[過去ログ] 純粋・応用数学・数学隣接分野(含むガロア理論)20 (1002レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) 自ID レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
71
(1): 05/01(木)07:13 ID:CF0szZUA(1/7) AAS
>>69 補足追加
外部リンク:blog.goo.ne.jp
とね日記
多変数関数論 (数学のかんどころ 21):若林功

>>70
ありがとうございます
<アマゾン>
関数論外伝—Bergman 核の100年 2022/10/21現代数学社
レビュー susumukuni
5つ星 ベルグマン核の100年の歩みを大家が語る興味深い歴史書・回想書
2022年10月28日
ベルグマン核が誕生してから丁度100年の2022年に刊行された本書は、L2拡張理論の研究で世界をリードされてきた大沢健夫先生がその100年の歩みを語る歴史書・回想書である。本書は大きく分けて二つの部分からなる。第5章までの前半で、著者がこの分野の研究を始められるまでの研究の状況が概説されている。第6章から第12章までの後半では、L2拡張理論とベルグマン核の境界挙動の理論が相互に連携しながら今日まで発展してきた経緯と状況が、著者自身の研究における問題意識と成果を交えて詳しく語られている。ここでは当事者でしか知り得ない興味深いエピソードや逸話が数多く紹介されており、生身の研究者が演じる人間ドラマとしても非常に面白い。

本書を一読して、面白いと思ったことや印象に残ったことなどを感想として述べたいと思う。

ベルグマンが核関数を導入・考察した大きな動機として等角写像の研究があったことは間違いないだろう。リーマン写像をベルグマン核で明示する「ベルグマンの公式」とベルグマン核とグリーン関数との関係を表す「シッファーの公式」の二つは、この分野を学ぶ誰もがその美しさに魅せられる代表的な結果である(*1)。一方、ベルグマン核の重要性は、その境界挙動の問題が多変数関数論の中心的な課題であったレヴィ問題と深く関わっているという事実に端的に現れている。本書で記されているように、ベーンケ-トゥルレンの総合報告の最終章の叙述箇所に岡潔が注目した事実は良く知られているが、そこでの主張(予想)が正当化されるには1965年のヘルマンダ―の画期的な結果まで待たなければならなかった。

ベルグマン核の研究の歴史で注目すべき年として、1950年と1974年が挙げられている。1950年にアロンシャイン(Aronszajn)による一般的な再生核の論文が発表され、またベルグマン自身による解説書 ”The Kernel Function and Conformal Mapping”が刊行され、再生核の有用なクラスとしてベルグマン核の認知度が一気に高まったことが記されている。1974年にフェファーマンが発表した結果はベルグマン核の重要性を決定づける画期的なものであった。その翌年Williamstownで開催されたアメリカ数学界の多変数関数論の研究集会において、ベルグマン核を考案した自身の名誉がまさに回復される現場に立ち会ったベルグマンの喜びは如何ばかりであったろうか。長年にわたり代表座標系の価値を訴えていたベルグマンは、フェファーマンの定理に対しそれを活用するベル-リゴカ(Bell-Ligocka)による鮮やかな別証明(1980)を見ることなく1977年に他界したが、きっと黄泉の国で「自分の予言は正しかった」と自慢げに語っていることだろう。本書の前半部の最後に、2次元のコーン予想を解決したキャトリン(Catlin)の結果が叙述され、著者とキャトリンとの遭遇が詳しく回想されている(*2)。

つづく
72
(1): 05/01(木)07:24 ID:CF0szZUA(2/7) AAS
つづき
後半部では先ず、中野茂男先生のもとで著者が最初に取り組まれた問題が、弱1完備多様体のコホモロジーの有限次元性予想(中野問題)であり、その解決を述べた論文が「修論」になったこと、この方向の研究をさらに進めて「複素数空間Cn内の領域でC1級の境界を持つものに対し 擬凸性と完備ケーラー性は同値である」(*3)と「完備ケーラー多様体上のL2∂-コホモロジーの消滅定理」が得られたことが述べられている。後者の最初の結果を拡張する研究が、滑らかな境界を持つCn内の有界擬凸領域につき「K(z,z)≧c・δ(z)^(-2)(δ(z)は境界距離関数、cはDにのみ依存する正の定数)が成り立つ」という長年の懸案となっていた予想をその系として導く「大沢-竹腰のL2拡張定理」という見事な成果に繋がったことが語られている

