エンド・オブ・ジャパンのようです (311レス)
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128: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/07(土)08:02 ID:zAM4YSi90(2/3) AAS
(;´Д`)「浮遊要塞への攻撃は一時射程外からのミサイル攻撃のみに変更、牽制だけ継続!
その分戦力投入を減らして【回転木馬】を増強!【黒鳥】の進出を防いでください!!」
「CICより基地航空隊カタパルト、第2航空群が間もなく帰還する!第1航空群、全妖精速やかに発艦用意に移れ!」
「【カーティス・ウィルバー】基地航空隊より入電、前方50km地点にて当艦隊へ接近中の敵水上打撃艦隊を認む!旗艦に重巡棲姫、また戦艦ル級2隻が何れもFlagshipです!!」
(;´Д`)「予備の99式艦爆隊を出現座標に投入!護衛は対空警戒に出している航空隊から燃料に余裕のある機を捻出するよう各艦CICに要請を!!」
省22
129: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/07(土)08:47 ID:zAM4YSi90(3/3) AAS
おかしい。
僕は別に眼を瞑ってるわけでもないのに、眠りこけられるはずもないのに、何故か周囲の景色が見えない。
3歳児がパレットの上でぶち撒けられた絵の具を掻き回した後のように、混ざりあった様々な色だけがぐるぐると回り続けている。
まぁでも、大きな問題はない。周辺の海図は頭に叩き込んであるし、耳は正常に機能してる。大丈夫、僕はまだ戦える。
「左方の【回転木馬】にて【黒鳥】による強襲が発生!Shamrock第3編隊、全機が通信途絶!!」
省13
130: [sage saga] 2023/01/10(火)11:45 ID:di2eJj2+0(1) AAS
更新おつです
八頭身提督もう半分寝てるじゃないですか
ポジハメ司令はやく来てくれー
131: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 2023/01/26(木)23:55 ID:+lVnpH3p0(1/2) AAS
.
─────同時刻・青ヶ島沖、鎮守府より東南120km地点
「用意、用意、用意……降下、降下、降下!!」
代わり映えしない景色が続く海原において、腕時計は時間を計る装置としてだけではなく道標としての役割も担う。長針がカチンと小さく揺れて目標地点への到着を示すと同時に、私は機内に向かって叫び夜の海へと身を躍らせる。
「お世話になりました!」
省8
132: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/26(木)23:59 ID:+lVnpH3p0(2/2) AAS
接敵とほぼ同時に行われる、雲霞の如き航空戦力の大規模投入。
今や“朝の起き抜けに飲むホットコーヒー”と同レベルの、殆どルーティーンと化したそれはこの戦場でもしっかりと実行された。
『『『─────…………』』』
《Target insight. Shield-01 FOX-2!!》
《Shield-02, FOX-2!!》
数十キロ先で水平線の彼方より湧き出すようにして現れた、周囲を覆う闇夜とはまた質が違う“黒色”の塊。
聞き慣れた、聞き飽きたレシプロエンジン音を撒き散らしながら迫るそれを、F-16は真っ向から迎え撃ちミサイルを放つ。
省21
133: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:02 ID:sMuggt4e0(1/12) AAS
陣形を崩し、大きな出血を強いることに成功した。鮮やかな戦果と言っていいと思う。
でも、この優勢が長続きしないことは私でも解る。向こうの航空隊は確かに総崩れに陥り相当な撃墜数も出しているけど、尚規模は少なく見積もってこっちの10倍強。後続戦力だってきっと無尽蔵に近いだろう。
対する私達の側は、【学園艦棲姫】を止めるために八頭司令と龍驤さん達第一・第二艦隊のほぼ全員、お姉様の名を冠したイージス艦【こんごう】等主戦力の大半が出払っている。航空戦力も、基地航空隊については今し方交戦を開始した50機ちょっとで打ち止めだ。
合流する友軍艦隊の編成の都合から“一軍”の1人である瑞鶴ちゃんが残ってくれているのは不幸中の幸いだけど、向こうの物量を加味すると焼け石に水、だよね。
「三隈より臨時総旗艦・瑞鶴へ!第一防衛線、全艦の着水を完了しましたわ!」
《瑞鶴より三隈、第二防衛線も展開済み!接敵まで現陣形を維持せよ!》
省14
134: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:06 ID:sMuggt4e0(2/12) AAS
「──────ふぅっ!」
短く、息を一つ吐く。これから激しく絶望的な戦いが始まろうって言うのに、焦燥や恐怖は意外なほど感じない。
その代わり脳裏に浮かぶのは、ある男の人の…………私達の、司令官の姿。
「能代より比叡、敵航空隊の陣形転換を視認!目標を基地航空隊追撃からこちらへ切り替える様子!」
「比叡より連隊各艦、陣形を維持!三隈、高雄は主砲三式弾装填急げ!」
省17
135: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:08 ID:sMuggt4e0(3/12) AAS
無論、バカな私でも解っている。司令官の隣は、今や“あの人”の指定席だって。“あの人”と司令官の間に、私が入れる隙間なんて1ミリもありはしないって。
それでも、私はバカだから、できないんだ。戦いもせず、ただ諦めるなんて。
(………龍驤さんには、恋も、戦いも、負けません!!)
