[過去ログ] 【ファンタジー】ドラゴンズリング2【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (368レス)
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315: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:36 ID:VFS1GnfL(2/5) AAS
>「あたしの本名はパトリエーゼ・シュレディンガー。
教団の幹部で“黒曜のメアリ”と呼ばれたあのメアリ・シュレディンガーの妹です。
怖くって教団から逃げ出してきたの。お願い、何でもするから、あたしに居場所をください。
そして…みんな、“友達”になって! 裏切られてばかりで怖いの!」

唐突にこんなことを言い出したパトリエーゼに、ラテがここにいてもいいと語りかけ、
ジャンが危険をおしてまで本当に一緒に来たいのかと問いかける。
二人の話がひとしきり終わった後、ティターニアが自分のターンとばかりに唐突に講釈をし始めた。
省22
316: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:39 ID:VFS1GnfL(3/5) AAS
「興味深い、実に興味深い! それは凄いことだぞ……! エーテルとは見ての通り中心の属性。
他の属性を習得せずしてエーテル属性を使えるとは、もしやそなたには最強の素質が眠っておるのかもしれぬ……!」

(実際にはパトリエーゼのエーテル特化の魔術が神聖魔術に属するものであるとするなら
「エーテル属性だけ使えるなんて凄い」という、元素魔術の体型を前提としたティターニアの理論は全く成り立たず、思い込みで暴走しているだけになるのだが
ここで重要なのはパトリエーゼが変人導師に興味を持たれてしまったということである)

そして、悪戯っぽい笑みを浮かべて告げるのだ。

「さて、先刻友達になってと言ったな。残念ながら友達にはなれぬ。
省12
317: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:42 ID:VFS1GnfL(4/5) AAS
それから三日の時が流れ、いよいよソルタレク冒険者ギルド本隊が到着と相成った。
ティターニアは戦況に合わせて最適な場に投入されるべく、ユグドラシア内部の指令本部で待機していた。パトリエーゼも一緒だ。
まず、巨大な砲撃音のようなものが何度も響き渡り始める。
一人一つずつ貸与された伝言のオーブから、伝令担当のパックの声が聞こえてきた。

『マントでマッチョでフンドシ一丁の漢が壁を打つ! 打って打って打ちまくるゥ!』

その日、壁は壊された――――巨人ではなくマッチョなエルフによって。
続いて、オーブからラテとジャンの声が聞こえてきた。
省31
318: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/11(土)07:45 ID:VFS1GnfL(5/5) AAS
「あなた達も、こうはなりたくないでしょう?立ち去る事を強くオススメします」

更に、魔法の殿堂を襲撃なんかしてネズミーランドの住人になっても知らんぞと脅しをかけるラテ。
確かに魔力には溢れているが夢があるとは言えない光景である。

>「……やめとけや、ラテ。冒険者に良心を期待するもんじゃねえ。
 街を焼いて戦利品を頂くのは傭兵だけじゃないんだからな」
>「城壁をぶち抜いたのは誰かは知らねえが、こっから先は通せねえんだ。
 悪いが依頼の前金だけで勘弁してくれや」
省19
319: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:24 ID:J+5VRhUT(1/7) AAS
<アスガルド大通り>

ユグドラシア襲撃に乗り込んだ地上部隊と航空部隊の混成隊は待ち構えていたアスガルド防衛戦団と交戦に入っていた。
敵戦力は魔術学院の術士達とアスガルドの冒険者達。
純戦闘員としての数の利はこちらにあるが、敵には練度となにより地の利がある。
第三・第二隊の戦術目標は敵の漸減と陽動とは言え、拮抗を維持することさえ過酷な戦況だった。

「クソ、またゴーレムが出てきやがった!一旦退いて後衛の火力と合流しながら前線を押し上げろ!」
「爆撃支援はまだか!地上の武装じゃあの装甲は抜けねえぞ!」
省33
320: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:24 ID:J+5VRhUT(2/7) AAS
「馬鹿なァ!味方を巻き込んで撃ってきやがっただとォ――」

桃色光線に撃たれた者達が胸を押さえて倒れ込む。
光線に物理的な破壊力はなかったが、対象者を苦しめる謎の効果があるようだ。
幸運にも砲の範囲から逃れた者達が青ざめて路地へと退避する。

