[過去ログ] さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜 (1002レス)
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267: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/05/28(月)03:10 ID:JqNzRaySo(9/9) AAS
ここまで。次も間に合えば日曜深夜に
多くてもあと二回で2話を終わらせたいです

たくさんのコメント、いつもありがとうございます
でも、自分が優しいかどうかはよくわかりません
では今回の鋼牙は優しかったのかどうか

短いのに、これまでで一番苦戦した気がします
こんなのでいいのか、かなり悩みましたが、説明は作中で追々
268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/28(月)04:12 ID:HyXq8F5e0(1/2) AAS
乙であります。

鋼牙のやさしさは本当にわかりづらいですね・・・
カオルさまも理解するのに「生命」までかかったし。
鈴ちゃんにも最初は「はやく帰れ」って言ってたし、基本的に「子供は戦いにかかわるべきじゃない」って考えなんだろうね。
「同胞」であんな光景目にしてるわけだし。

そりゃそうだ。鋼牙も父や母を亡くし、孤独に闘う者。杏子ちゃんじゃないが、幸せな家族を持つまどかちゃんが闘うなど、よしとするわけがない。
大河さん、修練所の仲間、阿門法師、邪美、アカザ。師や仲間を戦いで失ってきた経験から戦いの悲痛さを知っているが故の

「なら道のゴミ拾いか家の手伝いでもしていろ。今日からでもできる」

なんでしょうね。
269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/28(月)11:10 ID:9frcEhFSO携(1) AAS
乙です
思うに鋼牙のイメージによっていろんな受け取り方ができそう

恐らく、誇れる自分になりたいなら奇跡に頼らず努力しろと言いたいのでは。
でないと後悔するぞと。まあ魔法少女まどかの性格からしてそうでもないかもしれんが。
ただ鋼牙は魔法少女の真実にリーチかけてるし、元が努力の人だから
結局マミがさやかに言った、誰の為の契約か、を言いたいのかも

「今日からでも〜」は人の役に立つことの最も簡単な部類だから。
魔法少女にならなくてもできることを提示してる
270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/05/28(月)12:21 ID:KIqp0sOAO携(1) AAS
鋼牙も騎士になる前に単純に強くなりたいと思ってたけど…って描写本編であったなぁ
それぞれが魔界騎士と接触して三者三様の捉え方に…楽しくなってきた!
271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/28(月)13:15 ID:gBexz24v0(1) AAS
乙です
非常に鋼牙らしい台詞だが
ナイーブなキャラが多いまどマギの魔法少女に鋼牙の厳しい優しさを理解して受け止められるのかどうか…
寄りかかれる甘えさせてくれる人を求めてるマミさんとでは、そりゃ相性が悪いわな
まだ面識がないが杏子とも相性が悪そうだ
フォローしてくれる人間がいれば少しはマシになるんだろうが
カオルやゴンザが不在だからな…ザルバにフォローして貰うか?
272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/28(月)13:20 ID:QHjTvrEK0(1) AAS
乙です。
なんかもうホントにこの作品テレビで見たいわ。

誇れる自分に、誰かの希望になりたいのなら戦いだけが方法じゃないぞって言いたいんじゃないかって思った。
例えばカオルだって自分の絵に誇りを持ってる。そしてその絵は鋼牙にとっての希望。
あくまで戦いは最後の手段であり、人知れず戦う魔戒騎士や魔法少女なんかより家族の手伝いや道端のゴミ拾いをやった方がよっぽど誇れる。
そう言いたいんじゃないかと思った。

それに相手がギャグ要素一切なしのホラーや魔女だしね。
力を得たところで精神をすり減らしていくのは目に見えて明らか。
273
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/28(月)14:33 ID:HyXq8F5e0(2/2) AAS
ほむらちゃんにとってはもしQBに煽られても今回の鋼牙の言葉がストッパーになってくれるのならプラスだと思うだろうね。

ところで気になったんだが、牙狼側からは鋼牙と零と魔導具コンビだけなのかな。冴島ファミリーや翼や邪烈も出るんでしょうか。
いや、翼が二期であまりにも出番が少なかったんでせめてココでは・・・と思っただけなんですがね。

でもまーマギカ側で魔戒騎士と相性がいいのはやっぱり杏子ちゃんでしょうね。まどかちゃんにもまさに「幸せな家庭持つ奴が首突っ込むな。」って鋼牙と同じニュアンスで叱ってたし。

ただ、戦いや病で死んでも鋼牙に希望を残せたいわばプラスの死に方をした冴島夫妻に対して杏子ちゃんの父の場合は自棄になって杏子ちゃんに絶望の種を残したマイナスの死にかただからこの差はデカイだろうね・・・。
274
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/28(月)20:36 ID:EhKlPvnj0(1) AAS
作者さんに聞きたいんだが、パロロワでの執筆経験とかあったりする?
この濃密な内面の葛藤とかあそこのssのクオリティに通じる物がある
この技量ならあそこでss書いててもおかしくない
275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/28(月)21:08 ID:GheX7azDO携(1) AAS
まぁ、まどからの年齢で希望やなんやって気味が悪いわな 素直に親のスネをかじれと
もっとちっちゃな事に絶望や希望するのが子供もってもんしゃないか?
だから考え過ぎなガキンチョばっかのまどまぎって嫌い

