかしら…………帽子屋さん?」
【彼女が居なくなってからも余韻を引き摺る様にその表情には笑みがあって】
【――――背後に帽子屋さんなる彼が現れた事に気付いたのだろう。さも当然の如く問い掛ければ…………返って来るのはその考えに賛同する声】
【「それなら良かった」と言葉を紡げば古びた本の表面を撫でて】
【それから数秒もしない内に、ティーセットだとかの物は全て虚空へと消えるのだろう。まるで、先程までの出来事が夢であったと思わせる様に】
【やがてはアリスと呼ばれる現象もその場から消える事となる。また、何処かの無垢な者達に悪意の種でも植え付けるのかそれは分からないけれど】
【この世界で碌でもない事だけは確かな事であろうか】
/こちらこそ、有り難う御座いましたですよ!お疲れ様でしたっ!
18 2014/06/14(土) 13:19:20.46 ID:xs5Cju0+o(1/9)
>>16
あ、あの……大丈夫……ですか?
【少年に向けて、どこからかこそこそとした声が掛けられた】
【もしその声の方向に視線を向けたならば】
【表通りの方から、覗き込むようにして少年を見ている人物が目に留まるだろうか】
【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】
え、えと……その……何やら、お困りの様子で……
ご迷惑でなければ、そちらに行っても……よろしい、でしょうか……
【はっきりとしない、たどたどしい口調で少々意図が掴みづらいが】
【恐らくは、先程の物騒な黒服が通った事などから少年が追われる身であることを知って】
【何らかの手助けをしようと考えているのだろう】
【もし拒絶されなかった場合は】
【黒服達に見つからないよう左右を確認したあと、少年の元へとトコトコ歩み寄ってくるだろう】
【この少年は一見無害で脆弱そうな見た目ではあるが】
【先の連中の関係者でないという保証はない】
【信用するかどうかは、少年の意志次第であった】
19 (SSL) 2014/06/14(土) 13:39:08.40 ID:BQC5QVoC0(2/7)
>>18
っ……! だ、誰……ですか?
【ひどく疲弊しているのだろう】
【たとえ掛けられた声が自分の追っ手とはまるで違う雰囲気を持つ少年が相手でも】
【得物か何かを仕込んでいるであろう着ているコートの内側に手を突っ込みながら振り返った】
こ、こないで下さい…! ぼ、僕に……近づかないで…!
【追っ手のことを考慮して声のボリュームこそはかなり絞られているが、その顔、口調はその真逆だった】
【極度の恐怖と緊張が全身の筋肉と思考をガチガチに固めており、手足は震えている】
【少し考えたらわかるだろうに、彼には目の前の少年が自分に対する恐怖の塊だと】
【そう認識してしまっているらしい】
こない……で、くだ……さい……!
【だが、この怯えた少年にとって今必要なものは何か】
【孤独から得られるひと時の安全か】
【それとも、誰かといられることで得ることができる安心か】
【涙ぐみ、視界を自分の弱さで曇らせている少年にしてあげるべきことは】
「もう少し範囲を広げよう」
「人気の少ない路地裏、廃屋を重点的にだ」
【真っ黒の無駄に高級車に乗り込んでいき、黒服の姿はとりあえず消える】
【それに気づいたのであれば真の恐怖がいない今、君にだって何かできることはあるはずだ】
20 2014/06/14(土) 13:54:30.47 ID:xs5Cju0+o(2/9)
>>19
…………
(すごく、怯えちゃってる……)
(あ、あんな怖い人に追いかけられてちゃ当然だけど……どうしよ、かな……?)
【少年の声を聞いて、進もうとした動作を止めてその場に留まった】
【単純に声を無視して近づこうとしても逃げられるだけだろう】
【未だ人生経験が深いとはいえない金髪の少年は】
【この状況をどうしようかと考えたが画期的な方法もすぐには思いつかなかった】
あ、あの……僕は、その……
あなたに怖いこととか、痛いこととか……しようと思ってるわけ、じゃなくて
こ、怖い人に追いかけられてる……みたいでしたから
ちょっとだけでも……あなたの力に、なれないかなって思って……うぅん……
【普段から気弱で控えめに生きてきたこの少年では】
【やはり、大人のように上手く説得するような言葉は湧いてこない】
【己の口下手さを自戒し、顔を少し俯かせながら】
……ダメ、ですか?
あの、ずっと匿ってあげる……とかは難しいですけれど……
ゆっくり休んで……ご飯、食べる場所くらいなら用意してあげられるかな……って
【相変わらずの拙く、自信なさげな声色で】
【しかし悪意のない純朴な感情を込めながら少年にそう語りかけた】
【これで許されるならば、金髪の少年は彼に向かってゆっくりと歩み寄ろうとする】
【そうならなかったならば、もう少しこの距離で遣り取りをすることになるだろうか】
21 (SSL) 2014/06/14(土) 14:17:10.61 ID:BQC5QVoC0(3/7)
>>20
そ、それは………
【困惑、その表情から伺える】
【声の続きが出なかった】
【激しくなりつつあった呼吸か少しずつ収まって、目の前の少年を認識はできた】
【熱くなりすぎた思考が冷却気味になったからこそだ】
【きっと目の前の少年は自分の敵ではない、だが良くて好意的中立者といったところだろうか】
【だから、巻き込むことは避けたかった】
【無関係な少年を、自分の不始末に他人を巻き込んでしまうのは】
危ない……から、あの人たちは……とても……
【思わず少年はその顔を伏せる】
【生死は問わない、と黒服は言っていた】
【彼らは僕を捕まえるのに手段は問わないのだ】
【邪魔するものの、命でも】
大丈夫なんですか……僕なんかを……
【不安、その感情が湧き上がる】
【伏せた顔が見えなくても、その感情は伝わるだろう】
いいん……ですか………?
【か細く弱い少年の声】
【辛く、苦しい現実に押しつぶされるその声を――――聞くことはできたのだろうか?】
22 2014/06/14(土) 14:35:54.38 ID:xs5Cju0+o(3/9)
>>21
大丈夫……ですよ。その、貴方がよければですけど……
僕の"お店"なら、目立たないところにありますから……
きっと、怖い人にも見つからないし……落ち着くまでなら……いい、ですよ?
【彼の声――それが耳に届けば】
【金髪の少年は、恐怖を与えないようにゆっくりとした足取りで近づく】
【初対面で、しかもどう見ても訳あり】
【普通ならば関わりあいになりたがる人間はそうそういないだろうが】
【どうやらこの金髪の少年はその"普通"に当て嵌らないらしい】
【そうして、彼との距離が近くになれば】
【少しだけ緊張したような面持ちで、すぅ……はぁ、と深呼吸を一つした後】
【そっと、少年に向けて自身の右手を差し出すだろう】
ですから……その、今だけでも僕を信じてくれたら……嬉しいです
こう見えても僕……ちょっと強いですから
貴方のことも……守ってあげられるかも、ですし…………うぅ
【後半の言葉は少年を安心させるために吐いたのだろうが】
【自分で言っていて恥ずかしくなったのか、ちょっとだけ顔を逸らす】
【きっと手を取れば、金髪の少年はそっと握り返すだろう】
【そうなればほんの短い、ささやかな"契約"は交わされる――】
23 (SSL) 2014/06/14(土) 15:13:13.35 ID:BQC5QVoC0(4/7)
>>22
【その差し出された右手を見つめる】
【その意味を、少年の意志を、理解する】
あ、……ありが……
【自分も、その手を差し出してみる】
【傷だらけに、汚れてしまったやわらかい手だ】
【そんな手を、彼は握ってくれた事実に、少年は目頭が熱くなる】
ありが……とう………っ!
【右手同士で握られた手の上にさらに左手を重ねて強く握り返した】
【溢れた涙を拭くこともままならないのは、深い感謝ゆえなのか】
ごめんね……迷惑を掛けちゃう…な……
【そして手を握ったまま少年は涙を拭きながら立ち上がった】
【何か行動がなければ、少年についていくだろう】
【ちなみに手をつないだまま】
【そのとき、視界の端に何か見えるだろう】
【袖口から覗く、服に染みこんだ赤い染みらしきもの】
【怪我をしているのだろうか、もともと色白だからか傷口の色は目立つみたいだ】
【見れば全身いたるところに怪我が見受けられる】
24 2014/06/14(土) 15:27:14.38 ID:xs5Cju0+o(4/9)
>>23
どういたしまして……です……
……えと、ね……僕にもその……
どうしようもなくて、誰も頼ることが出来なくて……
そんな時に手を差し伸べてくれた人がいたんです……
だから――
【「だから、ちょっと貴方を放っておけなかったんです」と】
【金髪の少年は、彼の手をきゅっと握ったまま】
【野に咲く蒲公英のように、ふわりとした笑みを浮かべて受け入れた】
(まだ、怖いのかな……だったら……)
【そして片手を繋いだまま、二人で表通りの方へと歩き出す】
【少年が離さないのは、今まで極度の緊張と恐怖に囚われていたからだと考え】
【心を安心させるために彼の行動を拒絶することはなかった】
【服の上からでも分かる怪我の具合も気になるところだ】
【精神的にも、肉体的にも追い詰められていた少年に、負担を掛けないよう】
【その足取りはゆっくりと、労わるようなものになるだろうか】
あっ……そういえば……
【歩みを進めながら、ふと何かに気づいたのか】
【金髪の少年は彼の方へと顔を向けて言葉を紡ぐ】
……僕はジョシュア……ジョシュア・ランドバーグっていいます……
えっと……貴方のお名前も、教えてもらっていいですか……?
【少年――ジョシュアは、少年の名を問うた】
【そういえばまだ、お互いのことは何も知らない。まずは、ここからである】
25 (SSL) 2014/06/14(土) 15:48:09.37 ID:BQC5QVoC0(5/7)
>>24
ジョシュアくん……ですか……
【心の中で何回も唱える】
【彼の手から伝わる体温、声、笑みの全てが】
【自分の心の緊張の糸を少しずつ解いていく】
僕の名前は……岸織、岸織詩織……です
【そして少年は自分の名前を呟く】
【その女の子みたいな容姿にぴったりな名前だ】
その……よろしくね…ジョシュアくん………
【照れたような赤い笑顔で口にしたs】
【少し握っている手が温かくなった気がするのは、気のせいかも知れない】
あの人たちは……いない…?
【周りの雑踏を、詩織は不安げに聞いてきた】
【街のどこに黒服集団がいるのかはわからない】
【見える限り見当たらないが、不安になるのは当然だ】
【何も異常がなければ詩織はジョシュアの手を握ったまま、彼についていくだろう】
26 2014/06/14(土) 16:05:43.72 ID:xs5Cju0+o(5/9)
>>25
はい、よろしくお願いしますね――
それで、その……あなたのこと詩織くん……って呼んでもいいですか?
ぼ、僕より……年上の方かもしれないので……失礼かも、ですが……
【見た目的には詩織の方が身長も高く、年上に思えたため】
【少し遠慮がちに「くん」付けで呼んでいいかと訊ねた】
【「さん」付けでないのは、ある種の親しみを込めた意味が含まれているのだろうか】
【――】
た、多分大丈夫……だと思いますけれど……
沢山いるみたいでしたし……
そのまま歩いたら、見つかっちゃうかもしれませんね……
【詩織の言葉を聞いて、ジョシュアは表通りに半歩踏み出して】
【きょろきょろと首を動かして周囲を確認する】
【しかし、今周囲にいなくても移動中に見つかる可能性は高い】
【それを考慮したジョシュアは】
【繋いでいない方の手で自分の懐を探って、何かを取り出した】
あの……ちょっと、"ふわっ"て来るかもしれませんが我慢してくださいね――
【そう一言断ってから、ジョシュアは"何か"をギュッと握り締めた】
【取り出したものは、緑色をした一つの弾丸】
【この気弱な少年とは不釣り合いな凶器は、握られると同時に蛍光のように分解され】
【周囲に若干の魔翌力波と、風が肌を撫でて通り過ぎていった】
【それが終われば、周辺の光景が少しボヤけて見えるようになっているだろう】
【"風の魔法"――自身らの存在を隠蔽する類のモノだ】
【絶対的な効果はないものの、使わないよりは格段に発覚する確率は下がる】
【「これで大丈夫ですよ……たぶん」と】
【ちょっと頼りない言葉とともに優しく微笑みかけながら】
【二人で表通りへ歩みを進めていこうとするだろう】
【もし何事もなかった場合は、町外れまで移動し】
【ジョシュアは小さなお店の前で足を止めることになるだろうか】
【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】
27 (SSL) 2014/06/14(土) 16:29:01.21 ID:BQC5QVoC0(6/7)
>>26
……うん! いいよ……!!
【"くん"と呼ばれたのはいつ以来だろうか】
【そもそも同年代の知り合い自体そんなに多くはいないから】
【そういう小さなことが、詩織にとってうれしかった】
人数はたくさんいるだろうし……って、それは弾丸…?
……ってう、うわっ!
【詩織に魔術的な知識はないことはない】
【だが、その弾丸を使うそれを見たことないもので直後現れる視界のぼやける現象に少しだけ驚いていた】
【ぼやけた視界の効果を察し、そして握る手を少しだけ強くして】
【店の前に、何の問題もなく到着するだろう】
えっと………義肢…ま、魔銃……? お店は…なんて読むんだろう……?
【そう小声で呟きながら、かわいらしい店に目を配る】
【御伽噺の挿絵にに、こんな屋敷を見たような】
【そんなやさしい思い出が詩織の脳裏に浮かびわずかに笑みがこぼれる】
【そして容姿と似合い、こういう「可愛らしい」ものは好きみたいで好奇心に負けて】
【少し駆け足で店内に入ろうとするだろう】
28 2014/06/14(土) 16:43:24.38 ID:xs5Cju0+o(6/9)
>>27
ようこそお客様、僕のお店<Fairy's Gift>へ――
……な、なんてね。
その詩織くんはお客様じゃないけど、その……気にしなくていいからね?
【ちょっと気取った風に自分の経営する店を紹介するが】
【あまりに似合わない言葉が気恥ずかしかったのか】
【頬を薄く赤らめて、誤魔化すように早口気味にそう声を掛けた】
【扉を開けて中に入れば、恐らく想像とは全く違う光景が目に入るだろう】
【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】
【その他には何に使うのか】
【人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】
【銃や義体を専門に扱う工房――これがジョシュアの経営する店であった】
ちょ、ちょっと散らかってるけど……ごめんね?
お店狭いから……あんまり中は可愛くできなくて……
その、奥の方が居住スペースになってるから……そっちに案内するね
【期待を込めた様子だった詩織に、申し訳なさそうな色の混ざった声で語りかけてから】
【店の中央の道を歩き、カウンター席の横を越えて中へと入っていこうとするだろう】
【もし何事もなく上記の行動が成立した場合は】
【ジョシュアとともに店の奥の居住スペースへと歩を進めることになる】
【そこは取り立てていうような事もない内装――小さな台所や冷蔵庫】
【テレビにテーブル、そして何処かに繋がる4つほどの扉が存在した。殆ど一般家庭の其れと思っていいだろう】
29 (SSL) 2014/06/14(土) 17:00:59.25 ID:BQC5QVoC0(7/7)
>>28
【工房と呼ばれる空間に立ち入った経験はあまりない】
【目の前に広がったあらゆる機材や素材、そういったものが無骨においてあり、目を引かれる】
ううん……すごいよ……かっこいい!
【こういう、言葉にしがたい物作りの空間】
【そういった職人の雰囲気はとても格好の良いものだ】
【きっと何か不思議で面白いものが見つかるかも知れない】
【そんな好奇心を抑えつつも、詩織はジョシュアについていき、奥に存在する居住スペースに向かう】
【その空間は決して特別なものではない】
【だが、その内装から感じられる"温かみ"というのだろうか】
【そんな普通なものにどこか寂しさを感じて】
【数日間追い回された結果、こういった普通なものに大切さを感じていた】
………ありがとう、ジョシュアくん
【そう呟いて、彼の後に着いていって居住スペースに入っていくだろう】
30 2014/06/14(土) 17:20:11.95 ID:xs5Cju0+o(7/9)
>>29
か、かっこいい……――
あ、あの……えと、お、お世辞でも嬉しい……です
【それを言われた瞬間、ジョシュアは何と答えていいのかわからなくなった】
【人生に於いて"格好いい"などいうワードとは殆ど無縁だった存在だ】
【自身ではなく、店を褒められた言葉であったとしても、どうしても照れが来てしまう】
【声は進むにつれて尻すぼみになり】
【歩調がロボットのようにぎくしゃくとした風になる】
【一歩前を先導しながら、後ろ手に繋いでいるような状態であるため】
【振り返っていない今は、詩織からは表情は見えないだろうが――その顔は真っ赤であったという】
【――】
あはは……気にしなくていいよ、詩織くん……
僕がしたくてしたことなんだしね……
えと、自分のお家みたいに……は難しいかもだけど
僕に遠慮しないで、ゆっくり寛いでくれると嬉しいな……
【再度告げられた"ありがとう"に、柔らかな微笑みで返しながら】
【ここでそっと、負担をかけないようにゆっくりと手を離す】
【此処まで来れば、まさか黒服が踏み込んでくることもないだろう】
【少し不安であったが、いつまでも手を繋いだままという訳には行かない】
その……向こうにある、右から二番目のお部屋を使っていいからね
ご飯は、詩織くんがいいなら僕が用意するけど……どうかな?
僕、その……あんまり作ったご飯食べてくれる人いなくて
あ、あんまり美味しくないかも、だけど……"友達"に食べて貰えるなら嬉しいかな……って
【おずおずと、詩織に向けてそういった確認の言葉を掛けた】
【自然な流れで彼のことを"友達"と呼んだ事に対して、反応を窺いながら】
【そして居住スペースにある4つの扉】
【右から順に「ジョシュアの部屋」「(空き部屋)」「――の部屋」「物置」】
【と書いてあり、空き部屋となっている二番目を自由に使ってもいいようだ】
【三番目の部屋だけ、恐らく名前が刻まれていたであろう部分だけが無くなっている】
【昔誰かが住んでいた名残であろうか、今はそこから生活の気配は漂っていなかった】
【内装は非常に簡素だ。タンスと、ベッドと窓と……必要最低限のモノだけが揃っている】
【中に何かを持ち込んだりすることは自由だろう】
31 (SSL) [saga sage !red_res] 2014/06/14(土) 20:01:45.44 ID:Igws2bih0(1/5)
【――――――――雷の国『セードムシティ』】
【機関に占拠されて後、ほぼ1年が経とうとしていたこの都市で、いよいよ最後の決戦が始まる】
【未来を得るのは、はたして美徳か悪徳か――――それは、この世界の人間の価値観における、1つの代理戦争とも言えるものだった】
【力で都市を支配する機関の『RAGNAROK LABORATORY』と、力で解放せんとする雷の国国軍】
【築き上げられる屍の山は、はたしてどちらの道を切り開くのだろうか――――――――】
【――――『セードムシティ』上空 高度6000m】
【周辺に展開される防衛網を攻撃し、本体を突入させるための『抑え』と『囮』を担う対地攻撃用ヘリコプターが、速度を上げて接近していく】
【そして始まる降下――――眼下に、物々しく動き出す都市の姿、そして大量に接近してくる、巨大な『鷹』達の姿が一望できる光景だ】
――――『ガルーダ』の一団が接近してきます!
まずはここを越えなければ、対地攻撃は困難、更に敵の対空砲撃も!
「――――んな事は分かってる、事前に聞いてるだろう!? パイロット、お前はとにかく対空砲火だけ意識してれば良い!
『ガルーダ』の抑えの為だけで、俺はここに居るんだからな……ッ」
<ま、私たちがちゃんとやらなきゃ、本丸が突っ込もうにも突っ込めないんだから、頑張るしかないってね
精々露払い、頑張っちゃお……!>
「……言われずともだ。ガンナー、麻酔銃と催涙ガス、ちゃんと用意しとけよ……!」
【ハッチを開き、左右から1機づつ展開する銃座の後ろに、それぞれ兵士とは別に身を乗り出している影がある】
【赤いぼさぼさに伸び放題の髪をした青年と、ピンク色のセミロングの髪をはためかせている女性――――】
【高度故か、口に酸素吸入器を括り付け、転落防止用のベルトを装着しながら、銃座に備えるガンナーに寄り添う様にして、接近する『鷹』達を見据える】
【一瞬の間をおいて。展開しようとする『鷹』の集団に対して、そのヘリコプターから閃光が走り、叩きのめされた『鷹』が墜落していく】
【更に女性の放つ閃光は二度三度と閃き、青年の閃光は意志を持つ様に旋回しながら、更に『鷹』を穿ち、その動きを大きくかき乱していった】
「よし今だ、残りの機体も下ろして対地攻撃を始めさせろ! もう一度言うが、お前らはとにかく地面に注視してれば良い!
俺が居るからには、空の連中は1匹だって逃がしゃしないからな……ッ!」
<言っとくけど、対空砲火だけは絶対に避けてよね!? 私たちはともかく、あんたたちはそんなの喰らったら生きてられないんだから!>
りょ、了解!!
【上空の乱れを突く様に、雲間から更にヘリコプターが降下してくる。その数、都合5機――――展開と同時に、上から下から銃撃の行きかう撃ち合いが始まる】
【違うのは、上からの銃撃が麻酔弾や催涙弾をメインとしているのに対し、下からの銃撃は対装甲弾や炸裂弾である事だろうか】
【ぶつかり合いとしては小規模な、小競り合いと言う様な光景。過去に繰り広げられた戦場から言えば、そう表現する事も出来るだろう】
【だが、決して命懸けの戦いである事には変わりなく。何より――――そんな小競り合いで終わる様な決戦ではない】
「――――頼むぞ……ッ!」
【尚も行き交う『鷹』を睨みつけ、旋回し飛び回る閃光で叩きのめしながら。赤い髪の青年は上空へと視線を移してポツリと呟く】
【この戦いの行く末を決する『本丸』――――それが動き出すのはこれからだ】
/セリーナの方、続きをお願いしますー!
32 (チベット自治区) [!蒼_res] 2014/06/14(土) 20:06:12.71 ID:hRpym2aVo(1/7)
【―――暴風。悪意の渦巻く"神鳴り"の大地に、強く激しい風が凪ぎこんでいた。】
【終わる事のない戦いに、終止符を撃たんとすべく。鋼鉄の翼を持った巨大な鳥が、空を舞う時。】
【傲慢なる大地の支配者は、天空から降る"正義"の光により穿たれ、貫かれ、そして裁かれることだろう。】
【―――まさしく其れは、"神"の"審判"が下る時、と言い換えても良い。"雷光"となった護国の意思が今、大空より舞い降りる―――。】
>>ALL
【夕闇が降り始めた時刻、『雷』の名を持つ国土の上空付近を、一機の巨大な兵員輸送機が飛行していた。】
【窓から見た空の向こうでは既に、陽が殆ど沈みかけており、真っ赤になった陽光が雲の海間を妖しく染め始める。】
【機体は気流に揉まれながら高高度を真っ直ぐに飛行して、時折内部に振動をガタガタ、と伝えながらも戦地へと向かっていく―――】
【雷の国・国軍が用意した大型兵員輸送機、その名を『AAPC(Air Armored Personal Carrier)−U フレズヴェルグ』。】
【今日、今この機体内部に集まっているのは通常では考えられない面子―――総勢9名もの、正義を名乗る能力者の戦士達だ。】
【本来軍用である筈のこのフレズヴェルグの内部に、兵士より多くの"能力者"が乗員しているという状況が、現状の全てを物語っていた。】
【集った全員が神妙な面持ちになっているかどうかはともかく、戦場に機体が近付くに連れ、緊張が高まるのは皆同様か。】
【差し迫った最終決戦への幕開けが、まさか地上からの攻撃ではなく高高度からの降下作戦になろう等と、誰が予測出来ただろう。】
【―――まず、予測など出来まい。何故なら本作戦の立案を担当した当の本人でさえ、突拍子もない作戦だとそう考えていたのだから。】
【その時、"Beeeeee!!"―――という警告音声が機内に響き渡った。それは降下準備の開始を意味する音だ。】
【作戦内容・概要に関しては逐一、機内においても搭乗後に軍本部の人間から全員に説明がなされていたのだが】
【此処でもう一度、その内容を確認すべく―――というよりもむしろ、前代未聞の突入作戦直前に、気合を入れるべくして】
【機体に乗ってからずっと沈黙していた一人の女―――テンガロン・ハットが特徴的な"ガンマン"の彼女が、立ち上がり、口を開いた。】
/続きますよー
33 (チベット自治区) [!蒼_res] 2014/06/14(土) 20:07:46.63 ID:hRpym2aVo(2/7)
――――――――――――――――ふぅ。オーライ。
……なんだか、予想外に落ち着かないモンだね、そもそもアタシが飛行機慣れしてないってのも、影響してるのかな。
旅客機だったらもうちょっとは静かに、愉しく旅を出来るのにね。この機体、頑丈さとスピードがウリらしいんだけど、
機内食は愚か、スプライトやダイエット・コークの一つも出てこないとなると、皆も緊張して肩肘張っちゃうよね。ふふっ。
―――さて。紹介が遅れて申し訳ない。
アタシが今回の降下作戦を軍の皆と一緒に考え、立案した張本人の―――セリーナ・ザ・"キッド"だ。
ここに集まってくれた皆には、むしろ"UT"……UNITED TRIGGERの創立者、って言った方が分かりやすいかな。
……って言っても、殆どの人はアタシと面識があるんだけど、ね!
まさかこんなに豪華なメンバーが集まってくれるとは思わなかったから、本当に今ビックリしてるんだ!
だから―――作戦計画者として、先ずは今日集まってくれた皆に、お礼を言わせて貰うよ。
こんな危なっかしい―――とんでもなく危険な、命知らずの作戦に駆けつけてくれて本当に、ありがとう。
始る前に最後の確認になるけど―――今回の作戦の目的はたった一つ。
それはグラトンの捕獲でもカノッサ兵の撤退でもなければ、ましてや都市自体の奪還でもない。
あくまで―――我々の大本の目的は変らず、たった一つだけ。
それは、今現在も敵として囚われている『住民』達の本当の意味での、"解放"だ。
どういう経緯があったにせよ、彼等は今、進んでカノッサの兵力に加わって『対外ボランティア』なんて名乗って
アタシ達を迎撃する手筈をそろえている筈だ。これは正直言って、余りいい状況とはいえない。
カノッサの兵士だから気軽に撃ち殺せる、とか。そういう意味で言ってるんじゃないよ。
どうあれ人の命は重い、そこはきっとここに集まった皆なら、分かってくれてる筈だしね。
―――ただ、問題はその気じゃなかった人間がそういう気になってしまう状況を、
あの狂った科学者は人為的に作り出すことが出来る技術を持ってる、っていうその点だ。
これが広がれば、何れ世界は誰一人として彼に対する抵抗をする事無く、支配下に置かれる事になる。
そんな―――そんな、悲しい世界に、人としての尊厳や、自由は存在しない。
そして其れは今、現状雷の国に住む人々の多くが、"自由"を奪われている事も意味しているんだ。
ハッキリ言わせて貰うけれど、グラトンの『捕獲』及び『撃破』と言うのは、この目的を達する為の手段に過ぎない。
だからこそ、絶対に必要な事なんだけれど―――大本を辿れば、その本分は『民間の救助』にある。
これからアタシ達が降下する地獄のような場所では、そんな当たり前の事が分からなくなってしまうかも、しれない。
だから今一度、ここに集った皆にはこの作戦の本当の目的を胸に刻んで欲しい。
アタシが銃を握るのは―――いや、アタシ"達"が、武器を握るのは、決して"敵を殲滅する為"じゃあ、ない。
"―――人を助けてこその、英雄(ヒーロー)だ。"
……もうこの世界には居ないけど、昔アタシの憧れだったある人の、残した最後の言葉。
これを戦地へ向かう諸君らへの最後の手向けとして、挨拶を終了したいと思う。
/まだいきますよー
34 (チベット自治区) [!蒼_res] 2014/06/14(土) 20:08:26.28 ID:hRpym2aVo(3/7)
【『"キッド"さん、間も無く目的地上空付近到達だ!5分で降下開始してくれ!!』―――そんな言葉が聞こえてきたのは】
【長いセリーナの独白が、やっと終了してからの事だった。レッドだったランプの色が『グリーン』へと早変わりし、再び警告音が鳴る。】
【セリーナは何時もの服装の上に降下用の装備を身につけ、分厚い軍服を身に纏うと、開閉したハッチの方へ向かい颯爽と、踊り出た。】
―――ロウさん。
貴方は何時も、アタシの中で輝かしい戦歴を誇る、"英雄"だ。
今日もそのお手並みを、じっくりと見せてもらいます。よろしく頼みましたよ、"先輩"ッ!