大沢-竹腰のL2拡張定理が得られたあと、ベルグマン核の境界挙動に関し、問題1「K(z,z)がz→∂Dで発散するのはDがどの様な場合か」、問題2「ヘルマンダ―の漸近公式が系となるような仕方でL2拡張理論をさらに精密化することはできないか」の二つが主要な問題として研究されたことが述べられている。1993年までに問題1につき「DがCnの超擬凸領域であれば問題1は肯定される」、問題2につき「n次元スタイン多様体Mの超曲面(の非特異成分)での正則(n-1)形式をノルム評価(ある絶対定数C)付きでM上の正則n形式に拡張できる」という成果が得られたこと、Seipの補間理論で密度概念に接しそれを高次元化してL2拡張理論に取り込むには曲率を使うことが良いと気付き、1993年の秋にシウに招かれたハーバードで意外にすっきりした定式化が見つかり問題2の成果に繋がったこと、などが詳述されている

最後に、L2拡張定理の最良評価(C=2π)が得られるまでの経緯が吹田予想(開リーマン面上の対数容量をベルグマン核で上から評価する最良不等式)の解決と緊密に連携していたことが述べられている。「今にして思えばこの論文を書いているうちに、薄々ながらL2評価の方法で一変数関数論の問題も攻略できることに気づいていたかもしれません。数学はやはり自分で問題を解いているうちに世界が開けていくようです」(p149)と述懐されており、この印象的な発言に評者は感動を覚える。L2最良評価では、グアンとジョウ(Guan-Zhou)による方法とベルントソンとレンペルト(Berndtsson-Lempert)による方法という全く異なる二つの方法から証明でき、「最良型のL2拡張定理とベルグマン核の対数多重劣調和性は同等である」という驚くべき結果が確立されていることが分かり素晴らしい

本書を読まれ興味を持たれる方々にお薦めしたい参考文献をいくつか挙げたいと思う。成書では大沢先生の二冊の著書『現代複素解析への道標』と『多変数複素解析 増補版』およびSteven G. Krantz, "Geometric Analysis of the Bergman Kernel and Metric"(2013)が面白く非常に有用であると思う。論説では優れたものは数多くあるが、ヘルマンダ―の有名な論説 “A History of Existence Theorems for the Cauchy-Riemann Complex in L2 Spaces"(2003)、平地健吾『強擬凸領域におけるベルグマン核の不変式論』(数学52(4))、Yau, S.-T., “From Riemann and Kodaira to Modern Developments on Complex Manifolds" (2016)、大沢健夫「∂-方程式を解こう」(2004年頃 企画特別講演)「L2上空移行の最近の様相」(数学70(2))の五つを挙げたい。後ろの三つは、とても面白く有用な論説である
つづく
73
(1): 05/01(木)07:25 ID:CF0szZUA(3/7) AAS
つづき
このレビューを終えるにあたり、私的な見解を述べさせて頂きたい。数学という学問において、当面の目標は同じであっても、そこに到達するルートやアプローチ、あるいは手法に違いがあるものが存在することが、その魅力を一層高めているという事実は否定できないように思う(*4)。本書で取りあげられている、岡のレヴィ問題解決以降に出現した多くの別証明、吹田予想と最良型のL2拡張定理の証明を同時に得ることができる二つの全く異なるアプローチ、大沢-竹腰のL2拡張定理以降に得られた種々のL2拡張定理およびそれらの別証明、などで読者はこのことを実感されるのではなかろうか。

【付記】 レビューの記述を補足する事柄や個人的な見解を以下に記したい
(*1) これらの証明が書いてある(評者が目を通したことがある)文献を挙げると、
・「ベルグマンの公式」: (本書で書名が挙げられている) 楠幸男『解析函数論』の定理42.11、K.Yosida, “Functional Analysis (6th. ed.)" の?.9. Theorem 2.
・「シッファーの公式」: R. Courant,“Dirichlet’s Principle, Conformal Mapping, and Minimal Surfaces"(のSchifferによる)Appendixの2.2項((A.2.9)~(A.2.18))、上記のSteven G. KrantzのテキストのProposition 1.1.29.
(*2) 本書で多くの高名な研究者の師弟関係を知ることができる(以下、師匠➩弟子の意味で➩を使う)。例えば、 Spencer➩Kohn➩Catlin、J. Siciak➩Z. Blocki及びW. Zwonek、Hua➩Lu➩Zhou➩Guan、Chern➩Yau➩Tian、ポスドクの受け入れとして、Yau➩J. Jost(ヤウが自伝の中で「とびきりできが良かった」と評している)【ご参考まで: 本書に登場するChern、Nirenberg、Siu、Yau、Tian、さらにJostなどの話題が沢山載っているヤウの自伝『宇宙の隠れた形を解き明かした数学者 カラビ予想からポアンカレ予想まで』(日本評論社、2020)はとても興味深く面白い読み物である。幾何解析という分野を確立した第一人者ヤウの才能と業績の素晴らしさを知ることができる。一方、HuaとChernの長年にわたる確執、Chern➩Yau、Yau➩Tianの師弟関係に生じた不協和音と相互不信、SiuとYauの共同研究の不幸な終焉、など人間関係の裏側を赤裸々に暴露する一面を持ち合わせている著書でもある】
つづく
74
(1): 05/01(木)07:26 ID:CF0szZUA(4/7) AAS
つづき