大丈夫、貴方の想いに横槍を入れるような事はしないから。
大丈夫、人一倍艦娘のことを思いやってくれる貴方を、困らせるようなことはしないから。
省11
136: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:11 ID:sMuggt4e0(4/12) AAS
.
「おぉ〜〜〜………本っ当に気合入ってるなぁ」
三式弾に続いて空を埋め尽くさんばかりに撃ち上がる、艶やかにして苛烈な対空弾幕。【第一連隊】に殺到した敵航空群が碌な接近すら叶わず焼き払われていき、その光景に思わず感嘆の声が漏れる。
一航戦のアンチキショウじゃないけれど、まさに“鎧袖一触”だ。
(まっ、比叡さんもこの鎮守府じゃあ古株の1人だからねぇ。素の性能に練度、そこに“キラ”まで乗っかればあれぐらいはできるか)
省7
137: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:15 ID:sMuggt4e0(5/12) AAS
精神状態良化・高揚に伴う艤装性能限界突破現象───という正式名称は長ったらし過ぎるので“キラ付け”なんて俗称がつけられたこの状態は、駆逐艦娘が戦艦棲姫を沈めるほどの劇的な効果さえ時としてもたらす。故に各鎮守府、特にここを含めた【海上機動迎撃網】の構成府や最前線である東南アジアの特派府・泊地群はその維持に腐心している。
そして実際、眼前の比叡さんの暴れぶりを見ていれば関連事案を法制化するほどの重要視ぶりも納得だ。あくまで数値的には榛名さんに対空性能で遅れを取り、噴進砲や電探連動型の高角砲等の特殊装備もなし、三式弾だって改装前の通常型。
にも関わらず、比叡さんは殆ど単艦に近い状態であの大編隊を押し返しているのだから。
(使い古されたクッッサイ台詞だけど、“愛は地球を救う”ってのも強ち嘘じゃないかもね)
かつて大日本帝国陸海軍の勇士たちは、日々苦境が深くなっていく中でも闘志を衰えさせなかった。彼らの背を支え続けたのは、祖国日本に対する巨大な「郷土愛」だった。
ナチス・ドイツの親衛隊は、最早敗戦が避け得ぬものとなって尚最後の一兵卒に至るまで戦うことを辞めなかった。彼らを突き動かしたのは、“総統閣下”に対する最早狂信と呼んでも違和感のない「敬愛」だった。
何れも結局【精神論】の域を出ず、米帝の軍事力と露助の物量の前に抗しきれず磨り潰された。だけど、もしこれらが私達の“それ”のように数値的かつ物理的な影響力を持っていたなら、大東亜戦争や欧州大戦の勝敗さえ入れ替わっていたかもしれない。
そう思わせてしまうほど劇的で激烈なのよ、“キラ付け”の効果って。
省7
138: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:17 ID:sMuggt4e0(6/12) AAS
かく言う私自身はといえば、無論提督さんのことを憎からずは思っている。とはいえそれは龍驤さんや比叡さんのような恋慕ではないし、妙高さんが抱いている世話焼き的な母性(……或いは野次馬根性)とも違う。
榛名さんや大鳳ちゃんがよく口にするその力量に対しての「敬意」と、“かわうち”の悪友的な「友情」、その中間というのが多分一番近いかな。
では二人と比較して、私のこの戦いに対する覚悟や決意は弱いのか?…………そう問いかけられれば、胸を張り、声を大にして言える。
“否”、と。
「南西の敵航空隊への対処、軽空母鳳翔の具申を採用!スロット1、2の制空隊を全機発艦させ迎撃行動に移れ!