―――ミハエルさん。
UTの1メンバーとして、貴方の活躍には大いに期待しています。
軍部で培った実力、それをこの作戦でも存分に発揮して、正義を見せ付けてやってください。
―――カズネちゃん。
また、こうして一緒に仕事が出来ることを心から誇りに思います。
貴女の爆発的な火力は、アタシのソレを超える。怒りの"鉄槌"を、これでもかってくらい下してやって!
―――アゾットさん。
初任務、随分大変なモノになっちゃったね。でも―――貴方が作ってくれた、
このUTのエンブレムを胸に刻んで、一緒に頑張ろう。今度こそ、"護る"為に、ね。
―――谷山さん。
久しぶりに出会えたと思ったら、まさか戦場だったとはね。
でも、ある意味アタシも貴方も、そっちの方が"似合い"、なのかもしれない。
貴方の正義を必要としている人間が居る、この戦いで起こった全てを―――しっかり、伝えて欲しい。
―――ライラくん。
君とはこうして、大きな戦場で再会することが多いね。
そのたびに、何時も君の底力には助けられて―――本当に、感謝してるよ。
今日もまた、おねーさんは情けない姿を晒す事になるかもしれないから―――しっかりサポート、よろしくっ!
―――ワイルドさん。
ずっとずっと、お世話になりっぱなしだけど、これで"ハート"の一件にも、ようやくケリが着く。
貴方から貰った新しい武器―――このパーム・オブ・ストレングス<剛毅の掌>で
アタシはアタシの正義をきっちり、切り開いてみせるよ。
そして―――カミナさん。
一緒に戦うのはこれが初めてになるけど、アタシ達は皆、上手くやれるとそう信じてる。
想いは其々違えど、集った理由は皆同じ、この作戦で―――連中との何もかもを、終わらせてやろう。
さあ……みんなで、"英雄"になろうじゃないかい。
UT・及び能力者合同作戦突入部隊―――出撃開始ッ!!
【―――ゴォン、という鈍い音と共に、ハッチが全開状態になると、夕焼けが機内へとなだれ込む。】
【セリーナは全員に背を向けると先ず、最初にハッチから飛び出し、そして―――降下を、開始した。】
【続く全員が機体から飛び降りたのならば、まさにそれは雷の国に降り注ぐ"稲妻"のようにも見えて―――】
/これより、イベント『RAGNAROK LABORATORY―審判の日』を、開始します!
35 (SSL) [saga sage !red_res] 2014/06/14(土) 20:11:43.39 ID:Igws2bih0(2/5)
【――――『RAGNAROK LABORATORY仮設プラント』第6小規模実験棟】
【光量の落とされた室内にも、外からの銃声や怒号が、ひっきりなしに飛び込んでくる】
【もはや稼働する事無く、半ば打ち捨てられた様なその屋内に、4人の人間の影があった】
――――いよいよ、じゃな……わしらが勝つか、それとも負けるか。世界を下すか、それとも飲み込まれてしまうか……
全部が全部、この一事に掛かっておる……今日、この時の為にわしも、そしてお前たちも存在していた様なもんじゃ……
「…………」{…………}<…………>
【薄暗い室内に、ぼうっと浮かび上がる4つの影。しわがれた老人の声が響く中、それに向かう3つの小さな影は、ただ沈黙する】
【やがて老人の声も収まると、シュルシュルと衣擦れの音が響き始め、4人は身に纏ったものを脱ぎ捨てていく】
【互いの顔すら良く見えない暗闇の中、少しづつ緊張感が高まっていった】
……往くぞ。今まさに死地の中へ……この世界に、最後の勝利を齎す為に。この混迷を、終わらせるために……じゃ
{うん……}<ウゥッ……>
「……おじいちゃん……」
どうした……? 今ここで足を止めても、残るのは『負け犬』の道だけじゃ……それはお前の最も嫌うところじゃ無かったかの……?
お前は違うのじゃろう……あの『負け犬』とは…………
「…………負ける、くらいなら…………私は……『私』なんて、要らない…………! 『負け犬』になる、くらいなら……!」
…………そうじゃ、それで良い…………ッ
【全てを脱ぎ捨てた4人の影が、寄り添ってその身体を抱き合わせていく。強く強く、まるで互いを絞め殺す様に】
【――――グシュッ……ブシュリ……ギチッ……ニチャ……ガシィッ――――】
【隔離されているこの空間はその瞬間、時の流れすら置き去りにして。ひたすらに全ての事象を内向きに閉じ込めていった】
〔――――時間を稼げ! 1秒でも多く、時間を稼ぐんだ!〕
〔敵が来たら迷う事は無い! 後の事なんて考えずに全弾撃ち尽くせぇぇぇ!!〕
〔は、はい!! …………撃ち殺して、食ってやる……!〕
【そんな実験棟の外では、わずかにこの地に残った20人ばかりの兵士たちが、その手に思い思いの火器を携え、侵入してくる敵を迎撃するべく乱射していた】
【2種に分けられた制服を着込んだ兵士たちは、とにかく前方だけを見据えて、狂った様に弾丸をまき散らす】
【否――――実際、狂っているのではないか、そんな事を思わせる様な兵士も、中にはいる】
【眼を血走らせ、歯ぐきを剥き出しにして口を食いしばり、口から唾液を垂らしながら、おぼつかない手つきで火器を前方へと向ける――――そんな兵士が、一定数】
【彼らが侵入者に対して、こうも過剰な火力をぶつけて『時間稼ぎ』を行っている理由は、実に単純明快である】
【侵入者たちが、常識を超えた力を身に纏う戦士たちである『能力者』だから。そして、「切り札の準備のため」と言って中へと入っていった≪No.6≫を守り切る為に――――である】
【一部では脱出すら始まっている中で、総大将とも言うべき≪No.6≫が取ったこの行動は不可解だが、侵攻軍としては見逃す理由は無い】
【そんな状況だからこそ、この場の空気は最初から、炎上した火薬庫の様に狂熱を帯びたものとなっていた】
/こちら主催です。よろしくお願いしますー!
36 (中部地方) [sage saga] 2014/06/14(土) 20:20:08.40 ID:HWzDyONto(3/5)
【『RAGNAROK LABORATORY仮設プラント』内の一角――――】
【正義≠掲げる者たちによる空からの電撃的な襲撃により、仮説プラント内の機関員達はいままさに混乱の極みにあった】
【研究物資や資料の運搬および処理のため、兵士と研究員とが忙しなく走り回る。中には恐怖に呑まれ、職務を忘れて逃げ惑うものさえいた】
【……この場にも間もなく、正義≠フ面々がやってくることだろう。この統制の取れていない状態が続けば、最悪全員捕縛されてしまうことさえあり得て――――】
――――狼狽えるな!
非戦闘員は主要な研究資料を回収して退避、一班は分散して彼らを運搬口へ護衛せよ!
二班はこの場に残り、残存資材とデータベースを速やかに破棄! 完了次第撤退を開始しろ!
【それはしわがれた、しかし狼の遠吠えを連想させるような怒号だった。ゾクリと背筋を撫でる重厚な声が職員達の注意を無理矢理こちらへ向けさせる】
【吼え上げるように下される指示。そこに特別な能力も、強制力もないはずなのに――――その圧倒的な迫力が、老人を一瞬にして群れ≠フ主へとのし上げた】
【もちろん、それは命令が十分に合理的であったからこそだ。研究員達はデータを回収すると、護衛と共に各方向の運搬口を目指していく】
【残る数十名の兵士達はしばしプラント内に残り、機材の一部を物理破壊して機密を保持。……彼らとて機関の一員なのだ、統制さえ取れれば行動は的確だった】
【そして――――舞台は、未だ混乱から抜け切れない様子の非戦闘員たちと、老人を含めた六名の護衛とを連れ立って、『第2運搬口』へと移る】
……あの者どもは儂と残り三名で対処する。お前たちは非戦闘員を避難させよ。
【老人は敵≠フ気配を察知すると、五名の兵士を二班に分けた。二人は非戦闘員の誘導に当たらせ、残り三人と自身は敵の殲滅を請け負う】
【この五人の名は『対外ボランティア』。『RAGNAROK LABORATORY』の技術を結集したFシリーズ≠ニいう特別な装備を身に纏った、セードムシティの住人――――】
【老人は彼らの一員ではないのだが――――混沌としたこの場において誰の指示に随うのが一番効率的かを瞬時に理解し、兵士達は老人の言葉に随った】
【避難誘導に当たる二名は、腰回りから背中にかけて機械的な装備を取り付け、通常の銃口の下にアンカーショットの発射口を備えたハンドガンを所持しており】
【この場に残った三名は、機動力重視の軽装に片手で刀剣を構え、腰元には何やら機械的なグリップのようなものを吊り下げているだろうか】
【そして――――たったいま抜刀し、左手にレイピア、右手にマインゴーシュという決闘者じみたスタイルを取った老人】
【刻まれた無数の皺、オールバックにした長めの白髪、立派に蓄えられた口髭と顎髭。そんな外見からするにおおよそ六十は越えているだろうか】
【服装はウィングカラーシャツの上にジレ、下はスラックス。金色のアスコットタイを絞めてシルクハットを被った、戦闘員というより単なる紳士に見えるもの】
【しかし、二本の剣を構えて佇むその姿を見れば、決して甘い考えは持てないはずだ。全く隙のない立ち振る舞いからは、騎士じみた厳かな闘気が漂っている】
悪いの、君たち。ここを通すわけには行かぬ――――どうしても罷り通るというのなら、儂らを見事退けてみせよ。
……しかし、よもや女に犬とはのう。天下の『UNITED TRIGGER』もずいぶん面白い人材を揃えているものよ。
まあ、ここに来たということは相応の実力者と考えてよいのだろうな。……せっかく雷くんだりまで来たのじゃ、退屈させてくれるなよ。
【第2運搬口へ現れるはずの二人――正確には一人と一匹だが――へ向けて、老人はそんな言葉を投げかけるだろう】
【マインゴーシュの護拳に刻まれた逆五芒星≠ェ、茶褐色の峻烈な双眸とともに、そちらをじろりと睨んでいるようにも見えた】
【紳士的なようでもあり、挑発的でもある態度。老人らしい落ち着きがありつつも、戦いを楽しむ危険な光を宿した瞳。そんな相克が場を満たしている】
【……現在二人に相対しているのは、老人と三人の兵士だけだ。避難していく非戦闘員へ手を出さない限り、残り二人の兵士はまだ無視していてもいいだろう】
【老人は中央に立って微動だにせず。両手で刀剣を構えた兵士達は少しづつ間合いを測りながら、二人を取り囲むように外側へと陣形を広げていく】
【四人の敵はまだ、自分達から仕掛けてくることはないはずだ。今宵の戦いの初手は、二人の選択に託されている――――】
37 (中部地方) [sage saga] 2014/06/14(土) 20:20:34.67 ID:HWzDyONto(4/5)
/この文だけ入らなかったので分割……↑はヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダムです
/カズネさんの方&Azothさんの方、本日はよろしくお願いします!
38 (SSL) [saga sage] 2014/06/14(土) 20:34:36.15 ID:coNjF5lA0(1/4)
>>31-34
【『セードムシティ』市庁舎前】
【かつて、最初の戦いの際に戦場になった一つの箇所】
【今は、かつての面影を残しつつも占領軍司令部の一つとして使われている】
【そんな場所に一人無線機に静かに命令する男の姿がある】
もしもの場合の重要書類の処分などの準備をしておけ、それと脱出のルートの確認もな
その後順次撤退していけ
『は、了解しました』
【その応答とともに彼は無線機を自分の胸ポケットにしまいこむ】
【彼がここの司令官とそう認識していいだろう、とはいえ全体の指揮官ではないが】
【さて、ここの司令官たる彼の格好は戦闘服を着用し、ゴーグルをつけている】
【そして袖口にはカノッサ機関の逆五芒星が刻まれている】
ふむ、この占領地の撤退援護と言われたがどうやら敵は少数での侵攻をしてきたか
今ここにいる戦力のほぼ大半が外周の敵の対処にいっている――その隙を狙ったな
【一人そのようにして一人心地につぶやきながらも周囲の警戒は怠らず】
【肩にかけているRK-11アサルトライフルが彼の動きにとともに少しばかりゆれた】
さて、そろそろこちらに敵が付く頃合か、始めよう
【そのように言ってから、肩にあるRK-11を自分の手に移動させる】
【そして、そのままRK-11を構えず手に持ったまま静かに敵を待つ】
/こちらバッド中身ですW-1≪ワイルド=ワン≫さんよろしくお願いします
39 (SSL) [saga sage] 2014/06/14(土) 20:35:18.51 ID:coNjF5lA0(2/4)
/おっと、安価部分は自分のミスですあんまり気にしないえください
40 (関西地方) 2014/06/14(土) 20:38:06.01 ID:BIqpxMrLo(2/5)
【雷の国 『セードムシティ』】
【この国で生まれ落ちた狂気の頭脳の支配によって、長きに渡り悪夢の中を彷徨い続けていた都市】
【今宵、この都市は一つの結末を見ることになるだろう。それがいかなるものかは、まだわからないが】
【ここに集いし、数多の者たちの思惑と信念と狂気のぶつかり合いが、ここに何らかの結末をもたらすことと】
【形作られる物語が、鮮血の色をしていることだけは、きっと確かだったのだろう】
【『セードムシティ』 栄光と慈悲の広場 交差点】
【在りし日は、太市やチャリティーイベント用の臨時スペースとして用いられていたという巨大な広場】
【周囲を取り囲むロータリー式の交差点は、きっと活気に満ち溢れていたのだろう】
【その日々を懐かしむことすら出来ないほど、今は見る影もないありさまだったが】
【地面を染め上げる夥しい血痕。辺りに漂う腐臭は文字通りの死の香り】
【広大なスペースがあるにも関わらず、それを感じさせないほどに地面に散らかされているガラクヤや危険物】
【瓦礫、ガラス片、金属片、その他元がなんだったかすらわからないようなものまで。広場は、惨劇の破片に侵食されていた】
【都市の中央たるこの場に、我が物顔で鎮座する存在が二つ。いずれも、巨躯の異形であった】
【片方は、身長2メートルを超えているであろう大男だった】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地エプロンを着用し、足には黒いゴム長靴を履いている】
【角ばった顔つき。短めに切り揃えられた黒髪。両目は右が青、左が黒。双方とも義眼だ】
【両耳は黒ずんで形が歪み、両手の指も黒く細長い。アンバランスな大男の醜貌を集約するは】
【その額に埋まった一つ目だった。黒い瞳の単眼。面積一杯を埋める巨大な眼球。ギョロギョロと動いて、周囲を睥睨している】
【口元はマスク型の人工呼吸器で覆われ、細い呼吸音がそこから漏れる。人の姿をしていながら、人かどうか疑わしい怪物がそこにいた】
【さらには、大男は全長1メートル半にもなろうかという、長大なバトルアックスを携えていた】
【黒と金をベースカラーとしたその武器の柄の部分にはカートリッジが存在し、そこに嵌め込まれた白いマギタイトが、煌々と光を放っている】
【獲物を待ちわびるかのように。その刃が、大男の嘆願と共に、悪意にぎらついていた】
【その大男の背後に控えるもう一つの異形。これは、確実に人間ではなかった】
【それは、熊だった。陸上最強と言っても過言ではない肉食獣。この場にいる以上、ただの熊であるはずはない】
【まず、大きさが尋常ではない。前に立つ大男すら霞むほどの巨体は、3メートルを軽く超えている】
【両肩と頭には発達した角が生えている。鋼鉄すら貫通するのではないか、というほどの鋭さだ】
【分厚い剛毛に覆われた全身を構成するその骨格・筋肉、全てが規格外であろう】
【何より、この熊を生物兵器足らしめる、鋭い爪を備えた太い四肢。大地を踏みしめ、戦場を駆け巡り、振るうだけで数多の命を吹き飛ばすだろう、四つの凶器】
【その四肢を畳んで、熊は大男の背後で待機している。呼吸以外は微動だにしない。だが、その血走った眼は、獲物を求めて飢えていた】
【――やがて、その時が訪れる。閃光と、空中戦がもたらす轟音。激しく撃ち合う音が、間断なく響き渡る】
【その隙間を縫って、雷光のごとく。彼らは、戦場に降り立った。終わらせるために、守るために、己の信念を貫くために】
【大男が空を見上げ、破顔一笑した。人工呼吸器の上からでも形がわかる、醜悪な笑み】
……始まるぞ。戦争だ。いつぶりかの、大戦争だ。この都市の、始まりと終わりを告げる、一世一代の殺し合いだ……
この審判の日に立ち会える幸運を嬉しく思うよ……
【発せられた言葉は、意外なほどに通りがよく。広場全体に響きくだろう】
【バトルアックスを振るい、大男が一歩前に出る。その空を切る音に反応したかのように、背後の熊も立ち上がる】
【怪物どもの影が広場に落ち。この場に降り立つ正義を待ち受けて、蠢いた】
カノッサ機関、≪No.29≫カニバディール。今宵は、RAGNAROK LABORATORYの……偉大なる狂気の科学者、≪No.6≫グラトン=ブルーガー=ウルバヌス博士の刺客が一人
さあて、存分に殺し合おうじゃあないか……なあ?
【来るべき敵たちに、笑みを浴びせ。大男・カニバディールは宣戦を布告する。眼前に立つ二つの正義に。自らの敵に】
【審判の時、来る――】
/防衛側、カニバディールです!
/カミナさんの方、ミハエルさんの方、よろしくお願いします!!
41 (チベット自治区) [!蒼_res] 2014/06/14(土) 20:56:18.79 ID:hRpym2aVo(4/7)
>>35
【―――降下の完了。着地に見事失敗したセリーナは『うわっ、わわっ!?』だの『これ、絡まって、ひもがぁ―――だのと』】
【散々低空域でのたまった後、尻から地面に激突。パラシュートが無様な姿を隠す様にしてその上にはらり―――と被さった。】
【なんとも、締まらない始まり。だが、ある意味でこの女らしいと言えばらしいのだが―――ともあれ、彼女はパラシュートを剥ぎ取った。】
―――ぶはぁっ!? はっ、はぁっ、はぁっ……―――――――ふぅ。楽勝だったね。
もう二度とやりたくないけど。……昔は遊園地でよく、バンジーだのジェットコースターだの乗ったもんだけどなぁ。
いやはや、歳を取るってのは怖―――って誰がおばさんだ。アタシはまだ、20台だっての。
【そんな事を呟きながら、突入用の軍服を脱ぎ捨てるとセリーナは何時もの格好に戻り、ハットを大事そうに被って。】
【腰元に備えた二挺の拳銃―――愛銃、"弾"末魔とColt.SAAの有無を確認してから、颯爽と仮想プラントの方へ駆けつけた。】
【幸い、降下地点付近には見張りの兵士も居なかったのだが―――矢張り、プラントに近付くに連れ、チラホラと見えてくる敵兵の影。】
(……ラボの仮説プラント、恐らくは此処に奴が居る……筈。その証拠に警備が段々と手厚くなってきてる。)
(兵士の数は―――ざっと数えて20、前後か。それにしても様子が―――……オーライ。"アレ"が、対外ボランティアさんか。)
―――ってぇ事は。身体をブチ抜いて眼を覚まさせる方法は、あんまり好ましくない、ってワケだね。
【―――実験棟の外、プラントを守護しようとする兵士達の前に、彼女は物陰から堂々と、姿を現し声を掛けた。】
【テンガロン・ハットに白のシャツ、土気色のベストには"UT"のエンブレムを携え―――そして腰には、ガン・ベルト。】
【ウェスタン・ブーツが『セードムシティ』の大地を踏み抜けば、一陣の風がびゅう、と靡き―――金色のショートヘアを、揺らした。】
"……迷う事は、無い"―――ね。確かにそうだ、敵を見つけたら撃て、すかさず撃て、それが戦闘の基本。
だけどその前に、敵かどうかを見極める大事な作業がある、って事を、みんなちょっと忘れてるんじゃないかい。
……だから、敵かどうかも分からない相手に向けて銃を向けるのが怖いから、そんなにライフルを握る手が震えるのさ。
人間が戦うにはね、覚悟、ってモンが一番重要になるんだ。元々"兵士でもない"アンタ達に―――その、覚悟はあるかい。
銃を握り。人に向け。構え。引き金を引き。命を奪う。その―――覚悟が、あるのかい。
残念だけど、震える手で撃つ銃が、良い結果を残す事なんてこの世には絶対に無いんだ。断言するよ。
―――悪い事は言わない。全員、道を空けて投降しろ。警告は、一回までだ。
この警告を無視し、アタシ達に銃を向ける場合―――アタシはアンタ達を、"鎮圧"するよ。
【そうして、たった一度の警告を告げる。撃つな、投降しろ、と。】
【ソレもそのはず、相手は対外ボランティア、つまりはこの街の住民達だったのだから。】
【だがそれでも、戦うと言うのなら―――セリーナはガン・ベルトにゆっくり手をかけ、眼前の兵士らを睨むだろう。】
【―――とはいえ、当然殺傷するつもりは無いのだが。しかし銃使い<ガン・スリンガー>がこの窮地を】
【犠牲者を出さずに切り抜ける事が出来るのかどうかは―――まだ、わからないのだった。】
/よろしくおねがいします!!
42 2014/06/14(土) 21:03:11.73 ID:LzO/A2hTo(1/3)
>>31->>35
【―――大きな闘いが、いままさに始まろうとしている】
【そんな中、『彼』はいつものようにその巨躯で優雅に立ちすさみ、白衣をはためかせて作戦開始の合図を行うセリーナに真っ直ぐ向き合い】
【日頃被っていた派手な帽子は被らずその黒の短髪を表に出して、トレードマークの髑髏のネクタイを丁寧に締め直しながら】
【いつも人相を隠しているその穴だらけのホラーな仮面の顔のまま"WILD"は言葉を紡ぐ】
おうさ、任せておきなさい……人命救助から殴り合いまで全部やり切ってこその紳士だ
ようやくハート君の一件にケリが着くかと思うと気分もなんだか『清らか』だ。私も『彼女』も暴れたくってうずうずしている所なのだ
なにも気にする事はないし今この場で再確認するまでもない、現場についたらキミも私も目の前の仕事を全うすればいい
だから安心してこの"WILD"を――――否、このジンジャー・ユースロットを信じてくれたまえ!
【開いたハッチを背に―――白衣の紳士がその仮面に手をかけて、おもむろに取り外してその素顔を晒すだろう】
【グラトンとの決着を前に初めてセリーナに晒したその顔は……仮面の上から想像しうるイメージよりもずっと若そうに見える顔立ちだった】
【櫻の国、あるいは日本人のような特徴の顔、自信に満ちどこか無邪気さを内包した微笑みを浮かべ続けるその顔をしっかりと見せつけると】
では諸君!早速だが逸るこの気持ちをあえて抑えずお先に失礼させていただくよ!
【なんとそのまま背面から、パラシュートも付けずに飛び降りた………!?】
>>38
【市庁舎前の上空からその男が自由落下してくることが、ライフルを手にする男にも見えるだろうか】
【加えて、その人物目がけて北北東の方角からすごい速度で急接近してくる飛行物体がある事にも気が付くだろう】
【パラシュートなど付けなくとも死ぬことはないと確信しているかのように空中で優雅に両手を広げ、己に近付いてくる『それ』の接近を待っている事も見えるだろうか】
【―――なにか双眼鏡でも使用すれば、その男に飛来してくるのも小柄な『人影』だという事が分かるだろうか】
【その人物は、純金の三日月の髪飾りで長くつややかな黒髪をポニーテールにして整えていた】
【耳をアンテナヘッドホンのような機械で覆い隠した、銀色のカフスボタンが袖に付いた黒を基調とした丈がくるぶし部分まであるロングドレス】
【その上にフリルだらけの常に汚れ一つない真っ白なポケット付きエプロンを着用して、メタリックカラーの小さなブーツを履いた…俗に言う侍女服の少女】
【彼女は背中から飛行用のジェットパックを出してその噴射でジンジャーの方に近付いており、その手には日頃彼女がアイテムを運ぶための小型スーツケースが握られている】
【接触までもう目と鼻の先と言う所で彼女はジンジャーにその手のスーツケースを放った―――すると彼は見事取っ手の所をナイスキャッチしてみせる】
【それを見届ける事もなく侍女の少女は彼の背後に回り腹部を両腕で抱き留め、その大柄な体躯を容易く抱えたまま地上めがけて低空飛行を続行するだろう】
【最後に垂直姿勢に戻りながら二人は司令官の男の目と鼻の先に着陸しながら発言するだろう】
「―――おまたせいたしましたハカセ、メイドロボ『ジャンクちゃん』、定刻通りに到着いたしましたデスヨー」
ご苦労様、さてそこの戦闘服の君……ごきげんよう
ひとまず名乗らせていただこうかな?私はジンジャー・ユースロット、もう言わないでもわかるかもしれないが
私は君の敵でここに囚われている人々を解放しにやってきた者たちの一人だ、邪魔するなら容赦しない―――どうだ、何か言いたい事はあるかね?
【敵を前にして己のペースを一切崩すことなく、ケースを持たない手の指で戦闘服の男を指さして発言を促してくるだろう】
【その立ち振る舞いに一切の乱れはない―――凛とした表情で目の前の敵に話しかけてくる】
/そういうわけでW-1です!どうもです!
43 2014/06/14(土) 21:03:53.80 ID:xs5Cju0+o(8/9)
>>31>>33
【作戦開始地点に向けて上空を行く輸送機の中】
【集まった9人の正義の能力者の内一人――カミナ・ゲルギルは】
【今代の英雄、正義の筆頭セリーナ・ザ・キッドの演説を口を挟まず聞いていた】
【その視線は、最初は何かを見極めようとするかのように厳しいものだったが】
【彼女の語る言葉を耳にする内に徐々に軟化し、最後には口元を吊り上げて笑みを浮かべていた】
――良いな。口先だけではなく、言葉の一つ一つに人を惹きつける"力"があるのじゃ
此処までは文句なしの合格点をくれてやろう
言われるまでもない、カノッサの下衆共の顔はいい加減見飽きておったからな
御主も仕損じるでないぞ……"正義のリーダー"よ
【彼女から掛けられた声に対して】
【短く……だが、妙に感情が篭った重々しい声色で応えると】
【それ以上コミュニケーションを取ることもなく、"降下準備"を始めた】
(――谷山とジンジャー……あとは、いつか見たロウとかいう男か)
(他の者の安否も、いずれは確認したいものじゃな)
【最後に、参加者達の顔を一瞥した後――胸に緋色の鷹の紋章を刻んだ少女は戦場へと舞い降りた】
>>40
【栄光と慈悲の広場上空に一瞬巨大な影が差した】
【もしそれを見上げたならば、影の正体を察することは難しくないだろう】
【それは巨大な"鳥"。翼長は15mに達し、其の全身は純白に染まっていた】
【視力に優れていれば、その鳥が純粋な生物ではなく何かで作られた模造品】
【"折り紙"によって生成された物体であると知る事も可能であろうか】
【そして――その鳥の背から、其れと比較して余りに小さな何かが飛び降りた】
【空を裂く帯のように髪を靡かせ、背中の"翼"を羽ばたかせながら】
【左右に2mにも及ぶ突撃槍の如き物体を従えて――】
――――カニバディィィィィイイルッッ!!
【<貴宝院流不切正方形一枚折り・槍飛行機>】
【――一人の人物が、倒すべき"悪"の名を叫びながら降下してくる】
【身長は140cm程度であろうか。長く伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をした少女だ】
【身に纏う桜色の和服の背から白い三角形の翼を伸ばし、大きく羽ばたかせながら】
【一直線に加速し、矢の如き勢いで地表に接近すると――左右に追従させていた"折り紙"をカニバディールに向かい射出した】
【それは巨大な"紙飛行機"。神気により特性付与されたことにより先端が鋼鉄に近い強度となっており】
【降下の勢いをそのままに加速させた其れは、直撃すれば凄まじい貫通力となって襲いかかるだろう】
【だが反面軌道自体は読みやすく、また先端を外せば威力は激減し】
【水や火などにも弱く、それらをぶつけられることで弱体化することもあるだろう】
【少女は、カニバディールらから5m程度離れた位置に】
【"翼折り紙"をホバーのように作用させながら着地し、射[ピーーー]かのように苛烈な意志を込めた視線で睨みつける】
【この程度の小手先の技、挨拶替わりにもなるまい。恐らく今宵は、互いに死力を尽くすのだから――】
約束通り、貴様の醜い首を貰いに来たぞ!
――貴様らも年貢の収め時じゃ、今から念仏でも唱えておくがよい――!
【隠しもしない敵意と、殺意を振りまきながら吐き捨てるようにして宣言すると】
【――少女、カミナ・ゲルギルの左右の空間がじわりと歪み、大きな"紙"が出現する】
【紙は空中で見えない手に操られるようにしてパタパタと折られ、何かの形を作り始めた】
/カニバディールの方、ミハエルの方よろしくお願いします!