「おい!大丈夫か!?ありゃ何の光線なんだ、呪詛の類か!?」

倒れ込んだ味方へ声を掛ける冒険者達、撃たれた者達は膝をついて胸を掻きむしる。

「ぐ……が……胸が……苦しい……!!」
省24
321: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:25 ID:J+5VRhUT(3/7) AAS
うっちゃったゴーレムが爆煙混じりに四散するのを満足げに見ていたノーキンは、前方の空を横切る何かを気が付いた。

「む!あれは何だ!鳥か?飛翔器か!?」

「第二隊のアルゲノドンだよ!大通りに送ったはずなのになんでこんなところに?」

ギルドの紋章入りの鞍を付けた飛翔魔獣アルゲノドンが、交戦機動の速度で飛んでいる。
巨大な猛禽に竜の翼膜を合わせたような凶相が、苦悶の叫びを挙げている。
手綱を握る弓兵は必死にそれを抑制しようとしていたが、諦めたのかやがて空中で飛び降りて落下傘を展開。
重りのなくなったアルゲノドンはさらにスピードを上げた。
省31
322: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:26 ID:J+5VRhUT(4/7) AAS
「貴様の愚問に答えよう!何を得るかだと?吾輩は冒険者だ!得るものは金に決まっておるだろう!!
 知らぬのか?金は天下の回りものと言ってな、ヒトが社会で生きていく上で不可欠なる最重要物資であるぞ!」

「ええぇ……」

ケイジィが半目で手の平を手首ごと高速回転させるのを横にノーキンは両腕を広げた。

「良いか若輩、金は全てに優先する!人々の安寧は金より重い?誰が決めたのだそれは!吾輩ではないぞ!
 街一つ脅かして大金が得られるならば、それは立派な経済活動だ!」

二者が二様の反応を返す中、おそらく猟兵風の仲間であろう大男が路地を抜けて追いついてきた。
省25
323: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:27 ID:J+5VRhUT(5/7) AAS
「……ぬ。そういう貴様は相変わらず年甲斐のない乳臭い格好だなドリームフォレスト!久しいぞ!!」

「誰あのひと、知り合いなのノーキン」

「ティターニア・ドリームフォレスト。ユグドラシア、ひいてはエルフ魔法界における有名人だ。異端児という意味でのな。
 優秀な導師ではあるが如何せん頭のネジがイカれ方向に振り切れているユグドラシアの狂人代表のようなものだ」

「ううーん……とりあえずノーキンの類友ってことはよくわかったよ」

「まぁ聞け。ヒトに限らずエルフもまた積み重ねた年齢で相応の貫禄を宿すものだが……あの女はアレで吾輩より年上であるぞ」
省32
324: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:27 ID:J+5VRhUT(6/7) AAS
エーテルメリケンサックの形成した魔力の塊が、正拳の速度でティターニア目掛けて打ち出された。
着弾の結果を見届けることなく連れてきた冒険者達に指示を出す。

「第一隊、下がれ!路地を迂回しユグドラシアを目指すのだ!」

予め取り決めていた指示通り、冒険者達が煙幕を張って路地の中へ散り散りに消えていく。
手下30人はここで使い潰して良い兵力ではない。ユグドラシアを制圧するにあたって重要な人員だ。
幸いにも敵はティターニア含め三人、ノーキンとケイジィならば食い止められる。