補給艦・速吸、瑞雲隊を一時収容し再集結並びに補給!鳳翔のスロット3航空隊と併せて予備戦力とせよ!」
省22
139: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:20 ID:sMuggt4e0(7/12) AAS
.
────青ヶ島鎮守府・司令室
「【第一連隊】比叡より入電!敵第一波艦隊群との交戦開始ス、当方ノ開幕砲撃ニヨリ戦果トシテ戦艦ル級2、タ級1、タ級Flagship1轟沈ヲ確認セリ!!
敵艦隊ニ混乱ノ気アリ、尚戦果拡張中!!」
「各空母艦載機隊、順次空戦に突入!何れの空域においても数的不利大ながら、足止めと敵戦力漸減に成功!
省13
140: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:29 ID:sMuggt4e0(8/12) AAS
この鎮守府に留まらず、【海上機動迎撃網】全体へと行われた一大攻勢。経路・艦隊規模・戦況推移、何れも横須賀司令府が事前に立てていた予測内容とほぼ完全に一致する。
当然、とまでは言えないが十分に納得はできる結果だ。何せ八頭や海自屈指の秀才(かつ危険人物)と名高い例の一等海尉を筆頭に、三自衛隊と在日米軍、各司令府所属の提督達が各々の知略をフル回転させ総力を挙げて解析と議論、改訂を重ねているのだから。
仮に“全て”予測通りであったなら、少なくとも日本列島戦線に関しては持ち堪えるどころか十分な余力を以て反転攻勢さえ可能としただろう。
だが、たった一つのイレギュラーが。殆ど唯一の、そしてあまりにも大きな“相違点”が。
「……おい、市ヶ谷からフィリピン海に関する報告は届いてるか?」
「第二次防衛線を突破されて以降は断片的な内容しか降りてきてない、とりあえず八頭提督は無事らしいが………」
省11
141: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:34 ID:sMuggt4e0(9/12) AAS
「あ、あの………小栗提督代理、大丈夫ですか?」
「ん………あぁ」
凄まじい勢いで戦況報告と艦娘や館内人員、妖精たちへの指示が飛び交う中で漏れ聞こえてくる暗く陰鬱な“噂話”。否が応でも耳に入ってきてしまうそれらに思わず眼鏡をずらし眉間を抑えていると、手元にスッと湯気を立てたお茶が差し出される。
顔を上げれば、心配そうな表情でこちらを覗き込みながら湯呑を差し出す艦娘───給糧艦・間宮の姿があった。
「え、えと。もしお気持ちが塞いでいるようであれば、一息つかれては?病は気からと申しますし、心労の状態ではそれこそ指揮に悪影響が出るやも………」
省9
142: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:37 ID:sMuggt4e0(10/12) AAS
突拍子もない申し出ではあったが、その御蔭で落ち着けたこともまた事実。そして辺りを見る余裕が出てくれば、司令室全体が不安と疲労に擦り潰されそうな有様となっていることが直ぐに感じられた。
休養はとても取らせられる状況ではないにしろ、“一息”ぐらいは入れさせなければそれもまたどこかで致命的な決壊を招くだろう。
「いえ、やはり流石にここの指揮は私の職務ですので、戦況が安定するまでは離れられません。
ただ、リラックスはしたいので甘い飲み物と軽食も頂いてよろしいでしょうか?できれば、ここの人数分」
「! 畏まりました、すぐにお持ちします!!」
序でに明確な役割を与えれば間宮の心労も和らぐだろうと提案すると、“本職”を与えられた間宮は一転気合十分といった表情で頷き、飛ぶようにして司令室から出ていった。
省10
143: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/01/27(金)00:50 ID:sMuggt4e0(11/12) AAS
2011年8月14日の【ハワイ奇襲】以降、翌年初頭の【艦娘実装】が成るまで人類は世界規模で制海権・制空権を喪失しつつあった。そんな中にあって何故各国が辛うじて致命傷を避け得ていたかと言えば、深海棲艦側の動きがとりわけ最初期は非常に“直情的”だったからに尽きる。
そこに人類がいれば優先順位も何もなくとにかく近場から手当たり次第に殺していき、行軍は前進か後退かのほぼ二択。“ヒト型”が出現してからは戦術規模であれば多少理知的な動きを見せることもあったが、それも広い範囲で見れば基本的に“行き当たりばったり”の域を出ない。