全話見たしココも前スレの頭から追ってるしSS系のまどスレ見つけたら読んでるけど
276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/28(月)22:28 ID:eMxwNpC70(1) AAS
鋼牙の切り替えしに目からうろこ
なんて正確で的確な正論なんだろう
277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/05/29(火)01:01 ID:+lw1sPSY0(1) AAS
乙!

泣ーーかしたー 泣ーかしたー カーーオルーに言ってやろーー

まどっちみたいな純真で可愛らしいJCに対してでも、お構いなしに辛辣に切り返す鋼牙さんマジ黄金騎士。
まあ、精神の未熟がそのまま破滅に直結する魔法少女は、甘い願望で契約するとシャレにならんレベルのしっぺ返しをくらうからなあ。
しかも、鍛錬すっとばしていきなり強くなれてしまう(&即実戦投入)せいで、精神的な成長はかなりおざなりというね…。
騎士や法師の卵なら、実戦に出る前に嫌ってほど精神鍛錬するだろうけど…。

まどっちも泣いてるだけじゃなくて、鋼牙が伝えたかった事をちゃんと考えようとしてるのは、さすが優しい娘。
その答えが見つかるまで、とりあえず契約は防げるかな?や、答えが見つかっても彼女の契約は防がないとヤバいんですがww
278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/29(火)01:45 ID:8nAa+09f0(1) AAS
二期以前でマギカたちにわかりやすいように諭せるのは零くらいだよね。

わざわざ人んちの食卓に御呼ばれしたり
見知らぬ剣豪と手合わせに付き合ったり
交通事故から助けた女の子と仲良くなってその家のケーキが好きになって常連になったり。

よくも悪くも付き合いがいい。だから零主役の回は悲壮なのだけど。

二期も視野に入れるならワタル先生やそういう葛藤を経験したレオくんも適任だろうけど。

≫277

カオル「鋼牙ったら女心のなんたるかがわかってないんだから。でもね、まどかちゃんにはまどかちゃんにしか出来ないことがあると思うし、あせらずにゆっくり考えたらいいと思うな。それが鋼牙や、マミちゃんの力になるかもしれないし。」
279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/05/29(火)02:32 ID:8r2jBgAz0(1) AAS
さすが鋼牙、口べたというかなんというかwwwwww
けど事実そうだよね「誰かの役に立ちたいなら」それこそそんな程度のことでもいいんだよね
むしろ、他人から見ればそっちの方が役に立ってる感があるというか
280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/29(火)03:05 ID:yPoLJiU5o(1) AAS
まどかもまどかで力に憧れている節は否めないな
健気で考え過ぎる性格でもやっぱりそういうお年頃だ
281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/05/30(水)19:20 ID:mX7RfDuSO携(1) AAS
鋼牙は努力家だから、まどかやキリカの願いにはいろいろ言いたくなるんだろうか
どっちも自分を変えるために何か動いた結果の願いとは思えないし
中学生らしいから悪いとは言わないが
282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/05/31(木)11:16 ID:z7dLpcaY0(1) AAS
パチ版の情報をたびたび列挙してるものですが、CRシリーズ限定の次回予告があるので紹介します。
パチンコの予告ですので、ストーリー的に関係の無いものもありますが、それは割愛します。

VSレギュレイス
ザルバ「天魔降伏の光が黄金の鎧に宿る時、輝く雄志が暗黒を討ち払う! 次回!鷹麟。 黄金騎士よ、闇夜に輝け!」

VSハンプティ
ザルバ「魔戒騎士の無敵の強さ。地道な修行と、折れない心の賜物さ。 次回!闘士。 その蹄は、天より轟く!」

VS魔界竜(もともとはパチオリジナルで、巨大な成体が登場していた)
ザルバ「太古に封印されし混沌の竜が蘇るとき、魔界を覆う暗雲が、光の騎士を包み込む! 次回!獄竜。 鋼の牙を、砥ぎ澄ませ!」

VSメシア
ザルバ「友よ、お前は感じた事があるか?暗黒の空に吹く黄金の風を。 次回!翼人。 巨大な陰我、切り裂け、牙狼!」

VSカルマ
ザルバ「妖艶なる使徒ホラーの呪縛。儚き英霊の旋律。それは赤きレクイエム! 次回!竜陣。 輝く奇跡、金色となれ!」

VS大号竜(パチオリジナルホラー。規格外のでかさの号竜。)
ザルバ「闇の檻につながれし、超弩級の魔戒獣。光の騎士は恐れない。希望を意味する名を持つかぎり! 次回!轟亀。
 牙狼の称号に、不可能は無いぜ!」

