八宮めぐる「一緒にここから」 (28レス)
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1: ◆U.8lOt6xMsuG [sage saga] 2020/03/21(土)01:57 ID:AoPUJLA90(1/6) AAS
八宮めぐるさんとPの初夜です
2: ◆U.8lOt6xMsuG [sage saga] 2020/03/21(土)01:58 ID:AoPUJLA90(2/6) AAS
隣の少女は無言だった。昨日までは寒かったのに、今日はすっかり春らしい気候で、冬服だと首下に汗が滲む。しかし夜になれば話は変わり、昼間のツケが帰ってくるかのように今の服に感謝をした

電灯が等間隔に灯っている。星空の下と、電球の下を繰り返しながら歩いた

「……寒いな。何か買っていくか? コーヒーでも、ココアでも」

少し先に自動販売機が見えた。ホットコーヒーなりココアなり、かじかみかけの手を温めようと少女に提案する

「……うぅん、大丈夫。早くプロデューサーの家に行きたいし」
省10
3: ◆U.8lOt6xMsuG [sage saga] 2020/03/21(土)01:58 ID:AoPUJLA90(3/6) AAS
彼女が――八宮めぐるが自身の抱えている感情に恋と名付け、俺に教えた。それが始まりだった。

アイドルとして抱いてはいけない感情だと言うのは彼女も重々承知していた。しかし、もはや彼女はそれを抑えることが出来なくなっていた

『……うん、言ってスッキリできたよ。ありがとうプロデューサー、また明日ね』

ある日の夕暮れ、帰り支度をしているとき呼び止められた。俺としては急に何をと戸惑うものだったが、めぐるにとってはそうじゃなくて。ずっと抱えていたものを、ようやく吐き出せたらしい彼女の言葉は、途切れ途切れでたどたどしく、最後の方は震えていた

耳まで真っ赤になった顔と、涙がたまった瞳を無理やり笑顔に変えて、彼女は背を向けた。言って、ここで終わりにするつもりだったのだろう。だって八宮めぐるはアイドルで、俺はプロデューサーだから
省5
4: ◆U.8lOt6xMsuG [sage saga] 2020/03/21(土)01:59 ID:AoPUJLA90(4/6) AAS
高校生だぞ、と頭の中で自分が何度も叫ぶ。手遅れに……は、既になっているが、それでも早めに元の関係に戻った方が互いのため、だというのも分かる

しかし、引き返すことが出来なかった。どんどんと、自分の足下が泥のようになって行く感覚が大きくなって、沈んでいく息苦しさが増えて行く。それでもめぐるを拒絶出来なかった

彼女が目に涙を溜めながら言葉を綴ったあの夕方の景色を思い出す度、沈んでいく感覚に抗おうという気は小さくなった

『あのね、プロデューサー』

そして、めぐるとそういう関係になって3ヶ月が経った頃。事務所で二人きりになった今日。
省13
5: ◆U.8lOt6xMsuG [sage saga] 2020/03/21(土)02:00 ID:AoPUJLA90(5/6) AAS
軽食を済ませ、めぐると夜道を歩く。互いに会話は少なく、コツコツと、踵をそろえた音がいやに響いてくる。腕に抱きつかれて、彼女の体の柔らかい部分をどうしても意識してしまった。

道中にコンビニが見えた。横断歩道の向こう側だった。ちょうどいい、と俺は左腕に抱きつくめぐるへ声をかける

「少し、待っていてくれないか?」

「? さっき、ご飯はもう食べたよ?」

「いやお腹が減ってるんじゃなくて……」
省20
6: ◆U.8lOt6xMsuG [sage saga] 2020/03/21(土)02:01 ID:AoPUJLA90(6/6) AAS
今日はここまでです、次はめぐるの視点から
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