[過去ログ] 現代数学の系譜 工学物理雑談 古典ガロア理論も読む78 (1002レス)
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236(1): 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE 2019/10/26(土)11:34 ID:fHUQGPHQ(18/24) AAS
>>235
つづき
数学上の予想ないし研究課題としての 「クロネッカ $-$ の
青春の夢」 は, 彼がデデキントに宛てた 1880 年の手紙 ( $[\mathrm{K}\mathrm{r}- 1880\mathrm{b}]\rangle$ のなかで, 彼が
「私のいちばんのお気に入りの青春の夢」 $\langle$
... um meinen liebsten Jugendtraum, $\ldots\rangle$ と呼
んだ, おおむね次のような数学の問題 (予想) を指す :
クロネッカーの青春の夢 : 虚 2 次体上のアーベル多項式の根は, その 2 次体を虚数乗
法に持つ楕円関数の「特異モデュライ」 と周期の等分点での値ですべて与えられる.
虚数乗法についてはワイエルシュトラスの $\wp$ 関数に基づく説明を次の節で簡単に与え
る. ここではアーベルやクロネッカー [Kr-1857a1 が扱った楕円関数とそのモデュライに
触れておく.
アーベルは, まず楕円積分が特に対数関数で積分されてしまう場合を連分数に基づく
手法で決定した $\langle_{[6}\mathrm{A}\mathrm{b}- 182\mathrm{b}$]) が, 次の瞬間には, 素直に楕円積分の逆関数に注目し,
またコーシーが展開していた複素線積分を取り入れ, たちまち 「楕円関数論」 を構築してしまう.
§3 デデキント $(1831-1916\rangle$
デデキントは, ガウスに倣ったわけでもないのだろうが, 理論的な枠組みが明快にな
るまでは不用意な公表をひかえていたように見受けられる. この点は 「預言者」 と呼ば
れたクロネッカーと著しく異なっている. したがって彼が実際に何を見, 何を意図して
いたのかを, 整った論文のなかに見いだすことは容易ではない. 第 1 項については, 特
に『ディリシュレの数論講義への補足\sim の最終版 [De-18931 の完成度が高い ; しかも
[De-1871], [De-1877a1, [De-1879], $[\mathrm{D}\mathrm{e}- 18\mathfrak{B}]$ と順を追って成熟していく様子が見られ
る. このようなことから, [De-18931 こそが彼の最終目的であったと見倣されるかもし
れない.
つづく
238(1): 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE 2019/10/26(土)11:36 ID:fHUQGPHQ(19/24) AAS
>>236
つづき
しかし, 彼の代数的数論における 「研究計画」 は, 必ずしも 「代数的整数
「モデュール」 , 「オーダー」 , 「イデアル」等の概念め抽出とか, それらによる代数
的数論の骨格の基礎づけに最大の主眼があったわけではなかった. 彼にはもっと明確な
数論らしい問題意識があった. 純 3 次体に対する類数公式の探求が彼を強く動機づけて
いたものと思われる.
§5 クロネッカーの仕事について
そう単純に 「ヤマ」 などという言葉づかい
に乗ってしまうわけには行かない.
また数学史からの観点からすれば, そのように端的に切り捨てるわけには行かない.
例えば「厳密な証明」 にしても, それは当然その時点での数学界のレヴェルと相対的で
しかありえない. 高木も 「この予言者の名を冠して [クロネッケル』$\sim$ 式密度の称呼を用
いたのであ」 り, クロネッカーを単に 「数学」 の観点からアッサリと切り捨てられるわ
けではなかった.
とはいえ, クロネッカーの論文の多くは, 特に彼がその構築をライフワークとした代
数的数論に関するものについては, 現代から見れば, 十分に 「数学的」 に書かれている
と言えるものではないかもしれない ; 恐らく当時の常識からしても. しかし, 例えば現
代の物理学者達の論文と対比して見ればわかりやすい. クロネッカーは, いまだ定義も,
概念すらはっきりとはしていない, しかし彼にとって現代の物理学者達の見るものより
も遥かに厳然, 確固として存在する 「数学的な事実」 を発見し, それを報告しようとし
た. 彼が見たもの自体は, 例えば「一般的な関数」 , 「一般的な無限級数」 と言ったあ
やふやな, 捉え所のない新参者とは異なり, 新しいとはいえ, どこから見ても伝統的で
歴とした数学であった. 彼はそこに新しく驚嘆すべきものを発見し, それを, 書き方と
しては 「数学的」 ではな $\vee\supset$ かたにせよ, なんとか報告したのであった. そこに自身の数
学者としての全身の重みをかけていた.
つづく
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