(*3) ベルグマン計量の完備性につき、第10話の3節で「超擬凸多様体のベルグマン計量は完備である」というChenの結果(2004)が紹介されている。
(*4) 【私見として】 第12話で紹介されている、河合先生に「私が今日あるのは岡先生のおかげです」と語ったグラウエルトが、ナラシマン(Narasimhan)に「岡の論文は読んだことがない」と語ったという逸話(**)の帰結として、岡の論文では難解な不定域イデアルの理論を連接層のコホモロジー理論に言い換え、誰にでも分かり易い近代的なテキストとして公開したH. カルタンの功績を持ち上げたくなる。カルタン流のスタイルが今日の標準なのだと。しかしそこは十人十色で、岡流のスタイルの方が好き・面白いと感じる人もいるわけで、誰もが理解できるきれいに整備された理論よりも、創始者がその理論の核心部を見通した驚異的な直感・洞察力がどのようなものであったかを(自分なりに)解明することに、より興味を感じる人がいることも数学という学問の多様性の顕れであり、その魅力の一端なのではないかと評者は考えている。
【(**)コメント追記、2022.10.30】 ナラシマンが岡の論文集の英訳版の著者であるという事実を知る方には、この逸話はとくに興味深いであろう。グラウエルトとナラシマンは岡の原論文を読む価値や必要性につき、どの様な会話を交わしたのであろうかと…。
(引用終り)
以上
80
(1): 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP 05/01(木)22:43 ID:CF0szZUA(5/7) AAS
ゆーつべ貼る

動画リンク[YouTube]

数学】多変数複素解析のふしぎ【ずんだもんと学ぶトポロジー】
トポロジーch
2022/07/31
簡単な間違いに気付かないことがよくあります.
【参考】
大沢健夫「多変数複素解析」岩波書店
野口潤次郎「岡理論新入門」裳華房
野口潤次郎「多変数解析関数論」朝倉書店
【その他おすすめの参考書】
Franc Forstneric, ``Stein Manifolds and Holomorphic Mappings", Springer
81
(1): 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP 05/01(木)22:51 ID:CF0szZUA(6/7) AAS
大阪市立大理学部数学科
"6:15 多変数複素解析の特に面白い所"
へー

動画リンク[YouTube]

数学科にきいてみた!【解析・多変数複素解析編】
まるた
2025/03/14
0:00 OP
0:28 数学科に進学することを決めた時期・きっかけ
1:07 大阪市立大理学部数学科について
1:49 数学科に入る前と後の印象の差
2:29 数学科の良い所・悪い所
3:38 数学の特に面白い所
5:05 専門分野について
5:50 複素解析に興味を持ったきっかけ
6:15 多変数複素解析の特に面白い所
7:00 ミニ講義
13:19 複素解析の学び方
14:27 中高生のときの数学との向き合い方
15:09 数学科に進学するか迷っている人へ
15:53 数学の勉強法について
16:58 ED

@math-minipure
1 か月前
高校生の時複素解析学びたくて数学科に行ったのを思い出しました。それ以上に微分幾何に魅せられてそっちにいってしまいましたが(笑)
複素環数やっぱり面白そうだし適用範囲がかなり広そうと感じたのでおすすめされた高校生向けの本読んでみたいですね

@jif7707
1 か月前
面白かったです!
82
(1): 05/01(木)23:35 ID:CF0szZUA(7/7) AAS
複素幾何ね

動画リンク[YouTube]

東大数学科にきいてみた!【幾何・複素幾何編】
まるた
2025/03/11

0:00 OP
0:17 数学科に進学することを決めた時期・きっかけ
1:00 数学科に入る前と後の印象の差
1:32 数学科の良い所・悪い所
2:05 数学の特に面白い所
3:05 数学にしかない部分
5:15 専門分野について
5:45 複素幾何に興味を持ったきっかけ
6:31 複素幾何の特に面白い所
7:12 ミニ講義
21:42 複素幾何の学び方
23:21 中高生のときの数学との向き合い方
24:13 数学科に進学するか迷っている人へ
26:36 数学の勉強法のアドバイス
27:22 EDと宣伝

外部リンク:ja.wikipedia.org
複素幾何学

外部リンク:en.wikipedia.org
Complex geometry
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ

ぬこの手 ぬこTOP 0.050s