【創作】UNIX文庫 文豪ハッカー【パクリ】 (762レス)
【創作】UNIX文庫 文豪ハッカー【パクリ】 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/
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148: 125-129 [sage] 02/08/06 00:19 向こうからやって来るパケットの一団。…すごい行列だ。 どいつもこいつもヤバそうな目つきをしている。 「あまり、係わり合いを持たぬほうがいい。」 俺は先ほどのルータの助言に従った。やつらと目を合わせないように通り過ぎる。 連中の一人が、先頭の奴に声をかけた 「おい、***..co.jpは、まだか?」 「もうすぐだ。そう慌てるな。」 ***.co.jp? さっきのルータだ。あの検査官に何の用があるというんだ? 俺はわざと速度を緩めて、振り返った。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/148
149: 125-129 [sage] 02/08/06 00:21 >>148 連中がルータの周りに集まっている。 「おい!兄ちゃん。」 腕に「23」の刺青をした男(←こいつが、一番凶悪そうな面構えをしていた.)が、 ルータに声をかけた。若手の検査官は、彼を無視している. 「すまねぇが、ちょっと門を開けてくれね-か?」 ドスの聞いた声ですごみながら、堅く閉ざされた門を蹴り上げる。他の連中も、 「おらおら。門を開けろ!」 と次々に声を荒げる。しかし、検査官は毅然とした態度で言い放った。 「すみませんが、あなた方の要求に応えるわけにはいきません。」 「はぁ? 俺たちにも任務があるんだよ。グダグダ抜かさす、門を開けな。」 次々と連中が検査官に詰め寄る。検査官の姿が彼等の影に隠れて見えなくなった時、 鋭い悲鳴が上がった。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/149
150: 125-129 [sage] 02/08/06 00:23 >>149 一番威勢の良かった「23」のからだが宙に待った。そのまま壁に叩きつけられる。 パンッと激しい光を撒き散らしながら、そのパケットは無残に砕け散った。 そして他の連中も次から次へと粉砕されていく。飛び散る残骸の中から、 検査官の表情がハッキリと見えた。 あの穏やかな検査官が、いまや黙々と、パケットたちを潰しているのだ。 …騒ぎは、一瞬のうちに終わった。 検査官は、パケットの残骸の中から、彼等のIDを拾い集めている。 おそらく、彼の主人に、報告するのだろう。 ふと、そこに一人の幼いパケットが立ちすくんでいるのに気付いた。 まだ幼い子どもだ。 検査官は、IDを拾う手を休め、ゆっくりと、そのパケットに近付いていく。 (逃げろ。壊されるぞ!) 俺は心の中で叫んだ。しかし、子どもは恐怖のあまり、からだが動けないようだ。 ついに、検査官が彼の前に立った。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/150
151: 125-129 [sage] 02/08/06 00:30 >>150 「…IDを、見せてくれますか?」 検査官の冷静な声に、おびえきった子どもは、おずおずとIDを差し出した。 「バカ、差し出したら…それこそ…。」 検査官は、しばしそのIDを見詰めていた。すると何を思ったのか、 彼のIDをポケットにしまうと、代わりのIDを彼の手に握らせた。 「これを持って、今来た道を戻りなさい。」 「…許してくれるの?」 検査官は、穏やかな笑みを浮かべる。 「ええ。あなたは例外です。今すぐあなたの御主人の元に帰り、こう言うのです。 『80番は空いていました。』と。」 「…それだけ?」 「ええ。それだけで、あなたの送り主は理解されるはずです。それに…。」 検査官は、足元の残骸を見渡しながら呟いた。 「時として…返事の無いことが、返事になる時もあります。」 検査官の言葉が理解できなかったのか、子どもは、まだその場を 立ち去りかねていた。 検査官は俺にした時と同じように、彼の背中を軽く叩いた。 「さあ、行きなさい。あなたの身元は控えておきます。今度来る時は、 もっと人に喜ばれる言葉や、写真などを運んできてくださいね。」 子どもは、コクリとうなずくと。くるりと今来た道を走り出した。 検査官はしばらく、その後ろ姿を見送っていたが、再び身をかがめ、 残骸の中からIDを拾いはじめた。 まるで無縁仏の遺骨を拾い上げるように。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/151
152: 125-129 [sage] 02/08/06 00:31 >>151 彼がいる限り、俺には帰る場所が用意されている。 そう確信した俺は、再びケーブルの中を歩き始めた。 自分が、どんなデータを背負わされているのか、今は分からない。 検査官の言うような「人を喜ばせるデータ」かどうかも分からない。 しかし、少なくとも俺の任務に悪意が含まれていないことは確かなはずだ。 (で無ければ、老人も、若い検査官も俺を送り出したりはしなかっただろう。) 「誰だか知らないが、俺を必要とされている。」 何度も、自分に言い聞かせながら、俺は歩みを速めた。 次なる目的地を目指して。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/152