VS大群ホラー(一作目と二作目の二種類ある)
ザルバ「まさかアイツと手を組むことになろうとはな。手を出すな、鋼牙。お手並み拝見といこう。 次回!撃破。 駆け抜ける、二頭の牙!」
ザルバ「おいおい、聞いてないぞ。今度は二千体の大群だって?鋼牙、零、何としても生きて帰るぞ!次回!超撃。駆け抜ける、二頭の牙!」

大当たり確定のプレミア次回予告
カオル「鋼牙、あなたは最高の魔戒騎士だよ。私が保証する。魔戒騎士の掟に背いてまで私を守ってくれたこと、絶対にオ忘れない。次回、幸福。あなたもきっと、誰かに守られてる。」

スピンオフ機・暗黒騎士牙鎧伝にも次回予告があります。

VSガリウス
メシア「空に踊るは鋭き魔獣。暗黒騎士よ駆け上がれ。己の野望の頂へ。 預言!蛇剣。 いざ投じよ、漆黒の戦斧!」

VSブレイド
メシア「巨木をも断つ、魔獣の手刀。邪悪の使いが暗黒騎士の前にそびえ立つ。 預言!巨刃。いざ交えよ、闇の斬馬剣!」

VSバド
メシア「暗黒騎士よ聞こえぬか?馬鹿馬鹿しき銀の狼の遠吠えが。 預言!風雲。 迫り来る、虹の雷鳴!」

VS牙狼
メシア「ついに来たか。そなたの闇の試練の時が。彷徨える慟哭の竜、そして、黄金の影。 預言!金狼。 希望は、闇の僕となろう!」

プレミア
メシア「ふははは、よくぞ成し遂げた暗黒騎士!暗黒の道は、我とそなたの前にある。 預言!幸福。 さぁ、行くがよい!」
省1
283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/06/02(土)15:19 ID:gJtgm/Tlo(1) AAS
>>285
キリカは自分で自分を変えられないから、契約で変わることを望んだからねぇ
でも魔法少女の裏まで理解しつつ、大切な人の為に魔女になることまで選択して
まっとうできた彼女は今まで登場した全魔法少女の中では唯一、
満足した最後を迎えられていると思う
第三者から見れば悲惨な結末だとしてもね
284
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) 2012/06/02(土)19:33 ID:5lnqoWHAO携(1) AAS
もうすぐニコニコで生牙狼ですね。
重大発表もあるらしい。
285
(2): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/02(土)22:25 ID:RX+6tQoQ0(1) AAS
>>284
小西さん含めて全員フリーダム過ぎだったww
オクレヤダヨ君とかファンタ騎士とかww

蒼哭の魔翌竜は来年初春に公開だってね。
因みに零・翼・レオは登場確定。
286: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2012/06/04(月)02:46 ID:LfLT9Ckwo(1) AAS
いつものことですが、もう少し時間を頂きたいと思います
ニコ生は観ました。本編も配信してくれたら嬉しい
公開までにはもっと進めたいですが……

>>249
前回見落としていて申し訳ありません
まどポは未プレイです。やってみたいとは思うのですが、時間の問題と、変に影響を受けそうなので

>>274
パロロワで書いた経験はありません
ジャンル的には、ちょっと苦手な感じです
でも大勢のキャラの動かし方も、複数人でリレーするのも、凄いとは思います。とても出来る気がしません
287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/06/04(月)11:48 ID:Uhti+A3j0(1) AAS
>>285
おお、三騎レオ出るのか、よかった。またRRのように鋼牙ザルバ以外全員新キャラみたいなことにならなくてよかったよ。
翼の出番多いといいな。
288
(1): VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/06/04(月)18:10 ID:CUEfzdF00(1) AAS
こう言っちゃなんだがもう少し密度を減らしてでもいいから展開を早くしてもいいんじゃないか?
まどマギ本編をナゾって12話ぐらいやるんでしょ?
このペースじゃあベルセルク並にいつ終わるかわからない
最悪途中でエタッてしまわないか心配で…
289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/06/05(火)00:41 ID:zVPAK+2AO携(1) AAS
構想はあるみたいだしゆっくり待てばいいんでないの
290: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:25 ID:tOv9yjbAo(1/9) AAS
 
 夜の病院、廊下を歩く。
 病院特有の臭いと混じって、夕食の匂いが漂ってくる。
もうそんな時間かと時計を見ると、もう面会時間はギリギリ。

 病院食には食欲をそそられないけれど、空きっ腹に食事の匂いは辛い。
 もしかして彼も食事中だろうかと不安を覚えつつも、
それならそれで片手は不便だろうと食事を手伝ってあげるのも有りだろうか。
 
