[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ12 (761レス)
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126: 不死身少女ちゅうかなかがみん!  ◇DNdG5hiFT6 2008/02/21(木)20:40 ID:QK0Fc52O(1/14) AAS
AA省
127: その少女、ゼロのリスタート  ◇DNdG5hiFT6 2008/02/21(木)20:41 ID:QK0Fc52O(2/14) AAS
   *     *     *

二人の下から走り去ってから数分後、奈緒の姿は高速道路の上にあった。
少女は路上に座り込み、渡されたディパックを探っている
食料は没収されたものの、それ以外の名簿や地図などはディパックの中にちゃんと入っている。
更にはご丁寧に地図には禁止エリアがメモされ、名簿には死亡者の名前欄に横線が引かれている。
――無論、【ギルガメッシュ】という名前欄にも。

何ともいえない気持ちで名簿の上を滑っていた視線は、自然と左手の異物へと向けられる。
省27
128: その少女、ゼロのリスタート  ◇DNdG5hiFT6 2008/02/21(木)20:42 ID:QK0Fc52O(3/14) AAS
「あ……」

その光を見た瞬間、無意識のうちに身体が駆け出していた。
海沿いに散らばっている光を反射するもの。
見覚えのある黄金の輝き。
そこに辿り着いた奈緒はその正体を理解する。
即ち、英雄王の鎧の破片を――

「ホントに……負けちゃったんだ、金ぴか」
省29
129: その少女、ゼロのリスタート  ◇DNdG5hiFT6 2008/02/21(木)20:42 ID:QK0Fc52O(4/14) AAS
【D-3/高速道路上/1日目-夜】
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:精神的疲労(大)、かがみにトラウマ
[装備]:右手にかがみのリボン
[道具]:ディパック、支給品一式(ただし食料は無い)、黄金の鎧@Fate/stay nightのかけら
[思考]
基本思考:???
省10
130: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:42 ID:QK0Fc52O(5/14) AAS
遠く、遠く。
無慈悲ながら救いでもある声が聞こえてくる。
ある者には絶望を、ある者には希望をもたらす言葉の群れが。

「……半分死んだのか。それでも生きてくれているのはさすがだね。
 本当に嬉しいよ、兄さん……っ!」

くっくっと、漏れ出る笑いを押さえようともせずに、一つの影が戦場を悠然と闊歩する。
この殺し合いの場の中でも、最強に近い力を持つ存在が。
省35
131: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:43 ID:QK0Fc52O(6/14) AAS
安堵の溜息がシンヤの口から漏れる。目的地はすぐそこだ。
一応、病院で待機するリスクはある。
自分と同様に負傷したり、休息を求めてくる人間が訪れる可能性もあるし、あるいは既にいる事も十分ありえるからだ。
だが、今の自分に敵うはずがない。
テッカマンエビルが虫ケラに倒されるなど、絶対にありえないのだ。敵うとしたらブレードのみ。
……故に、誰が潜んでいようが関係ない。

シンヤの口元が歪んだ。
省25
132: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:44 ID:QK0Fc52O(7/14) AAS
つまり、首輪を解体しようとしても死には至らない。
ペナルティはその程度だという事は、参加者の死が目的ではないということだ。
螺旋王による任意の遠隔爆破の可能性も低いだろう。
……あらためて自分の首輪のネジを触ってみれば、首輪本体から僅かに浮いているのが確認できる。
これから分かるのは、自分は何らかの手段を持ってして、僅かながらネジを動かすことができたのだ。
しかし、どれだけ強くいじってもそれ以上動く気配はない。

(これは要するに、条件さえ満たせば首輪を解除できるということか)
省21
133: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:45 ID:QK0Fc52O(8/14) AAS
判明したのは、少なくとも今の自分に螺旋力はないということだ。
先刻の自分は何を得たのか、それが思い出せないのが悔やまれる。
ネジを回し続ければ再度螺旋力を得られるかもしれないが、同様の結果になる可能性があるなら同じ事を繰り返しても意味がない。
むしろ、他の螺旋力を得た人間に接触すべきだろう。
放送で既に螺旋力に目覚めた人間がいるのは判明しているのだ。

そうして得た結論からは、ある疑問が必然的に浮かび上がってくる。
「螺旋力とは何か、それが問題になる」
省26
134: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:45 ID:QK0Fc52O(9/14) AAS
……そして、この行為にはもう一つ目的があった。
病院内の劇物毒物、各種危険物の回収である。
知識のあるものが使えばあまりにも危険なそれを、ゲームに乗っている人間に渡す訳にはいかないと判断しての事だ。
病院の薬物は学校の理科室などとは比べ物にならないほど危険な物質が存在するのは自明である。
……だが、この病院には、それさえも甘く感じられるほどの危険物が用意されていたのだ。
そう、殺人ゲームに使用されることを前提とした、兵器群が。