153: 125-129 [sage] 02/08/06 00:39 >>151 省略されてしまった。(苦笑) 慣れない事はするものじゃないね…。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/153
154: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/06 02:15 >>147 NOLIFEKING(・∀・)イイ! http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/154
155: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 02/08/06 07:43 >>148-152 すごいや、あんた。とくに緩急のつけかたがみごと。背筋が寒くなたよ。 ひょっとしてプロの物書きさんか?教えろやヽ(`Д´)ノゴルァ http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/155
156: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/06 07:48 >>154 元ネタ知りたかったので、アリが10! http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/156
157: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/06 09:40 面白いなぁ http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/157
158: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/06 11:08 >>152 ブレードランナーのラストシーンのよう。イイ!(・∀・)イイ! http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/158
159: 125-129 [sage] 02/08/06 15:09 >>155 零細企業の管理者してます。(笑) よく見たら前作は1年前なんだね。 さすがに1年前のパケットを復活させるのは無理があったかも。 とりあえず、バックボーンに出られただけでも、よしとしよう。(笑) http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/159
160: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/06 22:46 山猫は眠らない 管理者は眠らない パケットは眠らない http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/160
161: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 02/08/07 23:06 めいさくあげ! http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/161
162: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/08 01:23 >>154 ネタわかる奴が漏れ以外にもいるとは…… http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/162
163: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 02/08/08 09:06 >>162 オレもわかった。この部分はまさにパケットにうってつけの素材で感心した。 そんじゃ、これはどうよ? - パケットは、もう一度ファイルシステムを見にいきました。 そして、こういいました。 「あんたたちは美しいけど、ただそこにいるだけなんだね。 あんたたちのためには、死ぬ気になんかなれないよ。そりゃ、ぼくのデータも、 なんでもなく、そばを通ってゆく人が見たら、あんたたちとおんなじ データだと思うかもしれない。だけど、この16バイトのデータが、ぼくには、 あんたたちみんなよりも、たいせつなんだ。だって、ぼくが運んできた データなんだからね。フラグメントから守ってやったんだからね。 CAT5も通ったし、光ファイバーも通ったし、時には、どうしたのだろうと、 チェックサムも確認してやったデータなんだからね。 ぼくのものになったデータなんだからね」 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/163
164: 125-129 [sage] 02/08/08 09:29 >>163 "星の王子様"かな? 職場からなので、間違ってたらゴメン。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/164
