[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ10 (447レス)
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315: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:35 ID:xFp4PwnL(1/11) AAS
「あっぶ! おっぶ! でりゃあああああああああああ!」
けたたましい叫び声と水を掻く音が、混ざり合って喧騒となる。
近くに人がいればなんだなんだと野次馬になったであろうその光景は、傍から見ればあまりにも滑稽だった。
『カミナ! 陸地はもう目の前です』
「おうよ! このカミナ様にかかりゃあ、塩っ辛い水なんぞへでもねぇ!」
そう豪語する海上の男は、下手くそな動作で水を掻き分けながら、丘を目指し懸命に泳ぐ。
男の青い髪はずぶ濡れになったせいか元の奇抜さを失い、目元のサングラスは幾多もの水滴を帯びていた。
省32
316: 2007/12/24(月)17:36 ID:XiipsSJ0(1/6) AAS
317: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:37 ID:xFp4PwnL(2/11) AAS
「がっ!?」
クロスミラージュが声をかけた直後、カミナの顔は苦痛に歪み、その身は海中へと沈んだ。
辛うじて顔が出ている状態にまで陥り、すぐに這い上がろうと力を込めるが、上手くいかない。
焦燥が生まれ、なおも足掻き、事態は余計に悪化していく。
『カミナ!? どうしたというのですかカミナ!』
音声を張り上げるクロスミラージュだったが、既にカミナには声を返す余裕すら残っていないようだった。
ただひたすらに体をじたばたさせ、丘に上がった鯉のような醜態を晒している。
省23
318: 2007/12/24(月)17:38 ID:XiipsSJ0(2/6) AAS
319: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:38 ID:xFp4PwnL(3/11) AAS
「くっ! ここも駄目か」
赤いマントを羽織った男が一人、苦虫を踏み潰したような顔で一軒の定食屋から出てきた。
レール式の戸を乱暴に締め、強張った表情で再び町を練り歩く。所作の節々から、苛立ちが窺えた。
――その男、ドモン・カッシュ。
若輩者ながら一流の武闘家として名を馳せた彼は、抗う者としてこの地に君臨している。
熱く滾った拳を螺旋王に見舞うため、明日の勝利を目指し奔走するその姿は、子供から見れば勇ましいの一言に尽きるだろう。
しかしその実、彼の行動目的には改善の仕様がない根本的“ずれ”があり、それは空腹によってさらに深刻になりつつあった。
省24
320: 2007/12/24(月)17:40 ID:Rx2jf5x0(1/4) AAS
321: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:40 ID:xFp4PwnL(4/11) AAS
「おーい! そこのおまえ、なにか食い物を分けてくれないか!?」
度を越えた空腹が、第一声に持って来るべき言霊をすべて省略させた。
要点だけをストレートに告げ、海中を漂う者の返事を待つ。
五秒経った。
「おい! 俺の声が聞こえないのか!? 俺の名前はドモン・カッシュ! 安心しろ、殺し合いには乗っていない!」
さらに五秒待つ。返事はない。
「チッ……おいおまえ! 本当は聞こえているんじゃないのか!? 悪いようにはしない、俺の声が聞こえるんならさっさと上がって――」
省27
322: 2007/12/24(月)17:41 ID:XiipsSJ0(3/6) AAS
323: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:41 ID:xFp4PwnL(5/11) AAS
「俺の声が聞こえるか!? 聞こえるなら返事をしろ!」
平手で男の頬をパンパンと叩き、意識を確認する。応答はない。
次に、男の口元に耳を当て、呼気の流れを確認する。呼吸は止まっていた。
次に、男の胸元に耳を当て、心音のペースを確認する。心臓は止まっていた。
極めて危険な――素人が見れば死んでいるようにしか見えない――状態にある。
いったい何時間、海を彷徨っていたというのか。手遅れなのかどうかも判然としない。
ただ、ドモンは目の前の絶望感に打ちのめされるような繊細な神経だけは持ち合わせていなかった。
省19
324: 2007/12/24(月)17:41 ID:Rx2jf5x0(2/4) AAS
325: 2007/12/24(月)17:42 ID:Rx2jf5x0(3/4) AAS
