[過去ログ] モララーのビデオ棚in801板57 (502レス)
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(2): 笛と猫 1/6 2010/04/26(月) 02:03:46 ID:SBSewMxT0(1/6)調 AAS
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマから三條×武智。描写は少しあるけどエロくは無いです。多分…

その夜、自分の前に現れたのは一匹の猫だった。
月の光が落ちる、庭に臨む廊下の板の上。
寝つかれず、寝所を出て柱にもたれるように腰を下ろし、手慰みにと吹いていた笛の音が
不意に横合いからの気配を察し、止まる。
向けた視線の先、あったのは闇の中で煌々と輝く二つの目だった。
迷いの黒猫か。
夜の影の中に輪郭を滲ませた、その正体を三條はそんなふうに思う。
けれど無言で見つめる自分の方へ、やがてゆっくりと近づいてきたその毛並みは、月明かりが
射す場所まで出てこれば、驚くほどの真白だと知れた。
ただ染まりやすいその色は今、闇と月光の双方を吸い取り、鈍い錫色の光沢を放っている。
そんな曖昧な色合いは瞬間、自分の脳裏に一人の男を思い出させた。
だからだろう。
「おいで。」
半ば無意識に唇から零れた言葉と、差し出した手。
手招く己に、その時猫は逃げなかった。
それゆえ、ゆるりと近づいてきたその体を静かにすくい上げ、夜着一枚の胸元にそっと抱く。
柔らかな毛並みだった。
優しく撫でれば輝く瞳は心地よさそうに細まり、小さな口からは短な鳴き声が洩れる。
その素直さがまたしても自分の違う記憶に触れる。
思い出す。
彼は自分の前でけして、こんなふうに素直に啼きはしなかった。
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