毒ガス。貧者の核兵器。
省32
135: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:46 ID:QK0Fc52O(10/14) AAS
「……ジンか?」

がちゃり、と音がしてノブが回る。
開いた隙間から入ってきたのは、以前一度見たことのある顔だった。
その表情は一瞬驚愕に包まれたのち、即座に警戒へと切り替わる。
中々修羅場をくぐってきているようだ。

「……お前は……」
「フフ……久々、といった所か。前の時は挨拶もしなかったけどね」
省41
136: 2008/02/21(木)21:47 ID:e3KM60A2(1) AAS

137: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:47 ID:QK0Fc52O(11/14) AAS
……そのことを喋るべきか、否か。
相手の性格を考える。
目の前の男は、ゲームに乗っている。
少なくとも、数時間前まではゲームに乗っていたことは確かだ。
首輪の解除が目的ならば、解除条件を教えさえすれば殺戮をやめるか?

その可能性は低くはない。だが、高い訳でもないのだ。
例えば、目の前の男が殺人鬼だとしたらどうだろう。
省26
138: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:48 ID:QK0Fc52O(12/14) AAS
清麿はバッグの中に意識を移す。
内部にはイングラムに加え、先刻手に入れた各種薬物劇物が存在する。
だが、この間合いではそれらを使うのは難しいだろう。
せいぜいが強酸を相手にぶちまけるくらいだ。
そもそもが、ジンの車に生身で攻撃を仕掛け、ラッドの銃撃をかわすような相手。
……まともにやりあっても勝てるとは思えない。
頼りになりそうなのは、先ほど手に入れた手術用のメス十数本。
省30
139: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:49 ID:QK0Fc52O(13/14) AAS
――――どう足掻こうが、自分の負ける要素はない。
シンヤは思う。
目の前の男が、ここまで強情とは思わなかった。
考察のメモを見る限り、相当頭の回転は速いようなので使い道があるかと思ったのだが。
……モロトフという前例のおかげで、自分の言ったことの意味も分かっているようだ。
そして間違いなく、自分に怯えている。
なのに膝を屈さないのは何故か。
省31
140: 2008/02/21(木)21:49 ID:R+i8AK0U(1/12) AAS
 
141: The Incarnation of Devil(前編) ◆wYjszMXgAo 2008/02/21(木)21:50 ID:QK0Fc52O(14/14) AAS
同時、口と肩口から同時に血が吹き出てくる。
喉の奥から何か小さな塊がせり上がってくる。砕けた肺の小片だ。
右手のあった方を見る。
臓器の一部と骨が露出し、足下から数歩のところにテッククリスタルを握ったままの自分の右肘から先が落っこちている。

「あ……」

拾わなければいけない。
ぼやける頭でそんな悠長なことを思った瞬間、背後から耳に聞き覚えのある声が届いてきた。
省6
142: 2008/02/21(木)21:50 ID:R+i8AK0U(2/12) AAS
  
143: 2008/02/21(木)22:12 ID:f+r0Kj/v(1) AAS

144: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:29 ID:R+i8AK0U(3/12) AAS
「……ら、ラッド!?」

突然の闖入に、清麿は驚く。
全く予想しない事態。
いきなり目の前の男の腕が吹っ飛んだかと思うと、ラッドが一連の流れに割り込んできたのだ。
清麿でもどうすればいいのか、先の展開が全く読めなかった。
慌てる清麿に、しかしラッドは落ち着いて清麿に行動を示す。

「……さっさと行って隠れてろ、キヨマロ。
省41
145: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:31 ID:R+i8AK0U(4/12) AAS
……不運なのは、ラッドがモロトフの変身を見たことで、テッククリスタルの作用を警戒していたこと。
そして、鴇羽舞衣操るソルテッカマンとの対峙により、テッカマンの危険性を多少なりとも体験していたことだ。
故に、先刻も真っ先にクリスタルを持つ右手を狙い、今も最初からクリスタルを手にさせないことを念頭に行動し続けている。
……この状況となるに至って。不運は他にも多々ある。
ラッドが超電導ライフルを手に入れたこと。
既に一戦をこなしたことで、ラッドがシンヤに殺意を抱いていたこと。
明智とねねねとの接触により、ラッドがシンヤの情報を得ていたこと。
省17
146: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:33 ID:R+i8AK0U(5/12) AAS
――――アッパーカット。

