[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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13: 2019/07/24(水)01:22:03.26 ID:XfFrIQoe0(13/20) AAS
 そして月日は経ち、宇宙世紀0087年。
 デラーズ紛争による被害などを理由に残党狩りを続けていた地球至上主義を標榜するティターンズと、それに対抗すべく発足した反地球連邦組織エゥーゴの戦いが遂に表面化していた。
 私の元にも一年戦争時の仲間からエゥーゴ参加の打診が来たが、返事はしなかった。

 正直にいうと私は恐れていた。ティターンズのような、この星に生まれこの星に根ざした価値観というものに私達は敗れたのではないか。
 何の為に再び戦うのか、私にはその理由を見出すことも出来なかった。戦う事で何か変わったとでもいうのか。
 終戦を認めず戦い続けたデラーズフリートはティターンズの跳梁を許し、また戦いの火種を作っただけではないか。
 エゥーゴに参加し、よしんば勝利したところでまた同じことを繰り返すだけではないのか。その螺旋の中心にあるこの星の重力が恐ろしかった。
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(1): ◆tyrQWQQxgU 2019/08/01(木)12:44:16.26 ID:kgBteTo80(5/27) AAS
 とはいえ、安息を乱そうとする輩を殲滅する事に関しては意欲的に取り組むつもりでいた。そして今回の出来事である。

「"あれ"は金のかかった研究開発だからな。簡単に潰されては困る。して、カラバのガルダ級のその後の動向は?」
「進路変わらず大陸を南下しております」
 側近の報告によれば、エゥーゴとの合流を目指していると思われる敵のガルダ級は、新型とパイロットを積んだ後アジアを縦断していた。

 ティターンズの息がかかった研究機関は多く、今回敵と接触した部隊の所属先もその機関の1つである。名をムラサメ研究所という。
 研究所の新型サイコミュ搭載機が、テスト中に制御不能になった。
 暴走して飛行中に先述のガルダ級の所属部隊とティターンズの小競り合いに遭遇、カラバに返り討ちにあって帰還したとのことだが…何か隠している様に思えてならない。
「ニタ研の連中の報告を鵜呑みにするな。ブラン少佐の部隊も胡散臭いやつらとの合同作戦であの様相だ。同じ轍は踏むなよ」
179: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/05(月)23:17:31.26 ID:FTBnsAmn0(2/19) AAS
「待て!!」
 私は力の限り叫んだ。

 アトリエ中尉と共に格納庫へ到着した時、シェクター少尉の機体がSFSもなしに艦を飛び出そうとしていた。
 こちらの制止する声など聞こえるはずもなく、彼はそのまま降下していく。
 随分と走ってきたせいで息も絶え絶え、それでもどうにか整備済みのマラサイの元へ辿り着いたが、固定されたハンガーの解除に手間取る。
 そうこうしている間に少尉の位置情報は途絶え、私はコックピットの中で途方に暮れた。
「あいつ…死に急いでんのかよ全く。何処ぞの大尉と一緒だぜ」
 宛もなく飛び出す訳にいかずコックピットから出てきた私に、ようやく追いついた中尉が呆れた様子で話しかけてきた。
「まずいな。すぐにでも捜索に出るべきなんだが…位置を見失った」
「とりあえず上官殿の指示を仰ぐかね」
省1
289: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/19(月)13:43:52.26 ID:o/Vnudzv0(3/10) AAS
 射出されたインコムは、直線的にカクカクと独特の軌道を描きながら敵艦へと向かう。
「うおっ!何だこれ!」
「もう!言わんこっちゃない!」
 どうやらこれは3次元的に動く端末を操作して遠隔で敵を撃つ兵装らしい。思うように動かない。
「こんなややこしい武器を…!こりゃNTでも扱うの無理だろ!」
「だったら早く仕舞いなさいよそんなもの!」
「いいや俺はやるね!」
 中尉は神経を集中した。機体の操作はいつもと同じようにやればいい。まずは牽制がてら艦橋近くまで飛ばしてみる。多少寄り道しながらも思う方向へ動き始めた。
 敵の対空砲火を縫いながら、インコムは敵艦へと迫る。小さな端末を使って死角から敵を撃つというアイディアは悪くない。確かにジオンのビットに通ずるものがある。
318: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/22(木)01:19:26.26 ID:g6coTu8F0(6/7) AAS
『…そろそろポイントですかね。…ありゃミデアか』
 ポイントの前方に数機のミデア輸送機が見えた。旧式とはいえ、輸送機としての機能は十分持ち合わせている為重宝されている。
 見送ろうとしたその時だった。突如目の前のミデア輸送機から爆炎が立ち上る。
 バランスを崩し墜落していく輸送機から数機のジム2が出てこようとするが、何処からか狙撃されコックピットを尽く潰される。
「何事だあ!」
『敵襲っぽいですねこりゃ!しかも狙撃手が何処かに居る!』
 中尉が声を張る。女の目利きが正しかった様だ。まさか早々に出くわすとは。
「何処からだ!海のど真ん中だぞ!」
『周囲に敵の気配もない!どうなってんだ…』
 幸い無事だった残りのミデア輸送機が進路を変えずに進んでいく。そのミデア輸送機の背後を守るべくミデアに続こうとした。
省3
637: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:12:30.26 ID:JcV85rst0(4/30) AAS
「この敵の動きに対して、我々も後手には回らん。偵察は程々にして、ぐるりと月の裏側にいけとの事だ」
「ん?でもフォン・ブラウンは表側でしょ?…あ」
 スクワイヤ少尉が突っ込んだ。しかし突っ込んだ後で気付いてしまった。
「そう!我々は、主力がフォン・ブラウン側で敵とやり合ってる間、グラナダにちょっかいを出されない様に張り付くのが仕事と言う訳だ!」
「はあ…いつも通りじゃないですか」
 少尉は大きく溜息をついた。やはり主戦場にはお呼びでないと言うわけだ。偵察の次は見張り…結局そういう役回りなのだ。
「少尉、主戦場だけが花ではないぞ。我々の任務がなければ、主力は思う存分戦うことができない」
 フジ中尉がもっともらしいことを言う。わかりきったことを懇切丁寧に説明してくれるのでありがたい。
「まあ、必ずしもフォン・ブラウンが本命とは限らんさ。仮にそうだとしても敵としてもアンマンからの掩護などはなるべく牽制したいだろうし、それなりの規模の戦闘にはなるはずだ」
 早くも大尉は、戦いたがっている少尉の本音を察しているらしい。
省4
654: ◆tyrQWQQxgU 2019/12/22(日)23:27:23.26 ID:JcV85rst0(21/30) AAS
「何!?こんなところでエゥーゴ??…わかった、お前だけでも帰ってきてくれて良かったよ。おかげで次の手が打てる」
 僚機を失い自身もボロボロになって帰ってきた部下の報告を受けた。
 この艦…アレキサンドリア級を統率しているのは、黒髪の両サイドにブロックを入れた女性士官、ティターンズ所属ドラフラ・ウィード少佐である。
 白い肌と鋭い眼光のコントラストが見るものをハッとさせる。まだ30歳ほどの彼女だが、士官学校から一気に駆け上がるようにして今の地位まで上り詰めた。
 部隊は、母艦アレキサンドリア級を運用しての航行中であった。幸い遭遇戦を行ったのは偵察組で、本命は別にある。すぐにその本命の部隊へ召集をかけた。