44 2014/06/14(土) 21:12:03.14 ID:wOk9VgKho(1/4)
>>33-34
――――――――
【物々しい雰囲気の機内はさながら棺桶のようだ】
【ごうんと鳴り響く様々な機材の音、けたたましいばかりのエンジン音】
【ああ、でもこういう音は私には不思議と心地よかった】
【それと、知っている顔もいるから……か】
【その知人は立ち上がり、言の葉を紡ぐ】
【囃し立てもせず励ましもせず駆り立てもせず、ただ聞くことに徹する】
【プログラムに不備があっては駄目だ】
――――――――ええ、やりたいようにやるだけよ
【自分の名前を聞いて頷く、言葉は短く、そして彼女は飛び立ってならば私も羽ばたこう】
【装具……という程ではないいつもの寂れたローブとゴーグル、「静かの海」という銀のアクセサリ、首から下げた弾丸】
【ローブに隠した腰のホルスターには「アストレア」という銘の銀銃がひとつ、ずっしりとその存在を示していた】
さあ、いきましょ……
【点検が終わったならばハッチに向かう、降下用の装具は要らない】
【およそ普通に生きていれば縁のない高高度に足は竦むがその弱さを許しはしない】
【「静かの海」へ魔翌力を流し起動の合図、見下ろす街の明かりは怪物のようにも見えた】
【構わない、所詮怪物は倒されるだけの存在でしかない】
【ならば魔術師の足取りは軽く、空へと舞う】
【降下、降下、降下、降下】
【風圧は暴力のように身に迫る、だが暴力はこちらも所有している】
【膨大な魔翌力の飽和は紅く紅く瞬く、球状に展開された姿はさながら暁のように】
【朱球が割れれば姿を現す、魔翌力を糧として稼働する化け物じみた「銀の爪達」】
(慣性操作、風圧測定、射出角度、着地予定地……なんてことはない、か)
【フリーフォール、速度が緩む事無くさながら放たれた矢】
【合わせて7つの影は地上300m程で魔翌力を噴流させ速度を押しと留め止める】
【魔術師を軸にくるくると廻る爪は微弱な噴流を操り、術者を静かに地表へと送り届けた】
【そんな戦闘開始前の、ワンシーン】
/続きます
45 2014/06/14(土) 21:12:20.12 ID:wOk9VgKho(2/4)
>>36
【街が怪物ならばここは腸か】
【いや、どこであろうと関係などなかった】
【蠢く爪は私の剣、その脈動は私の心臓、そして纏うは私の意志――――】
あら、ゴメンナサイね。ここを通して貰うわ――――どうしても邪魔したいっていうなら、私を叩き潰してみなさい……なんてね
【騎士然とした雰囲気をもつ老人、その出で立ちに或いはもう少し若ければタイプかもしれなかったが機関員であるからには容赦はない】
【エンジンをトップへと移行させる、血流が早まると同時に流れる魔翌力も増えてゆく】
でも、安心して―――――――退屈だけはさせてあげないから!
【きっ、と瞳を見開いて右掌を突き出す】
【追従する3つの爪その先端から漏れだすのは魔翌力の光、やがてガトリングのように回転を始め……そして咆哮をあげる!】
【錆色の魔弾の連射、矢継ぎ早に放たれるそれは単発は弱いが数でカバーするタイプの武装】
【こと今においてその単発の弱さは役に立つ、狙うは老人ではなく3人の兵士……邪魔者を先に昏倒させる算段】
(とは云うけど、近接相手は正直辛い……上手く立ち回らないとワンサイドゲームを受けちゃうわ)
【最中に老人の得物、その2つを見つめ静かに恐れを抱く】
【魔術師は基本的に接近されてしまえば負ける、最悪なことに老人は近接に心得があるようで】
【これから優先して対応すべきはやはり彼であると……自分へと言い聞かせ】
【放たれた魔弾は開戦の合図であり】
【ならばのろしは、あがる―――――――】
/カズネです!よろしくどーぞ!
46 (東京都) [sage saga] 2014/06/14(土) 21:14:33.58 ID:f3A5+C4so(1/3)
>>31-35,41
【ヘリの中、緊迫した空気の中でうつむき気味に佇む一つの青年】
【平常時以上に念入りに刺々しく逆立てられた、新雪よりも白骨よりも遥かに白い短髪】
【服装は、アンダーアーマーにカーゴパンツ、防刃繊維のジャケット、安全靴といったもの】
【腰に巻いたベルトポーチはパンパンに膨れ上がり、幾つものナイフの鞘とリボルバーのホルスターも下げられている】
【ベルトポーチの中を両手で確認し、装備に不備がないかの最終チェックを行っていく】
【戦草を煎じたドリンクを、一気に煽る。身体に巡り来る活力、いざというときの為の物だが、今がいざというときだ】
「英雄、か」
【セリーナの口上を、装備の確認をしながら耳に収めていき、自嘲気味な笑みを浮かべた】
【右目の傷を左手でなぞる。汚れた力と混ざり合ったこの肉体で、英雄を名乗れる自信は無い】
【だが、だからといって谷山は英雄たち≠ニ並び立つことを恐れない、ためらわない】
【なぜなら――――】
「――ヒーローは俺の仕事じゃァない。……だが、ヒーローを作るのは俺の仕事だ。
ヒーローの活躍を伝えるのが俺の仕事だ。俺は俺のするべきことをするだけだ。
俺は、俺の進むべき道を歩むだけだ。――元justice……行かせてもらうよ」
【――――英雄になれなくても、英雄を生み出すことは可能だから】
【伝えるもの。この英雄の群れの為すだろう偉業を、余すこと無く伝えなければならない】
【彼らのなす事を正しく伝えるために、奴らのなした事を正しく伝えるために】
【動く。立つ。歩む。走る。――――刮目し、その目で全てを見届け、生還する道を】
【飛翔。風が身を叩く、速度が増していく。青年の五感が変容していく、最適化された世界を捉える為に】
【着地。パラシュートの制御を上手く行い、なんとか事なきを得た】
【服装の乱れを整え、風で乱れた剣山のような短髪を逆立て直して、己の頬を強く叩く】
「ま、なんだ。こういう場でなきゃ普通にもっかい位飛んでも良かったかね。
割りと涼しいし、悪くなかったよ」
【ニヤニヤとセリーナの方に目線を向けながら、谷山は軽く屈伸をして】
【そして、迷うこと無く駈け出した。前に進む動作に、淀みは無かった】
【『RAGNAROK LABORATORY仮設プラント』第6小規模実験棟】
【無数の銃弾の群れ、20人ほどの兵士の群れ。恐慌し、狂ったその姿は尋常の空気ではない】
【だが、その空気を引き裂き加速する影が有る。その内の一人の髪が、瞳が神経系が――ライムグリーンの燐光を得た】
「――Hello World.」
【変貌する姿、変貌する気配。人の本能的恐怖を煽る、哲学者の卵の気配が周囲の空気に混ざりこんだ】
【ライムグリーンの瞳の光は、兵士たちに向けられて。説得をするセリーナの一歩前に、谷山は歩みだした】
「……俺は他の連中程優しくない。逃げるなら追わねえ、見ないふりをするなら潰さねえ。
だが、俺の前に立ちはだかるなら。俺の正しさ≠ノ立ちはだかるなら。
俺はお前らを鎮圧する事も、お前らを蜂の巣にする事も、ぶち殺す事も。躊躇いやしねえぞ?」
【谷山は、左腕を兵士たちに向かってかざした。半袖のボディーアーマーから覗くその左腕は人のそれに見えるもの】
【そらが瞬間的に破砕。そして、無数の結晶が空中に生成されて、それがあるべき場所≠ノ収束していく】
【収束した結晶は混ざり合い、最終的に新たな左腕を生み出した。無数の黄緑色のライン/回路が浮かんだ腕だ】
【その回路から、黄緑色の燐光が漏れだしていく。不吉な気配を帯びた、余りにも人工的な光の群れだ】
【その燐光は、視界を塞ぐ。燐光が触れれば、五感が歪む】
【感覚の異常の持続は大凡10秒程度。そして、その10秒で谷山はこの20人を何とかする事はできない】
【だが、その10秒があれば。谷山以外≠ェなんとかしてくれる。そう信じていた】
【兵士を観察する。微細な動き、特に指先に注視する。一人でもトリガーを引こうとすれば、谷山は迷いなく左腕を薙ぐ】
【薙いだ腕から放射される燐光は、先述したとおりの効果を与えるように飛び散っていくだろう】
(嫌な気配がするな――。いつもと変わらないとも言えるが……)
【奥から感ずる、嫌な気配。谷山基樹の異様な五感が、分厚い扉の奥の事象をおぼろげに認めたのだろうか】
【背筋を駆け抜ける寒気。その寒気を谷山は恐れた。そして、その恐れを指針とした】
【恐怖を、怒りを、絶望を飼いならし谷山基樹は己の五感を、思考速度を一段階強く強化した】
/*主催者様、セリーナの方、ライラの方よろしくお願い致します!*/
47 (関西地方) 2014/06/14(土) 21:16:14.98 ID:RQaY++klo(1/3)
>>31-34
【人員輸送船、その中に人員ではないものが混ざっていた】
【それは犬である、犬がいた、背中にパラシュートをしまった小さな箱を背負った犬である】
なんで犬用の降下兵装はないんだか……
【そのパラシュートはどう考えても旧式で、身体の小さな人用のモノを無理やり背負っているという有様である】
【体格の問題は難しいものがあるのだろう】
【ぶつくさと呟いている犬はブザーの音に一々反応したりしてせわしない】
【だが、セリーナが話し始めればそんななりをひそめ、厳かにその声を聴く】
【初めての――そして最後になりえる可能性のある任務だった】
……大切なものを守るだけでは足りない、その周りのモノを守って、その周りの周り……果てまで守り続けなければならない
それがどれだけ苦痛を伴うものであろうとも、な
【そう呟くと、犬は開いたハッチから飛び降りていく人々を見送った後、最後に飛び降りた……】
>>36
【雷の国、上空より迫りくる影在りて、稲妻のごとく降り注ぐ】
【そして、幾条にもわかれた"それ"のうちの一つは、仮設プラントの搬入口の一つへと着雷する……!】
【……いや、どちらかというならばふわふわと落ちてくるといった感じだろう、それでも結構なスピードではある】
……いたたた……、空飛べるわけじゃないからな……
【地面にぱさりと広がった白い布――パラシュート……その中から這い出てくる一匹の灰色の毛並を持つ中型か、大型といった犬】
【首には青いスカーフを巻き、右前脚にはおしゃれなのかよくわからないが真白な包帯を数重に巻き付け、その目にはゴーグルをかけている】
【ふぅ、と溜めていた息を吐き、すくっと二本の後ろ足で立ち上がる、犬の骨格で二足歩行というのは無茶がある、だがこの犬はそのまま緩やかに歩きだした】
【未だに混乱の残る――もっとも誘導のなされた今ではそれも収束に向かいつつある――中、犬は自身に向けられた害意を感じ取る】
【すっとゴーグルの付けられた目を其方へと向け、そちらへと歩みを進める】
【騎士然とした老人、それに相対する犬と女】
……爺さん、無茶をしては体を傷めるぞ
こちらは女と犬、そちらは老人と……"ボランティア"三人、お互い手加減しても罰は当たらないと思うが?
【そんな中、犬がスラスラとしゃべりだす、お互い手加減しようと】
【だが、答えがわかり切った問いかけだとわかっているのか犬の方もどこか諦めにも似た表情を浮かべている――犬の表情がわかればの話だが】
【そしてこの犬は一切、なにも装備していないように思える】
【身を守る鎧も、人を傷つける武器も、また、戦況を変える道具でさえ】
【身に着けているのは先ほど述べたスカーフと、ゴーグル、包帯といった類】
【それでどうやって戦うのかという部分はある】
戦闘狂の爺さんか……
悪いが負ける気はない、出来る限りここを早くに鎮めて……他の場所への負担を軽くしなければな
【そういいつつ、犬はタンッと前足を地面に付き、四足歩行へと戻る】
【グウウウと唸る様は犬らしいといえば、らしい】
【そして――発条のように撓んだ体を一気に伸ばし、カズネの狙う三人とは別に老人を狙う!】
【しかし速度も、威力も、何一つ普通の犬と変わらないそれ、人間よりかは早く、強いが、果たしてその爪は届くのか……?】
//Azothです、本日はよろしくお願いします
48 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 21:17:09.03 ID:3+pWGuVo0(1)
【『セードムシティ』 ルート55 市警察署前――――中間地点】
【すべての終わる夜、鋼の鷹は夜天に姿を現わした】
【各地で鳴る警報と戦闘音。銃声が、剣戟が血飛沫く音がここが決着(おわり)の舞台なのだと誰もに伝えながら】
【―――――角笛が鳴る。角笛が鳴る。角笛が鳴る。角笛が鳴る。邪悪と正義の相容れざる意志を得て事態は加速する。】
【ビルの立ち並ぶルート55、<機関>の街がメインストリート――――外部と闇を繋ぐ大通りの中心に、静かに佇むひとつの人影が有った】
【榛色の勝気な双眸。ふわりとした深緋色の長髪は宙に軽やかに流れ、しなやかに風を受ける躰に纏うはカーマインのマキシ丈の上質なワンピース・ドレス、】
【豊満な胸元に揺れるのは銀の逆十字―― 中心に“機関”の紋章が刻印された、装飾的なチェーンを特徴とする首飾りだった】
【目に映るのは遠景の敵たち。一度は正義の駆逐されたこの異形の都市に、奪還を期して再び姿を現わしたのだ 】
【……恐らくは、彼らがこの警戒の理由。ごく少数でこの戦闘都市の機能を停止させる程に、その力は優れたものを隠しているのだろう】
【時を稼ぐ―――――常識としてはそんなところ。】
【戦力を削ぐ――――撤退戦を務める殿としてはなかなかに定石。】
【“一般的な”機関兵や軍勢や学者に、その様にきっと己は求められて―――――、】
【―――――――なんて、背徳の軍勢らしくもなく欲のない。くつりと静かに沸き上がる欲求に邪悪が笑う。】
【さあ解き放たれよう血色のケモノよ、喰らい引き裂こう<機関>の敵を。あらゆる総てはその贄として、今宵逆五芒が宴に供されたのだ――――、】
「よく来たね正義の味方サマ、だけどこの瞬間にさよならだ―――――――
…………お前たちが、狩られる側だ。微塵と砕けて早急に死ね――――――直ぐに、お仲間に後を追わせてあげるからさぁ!」
【碧い影を女は見た。瞬時に破壊を望み実践する。】
【微笑みと悪意が夜を突き抜けた。報告のあった標的を完全に視界に捉え――その様に意識、黝き“力”が遂に放たれる 】
【〇・三秒、異能の織る爆炎が虚空を翔け抜けた。同じ空間に、凍て果てた氷の弾頭が降り注ぎ“炸薬”が命を呑み込まんと灼熱の嵐を拡げる。】
【雨の様に破滅が降る。凄まじい力を行使する歓びが榛色をくすぐるが、“機関”の手の者による迎撃は苛烈さを増し続ける。】
【焔、炎、都市の悲鳴、哭き叫ぶ獄炎――――――リズミカルに砕け散る鋼鐵やモルタルや木々の音は、異能の原型を生成するこの地点まで届いて躍動するその殺意をどこまでも高揚させて、】
(――――、……!)
【けれど、侵入者の気配は途絶えていない。何らかの異能を以て回避・防御に成功したのか、初撃以外は爆炎に紛れて見失ったのか――――、】
「……未だ、終わりになんてならないんだろ?
未だ、その足は手は頭は動くだろう?
立ち上がれ、抜きなよ正義の味方――――――――――――死ぬまで一緒に踊ってあげる」
【どちらでも、己には同じこと。殺して殺して戮すだけ――――そして逆五芒は許されざるその目的を果たすのだと。】
【そしてひとがたの魔物は戦火に彩られた夜景を見る。能力者。正義の使徒。“機関”の齎すものと未来を否定するもの――――】
【混沌を、破滅を否定するのは正しいのだろう。……失えぬものを、抱くのならば。】
【黒き邪悪に向かい合うは銀の弾丸(シルバー・バレット)――――獣を穿つのはひとの意志か、最後の銃火の煌めきなのか。 】
【全てを賭して牙を剥く“悪”なるケモノは、百戦錬磨たる古強者を前に悍ましくも歓喜に満ちた咆哮をあげた。】
/遅れました……ッ、申し訳ないっ
/防衛側、≪No.12≫ダリア・レオンフィールドとなります。ロウさんの方、よろしくお願いします……!
/…何やら滅茶苦茶なコトをやってますが、完全に回避しちゃって下さい(懇願)。
/能力でも、街の構造(マンホールetc.)を使ったりでも大丈夫なので……!
49 2014/06/14(土) 21:19:28.36 ID:ciHM2vAzo(1/4)
>>31-35 >>41 >>46
「―――……カノッサに堕ちたセードムシティと関わるのは、これが最初で最後って訳か」
【大型兵員輸送機、フレズヴェルグの中。夕焼けと宵闇が入り混じり、時折ガタゴトとその体を揺らす機内で男はそう呟いた】
【魔女が被るような大きな紫色の帽子を被り、同色で縁に金色の刺繍が施されたローブを羽織る】
【手に持っているのは、男の身長ほども有る長い木製の杖。つまる所、お伽話に出てくるような魔法使いの格好だ】
【呟いたその表情は、何とも形容しがたいそれであった】
【この街の住民たちは、何らかの手段でもって自分達の敵となってしまったのだから。"彼女"の言う「狂った科学者」は、それを人為的にしてしまったのだという】
【だから、普段カノッサの能力者達を相手にしているようには出来ない。しかし、彼らを何とかしなければ強大な悪にたどり着くことさえ出来ない】
「狩人(ハンター)って訳にはいかねーか。……でも」
【しかし男の顔は、決意を露わにしていた】
【彼らに対し、狩猟(ハント)は出来ない。けれども、この街に巣食う悪の科学者を倒せば、彼らを救う事が出来る】
【セードムシティの住人を救い出す。その決意と覚悟は、確りと刻み込んだようで】
「―――英雄(ヒーロー)になるのも、悪くねーかもな」
【頬をパチンッと叩いて、男の精神的な準備は完了した。後は降下用の装備を着こみ、悪の根城へと踏み出すだけ】
【……いや、まだだ。"彼女"が1人づつに声をかけ始めた。その声の向く先に合わせて視線を振ってみれば、何だか特殊な人も居るようで】
【そんな場違いなことを考えている内に、"彼女"は自分へと、サポートを宜しくと声を掛けてきた。男の言うことなんて、もう決まっていた】
「こちらこそだ、セリーナ。……っつっても、助けられてるのは何時も俺の方だけどな……。
1人じゃねーんだ。皆で力を合わせれば何でもできる―――何てことは、言うのも恥ずかしいから言わねーけどよ。
今日は英雄(ヒーロー)として、戦わせて貰うぜ。宜しくな!」
【男――ライラはそう言い切って。最後に左手の掌と右手の拳を突き合わせた。その数分後、ライラは人生初のスカイダイビングを経験する―――!!!】
【『RAGNAROK LABORATORY仮設プラント』第6小規模実験棟――ライラは勿論、その名を知らないが――、その上空】
【其処からでも僅かに見える、制服を着込んだ兵士たち。その絶叫を聞きながらライラは、彼らの実態をやっと理解する】
【洗脳というか、何かに取り憑かれて狂気を顕現させているといったほうがいいだろうか―――本当にこの街の住人だったのかと疑いたくなるような光景だ】
【しかし、残念ながらそれは事実。彼らを倒さねば、奥の棟内へと侵入できない事も事実。殺さず、無力化するのが一番の手段だろう】
【余裕綽々といった表情で(本当は冷や汗を隠しきれていないが)着地したライラはすぐさま装備を脱ぎ捨て、何時もの魔法使いの格好へと変貌する】
【なっさけねーな……と近くにいる誰かさんに呟きながら、ライラも早速、行動を開始する。このプラント内の悪へ向けての"雷"撃戦】
【見えてきた敵兵――洗脳されたセードムシティの住民――に軽く舌打ちをしつつも、やはりライラもその銃口の前へ、堂々姿を表した】
「……お前らの顔を見て理解したぜ。テメーら、どっぷりカノッサに漬かってる訳じゃねーだろ? ……だったら話は早いぜ、道を開けな。
―――そんな玩具で、俺を撃てると思うなよ? 今日此処でテメーらをカノッサの手から救い出す、このライラ=フェルンストレームをな」
【手に持った杖を前に突き出しながら、そう啖呵を切るライラ。右腕に填めた5本――5色のブレスレットは、既に発光していた】
【それがどのような意味を持っているのか、対外ボランティアの彼らにはわからないだろうが……その威圧感だけは、確りと感じ取ることが出来るだろうか】
50 2014/06/14(土) 21:22:57.17 ID:ciHM2vAzo(2/4)
>>31-35 >>41 >>46
/挨拶忘れてたぁぁぁ!
/それでは主催者様、セリーナの方、谷山の方、よろしくおねがいします!
51 (SSL) [saga sage !red_res] 2014/06/14(土) 21:27:13.53 ID:Igws2bih0(3/5)
>>41>>46>>49
〔っ、耳を貸すな!! お前たちがすべき事はなんだ!? 機関の為、命を捧げる事だ!!〕
〔っぁ、があああああああああぁぁぁぁッッ!!〕
【所詮、と言うべきか。20人の一般兵士如きで、能力者の、それも選りすぐられた精鋭たちを止められるはずもない】
【良く見れば、恐慌をきたしている兵士は、2種の制服の片方ばかりに集中している事が分かるだろうか?】
【つまりは、そちらが現地徴用兵たる『対外ボランティア』で、比較的マシな方が、機関の古参兵に当たる面々なのだろう】
【しかし、恐慌をきたしている兵士たちの中にも、様子がおかしいものがいる――――牙をむき出しに、唾液をまき散らす様に『吼える』者が】
【――――≪No.6≫の狂気の産物の1つ『食人鬼兵(グールソルジャー)』。既に引き返せないその一線を越えさせられたものもまた、その場には居たのだろう】
【――――だが。時間稼ぎを命じられて、矢面に立たされた彼らは、結局のところ『捨て駒』でしかない】
【この兵士たちの行く末など、初めから決まっていたのである】
〔――――っぁ、うああああああああああああッッッ!?〕
【――――突如。彼らが背にして守り続けてきた実験棟が、大爆発を起こす。その余波を不意に背後から喰らい、その場にいた兵士たちも吹き飛ばされる】
【あるいはゴロゴロと無様に転がり、あるいは腕があらぬ方向にへし折れ、あるいは地面に赤い花をぶちまけながら身体の一部を砕き散らし】
【もはや彼らに時間稼ぎの役目を担うだけの力は失われてしまった――――否、もはや必要ないのだ】
――――――――ッフッフッフッフッフッフッフッフッ…………カッッッハッハッハッハッハッハッハ…………!!
【爆炎を背後に飛び出した『それ』は、ギシィッとアスファルトの地面を踏み砕きながら着地し、ゆっくりと面を上げる】
【――――全高が4mほどはありそうな、どす黒い色彩のメタリックブルーで彩られた、筋肉質の人型】
【背中には、その体躯を支えてなお余りあるだろうと言う説得力を持つ、巨大な一対の翼が折り畳まれ】
【肩口からは太く長い触手の先端に、それぞれ黒い髪の少女と赤い髪の少女の上半身だけが残っているものが、うねりながら飛び出していて】
【胸部には、様々な機械が無節操に肉塊で繋ぎ合わせられた上から、筋肉の蠕動によって不規則に開閉を繰り返す装甲板が被せられ】
【そしてその頭部は――――『半透明の蛸』としか表現の仕様が無い形状をしており、額の青い石と黄色の瞳を不気味に光らせる】
【蛸の頭――――本来は腹なのだが、一般にはそう呼び習わされている箇所には、半透明の中に2つの人間の脳が鎮座して、一方が一方を絡め取っている】
【そんな――――――――『化物』や『悪魔』と言う以外に表現しようのない何か。『それ』がこの場に姿を表したのだ】
……地獄の釜の蓋は、今開かれた……!! これがこの世界の終わりの始まり……!! 成功じゃ……この『身体』ぁ……!!
貴様らはもう、わしには勝てん!! わしが許す事はただ1つ――――『死ね』ぇぃッ!!
【既に人間の物ではない口から発せられるのは、しゃがれた怒号。その声に聞き覚えのある人物がどれほどいるかは分からないが――――それは正しく≪No.6≫、グラトン=ブルーガー=ウルバヌスのものだった】
【つまりはこの異形、彼の、グラトンのなれの果ての姿なのだ。その事実を信じられるだろうか?】
【確かにグラトンの研究は、生物の改造と言う分野にも及び、それによって生み出される産物をひたすらに求めていた。だがそれでも、人間がこんな風になる事など、想像できるだろうか?】
――――――――クゥァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッッッッッ!!!
〔あ、ガアアアアアあ、あ、あ、ああアア、ア……ッッッ!!〕
【そしてそのまま、グラトンの変異したその怪物は、咆哮する。それは『地獄の象』『悪魔の象』と言うのがいるなら、こんな叫びだろうと思わせる様な】
【そんな、甲高く全てを引き裂く様に耳を劈き、それでいて低く全てを押し潰す様に身体に轟く、暴力的な咆哮だった】
【かろうじて生き残っていた兵士が、頭を抱えながら身体を蝦反りに折り曲げ、そのまま身体を引き攣らせて硬直し絶命してしまう様な、死の咆哮】
【それは正しく、やってきた戦士たちを前にして絶望を叩きつける、悪魔の産声と言うべきものだった】
52 (SSL) [sage saga] 2014/06/14(土) 21:36:37.02 ID:O3v59YQQO携(1/2)
【機内でミハエルはセリーナの演説を聞いた、しかしその口は閉じられたままで】
【緊張感から来るものなのか、それは誰にも分からないだろうが、一つだけ確かな想いが彼にはあった】
【それは生きて帰ること、セリーナが自分の名を呼んだとき、少しだけ口を開いた】
……ああ、全員無事で帰ろう。
>>40
【パラシュートで降下していくと、自分の向かう先には広場が見える、しかしそれよりも目を引くものがそこには居て】
【まず目に写るのは 二つの異形、広場の光景はその次になる】
【それほどまでに目の前の異形は浮いていて、まるで水彩画の中に描かれた油絵だった】
【それらを瞳に写す人間の内の一人は、身長180以上はあるだろう男】
【アシッドグレイの長髪は後ろで一本に纏めていて、顔は20代後半程であろうか】
【白いワイシャツと黒のスラックス、靴は動きやすい黒のスニーカー】
【全て動きやすい服を選び、髪も結んでいることから 戦闘を想定した服装なのだろう】
【>>43のカミナがカニバディールに攻撃するのを見たなら、自分の相手はその傍にいる怪物になるのか】
【何にせよ、地上まで十数メートルのところでミハエルはパラシュートを外す】
【高い場所からの着地なら幾らか訓練されているし、何より的になるパラシュートでいつまでも飛行している訳にもいかない】
【しっかりと受け身をとって着地したなら】
(カニバディール…………昼の国の事件のアイツか……!)
生で見るのは初めてだ、お前がNo.29、カニバディールか……
一つ言っておく、俺は生け捕りなどと考えてはいない、お前が今言った通りだ。
…………殺し合いではない、殺すのは俺だけだ……!
【彼……ミハエル・ガーナランドは、これから目の前の敵と交戦することになる】
【正義とは思えないような言葉を放つ彼は、灰色の瞳でカニバディール達を見据えて】
【戦場という環境が、彼をそうさせるのだろうか】
【ミハエルは構える、と同時に彼の隣には小型のスロットマシンが出現して そのルーレットを回し始める】
【少ししてから止まると、そこには『4』と記されていた】
【その直後 彼の手には一つの武器が現れる、トンプソン機関銃に近い形状、やはり銃だろう】
【ミハエルはそれをカニバディール達に向けて乱射する、勿論容赦はない】
【十数秒間撃ち尽くしたなら、相手の出方を伺うだろう】
/ミハエルです、お二人様、本日はよろしくお願いします!