猟兵風の先程の言動から、彼女の目的は大通りの戦力が陽動部隊を鎮圧するまでの時間稼ぎであるとノーキンは読んでいた。
省31
325: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/13(月)20:27 ID:J+5VRhUT(7/7) AAS
AA省
326: 2017/02/15(水)20:45 ID:3FqVxMz8(1) AAS
画像リンク[jpg]:68.media.tumblr.com
327: 2017/02/18(土)01:05 ID:Nr3JD94C(1) AAS
ティターニアと共に戦場に転移してきたと思われるパトリエーゼだが、
(むしろ差し出された手を掴もうか逡巡している間に手を引っ張られて強制的に連れてこられた可能性もあるぞ)
ノーキン達は特に彼女を意識する様子はない――
ナチュラルに地味で気付かれていないのか戦力外とみなされて放置されているだけなのかは分からないが
今のところアウトオブ眼中のようだ。
つまり今ターンは敵の攻撃を受けずにフリーに動けるということだ。
エーテル属性の魔術等を使って味方の防護に入ってもいいし、ノーキンかケイジィに不意打ちでの攻撃を仕掛けてもいいだろう。
省4
328: 2017/02/18(土)01:26 ID:zwuzE9OK(1) AAS
くっさ
329: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/19(日)15:12 ID:t7HCYCqQ(1/7) AAS
『色を消せ。あんたの魔力から色を取り去るんだ。そうすることで、より強い純粋な魔力が生まれる。
“エーテル・ネクトル”はもう飲んだ? 朝起きたら必ず飲むようにって、言ってあるはずだけれど』

姉さまが掃除の時間、殆ど見えない魔力の塊を操りながら、小鳥や蝶たちを撃ち落としていた。
特に蝶を、執拗に。

「はい、姉さま。この後も修行に付き合ってはもらえないのですか?」

姉さまはこちらを見ずに、眉を顰めて言う。

『あんたに構ってる暇はないのさ。また虐められたのかい? それよりこっちは“蝶”を潰す準備がいるんだ。
省26
330: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/19(日)15:14 ID:t7HCYCqQ(2/7) AAS
独り言を言って作業をしていると、ジャンさんが椅子を持ってきて話しかける。

>「今俺たちは敵に追われてる。あんたと同じだ。それに危険なところばかりに行く。誰も行ったことがないような場所だ。
 これから敵はどんどん増えるだろうが、それでも来るのか?友達にはなれるだろうし、居場所もあるかもしれないが、それでも本当に一緒に行くのか?」

ジャンさんは“敵”というものが何なのか教えてはくれなかった。
その代わり、あたしに“一緒に行く”という選択肢をくれた。
敵はどんどん増える。そう、あたしはどこに行っても敵ばかり作っていた。
姉さまや、兄さま、そしてソルタレクのギルドマスターからも、離れれば何らかの攻撃を受けた。
省35
331: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/19(日)15:15 ID:t7HCYCqQ(3/7) AAS
つい高揚してしまった。貶されてばかりで育ってきたあたしにとっては、師の言葉は途轍もなく強く響いた。

>「我々はソルタレクの冒険者ギルドの襲撃を迎え撃つことになる……
当然ながら命の危険もある、戦い慣れしていなさそうなそなたは安全な場所に隠れておくのが賢明であろう」
「もしどうしても共に戦いたいというのなら……自分の身は自分で守ると約束してくれるなら。
折角の貴重な研究対象に死なれては困るのでな。”プロテクション”は使えるか?
使えぬなら教えよう、そなたほどのエーテル属性の使い手ならすぐに覚えられようぞ」

「はい、協力します。極力は、この敷地の修復や回復になると思いますが…
省27
332: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/19(日)15:16 ID:t7HCYCqQ(4/7) AAS
「おぉ、なかなか似合っとるぞ。それはこの歴史ある施設を守る者としてのあらゆる機能を備えた服じゃ。
魔力も込められた特別製であるし、おぉ…本当に生き生きしとる。生まれ変わったようじゃ」

「あ、ありがとうございます…!」

途端、学長の表情が硬くなる。

「近いうちに襲撃がある、とワシは踏んでおる。ワシもすっかり衰えたが、いざとなれば前に出て戦う所存じゃ。
その時はワシよりもティターニアたちを優先して守ってやってくれ。あやつもまだまだヒヨっ子で、教えるべきことを知っておらぬ。
こっちは心配するな。おぬしら若いモンは、無駄死にするな。生きるのじゃ。」
省24
333: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/19(日)15:22 ID:t7HCYCqQ(5/7) AAS
目の前の若い研究員が今にも杖を剣で折られ、その命を落とそうとしていた。
さらに後ろからももう一人が槍を持って突撃してくる。救援の位置は離れていて、あたしが入らないと間に合わない。
ここは兄さんに鍛えられたことを思い出さないと…