326: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:43 ID:xFp4PwnL(6/11) AAS
◇ ◇ ◇
薄紅色の唇が、これから待ち受ける行為に怯え、震えた。
北からやってきた海風が唇を冷たく刺激し、また震える。
震えが止まらないまま、その矛先は、彼の唇へと向いた。
触れ合いを求めるように、彼の青い唇は微動もせずにそれを待つ。
大胆不敵な勇姿に決心が鈍り、唇の震えはいっそう激しさを増した。
省23
327: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:45 ID:xFp4PwnL(7/11) AAS
「ゲホッ! ゴホッ! ゴォッ!?」
喉の奥から水が盛大に噴き出し、カミナは眠りから覚めた。
口の中が塩っ辛い。それに、鼻や喉がヒリヒリと痛む。そしてなにより、息苦しい。
何秒間むせこんでいただろうか。カミナが整然とした呼吸を取り戻すまで、かなりの時間を要した。
意識をシャキッとさせようと自身に渇を入れる中、視界に見慣れぬ人影が映った。
乱雑な黒髪に鉢巻き。ボロボロの衣服の上には、目を引く赤いマント。
その姿は、カミナ同様水浸しになっていた。
省31
328: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:46 ID:xFp4PwnL(8/11) AAS
「おい板公! じゃねぇ、クロスミラージュ! どこだ!?」
『…………ここにいます、カミナ』
「どこだ!?」
『あなたの足元です……』
カミナに“海”というものの存在を教えた銀色のプレートを思い出し、声をかけるとそれは直下の地面に転がっていた。
危うく流されてしまったかとも思われたが、クロスミラージュはカミナの体から離れることなく、一緒に救助されていたらしい。
「音声機能か……この声は、そのカードのようなものから発せられているのか?」
省26
329: 2007/12/24(月)17:46 ID:XiipsSJ0(4/6) AAS
330: 2007/12/24(月)17:47 ID:XiipsSJ0(5/6) AAS
331: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:47 ID:xFp4PwnL(9/11) AAS
「よぉし! メシも食った! 体力も戻った! もう少し待ってろクロミラ! おめぇのますたーは俺がなんとしても見つけてやらぁ!」
「……数十分前まで溺れ死んでいたとは思えないほどの覇気だな」
「たりめぇよぉ! 俺を誰だと思ってやがる!」
『それよりもカミナ。クロミラ、というのはいったい……?』
「クロスミラージュってのは長ったらしくて好かねぇ! だから、俺はこれからおまえのことをクロミラって呼ばせてもらうぜ!」
一度は心肺停止にまで陥った人間が、メシを食っただけでここまで回復するなど、ありえないことだった。
だが事実として、道理は蹴っ飛ばすのを信条とするカミナは、常識を逸してもとの元気を取り戻していた。
省34
332: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:49 ID:xFp4PwnL(10/11) AAS
『ところでMr.カッシュ。一つだけ失礼な質問をしてもよろしいでしょうか?』
「なんだ?」
『あなたはその……同性愛者、というわけではありませんよね?』
「なっ……なんだと?」
「ドーセーアイシャ? なんだそりゃ?」
『同性愛者というのは……』
省11
333: 2007/12/24(月)17:50 ID:XiipsSJ0(6/6) AAS
334: 2007/12/24(月)17:50 ID:Rx2jf5x0(4/4) AAS
335: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:50 ID:xFp4PwnL(11/11) AAS
【G-4/沿岸/1日目/午後】
【カミナ@天元突破グレンラガン】
[状態]:精神力消耗(大)、体力消耗(大)、左肩に大きな裂傷(激しく動かすと激痛が走る)、全身ずぶ濡れ
[装備]:なんでも切れる剣@サイボーグクロちゃん、
[道具]:支給品一式(食料なし)、ベリーなメロン(3個)@金色のガッシュベル!!(?)、ゲイボルク@Fate/stay night
クロスミラージュ(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ3/4:1/4)
[思考]基本:殺し合いには意地でも乗らない。
省34
336: 2007/12/24(月)21:23 ID:jzfPL0iz(1) AAS
あ、いつもの駄文の人だ
337: あぼーん [あぼーん] あぼーん AAS
あぼーん
338: 被験者は自身が ◆hNG3vL8qjA 2007/12/24(月)23:21 ID:u/iYJNeX(1/9) AAS