「ご飯を取って口に運んで、あ〜ん……って何を妄想してるんだ、あたしは……」

 さやかは緩んで火照った頬を、ぴしゃりと叩いて引き締める。
 途中トイレで身嗜みと髪型を軽く確かめてから、彼の個室の前に立つ。
 高鳴る胸を押さえ深呼吸。笑顔を作ってドアを叩く。

「恭介、あたしだけど……」

「どうぞ」

 遠慮がちに尋ねると、答えはすぐに返ってきた。
 ドアを開くと、ベッドに彼が座っていた。真っ白の患者衣を着た灰色の髪の少年。
さやかの幼馴染の少年、上条恭介が笑顔で歓迎してくれた。

「いらっしゃい、さやか」

「ごっめーん、遅くなっちゃった。ひょっとして、これから晩ご飯? 迷惑じゃない?」

「いや、さっき食べたところだよ」

「そっか、よかった」
291: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:27 ID:tOv9yjbAo(2/9) AAS
 そう聞いて、さやかは胸を撫で下ろした。
 食事を手伝えなかったのは残念だが、邪魔にならなかっただけで良しとしよう。
普段は家族の来る時間と被らないようにとか、訪ねる時間にも気を使っているのだが、今日はそんな余裕もなかった。
理由は勿論、魔女と魔法少女、ホラーと魔戒騎士の説明会。そして魔女退治の見学と、その後始末である。

「昨日も結局来れなかったし、今日もだったら悪いからさ」

 さやかは手近なイスに腰掛けながら言った。
 ほぼ毎日見舞いに来ているさやかだったが、昨日は来れず仕舞い、今日は滑り込みと、
恭介を後回しにしているようで、なんとなく気に病んでいた。

「別に毎日のようにお見舞いに来てくれなくてもいいんだよ? さやかだって大変だろ?」

「いいのいいの、来たくて来てるんだから。暇潰しの話し相手くらいにはなるでしょ?
それとも、あたしじゃ不満?」

 少しの謙遜と照れ隠しを込めて探りを入れてみたつもり。彼が自分をどう思っているのか知りたかった。
 少なくとも、さやかは彼に幼馴染以上の感情を抱いている。たぶん、物心ついた頃から、ずっと。
 すると恭介は、にこやかに言い放つのだ。

「暇潰しなんてとんでもない。いつも来てくれてありがとう、凄く嬉しいよ」

 その優しい微笑みに、さやかは頬が熱くなるのを抑えられなかった。
 指で頬を掻きながら、笑って誤魔化す。

「あはは……そうストレートに言われると照れるなぁ」

 恭介の顔を直視できなかった。顔を背けるしかなった。
きっと今、自分の顔はこの上なく赤く染まっているだろうから。
 しかし、喜びに浸っていられたのも束の間。
292: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:29 ID:tOv9yjbAo(3/9) AAS
 直後、さやかは密かに肩を落とした。
 長い付き合い故に知っている。彼は、この手の台詞をごく自然に、しれっと言ってのけるのだ。
 つまり、深い意味はない。

 いつからだろう。そんな言葉に期待してしまうようになったのは。
 その真実に気付いて落胆するようになったのは。
 彼の言葉や仕草に一喜一憂し、その度に馬鹿だと呆れる。
 だが、さやかは慣れているだけあって立ち直りも早かった。軽い溜息ひとつで気分を切り替える。

「あんまり時間もないから手短に。はい、これ。恭介が前に言ってたやつね」

 鞄から一枚のCDを取り出すと、ベッドの上に置いた。クラシックのアルバムである。
本当は他にもあったのだが、昨日は結局買いそびれてしまったので、これ一枚だ。

「うわぁ、ありがとう。これ聴きたかったんだよ」

 喜ぶ恭介をさやかは見ていた。
 湧き上がる気持ちの正体は、自分でもはっきりしない。
ただ、誇らしく微笑ましいような、それでいて悔しくもあり切なくもあるような――清濁混じり合った感情。
 確かなことは、恭介が嬉々としてCDを開く様は、さやかが訪ねてきた時よりも遥かに嬉しそうだった。
 
「じゃあ、帰るね」

 それを悟られまいと、さやかは立ち上がり、早々に帰ろうとするが、

「あ、待ってよ。せっかくだから少しだけ話していかないか?」

 呼び止められて振り向いた顔は微かに笑っていた。
 自分自身、本心では引き止められたかったことを否定できない。
 軽い足取りでイスに座り直す。
293: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:33 ID:tOv9yjbAo(4/9) AAS
「もう、しょうがないな。いいよ、なに?」

「学校とか、最近どうかなって。何か変わったことはあった?」

 変わったこと――そう問われて思い出すのは、何と言っても昨日と今日の出来事。
 信じてきた常識や世界を根底から覆され、自分も関わっていると言われた。
これ以上に変わったことなど、これまでのさやかの人生になかった。