「はぁっ!」

猛ダッシュで救援に駆けつけ、回し蹴りを敵の腹に叩き込む。兄さんが「鳩尾」と言っていた場所だ。
いつも「殺すための戦法」として叩き込まれた。今日は助けるために、それを使うんだ。
さらによろめいた敵の首めがけて、錫杖を振り下ろす。ゴキッ、という鈍い音が響き、首が変な方向に曲がって敵が倒れこんだ。
省29
334: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/19(日)15:24 ID:t7HCYCqQ(6/7) AAS
「お待たせしました。パトリエーゼ、ティターニア師と皆さんと、大事な場所を守るために参戦します。
ノーキンさん、すぐに降伏し、撤退しなさい!」

あたしが現れた位置は三人の少し後ろの場所だ。服装が恥ずかしいけど。
ノーキンにもはっきり見えるよう、片足と片手を挙げて杖も使って独特のポーズを取る。
これは教団に居た頃、メイドさんに関する絵本に載っていたもののマネだ。

地面は酷く割れていて、片足で立つのは大変だったけど、何とかやってみせた。

そして詠唱する。敵に見えないようにノーキンと女の子の周囲にいくつもの魔法陣を張る。
省12
335: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/19(日)15:25 ID:t7HCYCqQ(7/7) AAS
「ラテさんっ…させない!」

その凶刃を錫杖「白夜のページェント」で受け、同時に女の子の鳩尾めがけて回し蹴りを放ち、
目の前に立ちはだかる。

「ふんっ…あ!」

若干とはいえ、受けきれず攻撃が脚に掠ってしまった。
普段のローブならまだしも、この格好はあちこちが無防備すぎるんだ。
出血は殆ど無いけど、神経毒が塗られていたみたいで、じわじわと集中力を奪っていく。
省24
336: ◆ejIZLl01yY 2017/02/21(火)01:16 ID:DtpOYNo4(1/5) AAS
>「貴様の愚問に答えよう!何を得るかだと?吾輩は冒険者だ!得るものは金に決まっておるだろう!!
  知らぬのか?金は天下の回りものと言ってな、ヒトが社会で生きていく上で不可欠なる最重要物資であるぞ!」

その言葉を聞いた瞬間、私の心の中で、何かが潰えた気がした。

>「良いか若輩、金は全てに優先する!人々の安寧は金より重い?誰が決めたのだそれは!吾輩ではないぞ!
 街一つ脅かして大金が得られるならば、それは立派な経済活動だ!」

いつもの私だったら、その天下と社会を作っているのも人ですよ、とか言ってたんだと思う。
だけど、駄目だ。言葉が出てこない。
省29
337: ◆ejIZLl01yY 2017/02/21(火)01:17 ID:DtpOYNo4(2/5) AAS
>「さっきお金や名誉より街の皆の暮らしが大事みたいなこと言ってたけどさ!
 それならどーしてあの時ノーキン達をおどかして退かせようとしたの?
 ここにいるのはギルドのアサシンだよ?プロが退けって言われて簡単に退けるわけないじゃん!
 ――ちゃんと殺さなきゃダメだよ、敵は」

どうやら、私が完全に隙を晒すのを待っているらしい。
私にとっては好都合だ。色んな意味で。

>「ケイジィ知ってるよ。"殺すぞ"って脅しはね、相手を殺したくないから使うんだって。
省34
338: ◆ejIZLl01yY 2017/02/21(火)01:20 ID:DtpOYNo4(3/5) AAS
……さて。私が半歩引いたのは、回避の為だけじゃない。
回避運動であり、予備動作でもある。

オオネズミの瞬発力を最大限に活かして……この右手を振り下ろす為の。
【スニーク】を被せ暗器と化した手斧を、振り下ろす為の。
分厚い刃に重さ。それにこの人形自身が飛び込んでくる勢い……かなり深く、斬り込めるだろう。

>「ラテさんっ…させない!」

瞬間、私の目の前にパトリエーゼさんが飛び込んできた。
省32
339: ◆ejIZLl01yY 2017/02/21(火)01:21 ID:DtpOYNo4(4/5) AAS
>「くっ…さぁ、皆さん、この二人を止めましょう! ユグドラシアのために…!
 ノーキン、あなたは早いうちに降伏し、襲撃の目的を話しなさい。私は人殺しをしません」