53 (SSL) [saga sage] 2014/06/14(土) 21:36:37.95 ID:coNjF5lA0(3/4)
>>42
【空中で優雅に自分が担当している場所に来る人物――彼はそれを確かに見た】
【彼が使っているゴーグルそのゴーグルにはさまざまな機能がついており望遠鏡の代わりにもなる】
【彼はその手をゴーグルの横の調整装置を使いその人影を見た】
やれやれ、敵か打ち落とすのは――無理か
【こちらに残った戦闘員からの攻撃するかどうかの無線が聞こえるが降下してくる『人影』は射程距離から外れている】
【攻撃すべきか否か無線が聞こえていたが射程距離から外れたのかわかったらしく無線から声は聞こえなくなった】
【その後二人の人物がこちらの目と鼻の先に着地してくると静かにRK-11を構える】
…………
【彼はそのジンジャーと名乗った男に対して対しては一切の反応も言い返そうともせずにRK-11の安全装置を解除する】
【そして彼は何の躊躇もせずにどちらにも目標を定めずにRK-11をぶっ放した】
例のアレの準備を、ああアレだ、非人道的であろうと気にするなどーせこちらはそういう組織だ
【攻撃をした後に彼は全力で後ろを向いて走る、その途中で無線機に対してそのように言うだろう】
【彼が無線機に対して言った言葉ははたして二人に対して聞こえているだろうか?】
【さて、彼が移動した先はちょうど土嚢が用意されている、その場所に彼は隠れるだろう】
54 (中部地方) [sage saga] 2014/06/14(土) 21:45:40.48 ID:HWzDyONto(5/5)
>>45
ふ………威勢の良い女子じゃの。正義を背負い立つというからには、それぐらいは言ってもらわねば張り合いもない。
――――――――散開せよ! 始めるぞ!!
【老人は静かに、カズネの一挙手一投足を睨んでいた。その勝気な言葉を楽しそうに受け取って――――彼女が右掌を突き出したときにはもう、叫んでいた】
【『対外ボランティア』の三人が、その声に弾かれるようにバラバラに動き出す。元は単なる住人でしかなかったのだ、表情に焦燥が浮かんでいるのは仕方ないが】
【刀剣を盾としつつ、魔弾に対して移動し続けることで被弾数を少しでも減らす。多少なりともダメージは入ったが、残念ながらまだ昏倒にまでは至らないだろう】
なるほど、先に取り巻きを散らすか。悪くはない判断だが……。
ここは戦場。女であろうと手加減は出来ぬ――――この儂の前でそのような甘い判断を下したツケは、払ってもらう!!
【そして、カズネが放つ魔弾が自分に向かってこないと判断するや――――もしこの時、老人の動きにしっかり注意していなければ】
【気付いたら、老人が目の前にいた、と。そんな風に思ってしまうかもしれない。そうなった場合、この戦いは一瞬にして終わるだろう――――】
【……それは風よりも速い疾走であった。たったの数歩で、一秒に満たない時間で、老人はカズネの目前にまで踏み込み≠行い】
【打ち込まれるは神速の一閃。銃弾にすら匹敵しかねない速度を帯びたレイピアでの刺突が、カズネの喉元へ叩き込まれる!】
【一打目から脅威としか言いようがないが……刺突ゆえ、攻撃範囲自体はごく小さい。老人の尋常ではない速度≠ウえ見切れれば、回避はそれほど難しくなく】
【また、当たるにせよ当たらないにせよ、老人は突き出したレイピアを即座に引き戻す≠セろうか。これにより、攻撃後の隙は極端に小さくなるが】
【突き込みに全力を注いでいない分、威力自体はそう高くない。盾などの防御を貫通するほどの力は無いはずだ】
>>47
儂は君らに期待しておるのじゃよ。手加減などできぬ相手であって欲しいと。
女子供だろうが犬っころだろうが、戦場に立った以上は平等。
この儂を悪≠ニし、自分自身を正義≠ニ名乗るのであれば――――相応の力を見せてみよ。
【世にも奇妙な『喋る犬』が目の前に現れても、老人は薄ら笑いを浮かべるだけで別段驚きはしなかった】
【長い年月を経て積んできた経験が、老人に尋常でない胆力を与えているのだろう。言葉尻からも戦いにかける想いが強く伝わってくる】
【――――戦場に命の貴賤はない。人間だろうが化け物だろうが、死ぬ奴は死ぬ。老人の双眸はそう語り掛けるようで】
【……悪≠背負った老人は、それ以上を語らなかった。後は刃を交えて語るのみとばかり、犬の瞳を強く睨みつけ、吼える――――】
――――儂がこの女の相手をする! お前たちはその犬を押さえよ!
【時間軸としては、これは老人がカズネの方へ攻撃したのと同時である。そしてその指揮は、少しばかり不味いものであったかもしれない】
【老人はこの一瞬で、カズネが近距離戦を苦手としているのではと推測したようだった。近接戦を得意とする老人がカズネの相手をし――――】
【残る兵士達が戦法の読めないAzothを抑えるという、嫌らしい戦術。個人としての技量のみならず、戦術眼に長けていることが伺えた】
「了解! ……う、うわぁっ!?」
「この、犬風情がああああああああああああああああッ!!」
【その指示を受け、三人のうちの一人がAzothと老人との間に滑り込む。刀剣を構え腰を据え、Azothの爪を受け止める】
【老人と比べると彼らの技量はかなり劣るようだ。攻撃を受け止めた兵士は勢いに負け、そのまま尻餅をついてしまうだろうか】
【チャンスではあるが、しかし――――兵士が一人ではないことを忘れてはならないだろう。残り二人はその間に、Azothの左右に回り込み】
【狂ったように叫びながら、胴体へ向けて同時に刀剣を振り下ろす――――!!】
【……力任せの一撃ゆえに威力は高いものの、その分隙の大きい攻撃だ】
【回避することさえ出来れば、カズネの助けに向かうでも兵士へ反撃するでも、選択肢の幅は多いだろうか】
55 (SSL) 2014/06/14(土) 21:51:45.52 ID:23v+MdUk0(1)
解
56 [sage saga] 2014/06/14(土) 21:52:49.55 ID:eGGuhRMe0(2/2)
【街外れ――丘のある公園、ちいさな丘の上】
【満月から少し通り過ぎたお月様が真っ直ぐに世界を照らす、街灯は遠いが、十分すぎるぐらいに明るくて】
【しゃりしゃりと紙の擦れる音がして、ちょこんと座り込んでいた人影が動く、――ふと、視線を上げたと思えば】
…………雨降りそ、?
【そう呟いて――暗雲の立ち込める空を見つめるのだった、ぱちくり、疲れたように瞬く視線は、文字を追いかけすぎた代償】
【その手の中にあるのは新聞紙、これが、さっきから。時折がしゃしゃと音を出していたらしい、それをはんぶんこに折りたたんで】
【雲のほんの隙間に見える月を見上げてぼんやりとする、ふああっと欠伸なんて零せば、ずいぶんと気の抜けているのが窺えて――】
【空とよく似た色をした真っ黒の髪色、三つ編みにしたハーフアップが湿っぽい夜風に揺れて、緩く靡き】
【黒色と赤色のオッドアイがまあるく艶めく、それから――右の耳にだけ付けられたピアスが、きらっと煌いて】
【白色のブラウスに締めた濃灰色のリボン、黒を基調にしたジャンパースカートは、パニエにふっくらと膨らんでいて】
【爪先の丸い木底靴は爪先をきちんと揃えた体育座り、その足をぐーっと伸ばしたなら、膝の上に両手を置いて】
【――少女だった。こんな場所で新聞を読んでいるというのは、すこしだけ、不思議だったけれど――】
降るのかな……、……傘持ってないや。
【両足の間に手を入れて。疲れた足をぱたぱたとすればそのたびにスカートがひらひらと揺れる、太ももが僅かに覗き】
【じっとりと湿った風は遠くの雨の気配を連れてくる、まだ降り出しそうにないけれど――気をつけるに、越したことはないはず】
【――とりあえず。宝玉の欠片を身につける少女はぼんやりと雲を見上げることにしたらしい。その視線の先を、鴉が一羽通り過ぎて】
【かーっと鳴き声が置き去りになる、物音といえばそれと、風の音ぐらいで――静かな、夜ではあった】
【(その少女が身につけた宝玉の欠片から零れる水属性の濃い魔力、それが、静かなままで確かな存在感を放ち)】
【(静かではあるのだけれど、不思議とその少女の姿は目立つのだった。ぱたんと足が地面を叩いて、しゃらと微かに鳴る草の音)】
57 (関西地方) 2014/06/14(土) 22:02:48.46 ID:RQaY++klo(2/3)
>>54
だろうな
【予想していたかのように、あきらめにも似た一言をぽつりとつぶやく、犬】
生憎、私は自身を正義とは思ってはいない――悪でもないがな
――爺さんが戦いに楽しみを見出しているように、私は戦いを持って示すだけだ
……正義はそれに付随するだけだ
【自身のために目的のために"正義"を背負った男……いや、雄】
【その犬は老人へととびかかり……ものの見事に間に割りいられる】
(疾い……)
尻もち程度でよかったな!これが銃だったら死んでいただろうな!
【そしてタンッと自身の爪を受け止めた剣を押し、そのまま空中で後転……迫る剣を避ける】
【どうやら、魔法を使うわけでもなく、特殊な能力も見られない、犬の身体能力で回避している】
悪いが必要以上に傷を負いたくはないからな
(あいつを抑える必要がある……あの三人は威力はあるが避けることはまだ容易い)
【チャッと爪がコンクリートの床に擦れて音が立つ、カズネの方を見れば近接戦を強いられている模様】
【パッと見たところ彼女は魔術師のようであり、そういう人間は往々にして近接が苦手なものである】
【この犬の勝手な思い込みだが、それは今回は的を得ていた】
(待ってろ……!)
【既に"突き"の放たれた後、もう勝負はついているかもしれない】
【だが、もしそうだとしても背後を討たれるよりはましである、そう考え、犬はカズネと老人の元へと駆け、二人の間に割り込もうとするだろう……!】
58 2014/06/14(土) 22:05:52.92 ID:wOk9VgKho(3/4)
>>54
やっぱりアンタが頭って訳ねっ!
【連射が終わった爪から小さく煙が立ち上る】
【老人の指揮により結果魔弾は目的を果たせなかった】
【当初の予測通り彼がこの場を纏める頭で間違いはないようだ、そしてつまりそれは――――――――】
(アイツを倒せばこの場を治める事も可能ってコト!!)
【ここで兵士から老人へと目的をシフトさせる】
【魔翌力の流れを視覚的に捉える錆の瞳は強く老人へと向けられる】
【それにより老人の動きが僅かとはいえ捉えられたのは幸いだった】
払うも何もっ―――――――はやっ!?
【息を呑む程度の刹那言葉を返す間もなく彼はいた】
【死がここまで近くにあったことはなかった、幸い?目の前に迫る死を見る事が果たして幸いなのか】
【叫び声をあげる暇もなしに、必死にその場にしゃがみ込む風が吹き込む音が聞こえたのは気のせいではない】
このじいさん!冗談じゃ、ないわよっ!!
【この老人は間違いなく自分の天敵だった、極端に高鳴る鼓動と額を流れる冷や汗が語っている】
【とにかくこの厄介な敵を引き離さなければ打つ手がない】
【声と共に3つの爪のその先端部及び中腹部の装甲を展開、装甲が下がる事により内蔵している魔翌力炉が露見】
【そして内包する魔翌力を放ち剣状に形成、実体なき魔翌力の剣は奔流により焼き切る為のもの】
【3つの火線ともいうべき剣をただ無作法に老人の腹部に向けて薙ぐように振る】
(迎撃、迎撃、迎撃――――――――!)
【今必要なのは距離という概念だ、自分の必殺の間合いを保たなければ勝利はない】
【右方に構える3つの爪は再び回転を始めざっくばらんに魔弾を放つ】
【正確な弾道計測は一切ない、ただ相手を引き離したいが為の攻撃……】
59 (チベット自治区) [saga] 2014/06/14(土) 22:08:51.07 ID:hRpym2aVo(5/7)
>>46>>49>>51
【―――ほんの一瞬だけだったが、セリーナは目を伏せた。そして止むを得ない、そう判断したのだろう。】
【すかさず名銃・コルトSAAを引き抜き、腰元で素早くファニング、クイック・ショットを決めようとした―――その時。】
【まず、結論から言えば弾丸は放たれなかった。兵の持った銃器を狙って放たれるはずだった45.は、放たれる事無く、銃毎地に落ちる。】
【そして更に言うならば―――その唐突な"爆発"、兵の護っていたプラントの崩壊の余波を受け】
【セリーナは爆風で吹き飛び、兵士達同様、風と地面に叩き付けられたダメージで幾つか、身体を痛めるが―――】
【それ以上に、彼女は激怒していた。痛む身体を押さえて無理やりに立ち上がり、その光景に眼を奪われ―――瞬間、吼える。】
―――――――グ、ラ、トン……!! ――――おまえ……ッ!!
それが―――……それが、"仲間"に向ける言葉かァッ!!
【手駒、確かにその通りなのだろう。役目が終わった、それも正しいかもしれない。だが、だがしかし。】
【彼等は半数が街の住民で、そしてもう半数はグラトンの、カノッサの仲間であったはずなのに―――この仕打ち。】
【奥歯をぎりり、と噛み締め。彼女は吹き飛んだコルトを拾い、素早く"弾"末魔を引き抜くと―――もはや、躊躇もせずに。】
『パーム・オブ・ストレングス/剛毅の掌』―――起動、アーマードチェンジッ!!
騎士怪醒――― ティターン・アーマー "RV" (レボリューション)
/続きますっ
60 (チベット自治区) [saga] 2014/06/14(土) 22:09:06.27 ID:hRpym2aVo(6/7)
>>46>>49>>51
【瞬間、彼女の身につけていた新型装備―――シンボリックウェポン、"剛毅の掌"が起動、変形。】
【通常状態ではガントレット型の装備であったそれが姿を変え、"弾"末魔の銃身に覆いかぶさるようにすると】
【ストック、狙撃スコープ、超ロング・バレルが"Colt Navy 51"のボディに追加装備として備わり―――刹那、発砲ッ!!】
【以前よりも威力を増した強烈な"魔弾"が、紫と黄金の交じり合った閃光を放ちながら眼前で停止、すかさず召還陣を起動ッ!】
【進化した"弾"末魔が放った召還陣は、蒼白いソレではなく美しい黄金に輝いており、その前面がセリーナの身体を透過した、瞬間。】
【セリーナはセリーナで、なくなっていた。太古の巨人族、ティターンの皮膚を模した強靭な魔力装甲の魔導鎧を装着し、怪物の様な姿に】
【―――だが、以前にティターン・アーマーを見た事がある者ならば、今回呼び出されたその武装に変化がある事に気付くか。】
【まず眼を引くのは大きな群青色のマント―――ガンマン風の装備に例えるならばポンチョにも似たそれは、対刃防弾の特殊繊維で】
【その上両腕部には二対の巨大なガントレットが付加され、更に胸部装甲、脚部装甲も追加の鎧で大幅に防御力を上昇させている。】
【そして見た目に一番大きな変化と言えば―――背中から肩にかけて装備された一つの巨大な"魔装銃"の存在。】
【折り畳み式の副銃身を持ったそれは控えめに見ても強烈なインパクトを残し、そして頭部、主に眼の部分には追加で】
【スカウターの様な装備も現れており―――つまり、ティターン・アーマーは"進化"していた。それも、革新的<レボリューション>に。】
グラトン……此処にいた兵士達は、半分は町の人間、そしてもう半分は、アンタの仲間だった人間達だぞッ!!
それを、こんなに……こんなに、傷つけて……あまつさえ"嘲哂う"その腐った性根、今度こそ……
今度こそこの―――セリーナ・ザ・"キッド"が、完全に叩き潰してやるッ!!
新しく手に入れた、『パーム・オブ・ストレングス』と―――進化した、"相棒"<弾末魔>の力でッ!!
【叫んだセリーナは咆哮の織り成す"音"の衝撃波を防ぐべく、マントを翻し前面に展開ッ!】
【すかさず襲い掛かった衝撃波を防ぎ切るが、それにより防護繊維は消耗、そしてセリーナ自身も後退、したが】
【―――それを物ともせず、彼女はマントを翻すと爆走、重い鎧のボディを風の様に奔らせ、そして両腕部の武装を起動ッ!!】
"コイツ"が―――生まれ変わったティターン・アーマーの、新しい武器だッ!!
【両腕部の副次装甲が展開すると、そこから特殊な形状をした銃口が左右の腕に一つずつ現れて】
【セリーナが両腕を構えると、その動作に伴い銃口は一斉に光り輝き、弾丸を発射―――否、放たれるのは弾丸ではなく。】
【もっと大型で、そしてそれでいて"矢"のような形をした特殊な―――ティザー・ダートだ。つまりは、電撃を発生させる鎮圧武装ッ!!】
【対人用の護身武器として活躍する、電撃を与える事で敵を無力化する小型の物は民間にも存在するが】
【このティターン・アーマーRVに装備された両腕のティザー・ショットは電力の大きさを自在に変化させられる優れもの。】
【民兵に対しては痙攣で済むレベル、そして強大な生命体に対してはその行動を阻害するような強烈な電気ショックを―――放つッ!!】
【ダートが命中すれば、そこからは肉体の、筋肉に作用するような高電流の電気ショックが一定時間、流出する。】
【セリーナの両腕から放たれたダートの数は左右二本ずつ、計四発の矢が巨大なボディめがけて直進するだろう。】
61 (関西地方) [sage saga] 2014/06/14(土) 22:12:34.12 ID:BIqpxMrLo(3/5)
>>43
【影。自分たちの巨体すら、覆いつくさんとするそれは、古き正義の軌跡】
【視線を上に。大男の単眼と熊の両眼が捉えたのは。純白の巨鳥であった。幻想的とすらいえる光景は、惨劇の地には似つかわしくない】
【以前の目よりも高性能な単眼が、それを"折り紙"であると持ち主に伝え。持ち主はそれを受けて醜悪な笑顔を顔いっぱいに浮かべた】
【この男は、知ったのだ。今宵の敵の片割れが、何者であるかを】
――――貴宝院 織守ィィィィッ!!!
【放たれた矢の如く、まっすぐにこちらへと降りてくる彼女の叫びを受けて、大男も叫び返した。倒すべき正義≠フかつての名を】
【叫びと共に放たれたのは、"紙飛行機"。彼女の扱うそれが、いかに侮れない武器かは身をもって知っている】
【早く鋭く、だがそれゆえにその動きはよく見えた。大男は、バトルアックスを振るってそれを迎え打つ】
【斧の刃が、紙飛行機の先端を弾き、攻撃力を低下させると同時に軌道を自分から外す】
【地面に紙飛行機が突き立てば。体勢を立て直して、大男は降り立った彼女の姿を視界に捉える】
【抜身の殺意が、こちらへ叩きつけられる。空気がビリビリと震える。この場に染みついた腐臭すら、蹴散らすほどに】
こうも早く再会の時が来るとはな――失意の目覚めからは、立ち直ったというわけかね?
ハハハ、今更念仏など唱えたところで、神も仏も我々は救えないだろうよ。ならば、お前たちへの呪詛でも吐いたほうが、まだ有意義というものだ
お前たちなら、念仏も意味があるだろうがな。一つ、唱えてみたらどうだ
【向けられる敵意、殺意に真っ向から悪意を持って相対し、醜悪な笑みで吐き連ねる。その単眼の前で、構成されていく折り紙】
【彼女の戦闘態勢。それを先に潰そうと、カニバディールが身構える。が、もう一人の正義がそれを許さなかった】
>>52
おっと、新手か……
【パラシュートを空中で外して、地上に受け身を取って着地。鮮やかなものだ。感心したように、大男が息をつく】
【現れた男は、第二の敵。初めて見る顔だが、相手は自分を知っているらしい】
その通りだ、私がカニバディールだよ。それで、お前はどこの何者だね? 名前と所属、くらいは聞かせてくれてもいいだろう?
当然だな。戦場で、敵を生捕ることを考えているような余裕などあるまい
だが、殺すのはお前だけだと……? それは少々、うぬぼれが過ぎるぞ
【単眼が、彼の灰色の視線を睨み返す。ここでは、彼は正義であると同時に戦士だ。投げつけられる言葉も当然といえよう】
【と、彼の力が発動する。スロットマシンの出現。さすがのカニバディールも、わずかに面喰った顔をする】
【ルーレットの回転、示された数字。召喚される武器。容赦のない、弾丸の嵐】
ぬう――!!
「ゴガアアアアアアアアアア!!」
【放たれた弾丸が、二体の異形を襲う。カニバディールは、作業服の袖を押し破って膨張させた肉塊で、その大半を受けた】
【肉塊の表面にいくつも穴が開き、血が流れるがその量は大したものではない。肉を盾にして致命傷を防ぐ、カニバディールの常とう手段だ】
【一方の巨熊。カニバディールの肉が銃弾のいくつかを受けるも、全てを捌き切れはしない】
【必然、その身を銃弾に射抜かれる。が、そこはあのグラトンが作り上げた生物兵器。ダメージはあれど、倒れはしない】
【厚い筋肉と適度な脂肪、全身の剛毛がダメージを軽減。カニバディールと同じく、鮮血を流すに留まった】
ぐ……なかなか愉快な能力を使うな……
/続きます
62 (関西地方) [sage saga] 2014/06/14(土) 22:12:53.60 ID:BIqpxMrLo(4/5)
>>ALL
さて……この場の役者は揃ったらしい。それでは、改めて紹介しよう
『ウェンカムイ』。RAGNAROK LABORATORYが産み落とした狂気の生物兵器の一つだ
開幕から無粋な銃弾を浴びてしまったが、何、獣は手負いでこそ獣だよ。なあ、ウェンカムイ……
【背後の熊を指してそう言いつつ、カニバディールが熊の側を向く。と、熊がその身を地面に伏せた】
【カニバディールが、素早くその背によじ登り。バトルアックスを構えた】
【音が、聞こえ始めた。これは、口笛の音だ。高く低く、正確な音程で奏でられる口笛】
【その主は、眼前のカニバディール。この異形には似つかわしくないほどに澄んだ音色だった】
【能力によって身体に生やした口でもって吹く曲目は、有名な童話で使われているものだった】
【力持ちの少年が、勝負で負かした熊を子分にして活躍する、そんな筋の童話。そのテーマ曲】
【それに反応したかのように、ゆっくりとウェンカムイが立ち上がる。そこに現れたのは、斧を携えた肉の怪物を背に乗せた熊の化け物】
【童話になぞらえたつもりか。それにしては、醜悪にも程があった。カニバディールの表情は、笑う形に歪んでいる。一片のユーモアも含まない、悪ふざけ】
【ともあれ、戦闘態勢が整う。わずかな沈黙は、熊によって破られた】
「グゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
【広場を揺るがす咆哮と共に、ウェンカムイが地面を蹴って駆けだした。四足での走行。データでは、最高時速81km/hを記録したというほどの俊足】
【向かう先は、>>52のミハエル。瓦礫を蹴散らしながら、まっしぐらに迫っていく。巨獣の突進、しかも角のおまけつき。直撃すれば、無傷では済むまい】
【突進自体は見切りやすいが、四肢がまき散らす足元の瓦礫が厄介だ。ランダムに飛び散るそれらも、当たればその身を削るだろう】
【ウェンカムイにまたがるカニバディールは、単眼を>>43のカミナへ向ける】
【バトルアックスを振りかぶると、柄のマギタイトが光り始め、その刃に魔力の光が纏わりつく】
【横殴りに、空中で斧が振るわれた。ミハエルに向かっている以上、カミナとの距離は離れているはずなのに。だが、この武器はその距離を踏み越える】
【マギタイトによる魔力を付与された光の刃が、空中を滑るようにカミナへと向かっているのだ】
【命中すれば、その身に熱による火傷を刻まれることになる。軌道はやはり単純、しかし横に広がった光の刃の攻撃範囲は広い】
【ミハエルに向かう熊の突進。カミナへ迫る光の刃】
【二人はいかにしてこの攻撃に対処し、熊に乗った単眼という醜悪な合わせ技に対抗するのか――】
63 (東京都) [sage saga] 2014/06/14(土) 22:17:51.07 ID:f3A5+C4so(2/3)
>>49-51,59-60
「――ちィ……ッ!!」
【五感を強化し、思考を加速していたのが功を奏した】
【眼前で生じた爆発。無数の瓦礫の群れ、一歩前に出ている己。取る行動は決まっていた】
【右腕をホルスターに伸ばし、リボルバーを引き抜いた。都合六度、狙いなど決めること無く引き金を引く】
【放たれる弾丸の群れは散弾。Taurus M513 JUDGE MAGNUM=B世にも珍しい散弾拳銃≠セ】
【狙いはなく、ただ放たれる散弾によって瓦礫を散らすことを目的としたその行動は成功。致命傷は無かった】
【手早くベルトポーチからムーンクリップを取り出し、排莢。弾を入れ替え谷山はジャッジをホルスターに戻した】
【爆風を突き抜けて現れたのは、無機質と有機質の混ざり合った異形そのもの】
【それを見て、それを認識して。谷山は口元に笑みを浮かべた、正義を名乗るには余りにも歪なそれを】
【ばちりと紫電が神経系から放出される、右目と左腕から放たれる燐光が光量を増す、負の気配が増幅していく】
「――おーおー、醜いねェ糞野郎。
どーしてくれんだ、俺のサイトに載せる前に画像処理してモザイク掛けとかなきゃならねーじゃねーかよ。
……改めて理解したぜ。お前は敵だ。お前がお前にとっていくら正しかろうか知ったこっちゃない。
俺の正義の敵は、俺が斃す。俺が許すことも一つだけだ。『死ね』ゴミクズ――――ッッッ!!」
【言葉を連ね立てていく。その言葉が連なるほどに谷山の瞳には、言葉には、姿には熱が宿っていく】
【己の正義の敵≠斃すという強い意思の発露は、燐光の増加で如実に現出する】
【左手を右目にかざす。右目をえぐり出さんとばかりに強く強く、爪を立てて戦意を解き放つ】
「Hello World――――Over Clock!!」
【谷山の左腕だけに浮かんでいた黄緑色のラインが、右目の周囲に広がっていく。皮膚の一部が結晶化した】
【顔や首元から突き出る黄緑色の結晶は、アートマン体。生体とアートマンが混ざり合う谷山もまた、異形だ】
【そして、そのコンマ数秒後に襲いかかってくる咆哮。それに対して、谷山は息を深く吸い込んだ】
『シャアァ――――――!!』
【吐息に混ざるライムグリーンの燐光、結晶。そして強まる気配は――哲学者の卵のもの】
【与えられる恐怖と絶望を、谷山は己のよく知る狂気で上塗りした】
「ッハハハハ……! クズだなァテメェ。
だから死ね。――セリーナ! ライラ! 俺が隙を作る! テメェらは隙が出来たら好き勝手すればいい!!
んじゃ、死んでも死ぬなよ――ッ!! Code-BlackOut!!」
【左腕に纏わりつく燐光を収束し、腕をなぎ払うことで視覚化されたデータの波動を前方へと解き放つ】
【強い光は視界を遮り、触れたならば神経系に大量の不要な情報を送り込むことで、五感に異常を起こす効果を持つ】
【そして、右腕を跳ね上げるようにして動かし、その光の後に銀色の線を引く。ダガーナイフだ】
【それにもまた、違う効果が載せられている。当たってもダメージこそ殆ど無いだろうが、神経系を強化≠キる効果を発現させるものだ】
【痛覚を異常に励起させ、些細な動作にも痛みが付随する状態を起こすそれ。全身知覚過敏≠ニも言える異常だろうか】
【それらのどれもが、それ単体ではグラトンを斃すことは決して適わないもの。だが、それ以外が有れば良い】
【そして、今此処にはそれ以外がある。だから谷山は――徹底して相手を妨害し、隙を作ることに注力することとした】
(――いざとなりゃ、奥の手の奥の手。
4つ以上は使ったことは無いが。やってやるしかねェな、やるしかよォ……!)