「ん、と……そうだ! 昨日うちのクラスに転校生が来たよ」

「へぇ、どんな人? 男子? 女子?」

 興味を示す恭介に――自分で言っておいて何だが――さやかは渋面を表した。
 さやかにとってほむらは憎き敵であったし、恭介が彼女に興味を示すのも気に食わない。
しかし、本人のいない場所で他人を悪し様に罵る自分を彼はどう思うだろうか。
 さやかは迷った挙句、

「う〜ん……まぁ、女子だよ。運動も勉強もできるし、美人だけど、
あたしはあんまり好きじゃないかな。クールで他人を寄せ付けない感じでさ」

 ふぅん、と恭介は頷き、それ以上の詮索はしなかった。
 彼女にはまだ重大な秘密が隠されているのだが、言えるはずもない。
信じてもらえるとも思えないし、魔法少女としての彼女に興味がなかった。
彼女がどんな魔法少女であろうと、最早ほむらに対する印象は断固として揺るがない。

「それともう一人、ひょんなことから三年の巴マミさんって先輩とも知り合ったんだよ。
すっごい美人で大人っぽい人なんだけど……知ってる?」

「いや、知らないなぁ」

 さやかはマミの評価にも嘘を交えなかった。
 よくよく考えれば、もしこれで恭介がマミに興味を抱いたら。
女として数段格上のマミにさやかは太刀打ちできないのだが――どうにも、それが彼女の生来の性格だった。
294: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:35 ID:tOv9yjbAo(5/9) AAS
「あ、それから――」

 言いかけて、さやかは口を噤んだ。
 朝に目を釘付けにされ、夜に劇的な再会を果たし、最も鮮烈な印象をさやかに焼き付けた男性。
 魔戒騎士、冴島鋼牙。

「それから?」

「それから、え〜っと……何だっけ。忘れちゃった……」

 言えるものなら言いたい。
彼について知っている事実は少ないが、ホラーのこと、黄金騎士のこと、優に一時間は語れそうな気がする。
 だが、そうなれば事情を話さざるを得なくなる。彼は裏の世界の人間、情報の拡散を喜ばないだろう。
 リスクを承知で話してくれた鋼牙を裏切りたくなかった。

「あはは。相変わらずおっちょこちょいだなぁ、さやかは」

「だよね、えへへ……」

 どうやら誤魔化せたらしい。
 乾いた笑いを浮かべ、頭を掻きながら、さやかは改めて思った。
 魔法少女、魔女、ホラー、魔戒騎士――昨夜の出来事はすべて自分の心の中に留めておこうと。

 それから軽く二言三言交わし時計を見ると、そろそろタイムリミットが迫っていた。

「じゃあ、今度こそ帰るね」

「うん、来てくれてありがとう…………さやか?」
295: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:36 ID:tOv9yjbAo(6/9) AAS
 
 恭介が首を傾げた。
 帰ると言ったにも拘らず、さやかがイスから立たないからだ。
 さやかは思い詰めた表情で俯いていたが、やがて意を決して顔を上げた。 

「ねぇ、恭介……もしも、もしもだよ? 願いを何でもひとつだけ叶えられるとしたら、何を願う?」

 何故か、これだけは訊いておきたかった。
 自分の参考にしたかったのもある。
 だが、確かめたかった。彼は今、どんな心持ちでいるのだろうかと。

「何だい、急に?」

「あ〜、いや、今日まどかたちと話しててさ。なんとなく、そんな話題になって」

 曖昧に答えたが、嘘は言ってないからいいだろう。
 まだ首を傾げる恭介だったが、深く追及する気はないようだった。
腕を組んで真剣に考え始める。

「そうだなぁ……」

 恭介は十数秒ほど唸ってから、さやかを見る。
 
「もっともっとヴァイオリンを上手になって、もっと多くの人に聴いてもらうこと、
大勢の人たちを魅了する音楽を演奏することかな。
それでいつか僕だけの最高の音を奏でられたなら……」

 答えた彼の眼は輝きに満ちていた。その光は、さやかの懸念を一瞬にして払拭する。
 彼は、また弾けたら、などと口にしなかった。
 手首から先が動くか動かないかの瀬戸際に立たされているというのに。
少なくとも今は動かせないままだというのに。
296: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:38 ID:tOv9yjbAo(7/9) AAS
 良く言えば前向き、悪く言えば逃避かもしれないが、
さやかは彼が復活の為に必死にリハビリに励んでいると知っている。
 だからこそ、さやかの答えも決まっていた。

「うん……恭介ならきっと出来るよ。あたし、応援してるから」

 さやかは両拳をグッと握って、ありったけの想いを込めて彼女なりに勇気付けたのだが――。

「そんな簡単なものじゃないさ。
最高の音楽がどんなものかなんて僕にもわからないし、
それこそ神か悪魔の力でも借りないと実現できないものかもわからないしね」

 恭介は虚空を見つめ、呟いた。
 さやかの秘めた想いは、完全には伝わらなかったようだ。
落ち込む気持ちもあったが、それよりもある単語が気に掛かった。

「えぇっ、悪魔って……怖いこと言わないでよぉ……」

 悪魔と聞いて真っ先に連想したのは、この二日間に出くわした魔女と魔獣。
 あんなものに恭介が関わるなんて、考えるだけでも嫌だった。比喩だろうとわかっていても。
 昨夜以来、神経過敏になっているのは、さやかも自覚していた。