「話は聞いた?」
 ウィード少佐はブリッジに到着した3人と向き合う様にして立つ。
「うん、エゥーゴでしょ?何でまたこのタイミングで…」
 応えた先頭のパイロットがヘルメットを脱ぐ。
 ブロンドのロングヘアに首を軽く振っている彼女はフリード・ドレイク大尉。その美しい髪とグリーンの瞳が光っていた。ウィード少佐とは同期である。
省8
769: ◆tyrQWQQxgU 2020/02/10(月)23:46:46.26 ID:aXIempxZ0(9/16) AAS
 その後帰還した両機はメンテナンスを開始した。機体を降りた少尉はトボトボと格納庫を歩く。
「嬢ちゃん!良かったぜ」
 後ろから乱暴に背を叩いたのはアトリエ大尉だった。
「あそこまでやって駄目なんて…」
「相手が俺じゃなきゃ上手くいったかもな」
 笑うアトリエ大尉にはまだまだ余裕が感じられた。仮に作戦が上手くいったとしても、何かしら対策を打たれていた様に思える。完敗だった。
「執念を感じる戦いぶり…。まるでいつかの俺達の様な。そうだろ?アトリエ大尉」
 そう言ったのは、出迎えたワーウィック大尉だった。傍にはフジ中尉も居る。
「敵の力量を測り、尚且つ機体特性や地形条件も活かした作戦。そして何より、失敗の許されない作戦を咄嗟に実行する胆力…。模擬戦である事を開き直って、使えるものを使った大胆さもありました」
 フジ中尉が眼鏡を掛け直しながら言う。
省8
959: ◆tyrQWQQxgU 2020/07/28(火)00:25:39.26 ID:m1HvhbmY0(1/7) AAS
 艦長の言う通り、一年戦争時はパイロットとして戦った様だ。終戦後は残党の拠点を虱潰しにまわり、いつしか特務部隊の隊長として任務をこなす様になったことがわかった。そして、ティターンズからの勧誘。そこから先の資料は、黒塗りや切り抜きが急に増えた。
 読める範囲で目を通す限り、東南アジア地域のエゥーゴ・カラバを追う任務についていた様だ。
「これって…」
 エゥーゴ側の資料と、ティターンズ側のものと思われる資料が入り混じっている。父が追っていた部隊というのは、ガルダ級とその戦力だった。そこにあった名に、ページをめくる手が思わず止まる
「カラバに合流していたエゥーゴの構成員…ワーウィック大尉とアトリエ…中尉」
 彼らは父と交戦していた様だ。偶然とはいえ、その事実に少尉は震えた。嫌な予感がする。しかしここで資料を閉じることはどうしても出来なかった。
 そして、その予感は的中する。ニューギニア基地攻略作戦。ここで父の情報が途切れる。最後まで戦っていたことだけはわかったが、父が戦った最後の相手は…試作機のマラサイとガンダムだった。
「そんなことってあるの…?いや、でも…」
 父を殺したのはワーウィック大尉なのか。或いはアトリエ大尉なのか。しかし、この資料にどれ程の信憑性があるのかもわからない。
「…本人に聞けば」
省2
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