エンド・オブ・ジャパンのようです (311レス)
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273: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 07/22(月)23:12 ID:XXdSh8X20(1/7) AAS
即席で実行した“空挺強襲”の効果は、絶大だった。戦場の空気が大きく変わったのを、どこぞの人としての汎ゆる機能を脊髄に集約して生まれてきたキングダム及びクソ映画フリークの司令官様風味に言うなれば、敵勢から戦意の“火”が完全に消え去ったのを肌で感じる。
まぁ、ただでさえ前線は機動保安隊との交戦地点を中心に総崩れの様相を呈しつつある中だし無理もないわね。その混乱を収めるために進出させた後方予備戦力に艦娘が空飛んで斬り込んできただなんて、深海側からすれば驚天動地もいいところでしょうよ。
おまけに奇襲開始からコンマ1秒で増援は二個分隊相当の兵力を喪失。私がそれをされた立場だとしたら、そこら中のものと司令官に八つ当たりしてるもの。
『か、艦娘だ………あばっ!?」
「アギャッ』『ひぃっ……ごえっ!?」
『『『ギギャアッ!?』』』
省19
274: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/22(月)23:13 ID:XXdSh8X20(2/7) AAS
《指揮車前進!撃て!!》
li イ; ゚ -゚ノl|《う、Ураaaaaaaa!!!》
<(' _';<人ノ《急にソヴィエト》
最後の最後まで、西住さんは抜け目ない。機動保安隊の突撃が私の元まで届き、“群れ”の敗走が本格的に始まった瞬間、W号を一気に陣地の入り口付近まで進出させて砲弾を放つ。
『………ヂギッ!!』
省14
275: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/22(月)23:15 ID:XXdSh8X20(3/7) AAS
そこから数十秒、周りでは喧しく砲声が響き続けているのに、それらを押し潰しかねないほど重く息苦しい“静寂”が戦場を支配する。
W号とチ級が互いの武装を向けてにらみ合う中、“群れ”は本校舎の前を通り過ぎ、校門を出、軽空母ヌ級の傍を駆け抜け、尚も歩みを止めず遠ざかっていく。
『……………ヂィッ!!』
「……………各位、防衛陣地内に後退!!」
やがて口元を歪めたチ級が、「もうやめだ」とでも言うように一声鳴いて機銃の照準をW号から外す。その艦影が再び居住区へ跳び下がっていく光景を見届けた西住さんが指示を下したところで、ようやくこの空間は音を取り戻した。
「ひぃっ、ひぃ〜………し、死ぬかと思った…………」
省11
276: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/22(月)23:18 ID:XXdSh8X20(4/7) AAS
「…………あだだだだだだぁっ!?」
「う………げェッ………」
「オボロロロロロロ」
門が閉まると同時に、元々間近だった保安官達の「限界」が一斉に訪れた。疲労、酸欠、負傷、様々な理由で次々と崩れ落ちコンクリートの上に突っ伏す。
数にして20前後。仮にさっきの乱戦でこの状態が起きていたら、崩壊したのは私達の側だったわ。
省18
277: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/22(月)23:20 ID:XXdSh8X20(5/7) AAS
…………。その上で一つ、気にかかる。
「処置完了だ。未だ行けるな!?」
「勿論ですよ、このままじゃ終われません!!」
「よく言った、それでこそ日本男児だ!!」
「こんなの、足の甲に徹甲弾落とした時と比べれば擦り傷みたいなもんです!」
省15
278: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/22(月)23:24 ID:XXdSh8X20(6/7) AAS
極一部が「そう」である分には、未だ納得できた。例えば警察機構全体で見ても最精鋭の一角である機動保安隊、鈴のように個人が何かしら“特殊”な事例、或いは六年前、つまり深海棲艦出現直後の暴動未遂や廃艦騒動関連の経験からくる耐性。
これらの理由から平静を保っている一部が中核となって、辛うじて組織系統を維持している………こんな形なら、私も特に疑問に思うことはなかったわ。
でも、少なくとも眼に入る範囲の百数十人ほぼ全員が「そう」というのは、不自然と結論せざるを得ない。
たまたま鋼の如き精神力の人間がこの人数一堂に介した?ハッ、仮にそんな奇跡が起きたなら………まさしく大洗女子学園戦車道チームの設立経緯を考えると完全な否定ができないわね………
(と、とにかく!!“極めて稀な確率”で「それ」がまた起こり得たとしても、主要な可能性として考慮すべきじゃないわ)
一応思考の片隅でそちらの線も残してはおくとして、では他に“現実的に起こり得る”要因としては何がある?
1つ目、自分で言うのも小っ恥ずかしい話だけど、艦娘・叢雲到着の報が防衛陣地全体に流布したことで全員が希望を見出し、一気に士気が向上した。………まぁ、一番リアリティはあるけど情報伝達速度が流石に異常過ぎる。共に戦っていた機動保安隊はまだしも、医療班まで隅々に私の存在が行き渡る程の時間はなかった。
逆に保安隊は保安隊で、単純な火力や装甲厚で比較する際に駆逐艦が“戦闘艦種”の中でもかなり下位に位置することは一定数が知識として知っている筈。たかが駆逐艦娘が一人増えたからといって、ここまで劇的に士気を挙げられるのかと問われれば幾らか首は傾げてしまう。
省4
279: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/22(月)23:27 ID:XXdSh8X20(7/7) AAS
依存、誤認、逃避。上げた可能性は何れもリアリティはあるけど、今ひとつ決定打に欠ける。
別に好都合なら細かいことは気にせず状況を甘受してしまっていいじゃないかと私自身思うけど………数多の戦場で培った“勘”が、その妥協を拒絶する。
何かが、危ういと。
(とは、言ってもねえ。結構色んな角度から考察してみたけど、どの可能性も微妙に合致しない部分があるし………まさか本気でこの場の全員がたまたまウチの連中も真っ青なバッキバキの精神力持ちってことじゃ────)
確かに、一つ一つの可能性を“別々”に考えた場合、そのどれも条件が合致しきらない。
でも、“全ての条件が満たされているから”だとしたら、どうだろうか。
省8
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