エンド・オブ・ジャパンのようです (311レス)
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276: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 07/22(月)23:18 ID:XXdSh8X20(4/7) AAS
「…………あだだだだだだぁっ!?」

「う………げェッ………」

「オボロロロロロロ」

門が閉まると同時に、元々間近だった保安官達の「限界」が一斉に訪れた。疲労、酸欠、負傷、様々な理由で次々と崩れ落ちコンクリートの上に突っ伏す。

数にして20前後。仮にさっきの乱戦でこの状態が起きていたら、崩壊したのは私達の側だったわ。

(本当の本当に、紙一重だったの…………ね……ッ!)

「叢雲さん!?」

尤も、私だってそんな“紙一重”の内の一人。流石に嘔吐失神とまではいかないけれど、脚に力が入り切らず大きく蹌踉めく。両脇の保安官さんたちに支えられてなければ、もう少し無様な姿を晒すことになっていたでしょう。

「叢雲さん、しっかり!誰か医療班員を!こっちに最優先で回してくれ!」

「経口補水液と氷嚢も持ってきてください!速やかに回復を!」

「ちょっと待って、気持ちはありがたいけど私は別に……ああもう」

疲労も、ダメージも、正直“大した事”ある。少なくとも、リ級以上の艦種がこの場に現れれば、仮に通常種でも死を覚悟せざるを得ないぐらいには状態が悪い。
ただ、どこまでいっても艦娘の身体は人間より頑丈で強靭ね。ここまでになって尚、あと10分も休めれば恐らくさっきまでの“軽い運動”を7〜8回連続でこなせる程度までは回復する。

それに、学園艦に本格的な艦娘整備用の設備なんてあるはずもない。ちょっと包帯巻いたり水飲んで休んだぐらいで十全に戦えるようになるなら、艦娘実装から1週間も経たずに人類は勝っていたでしょう。
これぐらいの“治療”ではあまり回復しないどころか、ただ物資を無駄に減らすだけ。だから他の負傷者にそれらの人手とモノを割いた方が、合理的で正しい。

(…………の、だけどねぇ)

抗議と説明の声は上げようとした。だけど群がる保安官達………それから、ちらほら混ざる格納庫の方から走ってきた医療班と思わしき人たちに十重二十重に包囲されて、あっという間に身動きが取れなくなってしまった。

で、介抱にしても四肢広げられて四人がかりのマッサージって何よ。王族か何かか私は。

∬メ;´_ゝ`)「………………様子を見に来たんだけど、早速大層なおもてなしぶりね。私もなんかお願い事聞いた方がいい?」

「なら是非お願い。今は私を見ないで頂戴。このままだと情けなさのあまり死んでしまうわ」

……彼ら彼女らに悪意はない。ただ純粋に感謝し、そして縋っているのだ。
艦内が無数の化け物とその眷属によって埋め尽くされ、本土もどんな有り様になっているか全く解らない中で現れた、艦娘という救世主に。悪化の一途を辿る状況の中で、唐突に差した希望の光に。

確かに私は世の中全てが正義と善意に満ち溢れていると信じられるほど世間知らずな小娘じゃない。けれど、恐怖と不安の後押しがあるとはいえ、純粋な好意から成されたものを合理性のみで怜悧に否定できるほど大人でもなかった。
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