【己のベルトポーチのポケットの一つに収まる哲学者の卵。それに意識を向けつつ】
【谷山基樹は鞘に収められていた肉厚の短刀身タイプのシースナイフを右手に握り、左手の中指と人差し指を滑らせた】
【そして、五感に意識を向ける。今から得られる情報は、全て敵を倒す術の策定とプロファイリングの材料となるものだ】
【相手の肉に覆われた関節部の構造、全体の筋量、重心のバランス、装甲板により阻害される動作範囲】
【異能を使用しない場合でその翼を用いることでどの程度の高度まで飛行が出来るのか、持続時間はどの程度か】
【その見ているだけで不快な異形の姿を、谷山は五感の全てを思考の全てを用いて認識し、分析を開始していた】
64 2014/06/14(土) 22:30:27.05 ID:ciHM2vAzo(3/4)
>>51 >>59 >>63
「……そうか、あっちの方が『対外ボランティア』って訳な……!」
【二種に分けられた制服と、恐慌とその制御に大別された彼らの反応は一致している。機関兵と対外ボランティアの見分けは一瞬で付いた】
【問題は、彼らをどう捌くか―――。見れば、対外ボランティアの方にもその様子がおかしい人間が居る。彼は、他よりも『一歩進んでしまった』のか】
【そんな彼らを魔法で、或いは二人の能力で、どうすればいいのだろう――――――そんな思考は、最初から必要なかった】
「クッ――――――ッ!!! なんだ!? 何、が――――――」
【突然の爆発。兵達は対処できなかったのか、はたまた対処など初めから想定されていなかったのか、その爆炎に次々と命を散らしていく】
【そんな一瞬の出来事の中、ライラには彼らを救う何て英雄じみたことは出来なかった。出来たのはただ、顔を腕で覆ってその熱気から逃れることだけ】
【遂には耐え切れず、後ろへと転がり、そして止まる。立ち上がった刹那、飛び出してきた『何か』に反射的に言葉を紡ごうとして―――口が止まり、息が詰まった】
「――――――あれが……、アレが人間だったっていうのか……!?」
【巨大で、おおよそ人間とは思えないような色で彩られた体躯。背中からは翼が生え、肩からは触手。その先端には少女の上半身】
【人体と機械をミキサーで混ぜ合わせたかのような胸の構造。そして頭は最早人頭ではなく、半透明の蛸。一つの脳が、もうひとつの脳を絡めとる】
【―――冒涜的だ。しわがれた声は、正しく出撃の前に聞いたグラトンというカノッサのNo.6。悪魔を体現した科学者のそれそのものだ】
【しかし彼も、また人間のはず。それが、コレの元の姿だというのだろうか】
【ライラは、沢山の異形の者を見てきた。特に、機関No.29の彼とは因縁が深い。だが彼も、その配下である盗賊団も、コレのようではなかった】
【こいつは既に、人間の領域を大きく外れているのだ。人間を止めたその怪物。もう人に戻ることなど出来ないのだろう】
「ッ……テメー……やってくれるじゃねーか。
セードムシティの住人だけじゃなく、カノッサの兵まで捨て駒ってか? 笑わせてくれるぜ……。
本ッ当に! 舐め腐ってんじゃねーぞグラトンッ!! その自慢の体、テメーの目論見ごと徹底的にぶっ潰してやるぜ!!!」
【直後、襲い来る咆哮に対してライラは防ぐ術を持っていない。だが、持っていなくても十分だった】
【なぜならば、ライラには精神力があったから。何度倒されても決して折れないそれを】
【数々の英雄たちに比べればまだ脆くても、グラトンの咆哮に十分耐えきれるような強靭なそれを持っていたから】
「 F 2 S 1 ! ! ! F r a m e B o m b e r ! ! ! ! 」
【防ぎきれば今度は此方の手番。赤と緑のブレスレットが減光し、ライラの眼の前に現れた同色の魔法陣を杖で思い切り突き上げれば】
【出現したのはサッカーボールほどの紅い球体だ。それが放物線を描き、さながらサッカーのループシュートのごとくグラトンへと迫るだろう】
【何も障害がなければ当たるのは胸の辺りだが、もし何かに当たることが有れば、その瞬間その球体は炎と衝撃波をまき散らして爆発する!】
【だが、グラトンの体と比べればその攻撃翌力は大きくないかもしれない。様子見の攻撃をしかける所、ライラも強かさを手に入れたようで】
65 2014/06/14(土) 22:31:04.30 ID:LzO/A2hTo(2/3)
>>53
「――――ッ!!」
【何も言い返すことなく、銃の安全装置を解除した瞬間にジャンクちゃんが前に飛び出し、跳ね上がる】
【飛来してくる弾丸、その内ジンジャーの体を貫きかねない軌道の数発を見極めると―――そのまま弾丸めがけてジャブを放つ事だろう】
【防御し終えた所で、指の関節に引っかかった弾丸を払い落すと、改めてジンジャーの方に視線を向ける】
【彼は反応を返さない事には特に気にする事もなく、先ほど手渡されたスーツケースをその場で開き、中身を改める】
【その中に入っているのは精巧な機械のアイテム―――中央の丸い部分は『W』とエンブレムが塗られたシャッターで閉じており】
【その両サイドに球状の窪みと長方形のスリットのあるアイテム―――その中身をがし、と掴むのを見ると、侍女はそのまま言葉を続ける】
「―――≪ワイルドライバー≫、最終調整まで全て完了したしました
しっかりと作動すれば、97,4%の確率で起動テスト時通りの動きは問題なく可能でございますデスヨー」
よろしい、では君―――今のは宣戦布告と受け取って問題ないね?
前回のアンジェル君の時とは事情が大きく違うからな、私に君をぶん殴る事に躊躇いなどない、やめておくなら今のうちだ
【最後の警告を済ませたならば―――彼はそのままその機械を下腹部に当てると、そのまま彼の腰に銀色の帯が出現し、そのベルトの装着が完了するだろう】
【彼がその腰に装着した楕円形の機械のベルト――≪ワイルドライバー≫、相手から見て右側には丸い窪みがあり、手の平サイズの球体をはめ込むことができそうだ】
【そのすぐ隣の中央の円形のパーツ、『W』と書かれたエンブレムの塗られたシャッターが開く事で、その中央にはやや大き目の風車が搭載されていることがわかるだろうか】
【最後に左側には長方形のスリットがあり、なにか四角い端末をその部分にはめ込む事ができそうだ】
【ジンジャーが両腕を交差しながら前に付きだし、左手の赤い"哲学者の卵"、右手の彼用のW-Phomeを相手に向けて突き出すと、まず彼は軽く宙にスピンをかけながら卵を宙に放ると】
【すぐに勢いよく卵をキャッチして丸い窪みの所にそのままジャコン!と音を立ててはめ込んだ!】
≪―――――incubator Standby≫
【電子音声が流れるとともに右手の端末を顔の横に引き、左手の人差し指で『W・I・L・D』とタップ】
【左手の拳を握り腰の所まで引いて、右の端末を左斜め前に突き出し、ゆっくりと頭上で半円を描き】
【最後に左手の指を開いて右斜め前に突き出し、右手の端末をベルトの左側の長方形のスリットにセットしながら―――!】
変……身 ッ !!
≪Chenge now ――― Fight power!Fight power! Fight Fight Fight Fight fa・fa・fa Fight!≫
【叫んだ直後、軽快な電子音声が鳴り響くと同時に傍らのジャンクちゃんがその場で粒子化し始め、彼の体に纏わりつく】
【そのままはめ込んだ卵が縦に割れ、その中から眩いばかりの光が勢いよく放たれる――――!】
/続きます
66 2014/06/14(土) 22:31:26.53 ID:LzO/A2hTo(3/3)
>>65続き
【そして、その光が完全に収まったのならば、その場にいる人物が一人減って、その場には見慣れない『戦士』の姿が残っている事だろう】
【それは、彼が"WILD"時に愛用していた穴の空いたホラーマスクをベースに、それぞれ両目の位置に赤く大きな複眼が二つ】
【下半分の口のあたりに虫の歯のような装飾と額に下三日月型の装飾が施された、異形の面で頭部を覆われていた】
【そして白を基調としたアームドウェアに身を包み、銀色の鋼鉄製素材で胸部のアーマー部分やアームガード、フットガードなどの防護用の装備が施されている】
【なにより大きく右肩からはみ出したショルダーアーマーが目を引き、その表面に≪W-1≫と刻印されている】
【そしてベルトの左腰には帯刀するように先の戦いで使用した『クラークタクト』を携えており、右腰には複数の卵のホルダー、その背中には赤色の機械型の弓矢を背負っている】
【突如、男の目の前で誕生したその戦士は機嫌がよさそうにその武装に覆われた自分の手を見て、手指をグーパーしながら呟く】
ふふ、いいじゃあないか……問題なく起動したようだな、なかなかの着心地だ
さて始めようじゃあないか名も知らぬ戦士よ、そんな所に身を隠していないでな―――!
『―――Arrow now』
【ベルトの端末、画面の表示キーを数字表記にし、『109』とタップ、すると上記の電子音声が鳴り響き】
【背に手を回して出現したその弓矢の持ち手を手にすると、弓の両サイドから鋭いブレードが展開、さらに矢の部分が前に突き出て発射用意を完了させる】
【そしてそのまま鏃を摘み、男の逃げ込んだ土嚢の方向に狙いを定めるとキリキリと引き絞り―――】
【その手を放すと矢の先端から赤い光の矢が勢いよく発射される!――――思いのほか貫通力も高く、このまま身を隠していると土嚢ごと貫かれてしまうだろう】
67 (新潟県) 2014/06/14(土) 22:33:48.92 ID:Q9JMlHKxo(1/3)
>>48
【―――去年よりも、運が悪い。爆炎が視界を覆わんと襲い掛かった瞬間、そのような憂鬱な想いが彼の心内に充満していた】
【約1年前になるだろうか。あの時もこの町のこの場所で、機関員を相手に死闘を繰り広げた。その時の敵はもう少し落ち着いていたが今回はどうやら―――正反対らしい】
【悪意が命を奪わんと差し掛かる。そのギリギリの、瞬きすら許されない薄く細い時間の切れ目で―――ペンダントの宝玉が輝き、芳醇な魔翌力を一気に放つ】
【―――しかし彼の姿は爆炎が完全に包み、続いて轟音が殷々として鳴り響きながら追撃の焔が彼の居る位置めがけて何度も何度も飛来していき―――】
【―――音が鳴り止んだ頃には、本来の姿とは大きく離れた凄惨たる町並みがあった。どれほど猛烈で暴力的な攻撃だったかを、十二分に示すほどの崩れた姿だった】
【……煙が段々と薄くなっていき、彼が居たはずの場所がどうなっているのかを明らかにするだろう。形も残らず焼け焦げて死んだのかどうかを】
―――……くっそ、いきなり3発と宝玉使っちまったぜ……あー、クイックドロウなんて慣れてないことやったから左の人差し指がヒリヒリしやがる……
―――ったくよォ、姿が見えた瞬間この有り様ってホント……涎垂らした獣かっての。そんで格好だけはお上品なんだからさ……。
【―――氷の、ドーム。そう言える不自然極まりない透明なオブジェが、彼が居た筈の場所に造られていた】
【そしてその中に彼は居た―――彼女が攻撃を放った時から、一歩も動くこと無く。両手で握られた蒼い拳銃を見れば、どうやら氷のドームがこの銃によるものだと推測できる】
【かなりの厚みをもった氷のドームも、所々凹んでいたり、薄くなっていたりと数多の傷を負っている。ロウはドームの薄い部分に軽く前蹴りをかませば、脆く氷は砕け散った】
うわ、こりゃ下手すりゃ死んでたぜ……宝玉込みの「Ice cocoon」でもコレってどんな威力してんだよ……
【氷の繭からひょっこりと顔を出し、そして彼女の正面―――大体7,8m位の間合いまで歩めば。右手を蒼い銃から外し、そして空いた右手に赤い拳銃を具現化させる】
【その銃口でクイ、と押し上げたのは被っている蒼のソフト帽。灰色のジレに羽織られた白いシャツの右肩部分には、SCARLETの所属を示す紋章】
【ジーンズが履かれた腰には、2丁拳銃専用のガンベルトが巻かれており、そこには今握っている銃ではない、赤と蒼のリボルバーが収められている】
【そして首元には、宝玉のペンダント。そこから発せされる特殊な魔翌力を感じ取れたなら、其れが異質なモノ―――更に勘が良ければ「宝玉」であると解るだろうか】
【カノッサ相手に宝玉を晒す行為は、追われる覚悟を背負うと言う事。そして其れを跳ね返す自信も見える行為でもあった】
/すみません続きます
68 (新潟県) 2014/06/14(土) 22:34:13.08 ID:Q9JMlHKxo(2/3)
よう、下品な獣ちゃん。俺はエレガントに、紳士的に振る舞わせて貰うぜ。―――櫻の国のニンジャの一部には、お互いに礼をして名乗ってから闘うって文化があるらしい。
流石に礼まではしないが、名乗りぐらいはしておこうかねェ。 ……ロウ。マーシャル・T・ロウ……UTじゃあないが、アンタの言う通り正義の味方さ。
―――死ぬまで……ねェ。それ、撤回したほうが良いぜ?……俺は「不殺」だ。俺もお前も死なねェよ。
あとさ……俺銃撃以外センス殆どねェんだわ……つまりダンスは―――ド下手ってことだよォッ!!!
【会話の端々に見える余裕は、あくまでも演出。彼は彼女のような破壊的な威力の全体攻撃を持ちあわせていないが、盤面をコントロールする能力には長けている】
【この余裕や軽い挑発を魅せつけることも、コントロールの為の重要な要素。紺碧の瞳には清冽な光を湛えて、その中に使命感の蒼い炎を隠す】
【この「ケモノ」に付き合うような闘うをすれば、圧倒的な暴力の前に叩き潰されるのがオチだ。自分らしく、老獪にトリッキーに、そして苛つかせるような立ち回りで】
【―――不殺を、実現してみせる。軽い印象の男かも知れないが、背負う使命はとてつもなく重い。ソフト帽に隠された頭脳がフル回転し、そして思考が行動へと変わる―――!】
/>>67の続きです
【使っていない右銃がまず唸りを上げ、彼女の足元へと差し掛かる。とは言うが、彼女が一歩も動かなければその弾丸は手前で地面に当たるだけだ】
【しかしその弾丸は飛来しながらも赤く輝いており、その正体は「灼熱弾」。地面に当たれば3秒ほど火柱を上げて、うまくいけば彼女の視界を炎で包み隠す妨害を果たす】
【つまり本命は左。―――左の蒼い銃が遅れて唸りを上げれば、それも先程と同じく地面へと飛ぶ。しかしこの場所、彼女が破壊の限りを尽くしたことも有り―――】
【……彼にとっては戦いやすフィールドへと変化していたのだ。その理由は、弾丸の軌道を辿るだけで説明できるだろう―――】
―――……アンタに比べりゃ地味だろうが、こいつが俺の「牙」だッッ!!
【―――……跳弾。ロウの十八番であり生命線。これを実現させるのは、様々な障害物。砕け散った石片や、崩れた家から見える鉄筋などは彼の味方なのだ】
【巷では跳弾の軌道を賞賛して彼を「不殺の跳弾アーチスト」などと呼ぶ変わり者を居るようだが、今宵の彼は違う。芸術家ではなく、猛獣を捕獲するハンターだと言えた】
【跳弾してVの字を描いた弾丸は炎の膜を抜け、彼女の右肩へと襲いかかる。殺意を振り撒くこの猛獣を、殺さずに捕まえる為に―――!!】
/こちらも遅れて申し訳ないです、ロウですお願いします!
69 (新潟県) 2014/06/14(土) 22:35:14.86 ID:Q9JMlHKxo(3/3)
>>48
/すみません、変な所に「>>67の続きです」と入ってしまいましたが無視してください……
70 (中部地方) [sage saga] 2014/06/14(土) 22:45:29.48 ID:umqR4nS+o(1)
>>57
儂とて、戦いを楽しむためにここにいるわけではない――――君と儂は同じようじゃな。
目的のための行動が結果として、君は正義≠ニなり、儂は悪≠ニなっておる。ただ、それだけよ。
【Azothの言葉を聞くと、老人は変わらず楽しそうに、しかし少しだけ寂しそうに目を伏せて、そんな言葉を掛けた】
【戦いを楽しむ心がないわけではない。しかし老人がこの場で戦い、そして二人を殲滅せんとするのは、あくまで自分の目的のため】
【それ以上は、やはり語らなかった。老人は一度だけAzothを見やり、すぐに兵士達へ強い視線をやった】
「っ、黙れ! ケモノの分際で! 俺たちの邪魔をするなぁっ!!」
【一人は防御に失敗して転び、二人は攻撃を回避されて。その隙を突き、Azothの体が躍動する】
【しかし兵士達も、黙って見ているわけがなかった。老人の方へと走るAzothの背中へ侮蔑の言葉を吐いたのはいま転ばされた兵士】
【彼はすぐに起き上がるとAzothを追いかけ、右手で刀剣を投げつけるだろうか。狙いは脚、当たりさえすれば相当のダメージにはなるが、大雑把な攻撃だ】
【……ただ、そちらは本命ではない。兵士は代わりに、腰元の柄のようなものを引き抜いて機構を作動させ――――柄から繊維≠ェ伸び上がる!】
「行かせるかクソ犬――――――ッ!!」
【――――出来上がったのは鞭≠ナあった。『F-339』、マイティロッドとも呼ばれるFシリーズ≠フ可変武器だ】
【兵士は恐怖に突き動かされているような表情で鞭を振り回し、その背中へ打撃を叩き付けることで、老人との間へ滑り込まんとするAzothを妨害する!】
【こちらも当たりさえすれば威力は高いが大雑把。ただ、先に投げた刀剣の方に気を取られた場合、回避はそれだけ難しくなるだろ】
【攻撃の成否に関わらず、一人は鞭、残り二人は剣という体制となった三人の兵士達はAzothを追いかけていくが】
【まだ完全に追いつくまでには時間がある。この剣の投擲と鞭の打撃さえ凌げれば、今度こそ老人とカズネとの間に入り込むことが出来るだろう】
>>58
………彼らは強いが、兵法を知らぬ。儂がそれを正してやっておるまでよ。
【厳密には頭ではなく、頭になってしまった、とでも言うべきか。兵士達は特殊な洗脳教育を受けているだけの、元一般人なのだ】
【そこそこの強さがあり、同時にある種の人質のような攻撃しづらい立場も持っているが、戦いに際して冷静でいられるほどの精神はない】
【……その中で的確な指示を下す老人へ、彼らは自身の意志の薄弱さゆえ、縋るしかなかったのかもしれない】
どうした、儂の剣をかわしておいてなんじゃそのザマは!
もっと頭を回せ! そのような能力頼りの動きでは、この儂を捉えることは出来んぞ…………!!
【自身の必殺の刺突を回避したことは素直に称賛に値した。その事は、老人の口元に浮かぶ微笑が示しているだろうか】
【しかし、その後の反撃に対しては不満が残るようで――――振り回される魔力の剣を、老人は素早いバックステップで回避するだろう】
【紙一重と言ってもいい程のギリギリの機動。予想より剣の出力が強かったか、腹部のシャツが焦げて三本の線が残されるが、それだけだ】
【――――そして、驚異的なのはここから。続いて飛翔してくる魔弾に対し、老人はなんと極限まで身を低くして突進していく】
【先程と同じ、とんでもなく敏捷な踏み込みだ。その上両手の剣を最小限の動きで振り回し、急所に飛んでくる魔弾のみを正確に弾いている】
【流石に全弾回避とは行かず、肩や脚を数発の魔弾が掠めて血が滲むものの、まだ行動に支障の出るレベルではない――――】
――――――――ぉおおおおおおっ!!
【しかし一つ有効だったのは、老人の剣を防御のために使わせたことであった。バックステップで離した距離が詰まるのはほんの一瞬だが】
【カズネに肉薄したとき、老人は既に剣を振り切った体勢であり。この状態なら刺突は繰り出せない……のだが、】
【勿論、攻撃の手を休めてくれるわけがなかった。刺突の代わりとしてカズネの鳩尾へ叩き込まれるのは、突進の勢いと体重を存分に乗せた膝蹴り≠セ!】
【刺突と違って致命性を負わせるほどの力はないが、そこに籠もった威力は高い。女性の柔い体ならなおのこと、骨の二、三本は軽くへし折ってしまいそうで】
【しかし……この時には既に、Azothもかなり近くまで来ているはずだ。ここを越えれば、この不利な戦況を覆す一手も打てるかもしれない】
71 2014/06/14(土) 22:45:48.01 ID:xs5Cju0+o(9/9)
>>52
(――あやつは、確かミハエルと言う名であったか)
(カニバディールのみならば相手取れるが、あの獣が加われば分が悪いのじゃ)
(必要に応じて、何らかの連携をする必要もあるかの……)
【カミナは"上空からの視界"で、輸送機の中で顔を合わせたミハエルが近くに降りたのを確認し】
【その動きにも、ある程度意識を割く様に考えた】
【今はまだバラバラに戦っていても問題はなさそうであるが――】
>>61-62
【軌道を外された紙飛行機は、カニバディールの付近に突き立り動きを止めた】
【槍という性質を持つが故に、打点を外されれば途端に威力は低下する】
ふん、阿呆が――死にもせぬのに念仏など唱えるものか
神でも救えぬ穢れた命ならば、丁度よいわ!
光栄に思え、わらわ自ら冥府の底に叩き落としてくれるのじゃ――ッ!!
【カニバディールの吐き出す台詞を真っ向から叩き切り】
【裂帛の気合と共に、内に宿る狂信的なまでの正義の心を奮い立たせた】
【所属する組織を含めて因縁のある相手だ、手心など加える事は端から頭にない】
【かくして今宵の死闘は、幕を開けていくのだった――】
【――】
はっ――その面で金太郎気取りとは、冗談にしても笑えぬのじゃ!
生憎と、貴様などと相撲を取ってやる謂れもないのでの――!!
【化物熊"ウェンカムイ"を操り】
【地を砕きながら、破壊的な疾走を始めたカニバディール】
【騎上の単眼が得物を振るい、その先から放たれた光の刃を知覚した瞬間】
【カミナは背の翼折り紙に神気を注ぎ、特性を発動する】
【飛翔と推進。空中を高速で移動することのみを目的とした補助折り紙】
【横薙ぎに迫る光の刃を、宙に舞うことで回避――一瞬前までカミナのいた位置を高熱の刃が通り過ぎた】
【そしてそれと時を同じくした頃に、カミナの生み出していた"紙"が完成する】
【紙で出来た"二本の斧"は神気を組み込まれボコボコと立体化し、特性が付与され鋼鉄の硬さを持つこととなる】
【サイズはカニバディールの其れと比べても遜色なく、刃の部分が強調され肥大化したギロチンのようになっていた】
まずは、騎手を叩き落とすところから始めてやろうかの――!
【二つの紙の斧は、カニバディールに向かい】
【左右から挟み込むように湾曲した軌道で、勢い任せに叩き切らんと襲いかかる】
【だが、その狙いは言葉とは裏腹にカニバディールではなく"ウェンカムイ"だ】
【直前で下向きに軌道を変え、斧は"ウェンカムイ"の両前足付近を断ち切らんと迫るだろう】
【カミナの前斜め上、頭上に紙が出現し折られ始めた】
【この術は兎に角、始動が遅い。常に折り紙を作り続け戦線を維持しなければならない】
72 (SSL) [saga sage !red_res] 2014/06/14(土) 23:01:06.90 ID:Igws2bih0(4/5)
>>59-60
クハッ……カッハッハッハッハッハ…………!! お前が来たのか、セリーナ!!
あの『ガラクタ』に、物好きにも憐憫の情など抱きおって……1つの組織のリーダーと聞くが、その言葉……それこそお笑い草じゃのぉ!!
……命など所詮、戦いに勝つための駒じゃろうに……我も彼も、全ては駒じゃよ!!
「負け犬が……生きる必要なんてないのよ!! 全ては勝つ事、勝った者こそ全てなのよッッ!!」
【蛸に、人間らしい表情を表す事は出来ない。ただその両の眼をギロリと向けながら、むしろその感情をこれ以上なく声に乗せてグラトンは嘲笑する】
【――――戦いを行う以上、マクロ的視点から見れば、確かに全ては1つの駒に過ぎない】
【それをグラトンは、己が命すらそれに過ぎないと言い放った。命の価値など――――こんな人間に説いても無駄に終わるだけだろう】
【そして、彼の一付属物と化した、黒い髪の少女――――シュバルツガイストもまた吼える。勝つ事こそ、全てに優先されると】
【自己の姿すら捨てて。それでもなお、彼女にとっては力を得て、敵に勝つ事の方が、ずっと重要だった】
>>63
っっぬっっ!? 貴様、その声…………ッカッハハハハハハ、そうか、貴様か……3年前のあのビル以来じゃのぉ……!!
貴様はわしを覚えてはおらんようじゃが……あの『ガラクタ』との『遊び』は、楽しかったかのぉ!?
【始め、その声にグラトンは一瞬思考を切り替える。それは、過去の記憶を呼び起こす為の運動で】
【求めていた情報は、割合すぐに引き出す事が出来た――――あの時、当時まだ≪No.616≫だった、ブラックハートと死闘を演じた少年の、あの声だ】
【「どこまでも追い詰め、そして殺す」と、姿も見ずに言い放ったあの少年が、こうも大仰に戦場に乗り込んでくるとは思わなかった】
【全く、これだから長生きとはしてみるものなのだ――――この奇妙な偶然に、グラトンはてらいなく喜びの感情を垣間見せる】
さあ、今こそ……今こそ、じゃ。死は、すぐ隣に待っておる。それがわしを迎えに来たのか、お前を迎えに来たのか……精々確かめようじゃないか!!
死の間際にいるからこそ、楽しまなきゃあ損じゃぞぉ!!
【グラトンは、死を恐れない。それは、2年9ヶ月前のあの時から何も変わらない】
【「こんな老いぼれにとって、死は隣人であり、かつ友人である」とまで言い放つこの狂人には既に、死への恐怖など無くなっている】
【今のこの言葉の応酬も、ただ子供がゲームに興じるような感覚で『楽しい』としか思っていないのだろう】
>>64
その通り……わしもつい30秒前までは、人間じゃったよ?
こんな一品物の身体、わしの主義からすれば褒められたもんじゃァないが……今お前たちに絶望を叩きつけるには、丁度良かろうッ?
【唯一、その外見に恐慌をきたしてくれた――――違う反応を返してきた――――完全に記憶にない男に、グラトンは自慢げにそう言葉を返す】
【ただ、その口調はどこか『ずるいことしちゃったよ』と言う様な、やりきれない色をも含んでいた】
【――――戦いは、質・量ともに揃えられた兵士がいてこそ。それがグラトンの命題であり、今までの研究の信条そのものだった】
【だからこそ、こんなイレギュラーな突出した強化は、本人の意に反していたのだが――――この窮地で頼るには、まあ丁度良い】
【――――狂った頭脳は、その程度の事しか考えていなかった】
さあ……吠えろ吠えろ。それもいつまでももたんのじゃから、今のうちに吠えたいだけ吠えとくんじゃよ……ッ!!
<アハハハハハハハ!! フゥアアアアアアアッッ!!>
【グラトンも、赤い髪の少女も、狂った様な激昂を滲ませていく】
【――――現在における機関の悪意の体現者。そんな言葉で形容されるのであろう老人も、その産物も、全てが狂っていた】
/続きます
73 (SSL) [saga sage !red_res] 2014/06/14(土) 23:01:57.14 ID:Igws2bih0(5/5)
>>59-60>>63-64
さあ……わしもこの身体は初めてじゃ。まずは気になる所から、テストしてみようかの……!!
「ッッ、うああああああぁぁぁぁッッ!!」
【ゆらりと身体を起こし、身構えるグラトン。その体躯はもはや、『ウェンカムイ』よりも一回り大きな怪物と化している】
【ついさっきまで、動きは軽快なものの枯れかけていた老人の身体だった彼には、流石に違和感もあるのだろうが】
【それでも、自分の成すべき事は、全て頭の中に入っている。今はそれを実践しながら、身体で覚えていくだけだ】
【――――そこに、牽制とばかりに投げつけられる>>63のダガーナイフ。それに反応したのは、肩口から『生えて』いる黒い髪の少女だった】
【その両腕をクロスさせて、ダガーを受け止める――――彼女の腕は、鋼鉄の義手となっていた。生体に当てるよりも、そのダメージは少なく済む】
【――――ブラックハートの後継機である彼女ですら、この強大な悪魔の、あくまで一パーツに過ぎないのだ】
奇遇じゃのぉ!! わしも同じ様な武器を作ったよ……その時に苦労したのはなんじゃったか分かるか!?
簡単に電磁界が拡散してしまっては、役を成さんと言う事じゃよ!!
【隠そうともしない怒りを乗せて放たれる>>60の電撃。それに応え、グラトンは左手を向ける】
【次の瞬間、腕の一部が半液状に溶解し、人の頭ほどの細胞の塊が発射される。それは電撃と真っ向からぶつかり合い、爆ぜる】
【――――本業が兵器開発の科学者だったからこそ、そして似た様な兵器を見ているからこそ。グラトンにはその対処が取れた】
【そして、本来ジ・エンブリオンの特性だった細胞操作の、そのやり方の予行演習を、この瞬間にやってのけたのだ】
【――――同時に、電撃とぶつかり合い、爆ぜた細胞の一部が、飛沫となってセリーナへと振りかかろうとする】
【大部分は高熱で焼かれているものだが、『生きている』一部の細胞は、もし付着すれば浸食を起こし、免疫異常を引き起こさせ肉体にダメージを与えようとする】
【量は少数といえども、まともに浴びるのは推奨されないだろう】
うむ! 良い調子じゃ――――――――ッぶぉぁ!?
