[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ10 (447レス)
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327: いまひとたびの生 ◆LXe12sNRSs 2007/12/24(月)17:45 ID:xFp4PwnL(7/11) AAS
「ゲホッ! ゴホッ! ゴォッ!?」

 喉の奥から水が盛大に噴き出し、カミナは眠りから覚めた。
 口の中が塩っ辛い。それに、鼻や喉がヒリヒリと痛む。そしてなにより、息苦しい。
 何秒間むせこんでいただろうか。カミナが整然とした呼吸を取り戻すまで、かなりの時間を要した。
 意識をシャキッとさせようと自身に渇を入れる中、視界に見慣れぬ人影が映った。
 乱雑な黒髪に鉢巻き。ボロボロの衣服の上には、目を引く赤いマント。
 その姿は、カミナ同様水浸しになっていた。

「げほっ……あんたが、助けてくれたのか?」

 意識せず、そんな質問が漏れた。同時に、自分が海で足を攣り、溺れていたところを目の前の男に救助されたのだと悟る。

「ああ。俺の名はドモン・カッシュ。ネオジャパンのガンダムファイターだ」
「なぁにぃ!? ガンメンファイターだぁ!?」

 男の名乗りを聞き、カミナは反射的に声を荒げた。
 ガンメン、という憎き仇敵である獣人にまつわる単語を耳にし、突発的に警戒心が働いたのだった。
 しかし声高らかに立ち上がれど、その足腰はふらふらで、すぐ地に膝をついてしまう。

「病み上がりだ。無理をするな。それとガンメンファイターなどではない。ガンダムファイターだ」
「んな? ガン、ダム……? ガンメンとは違うのか?」
「違う。ガンダムとは我が愛機ゴッドガンダム、そしてガンダムファイトに用いられるモビルファイターの通称を指す」
「…………?」

 死の淵を彷徨い、生還したと思ったら、いきなり未知の情報による洗礼である。
 カミナはただでさえふらつく頭をさらに掻き混ぜられ、混乱の極みに陥った。

「そういうおまえの名はなんだ?」
「ああ? 俺を知らないってか? ――ちょうどいい。寝起きの気つけだ。いっちょかましてやろうじゃねぇか!」

 言うや否や、カミナは脳内の混乱を吹き飛ばすような勢いで跳び上がり、天に人差し指を掲げる。

「深い穴ぐら天井ぶち破り、地上を歩いてついでに海も一跨ぎ!
 やってやれねぇことはねぇ! 大グレン団のカミナ様たぁ、俺のことだっ!!」

 カミナという男にとってはほとんど習性のような名乗り文句が、爽快に炸裂した。
 その狂言回しのような自己紹介に、ドモンが抱いた感想はただ一つ。

(…………馬鹿か?)

 遠慮容赦ない評を、せめてもの情けとして、心中に吐き捨てる。

「……とりあえず、名前はわかった。神名と言ったな。日本名のようだが、出身はネオジャパンか?」
「ねおじゃぱん村だぁ? このカミナ様、生まれも育ちもジーハ村っ! 地上に出れど、故郷を変えた覚えはねぇぜ!」
「そ、そうか」

 さっきまで溺れて気を失っていた人間が、この変貌振りである。
 カミナのぶっきらぼうという言葉を体現したかのような姿勢に、さすがのドモンも若干引き気味だった。

「まぁ、出身についてはどうでもいい。そんなことより、なぜ溺れていたのかを聞かせてほしいんだが」
「溺れてただぁ? この俺が? おいおいそいつぁ…………アッー!!」

 失神とともに失っていた記憶を、カミナは指摘を受けてようやく思い出す。
 海に飛び込んだそもそもの理由、追っていた女がいたことを再認識して、カミナは慌てふためいた。
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