「目的ならもう、聞きました。あなた達は……あくまで奪い、殺したいんだな。この街から、私達から」

だったら……

「だったら、もういい。その代わり、私にも良心を期待するな」

私は深く息を吸い込む。
省34
340: ◆ejIZLl01yY 2017/02/21(火)01:23 ID:DtpOYNo4(5/5) AAS
「……人形のあなたには、奪う命がない。その人格すらも、どうせ作り物なんでしょう」

だけど不思議とその事に何の感慨も湧かない。
そうだ。ミライユさんが死んだ時、私はこう思ったはずだ。
リアリストになりたいって。無感動でいた方が、辛くないって。
だから……これでいいんだ。

「だから、せめてあなた自身を奪います。
 奪われる苦しみを、学んでこの世から消えていくといい。
省34
341: ジャン ◆9FLiL83HWU 2017/02/21(火)19:58 ID:azsa/4+5(1) AAS
>「すなわち!――多少派手に地盤を割っても復旧に問題はないということだ!!」

ルーンロープの束縛をものともせず、ノーキンは足一つで石畳を砕いた。
さらにその衝撃はジャンのいる場所まで届き、吹き飛んだ石片が散弾のようにジャンの身体へぶつかっていく。
幸いアクアの大剣による防御と鉄の防具によってそれほど傷は負わなかったが、視界を塞ぐには十分な量だ。

石片と共に巻き上がる砂埃が収まったとき、ジャンの視界にいたのはノーキンただ一人だった。
ラテはおそらくノーキンの隣にいた少女と既に戦闘を開始したのだろう、二人ともここにいない。
ノーキンの後ろにいた冒険者部隊は既に別の順路で移動を開始したようだ。
省30
342: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/22(水)23:28 ID:XwPus/33(1/5) AAS
>「……ぬ。そういう貴様は相変わらず年甲斐のない乳臭い格好だなドリームフォレスト!久しいぞ!!」
>「誰あのひと、知り合いなのノーキン」
>「ティターニア・ドリームフォレスト。ユグドラシア、ひいてはエルフ魔法界における有名人だ。異端児という意味でのな。
 優秀な導師ではあるが如何せん頭のネジがイカれ方向に振り切れているユグドラシアの狂人代表のようなものだ」
>「ううーん……とりあえずノーキンの類友ってことはよくわかったよ」

全くの嘘ではないが若干盛ったり尾びれ背びれが付いたティターニアの情報を織り込みつつ
ノーキンと謎の少女との軽妙な掛け合いが繰り広げられる。
省21
343: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/22(水)23:30 ID:XwPus/33(2/5) AAS
>「……さぁ!待たせたな若輩諸君!旧交の温め合いは終わった。待望の命のやり取りの再開だ!
 吾輩昔はこの国の軍人でな!重要な技術拠点でもあるこのアスガルドの戦略地理については熟知している!
 例えば街の下水道普及率はユグドラシアを中心に6割程度!この辺りはまだ汲み取り式で用を足しているな!」
>「すなわち!――多少派手に地盤を割っても復旧に問題はないということだ!!」

ノーキンが足を踏みしめると、盛大に地割れが走る。
それはいいのだが、(いや良くはないが)特筆すべきは魔術も何も使わずに本当に単に足を踏みしめただけだということだ。

>「ノーキン・スピニング☆アクセル!!」
省29
344: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/22(水)23:33 ID:XwPus/33(3/5) AAS
>「お待たせしました。パトリエーゼ、ティターニア師と皆さんと、大事な場所を守るために参戦します。
ノーキンさん、すぐに降伏し、撤退しなさい!」

独特の戦闘服、通称メイド服に身を包んだその姿は、ほんの数日前とはまるで別人のよう。
杖を掲げ独特のポーズで制止するパトリエーゼの艶やかな黒髪が、魔力の波動に揺れる。
あっという間に周囲に6つもの魔法陣が展開された。

「パトリエーゼ殿、来てくれたのか……!」

パトリエーゼのエーテル属性特化の魔術は、元々は狂気の教団によって開発された哀しき力――
省19
345: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/22(水)23:36 ID:XwPus/33(4/5) AAS
>「ノーキン様! 援護に来ましたぞ!」