「はは、実際に契約とかしたんじゃないよ。ただ、芸術や音楽には付き物の逸話ってだけ。
自分を追い詰めて追い詰め尽くした果てに得た極限状態での閃きを天恵って言って、
自分以外の何かの力を借りて出来た気がしただけだと思う」

「だよね……なぁんだ、びっくりするじゃん」
297: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:41 ID:tOv9yjbAo(8/9) AAS
 ほっと息をつくさやか。
 不安は、恭介が軽く笑い飛ばしてくれた。そういえば、そんな話は聞いた覚えがあるような。
やはり杞憂に過ぎなかったのだと気を取り直した。

「でも僕にも似たような経験はある。
頑張っても頑張っても弾けなかった曲が何かの拍子に突然弾けたり、とか。
大げさだけど、そんな時は奇跡が起こってる気さえした。だから真実は誰にもわからない。
ひょっとしたら、天使や悪魔を見た人だっているかもしれないね」

「へぇ……恭介にも、そんな経験あるんだ……」

「勿論あるさ。もっとも、僕はそこまで極限に迫ったことはないけれど。
もし仮に、そんなものが見えるとしたら、それは本当に凄絶な精神状態だろうね。
過去、数多の芸術家や音楽家が狂気に取り憑かれ、身を削り、滅ぼしながらも作品を遺した時みたいに」

 たぶん恭介も同じ。彼は音楽しか見ていない。彼を想う自分の気持ちも見えていない。
 だが、それでもいいと、さやかは思っていた。
 自分のものにならなくても、他の誰かのものにならないなら。
 誰より近くにいられるのなら。

 それでもいいと、思おうとしていた。

 音楽を語る時、往々にして彼は多弁になる。
 芸を極めようとする人は、多かれ少なかれ他人と違うものが見えているのかもしれない。
素養も素質もさっぱりなさやかには些か理解し難い感覚ではあったが。

 内容は理解できなくても、さやかは彼の話が好きだった。
 彼の音楽が好きだった。
 彼が好きだから。
 理由は、それだけで充分だった。
298
(1): ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/11(月)02:53 ID:tOv9yjbAo(9/9) AAS
ここまで。次こそ2話も終わり
恭介や仁美も自分なりに掘り下げられたら
体調不良やらで2週も開いてしまいました
やっぱり切りの良し悪しに拘らず週一は厳守のペースに戻したいと思います

>>273
今のところは内緒、ということで申し訳ありません
ただ、期待させても悪いので、ひとつだけ。翼は出ません、中途半端な扱いになっても嫌なので
外伝などできれば或いはあるかもしれませんが、基本は鋼牙と零と少女に絞りたいと思います

>>288
ペースが遅くて申し訳ありません
自分でもそうしたいのですが、減らし方の加減がわからないというのが正直なところです
なるべく重要な場面を除いて軽く流せるよう努力します
299: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) 2012/06/11(月)06:31 ID:HR/zfzQAO携(1) AAS
きてるー!
乙なんだよ
300: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/06/11(月)12:40 ID:2BgTqtxP0(1) AAS
乙であります。

なんか恭介が板尾みたいなことを言い出したぞ・・・。
301: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [saga sage] 2012/06/12(火)11:02 ID:wcoHZI830(1) AAS
ヴァイオリンとその奏者とかダース単位でホラーが憑きそうな代物だからなぁ。
割とマジで即魔女になる程の契約をしなきゃ元に戻せない状態になっちゃったりするんだろうか
302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/12(火)23:50 ID:zls1Vx9o0(1) AAS
そういや、ホラーって倒して魔界に還しても定期的にゲート通って現世に来るんだっけ?
復活する周期って何か設定にあったけ?ハルは結構早く復活してたみたいだが。
303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/06/13(水)00:51 ID:0P0NBo9P0(1) AAS
パズズとガーゴイルがアップを始めている気がして怖い。
というか魔法少女候補に一人モロクに狙われそうなのが・・・。
304: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2012/06/17(日)23:59 ID:NCqR/890o(1) AAS
 神妙な顔つきで鍵を回して、玄関の扉を開いた。
 出迎える者はなく、室内はシンと静まり返っている。
 つまり見慣れた光景。
いつもなら、どうしようもなく寂しさが襲ってくるところだが、今日のマミは違った。
 
 何故なら、とても大事な――おそらく自分の人生を左右するであろう、重要な問答を控えているからだ。
 手探りで玄関のスイッチを探して明りをつける。暗い各部屋を見遣るが、やはり誰かがいる気配はない。
いや、いたらいたで困るのだが。