【細胞操作のコツは、今の一時で大体分かった。頷くグラトンだが、そこに>>64の放った球体が直撃する】
【まるでボクシングの選手がアッパーを浴びた様に、頭ごとのけぞる様にしてその場でたたらを踏む】
【――――強力な力を持っているとはいえ、グラトン自身が戦いに慣れている訳ではない。迂闊な隙を、見事に突かれた格好と言える】
<ッアアアアアアァァァァ!!>
【まるで、それを見て怒りを発した様な叫びを放ちながら、赤髪の少女が左手に持った銃を放つ。それは、電撃を弾丸にして発射する『ボルトシューター』】
【その30%出力の炸裂弾が、真っすぐに>>64向けて放たれた。被弾すれば、電撃のスタント炸裂のダメージを同時に受けてしまう事になる】
……ほれほれ、今度はこっちじゃぞ!!
【そしてグラトンの胸元から、不格好に突き出た2本の鋼鉄の足が、>>63と>>64に向けて散弾を発射した】
【元はと言えば、それは黒い髪の少女、サイボーグ戦士の、今は不要となった足。そしてそこに仕込まれたショットガンだった】
【それを、胸元から真っ向に向けて発射したのだ。腕など介する必要はない。その恩恵を最大限に生かして】
【――――>>63には、この一連の動きを見れば分かる事があるだろう。その全身の細胞は、グラトンの意のままに操り、更に変化を果たす事が出来る】
【その万能性は尋常ではなく、更に内に秘めているエネルギーも恐らくは、普通の生物とは峻別される大きなものだ】
【『一部だけ切り離す』『液化する』などの荒行も難なくこなす辺り。その全容をうかがい知るのは至難の業と言って良いだろう】
【しかもそれを攻撃に転用までしてくるのである――――戦士ですらないグラトンの、自信に満ちた態度の理由が分かるだろうか】
74 (関西地方) 2014/06/14(土) 23:10:25.10 ID:RQaY++klo(3/3)
>>70
……
【犬も、それ以上何かを語るような真似はしなかった】
【ただ、一瞬だけ老人の目を見た、それだけであった】
喚くな人間風情が!
その喉笛かが真っ赤に染まりたくなかったら黙っていることだな!
【背中に投げつけられた言葉に振り返り律儀に返す犬、無論本心から喉笛をかみちぎろうとは考えていない】
【ただ、こういう発言は余裕ゆえだ、余裕だからこそ、叩ける言葉】
【また飛んでくる剣はすぐさま横に躱す、振り返って口を返していなければ避けられなかったかもしれない】
(また変な武器が出てきた……鞭、あれは痛い、激痛を与えるための武器……)
喋るなっつってるだろクソ人間――!
【その瞬間、タッと床をけった犬はそのまま回転し左前腕部で鞭を払いのける】
【ビシィッ……!という音とともに、犬の左前腕部が赤く滲む】
【背中に傷を受けることは防いだが、その分前足に鞭を受けたのだ】
【しかし、どうしたことだろうか、前足に傷を受けたというのに、犬の動きは遅くなることはない】
【――もしわずかな差でも見分けられるのなら犬の走る速度が僅か、本当に僅かだが、上がっていることがわかるだろう】
【僅かな隙は開いたが、それを埋めるかのごとく駆ける犬は、老人とカズネの間に入り込もうとするだろう】
75 2014/06/14(土) 23:18:23.29 ID:wOk9VgKho(4/4)
>>70
(――――――剣は避けられたけど、距離は稼げた!)
【僅かな一瞬で見えた老人の笑み、老体と侮る訳にはいかない事を示しているようだった】
【空を裂く剣を収め元の状態へと戻す】
【それでも余裕は稼げた、直ぐ様立ち上がり更なる迎撃を加えなければならない】
【その最中に信じられない物を視る】
っつ!?なんでこの魔弾の雨の中に突っ込んで来るのよ!!
【普通の神経をしていれば老人の行動は有り得ない】
【ならば普通ではないのだろう、刹那の度に魔弾を捌く様はある種芸術的でさえあった】
【人の「技」の極致とでも言わんばかりの突撃に、装具を用いる魔術師でしかないカズネはいよいよ戦慄を覚える】
【右方の魔弾を継続して放ちつつも勢いは止まらない、冗談ではない】
防御機構!急いで!!
【左方の爪の1つの装甲を展開し防御機構とする】
【本来は装甲の隙間から魔翌力を噴流するが老人の攻撃は物理のみ、余計な浪費は避けたい】
【極近接、僅かな時間では爪の接続数は稼げなかった】
――――っつう!……!!
【鳩尾へのダメージは避ける事が出来た、がその衝撃たるや恐るべき物で】
【衝撃全てを受ける事叶わず盾と同時に後方へと飛ばされる】
(……っ、とんでもないじーさん!!)
【転がりながらも命からがら姿勢をただし向き直る】
【攻撃を受けた装甲は老人の膝の形に僅かに凹んでいる、爪と直接接続しているからこそ理解るその脅威】
【生身で受けていれば或いはそのまま殺されていた……】
盾はそのままっ!数で、点で駄目ならラインで攻める!!
接続っ!射出形式変更!――――――ってえーーーい!!
【2つの爪を接続、装甲が展開され組まれた爪の姿は無機物な鰐の顎にも見える】
【身を焦がすような赤い輝き、砲身が湛えるのは圧縮された魔翌力!照準は大雑把で構わない!】
【なぜならこれは弾ではなく光線だ、手元の角度さえ変えれば幾らでも敵を追尾する事が出来る】
【振り上げた掌を合図に赤い魔翌力光は一気呵成と放たれる】
【初弾は当たらない、されど出力は変わらないままあらゆる障害を越え光線は奔る】
【有象無象を焼き尽くす暴力の燐片は老人の胴体を薙ぐように迫るだろう】
>>74
っと、降下の時のワンちゃん……っ
【人の戦いに彼がいるのは妙に思うがそれ以上に彼が人語を介する事が不思議……】
【と、そんなことをくっちゃべっている暇ではない、戦場は待たないし死は万人に訪れる】
……っ、守ってくれるならお言葉に甘えるわ!
でも射線には立たないでねっ、最悪こんがり焼けちゃうんだから!!
【ワンちゃんと称した彼を極力傷つけないよう】
【砲塔の側部装甲から姿勢制御の為に魔翌力を噴流し光線の推移方向を変更する】
【無茶な行動故に砲塔からは軋む音がするが攻撃に問題はない】
【不思議な共闘者は既に損傷を受けている】
【彼の戦場に居る理由は定かではないがそこまでしてまで戦うのだ】
【内に秘める物があるならば心強い、微笑みが漏れてしまうのはその為だろう】
76 (SSL) [saga sage] 2014/06/14(土) 23:20:30.43 ID:coNjF5lA0(4/4)
>>65-66
【敵の最後の警告、そんなものに対しても彼は特に反応も示さずによく敵を観察する】
【顔が異形の頭部を覆われて体がアームドウェアに身を包んでいたりとこれは――】
変身、か――特撮と言うやつのヒーローか
やれやれ、ビックリドッキリ系の人間が来るな。
【土嚢に隠れながら冷静につぶやく、どうやってアレを倒すか考える】
【そんなことを考えている彼の頭の中は自分でもびっくりするほどに冷静だ】
【火力が高い武器ならばアレを倒せるか?――考え無線機に対して言葉を送る】
火力の高い武器をもってこい、何でもかまわん、今回の戦いの目的は撤退することだからな
【そのように無線機に対して言葉を伝えつつも相手を見ている――すると相手から電子音声が鳴り響く】
【その電子音を彼は何かの予兆として敵に武器を構えるが――敵のほうが早く攻撃してくる】
【一直線にこちらの向かってくる矢よりも先に横にローリングしたあとに矢がちょうど自分の隣の土嚢に刺さる】
【いい音とともに矢が刺さる音を横に聞きながら彼はRK-11に装着されているグレネードランチャーに攻撃を切り替える】
さて、こいつはどうかな
【敵がスコープに入った瞬間彼は引き金を引いて、グレネード弾を発射する】
77 (SSL) [sage saga] 2014/06/14(土) 23:21:09.23 ID:O3v59YQQO携(2/2)
>>61-62
……UNITED TRIGGER所属、元水の国国軍少佐、ミハエル・ガーナランドだ。
以前昼の国でお前らが起こした事件の時、俺もそこにいた。
仲間が随分と世話になったらしいな、借りは利子をつけて返させて貰おうか。
【カニバディールの問いに ミハエルはそうはっきりと答えた、聞けば元軍人、それも少佐という階級だったらしい】
【そんな階級を自ら捨ててまでUTに入ったのなら、彼の意志の強さも想像出来るだろうか】
自惚れだと言うのか、ならば戦って見せてやろう……
自惚れだと思う事こそが、真にお前が自惚れている証拠だということをな……!
【その言葉は、きっ機関銃乱射の前の言葉だろう、撃っている間は敵を観察していて】
【話には聞いていた、相手は自身の肉体を自在に操るらしいと、しかし実際に見てみるととても厄介な能力と見える】
【あの肉のガードを崩さない限りは、きっと大きなダメージは通らないのだろう】
ウェンカムイ……か、大人しく蜂蜜でも舐めていた方がまだ可愛いな。
しかし、どうあがいてもそんな風には見えないな……容赦はしない。
(やれやれだ……子供が見たら泣くだろうな、だが……)
(直ぐにそこから降ろしてやろう……ッ!)
【咆哮と共にウェンカムイが此方に突撃してくる、その巨体に似合わず かなりのスピードだ】
【しかし真っ直ぐならば対処は難しくない、ミハエルは当然横へと逃れる】
【いくつか飛び散った瓦礫が此方へ飛んでくる、腕でガードするが当たった箇所からは内出血を起こして】
【それでも突進を食らうよりかはましだろう、この程度は彼には許容範囲で】
……ッ……! なるほど単に機動力を上げるだけではないようだな……しかし……!
【ミハエルはカニバディールとウェンカムイが通り過ぎる瞬間、何かを引っ張るだろう】
【その手に握られているのはワイヤー、引っ張るとミハエルの反対側にある瓦礫の下から何かが飛び出してくる】
【それは一つの手榴弾、ワイヤーの一番先についている、まるで重しの様に】
能力だけに頼ると思ったら大間違いだ、戦う前に策を練っておくものなのだからな……!
【ミハエルが持つワイヤーはカニバディールを経由している、つまり引っ張れば絡まるのだ】
【そこから更に強く引っ張れば、手榴弾のピンが外れる、カニバディールとウェンカムイを巻き込んで起爆するだろう】
【これは焼夷弾、爆発するかのように相手を炎が包む!】
78 (チベット自治区) [saga] 2014/06/14(土) 23:33:34.53 ID:hRpym2aVo(7/7)
>>63>>64
―――オーライッ!! 諸々了解したよ、基樹君ッ!!
それじゃアタシの方は、デカイのをバンバン撃たせてもらうから―――接近戦は、任せたねッ!!
【変貌した谷山、そして魔法を放つライラ。セリーナは電撃を放った直後に今度は身を翻し、左方へと前転。】
【素早く敵の攻撃の軌道を見極め、そして自身は後方支援―――十八番の"火力攻撃"に移る為、一歩下がるだろう。】
>>72-73
【自らの肉体すらも―――いや、むしろ精神すらも『駒』だと吐き捨てる、その形相のなんと、恐ろしい事か。】
【彼の外見は今、この世のどんなモンスターよりも歪に、恐ろしいモノへと変化していたが―――その見た目以上に】
【彼は最初から、まだ変容する前の段階から既に、人間ではなくなっていたのだろう。それこそ、その意思は怪物のそれだ。】
―――……違う、そんな事無い……ッ!
全てを捨てて勝利に走ったところで、本当に得たい物を得られるとは、限らないんだッ!
最初から一つの目的のみに固執したら、人の可能性はそこで閉じてしまう―――アンタの求める勝利は、不完全だッ!!
【電撃と、肉体の衝突。爆ぜたそれらが飛び散って、広い範囲へと拡散する―――回避行動を取っていたセリーナにすら】
【その細胞はペチャリ、と張り付いて―――防護用マントが犠牲になり、それは急激な腐食を開始。マントの一部は、ひしゃげた。】
【眼帯状の『スカウター』に映る敵の能力は大きく分けて二つ。細胞を用いた多彩な力と、合体した少女達の個々が織り成す攻撃だ。】
(……あの脚部のショットガン、あれも以前に戦ったサイボーグ少女の一部……ッ!)
(ていう事は、その少女達とグラトンは"思考レベル"で融合している―――? だからこそ、)
(戦士ですらないグラトン自身がああも上手に細胞の分解・結合を行えるんじゃ―――……クソッ!)
……考えたって、仕方が無い。電撃がそう、簡単に防がれるなら―――……今度はもっと強烈なのを、お見舞いしてやるッ!!
【追加装甲を身に纏い、今や拳銃からリボルビング・ライフルへと変化した愛銃・"弾"末魔を構え、そして発砲。】
【轟音が鳴り響き、再びの発射と共に召還陣が展開―――瞬間、空間内にまたもや新たな武装がイン・ストールされていく―――!】
番犬吼々―――――――ケルベロス・マグナム " KO"(ノック・アウト)
【召還陣から取り出されたそれは―――銃、のような"何か"。否、そうとしか形容できない程の巨大な、武装。】
【拳銃と思わしき形状ではあるが、しかしそれでもグリップは驚く程大きく、なおかつ中心のシリンダーのサイズは、それこそ】
【通常のリボルバー拳銃とは比較にならないほどに巨大で、そして独特の存在感を放っている。装填される弾丸の大きさなど】
【大口径の特殊弾頭―――所謂、『スマートグレネード』等に代表される弾薬だ。なにより、このバケモノじみた拳銃の最大の特徴】
【それは銃身、つまりシリンダーから敵へめがけ真っ直ぐに伸びたそれ<バレル>が三つも、"三連装"に連なっている事だろうか。】
【西部劇にも良く出てくる、水平ニ連装のショットガンの上部に、もう一本のバレルを継ぎ足したかのような"歪"過ぎるフォルム―――。】
【銃身基部にはレリーフとして、地獄の番犬<ケルベロス>を模して精製された事を伺わせる彫像まで用意され。
【まさに、三つ首の砲身。そうとでも呼ぶしかない、強力な武装が姿を現した。だがこれもまた、今までの武装とは変わって】
【"ティターン・アーマー"同様に、見た目からして過去のケルベロスとは細部が異なっている。まず、眼を引くのは長くなった銃身だ。】
【今までのケルベロスが短銃身のバレルを三つ重ねた物だとすれば、この"KO"はロングバレルの銃を三つ重ねた様な肥大さを誇り】
【更に言えば三つ連なった銃身のその真ん中部分―――丁度穴になっているその部分にすらも、何かの"装飾"のようなものが見えて】
―――雷でダメなら、今度は燃えてみな、グラトンッ!!
【グルン、とバレルが回転。放たれた弾丸は以前の20mmスマート・グレネードを更に大幅大口径化した、爆裂マグナム弾。】
【30mmにもなろう巨大な弾丸が爆音と共に放たれると、猛スピードでグラトンめがけ飛翔、命中すれば炎と爆風を撒き散らすッ!】
79 (東京都) [sage saga] 2014/06/14(土) 23:41:22.70 ID:f3A5+C4so(3/3)
>>64,72-73,78
「そうか――てめェがブラックハートを作った奴か。
……なるほど。なるほどなァ――殺すしか無ェなァ……!」
【グラトンから発せられた言葉。それを受けて谷山の記憶が即座に検索され回答を返す】
【その回答には、静かながらも確かな敵意、悪意、殺意、狂気】
【声、体躯、燐光。それらから漏れだす気配の歪さが次第に増していく】
【哲学者の卵を使い続けてきた結果染み付いた、狂気の気配。それが、敵の狂気とせめぎ合う】
【支配された狂気によって、目の前の狂気に相対する青年。その瞳には、理性と狂気が同居する】
【己の牽制は通らず。そして、強者たるセリーナとライラの攻撃を様々な手法で捌いていくグラトン】
【まさに万能、まさに究極とも言えるその戦闘能力。得意に成るのもわかるというものだった】
「――っしゃァ!!」
【駆動音を耳に捉える。散弾を発射する前動作を開始する音に反応し、右腕が閃く】
【散弾の散布界を乱すように投擲されるナイフ。膝を曲げ、半身になることで命中範囲を狭くする対処】
【全身を貫く数発の散弾。盲管銃創が生まれ、鮮血がいくらか飛び散り、傷口からは燐光が漏れ、結晶が溢れだした】
「――――なるほど、なるほど。厄介だなァ。
普通の脳みそなら、これだけの並列処理を容易く成し遂げられるはずはない。
変更できないものは、それこそ脳程度って所、かねえ。いやぁ――これ、出し惜しみしてられねェな」
【分析する。もはや関節部の可動範囲や、装甲による可動の阻害も恐らく役には立たないだろう】
【弱点と言えるのは、グラトンの戦闘能力。言わば、直接戦闘の経験ともいえるもの】
【そして、脅威は状況対応能力と手数。その時点で、谷山は己の取るべき行動を決定した】
【左腕の傷に指を滑らせ、痛覚をごまかした。そして、右目と左腕がその光を俄に強めていく】
「Over Clock――――Quad Core」
【両手をベルトポーチに伸ばし、引きぬいたのは4つの哲学者の卵=z
【それを空中に放り投げ、それに向けて圧縮された光――悪意のデータ≠食らわせる】
【孵化に足るだけの餌を与えられた哲学者の卵は、宿主を持たぬままにその孵化を開始し、その力を解き放つ】
【無軌道に暴走していくその力の群れ。それに対して、谷山は右手を伸ばしていく】
【砕け、歪に、無軌道に成長していくその右腕に無数の口を彷彿とさせる裂け目が生まれ、そこに悪意の力だけが吸い込まれていく】
【地面に落ちて残ったのは、透明の結晶となった哲学者の卵。そして、青年の生身の左目が直後に崩れていく】
【崩れた左目の隙間を埋めるように結晶体が生成される。皮膚も崩れ、それを補うように結晶体が体表を覆う】
【神経系が粉砕し、粉砕された神経系がアートマンのそれに取って代わり、拡張。機能追加が行われていく】
【体組織の大凡30%のアートマン化。人とアートマンのもはやどちらとも言えないその姿、蛍石の戦士は口を開く】
『――――NEXT World=x
【無機質さと、濃厚な感情を併せ持った歪極まりない声。全身から突き出すライムグリーンの結晶が光を放射する】
【光を手元に収束させ、それを散弾としてグラトンに向かって射出する】
【その光は、実際は微細なアートマン体の結晶の群れ。表皮に食い込み、内部に記録されたデータを使用し切るまで存在しつづける】
【もし命中したのならば、決勝が消失するまでの5秒弱の間、視界には別の光景がオーバーラップし、聴覚には此処に居ないだれかの叫び声が木霊する】
【触覚には無数の人が触れる感覚が襲い来る、嗅覚には腐肉の匂い、味覚には嘔吐を感じさせるだけの】
【常人なら狂ってしまうだろうその異常も、恐らくグラトンの精神を壊しはしない。もはや壊れているのだから】
【だがしかし、五感全てにノイズが混ざる事で相手の行動に対する確実な妨害と為すことは可能だろうとした行動だった】
(思考を乱し続ける、判断力が落ちればあの対応力、応用力は少しでも削げるはず。
あの自由度、応用力は裏を返せばそれだけ思考力と判断力が必要となるもの。
なんだってできるからこそ、何をするかを良く考えなければならない――筈。
だったら、その考えをおかしくしてやればいい。おかしくし続けてやる……ッ!!)
『――――Imitation Saber』
【目を細め、己の中でイメージを固めていく】
【己のこれまで見てきた必殺技の見た目だけを再現し、その見た目という殻に己の異能をつめ込むその贋作の必殺】
【この異形を屠るにふさわしい技がないかどうか、谷山は己の脳内のアーカイブを検索し始めるのだった】
80 (関西地方) 2014/06/14(土) 23:51:22.40 ID:BIqpxMrLo(5/5)
>>71
【地面を貫く紙飛行機の先端。まさしく、紙の槍だ。直撃していれば、どうなっていたことか】
【やはり、正義の刃は些かも衰えてはいない。これがjustice。形を変えてもなお、彼らの心に宿る正義=z
おいおい、念仏を唱えられるのは生きているうちだけだぞ。自信も行き過ぎると己の首を絞めることになる
ふ、ふふふ……遠慮しておくよ。どうせ地獄行きになるなら、出来る限り罪を重ねてからにしたいのでね
お前は、もう十分に戦ったじゃあないか。そろそろ、昇天しても誰も責めはしないだろうさ
【気合の一声でこちらの悪意を切り捨てる彼女に、上塗りするように粘つく声音が絡みつく】
【こちらも、容赦などする気は毛頭ない。この男は悪党なのだから。増して因縁の繋がる正義】
【互いに互いを許容することはない。ならば、どちらかが倒れるまで――】
ハハハハハ!! 面白くなかったか!! やはり、人を笑わせるのは苦手だな……
つれないな、せっかく敵味方として出会ったのだから、殺し合いを兼ねた相撲くらいとってくれてもいいだろうに
【ウェンカムイの背中から叫び返すカニバディール。だが、単眼ではしっかりとカミナの動向を観察している】
【その視界で、彼女が飛んだ=B折り紙で空を飛ぶ、万能とすら思える能力の片鱗。見事な回避】
【さらに、生み出される紙の斧。二本。自分のものと同じくらいに巨大な――】
おいおい、『将を射んと欲すればまず馬を射よ』をいう言葉を、知らないのか――!?
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!??」
【言葉すら、武器。こちらへ向かう紙の斧を迎撃しようとした瞬間、斧は下へと落ちた】
【狙い通り、見事に斧はウェンカムイの足を断つ。剛毛の軽減すら押しのけるほどの鋭さ】
【巨体がバランスを崩す。当然、カミナの攻撃準備に対処する暇などない】
>>77
UNITED TRIGGERか……お前たちにもたびたび煮え湯を飲まされたな
それも元軍人……人材の坩堝だな、あの組織は
同じセリフをお返ししよう。ヴェンドゥラーで同僚に歯向かってくれたということだろう?
【軽口をたたきつつも、警戒は怠らず。不倶戴天の敵組織にして、元軍人。そのポテンシャルは到底計り知れない】
【先の容赦ない銃撃を見ても、油断ならない相手。何より、その信念。何より恐ろしい武器だ】
ふ、ふ。口だけならば、互いに何とでも言えるな。この戦いの結果で語るとしようか
【同じく、返すセリフも乱射前。こちらには、防御に専念して相手を観察する間もない】
【肉のガードだけで、どこまでもつか。内心で冷や汗をかき始める】
ハハ、それはそうだ。これを見てかわいいなどと言うやつがいたら、そいつは私以上の狂人だ
【ダメージに蝕まれる肉体と精神を、表出はさせず。余裕を見せつけるように語る】
【さすがに、単純な突進は通用しない。飛び散った瓦礫にも、きちんとガードがされている。冷静な判断】
【ならば、もう一度――と攻撃を試みた瞬間。カミナに足を裂かれてバランスが崩れ。さらにミハエルのトラップ】
何――!!?
【戦う前の準備。計算された策。引き出されたワイヤーが巨躯に絡まり、勢いが止まらないまま焼夷弾を発動させてしまう】
【爆発。炎上。巨躯が燃え上がる――】
>>ALL
ぐ、があああ――――!!!!
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…………!!!!!」
【肉の焦げるにおいが辺りに広がる。絶叫がそれを拡散するように響き渡り】
【半ば、暴走状態となったウェンカムイが、広場を走り回り始める。カミナもミハエルも、この暴走の範囲には入るまい】
【すぐに、巨躯は崩れ落ち。広場の地面にうずくまる。二体の怪物は、炎に焼かれながら動かなくなった】
【燃え続ける業火。悪党にはふさわいい末路、と言えるだろう――】
【もぞり、と。焼けた肉の塊が動いた。まだ、生きているのか。とどめを刺すか、経緯を見極めるか、二人の選択は――?】
81 2014/06/14(土) 23:52:05.70 ID:ciHM2vAzo(4/4)
>>72
「チッ……こっちにとっちゃ助かったけどな……テメーみたいなのが世界にわらわら出てくるなんざ怖気が走るぜ。
だから、今此処で"狩る"ッ!!!」
【その通り、ライラは恐れた。見たことのない異形の生命体は、ライラの恐怖心を煽るには十分すぎるほどだ】
【だが、ライラも此処一年と数ヶ月の戦いの中で成長した。まだまだ未熟ながらも、冷や汗を垂らしながらも、そう杖を突きつけて言い放てる位には】
「吠えてやるさ、けど、最終的に負けるのはテメーの方だ、グラトン。
冥土の土産に覚えとけ、俺の名はライラ=フェルンストレームッ!! テメーを地獄に送るカノッサ機関ハンターだッ!!!」
【グラトン、そして肩から生えた少女の激昂にも、ライラは負けない。カノッサ機関のNo.に、絶対に負ける訳にはいかない】
【カノッサ機関ハンターとしての矜持が、ライラを名乗らせた。獲物を見る獅子のような瞳で、ライラはマッドサイエンティストだった何かを睨みつける――――――】
>>73 >>79 >>78
【ライラの初撃は、一応の成功と見ていいだろう。よくよく考えて見れば、グラトンはカノッサ機関のNo.とはいえ、ただの科学者だったのだ】
【そんな彼が、戦闘に慣れているはずもない。だからこそ、偶然とはいえ二人の攻撃の隙に入り込んだ「Frame Bomber」は、グラトンにたたらを踏ませたのだろう】
「……だけど……―――ッ!!! グッ……!!」
【「Frame Bomber」はライラの魔法の中でも中位の威力を持つ物だ。それが、たたらを踏ませる程度。やはり防御力と耐久力が桁違いだとライラは思案し】
【その直後、グラトンの武器をもう2つ理解することになる。―――触手の先に生えた少女達。絶叫するその姿は、先ほどの兵士に少しだけ被っていた】
【バチィ!! と音がして、銃から発射された電撃を咄嗟にガードした右腕がビリビリと痺れを来す。そして続けざまに、襲い来るショットガン】
「く……っそが!!!」
【脚に力を込めて横に跳び、全弾命中という悪夢から逃れようとするライラ。1,2発が左足を掠るが、未だ動けないほどの傷ではない】
【さらに言えば、電撃の弾丸を受けた右腕も痺れている程度だ。グラトンが知る由は無いが、ライラのが纏う服はとある姫の織った織物で出来ている】
【ニッ、と不敵な笑みを返すライラ。……だが、自我が3つ。1つの意志で全てを制御しているよりも厄介な相手だと、直感する】
「良いか! グラトンもテメーら二人もよく聞いとけ!
勝つ事こそが全てじゃねーんだッ!! 負けて手に入る物も有るってこと、今からテメーらに教えてやるッ!!
S 3 ! ! ! W i n d B l a d e ! ! !」
【何もかも、勝つためだけに捨て駒とする彼の言葉。ギリギリと歯ぎしりが止まらない】
【バッと手を突き出し、其処に緑の魔法陣が展開される。杖でたたっ切るように魔法陣を断てば、現れるのは緑色の所謂鎌鼬だ。三日月形で、直径は1mほどだろうか】
【それが2枚、それなりの速度で持ってグラトンへと迫る。狙いは胸部……ではなく、少女達の生えた触手の根本!!】
82 (中部地方) [sage saga] 2014/06/14(土) 23:54:03.85 ID:qc0lt34+o(1)
>>74
「何だとッ!! この――――待ちやがぇっ!!」
【見下していた相手から逆に見下すような言葉を掛けられ、兵士は激昴した様子を見せる。残り二人と一緒になってAzothの後を追うが――――】
【Azothは見事剣を避け、鞭の攻撃も直撃を防いでみせた。こうなるともう、人間の速度では犬の加速力に追いつくことは出来ず】
【Azothの速度が僅かばかり早くなったことに気づき、咄嗟にそちらへ注意を向けられたのは、老人ただ一人であるのだった】
――――喚くな、たわけ者が!!
仕方がない、陣形を変える! お前たちで女の方を抑えろ!
決して距離を離さず、囲い込んで攻撃せよ!!
「りょっ、了解です!!」
【そのまま怒りに我を忘れてくれれば楽だったかもしれないが、この場には老人という優秀な指令塔がいて】
【兵士達の失態とAzothの予想以上の機動力により、さしもの老人も策を変えざるを得なかった。老人がAzothへ、三人がカズネへ、陣形が逆転する!】
【三人の兵士達は散開し、指示通りカズネを囲い込むように移動。もう阻む者はなく、Azothは無事に老人と相対することとなるだろう…………が】
往くぞ、犬っころ――――――――≪雷(トゥーネ)≫!!