海上ではそれでも圧倒的な力量差ゆえまともに抗うことはできなかったが、特にヨーロッパで【陸上に上げて物量で殴る】という脳筋戦術が多大な戦果を挙げられたのは深海棲艦側に“橋頭堡の構築”の概念がなく孤立させることそれ自体は極めて容易だったからだ。
一体いつからだ。奴らの動きがここまで知性的に、戦略的になったのは。最早【リスボン沖事変】以降は、人類側が裏をかかれ続けほぼ常に後手に回っている。
(奴らが学習したといえばそうかもしれない。しかしそれにしたって変化が激烈すぎる。例えば深海棲艦全体でそうした“学習”を共有し得るシステムがあるのだとすれば、今度は逆に奴らの練度の“ムラ”が不自然だ。
まるで……………)
省6
144: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 2023/01/27(金)01:45 ID:sMuggt4e0(12/12) AAS
不幸中の、という注釈は間違いなく必要になるが、それでも“幸い”が一つある。
【海上機動迎撃網】自体は、まだ機能を維持できている点だ。
(我々は、【学園艦棲姫】の存在を起点に最も強く警戒していた筈の“物量”について予想を覆され、主力部隊をフィリピン海に引き摺り出された。
だが、逆説的に言えば“それだけ”です。防衛計画そのものは、まだ生きている)
確かに、“忌み名持ち”レベルの実力者達を尽く出払わせてしまった為戦力低下は著しい。しかし、ここを含めて各鎮守府は何れも持ち堪え、敵艦隊を押し留めている。
省12
145: [sage saga] 2023/01/27(金)11:22 ID:2YQXihCe0(1) AAS
更新おつです
まさかの青ヶ島サイドですね
どこにも後方などなく全てが前線という状況がもう…
146: ◆vVnRDWXUNzh3 [saga] 2023/02/01(水)23:04 ID:qlo4HhBq0(1/4) AAS
.
今でも、はっきりと覚えている。“あの時”の胸の高鳴りを。脳を、心臓を鷲掴みにされたが如き圧倒的な衝撃を。
たった一人の男の演説によって、敗北への諦観が勝利への渇望に、死の絶望が生の希望に塗り替えられる有様を。
たった一人の男の雄叫びによって、火山と岩と砂とほんの少しの草木しかない殺風景な島に、目に見えぬ巨大な炎が燃え盛る瞬間を。
まるでつい数秒前に目にしたが如く、自分はその光景を想起できた。
《敵艦載機群第6波並びに第7波、総数500超なおも鎮守府に接近す!到達まで推定あと400秒!!
省12
147: ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga] 2023/02/01(水)23:09 ID:qlo4HhBq0(2/4) AAS
ただ、自衛官として経験を積み、深海棲艦と長らく戦っていく内に、自分の中で“あの時”の上層部の判断を一概には否定できなくなったのも確かだ。
艦娘の“実装”が未だ行われていなかった当時、事実を直視するなら自衛隊は人民解放軍に対して劣勢だった。
陸軍の単純兵力はトリプルスコア、北朝鮮軍のように兵装性能においてこちらが圧倒的な大差をつけているわけでもない。
空母戦力は既に六個の【防空機動艦隊】を運用していた日本側に数字上だけなら分があるものの、日中間の距離は近現代戦闘機ならものの数十分〜数時間で0にできる。在日米軍を考慮に入れても保有戦闘機それ自体の物量差を埋めるほどのアドバンテージとは到底言えなかった。
何よりも、核兵器とそれに伴う弾道ミサイル技術。如何に防空・海防に優れた戦力を自衛隊が持っていたとしても、都市に甚大な被害を与える弾道ミサイルが雨霰と降り注げばその迎撃は困難を極める。況してや核搭載のそれが着弾すれば、例え一発でも数万人から数十万人の命が一瞬にして国土から消え去るのだ。
まぁ、核兵器についてはそもそも前提が「抑止力」であり、日本もアメリカによる“核の傘”の恩恵を受けていた以上単純な戦力比に加えるべきではないかもしれない。だが核を差し引いても、どのみち当時の日本にとって、自衛隊にとって人民解放軍が「格上」であったことは動かしようのない事実だろう。
その「格上」の軍事組織を手も足も出ず叩き潰した怪生物の大軍団を迎え撃ち押し留めようとするなら、自然何かしらの“犠牲”が必要だったのは間違いない。
(………そうか、成る程。
省5
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