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【艦これ】赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」 (1002レス)
【艦これ】赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/
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916: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:42:52.04 ID:LwjWlo6m0 足柄がなんと言おうかと迷っていた時。 コンコン!とやや荒っぽいノックの音。 提督「入れ」 ガチャ、と言う音とともに入室してきたのは、はぁはぁと荒い息をした榛名。 全身汚れて、顎からは汗が滴っている。 榛名「て、提督……良かった……」 提督を見るなり、泣きそうな顔になる。 提督「どうした?何かあったか?」 榛名「よ、夜風に当たると仰っていたので…… 起きたら提督が居らっしゃらなくて……心配で…… どこかで動けなくなっているんじゃないかと…… 島を一周してきました……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/916
917: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:43:37.94 ID:LwjWlo6m0 提督「それは……すまない。 気を遣わせたく無かったんだ」 榛名「いえ、提督がご無事でしたら……榛名は大丈夫です……」 ふっ、と息を整えてから笑顔を見せる。 足柄「それで一人だけ居なかったのね」 榛名「ぁ……足柄さん……」 足柄「良い子ねぇ……でも、今度からは最初に執務室を確認なさいね」 榛名「本当にその通りですね…… まだ酔ってたみたいです……」 提督「いや、本当に申し訳ない…… 心配をかけたな。ありがとう、榛名」 提督は榛名に近寄ると、ハンカチで額の汗を拭いてやりながら言う。 榛名「はいっ」 くすぐったそうに身を捩る榛名。 そんな二人の様子をぼーっと眺める足柄。 提督「これだけでは気持ち悪かろう。 風呂に入って来ると良い」 ハンカチをしまいながら提督は言った。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/917
918: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:44:25.92 ID:LwjWlo6m0 提督「……待てよ……不知火は清掃を嫌がる傾向があった。 シャワーで済ませて、湯を抜いてそうだな」 榛名「榛名はシャワーでも大丈夫ですよ?」 提督「そうか?……うーむ。 やっぱり、今から軽く掃除して来ようか。 鳳翔や雷も寝てるだろうし、後で慌てさせるのも忍びないな…… ズボラな不知火の事だ。他の家事も溜まっていそうだしなぁ」 榛名「お手伝いしましょう!」 足柄「しゃーなしよ、しゃーなし」 提督「いや、お前達はここで休んでいろ。酔ってるからな。 俺がちゃちゃっと済ませて来る」 そう言って出て行こうとして。 提督「……榛名は汗で寒いか。 着替えは……あー……もう風呂入るしなぁ…… とりあえず……」 自分の部屋に入ると、シャツとカッターと毛布を取り出し、榛名に手渡した。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/918
919: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:44:56.41 ID:LwjWlo6m0 榛名「え……」 提督「男物ですまないが……寒ければ着替えておけ。 どうせすぐ風呂だし、我慢してほしい。下は毛布でな。 汚してくれて構わんよ」 榛名「は、はいぃ……!」 提督「濡れた服は椅子にでも掛けておけ。後で洗濯する。 ……じゃあ、行ってくるな」 足柄「行ってらぁ」 榛名は提督を見送った後、衣類をぎゅっと抱き締め、顔をうずめる。 足柄「……あの人仕事中じゃなかったのかしら…… まぁあたしが言えたことじゃ無いけど…… ねぇ、榛名?ーー」 少し呆れ気味の足柄が榛名の方へ振り返るとーー 榛名「えへへぇ」 既にシャツを着て、毛布にくるまっている榛名が居た。 足柄「……早っ!」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/919
920: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:46:37.59 ID:LwjWlo6m0 榛名「……すんすん……いい匂い……」 足柄「ちょっと止めなさいよ…… 同じ洗剤使ってんだから同じ匂いの筈でしょ…… 違ったらそれ提督臭よ」 榛名「提督臭……素敵です……」 足柄「ちょっとドン引きなんだけど……」 榛名「ふへへ」 足柄「……あんた、遠慮が無くなったわよね。前に比べて、さ」 榛名「そ、そうですか?すいません……」 足柄「悪い意味じゃないわ。本土に行ってから。 提督にとても懐っこくなったというか」 榛名「……むむぅ、自分では自覚が無いのですが……」 足柄「そう? 自信も信頼も得て、演習でも暴走せず…… 大した成長よね」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/920