アゴに引っ掛けるように打ち出されたそれは、単純ながらいかなる防御も無視して脳を直接揺らすことを可能とする。
シンヤの首が、ごきり、と嫌な音を立てて天を向く。
先の戦闘で噛み合わせの悪くなった口が下から打ち付けられ、歯肉からは再度出血し始めた。

「がは……っ!」

……脳震盪。
衝撃が頭蓋を通り抜け、豆腐のような中身をぐるんぐるんと揺らしてゆく。
省31
147: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:36 ID:R+i8AK0U(6/12) AAS
「……へ、残念賞だったなぁ」
「……ッ!」

確かに胴体に当たった。
当たったが、……しかし、その効果の程は期待には到底満たないものだった。
良くても肋骨を1、2本叩き折ったのみ。
ラッドの余裕の残る表情を見るに、それすら大した効果はないだろう。

ラッドは回し蹴りを放った瞬間、シンヤの右側面に飛び込んできたのだ。
省35
148: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:39 ID:R+i8AK0U(7/12) AAS
「……すげえな。まだ立ち上がれんのか、ありえねえだろ」

ラッドは心底感嘆する。
いくら強化された人間とは言え、あそこまで打撃を叩き込まれてもなお立ち上がれる身体能力にもそうだが……、
それ以上に、それだけの苦痛を受けてもなお立ち上がれるその精神力に。
痛覚というのは身体の異常を感知するシグナルであり、改造されてもそれを消すような処置はおそらくされていないだろう。
にもかかわらず、シンヤはいまだ立ち上がり、少しも覇気は衰えない。
それは彼の信念の強さによるものなのか。
省33
149: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:41 ID:R+i8AK0U(8/12) AAS
相羽シンヤは、耐えられなかった。自分の根底にあるものを守る為に。
兄という絶対不可侵の像。それを汚されない為に。
それは、形こそ歪だったにせよ、確かに兄への愛情だった。
だからこそふらつく足で、一心不乱に拳を握る。
目の前の男に拳を届かせられる為に、負傷も武術も忘れてただただ一直線に突き進む。

こうして、幕引きが訪れる。
不意に、目の前の白服の男がシンヤの視界から消えた。
省7
150: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:43 ID:R+i8AK0U(9/12) AAS
◇ ◇ ◇

高嶺清麿はエントランスにいた。
ここならば見渡しもよく、また、逃げる際にもいくつか方向が考えられるからだ。
隠れる場所も複数ある。
幾つも並ぶ長椅子の一つに腰を落ち着け、清麿は思考に沈み込む。

「……あれで、正しかったんだろうか」
ラッドを止めるべきではなかったか。
省32
151: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:45 ID:R+i8AK0U(10/12) AAS
「……なるほど、映画館にそんな集団がいるのか。確かに合流したい所ではあるけど……」
「そういうこったな。ま、とりあえずどうするかはお前に任せるぜ?」

ラッドの話を吟味する。
螺旋王に対抗する集団。それが本当なら、自分の考察は役に立てるはずだ。
……ラッドが騙されているか、もしくは自分を騙そうとしていない限り。
だが、その可能性は低いと見ていい。
まず、このゲームに乗る限りにおいては、大集団はメリットは少ない。
省30
152: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:47 ID:R+i8AK0U(11/12) AAS
「……そうそうキヨマロ。さっき、少し気になるモン見つけたんだがよ。
 少し付き合ってくれや」
「……?」
言って、ラッドは身を翻す。
どういう意図かは分からないが、どうやらついていった方がいいだろう。
これからどうするかを考えながら、清麿はラッドの向かう方向へと歩いていく。

「……ああ、それと、一つ聞いときたいんだがよ」
省39
153: The Incarnation of Devil(後編)代理投下 2008/02/21(木)22:49 ID:R+i8AK0U(12/12) AAS
――――相羽シンヤは、目を覚ました。
ラダムのテッカマンとして強化された身体能力は、あれほどの打撃を受けてさえ、なお生命活動を停止する事はなかったのだ。
ずきり、という痛みと共に、右腕にとてつもない喪失感を感じる。
右目も開かず、声もかすれている。
……それでもなお、彼は未だ生き続けていた。

左腕一本でどうにか体を起こす。
辺りを見れば、すでにあの白服の男はいなかった。
省35
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