【――――それは犬の反射神経を以てしてもなお、捉えがたいほどの踏み込み≠ナあったかもしれない】
【恐るべき事に、最初にカズネへ放ったものよりも更に上。揺らぐ闘気がその場に残像すら刻んだようにすら錯覚させる程の疾さ≠ェそこにはある】
【速度と体重が乗算され、左腕に集約――――まさしく雷≠ニ表現するのが相応しい、音すらも置き去りにせんばかりの必殺の刺突が、Azothへ牙を剥く!!】
【威力もまた初撃より上。その神速を見切ることが出来なければ、狙いが腹部であることすらわからないまま命を落とすことになってしまうだろう】
【……しかし攻撃が当たるかどうかに関わらず、老人は下記の通り、この後すぐにカズネの攻撃を避けるべく走り出す】
【これで仕留められるようなことがなければ。カズネの攻撃に老人が回避に気を取られているその瞬間は、老人へ攻撃を加える大きなチャンスとなるだろう】
>>75
【間一髪で膝蹴りが防がれたことを確認し、老人は若干ながら顔をしかめた。一度ならず二度までも防ぐとは――――もはやまぐれではあるまい、と】
【次の老人の行動は上記の通りである。兵士達へ指示を飛ばした後、Azothへ刺突を繰り出すのであるが】
【……その後に続くのが、カズネの放つ光線だ。レーザーのような放射型の攻撃を使ったのは賢いと言える、これなら剣で凌ぐことなど到底不可能であった】
ちっ、ずいぶんと便利なモノを持っておるようじゃが――――忘れるな、儂は一人ではないぞ。
――――今じゃ、やれ!!
「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」」」
【老人はAzothに放った強烈な刺突の勢いを逆に利用し、前方へ転がり込むようにして疾駆に移る。この動作一つ取っても常人には成し得ない領域だ】
【ただ、Azothに放った≪雷≫という技は攻撃後の隙がやや大きいという欠点があり、走り出すのが僅かに遅れて、光線が背中の肉を薄く焼いていくが……】
【その痛みに顔をしかめつつも老人はどうにか移動を開始する。そして一度走り出してしまえば、老人には例の疾さ≠ェあって】
【まるで老いを感じさせない走力でもってカズネの前をジグザグに移動し、光線から細かく逃げ回ることだろう】
【……が、老人への攻撃にばかり気を取られていると危険である。老人の動きは自分の回避であると同時、残る三人の兵士が攻撃する隙を作るためのものでもあった】
【雄叫びを上げた三人の兵士。まず刀剣を構えた二人が左右から挟み込むように突撃、カズネの両腕を切り落とすように横薙ぎが二つ放たれ――――】
【それと同時、カズネの真後ろの少し離れた位置に陣取ったもう一人が、例の鞭による打撃をカズネの頭部目掛けて打ち放つ!!】
【三方向からの同時攻撃。どれも軌道自体は力任せだがその分威力があり、かなり厄介ではあるが……】
【先程まで相手にしていた老人の神懸かりな動きと比べれば、三人の動きは見劣りするどころの話ではないはずである】
【Azothの支援もあり、戦況が好転したのは間違いないはずだ。全員近接戦闘型ではあるものの、兵士達への反撃の余地は十分にある――――】
83 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 23:57:10.68 ID:jwHUA4NG0(1/2)
>>67-68
【消し尽くすための爆炎の嵐、辺り一帯を破壊した死の残滓。無事な彼の姿が目に映れば些か程度の驚きを浮かべるも、宝玉に対する事務的な“奪取”への光とともに言葉を返す。】
「はッ―――――――不用心というか、潔いというか。
……だけど、あの一瞬でそこまでやる機転は流石だね。
マーシャル・T・ロウ―――――
最初の戦いで少なからず街の連中を逃がしたと聞いてるよ―――― もう、守るべき命なんてどこにもないけど」
【“殺したから”、“皆が機関の手に堕ちたから”。……後者が洗脳状態にあることは伏せて、彼にある希望を否定する様に残酷な言葉を突き付ける。】
【事実彼女には似た様なものだっただろう。彼は死ぬ。……己は、そうするために此処に居るのだ。 】
【故に挑発、彼女を獣とあざける言葉自体への返答はない。悪意は、既に殺すのに十分なものがあったのだから】
「……カノッサ機関Numbers 12、ダリア・レオンフィールド――――氷空綺藍=iアズライトヘイル)。
……確かめるけど、『殺さない』なんて言葉を言ったのかな? それにそんなアンタに私が敗ける、と――――
っ……くくっ、そうか、そうか、そんなに楽しくここに来られた、か――――
それじゃあアンタが滅びるだけだね――――私を舐めきったその愚昧、塵と灰になったその後で絶望しろッ!」
【名乗りを返し――――確認めいた単純作業を経て声は微笑へ、】
【それはそのいろを維持したまま不殺などという “余裕”への殺意を加え、】
【兇暴な笑みを真っ直ぐに浮かべて、破壊的な言葉で口火を切って――――緋に彩られた自由なる悪意は、戦場に完全に身を投じた。】
【彼が二挺の拳銃を執る。一発が足許へと着弾し、“自分自身には当たらない” 吹き上がる炎が否応もなく視界を狭める。】
(――――――! この高軌道、跳弾か……!? だけど、この程度の回転なら……!)
【そして炎の幕を突き破り迫る弾丸に、一瞬の衝撃を受けるも即座に思考を構築/複数の防御形態中、もっとも多くの可能性に対する最適解を選択、】
【空中に瞬間的に展開した氷壁が銃弾を僅かな傾斜から弾き流し、遮る様に射線を断った】
【金属音/ダリア・レオンフィールドの銃弾への対処を彼に伝える、】
【多面体には摩擦熱から蒸発した擦過痕すら見受けられない。尋常の氷でない特質の証左――――だが、】
「…………ッ!」
【さらなる跳弾。右肩への直撃こそ叶わなかったものの、氷壁が弾いた銃弾が、再度の変化を以て衣服ごと腕を抉る軌道を描いていた】
【それすらも彼の計算のうちなのか―――――あるいは彼に天分が味方して起きた偶然なのか。……募る思考/不意の痛み、】
【…………“いや、何も変わらない”。】
【そんな程度では逃さない。油断はない。瞬息で戮す―――――激情とともに鋭利さを増して積み重なる思考、】
【軽微な傷を身体の感覚でだけ確かめたダリアは、氷壁を消去すると同時に横ざまに駆け出した】
(……、――――――――――――。)
【氷の盾を消し去ったのは、それが通用する相手でない故の迅速な選択。最善の視界を維持する必要がある―――強固なる意志ごと彼を殺すために、】
【そして、最効率で死を突きつけ続けるのだ。芸術家、狩人、 ―――――思い上がりだと叩き付け、
【彼から見て左側の一点で疾駆するダリアは減速し、構えた左掌の前に生成されたのは氷の薄壁。】
【そして右掌を中心に集まるのは黝き “力”―――――】
【手首を返して叩き付ければ、発生した爆風が意図的に齎した脆弱性から鋭利な破片へと“氷壁”を変えて】
【氷の散弾、虚空を裂く花弁の様な六枚の兇刃が彼を襲う。読めないこともないが軌道はやや不規則、さらには“高強度の”氷壁が砕け散ると言う心理的効果―――――】
【防御には一定の労力を割くことが必要だろう。……彼に、確実に複数の弾丸を消費させる狙いが有った。 】
【そして “多く撃てばそれだけ隙は増す”――――――、】
【さらなる強大なひとつの異能が、恐らくは先程の爆炎の源が鼓動する。この氷片の一撃を以て守勢に回らせ、熄し殺すため。イニシアティヴを握るのはどちらか――――?】
【……彼は、この状況で何を選択するのか。一片の容赦もないけものの思考。乱せれば、それは一つの確実な好機となるのだろうけど――】
84 (SSL) [saga] 2014/06/14(土) 23:58:52.11 ID:jwHUA4NG0(2/2)
/>>83
【事実彼女には似た様なものだっただろう。彼は死ぬ。……己は、そうするために此処に居るのだ。 】
↓
【事実彼女には似た様なものだっただろう。彼は死ぬ。ならば救われるモノもない。……己は、そうするために此処に居るのだ。 】
でしたッ…
85 2014/06/15(日) 00:00:32.41 ID:Tmc5XUWQo(1/4)
>>76
【矢を放ち終わった後、それを視認すると同時にその戦士は赤い複眼をチカチカ光らせながら言葉を発する】
【今度は先ほどの侍女服の少女の声だ、この状態でも普通に意思疎通ができるらしく、己の目で探知した回避後の敵を見ながら……】
「―――第一射、回避されました……結構身軽な奴なのデスヨー!」
そう容易くしとめられるとは考えてはいないさ、こんな距離でやり合ってもらちが明かない
あのデカいのを撃たれる前に距離を詰めようか、我々お得意の至近距離の殴り合いなら……どこまでやれるか試してみたい!
【遠くで、相手が火力の高い弾に切り替えたのを見るなり、ぐ、と腰に力を入れて脚の筋肉のバネに溜めを作ると】
【トンッ!と一歩目の踏み込みで『戦士』の体が急加速を始める―――そのコンマ数秒後、放り込まれたグレネード弾が音を立てて破裂するが】
【それが作り上げた爆風の中から―――機体にダメージを追いながらもさらに勢いを増して男の方向に距離を詰めてくる】
……おおう、中々にキツイのを喰らったと思ったが……この程度の損傷で済むとはな……!
以前以上のさらなる強度……それにこの身の機動力……なんと心地いい事か!
続いて、パワーの方は……どういった感じかな!?
≪chainsaw now≫
【至近距離まで詰めたならば、腰からそのクラークタクトを引き抜き、『チェーンソー』のコマンドを入力】
【そのままタクトから一本の長柄の刃―――光を乱反射するかのように煌めくその刃を発現させると、その刃を持って『戦士』は一直線に胸部めがけて『突き』を放つ】
【―――ただ、こちらの攻撃は本命ではない……この時彼はわざと避けやすい単調な軌道でその『突き』を放ったのだ】
【この一直線の『突き』を回避し終わった男の体が反応しきれないように、その次のコンマ1秒のタイミングを見計らって】
【もう片方の手で持っている弓のブレードで男の右肩から胸にかけて縦に切り裂きにかかる―――!こちらが本命の攻撃!どう対応するか?】
86 2014/06/15(日) 00:14:50.99 ID:0lfbTfD4o(1/4)
>>80
【斧は"ウェンカムイ"の前足を断ち切った後に】
【焼夷弾の炎に巻き込まれ、焼き尽くされて消滅する】
【業火に焼かれながら、絶叫と共に暴走する単眼の怪物と狂獣】
【長き時間も経ずに其れも終わりを告げ、地面に転がり動かなくなった】
【真っ当な人間であれば、これで終わりだろう】
【あれ程の皮膚を焼かれて生きているのは、大凡常人を逸脱している】
【そう――常人の基準で見た場合は、だ】
【カミナは肉の焼ける不快な臭いを、翼を払って退けながら】
【炎の中で蠢く肉塊を強く、強く睨みつけた】
【あの肉の怪物をこの程度で屠れるなどと毛頭考えてはいない】
【スッ、と翼折り紙で1.5m程の高度を維持しながらも右腕を振り上げて】
似合わぬ大道芸の次は死んだ振りとはな
――下らぬ余興はこれまでにしておくがよいわカニバディールッ!!
【<貴宝院流不切正方形一枚折り・亀甲/猪頭>】
【空を切るかの如き勢いで――振り下ろした】
【瞬間、カミナの周囲で生成されていた折り紙が完成する】
【一つは斜め上前方で折られていた紙――それは"亀甲"であった】
【全長2m程度の亀の甲羅は、その場で浮翌遊しながら動く気配はない――防御用。今後の動きに最大限の警戒を持っている為だ】
【もう一つ、頭上で生成されていた紙は"猪の頭"を模した折り紙として完成する】
【神気を含むことで立体的に変貌し、太く長い牙を持つ凶暴な面立ちを以て宙に浮かび】
【カミナの"合図"を受けることで行動を開始――弾かれたような勢いでカニバディールに向かい突貫する】
【非常に直線的な動きであるが】
【直撃した際は凄まじい衝撃とともに牙で傷つけられる可能性がある】
【しかし、"炎上している"という状況であるため持続力は皆無となっており】
【触れれば数秒と保たずに焼け落ちて灰になる】
【カミナの左右に新たに2枚の紙が出現し。折られ始める】
87 (関西地方) 2014/06/15(日) 00:21:12.28 ID:NNVAXpmVo(1/6)
>>75
そういうあんたは……カズネ、だったか
【降下前のセリーナの発言から、きっとこの女性はカズネという名前なのだろう】
(人間の顔は少し識別しにくい……)
【犬は少し失礼なことを考えつつも、射線に入らないように気を付ける】
犬の丸焼きなんて悪趣味なモノ、食べたくないからな
【そんな口を叩くのは、余裕の表れ】
【少し傷を負っているにしては、余裕すぎる態度】
【それはお気楽だからか?それとも別の何かがあるのだろうか】
>>82
あーあー、喚く人間ほど弱そうに見えるものはないなぁ……哀れ哀れ
【あくまでも煽っていく犬、しかし老人という司令塔はこういう時でも冷静に、陣形を整えなおした】
【それを内心忌々しくも、そしてどこか感嘆にも似た感情を覚える】
【戦闘慣れしている、この老人は】
よかったのか?
彼女はあの兵士を一瞬にして無力化してしまうかもしれないのだが
【どこかあくどい響きを含ませながらつぶやく、動揺を誘おうとしているのだろうか、本気で言っているのか】
【しかしこの現状、どうあがいたってこの犬の方が悪にしか見えない】
【そして、望んだとおり――あるいは望まなかった通り、Azothは老人と対面する】
……こいよ老い耄れ、その一撃……ッ!
【その瞬間、踏み込み、薙ぐ、風、感じたのは、痛みが先か】
【この犬は、あくまで犬並の感知能力でしかない、そんな犬が"雷"と表現するに足る刺突を、避けることができるか】
【――答えは、否だ】
……速いな、爺さん……!
【ずしゃりと、血が吹きでる、腹を貫いた刺突は"普通であれば"致命傷になりえただろう】
【そう、"普通ならば"】
……でも、私は避けるとも受け止めるとも言ってない
【負け惜しみのような一言……ついで、老人のすぐそばを弾丸のように飛来する"赤い結晶"】
【もしかしたら感じるかもしれない、新鮮な、血の匂いを】
ああ、うん、この感覚、ははは、いいね、いい
【犬はまだ立っていた、いや、まだという表現は正しくないか――余裕で立っていた】
【腹を貫かれた、だから何だというのか、そういわんばかりに】
【見れば腹から滴っているべき血は流れていない、その代わりに、赤い、血の匂いのする結晶が、鎧のようにその部分を固めているだろう】
……その一撃から、力を貰い受けるよ……!
【その瞬間、犬が――疾ける】
【これまでとは比にならない、まるで実力を隠していたかのように、駆ける、駈ける、疾ける――!】
【狙いは老人……神速、とまではいかないがかなりのスピードをもって迫る】
【そしてまた、先ほどまでよりも強くなった力で、老人の腕へと噛みつこうとする】
【だが、直線的な動きで、避けることも迎撃することも可能ではあるだろう】
【また、一撃の威力を狙ったため噛みつかれても、すぐに犬は速さの反動で反対側へと飛んでいくだろう――それは、大きな隙である】
88 (SSL) [saga sage !red_res] 2014/06/15(日) 00:29:48.03 ID:tc1R8eM+0(1/10)
>>78
「じゃあ負けてみなさいよ!! 負けは死、そしてみんなそこで終わり!! 不完全だから意味が無いって言うんなら、あんたから負けてみなさいよッッ!!
ここであんたが負ければあんたは死ぬし、私が負ければ私は死ぬんだ!! 勝たない事の、どこに正しさがあるって言うのよッッ!!」
【勝利に固執するその執念――――もはやそれは『妄念』と言えるレベルのそれだ。シュバルツガイストの言葉は、それに支えられて淀みなく反発する】
【負けは、即ち死――――彼女の家族、母も弟妹も、その真実に飲み込まれて死んでいった。それがシュバルツガイストの、全ての始まりだった】
【だからこそ、彼女は負ける事を極端に嫌った。それは『負け犬』、死に逝く者の辿る道でしかないと】
【――――実際、彼女を含めたこの場の戦士たちが行っているのは殺し合いだ。負けは、そのまま高い確率の死へと直結する】
【そんな言葉を吐くぐらいなら、今ここで負けて見せろと、シュバルツガイストは吼える】
【勝ちにこだわる事の――――その為に自身すら犠牲にする事の――――何が悪いのかと】
【――――『覇道』『最終勝利』を目指すグラトンにとっては、そんなシュバルツガイストの信条は、実に都合が良いものだったのだが】
>>79
……思い出したか、少年? 懐かしいのぉ、ヒャハァァァァァッハハハハハハハハハハ!!
さあ殺し合おう、今すぐ殺し合おう!! きっとあの時より、もっとずっと楽しいものじゃぞぉぉぉッッ!?
なんと言っても、わしが殺せるんじゃ!! お前も楽しめないはずが無い!! じゃからお前も死ぬんじゃよぉぉッッ!!
【感情とは、やはり共有されてこそである。グラトンは、自分が一方的に思い出している状況が改善され、自分の事も思い出された事で、歓喜する】
【あの時は、互いにとって不完全な邂逅でしかなかった。あれから3年近い時が経ってしまったが――――今こそ、決着の時】
【いつもの狂った昂りに、そうしたカタルシスが更に味を添えて。グラトンが激昂する】
【もはやこのまま、狂気の化身から狂喜の化身になってしまうのではないかと、そう思わせるほどに――――】
>>81
仕方なかろう。世界の最後の戦争なんて言うものは、得てしてそう言うもんじゃって言うからなぁ!!
わしとて、半端な覚悟で『RAGNAROK LABORATORY』などと名乗っとる訳じゃあありんせんのじゃよ!!
【究極的に突き詰めた兵器などと言うものに、美しさなど存在しない】
【いや、あるいはその機能美とも言うべきものは、確かにそこにはあるかもしれないが、そこに万人が感じ入る感動など、あるはずもない】
【嫌悪感など、あって当たり前。それを極限まで追求する為に、グラトンの研究は、今まで続けられてきたのだから】
っふっほほほほぉ!! カノッサ機関ハンターとは、これまた豪気な名乗りじゃ!! ま、一面で滑稽とも取れるがのぉ……!
ならばお前も知るが良い! わしはグラトン=ブルーガー=ウルバヌス……この世界に『最後の勝利』を齎すものじゃよ…………!!
【カノッサ機関を狩る事だけを存在意義と見做しているその名乗り。滑稽ながら、実に面白い――――グラトンの思考はそれだった】
【そんな、ほんのとっかかりだけでもグラトンは興味を抱き、そしてそれを笑い飛ばせる。それも彼の狂気故の反応なのだろうが】
【だが、蛸の目はほんの一瞬『最後の勝利』を口にする時だけ、真剣な光を帯びた】
【彼自身も、それについては確固たる思いを込めている――――そんな眼をしていたのだ】
/続きます
89 (SSL) [sage saga] 2014/06/15(日) 00:30:03.97 ID:DpfyO+25O携(1/3)
>>80
【カミナの紙の斧、それによってカニバディールの乗るウェンカムイの体勢が崩れる】
【カニバディールの動きが妨害された事によってミハエルのトラップは成功する、互いに狙った訳ではないのだろうが、即興のコンビネーションプレイとしては十分過ぎる結果を与えてくれた】
【炎上するカニバディールとウェンカムイ、不意を突けば肉のガードも間に合わないだろうという策は、どうやら効いたようだ】
【暴れ回り始めるウェンカムイからは、やはり数歩距離を離して】
【やがて炎に焼かれた異形二体は動かなくなる、倒せたのだろうか】
【スロットが回り始め、止まり、今度は『5』という数字が示される、するとミハエルの持っていた銃は光の塊になって形を変えて】
【彼の背丈と同じ位の大鎌となる、出た目によって武器が変化するのだろう】
ほう……お前を地獄の淵に沈めるには相応しい、死神の鎌だ。
地獄の業火はその炎ほど温くはないだろうな……覚悟しろ。
【ミハエルは鎌を頭上に上げて、そこからギロチンの様に降り下ろそうとするだろう】
【大鎌はその刃を見るだけで容易に切れ味の想像はつく、恐らく骨ごと切り裂けるほどには見える位に鋭く残酷なまでに輝いていた】
【まだ息が有るのなら決して油断はしない、しかし どうなるかの想定までは出来ないのもまた確かであって】
90 (SSL) [saga sage !red_res] 2014/06/15(日) 00:30:53.58 ID:tc1R8eM+0(2/10)
>>78-79>>81
フハッ、あまり遊んどる場合でも無いのぉ……!!
さあ、お前たちには地獄を見せてやろう……これからたんまりとぉ…………ッ!?
【身体を成らすのに時間は必要だったが、だからと言っていつまでも準備運動をしているのも命取りだ】
【本格的に、敵を攻撃する方法を模索していかなければならない。その辺は、やはり慣れのないグラトンには『思考』のしどころなのだが】
【そんな暇すら切り裂いてしまう様に、>>81の鎌鼬が飛来する。巨体と言うだけならそうでもないのだが、慣れていない身体に咄嗟の回避は無理があった】
【ザクッ――――と、場違いなまでに小気味良い音を立てて、両の触手に深い切れ込みが入る。そのまま後ろに裂ける力が働き始めるほどの――――】
「きゃぁっ!! この……小賢しい真似をッッ!!」
<ウアッ!? グググァァァァァッ!!>
【――――半ば取りこまれているこの状況で切断などされようものなら、自分たちの命が危ない】
【咄嗟に2人の少女は、グラトンの体躯の肩に掴まる様にして、自分の根元を抱き寄せて耐える】
【行動は封じられるが――――この肉体には再生能力もある。何とかこのまま耐えきれれば良いのだ……】
……負けて作り上げる世界が、一体何になると言うんじゃろうのぉ!?
その為に、どれだけの代償を支払い続けるのか……勝ちを得ない限り、世界はいつまでも負け続けると言うのにのぉ!!
それも分からずに――――――――――――――――ッッ!?
【何か、グラトンにも思う所はあったのだろう。何らかの反論の様な言葉が紡ぎ出されようとしていたが、それよりも前に、>>79の結晶が降り注ぐ】
【そこから始まるトリップ、トリップ、トリップ――――ほんの一瞬での、認識する世界全ての変化は、グラトンに続く言葉を言わせなかった】
【何が起こったのか――――それを確認するよりも前に、グラトンはその光景に翻弄される】
おほぉぉぉほほほほほ!! なんじゃこれは!?!?!?
いつの間に麻薬など浴びたんじゃ、すぐに解毒しないとのぉ!!
【――――普通なら恐怖と錯乱に見舞われそうなその感覚も、グラトンにとっては楽しいものだった様で】
【だが同時に、現在の状況に望ましくないと言う認識も、また働いているらしく、麻薬の解毒をしなければ、と口走る】
【あるいはそれも錯乱の症状なのか――――あるいは、グラトンは本当にそんな事が出来るのか】
【麻薬で狂わされていく人間たちの事を思えば、それも恐ろしい話である――――もしグラトンが、真っ当にそれを活用していたら――――そんな事を考えるのは、野暮なのだろう】
これでも…………喰らえ!!
【やるべき事は、ただ敵に備える事。何が敵への備えになるのか――――それを考えるより前に、攻撃をしろ】
【それだけが、今のグラトンの思考出来た事の全てだった。そしてこの力は、それだけあれば十分なのだ】
【――――腹部から、強大な2本の肉の棒が隆起する。それには頭が付いていて、そして触角が付いていて――――巨大な蛇の姿をしている】
【――――生物兵器『オロチ』。その姿を、その細胞で模したものを、腹部から生やしたのだろう。そして、その特性である神経毒を、そこからまき散らす】
【辺り構わず、狙いなど付けず、ただ『まき散らす』――――散布する。どれだけ決められるかは分からないが、それでも多少の効果はあるだろうと】
――――――――ごぅあッッッ!!
【――――そんなフラフラに状況にあっては、>>78の爆裂マグナム弾も難なく命中する。炸裂するそれを受けて、グラトンは後ろへとよろめき、咄嗟に翼をはばたかせて後退する】
【片膝をついてしゃがみ込むグラトンの腹部には――――思ったよりも大きなダメージが見てとれた】
【どうやら、体表に突き出た機構の一部に、誘爆でも起こしたらしい。ダメージらしいダメージが見てとてる有効打だが――――それもあるいは治癒は不可能ではなさそうだ】
91 2014/06/15(日) 00:30:54.46 ID:Ra8jSuVJo(1/6)
>>82
(―――――――ち、やっぱ速度が足らない……飽和攻撃ならチャンスはあるんだろうけど)
【猛烈な加速度を誇る老人の動きに砲台の回頭は間に合わない】
【さながら川魚を捕らえようとして逃げられるようだ、忌々しいことこの上ない】
【爪に一時的に流した魔翌力もやがて尽き、光芒は掠れて消滅した】
ち、うっさいわね!考える頭もない人達に戦いを強いて!一人じゃないなんてよくもまあ言う!
本当は手荒な真似なんかしたくないんだけど……アンタ、ここまでして何が目的なのよ!!
【残る3つの爪を起動】
【背部装甲を展開し魔翌力を緊急圧縮、同時にカズネを中心として同距離の円周上に配置】
【魔翌力の接続は目に見える、魔翌力光の赤色も相まって血管にも似ている】
悪いけどっ!私に近づかないでっ!!
【兵士達が接近する瞬間に合わせ圧縮した魔翌力を放つ、奔流としての砲撃はショックガンに似た効果を示す】
【即ち純粋な衝撃として兵士たちの身体を襲う!一瞬であるからこそその衝撃は大きい】
(なんにせよ……形勢は入れ替わった、ここで兵隊を倒せれば……時間は稼げる)
(速度も関係なしに一気に仕留められる機構……大規模砲撃か、それとも高速弾道か……)
(どちらにしろ失敗したら回路が焼き切れる可能性はある――――――――いっそ囮に徹するべき?)
【考えられる作戦は6つの爪の全接続による攻撃】
【ひとつは大規模砲撃、この場全体を打ち壊す暴力の奔流で相手を滅する】
【もう一つは高速弾道による射撃、その名の通り視認を越える速度を持って相手を射[ピーーー]】
【ただ、前者は魔翌力充填までの時間が掛かり後者は高速で動く相手のロックが難しいというデメリットがある】
【ならば相方であるAzothに攻撃を委ね自分は囮を務めるか……打たれ弱い自分に務まるかという疑問が浮かぶ】
【なんにせよ状況を選ぶのはこの後にすべきだろう、標的が確実になってこそ策に意味はあるのだから】
>>87
―――――――っ、大丈夫ワンちゃ……!?
【老人の人知を越えた速度にAzothの腹部が貫かれる様を見る】
【早打つ魔翌力回路がより高く、逆巻くようにざわめくのは怒りに駆られての事】
【しかし、かのAzothという獣は知ったことかと平然としていた】
(何事……?……能力持ち……!?)
【結晶化した赤色は恐らくは血】
【流血を止める為かなるほど血を利用するのは理に適っている】
【が、傷が治るという訳ではあるまい……ダメージはダメージとして残っているに違いない】
(ワンちゃんがあれだけしてるんだから、こっちも相応に頑張らなきゃ女が廃る!!)
【獣にさえ戦う意志があるならば人はその尊厳を示すべきだ】
【その為に私はここに居て、そして振るうべき力を持っている】
【拍動のギアを更に上げる……視界が明滅するように感じるのは血流が拡大している為】
【構わない、力の行使に犠牲は無くてはならないもの――――――ならば躊躇いはない!】
92 (関西地方) 2014/06/15(日) 00:46:56.93 ID:8lB6eokno(1/8)
>>86>>89
【向けられる二人の正義の声に、返答はない。ただ、肉が焼けはぜる音が空しく返ってくるのみだ】
【カニバディールもウェンカムイも、生物ではある。炎に焼かれて、平然としていられるはずもない】
【事実、彼らの肉は焼け落ち続けている。そう、長時間にわたって、次々と――】
――ああああああ……!! がぐ、ぎ――!!
く、ぐ、ふ、ふふふ、ふ……!! まあだ……まだ、あ……あああああああ!!!