921: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:47:08.51 ID:LwjWlo6m0 榛名「ぬぅ……そう言われてみるとなんだか自分が凄く成長した気がしますね」 足柄「したわよー。最初はあなた、提督と会おうとすらしなかったじゃないの」 榛名「そう言えばそんな事も……懐かしいですねぇ」 足柄(本当に……あの頃は私が榛名をなんとかしないとって思ってたけど…… 今や榛名はおろか、あたしまで世話になってるしねぇ……) 榛名「ふわぁ……榛名、提督が見つかって安心したら…… だんだん眠くなってきちゃいました……」 足柄「ちょっと……風呂入ってからになさいよ……」 榛名「提督の……香りが……いっぱい……」……zzz 足柄「……ちょっと」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/921
922: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:48:01.40 ID:LwjWlo6m0 ……… …… … 数十分後…… 提督「……こうなるか……」 湯を張った提督が執務室に戻ると、ソファですやすやと眠る艦娘が2人。 しかし、ソファは2人が眠るには少し狭く、どこか寝苦しそう。 仕方ない、と提督。 彼はくるりと丸まって抱き上げ易い榛名を、そっと自分のベッドへと運んだ。 そして、静かに降ろそうとした時。 榛名「ん……ていとく?」 提督「……起こしたか。すまない」 榛名が薄っすらと目を開ける。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/922
923: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:48:47.30 ID:LwjWlo6m0 榛名「……わぁ……お姫様みたいです……」 お姫様抱っこされ、えへへ、とあどけなく笑う彼女は、どこかフワフワとしている。 完全に覚醒しておらず、夢見心地なのかも知れない。 榛名「……ていとく…… 榛名は……がんばりました……」 眠そうに、ポツポツと言葉を紡ぐ。 提督「……そうだな。お前はよくやった」 榛名「ちゃんと……手加減もしましたよ……」 提督「ああ。偉いぞ、榛名」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/923
924: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:50:11.06 ID:LwjWlo6m0 榛名「えへへ…… 榛名に……ごほうびを……ください……」 提督「何が良い」 榛名「ちゅー……しましょう……」 提督「何を言っとるんだ、この酔っ払いめ……」 榛名「ふぇ……冗談ですよぅ…… ……提督、撫でて、下さい……」 それならば、と。 提督は優しく、頭を撫でる。 榛名「……んぅ……」 榛名はとても満足気だ。 瞳を閉じて、されるがままにしている。 榛名は身をよじることも無く。 提督もただ、撫でるのみ。 静寂の中、長い髪を梳く音だけが空間を支配する。 榛名は幸せだった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/924
925: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:50:43.92 ID:LwjWlo6m0 それから、どれくらい撫でていただろうか。 気付けば榛名は安らかな寝息を立てているように見えた。 提督「……眠ったか」 そう判断し、榛名のそばを離れようとした時。 グッと上着の裾を掴まれる。 榛名「……ていとく……?」 提督「……ああ。まだ起きていたか」 榛名「……榛名は二人倒したので…… もう一つ……ご褒美を……下さい……」 目は瞑ったままに、もにゅもにゅと喋る。 既に意識を半分手放しているようで、提督の言葉には反応を見せない。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/925
926: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:51:24.01 ID:LwjWlo6m0 提督「……欲張りなお姫様だな。 なんだ、言ってみろ」 苦笑しながら提督は応じた。 榛名「榛名を……ずっとお側に……置いて下さい…… 大事にして下さいとは……言いません…… せめて……あなたの……道具として……榛名は……」 提督「ーー」 榛名「それが無理なら……あなたの艦娘のまま……榛名を……榛名を……はる、な……を……」 裾を掴んでいた榛名の力が抜ける。 今度は本当に寝てしまったようだ。 すぅ、すぅ……と穏やかな呼吸音が聞こえる。 もう一度、提督は榛名を撫でた。 提督「そうか……お前は…… ……ダメかもしれんな」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/926
927: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:52:11.32 ID:LwjWlo6m0 そう呟く提督の表情はどこか、哀しくて。 提督「……お前も俺と、行くか……?」 そう続けた時。 提督には、榛名の首が縦に、僅かだけ動いたように見えた。 それは果たして偶然か、提督が見た夢か。 提督「馬鹿な奴だよ……お前も俺も……」 最後にひと撫ですると。 返答の代わりに、榛名の額へ口づけをして。 提督「……今は夢を見ていろ、榛名……」 唇にキスをしては、目が覚めてしまうから。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/927
928: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日) 21:52:57.38 ID:LwjWlo6m0 ここまで http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429367001/928
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