165: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/08 10:08 >>162 の発言は2ch的にマズーかも。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/165
166: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/09 00:35 元々地上に標準はない。皆がそれを使えば、それが標準になるのだ。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/166
167: 147 [sage] 02/08/09 01:07 >>163 ん〜なんか良く思い出せないが読んだような読まないような…(w http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/167
168: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/09 02:35 Etherealがピピピピピと音を立てた。 最も難しいルーティングループが始まる証拠だった。 パケットたちは画面を見つめた。 暗黒のルーティングループの中で、パケットは手さぐりで進む道を選んでいく。選ん だルータにだけいくつかの赤い点が受かび上がってきた。 一見ランダムに見えるその赤い照明も、パケットたちにとっては正確な配列だった。 ルーティングテーブルに熱中した者は、この暗黒ルーティングループに最も多くの時 間を費したからだ。それは苛立ちと懐かしさを呼び起こす。 コリジョンの数がさらに増えた。 フラグメント化された弟のパケットは経路情報の帯に映し出されるルーティングテー ブルに十分の注意を払いながら、パケットを走らせた。ルーティングテーブルと赤い 配列から情報を読み取り、正しい場所でブロードキャストを自爆させないと、次第に 強さを増していくコリジョンには対抗できない。 この暗黒ルーティングループでこそTTLが必要なのだ。普通のパケットであれば、こ こに来る前にいくつかのTTLを使ってしまう。と言うより使わざるを得ない。そして 暗黒ルーティングループの中に入り込む頃には、TTLが与えてくれた効力を使いきっ てしまうものだった。 フラグメントの弟のパケットが息を詰めるのが、パケットには分かった。 自爆する場所に来たのだ。 フラグメントの弟のパケットは特定の赤い光の近くにパケットを近づけると、飛んで くるコリジョンをやり過ごしてTTLに1を持たせた。 赤い点の上にそのTTLのなくなったパケットを置くと、その小さな足はルータに吸い 込まれ二度と動けなくなる。フラグメントの弟のパケットは残りの全パケットを下 に避難させた。 「ボム」 という音とともにパケットが死んだ。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/168
169: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/09 02:35 「ルーティングループはクライマックスなんだぞ」 「バカ」 「死んじゃうんだぞ」 「死なねえよ。パケットそう簡単に死なねえよ」 「死んじゃうんだってば」 「バカ」 「こいつはしぶといよ。死なねえよ」 「お前だって死んじゃうぞ」 「バカ」 「ルーティングテーブルがなきゃダメなんだ」 「なーにが?」 「ルーティングループの解き方」 「あんなのデマだよ」 … 「バカ」 「パケット大丈夫かな?」 「No route to host も 0 packets received も Unknown host も」 「Non-existent host/domain も error fetching interface information も」 「なんだよ!」 「ぜんぶルーティングループだったじゃないか」 「うるせえっ!!」 「ばか」 「ルーティングループを解かなきゃ」 「バーカ」 「バカ」 「死んでもいいのか」 「ルーティングテーブルがなきゃ困るんだよ」 「Metricがなきゃ」 「バカ」 「バカ」 「Metricがなきゃ怖くて怖くて」 パケットが泣き出して、言い合いは一瞬中断になった。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/169
170: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/09 02:36 ネットワークに出てくるパケットは、たった十五オクテットほどのヘッダに自分の生 きてきたすべての時間とそれに対する思いを余すところなく封じ込めている。 そうでなければ“ジバク”などあり得ない。パケットはそう思った。 何度も何度もフィールド値を打ち込み直し、さらにまた別の情報をつけ足していく。 以前、あれほど頻繁に鳴ったEtherealが、ひたすら無言でパケットの背中を見ていた。 HUBから物音が聞こえなくなってから、随分とたった気がした。 オプションフィールドにはすでに百十八ビットのデータが打ちこまれていた。時計を 見ると、午前二時だ。パケットは厚手の赤いコートをはおって、そっとNICを出た。ゲー トウェイを開けると、ひんやりした空気がフリーアクセスフロアから吹き上げてく る。パケットはルータの前に、用意してきたTTLのかけらを置いた。案の定、管理人 が配列を乱していたのだ。 