「退け、今はそれどころではない!」

一人はパトリエーゼの魔法陣に吸い込まれて自爆し、残り数名も適当な魔術で蹴散らすのは大して時間はかからなかったが、タイミングが最悪だった。
それはラテが魔物の血を――アルゲノドンの血を飲んでしまうには十分すぎる時間だった。
すでにオオネズミの血だけでも副作用が出かけていたのだ。
その効果も切れぬうちに重ねてアルゲノドンなどという更に高位の魔物の血を飲んでしまったら……

>「……人形のあなたには、奪う命がない。その人格すらも、どうせ作り物なんでしょう」
省25
346: ティターニア ◆KxUvKv40Yc 2017/02/22(水)23:39 ID:XwPus/33(5/5) AAS
「――エーテリアル・ウェポン」

いつもは武器にかけている強化魔術を今回はジャンの体自体に、いつも通りにかける。
毎度おなじみのファイアウェポンやダークウェポンといった属性付与兼強化の術の系列だが、
一つだけ違うところがあるとすれば……今回はそのエーテル属性版。
エーテルは虚無――そして全という側面も併せ持つ。
これは理論上は存在するが通常は不可能とされている、全ての属性の魔力を同時に付与するに等しい魔術なのだ。
その無謀な挑戦は功を奏し、ジャンの体が魔力のオーラを纏う。
省4
347: ティターニア@時空の狭間 ◆KxUvKv40Yc 2017/02/24(金)00:14 ID:oXpkJgdQ(1/3) AAS
早い物でこのスレももうすぐ500kbだが
ここを立てて以来スレ立てをしていないのに何故か「このホストではしばらくスレが立てられません」が出てしまった。
雛形を置いておくのでどなたか可能な方にスレ立てをお願いしたい。
348: ティターニア@時空の狭間 ◆KxUvKv40Yc 2017/02/24(金)00:17 ID:oXpkJgdQ(2/3) AAS
【スレタイ】
【ファンタジー】ドラゴンズリングV【TRPG】
【本文】
――それは、やがて伝説となる物語。

「エーテリア」と呼ばれるこの異世界では、古来より魔の力が見出され、人と人ならざる者達が、その覇権をかけて終わらない争いを繰り広げていた。
中央大陸に最大版図を誇るのは、強大な軍事力と最新鋭の技術力を持ったヴィルトリア帝国。
西方大陸とその周辺諸島を領土とし、亜人種も含めた、多様な人々が住まうハイランド連邦共和国。
省38
349: ◆ejIZLl01yY 2017/02/24(金)01:58 ID:rXzp6YfF(1) AAS
2chスレ:mitemite

ほい!立てときました!
350: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/24(金)18:01 ID:vS4leVsa(1/4) AAS
>「……無茶な事しちゃ、駄目ですよ。あなたが欲しがった平和な居場所は、この戦いの先にあるんだ」

ラテさんがそっと肩に手を添え、あたしを後ろへと引かせる。

>「そういうのは私がやりますから」

役に立てたようで嬉しいと同時に、寂しくもあった。

「分かったわ。無駄死にするな、とここの学長さんにも言われているし、なるべく援護に回るようにします。
敵が見えています。私には。それを皆さんで共有しましょう」
省24
351: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/24(金)18:02 ID:vS4leVsa(2/4) AAS
「わかりました。きっとこれも運命なのでしょう。
エーテリアル世界が分裂したのも、ここであたしがラテさんのために身を張るのも」

杖を構え、大魔法をなおも詠唱しながら、残りの魔力を賭けて飛び上がり、ラテさんを後ろから羽交い絞めにする。

「…“無色の抱擁”≪エーテルクルセイド≫…!!」

ラテさんを羽交い絞めにしたあたしは、短時間でラテさんに宿った禍々しい属性を吸収していく。
そこには地や風、闇といった様々な属性が交錯し、禍々しい姿を像造っていたに違いない。

「あたしが、全部吸い込んでやる…!」
省23
352: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/24(金)18:06 ID:vS4leVsa(3/4) AAS
あたしがこの前学長さんと一緒にお話した場所あたりに駆けつけると、
フードを被った男たちが魔術学院の学生や護衛の兵士さんたちと戦っていた。
数が多すぎるし、あの身のこなし、まるで戦闘のプロみたい。