 とりあえず、お茶でも飲んで一息つこうかと思い、リビングの電気をつけると――。

「――っ……キュゥべえ……!」

 テーブルの上には、夕方部屋を出た時と変わらぬ様子で白い小動物が鎮座していた。
 意表を突かれたマミが二の句を継げないでいると、

「おかえり、マミ。遅かったね」

 キュゥべえが先んじて喋った。いつものように、表情ひとつ変えず、平然と。
 
「あなた……ずっとここにいたの?」

「そうだよ。酷いなぁ、君が僕を残して戸締まりして行っちゃったんじゃないか」

 などと言っているが、怪しいものだ。
 マミは疑念を抱いていた。神出鬼没の彼なら、この程度は軽く抜け出せるのではないか。
魔女退治に現れなかったのは、鋼牙が同行することでまどかとさやかに危険が及ぶ可能性が低いと考えたのではないか。
或いは、彼の余計な詮索を避ける為に姿を見せなかっただけで、遠巻きから窺っていたのではないか。
だとしたら、まどかとさやかの危機には、必ず現れて契約を迫ったことだろう。
 
305: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2012/06/18(月)00:54 ID:E+IXGqpEo(1/3) AAS
 マミはそこまでキュゥべえの行動を推察し、そして気付く。
自分の彼を見る目が変わり始めていることに。
咄嗟とはいえ、いや、だからこそ端から訝しんでいたことが衝撃だった。

――何故かしら……今日、あの時まで友達だったはずなのに……

 と、マミは心中で呟き。

――友達……"だった"……?

 またしても自らの変わりように驚き、おののく。
 揺らぎ始めてはいたが、マミとキュゥべえの間には確かな絆があった。
どんな言葉で言い表せばいいのかはっきりしないが、親愛の情が存在していた――はずだった。

 昨日までなら、きっと無理にでも自分を納得させていた。
 しかし今は、それすらも自分が思い込んでいただけ、とすんなり思える。
予てから疑念を感じていたからと言って、不思議なほど簡単に。

 今のマミの状態を一言で表すならば、愛情が薄れているのだろう。
彼に肯定的な――言い換えれば、都合の良い捉え方ができなくなっていた。
 たぶん夕方の鋼牙とキュゥべえの会話のせい。他にはあり得ない。
 あれは、まさしく楔だった。鋼牙の打ち込んだ楔は、本人も気付かぬ間にマミの心に変化をもたらしていた。

 だが、心の変化に思考は追い付かず、マミは混乱する。
 額に手を当て、ふらつく身体をどうにか支える。
 何故、と考えようとすると、頭が軋むように痛く、重い。
 
306: ◆ySV3bQLdI. [sage saga] 2012/06/18(月)03:06 ID:E+IXGqpEo(2/3) AAS
 自分でも気付かぬうちに、秘めていた不満や疑念が表出しているのだ。
 反面、頭ではキュゥべえを信じたいとも思っていた。なにせ彼は、これまで唯一とも呼べる親友だったのだから。
命の恩人でもある彼を裏切りたくなかった。
 だが、信じたいはずが信じられない。感情が拒絶するような感覚に、マミはただただ戸惑うばかりだった。

「それでマミ、僕に何か用なんじゃないのかい?」

 すべて見通したような口振りに、マミは正気に戻ると同時に、再び警戒する。
 全身の緊張と冷や汗、ひりつく喉の渇きは自身に対するものか、それともキュゥべえに対してか。
今のマミには、どちらも理解できないことは確かだった。
 
――だから、私は確かめなくちゃいけない……。

 素直に己が心に従うべきか。
 それとも、心を騙して仮初の友人関係を続けるべきか。
 答えは目の前にある。

 方法は至極簡単だ。一言、尋ねればいい。
 これまでは真実を知るのが怖くて訊けなかった。
彼を信じられなくなったら、真に独りぼっちになってしまうから。

 でも、今なら問い質せる。
 その為の勇気はもらった。
 彼女に――今日、出会ったばかりの新たな友人、夕木命に。

「あのね、キュゥべえ……私、どうしてもあなたに訊きたいことがあるの……」

 ありったけの勇気を振り絞り、キュゥべえに質問をぶつけようとした、その時。
 ふと、マミの脳裏を、ある思考が掠めた。
 それはマミが寄る辺とする勇気の正体だったのかもしれない。
307: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/18(月)03:35 ID:E+IXGqpEo(3/3) AAS
ここまで。もう1レス行きたかったのですが、考えがまとまらないので明日に。
308: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/19(火)02:08 ID:cA/hk6mBo(1/5) AAS
――命さんの存在があったから、私は真実を確かめる勇気を持てた。
 その勇気は、果たして私が思っているほど素晴らしい感情なのかしら――

 一度でも考えてしまったが最後、疑惑は膨らんでいく。
 悪い方へ、悪い方へと、転がるように思い詰めてしまう。 
 
――たった一人でいい。私を愛してほしい。最初は、ただそれだけだったはず。
 なのに私は、命さんがいるからキュゥべえを失っても耐えられると考えてた。
 それは、より満たされる一人と出会ったら、前の一人はいなくてもいいと思っていることにならないの?
 私は、キュゥべえと秤にかけて命さんを選んでいたとでも?