暗いトンネルに立ち込める臭いが、天才の鼻を刺激する。
列車がレールの上を走るときに撒き散らすような――鉄がわずかに焦げる時のソレ。
列車の中を掃除するときに湧き出てくるような――土埃が舞う時のソレ。
列車で先日許されざる者へ贄の洗礼として放った――薬莢が飛び出した時のソレ。
職業柄、常人以上の嗅覚を持つ彼にはこの三重奏が少しばかり鬱陶しいようだ。
彼の掻傷からポタリと滴り続ける赤い独奏はすっかり脇に追いやられてしまったらしい。
天才は手探りを交えながら、仲間の知り合い『だった』物の側まで歩いてしゃがみこむ。
省7
339: 元凶である可能性について ◆hNG3vL8qjA 2007/12/24(月)23:23 ID:u/iYJNeX(2/9) AAS
* * *
「なんで? 」
声を挙げたのは、ミーに止めを刺した八神はやてだ。
足先から脳天まで……彼女は震えていた。
肢体の微弱なアップダウンが、引き金に掛かった指先と砲身を抱えた腕を遊ばせている。
H&K MP7が彼女の拘束から自由の身になるのも時間の問題だろう。
「……私、な、何をしなひゃぁッ!? 」
省40
340: について語れない ◆hNG3vL8qjA 2007/12/24(月)23:23 ID:u/iYJNeX(3/9) AAS
マタタビの言葉がクレアの腕に力を込めさせる。刺さった工具が、傷口から更に血を吐き出させた。
してやったり顔のマタタビに対する彼の感情は侮蔑なのか。否、彼は笑っていた。
原因は自分が天才だったことを一瞬だとしても忘れていたことへの自嘲なのか。
それ以前に、突然トンネルに飛ばされた自分の境遇か、それともフィアンセ(予定)の凶行の嫌疑による混乱か……。
天才の思考を考察するにはあまりにも不毛な論理だが、重要な事項ではないのでここで割愛する。
わかっていることは今のはやてが、クレアが、マタタビがミーの死に準じた行動をしていること。
省34
341: 2007/12/24(月)23:24 ID:6IClLvzj(1) AAS
支援
342: ◆hNG3vL8qjA 2007/12/24(月)23:25 ID:u/iYJNeX(4/9) AAS
元来たトンネルの入り口に向かって一人の女が走っている。彼女の名は八神はやて。
彼女が走っている理由は、彼女自身にもよくわかっていなかった。
と、いうよりも今の彼女には何から何までが理解不能だった。
自分が温泉にいたまでの事は覚えている。自分以外に誰があそこにいたのかも覚えている。
だが、その後の記憶が無い。
気がつけばトンネルの中にいて、クレアとマタタビがいてミーの残骸があって、自分は弾切れの銃を持っていた。
省25
343: ◆hNG3vL8qjA 2007/12/24(月)23:26 ID:u/iYJNeX(5/9) AAS
【G-7路上/一日目/日中】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康、強い決意、上下の下着無し(下はタイツのみ着用)ギアス
[装備]:無し
[道具]:
[思考] 基本思考:力の無いものを救い、最終的にロージェノムを逮捕する。
1:『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』
省39
344: ◆hNG3vL8qjA 2007/12/24(月)23:27 ID:u/iYJNeX(6/9) AAS
だが、これは『終わり』ではない。
「……ん〜こりゃはやての奴、トンネルの外まで行っちまったのか。行くとしたら温泉か? 」
この場合、ギアスの命令をこなした彼らが一度本来の彼らに戻ったとしても、何らかの条件を満たせばギアスはまた発動するのだ。
一度、一連の行動をこなしまた正気に戻ったとしても、また何らかの条件を満たせば再度ギアスの命令をこなす為に動く。
あくまでギアス自体が解除されたわけではないのである。
「応援で温泉にいた奴らを連れてこようとしているのかもしれない。 まぁいい。急いで温泉に向かい彼女をつれ戻さ――」
そしてその再発動、つまり『始まり』の条件とは、
省21
345: ◆hNG3vL8qjA 2007/12/24(月)23:28 ID:u/iYJNeX(7/9) AAS
「……お前の支給品は拙者が預かっておく」
トンネル内で一人壁を背にして座り込むマタタビは知人『だったもの』に話しかけた。
その知人は、これまで日常と非日常の境目を共に生きてきた一人。
『仲間』というには程遠く、どっちかと言えば厄介事を持ち込んで自分を巻き込んでくる、はた迷惑な『隣人』だった。
だがそれは知り合ってから充分に年月が流れ、その上でマタタビがなんとなく感じたこと。
共通する敵の為に一緒に戦ったこともあるし、トラブルを一緒に解決したこともあった。
省24
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