――少なくとも冒険者ギルドから派遣されてきたメンバーではない…!
でもこの服装の集団、どこかで見たことが…

まだ建物の外だし、学長さんの姿は見えないけど、やれるだけやってみせる。
あたしが足止めして、流れを変えて撃退してやる!
省19
353: パトリエーゼ ◆.ioWGZt2uA 2017/02/24(金)18:10 ID:vS4leVsa(4/4) AAS
――目の前が倒れた人間で一杯になっていた。
あちこちが真っ赤に染まっている。あたしの視界は真っ赤だ。

全身が痛い。あちこちに刺さった矢や傷があるから、神経毒や麻痺毒が回ってきてるんだろう。
意識が落ちる。あたしもう駄目かも。

せっかく貰った服装もボロボロに破けて、もう裸も同然だ。
これじゃ、学長やティターニア師たちに見せられないや。

意識が飛びかける寸前のこと。
省23
354: ティターニア@時空の狭間 ◆KxUvKv40Yc 2017/02/24(金)23:27 ID:oXpkJgdQ(3/3) AAS
>ラテ殿
スレ立てかたじけない!

>パトリエーゼ殿
またもや古より続く送りバントポジションの伝統の犠牲者が出てしまったか……
短い間だったがお疲れ様であった。
急な多忙とのこと、落ち着いたらまたいつでもお待ちしておる。
355: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us 2017/02/27(月)00:38 ID:uRSb5gPs(1) AAS
【>パトリエーゼさん
 領海です。ようやく絡めるところでの脱退、とても残念です
 またここでお会いできることを祈っています】

【容量オーバーしそうだったので次スレにレスを投下致しました】
356: ◆ejIZLl01yY 2017/02/28(火)04:01 ID:H4NM+4pA(1/7) AAS
射かけ損ねたショートスピアは、ぎりぎりのところで人形の足を射抜けなかった。
ぐらりと足元が揺らぐ……屋上から落ちそうになって慌てて踏み留まる。
思考が纏まらない。あの人形を仕留め損ねた。居場所もバレた。だから次の手を考えて、動き出すべきなのに。

>『愉しそうだねおねえさん。そっちの方がさっきまでのしかめっ面よりずっと良いよ』

さっき、人形が私へと投げかけた言葉が脳裏に蘇る。

「違う……私は楽しんでなんか、いない」

声に出してそう言ってみても……その言葉を私自身すら、信じられない。
省31
357: ◆ejIZLl01yY 2017/02/28(火)04:02 ID:H4NM+4pA(2/7) AAS
>「……奪うとか殺すとか、威勢の良いこと言うけどさ、おねえさん」

パトリエーゼさんが戦線を離れたのを認めて、人形が私に話しかけてくる。

>「殺すのにどうしてそんなに理由が必要なの?
  警告を無視したから。取り合わず退かなかったから。アスガルドの罪なき人たちを脅かしたから。
  ――言い訳探してばっかりじゃん。全部受け身なんだよね、おねえさんの殺意って」

それは……図星だった。
だって私は、人を殺したくなんかなかったんだ。
省36
358: ◆ejIZLl01yY 2017/02/28(火)04:03 ID:H4NM+4pA(3/7) AAS
私は離脱しようと後ろに跳んで……その更に背後を人形に取られた。
ナイフが一閃……石版の盾でなんとか弾く。
速い。けどそれ以上に……私が遅くなっているんだ。

パトリエーゼさんは、私に魔物の力は残して、その姿、血肉だけを奪っていった。
だけど……あの人は分かってないんだ。
単純に身体能力を向上させるだけなら、そういうポーションだって私は作れる。
魔物の血に火薬や銀を合成して、魔の部分を浄化すれば、市販品と同じようなポーションになる。
省35
359: ◆ejIZLl01yY 2017/02/28(火)04:03 ID:H4NM+4pA(4/7) AAS
私の才能がなかったせいで。
私が弱かったせいで。
弟は死んでしまった。