 正体も定かでない謎の生物であるキュゥべえよりも、同じ女性の……ううん、同じ人間だから?
 私に隠し事をしている彼よりも、私を温かく包んでくれる人だから?

 だから、キュゥべえを失っても耐えられる……?

 いなくなってもいい……?

 いえ、むしろ……。

 キュゥべえは……もう、いらない……?――
309: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/19(火)02:10 ID:cA/hk6mBo(2/5) AAS
 マミは愕然とした。
 膝から力が抜け、床にへたり込む。
 自分がよりどころとしていた勇気が、純粋だと信じた想いが、その実エゴにまみれているかもしれない。
そう気付いて、心が激しく揺さ振られた。

 まるで泥沼から抜け出そうと握り締めたロープが、泥よりも遥かに穢れて悪臭を放つ汚物であったかのような。
 そして、気付けば触れた全身までもが穢れ、身体がグズグズと腐り落ちていくような。
 
 それほどまでにマミは"勇気"を信じ、希望を託していた。
 それが偽りだとしたら、もう何を信じたらいいのかもわからなかった。 

「どうしたんだい、マミ」

 混乱の最中でキュゥべえの声も届かなかった。

――こんなこと、如何に彼が不審で、私が不信を抱いていようが、言い訳できる行為じゃない。
 新しい友達ができたからって、数年来の関係で、しかも命の恩人に後足で砂をかけて他人に乗り換えようとしている。
 まるで、古くなった服を想い出と一緒に捨て去るみたいな感覚で。

 これが……私の本性……?
 本当の私?
 本当の私は、どこまでも臆病で、寂しがり屋で……卑怯で、狡猾で、矮小な人間――
310: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/19(火)02:12 ID:cA/hk6mBo(3/5) AAS
「違う! そんなはずない!」

 自分が酷く醜い存在に思えて、マミは千切れんばかりに首を振った。
 頭を両手で押さえても、頭痛は止むどころか激しさを増す。
 マミは直ちに考えるのを止めた。考えるほど自分が嫌で嫌で堪らなくなる。

 急がなくては。すぐに蓋をして、胸の奥深くに沈めて封印しなくては。
 己の中に、こんな醜い打算があるなんて信じたくなかった。
 こんなの、勇気なんて綺麗な言葉で飾ってはいけない。

 これは闇だ。
 目を背けたい、黒く淀んだ心の闇。
 即ち、陰我。

――これが、こんなものが、私の陰我なの……?
311: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/19(火)02:12 ID:cA/hk6mBo(4/5) AAS
 数分間、マミは頭を押さえてうずくまっていた。
 頭痛が治まり、暗くなっていた視界が光を取り戻すまで。 
 ようやく顔を上げると、キュゥべえは微動だにせずマミを見ていた。

「落ち着いたかい?」

「え、ええ……」

 荒い呼吸を整えて、なんとか一言だけ答える。
 キュゥべえはマミの様子を窺い、少し間を置いて言った。  

「いいよ、マミ。僕に答えられることであれば、何でも答えよう」

 そう言われても、頭が真っ白になって何から訊いていいものか。
 順序立てて考えていた質問も吹っ飛び、心の支えも信じられなくなった。
 いっそ、うやむやにしたくなる。

 だが、無理だ。今さら、なかったことにはできない。忘れ去るなんてできない。
 真実を明らかにしなければ、このままでは一歩も進めないから。
 マミは深呼吸して、最も訊かなければいけない質問を思い浮かべ、口を開く。
  
――魔女の正体は、魔法少女なの?

「私とあなたは……まだ、友達なの……?」
312: ◆ySV3bQLdI. [ saga] 2012/06/19(火)02:15 ID:cA/hk6mBo(5/5) AAS
ここまで。次は最後まででき次第
アクションやCGで魅せられない分、このへんを拘りたいと思ったのですが
書いてる方も暗中模索な感じです
313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/06/19(火)07:14 ID:5c02bu+AO携(1) AAS
マミさん悪い方向に持ってったらアカンでぇ

乙です
314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) 2012/06/19(火)20:13 ID:FIpIrgbC0(1) AAS
乙であります

マミさん本当にQBのこと大好きだったんだな・・・。

あえて阿門法師の名言をのせておこう
「己の友が敵となることもある。その逆もまた然り。」
315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) 2012/06/19(火)20:28 ID:HruP6OoG0(1/2) AAS
DVされてそれでもまだ縁を切れないメンヘラ女みたいだなあマミさん
「さやかちゃんイージーモード」みたいな末路を迎えそう・・・
316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) 2012/06/19(火)20:57 ID:HruP6OoG0(2/2) AAS
いい忘れた乙です
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