パケットは昨夜のようにあわててlocalhostに戻ることをせず、静かに駅前の商店街 に向かった。店の前に置かれたルータの徴しが、ことごとく取り去られているのを 知っていたからだ。 月明かりの街をパケットは歩いた。区画整理され碁盤の目のようになったネットワー クを歩いていると、パケットとしての自覚が体中にみなぎってくるのがわかる。 すっと角を曲がると、向こうからもパケットが歩いてきた。ひるまずにパケットは 歩いた。 すると、さらに向こうからも小さなパケットが現れた。そして、あちらにもこちら にも。 夜の闇はパケットで満ちていた。 彼らはみな思い思いの格好で冷たい風から身を守り、乱れたルーティングを直し、見 逃していた中継ノードを見つけては、ポケットからTTLを取り出し、丁寧に道の脇に 置いて回った。 なるべくEtherealに気付かれないもの。それぞれのパケットは彼らなりに苦心してい た。もちろんTTLが一番よかったのだが、街中に置くTTLは限りがあった。 細かく折ったFragment Offset。 なめかけたHeader Checksum。 小さな小さなPadding。 時にはOptionまでが配列にならっていた。 しかもパケットたちはまるで細胞同士のように、無言でお互いの役割を確認し合い、 短かい距離の間には決して同じものを置かなかった。パケットが商店街まで近づき、 八度目の自分の役割を果たしていると、後ろで話し声がした。 振り返ると、そこには黄色い毛布ですっぽりと体を包んだ小さなパケットの二人組が いた。その異様さにたじろいで、パケットはつんのめるように走りだした。 すると後ろで、張りつめた弦が切れるような叫び声がした。 「パケットは弱虫か!?」 フラグメントの兄のパケットだった。 振り返るパケットを、フラグメント化されたパケットはじっと見つめた。確かにそれ は双子だが、どこかが違う。双子にしてみれば、パケットの方こそが違っていた。双 子は静かに向きを変え、来たルータをひき返し始めた。パケットは、双子との距離を 縮めることも広げることもせず黙ってついていった。 … フラグメントパケットは魔法使いのような格好でネットワークをさまよい、知り合い を見つけてはヘッダを開き、お互いの状況を確かめ合っていたのだ。 ルーティングプロトコルは今までとは比較にならない程のルーティングループにパケッ トたちを閉じ込めていた。 彼らは、その難しさに打ちのめされていた。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/170
171: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/09 02:36 「ドウシタライイトオモイマスカ」 ペイロードには正確にその十四文字が映し出されていた. 対向からの反応は遅かったが,パケットはあわてなかった.パケットに触れているルー タが,対向とつながる存在を伝えている. そして対向の最初のデータが震えるように伝わってきた. 「ア」 さらに二つ目イ,そしてピ. 「イピ」 対向からの情報は十四個の記号から成っていた. 「アイピーアドレスヲシンジマス」 IPアドレスを信じます. それでいい,とパケットは思った. パケットは静かに目を閉じた.そしてペイロードひとつひとつに,ヘッダフィールド から何ミリか飛び出した神経をつないだ. 重くしびれるような瞬間が続いた後,パケットは自分自身を送り始めた. パケットはlocalhostを,対向を,そしてまたその間にあるルータすべてを信じた.今, このルータでつながっている何かは僕を忘れない.きっと忘れない.忘れないで,対向 パケット. そう祈ると,パケットはゆっくりと目を開け,自分自身のヘッダフィールドをしっか りと刻み込んだ. 「45 00 00 01 d5 00 …」 その下には,同じように対向のヘッダフィールドが横たわっていた. 「45 00 00 01 1b 28 …」 ルータがつないだラインすべてに,ありったけの僕の情報が残りますように.もう一 度,パケットは祈った.いつかこのヘッダフィールドを開く者がいれば,僕の力をす べて与えます.だから,忘れないで,パケットを. http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/171
172: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 02/08/09 02:37 その夜、多くのパケットたちがヘッダフィールドを封じ込めた。 すべてをあきらめ、パケットロスを恐れてlocalhostに閉じこもり続けることを決めた。 ジバクを試みた。 NATの外に出る戦いを続けた。 そしてまた、たくさんのパケットたちがすべてを忘れ、元のように遊び始めた。 その夜、ルーティングプロトコルの王は彼ら一つ一つの前に本当の姿を現した。彼らはみな、確かに王の姿を見たのだ。 勇敢に戦った者の名前を、王は決して忘れることがない。 いつか必ず、ルーティングプロトコルの王は彼ら一つ一つを召しかかえにくる。 http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/unix/1026133065/172
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