惨めだった。
弱くて、弱くて、弱いせいで、弟を死なせてしまって、それでも自分の惨めさが気になる私が、すごく惨めだった。

だからカッコよくなりたくて。
お父さんお母さんの夢を、ダンジョンの奥底から掘り起こしたくて、冒険者に、トレジャーハンターになった。
省24
360: ◆ejIZLl01yY 2017/02/28(火)04:03 ID:H4NM+4pA(5/7) AAS
 
 
 
大地を震わせるような、狼の咆哮が聞こえる。

『……愚かな』

……あれ?ここは……あの、テッラ洞窟の奥の、古代都市?
ていうか今の声は……フェンリル?
省31
361: ◆ejIZLl01yY 2017/02/28(火)04:04 ID:H4NM+4pA(6/7) AAS
同時に私も姿を消す。土は何かを埋めて、隠す為のもの。
また石像を彫ったり、砂や石に物を描いたり、何かを模る為のものでもある。
つまり土の属性と、レンジャーのスキルは相性抜群だ。

さて、どこから仕掛けようかな。
また頭上を取ろうか。今度はもう外さない。外す気がしない。
それとも今度こそ後ろから首を切り落としてやろうか。

うーん悩むなぁ。
省23
362: ◆ejIZLl01yY 2017/02/28(火)04:06 ID:H4NM+4pA(7/7) AAS
あちゃー!全部こっちに投下出来ちゃった!
埋めてそのまま次スレに持ち込もうと思ったんですけど……読みにくくなっちゃってすみません!
363: 2017/03/08(水)13:12 ID:mOe1dyVa(1/2) AAS
同時に私も姿を消す。土は何かを埋めて、隠す為のもの。
また石像を彫ったり、砂や石に物を描いたり、何かを模る為のものでもある。
つまり土の属性と、レンジャーのスキルは相性抜群だ。

さて、どこから仕掛けようかな。
また頭上を取ろうか。今度はもう外さない。外す気がしない。
それとも今度こそ後ろから首を切り落としてやろうか。

うーん悩むなぁ。
省20
364: 2017/03/08(水)13:13 ID:mOe1dyVa(2/2) AAS
同時に私も姿を消す。土は何かを埋めて、隠す為のもの。
また石像を彫ったり、砂や石に物を描いたり、何かを模る為のものでもある。
つまり土の属性と、レンジャーのスキルは相性抜群だ。

さて、どこから仕掛けようかな。
また頭上を取ろうか。今度はもう外さない。外す気がしない。
それとも今度こそ後ろから首を切り落としてやろうか。

うーん悩むなぁ。
省22
365: 2017/03/10(金)17:21 ID:rTTFPp5m(1/4) AAS
0359 ◆ejIZLl01yY 2017/02/28 04:03:24
私の才能がなかったせいで。
私が弱かったせいで。
弟は死んでしまった。

惨めだった。
弱くて、弱くて、弱いせいで、弟を死なせてしまって、それでも自分の惨めさが気になる私が、すごく惨めだった。

だからカッコよくなりたくて。
省25
366: 2017/03/10(金)17:22 ID:rTTFPp5m(2/4) AAS
0359 ◆ejIZLl01yY 2017/02/28 04:03:25
私の才能がなかったせいで。
私が弱かったせいで。
弟は死んでしまった。

惨めだった。
弱くて、弱くて、弱いせいで、弟を死なせてしまって、それでも自分の惨めさが気になる私が、すごく惨めだった。

だからカッコよくなりたくて。
省25
367: 2017/03/10(金)17:22 ID:rTTFPp5m(3/4) AAS
0359 ◆ejIZLl01yY 2017/02/28 04:03:27
私の才能がなかったせいで。
私が弱かったせいで。
弟は死んでしまった。

惨めだった。
弱くて、弱くて、弱いせいで、弟を死なせてしまって、それでも自分の惨めさが気になる私が、すごく惨めだった。

だからカッコよくなりたくて。
省26
368: 2017/03/10(金)17:23 ID:rTTFPp5m(4/4) AAS
0359 ◆ejIZLl01yY 2017/02/28 04:03:28
私の才能がなかったせいで。
私が弱かったせいで。
弟は死んでしまった。

惨めだった。
弱くて、弱くて、弱いせいで、弟を死なせてしまって、それでも自分の惨めさが気になる私が、すごく惨めだった。

だからカッコよくなりたくて。
省26
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