[過去ログ] 【艦これ】赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」 (1002レス)
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916: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:42 ID:LwjWlo6m0(1/13) AAS
足柄がなんと言おうかと迷っていた時。
コンコン!とやや荒っぽいノックの音。
提督「入れ」
ガチャ、と言う音とともに入室してきたのは、はぁはぁと荒い息をした榛名。
全身汚れて、顎からは汗が滴っている。
榛名「て、提督……良かった……」
提督を見るなり、泣きそうな顔になる。
提督「どうした?何かあったか?」
榛名「よ、夜風に当たると仰っていたので……
起きたら提督が居らっしゃらなくて……心配で……
どこかで動けなくなっているんじゃないかと……
島を一周してきました……」
917: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:43 ID:LwjWlo6m0(2/13) AAS
提督「それは……すまない。
気を遣わせたく無かったんだ」
榛名「いえ、提督がご無事でしたら……榛名は大丈夫です……」
ふっ、と息を整えてから笑顔を見せる。
足柄「それで一人だけ居なかったのね」
榛名「ぁ……足柄さん……」
足柄「良い子ねぇ……でも、今度からは最初に執務室を確認なさいね」
榛名「本当にその通りですね……
まだ酔ってたみたいです……」
提督「いや、本当に申し訳ない……
心配をかけたな。ありがとう、榛名」
提督は榛名に近寄ると、ハンカチで額の汗を拭いてやりながら言う。
榛名「はいっ」
くすぐったそうに身を捩る榛名。
そんな二人の様子をぼーっと眺める足柄。
提督「これだけでは気持ち悪かろう。
風呂に入って来ると良い」
ハンカチをしまいながら提督は言った。
918(2): ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:44 ID:LwjWlo6m0(3/13) AAS
提督「……待てよ……不知火は清掃を嫌がる傾向があった。
シャワーで済ませて、湯を抜いてそうだな」
榛名「榛名はシャワーでも大丈夫ですよ?」
提督「そうか?……うーむ。
やっぱり、今から軽く掃除して来ようか。
鳳翔や雷も寝てるだろうし、後で慌てさせるのも忍びないな……
ズボラな不知火の事だ。他の家事も溜まっていそうだしなぁ」
榛名「お手伝いしましょう!」
足柄「しゃーなしよ、しゃーなし」
提督「いや、お前達はここで休んでいろ。酔ってるからな。
俺がちゃちゃっと済ませて来る」
そう言って出て行こうとして。
提督「……榛名は汗で寒いか。
着替えは……あー……もう風呂入るしなぁ……
とりあえず……」
自分の部屋に入ると、シャツとカッターと毛布を取り出し、榛名に手渡した。
919: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:44 ID:LwjWlo6m0(4/13) AAS
榛名「え……」
提督「男物ですまないが……寒ければ着替えておけ。
どうせすぐ風呂だし、我慢してほしい。下は毛布でな。
汚してくれて構わんよ」
榛名「は、はいぃ……!」
提督「濡れた服は椅子にでも掛けておけ。後で洗濯する。
……じゃあ、行ってくるな」
足柄「行ってらぁ」
榛名は提督を見送った後、衣類をぎゅっと抱き締め、顔をうずめる。
足柄「……あの人仕事中じゃなかったのかしら……
まぁあたしが言えたことじゃ無いけど……
ねぇ、榛名?ーー」
少し呆れ気味の足柄が榛名の方へ振り返るとーー
榛名「えへへぇ」
既にシャツを着て、毛布にくるまっている榛名が居た。
足柄「……早っ!」
920: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:46 ID:LwjWlo6m0(5/13) AAS
榛名「……すんすん……いい匂い……」
足柄「ちょっと止めなさいよ……
同じ洗剤使ってんだから同じ匂いの筈でしょ……
違ったらそれ提督臭よ」
榛名「提督臭……素敵です……」
足柄「ちょっとドン引きなんだけど……」
榛名「ふへへ」
足柄「……あんた、遠慮が無くなったわよね。前に比べて、さ」
榛名「そ、そうですか?すいません……」
足柄「悪い意味じゃないわ。本土に行ってから。
提督にとても懐っこくなったというか」
榛名「……むむぅ、自分では自覚が無いのですが……」
足柄「そう?
