ミュウツー『……これは、逆襲だ』 第三幕 (469レス)
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1: ◆/D3JAdPz6s [saga] 2016/02/24(水)23:16 ID:CXQiijtko(1/12) AAS
ミュウツー『……これは、逆襲だ』
ミュウツー『……これは、逆襲だ』 第二幕
の続きです

・本編ゲーム(赤緑〜XY)の設定をベースに、『逆襲』の設定、首藤要素、妄想を盛り込んだ世界です

・『逆襲』のミュウツーが、ななしのどうくつからヤグルマのもりへ飛び出します

・そんなミュウツーが、ヤグルマの森でいろんなポケモンや人間たちと出会います

・人間キャラ、肩書きの設定もおおむねゲーム準拠、アニポケ由来のキャラはほとんどいません
省4
450: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:30 ID:PVvYiWSbo(1/15) AAS
静かに閉まった引き戸。

スモークガラスの向こうに、今もまだカツラの姿が見える。

ほんの少し動きを止めたあと、カツラは出口の方に動き出した。

部屋の中の人間たちは、その姿をなんとなく目で追う。

硬い足音が遠ざかっていく。
省15
451: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:36 ID:PVvYiWSbo(2/15) AAS
アロエは気まずそうに頭を掻いた。

レンジャーに向かってアデクが小声で言う。

アデク「お前さんは若いから知らんだろうが、こいつも昔は随分と気性が激しくてな」

アデク「その頃に比べりゃあ、お淑やかな方だ」

レンジャー「そ、そうなんですか」
省14
452: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:38 ID:PVvYiWSbo(3/15) AAS
それはそうだった。

だが、場の空気は確実に緩んでいる。

カツラももういない。

あの話を蒸し返すなら今しかない。

レンジャーはごくりと喉を鳴らし、口を開いた。
省15
453: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:40 ID:PVvYiWSbo(4/15) AAS
そう唸りながらアロエは頭を抱えた。

アデクは目を見開き、この会話の意味に息を呑んでいる。

レンジャー「……こっちの言葉がわかるだけじゃないんですね」

アロエ「あたしらみたいに、こうやって口動かして喋るわけじゃないんだよ」

どこか言い訳じみた口調でアロエが言う。
省15
454: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:42 ID:PVvYiWSbo(5/15) AAS
アロエ「それも、カツラの話が本当なら、当然ってことよね」

アロエ「最初はずいぶん人間を警戒してる感じだったし」

アデク「だが、頭もいいし理性的だ」

アデク「そこだけは、実際に会ったあいつと、カツラの話とで印象があまりに違う」

レンジャー「そう……ですか……」
省15
455: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:43 ID:PVvYiWSbo(6/15) AAS
ずっと立っていたアロエが、足元の四角い椅子に腰を降ろした。

アロエ「そうなのかな」

まるで職員室で教師と対峙しているような按配だ。

とんでもない三者面談だ。

アロエ「キミは、今もあの子のことを知ってるじゃないか」
省16
456: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:44 ID:PVvYiWSbo(7/15) AAS
思わず自分の手を眺める。

レンジャーは俯いてぽつぽつ話し始めた。

レンジャー「ご存知のように、私はヤグルマの森を担当してるレンジャーです」

レンジャー「あの森は、街から距離が近いわりに広いというか、深くて」

レンジャー「ここらの産業なんかとはあまり関連がないせいで、開発も進んでないんです」
省11
457: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:49 ID:PVvYiWSbo(8/15) AAS
アロエ「捨てられた……」

レンジャー「え、なにか」

アロエ「ううん、続けて」

レンジャー「あ、もちろん、全部が捨てられた奴ってわけじゃなくて」

レンジャー「よその地域から野生のまま流れてきただけの個体も、含まれているとは思います」
省16
458: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:50 ID:PVvYiWSbo(9/15) AAS
レンジャーはぎくりと身をこわばらせた。

慎重に言葉を選ぶ。

話さなくてはならないことなのだから仕方ないのだが、聞かれると動揺する。

あの不思議なポケモンについてではないにしても、彼らについて必要以上に言い触らしたくはなかった。

レンジャー「……『窓口』になっている個体がいるんです」
省19
459: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:52 ID:PVvYiWSbo(10/15) AAS
耳を塞ぎ頭を振るアロエをちらりと見てから、アデクは胸を張る。

アデク「ま、これ以上、評価を落とさんよう気をつけないといかんな」

アロエ「そ……そうね……」

アロエ「あっ、ねえ、まさかと思うけど、あの子のこと、報告書とか日誌に書いたりしてないよね?」

はっとした顔でアロエが尋ねてきた。
省13
460: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:54 ID:PVvYiWSbo(11/15) AAS
お手上げだ、とでもいうようにアデクは両手を広げた。

そしてレンジャーに同意を求めた。

それはつまり、彼らに――お前に――できることはないと言われたも同然だった。

アデク「あいつが、存在を広められることを望むとは思えんしな」

アデク「現状、潜伏場所の周囲で三人もの人間に存在を認知させてしまっている」
省15
461: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:55 ID:PVvYiWSbo(12/15) AAS
アロエ「そろそろ、お開きにしましょう」

レンジャー「……はい」

アデク「なーに、お前さんが落ち込むところは、今のところ特にない」

レンジャー「いえ、そんな……」

アロエ「一応、あのハゲも必要なことはひととおり話してくれたみたいだしね」
省8
462: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:57 ID:PVvYiWSbo(13/15) AAS
アロエ「それに、あたしたち三人には『あの子と意思疎通する手段や機会がある』と考えられるわけだし」

アロエ「喋らない他のポケモンならいざ知らず、本人に事実確認ができるのに嘘をつくメリットはないと思う」

アロエ「なんにしてもあたしたちは、あの子自身ときちんと向き合う以外に本質を見極める手段はないわけ」

アデク「それもそうだ」

アデク「うんうん」
省15
463: ◆/D3JAdPz6s [saga sage] 2023/12/09(土)22:59 ID:PVvYiWSbo(14/15) AAS
アロエは、アデクが出て行った引き戸を見ている。

硬い床を擦る履物の音が遠ざかっていく。

そして――

「うわっ」というアデクの呻き声と、別の誰かの声が聞こえた。

『別の誰か』は、どうやら男らしい。
省11
464: ◆/D3JAdPz6s [saga] 2023/12/09(土)23:04 ID:PVvYiWSbo(15/15) AAS
今日はここまでです!

>>447
フジも来れればよかったんですけどね。
でも、そうはならなかった
ならなかったんだよ、ロック
だから、この話はまだまだ続くんだ
465: 2023/12/09(土)23:33 ID:FoWOuTBbO携(1) AAS

466: 2023/12/09(土)23:37 ID:uhnRTg7K0(1) AAS
更新お疲れ様です!!

>> 外来種のみで異種混成の群れ
人間からするとこういう表現になりますよねえ…。
「存在を外に知られないようにしよう」が叶うといいなあ…?
467: 2023/12/10(日)00:39 ID:UK0e4MxkO携(1) AAS
おつ
468: 2023/12/15(金)23:04 ID:EGYCHbQXO携(1) AAS

469: 2023/12/24(日)16:58 ID:f3g0dKd1O携(1) AAS
おつー
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