「グウウウウウウゥゥゥゥゥ……ガルルルルアアアアァァァァ……!!!」
【一つ目が、凄まじい苦痛と当初に倍する悪意を秘めて見開かれた】
【ウェンカムイとカニバディール、二体の異形が一体化したかのごとき姿で、怪物たちは立ち上がった】
【以前、その肉は燃えている。そう燃え続けている。カニバディールの能力で、後から後から湧き出、膨張し続ける肉が】
【カニバディールの本体とウェンカムイを覆って炎のダメージを可能な限り代替わりしているのだ】
【下側のウェンカムイが二足で立ち上がれば、その全身を覆い尽くすカニバディールの肉が見えるだろうか】
【カニバディール自身は、胸部と両腕、頭部のみがウェンカムイの首の後ろ辺りから生えているようにしか見えない有様だった】
【火勢は衰えるところを知らず。もはやそれは、カニバディールとウェンカムイの肉体、そして炎を融合したような】
【わけのわからない姿をした生物になっていた。焼かれながら活動するために、全体を覆う肉は絶えず脈動し、膨張し続けている】
【ウェンカムイが、二足で立つ。一歩踏み出せば、焼け焦げた肉が崩れ落ちる】
【異形が、動いた。ウェンカムイの燃え盛る右腕が振るわれ、迫ってきていたカミナの猪頭に叩きつけようとする】
【首尾よくいけば、衝撃と炎が猪頭を炭クズに変えてしまうだろう】
【ミハエルの召喚した鎌は、ウェンカムイの左腕の肉の一部と、そこを覆っていたカニバディールの肉の大部分を切り飛ばした】
【しかし、先ほどとは違って怪物は止まらなかった。単眼と両眼、怪物の三つの目がミハエルを睨み】
【彼に向けて、攻撃を開始する。ウェンカムイの右腕が、真横から振るわれる。軌道上にあるものを薙ぎ払う爪と拳の一撃】
【さらに、その間隙をついてカニバディールの肉が触手のように伸び、ミハエルを締め上げようとするだろう】
【当然、隙間なく炎に覆われている。掴まれれば、締め付けと炎の同時攻撃を受けることになるはずだ】
【炎に包まれたこの状況、周囲への警戒などできてはいない。狙われているのはミハエルのみ】
【カミナには、目もくれていない。彼女の次の一手は、制限を受けることはないはずだ】
【肉と業火の融合体と化し、なおも足掻くカニバディールに、二人が取る行動は――】
93 (SSL) [saga sage] 2014/06/15(日) 00:49:36.88 ID:q/Occmuj0(1/3)
>>85
チッ、やはりこれだけではしとめられないか
【自分の攻撃を行った結果を見て、すぐに別の行動へと切り替える】
【敵が接近してくる前に彼はすぐさまRK-11をほおり捨てると同時に腰にある自動式拳銃K666を取る】
【それと同時にK666の発射機構に直接特殊弾丸steelを装填する】
【特殊弾丸steel――厚い鋼鉄を軽くぶち抜ける弾丸、主に硬い敵などによういられる】
【だが弾速が遅く使いどころが難しい銃弾である】
(さて、これを撃つと決めたからには痛い思いをしなくてはいけんか)
【重ねて言うがこの弾丸は遅い、だからこそ遅くなったり弱ったりしたときに使う】
【だが、それいがいの場合でも彼は必要ならこの弾丸を躊躇なく使う】
【たとえ自分が死に掛けても最終的には勝利すればいい――そんな男なのである、ゆえに】
接近戦上等、必ずこの弾を叩き込む
【そのように静かにつぶやき彼は面白そうに笑みを浮かべた】
【そして、敵が接近して刃を発現させて、彼めがけて単調な突きを放ってきた】
【無論、そのような攻撃を彼がかわすのは容易だ、だがこの敵が放った攻撃は単調すぎると何かすると予測する】
【そして敵が本命である攻撃を仕掛けてきた。彼はこの行動をある程度予測しすぐさま後方へと飛びのく】
ぐっ…!、だぁがこれでッ!
【攻撃は食らったしかし飛びのく、この行動のおかげで彼はあの本命の攻撃に対して直撃せずにすんだ】
【だが、その攻撃は直撃こそしなかったもののけっして軽傷ではなく、中傷といったところだった】
【だが、彼はそんなこときにせずにすぐさま用意してあったK666を敵に向け――発射する】
【当然その中身は特殊弾丸steelだ、弾速が遅いとはいえこの距離、回避するには難しいが――】
94 (新潟県) 2014/06/15(日) 00:54:02.70 ID:X9rWTPP6o(1/5)
>>83
【突き付けられた残酷な言葉。その時一瞬だけロウの表情に暗澹が見えただろうか、伏せられた瞳に映る悲しみの蒼も一瞬ながら確かに描かれて―――】
【そしてそれを払拭するように顔を上げ大きく瞳を開き―――見据える。恨みの感情ではない。怒りの感情でもない。―――もうコレ以上死なないようにという決意の、瞳】
【負の感情が生み出す濁りもない深みある紺碧は、正義の味方に相応しき眼光。今にもこのセードムシティには、絶望に打ち拉がれる市民がいるだろう】
【―――見えぬはずの暗涙に咽ぶ姿が見える。聞こえぬはずの咽び泣く声が聴こえる。そう考えるだけで力が湧いて止まないのだ】
……お前を殺さずに「止める」。確かに俺はそう言ったぞ、ダリア。
―――もうコレ以上人を殺させやしない。そしてこの町を取り戻し……この町に住んでいた人の笑顔を取り戻す。
……そうすることが、アンタ等カノッサに殺されたセードムシティの人々に対して俺等が出来る唯一の事……そしてアンタを殺さないってのは―――俺のくだらんポリシーさッ!!
【先程放った弾丸の対処で見えたは彼女の能力。ロウ自身と同じ、氷の壁を作る能力も持ち合わせている―――と言うことか】
【先制攻撃で見えたあの破壊力に加え、堅牢な盾を携えている。不殺の精神に神が微笑んだのか、偶々弾丸は命中するもかすり傷。大きく戦況を変える力はない】
【―――やはり一筋縄ではいかない、などと警戒を強めるロウに対し―――愚直なまでの殺意を秘めた反撃が襲いかかる……!!】
―――ッッ、それは……ッッ!!
(―――……俺の常套手段じゃねーかよォッッッ!!)
【能力を属性に分けるとすれば、お互いが炎と氷―――相反する2つを操る能力者。故に戦闘における工夫も似るのか。ロウ自身が―――この攻撃の凶悪さを知っている】
【強い行動だとロウも分かっているこそ、彼の常套手段でもある。相手の視界を盾で狭めながら、盾を破壊し礫に変える。視界を奪えば、盤面をコントロールしたも同然なのだ】
【だが反対に、その行動への対策も熟知している。今まで色々な悪党と対峙して来た中で、奴等はどう対処してきたか―――走馬灯のように場面が浮かび、そして身体が動く】
―――……必要経費だ、こんちくしょうッッ! ぐゥッ……、〜〜〜〜〜ッッ!!
【―――選んだ選択は、「防御しない」というものだった。視界だけはと顔を背け目を左腕で覆うも、六枚の兇刃は各部分を鋭く裂く。脇腹や肩、ふくらはぎ等から朱が流れた】
【裂くだけならば良かったが、3枚は彼の肉に突き刺さっていた。左の二の腕に1枚、左脛に2枚。痛みに歪んだ表情と漏れた声が、その苦しみを十二分に示す】
【しかしその痛みに藻掻き苦しんでいる暇はない。「必要経費」と彼は言ったのだから―――反撃しなければこの痛みは食らい損になってしまう】
【顔を右に背けながら左腕で目を守るように覆い、やや右半身が下がっている状態の中で、彼は右腕を背面から通し―――背面投げならぬ背面発砲を放つ】
【トリッキーな発砲が狙うは彼女ではなく。チラリと見えた左奥の鉄筋。彼女の先制攻撃によって家が壊れ、剥き出しになっていたのだろう】
【一瞬全く見当違いの方向に放ったかのように見えるが―――老獪な男が無駄弾を作る筈がない。キン、という金属音と共に銃弾が跳ね返れば―――】
【彼女から見れば右斜め後ろから、右脇腹目掛けて弾丸が飛来する。普通ではない構えから、普通ではない軌道の弾丸。獣の嗅覚は其れに反応し、対応できるのだろうか】
95 (チベット自治区) [saga] 2014/06/15(日) 00:55:29.99 ID:1k/es8eNo(1/6)
>>79>>81>>88>>90
【一撃を撃ち放ったケルベロスの銃身が鋭く焼きつき、そして先端が融解を始める―――たったの一発で、だ。】
【どれほどまでに強烈な攻撃を加えているのか、それだけで分かろうと言う物。セリーナは素早くハンマーを叩き起こし】
【直ぐに次弾を装填―――残る二発の弾を備えた"シリンダー"と共に、三連バレルもグルン、と回転し、次なる銃身が設置された。】
【一発、一発を撃つごとに銃身を消耗するからこその、三連バレル―――全弾を撃ち終える為に装備されたのが、この極限威力の銃だ】
(―――もっとも、それですら効果は"バツグン"―――……と言い難いのが現実、か。)
(悲しい事だねぇ、パワーアップしたケルベロスが直撃しても"コレ"か……なら、二発連続で、やるしかないッ!!)
……だから、不完全だって言ってるんだよ。
シュバルツガイスト、アンタの"不完全さ"は―――その"決め付け"にあるんだ……。
死が負けを意味する、それは確かだろう。けどね―――"負けがイコールで死に繋がる"とは、限らないんだ。
―――ボロボロに負けてこそ。そして、負けて尚、無様に這いずり回って"生きて"こそ……ッ!
掴める本当の勝利があるッ!! アンタはそれを知らないだろう……ッ!!
だから固執する、勝つことは相手を倒すことだけだと、"そう決め付けて"いるから……ッ!!
良いかい……アンタは決して、強くなんか無い。むしろ何も知らない、弱い存在だ、シュバルツガイストッ!!
それを―――……アタシが証明してやる。
【―――仮に、グラトンが融合することで強力な力を得ているのだと、するのならば。】
【こうは考えられないだろうか―――……彼と、"彼女等"を、"分離させられれば、或いは"―――と。】
【セリーナはそう考えた。シュバルツガイストの言葉を聴く限り、彼女もまた、ハートと同じ、悲しい生い立ちを持つ存在―――なら。】
(……シュバルツガイストに限らず。合体してるほかの女の子達も、バラバラにできれば……ッ!!)
(残ったグラトン一人で、全てが担えるとは思えない、だからこそ、"救う"価値がある……ッ!!)
>>ALL(ライラ、基樹)
……ライラ君、それに基樹君。アタシに考えがある。
ちょいと耳を貸してくれるとありがたいんだけど―――どうだろう、少しは余裕が、あるかなッ!
【セリーナは二人に向かってそう叫ぶと、すかさずケルベロスのニ撃目を発砲―――それも、地面目掛けて、だ。】
【着弾したケルベロスは轟音と共に爆風を撒き散らし、そして更に言えば―――付与された"風"の属性により、暴風を巻き起こす。】
【結果的にこの激しい風は>>90にて放たれた毒ガスを広範囲に散布することで薄め、吹き飛ばす効力を為すはずだ―――とはいえ。】
う、くぅ……ッ!? ごほっ、けほっ、……つ、くっ……ッ!!
【その全てを防ぎきれる筈も無く、強力なガスは鎧を通過しセリーナの肉体にダメージを刻む。】
【しかしそれでも、彼女は再び次弾を装填すると二人に向き直って、こんな言葉を告げる筈だ―――。】
……どうも、見た限りじゃ"怪物"さんには再生能力もあるらしい、コッチの手数が限られてる以上、これは明らかに不利だ。
持久戦に持ち込もうにも向こうは化け物、こっちは能力者と人間に魔法使い―――……多分、押し切られるのは時間の問題。
だから、ってワケじゃないけど……連中の力の源を絶つ、そんな戦いをしようと思う……ッ!!
―――元はどうあれ、グラトンは科学者だ。一介の科学者に、こんな戦闘を行える能力があるはずも無い。
であればこの力の根源は何か―――単純さ、合体してる女の子の力が、ソレだ。
だから端的に言うけど、この融合を解く方向で戦いを進めれば……勝機が見える、かもしれないッ!!
只闇雲に攻撃を重ねるんじゃない、あの少女達を救―――……。
……分離させて、戦うんだ。乗ってくれるかい?
【―――後半に出た言葉は、彼女の本心か、それとも単純に、効率を優先した結果なのか。】
【少なくとも、このまま戦力の力比べを続けても活路は見出せないと、セリーナはそう判断し―――彼らに、提案するだろう。】
96 (中部地方) [sage saga] 2014/06/15(日) 01:15:01.08 ID:Tizm9Unpo(1/7)
>>87
……元より彼らは、戦場に立つべくして立った訳ではない。ここで脱落するようであれば、それまでよ。
【カズネが三人を倒してしまう可能性は、老人とて考えていたようで。それでも向かわせたのは、戦況の流れ上仕方がなかったというところも大きい】
【しかし……『対外ボランティア』という存在の価値を語る老人の口調は、少しばかり重いだろうか。彼らが洗脳された住人だというのは老人も知っているようであり】
【――――あるいは。老人も此度の首謀者である≪No.6≫と同じ機関員でこそあれ、それに対して良い感情を持っていないことが伺えるかもしれない】
ぬ、っ…………! それが君の能力≠ゥ!!
我が剣技を受けてなお立つとは――――全く、羨ましい限りじゃよ!!
【防がれた訳でも、回避された訳でもない。レイピアは確かに腹部を貫いたはず――――この血を結晶化させる奇妙な能力が、Azothを救ったのか】
【カズネの攻撃の回避へ向かう去り際、老人が残していった言葉は少しばかりの羨望を含んでいる。犬に嫉妬するのもおかしな話で、同時に自嘲も感じられるが】
【……そう言えばこの老人、この剛勇無双の剣技が能力でないとするならば、まだ一度も異能≠轤オいものを見せてはいない】
な、にっ――――!
厄介な、よもや手傷を負えば負うほどに強くなるとでも………!?
【そして、時間軸は現在に戻る。カズネの光線を避けるべく回避に徹していたところへ、老人の予測を遥かに超える速度でAzothが迫り来る!】
【即座にAzothの能力の正体を推理し、不意を突かれる形でありながらも、咄嗟の判断で狙われた右腕を動かしたのは流石だったが……】
【今度は一筋縄で対処することは出来なかった。直に噛み付かれることこそ無かったものの、Azothの鋭い牙は老人の右腕に深めの裂傷を残していくだろう】
【……だが、老人もただでは終わらない。それとカウンターになる形で右腕を真下に潜らせ、すれ違いざまに強烈なボディブローを叩き込まんとする!】
【忘れてはならないのが、老人が右手にマインゴーシュを握っていることだ。老人の拳は護拳≠ニ呼ばれる金属のパーツで覆われており、威力はその分高まる】
【直撃すれば骨折のみならず、内臓へのダメージも覚悟しなければならないだろう――――】
/遅れてすみません、続きます!
97 (中部地方) [sage saga] 2014/06/15(日) 01:15:24.14 ID:Tizm9Unpo(2/7)
>>91
――――その言葉は、彼らへの侮辱じゃよ。
確かに彼らは、グラトンらによる洗脳≠受けてはいるが……それは自意識を奪うほどのものではない。
無論、根底に連中への恐怖があることは間違いないが。ここに居るのはあくまで彼ら自身の意思で、彼ら自身の選択じゃ。
彼らは、弱い。ゆえに戦い方を知らねばならぬ。……二度と、己に負けぬように。
【カズネの言葉に、老人は少しだけ表情を硬くした。ちらりと眺める三人の形相はどれも必死であり、見えない恐怖に駆られているかのよう】
【本当の意味での洗脳を受けているのならば、そもそも話すことすら出来ないだろう。戦うように考えを強制された、というのが恐らくは正しいか】
【――――意図的にか、老人は自分の目的については一言も語らなかった。ただポツリと呟きながら、三人の兵士達を眺めて】
「ひっ………うわあああああああああああああ!!」
「ちくしょう、ちくしょう――――ッ!」
【最初に魔弾によるダメージを受けていたこともあって、兵士達はカズネの放つ衝撃≠受けるとあっさり崩れ落ちてしまうだろうか】
【離れていた鞭使いだけは無事だが、残る二人は剣を取り落として倒れ込む。……相当のダメージは負ったが、まだギリギリで気を失ってはいなかった】
【だというのに、彼らは立ち上がろうとしない。ダメージよりも精神的な要因が大きいのだろう、このまま寝ていれば楽になれると――――】
――――どうした、剣を取れ! 立ち上がれ!
いま目の前にいる者を見よ、このような女も! 犬畜生でさえも!! 数で劣る戦況に屈せず、立派に己の正義≠貫いておるではないか!
貴様らはそうして豚のように、一生恐怖から逃げ続けるのか!? ここで助けられた後も卑屈に生き続けるのか!!
変わりたければ奮起せよ!! 自らの意思を誇れ!! 己が恐怖と立ち向かえ!! ――――闘えッッ!!!
【まるで軍隊――――上官から、部下達へと飛ばす叱責のように。荒れ狼≠フ咆哮の如き憤激が、兵士達の体を打ち据えるだろうか】
【無理矢理随わされ続けていた彼らからすれば、理不尽で身勝手な理屈であった。……それでも、何かも思うところでもあったのかもしれない】
【――――立ち上がる。一人は涙を浮かべて、もう一人はやる方ない怒りを浮かべて、それぞれ剣を取った】
「う――――うぉああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!」
【今度の攻撃に狙いはない。ただ力任せに、八つ当たりのように、カズネへ二本の剣が叩きつけられるだろう!】
【注意しなければならないのは、この剣が『F-255』――――通称『蟷螂剣』と呼ばれる特殊な刀剣であることか】
【意図せず、力んだ兵士の手がグリップを操作する。振り下ろされた刃の中間部分にある『節』が突如折れ曲がり、剣から鎌≠ヨ姿を変える!】
【これにより、攻撃は斬撃ではなく刺突≠ノ変わり。折れた刃の分だけリーチが伸び、攻撃のタイミングがワンテンポ早まる。注意していなければ少し危険だ】
【……そして、攻撃の成否に関わらず。元よりカズネの衝撃を受けて限界が来ていた二人の兵士は、攻撃後に今度こそ限界を向かえ、地面に倒れ伏すだろう】
【残された鞭の男の方は――――やはり老人の言葉に思うところでもあったのか、戦意を喪失したように佇んでいる。……とりあえず捨て置いても大丈夫そうだ】
>>ALL
――――――出力三十! 撃て(フー)<b!!
【二人への攻撃がそれぞれ終わった後――――老人はふと軽く手を挙げ、そして唐突に叫ぶだろうか】
【その意味を理解するには、二人が振り返って斜め上を見る必要がある。……中止すべきは、少し離れた位置にあるスロープの上】
【――――非戦闘員の避難誘導に当たっていた、銃≠持っている二人が戻ってきたのだと、わかるだろうか?】
【そして号令と同時、『F-166』――――通称『ボルトシューター』から射出されるのは、バチバチと光を発する大きな電撃弾=I!】
【それも単なる電撃弾ではない。着弾した瞬間に炸裂≠オ、電撃と同時に衝撃を撒き散らす凶悪な弾丸である】
【狙い自体は二人の胴体だが、躱したとしても地面に着弾して炸裂するため、完全に回避するためには相当移動しなければならないだろう】
98 (東京都) [sage saga] 2014/06/15(日) 01:17:01.72 ID:XF+n2rDHo(1/5)
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>>81,88,90,95
【谷山の思想は、どちらかと言うとグラトンに近い】
【敗北に価値がないわけではないが、最後には勝たなければならないという思想だ】
【そして、今この場に恐らく次はない。だから今この状況に於いては――】
『――勝つことが全てだッ! そこだけは認めてやる。
ああそうさ。生きて、最後に勝ってみせる。俺は勝つためなら負けることだって選んでみせる!!』
『ッ――――Imitation Saber魔剣ダモクレス!!=x
【そう、谷山は迷うこと無く宣言する。そして、谷山は虚空から兵器を引き出した】
【アートマンの結晶体を収束して創りだした、一撃で砕け散るその兵器。その姿の名は、魔剣ダモクレス=z
【この場に居るセリーナが用いる、強力な装備。それを見た目だけ再現したものだ】
『俺は殺す。人を殺すのは初めてじゃあない。
だがな、俺にとって殺人は手段であって目的じゃない。――そこが俺とお前の違いだ。
俺は戦いも殺し合いも全部――大っ嫌いなんだよォ!!
だから、争いを、殺し合いを、戦いを生むてめえみたいな奴は例外なく消してやるよ、殺してやるよォ!!
ああそうだ――――てめェは死ねェ!! 俺は生きてやる、絶対に、絶対にだァ――――ッ!!』
【グラトンの言葉に対して、安定性を欠いた谷山の精神は、むき出しの悪意と殺意と敵意を発露させる】
【谷山は正義だ。紛れも無く、正義だ。だが、善人ではない、そして悪人でもない。悪事も善行も双方行ってみせる】
【清濁併せ持つ、渾沌とした正義。セリーナのそれや、ライラのそれとは違う――歪で、狂って、折れ曲がっているのに真っ直ぐな意思】
【その正義は、哲学者の卵の影響によって殺意としてこの場には具現している。そして、その殺意は手元に剣となっている】
『……は、毒じゃねェよ。ハックだ。
てめえをハックして、クラックして、ブレイクしてやるよォ……!
分析して、脆弱性を見つけ、その脆弱性の対策をするだけ。
てめェをブチ斃すのはサーバー相手にするのとそう変わりゃあしねえわなァ!!』
【グラトンはたしかに強い。無数の攻撃手段を持ち合わせ、無数の防御策を持ち合わせる】
【だが、できることが多いものほど、把握しきれない弱点が多いものだ】
【機能制限という言葉を知らないようなグラトンは、高機能だが脆弱性の多いサーバのようなものでもある】
【要するに、谷山の選んだ戦いは、グラトンに対してゼロデイアタックを仕掛けるようなものだった】
『カ……ァ……ッ!!
この程度でェ……! 俺を、止められると思うかァアァァァアァァ!!!
神経が侵されたならダメな部分ぶち壊してもう一度作り直しゃいいだろうがよォ!!』
【神経毒。それを浴びた谷山は、しかしながらうろたえない】
【侵された部位を即座に放棄し、自壊と生成を繰り返し続けることで毒の効果をある程度軽減していく】
【と言っても、自壊と生成を繰り返す度に体躯と精神には負荷がかかり続けている事は間違いなかった】
【そして、セリーナから告げられる作戦。それを受けて、谷山は笑みを浮かべる】
99 (東京都) [sage saga] 2014/06/15(日) 01:17:27.31 ID:XF+n2rDHo(2/5)
>>81,88,90,95,98
『俺に出来ることは大して多くない。せいぜいあいつらの五感とかそういうのを狂わせる程度のもんだ。
俺の技は威力を持たない。だが、当たれば確実にあいつらに隙を作ってやることは出来る。そして俺は必ず当てる。
だから――、俺を信じろ。俺を信じて、準備をしておけ。――――哲学者の卵の力で、目にもの見せてやっからよォ』
【谷山は、このような大規模戦闘の場合には殆ど肉体にダメージを与えることができていない】
【それは、本人の身体能力の問題でもあったし、異能の適性の問題も有った】
【だが、今此処には2名の火力を持ったものが居る。そして、大切なのは適材適所】
【谷山はグラトンを倒せない。だが、倒すための布石になることは可能だ】
【笑みながら一歩前に出て、谷山は手に握りしめる剣を掲げた。そして、全身に燐光を纏っていく】
【纏わりつく燐光は、結晶となる。谷山の体表を、鎧のように覆い隠していく蛍石の群れ】
【足りない身体能力を一時的に底上げするために、谷山ははアートマンを纏った≠フだ】
【外部から強制的に動かすことで、無理やり技の再現を可能にするその荒業は、肉体に異様な負荷を与えるもの】
【だがそれでも、一度限りであれば大抵の技は再現することが出来る。武の心得を、銃の心得を持たぬ谷山が身につけた、本気の猿真似だ】
【谷山の口が動く。己の中で確定した動作を実行するための、起動コードを口にする為に】
『 ≪一の刃・陽炎=竅@』
【技名が口にされた直後に、谷山の姿が消え去った。そして現れたのはグラトンの正面】
【陽炎とは、相手へと突進しすれ違いざまに切裂くだけの簡単な技】
【魔人となったディック・ホワイトでなければ必殺にも成り得ないだろう単純なそれに、谷山は威力以外で一瞬だけ並んでみせた】
【その剣は、実態のないイミテーション。触れても肉を割くことは無い、骨を断つことはない、命を落とすことはない】
【だが、それは先ほどの結晶体による神経系の汚染よりもなお大きい影響を与えてみせる】
【神経系に流れこむデータ量は、先ほどの結晶の数倍どころではない。命中したのならば、全身に無軌道な命令が送り込まれかねない】
【そして、グラトンの肉体の神経系がどれほどのものかは分からないが、脳の処理速度と作業領域と神経系の帯域幅の限界を超えたならばグラトンというシステムは一時的にダウンする】
【即ち、一時的な意識の消失。そして意識復活後にも残る、神経系へのダメージが、この攻撃の与える効果の結論だ】
【体表に纏ったアートマンを負荷で自壊させながら、谷山はそのまま駆け抜けて、止まる】
【負荷が大きいのか、荒い息を吐いて片膝を突いた】
『――――ッ、ッ、ぉ……ォォォォオォォォォ!!!』
【皮膚が崩れ、ぼろぼろとなった身体で立ち上がる、人なのかアートマンなのかわからない何か、谷山基樹】
【全身に罅割れを生み出した状態ながらも、その瞳だけには強い意志を宿して】
【ぐずぐずの右手でナイフを引き抜き、グラトンへと向き直った】
100 2014/06/15(日) 01:19:57.55 ID:0lfbTfD4o(2/4)
>>92>>89
(――――随分と厄介な状況になったのじゃ……!)
(こうなっては、これ以上"温存"するのは愚策か――)
【燃え盛りながら、尚も化け物じみた力を振るい続けるカニバディール】
【戦闘を続行出来るだけの余力を残していることは、防御策を用意していた事から分かる通り予想の範囲内である】
【しかし、"燃えながら"暴れまわっている現状が厄介だ】
【一見万能に見える"オリガミ"であるが、その実殆どの攻撃は接触攻撃であり】
【最大級の弱点である炎に巻かれれば、紙は瞬く間に焼失し消えてしまう】
【つまり言えば"炎を纏ったまま"のカニバディールに、真っ当な手段で有効打を与えることは難しいのだ】
【そう、真っ当な手段では……だ】
【カミナは天を見上げた。其処には、最初から用意してあった"切り札"が存在する】
【本来は敵の巨大兵器などの相手をすることを想定したモノであったが】
【この期に及んで出し惜しみなど考えてはいられない】
【このカニバディールという怪物を打倒するには――】
【カニバディールがミハエルに攻撃の手を向けているその時に】
【カミナは深く息を吐き、精神を集中しながら胸の前に手を掲げ――】
―――我「折る」「紙」に『神』は『降る』―――
【<貴宝院流秘術:降り神/八咫烏>】
【――パァン、と森羅万象に響かせるように神気を込めて打ち鳴らした】
【その瞬間、上空に存在した"巨大鳥折り紙"に神気が宿り劇的な変化が現れた】
【純白の身体はみるみる内に黒に染まり、偽りの身体に肉が、神経が、血液が宿っていく】
【其れは雄々しく空を裂きながら長大な黒翼を打ち震わせ】
【三本の足の先に日本刀のように鋭い爪を備えながら、戦場に向かい一直線に降下する】
【折り紙の実物化、一日一度の使用制限が存在するカミナの切り札であった】
【当初より視覚共有により、俯瞰した目線からの情報収集を行っていた鳥折り紙は】
【こうした必要な状況に応じて実体化させ、参戦させることも視野に入れた代物であった】
貴様のような下劣な輩には過ぎた技じゃがな
――冥土の土産じゃ、とくと拝んで逝くがよいわ!!
【巨大な鳥――八咫烏は、カミナの付近……約2m程度の高度まで降りると翼を一層強く打ち震わせる動作を見せる】
【その瞬間、広大な翼に血管のような無数の光の線が刻まれ】
【八咫烏の正面にバスケットボールほどの大きさをした高熱の光球が生まれていき】
【数秒と立たぬ間に其れは――カニバディール目掛けて射出された】
【この八咫烏を模した生物が持つ特性は"太陽の化身"】
【本来は弱点である、高熱を操る攻撃が可能となっている】
【光球は、カニバディールから少し離れた位置で効果を発動し大爆発を引き起こす】
【直接当てて使わないのは、ミハエルが拘束、もしくは近接距離に存在する可能性が高いためだ】
【その為命中したとしても威力が低下しており、必殺の一撃とはなりえないだろう】
【だが、爆発する際に放たれる衝撃と膨大な光は】
【カニバディールに隙を生じさせる可能性も存在するだろうか】
【また、爆発が起動する前に即座に気づき光球に強力な攻撃を食らわせた場合その場で効果を失い掻き消える】
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