自信も信頼も得て、演習でも暴走せず……
大した成長よね」
921: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:47 ID:LwjWlo6m0(6/13) AAS
榛名「ぬぅ……そう言われてみるとなんだか自分が凄く成長した気がしますね」
足柄「したわよー。最初はあなた、提督と会おうとすらしなかったじゃないの」
榛名「そう言えばそんな事も……懐かしいですねぇ」
足柄(本当に……あの頃は私が榛名をなんとかしないとって思ってたけど……
今や榛名はおろか、あたしまで世話になってるしねぇ……)
榛名「ふわぁ……榛名、提督が見つかって安心したら……
だんだん眠くなってきちゃいました……」
足柄「ちょっと……風呂入ってからになさいよ……」
榛名「提督の……香りが……いっぱい……」……zzz
足柄「……ちょっと」
922: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:48 ID:LwjWlo6m0(7/13) AAS
………
……
…
数十分後……
提督「……こうなるか……」
湯を張った提督が執務室に戻ると、ソファですやすやと眠る艦娘が2人。
しかし、ソファは2人が眠るには少し狭く、どこか寝苦しそう。
仕方ない、と提督。
彼はくるりと丸まって抱き上げ易い榛名を、そっと自分のベッドへと運んだ。
そして、静かに降ろそうとした時。
榛名「ん……ていとく?」
提督「……起こしたか。すまない」
榛名が薄っすらと目を開ける。
923: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:48 ID:LwjWlo6m0(8/13) AAS
榛名「……わぁ……お姫様みたいです……」
お姫様抱っこされ、えへへ、とあどけなく笑う彼女は、どこかフワフワとしている。
完全に覚醒しておらず、夢見心地なのかも知れない。
榛名「……ていとく……
榛名は……がんばりました……」
眠そうに、ポツポツと言葉を紡ぐ。
提督「……そうだな。お前はよくやった」
榛名「ちゃんと……手加減もしましたよ……」
提督「ああ。偉いぞ、榛名」
924: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:50 ID:LwjWlo6m0(9/13) AAS
榛名「えへへ……
榛名に……ごほうびを……ください……」
提督「何が良い」
榛名「ちゅー……しましょう……」
提督「何を言っとるんだ、この酔っ払いめ……」
榛名「ふぇ……冗談ですよぅ……
……提督、撫でて、下さい……」
それならば、と。
提督は優しく、頭を撫でる。
榛名「……んぅ……」
榛名はとても満足気だ。
瞳を閉じて、されるがままにしている。
榛名は身をよじることも無く。
提督もただ、撫でるのみ。
静寂の中、長い髪を梳く音だけが空間を支配する。
榛名は幸せだった。
925: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:50 ID:LwjWlo6m0(10/13) AAS
それから、どれくらい撫でていただろうか。
気付けば榛名は安らかな寝息を立てているように見えた。
提督「……眠ったか」
そう判断し、榛名のそばを離れようとした時。
グッと上着の裾を掴まれる。
榛名「……ていとく……?」
提督「……ああ。まだ起きていたか」
榛名「……榛名は二人倒したので……
もう一つ……ご褒美を……下さい……」
目は瞑ったままに、もにゅもにゅと喋る。
既に意識を半分手放しているようで、提督の言葉には反応を見せない。
926: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:51 ID:LwjWlo6m0(11/13) AAS
提督「……欲張りなお姫様だな。
なんだ、言ってみろ」
苦笑しながら提督は応じた。
榛名「榛名を……ずっとお側に……置いて下さい……
大事にして下さいとは……言いません……
せめて……あなたの……道具として……榛名は……」
提督「ーー」
榛名「それが無理なら……あなたの艦娘のまま……榛名を……榛名を……はる、な……を……」
裾を掴んでいた榛名の力が抜ける。
今度は本当に寝てしまったようだ。
すぅ、すぅ……と穏やかな呼吸音が聞こえる。
もう一度、提督は榛名を撫でた。
提督「そうか……お前は……
……ダメかもしれんな」
927: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:52 ID:LwjWlo6m0(12/13) AAS
そう呟く提督の表情はどこか、哀しくて。
提督「……お前も俺と、行くか……?」
そう続けた時。
提督には、榛名の首が縦に、僅かだけ動いたように見えた。
それは果たして偶然か、提督が見た夢か。
提督「馬鹿な奴だよ……お前も俺も……」
最後にひと撫ですると。
返答の代わりに、榛名の額へ口づけをして。
提督「……今は夢を見ていろ、榛名……」
唇にキスをしては、目が覚めてしまうから。
928: ◆hsyiOEw8Kw [saga] 2015/06/21(日)21:52 ID:LwjWlo6m0(13/13) AAS
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